JP2015199676A - レゴラフェニブを含有する抗腫瘍剤及び抗腫瘍効果増強剤 - Google Patents

レゴラフェニブを含有する抗腫瘍剤及び抗腫瘍効果増強剤 Download PDF

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文雄 中川
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Abstract

【課題】顕著に優れた抗腫瘍効果を示し、副作用の少ないトリフルリジン(FTD)・チピラシル塩酸塩(TPI)配合剤の新規な癌治療方法の提供。【解決手段】トリフルリジン(FTD)・チピラシル塩酸塩(TPI)配合剤とレゴラフェニブを併用投与することを特徴とする抗腫瘍剤。【選択図】なし

Description

本発明は、トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩の配合剤と、レゴラフェニブとを併用する抗腫瘍剤、及びレゴラフェニブの抗腫瘍効果増強剤に関する。
トリフルリジン(別名:α,α,α−トリフルオロチミジン。以下、「FTD」とも称す)は、チミジレート生成阻害作用によるDNA合成阻害とDNAへの取り込みによるDNA機能障害により抗腫瘍効果を発揮する。一方、チピラシル塩酸塩(化学名:5−クロロ−6−[(2−イミノピロリジン−1−イル)メチル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン塩酸塩。以下、「TPI」とも称す)は、チミジンホスホリラーゼ阻害作用を有する。TPIがチミジンホスホリラーゼによるFTDの生体内での分解を抑制することにより、FTDの抗腫瘍効果が増強されることが知られている(特許文献1)。現在、FTDとTPIをモル比1:0.5で含有する抗腫瘍剤(以下、「FTD・TPI配合剤」とも称す)は、大腸癌等の固形癌の治療剤として開発中であり、再発の結腸直腸癌の治療剤として承認されている(非特許文献1及び2)。
さらに、FTD・TPI配合剤の抗腫瘍効果を高めるべく、併用療法の検討がなされており、これまで当該配合剤とイリノテカンやオキサリプラチン等との併用による効果が示唆されている。(非特許文献3及び4)。
また、レゴラフェニブは、マルチキナーゼ阻害剤であり、VEGFR、TIE2、c−KIT、RET、B−RAF、PDGFR、FGFRなどを阻害することが知られている。これらのキナーゼを阻害することにより、血管新生、腫瘍形成に関わるシグナル伝達を阻害して抗腫瘍効果を発揮する。レゴラフェニブは治癒切除不能な進行・再発の大腸癌(結腸・直腸癌)に使用されており、胃癌、小細胞肺癌、腎細胞癌、肝細胞癌でも開発が進められている。また、FOLFOX(5−フルオロウラシル、ロイコボリン、オキザリプラチン)、または、FOLFIRI(5−フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン)とレゴラフェニブの併用療法の開発も進められている(非特許文献5)。
上記のとおり、FTD・TPI配合剤を含む治療法及びレゴラフェニブを含む治療法の開発がそれぞれ精力的に行われているが、FTD・TPI配合剤とレゴラフェニブを用いた併用療法は行なわれていない。
国際公開第96/30346号
Invest New Drugs 26(5):445−54,2008. Lancet Oncol.13(10):993−1001,2012. Eur J Cancer.43(1):175−83,2007. Br J Cancer.96(2):231−40,2007. Ann Oncol .24(6):1560−1567,2013
本発明は、顕著に優れた抗腫瘍効果を示し、副作用の少ないFTD・TPI配合剤を用いた新規な癌治療方法を提供することを課題とする。
そこで本発明者は、FTD・TPI配合剤とレゴラフェニブの併用療法について検討したところ、FTD・TPI配合剤とレゴラフェニブを併用することにより、単独でFTD・TPI配合剤またはレゴラフェニブを使用するよりも、さらに抗腫瘍効果が顕著に増強することを見出した。
すなわち本発明は、次の〔1〕〜〔15〕を提供するものである。
〔1〕トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤と、レゴラフェニブを併用投与することを特徴とする抗腫瘍剤。
〔2〕トリフルリジン1モルあたりに対して、レゴラフェニブが0.175〜1.76モルである〔1〕記載の抗腫瘍剤。
〔3〕トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤のトリフルリジンの投与日における1日投与量が、単独で投与する場合における推奨用量の50〜100%である〔1〕又は〔2〕に記載の抗腫瘍剤。
〔4〕トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤のトリフルリジンの投与日における1日投与量が35〜70mg/m2/dayである〔1〕〜〔3〕のいずれか1項の抗腫瘍剤。
〔5〕レゴラフェニブの投与日における1日投与量が、単独で投与する場合における最大耐量の20〜100%である請求項1〜4のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
〔6〕レゴラフェニブの投与日における1日投与量が32〜160mg/body/dayである〔1〕〜〔5〕のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
〔7〕対象となる癌が、消化器癌である〔1〕〜〔6〕のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
〔8〕対象となる癌が、大腸癌である〔1〕〜〔7〕のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
〔9〕レゴラフェニブの抗腫瘍効果を増強するための、トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤からなる抗腫瘍効果増強剤。
〔10〕トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤の抗腫瘍効果を増強するための、レゴラフェニブからなる抗腫瘍効果増強剤。
〔11〕レゴラフェニブを投与された癌患者を治療するための、トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤からなる抗腫瘍剤。
〔12〕トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤を投与された癌患者を治療するための、レゴラフェニブからなる抗腫瘍剤。
〔13〕レゴラフェニブと併用することを特徴とする、トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤からなる抗腫瘍剤。
〔14〕トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤と併用することを特徴とする、レゴラフェニブからなる抗腫瘍剤。
〔15〕トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤と使用説明書を含むキット製剤。
本発明の抗腫瘍剤によれば、副作用の発症を抑えつつ、高い抗腫瘍効果(特に、腫瘍縮小効果、増殖遅延効果(延命効果))を奏する癌治療を行うことが可能である。ひいては、癌患者の長期間の生存をもたらす。
マウスにおける、FTD・TPI配合剤(トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5)のFTDとしての投与量75mg/kg/dayと投与量10mg/kg/dayのレゴラフェニブ・1水和物を併用した際の抗腫瘍効果を示す。 マウスにおける、FTD・TPI配合剤(トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5)のFTDとしての投与量75mg/kg/dayと投与量50mg/kg/dayのレゴラフェニブ・1水和物を併用した際の抗腫瘍効果を示す。 マウスにおける、FTD・TPI配合剤(トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5)のFTDとしての投与量150mg/kg/dayと投与量10mg/kg/dayのレゴラフェニブ・1水和物を併用した際の抗腫瘍効果を示す。 マウスにおける、FTDとしての投与量150mg/kg/dayのFTD・TPI配合剤(トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5)と投与量50mg/kg/dayのレゴラフェニブ・1水和物を併用した際の抗腫瘍効果を示す。
本発明におけるFTD及びTPIはそれぞれ公知の化合物であり、例えば、国際公開第96/30346号パンフレットに記載の方法に準じて合成することができる。また、FTD及びTPIをモル比1:0.5で含有する配合剤も公知である(非特許文献1及び2)。また、FTD・TPI配合剤は、日本において進行・再発の結腸直腸癌の治療剤として承認されており、その用法用量は「FTDとして70mg/m2/dayを、1日2回、5日間連続経口投与したのち2日間休薬する。これを2回繰り返したのち14日間休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。」と定義されている。
レゴラフェニブ(化学名:4−[4−({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]カルバモイル}アミノ)−3−フルオロフェノキシ]−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド)も公知化合物である。レゴラフェニブは、国際公開第2008/043446号パンフレットに記載の方法に準じて合成することができる。また、本発明において「レゴラフェニブ」には、本発明の効果を奏する限り、レゴラフェニブ・1水和物等の水和物も包含される。なお、レゴラフェニブは、1水和物として市販されており、その市販品(スチバーガ錠(登録商標)、バイエル薬品)を用いてもよい。
本発明の抗腫瘍剤におけるFTD・TPI配合剤(FTDとTPIとの両者のモル比が例えば、1:0.5である場合)の投与日における1日投与量としては、FTD・TPI配合剤によるレゴラフェニブの抗腫瘍効果の増強作用の観点から、FTD・TPI配合剤を単独で投与する場合における推奨用量の50〜100%が好ましく、より好ましくは100%である。具体的には、ヒトにおけるFTD・TPI配合剤の単独で投与する場合における推奨用量は、上述のとおり日本において承認を受けた投与量であるFTDとして70mg/m2/dayであることから、本発明の抗腫瘍剤におけるFTD・TPI配合剤の投与日における1日投与量は、FTDとして35〜70mg/m2/dayが好ましく、より好ましくは70mg/m2/dayである。また、ヒト体表面積は標準的な男女成人において約1.6m2とされていることから、本発明の抗腫瘍剤におけるFTD・TPI配合剤の投与日における1日投与量は、FTDとして56〜112mg/body/dayが好ましく、より好ましくは112mg/body/dayである。
なお、本発明において「推奨用量」とは、臨床試験などにより決定された、重篤な副作用を発症せずに安全に使用できる範囲で、最大の治療効果をもたらす投与量であり、具体的には、日本独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA;Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)、米国食品医薬品局(FDA;Food and Drug Administration)、欧州医薬品庁(EMA;European Medicines Agency)等の公的機関や団体により承認・推奨・勧告され、添付文書・インタビューフォーム・治療ガイドライン等に記載された投与量があげられ、PMDA、FDA又はEMAのいずれかの公的機関により承認された投与量が好ましい。
本発明の抗腫瘍剤におけるレゴラフェニブの投与日における1日投与量としては、FTD・TPI配合剤によるレゴラフェニブの抗腫瘍効果の増強作用の観点から、レゴラフェニブを単独で投与する場合における推奨用量の20〜100%が好ましく、100%がより好ましい。具体的には、ヒトにおけるレゴラフェニブの単独で投与する場合における推奨用量は添付文書・インタビューフォームの承認情報より、3週間連日経口投与し、その後1週間休薬する場合、160mg/body/day(例えば、結腸・直腸癌、消化管間質腫瘍が好ましい)であることから、本発明の抗腫瘍剤におけるレゴラフェニブの投与日における1日投与量は、32〜160mg/body/dayが好ましく、160mg/body/dayがより好ましい。
上記のFTD・TPI配合剤及びレゴラフェニブの投与量から、これらのモル比を算出することができる。
本発明の抗腫瘍剤におけるFTD・TPI配合剤とレゴラフェニブのヒト投与量のモル比は、FTD1モルに対して、レゴラフェニブが0.175〜1.76モルが好ましく、0.175〜0.878モルがより好ましい。
本発明の抗腫瘍剤の投与スケジュールは、癌腫や病期等に応じて適宜選択しうる。FTD・TPI配合剤は、5日間連日投与し2日間休薬を2回繰り返した後、2週間休薬する投与スケジュールが好ましい。レゴラフェニブは、連日投与を3週間行った後、1週間休薬するスケジュールが好ましい。また、投与スケジュールは副作用等に応じて適宜休薬期間を設けても構わない。
本発明の抗腫瘍剤の1日の投与回数は、癌種や病期等に応じて適宜選択しうるが、FTD・TPI配合剤は1日2回、レゴレフェ二ブは1日1回が好ましい。
本発明のFTD・TPI配合剤及びレゴレフェ二ブの投与順序は、癌種や病期等に応じて適宜選択しうるが、どちらを先に投与しても、同時に投与しても構わない。
本発明の抗腫瘍剤の対象となる癌としては、具体的には、頭頚部癌、消化器癌(食道癌、胃癌、消化管間質腫瘍、十二指腸癌、肝臓癌、胆道癌(胆嚢・胆管癌など)、膵臓癌、小腸癌、大腸癌(結腸直腸癌、結腸癌、直腸癌など)など)、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮癌(子宮頚癌、子宮体癌など)、腎癌、膀胱癌、前立腺癌等が挙げられる。なお、ここで癌には、原発巣のみならず、他の臓器(肝臓など)に転移した癌をも含む。このうち、抗腫瘍効果と副作用の観点から、消化器癌、乳癌、腎癌、小細胞肺癌が好ましく、消化器癌がより好ましく、大腸癌、消化管間質腫瘍、及び胃癌がより好ましく、大腸癌が特に好ましい。また、本発明の抗腫瘍剤は、腫瘍を外科的に摘出した後に再発防止のために行われる術後補助化学療法に用いるものであっても、腫瘍を外科的に摘出するために事前行われる術前補助化学療法であってもよい。
本発明は各有効成分を1つの剤形にまとめ製剤化しても構わない。本発明の抗腫瘍剤は各有効成分を複数の剤形に分けて製剤化するのが好ましい。即ち、FTD及びTPIは配合剤として、レゴラフェニブは単剤として製剤化することが好ましい。
また、本発明の投与量によって各有効成分が投与される限り、各製剤を併用投与に適した1個のパッケージにまとめて製造販売してもよく、また各製剤を別個のパッケージに分けて製造販売してもよい。
本発明の抗腫瘍剤の投与形態としては特に制限は無く、治療目的に応じて適宜選択でき、具体的には経口剤(錠剤、被覆錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤など)、注射剤、坐剤、貼付剤、軟膏剤等が例示できる。FTD及びTPIの配合剤は経口剤が好ましい。レゴラフェニブを含有する製剤も、上記の投与形態が挙げられ、経口剤が好ましい。
本発明における抗腫瘍剤は、FTD・TPI配合剤についても、レゴラフェニブについても、その投与形態に応じて、薬学的に許容される担体を用いて、通常公知の方法により調製することができる。斯かる担体としては、通常の薬剤に汎用される各種のもの、例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、pH調整剤、緩衝剤、安定化剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を例示できる。
本発明はまた、癌患者(特に、大腸癌患者)に対するレゴラフェニブの抗腫瘍効果を増強するためのFTD・TPI配合剤を含む抗腫瘍効果増強剤に関する。当該抗腫瘍効果増強剤は、上記抗腫瘍剤の製剤形態を有する。
本発明はまた、癌患者(特に、大腸癌患者)に対するFTD・TPI配合剤の抗腫瘍効果を増強するためのレゴラフェニブを含む抗腫瘍効果増強剤に関する。当該抗腫瘍効果増強剤は、上記抗腫瘍剤の製剤形態を有する。
本発明はまた、レゴラフェニブを投与された癌患者(特に、大腸癌患者)を治療するためのFTD・TPI配合剤を含む抗腫瘍剤に関する。当該抗腫瘍剤は、上記の製剤形態を有する。
本発明はまた、FTD・TPI配合剤を投与された癌患者(特に、大腸癌患者)を治療するためのレゴラフェニブを含む抗腫瘍剤に関する。当該抗腫瘍剤は、上記の製剤形態を有する。
本発明はまた、癌患者(特に、大腸癌患者)に対し、レゴラフェニブと併用することを特徴とする、FTD・TPI配合剤を含む抗腫瘍剤に関する。当該抗腫瘍剤は、上記の製剤形態を有する。
本発明はまた、癌患者(特に、大腸癌患者)に対し、FTD・TPI配合剤と併用することを特徴とする、レゴラフェニブを含む抗腫瘍剤に関する。当該抗腫瘍剤は、上記の製剤形態を有する。
本発明はまた、FTD・TPI配合剤と、癌患者(特に、大腸癌患者)に対してFTD・TPI配合剤とレゴラフェニブを併用投与することを記載した使用説明書を含むキット製剤に関する。ここで「使用説明書」とは、上記投与量が記載されたものであればよく、法的拘束力の有無を問わないが、上記投与量が推奨されているものが好ましい。具体的には、添付文書、パンフレット等が例示される。また、使用説明書を含むキット製剤とは、キット製剤のパッケージに使用説明書が印刷・添付されているものであっても、キット製剤のパッケージに抗腫瘍剤とともに使用説明書が同封されているものであってもよい。
次に実施例及び参考例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
参考例1
ヒト大腸癌株(KM20C)の培養細胞(1×107cells/マウス)を5〜6週齢のBALB/cA Jcl−nuマウスの腹腔内に移植した。各群の平均体重が均等になるようにマウスを割り付け、群分け(n=10)を実施した日をDay0とした。
FTD・TPI配合剤(FTDとTPIのモル比1:0.5の混合物)は、FTDとして、75、100、150、300および450mg/kg/dayとなるよう調製した。薬剤の投与はDay3から開始し、FTD・TPI配合剤は5日間連日経口投与・2日間休薬を6週間行った。
抗腫瘍効果の指標として、各群のマウスの生存数を確認し、各群の生存期間、延命率を比較した。延命率(ILS; Increased Life Span)は以下のように計算した。
Figure 2015199676
結果を表1に示す。
Figure 2015199676
表1に記載のように、FTD・TPI配合剤は、FTDとして、75〜450mg/kg/dayの全ての群で生存期間の延長効果が認められ、そのうち150mg/kg/dayの群で最も生存期間が長かったことから、マウスにおけるFTD・TPI配合剤の推奨用量(RD;Recommended Dose)は、FTDとして150mg/kg/dayである。つまり、FTD・TPI配合剤は、少なくともRDの50%〜300%の投与量において生存期間の延長効果を発揮することが示された。
一方、ヒトにおけるFTD・TPI配合剤の推奨用量は、FTDとして70mg/m2/dayであることが知られており、この用量で有意に生存期間が延長されている(非特許文献2)。よって、FTD・TPI配合剤のFTDとしての推奨用量は、マウスにおける150mg/kg/dayが、ヒトにおける70mg/m2/dayに相当する。
参考例2
8週齢の非担癌ヌードマウス(BALB/cAJcl−nu/nu)を6つに群分け(n=3)した日をDay0とした。薬剤の投与容量は10mL/kgであり、レゴラフェニブは1水和物として、50、100、200mg/kg/dayとなるように調製した。うち、1群を無処置群とし、残り5群にそれぞれレゴラフェニブ・1水和物を50、100、200mg/kg/dayの用量で1日1回14日間(Day1からDay14)連日経口投与した。
そして、Day4からDay29まで、各群のマウスの生存数および体重変化(body weight change:BWC)を確認した。死亡例が認められた群は、毒性ありと判断した。体重変化は試験期間(Day0からDay29)において、−20%以下を示した場合に毒性ありと判断した。
なお、体重変化は以下のように計算した。
Figure 2015199676
各群における投与量、死亡数および死亡の発現日は表2のとおりである。なお、各群における体重変化は死亡の発現日までの期間において−20%よりも低くなることはなかった。
Figure 2015199676
表2に記載のように、非担癌ヌードマウスでは、レゴラフェニブ・1水和物を100mg/kg/day以上投与した群ではDay14までに死亡例が確認されたが、50mg/kg/dayではDay29まで死亡例は確認されなかった。
この結果から明らかなように、レゴラフェニブ・1水和物のマウスにおける推奨用量は50mg/kg/dayである。即ち、レゴラフェニブとしてのマウスにおける推奨用量は、48.2mg/kg/dayである。一方、ヒトにおけるレゴラフェニブの推奨用量は、インタビューフォームによると、160mg/body/day(水和物として166mg/body/day)である。よって、レゴラフェニブ・1水和物の推奨用量は、マウスにおける50mg/kg/dayが、ヒトにおける166mg/body/dayに相当する。
実施例(COLO205におけるFTD・TPI配合剤とレゴラフェニブの併用)
ヒト大腸癌由来株(COLO205)を生後5週齢のマウス・BALB/cAJcl−nu/nu(ヌードマウス)の右側最後位肋骨付近に移植した。腫瘍移植後に腫瘍の長径(mm)および短径(mm)を測定し、腫瘍体積(tumor volume:TV)を以下の式にて算出した。
Figure 2015199676
各群の平均TVが100mm3程度になった際にマウスを群分けし(n=6)、その日をDay0とした。うち、1群を無処置群とし、2群をFTD・TPI配合剤の単剤投与群、3群をレゴラフェニブの単剤投与群、6群をFTD・TPI配合剤とレゴラフェニブの併用投与群とした。
薬剤の投与容量は10mL/kgであり、FTD・TPI配合剤(FTDとTPIのモル比1:0.5の混合物)は、FTDとして75、150mg/kg/dayとなるように調製した。レゴラフェニブ・1水和物は、10、50mg/kg/dayとなるように調製した。FTD・TPI配合剤はDay1−14に1日2回連日経口投与した。レゴラフェニブ・1水和物はDay1−14に1日1回連日経口投与した。併用投与群は、単剤投与群と同じ投与量及び投与スケジュールでFTD・TPI配合剤とレゴラフェニブ・1水和物を投与した。
抗腫瘍効果の指標をRTVで示すために、Day0、4、7、11、15、18、22、25、29をTV測定日とし、その際の各群のTVを算出し、下式によりDay0に対する相対腫瘍体積(RTV)を求めた。
Figure 2015199676
上記RTVを各測定日についてプロットし、無処置群、FTD・TPI配合剤投与群、レゴラフェニブ・1水和物投与群およびFTD・TPI配合剤とレゴラフェニブ・1水和物投与群のRTVの経日的推移を比較した。Day29におけるRTVの無処置群および単剤投与群の結果を表3に示す。なお、表中のFTD・TPI配合剤はヒトにおける換算した投与量であり、レゴラフェニブ・1水和物も同様である。
Figure 2015199676
また、併用投与群の結果を表4に示す。RTVにおいて、併用投与による効果増強作用の有無は、閉手順(Closed testing procedure;Intersection−Union Test)により、各々の比較で得られる有意確率の最大値(Overall maximal P)が0.01 未満であった場合に、抗腫瘍効果増強作用ありと判定した。表中RTVの「#」は上記の有意確率の最大値が0.01以下であったことを示す。
なお、表中の「レゴラフェニブモル比」とは、各群におけるFTD・TPI配合剤(FTDとTPIのモル比1:0.5の混合物)とレゴラフェニブ・1水和物をヒト投与量に換算し、その際のFTD1当量に対するレゴラフェニブの当量数である。参考例のとおり、FTD・TPI配合剤のFTD投与量について、マウスにおける150mg/kg/dayがヒトにおける70mg/m2/dayに相当する。それを、ヒト体表面積1.6m2で乗じて、112mg/body/dayと換算した。即ち、FTD・TPI配合剤について、FTDマウス投与量(mg/kg/day)に0.747を乗じれば、FTDヒト投与量(mg/body/day)が算出される。
また、参考例のとおり、レゴラフェニブ・1水和物の投与量について、マウスにおける50mg/kg/dayがヒトにおける166mg/body/dayに相当する。即ち、レゴラフェニブ・1水和物マウス投与量(mg/kg/day)に3.32を乗じれば、レゴラフェニブ・1水和物ヒト投与量(mg/body/day)が算出され、FTDとレゴラフェニブ・1水和物のヒト投与量の単位を「mg/body/day」に合わせることができる。これらの計算結果より、ヒトにおけるFTD1当量に対するレゴラフェニブの当量数を「レゴラフェニブモル比」として、表中に記載した。なお、表中のFTD・TPI配合剤はヒトにおける換算した投与量であり、レゴラフェニブ・1水和物も同様である。
Figure 2015199676
また、RTVの経日的変化の結果を図1〜4に示す。なお、ヒト大腸癌由来株(COLO205)だけでなく、ヒト大腸癌由来株(SW620)においても、同様の試験を行い、上記の抗腫瘍効果増強作用を確認することができた。
次に、腫瘍増殖遅延効果を確認した(Clin Cancer Res.2000;6(2):701−8.;J Radiat Res.2007;48(3):187−95.;Invest New Drugs.2008;26(1):1−5.;J Radiat Res.2011;52(5):646−54.) 。腫瘍体積がDay0の時から1.5倍に大きくなる(即ち、RTVが1.5になる)までの期間を図1〜4の単剤投与群から併用投与群の結果を予測した。表5に単剤投与群の「RTVが1.5に実際に到達した日数」をまとめた。「RTVが1.5に実際に到達した日数」は、RTVが最初に1.5を超えた測定日とその直前の測定日のRTVが一次関数に従って推移していると仮定して、算出した。なお、表中のFTD・TPI配合剤はヒトにおける換算した投与量であり、レゴラフェニブ・1水和物も同様である。
Figure 2015199676
表6に併用投与群のRTVが1.5に到達するのに「期待される日数」とRTVが1.5に到達した「実際の日数」をまとめた。なお、表中のFTD・TPI配合剤はヒトにおける換算した投与量であり、レゴラフェニブ・1水和物も同様である。
Figure 2015199676
FTD・TPI配合剤が75mg/kg/day、レゴラフェニブが10mg/kg/dayの併用投与群では、それぞれの単剤投与群におけるRTVが1.5に到達した「実際の日数」は1.8日間と6.3日間であった。よって、FTD/TPI配合剤とレゴフェニブの作用効果が拮抗しないと仮定した場合、併用投与群ではその期間の合計である8.1日間が、RTVが1.5に到達するのに「期待される日数」である。しかし、驚くべきことに、RTVが1.5に到達した「実際の日数」は21.4日間であった。
同様にFTD・TPI配合剤が75mg/kg/day、レゴラフェニブが50mg/kg/dayの併用投与群では、RTVが1.5に到達するのに「期待される日数」が19.2日間であったが、「実際の日数」は26.7日であった。加えて、FTD・TPI配合剤が150mg/kg/day、レゴラフェニブが10mg/kg/dayの併用投与群では、RTVが1.5に到達するのに「期待される日数」が8.5日間であったが、「実際の日数」は26.9日という結果であった。更に、FTD・TPI配合剤が150mg/kg/day、レゴラフェニブが50mg/kg/dayの併用投与群では、RTVが1.5に到達するのに「期待される日数」が19.6日間であったが、「実際の日数」は29日以上という結果であった。
なお、各群における体重変化はDay0〜29の期間において−20%よりも低くなることはなかった。
以上から、FTD・TPI配合剤とレゴラフェニブを併用した際に、副作用の発生を許容範囲内に抑えたまま、期待される効果を超える顕著な腫瘍増殖遅延効果が見られた。
また、大腸癌株SW620を用いた抗腫瘍効果試験でも、同様の効果が確認された。

Claims (15)

  1. トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤と、レゴラフェニブを併用投与することを特徴とする抗腫瘍剤。
  2. トリフルリジン1モルあたりに対して、レゴラフェニブが0.175〜1.76モルである請求項1記載の抗腫瘍剤。
  3. トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤のトリフルリジンの投与日における1日投与量が、単独で投与する場合における推奨用量の50〜100%である請求項1又は2記載の抗腫瘍剤。
  4. トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤のトリフルリジンの投与日における1日投与量が35〜70mg/m2/dayである請求項1〜3のいずれか1項の抗腫瘍剤。
  5. レゴラフェニブの投与日における1日投与量が、単独で投与する場合における最大耐量の20〜100%である請求項1〜4のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
  6. レゴラフェニブの投与日における1日投与量が32〜160mg/body/dayである請求項1〜5のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
  7. 対象となる癌が、消化器癌である請求項1〜6のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
  8. 対象となる癌が、大腸癌である請求項1〜7のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
  9. レゴラフェニブの抗腫瘍効果を増強するための、トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤からなる抗腫瘍効果増強剤。
  10. トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤の抗腫瘍効果を増強するための、レゴラフェニブからなる抗腫瘍効果増強剤。
  11. レゴラフェニブを投与された癌患者を治療するための、トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤からなる抗腫瘍剤。
  12. トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤を投与された癌患者を治療するための、レゴラフェニブからなる抗腫瘍剤。
  13. レゴラフェニブと併用することを特徴とする、トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤からなる抗腫瘍剤。
  14. トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤と併用することを特徴とする、レゴラフェニブからなる抗腫瘍剤。
  15. トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤と使用説明書を含むキット製剤。
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