JP2015199615A - 車両用ウィンドシールドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、脱気工程でシワの発生を抑制することが可能な車両用ウィンドシールドの製造方法を得ることを目的とした。
【解決手段】予め接着性樹脂中間膜と、125〜150℃における熱収縮率が0.5〜5%で厚みが30〜200μmの遮熱性フィルムとを重ねて全面を接着し一体化させた積層フィルムを、2枚の曲面形状のガラス板の間に積層する工程1、該工程1の後に該積層フィルムとガラス板との間を脱気する工程2、該工程2の後に加圧しながら最高温度が125〜150℃の範囲内となるように加熱することにより加熱圧着して車両用ウィンドシールドとする工程3、を有する車両用ウィンドシールドの製造方法において、前記工程2において前記積層フィルムの硬さが0.45kgf以上であることを特徴とする車両用ウィンドシールドの製造方法。
【選択図】図4
【解決手段】予め接着性樹脂中間膜と、125〜150℃における熱収縮率が0.5〜5%で厚みが30〜200μmの遮熱性フィルムとを重ねて全面を接着し一体化させた積層フィルムを、2枚の曲面形状のガラス板の間に積層する工程1、該工程1の後に該積層フィルムとガラス板との間を脱気する工程2、該工程2の後に加圧しながら最高温度が125〜150℃の範囲内となるように加熱することにより加熱圧着して車両用ウィンドシールドとする工程3、を有する車両用ウィンドシールドの製造方法において、前記工程2において前記積層フィルムの硬さが0.45kgf以上であることを特徴とする車両用ウィンドシールドの製造方法。
【選択図】図4
Description
本発明は、車両用ウィンドシールドの製造方法に関する。
車両用ウィンドシールドは2枚の曲面形状のガラス板をポリビニルブチラール樹脂等の接着性樹脂中間膜で接着した合わせガラスであり、近年、該接着性樹脂中間膜の中に遮熱性フィルムを保持させることにより、車両に遮熱性を付与したウィンドシールドが提案されている。
上記の遮熱性を付与する方法としては、遮熱性を発揮する遮熱膜を基材フィルム上に成膜した遮熱性フィルムとし、そのような遮熱性フィルムを接着性樹脂中間膜間に挟みこむことが一般的である。基材フィルムは剛性があるので、遮熱性フィルムは平面状である。一方で、前述したように車両用ウィンドシールドは曲面形状のガラス板を用いるため、上下2枚の曲面形状のガラス板の下側のガラス板の曲面上に密着させて積層する際に、接着性樹脂中間膜間に挟みこんだ遮熱性フィルムが脱気工程でこの曲面形状に追従できず、車両用ウィンドシールドを製造する際の加熱圧着工程で遮熱性フィルムの周縁部にシワを生じてしまうという問題があった。
上記のシワは接着性間に挟み込んだ遮熱性フィルムの周縁部が脱気工程や加熱圧着工程でたわむことによって生じることから、このたわみを生じさせないために様々な検討が行われている。
特許文献1は、2枚の接着性樹脂中間膜間に熱線反射フィルムを挟み、予めその端部のみをラミネートしたものを締付手段にて固定することによって、積層工程や脱気工程におけるシワの発生を抑制することを開示している。
また、特許文献2は、PET等の樹脂フィルムを湾曲した曲面ガラス間に密着させて積層する際、曲面ガラスの周縁部にシワが発生するという課題を解決するために、該樹脂フィルム層の周縁部に複数の欠陥部を設けた合わせガラスを開示している。該欠陥部を設けることにより、該樹脂フィルムの変形を容易とし、曲面形状への追従性を向上させている。
また、例えば特許文献3は、予め接着性樹脂中間膜間にコレステリック液晶相からなる遮熱層を形成した積層体を用いることを開示している。当該文献によると、積層体は接着性樹脂中間膜間に液晶相を形成した後、該液晶相の基材として用いたフィルムを取り去っており、シワが発生する剛性のある部材そのものを除去している。
例えば本出願人は、特許文献4、5において開示されているとおり、積層フィルムとガラス板とを積層する工程、脱気する工程をそれぞれ15〜25℃の範囲内で行うことにより積層工程及び脱気工程で発生するシワを抑制する方法に関する発明を特許出願している。
前述した車両用ウィンドシールドの中でも、特に自動車やコンパクトカー等はデザイン性の向上や開口部面積の増加が要求されているため、従来よりも曲面の曲がり方が大きくなりつつある。車両用ウィンドシールドの曲がり方が大きくなると、ガラス板と遮熱性フィルムとを積層後に脱気する際、ガラス板の各辺の中央部において、該遮熱性フィルムが曲面に追従できずにたわみ、その結果遮熱性フィルムの周縁部にシワが発生し易くなる。脱気時にシワが発生すると、その後の加熱圧着工程においてもシワが残留してしまう為、脱気時のシワの発生を抑制することが要求されている。
本出願人は、特許文献4、5に示すように、脱気工程で遮熱性フィルムの温度を10〜25℃の温度範囲として脱気する方法を提案したが、車両用ウィンドシールドの曲面の曲がり方がより大きくなると、上記の温度範囲であっても遮熱性フィルムの周縁部のシワの発生を抑制できない場合があることが分かった。
従って、本発明は、脱気工程で遮熱性フィルムの周縁部にシワの発生を抑制することが可能な車両用ウィンドシールドの製造方法を得ることを目的とした。
本発明の課題とするシワの例を図1の写真に示した。図1は遮熱性フィルムの周縁部の拡大写真であり、写真下部の黒色の帯部分は通常自動車の車両用ウィンドシールドの周縁部に施される黒色セラミックカラー層である。図1より、シワが遮熱性フィルムの周縁部の発生し、シワが発生している部分は遮熱フィルムが寄り集まっており、その結果透過像が歪み視認性を大きく損なってしまうことがわかる。
本発明は、予め接着性樹脂中間膜と、125〜150℃における熱収縮率が0.5〜5%で厚みが30〜200μmの遮熱性フィルムとを重ねて全面を接着し一体化させた積層フィルムを、2枚の曲面形状のガラス板の間に積層する工程1、
該工程1の後に該積層フィルムとガラス板との間を脱気する工程2、
該工程2の後に加圧しながら最高温度が125〜150℃の範囲内となるように加熱することにより加熱圧着して車両用ウィンドシールドとする工程3、を有する車両用ウィンドシールドの製造方法において、
前記曲面形状のガラス板が、h/k>l/mの時、0.30≦(l/m)/(h/k)≦0.80、又は、h/k<l/mの時、0.30≦(h/k)/(l/m)≦0.80(m:ガラス板の縦方向の辺の長さの最大値、h:ガラス板の曲げ深さの最大値、k:ガラス板の横方向の辺の長さの最大値、l:ガラス板のダブリの最大値)を満たすものであり、
前記工程2において、以下の測定方法で測定される前記積層フィルムの硬さが0.45kgf以上であることを特徴とする車両用ウィンドシールドの製造方法である。
工程A:前記積層フィルムを切断して短冊状試験片を作製し、該短冊状試験片を該工程2の脱気時の温度にする工程、
工程B:該工程Aで得られた該短冊状試験片を平坦な台上に水平に置いて折り曲げ、該短冊状試験片の両端部A、Bを重ねる工程、
工程C:該工程Bで重ねた両端部A、Bから一定の距離の点Cにおいて、垂直下向きに荷重測定器の荷重を該短冊状試験片に加える工程、
工程D:該点Cの垂直線上で試験片が重なったときに加えた荷重を測定し、該荷重の大きさを硬さとする工程。
該工程1の後に該積層フィルムとガラス板との間を脱気する工程2、
該工程2の後に加圧しながら最高温度が125〜150℃の範囲内となるように加熱することにより加熱圧着して車両用ウィンドシールドとする工程3、を有する車両用ウィンドシールドの製造方法において、
前記曲面形状のガラス板が、h/k>l/mの時、0.30≦(l/m)/(h/k)≦0.80、又は、h/k<l/mの時、0.30≦(h/k)/(l/m)≦0.80(m:ガラス板の縦方向の辺の長さの最大値、h:ガラス板の曲げ深さの最大値、k:ガラス板の横方向の辺の長さの最大値、l:ガラス板のダブリの最大値)を満たすものであり、
前記工程2において、以下の測定方法で測定される前記積層フィルムの硬さが0.45kgf以上であることを特徴とする車両用ウィンドシールドの製造方法である。
工程A:前記積層フィルムを切断して短冊状試験片を作製し、該短冊状試験片を該工程2の脱気時の温度にする工程、
工程B:該工程Aで得られた該短冊状試験片を平坦な台上に水平に置いて折り曲げ、該短冊状試験片の両端部A、Bを重ねる工程、
工程C:該工程Bで重ねた両端部A、Bから一定の距離の点Cにおいて、垂直下向きに荷重測定器の荷重を該短冊状試験片に加える工程、
工程D:該点Cの垂直線上で試験片が重なったときに加えた荷重を測定し、該荷重の大きさを硬さとする工程。
本発明は、曲面形状のガラス板が、h/k>l/mの時、0.30≦(l/m)/(h/k)≦0.80、又は、h/k<l/mの時、0.30≦(h/k)/(l/m)≦0.80(m:ガラス板の縦方向の辺の長さの最大値、h:ガラス板の曲げ深さの最大値、k:ガラス板の横方向の辺の長さの最大値、l:ガラス板のダブリの最大値)を満たすものである。なお、本発明の「ダブリ」とは、ガラス板の横方向における、対向する2辺のそれぞれの中点を結んだ線に対して、該ガラス板の面から引いた垂直線の値を指すものとする。また、h/k=l/mの時は球面形状であり、(h/k)/(l/m)=1となる為、曲がり方が大きくなりシワの抑制が不十分となることがある。
本発明の積層フィルムの硬さの測定方法を図2を参照しながら説明する。
まず、図2の(1)に示したように、積層フィルムを長さ200mm、幅50mmにカットした積層フィルム片を準備し、所定温度に調整した雰囲気下に放置し、該積層フィルムの温度がほぼ一定となるようにした。温度を調整した該積層フィルム片を平坦な台上に水平に置き、該積層フィルム片の長さ方向の一方の端部(端部A)を固定した。
次に、図2の(2)に示したように、該積層フィルム片の固定していないもう一方の端部(端部B)を持ち、折り目がつかないように該積層フィルム片を湾曲させて、該端部Aと該端部Bとを重ねた。また、該端部Aと重ねた後、該端部Bは固定しないものとする。
次に、図2の(3)に示したように、該端部Bから80mmの位置(図2では点C)を、該積層フィルムの上から垂直下向きに荷重を加えた。荷重は荷重測定器(アイコーエンジニアリング株式会社製、名称:RX−20、型番:E00302)を用いて加えた。該点Cの垂直線上で積層フィルムが重なったところで力を加えるのをやめ、その時に加えた力を測定した。測定は5回行い、その平均値を硬さとした。
前記積層フィルムは、接着性樹脂中間膜と遮熱性フィルムとを重ねて接着し予め一体化したフィルムである。一体化した積層フィルムは、上記の接着性樹脂中間膜と遮熱性フィルムを重ね、脱気を行った後、フィルム全面を50〜80℃程度で加熱し接着を行うことにより得られる。上記のように予め一体化させた積層フィルムを用いることにより、一体化していないフィルムを積層した場合よりも、フィルムの剛性が高い状態で取り扱うことが可能となるため、脱気時に安定して積層フィルムの硬さを0.45kgf以上とすることができる。
前記曲面形状のガラス板は、三次元形状に湾曲しており、凹面と凸面とを有する。車両用のウィンドシールドに用いるガラス板は、通常車内側が凹面になる。前記工程1において、ガラス板と積層フィルムを積層する際は、車内側ガラス板の凹面を下とし、該ガラス板の凸面上に積層フィルム、車外側ガラス板の順で積層を行う。
前記工程2は、積層フィルムの硬さが前記測定法で0.45kgf以上となるようにした後、該積層フィルムとガラス板との間を脱気する。積層フィルムとガラス板との間を脱気する際に遮熱性フィルムの周縁部にシワが生じると、その後の工程でも発生したシワが解消されることがないため不良品となってしまう。該積層フィルムの硬さを0.45kgf以上とする方法としては、例えば該積層フィルムの温度を下げる、遮熱性フィルムの厚みを厚くする、積層フィルムの厚みを厚くする等が挙げられるが、積層フィルムの温度を下げる方法が簡便に利用できるため好ましい。
本発明により、脱気工程で遮熱性フィルムの周縁部にシワの発生を抑制することが可能な車両用ウィンドシールドの製造方法を得ることができる。
本発明は、予め接着性樹脂中間膜と、125〜150℃における熱収縮率が0.5〜5%で厚みが30〜200μmの遮熱性フィルムとを重ねて全面を接着し一体化させた積層フィルムを、2枚の曲面形状のガラス板の間に積層する工程1、
該工程1の後に該積層フィルムとガラス板との間を脱気する工程2、
該工程2の後に加圧しながら最高温度が125〜150℃の範囲内となるように加熱することにより加熱圧着して車両用ウィンドシールドとする工程3、を有する車両用ウィンドシールドの製造方法において、
前記曲面形状のガラス板が、h/k>l/mの時、0.30≦(l/m)/(h/k)≦0.80、又は、h/k<l/mの時、0.30≦(h/k)/(l/m)≦0.80(m:ガラス板の縦方向の辺の長さの最大値、h:ガラス板の曲げ深さの最大値、k:ガラス板の横方向の辺の長さの最大値、l:ガラス板のダブリの最大値)を満たすものであり、
前記工程2において、以下の測定方法で測定される前記積層フィルムの硬さが0.45kgf以上であることを特徴とする車両用ウィンドシールドの製造方法である。
工程A:前記積層フィルムを切断して短冊状試験片を作製し、該短冊状試験片を該工程2の脱気時の温度にする工程、
工程B:該工程Aで得られた該短冊状試験片を平坦な台上に水平に置いて折り曲げ、該短冊状試験片の両端部A、Bを重ねる工程、
工程C:該工程Bで重ねた両端部A、Bから一定の距離の点Cにおいて、垂直下向きに荷重測定器の荷重を該短冊状試験片に加える工程、
工程D:該点Cの垂直線上で試験片が重なったときに加えた荷重を測定し、該荷重の大きさを硬さとする工程。
該工程1の後に該積層フィルムとガラス板との間を脱気する工程2、
該工程2の後に加圧しながら最高温度が125〜150℃の範囲内となるように加熱することにより加熱圧着して車両用ウィンドシールドとする工程3、を有する車両用ウィンドシールドの製造方法において、
前記曲面形状のガラス板が、h/k>l/mの時、0.30≦(l/m)/(h/k)≦0.80、又は、h/k<l/mの時、0.30≦(h/k)/(l/m)≦0.80(m:ガラス板の縦方向の辺の長さの最大値、h:ガラス板の曲げ深さの最大値、k:ガラス板の横方向の辺の長さの最大値、l:ガラス板のダブリの最大値)を満たすものであり、
前記工程2において、以下の測定方法で測定される前記積層フィルムの硬さが0.45kgf以上であることを特徴とする車両用ウィンドシールドの製造方法である。
工程A:前記積層フィルムを切断して短冊状試験片を作製し、該短冊状試験片を該工程2の脱気時の温度にする工程、
工程B:該工程Aで得られた該短冊状試験片を平坦な台上に水平に置いて折り曲げ、該短冊状試験片の両端部A、Bを重ねる工程、
工程C:該工程Bで重ねた両端部A、Bから一定の距離の点Cにおいて、垂直下向きに荷重測定器の荷重を該短冊状試験片に加える工程、
工程D:該点Cの垂直線上で試験片が重なったときに加えた荷重を測定し、該荷重の大きさを硬さとする工程。
本発明の積層フィルムは、接着性樹脂中間膜を2枚用いる場合は、使用する接着性は同じでも異なる種類のものでもよい。該接着性樹脂中間膜と遮熱性フィルム間に接着性を良くするためにシランカップリング材等の表面処理剤を施してもよい。
前記の接着性樹脂中間膜は、ポリビニルブチラール(PVB)やエチレンビニルアセテート(EVA)などのホットメルトタイプの接着剤を好適に用いることができる。接着性樹脂中間膜には、その一部が着色したもの、遮音機能を有する層をサンドイッチしたもの、厚さに傾斜があるもの、表面にエンボス加工が処理されたものなどが使用できる。また、該接着性樹脂中間膜に紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、着色剤、接着調整剤を適宜添加配合したものでも良く、特に近赤外線を吸収する微粒子を分散させたものは、高性能な車両用ウィンドシールドを作製する上でより好ましく利用できる。また、本発明において使用する該接着性樹脂中間膜の厚みは一般的に利用される0.3〜1.0mmのものを用いればよいがこの厚みに限定されるものではない。
前記の遮熱性フィルムは、125〜150℃の温度範囲における熱収縮率が0.5〜5%の範囲内のものを用いる。該熱収縮率の測定は、熱収縮率はJIS C 2318に準じ、次のようにして測定した。
まず長さ150mm×幅40mmの短冊状の遮熱性フィルムを切り出し、それぞれの幅方向の中央付近に、約100mmの距離をおいて、ダイヤモンドペンを用いて、標線を標した。標線を標した後、上記の短冊状の遮熱性フィルムを、150mm×20mmに2等分した。
次に、2等分した片方の試験片を、熱風循環式恒温槽内に垂直に吊り下げ、昇温速度約5℃/分で測定温度の125〜150℃の温度範囲内となるように昇温し、測定温度で約20分間保持した。その後、熱風循環式恒温槽を大気開放し約20℃/分で自然冷却し、さらに、室温で30分間保持した。この時温度の測定には熱電対温度計を用い、熱風循環式恒温槽内の温度分布は±1℃以内とした。
2等分した試験片の、室温で保持していた試験片と、測定温度に加熱した試験片とを、それぞれについて標線間の距離L1、L2を走査型レーザー顕微鏡(レーザーテック社製、1LM21D)を用いて測定した。熱収縮率(%)は、(L1−L2)×100/L1で計算して求めた。
また、フィルムの流れ方向(以下MD方向と記載することもある)、幅方向(以下TD方向と記載することもある)それぞれに対し3枚ずつ切り出し、3枚について測定した熱収縮率の平均値を本発明の熱収縮率として用いた。
また、本発明で使用した遮熱性フィルムは、MD方向及びTD方向の熱収縮率が0.5〜5.0%の範囲内となる。熱収縮率が0.5%未満だと、工程3の加熱圧着時にガラスの周縁部にシワが発生してしまい、5.0%を超えると過剰に収縮が生じてしまい、ガラス周縁部に欠陥が生じる。
本発明に用いる遮熱性フィルムは、熱収縮性の基材フィルムの表面又は両面に遮熱機能を有する膜や層を形成したものでも、上記のような基材フィルムを使用せず、遮熱機能を有する薄いフィルムを積層した積層フィルムや、薄いフィルムを複数積層して遮熱性を持たせた積層フィルム、遮熱機能を有する物質を内部に含有させたフィルム等を用いてもよい。
遮熱性フィルムに前記基材フィルムを用いる場合、該基材フィルムとしては熱収縮するフィルムであればよく、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルスルフォン、ナイロン、ポリアリレート、及びシクロオレフィンポリマー等が挙げられる。特に2軸延伸法で製膜される結晶性のポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)は、耐熱性にも優れていて広範囲の温度環境に使用することができ、また、透明性が高く、大量に生産されているために品質も安定しており好適である。上記の基材フィルムの熱収縮性を得る方法としては、例えば原料フィルムをガラス転移温度よりも高い温度で2軸延伸し、熱固定処理を行う方法が挙げられる。
上記の遮熱機能を有する膜や層としては、合わせ加工時に著しく劣化せず、遮熱機能を有しているものであれば特に限定されないが、例えば屈折率の異なる2種類以上の誘電体薄膜を積層してなる多層膜、偏光性を有する液晶層の積層膜、及び金属膜や金属膜の積層膜等が挙げられる。また、上記のうち、誘電体薄膜を積層してなる多層膜や液晶層の積層膜等は、厚みや材質を選択すれば基材フィルムを使用しなくとも、好適に利用することが可能である。
なお、基材フィルムの表面に膜を形成した場合、基材フィルムの厚さや熱収縮率によっては、膜割れが発生したり、遮熱性フィルムに熱を加えるとバイメタル効果によって遮熱性フィルムがカールすることがある。カールは遮熱性フィルムの品質上は問題とならないが、取り扱いに支障をきたすことがある。上記の膜割れを抑制するためには、膜と基材フィルムとの間に接着剤を用いるのが好ましく、カールを抑えるためには、基材フィルムの両面に膜や層を形成するのが好ましい。この時形成する膜は、遮熱機能を有するものでも、遮熱機能を持たない密着性を改善する為のシランカップリング剤の層等でもよい。
また、基材フィルムを使用しない場合は、屈折率の異なるポリマー薄膜を交互に多数積層してなる樹脂多層フィルムを好適に用いることができる。該樹脂多層フィルムは該ポリマー薄膜の屈折率と厚みを調整することにより、反射する光の波長を選択することが可能である。赤外線領域の波長を反射させるように設計を行うことで、該樹脂多層フィルムを遮熱フィルムとして用いることが可能である。該ポリマー薄膜の積層数は例えば40〜200層としてもよい。該ポリマー薄膜には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデンとポリメチルメタクリレートの混合物、エチレンと不飽和モノカルボン酸とのコポリマー、及びスチレンとメチルメタクリレートのコポリマー等から選んで好適に用いることができる。上記多層フィルムは機械的強度、熱収縮特性、耐薬品性、透明性等の改善を目的として、必要に応じて延伸加工することもできるため、熱収縮性を有するフィルムとして好適に用いることができる。
また、上記の遮熱性フィルムの厚みは30〜200μmの範囲内である。厚みが上記範囲から外れると製造工程において脱気不良が生じたり、得られる車両用ウィンドシールドの透視像が歪み易くなることがある。
当該積層フィルムは、硬さを前記測定法で0.45kgf以上とした後に脱気を行う。該硬さが0.45kgf未満のとき脱気時の遮熱性フィルムの周縁部のシワの抑制が不十分となり、また、上限は特に限定する必要はないが、例えば1.5kgf以下としてもよい。硬さが1.5kgfを超えるとガラス板の曲面形状への追従性が低下し、脱気が不十分となる可能性がある。また、0.50kgf以上とするとより安定して脱気時のシワを抑制することが可能であるため好ましい。
尚、本発明に使用する前記積層フィルムは、接着性樹脂中間膜を1枚用いて遮熱性フィルムと一体化させた場合の厚みが0.33〜1.2mmの範囲内、接着性樹脂中間膜を2枚用いて遮熱性フィルムと一体化させた場合の厚みが0.63〜2.2mmの範囲内であるものを用いるのが好ましい。車両用ウィンドシールドは運転者の視野を妨げない事が要求される為、前述した遮熱性フィルムと同様、視認性を損なわないように積層フィルムが必要以上に厚くならない事が望ましい。
前記ガラス板は、曲面形状を有するガラス板である。該曲面形状は三次元的に予め曲げられた凸面側と凹面側を有するガラス板であり、特に横方向及び縦方向の両方向の曲げが深い形状や、局所的に曲率半径が小さくなっている曲面形状といった、シワの抑制が困難となり易い形状のガラス板に好適に利用できる。尚、横方向とは該ガラス板を車体に設置した時の車幅の方向であり、縦方向とは車高の方向を指すものとする。
本発明は、前記曲面形状のガラス板が、h/k>l/mの時、0.30≦(l/m)/(h/k)≦0.80、又は、h/k<l/mの時、0.30≦(h/k)/(l/m)≦0.80(m:ガラス板の縦方向の辺の長さの最大値、h:ガラス板の曲げ深さの最大値、k:ガラス板の横方向の辺の長さの最大値、l:ガラス板のダブリの最大値)を満たすものである。
上記の曲面形状について、図3を参照しながら以下に説明する。図3の(a)、(b)はガラス板2を斜めから見た時の模式図、(c)はガラス板を正面から見た時の模式図であり、A−A′方向が前述した横方向、B−B′方向を前述した縦方向とする。また、mはガラス板の縦方向の辺の最大長さ、kはガラス板の横方向の辺の最大長さである。縦方向及び横方向から見た時、ガラス板2の面は一方向へ突出する形状となる。
図3の(a)を用いてガラス板のダブリを説明する。ガラス板のダブリは、横方向の対向する2辺のそれぞれの中点を結んだ線(図中では線分β)に対して、該ガラス板の面から引いた垂直線の値を指し、前記lは該ダブリの最大値である。
図3の(b)を用いてガラス板の曲げ深さを説明する。ガラス板の曲げ深さは、縦方向の対向する2辺のそれぞれの任意の点を結んだ線(図中では線分α)に対して、該ガラス板の面から引いた垂直線の値を指し、前記hは該曲げ深さの最大値である。また図3の(c)に示したように、該線分αは、該ガラス板を正面から見た時に前述した線分βと直交する。
本発明のように三次元的に曲がった曲面形状の場合、縦方向の曲げの深さと横方向の曲げの深さの双方の値が脱気時のシワの発生し易さに影響を与える。前記値が0.30未満のガラス板は二次元的に曲げられた形状に近付くため、従来の方法で脱気時のシワの発生を抑制することが可能である。また、前記値が0.80を越えるとシワの発生が不十分となることがある。前記値は、好ましくは0.40以上、0.70以下としてもよい。
本発明の工程1は、車内側ガラス板、積層フィルム、車外側ガラス板と、順次積層を行う工程である。この時、前述したように車内側ガラス板の凸面上に積層を行うと、積層フィルムがガラスの曲面に対して張った状態で積層されるため、好ましい。
工程2は、工程1で積層した各部材間を脱気する工程である。脱気前に、積層フィルムの硬さが0.45kgf以上となるように調整を行う。この時、積層フィルムは温度が低下すると硬さが上昇するため、具体的には該積層フィルムの温度を低下させることによって調整を行うのが好適である。該ガラス板の表面からエアーを吹き付けたり、温度を調整した環境下に放置することによって該積層フィルムの温度を調整することが可能となる。
積層フィルムの硬さの調整を行った後、工程1で積層した各部材間を脱気する。脱気は積層した部材をロール間に通して脱気する方法でも、ゴム系の樹脂でできたチューブをガラス板の周辺に装着し排気ノズルから空気を排気して脱気する方法でも、真空バッグの中に積層した部材を入れて、排気ノズルから空気を排気することにより脱気する方法でもよい。
また、前記積層フィルムが、2枚の接着性樹脂中間膜の間に1枚の前記遮熱性フィルムを重ねて全面を接着し一体化させたものであると、より硬さが向上するため好適である。
上記の工程2の後、工程3の加熱圧着工程を行う前に、80〜90℃で30〜50分間予備加熱を行ってもよい。該予備加熱を行うことによって仮接着し、ガラスとPVB、遮熱性フィルムとPVBとの間に残っている空気を追い出し、後の加熱圧着工程を良好なものとする事が可能であるため好適である。
工程3は、加熱圧着を行い車両用ウィンドシールドを得る工程である。当該工程はオートクレーブを用いて加圧と加熱を行うのが好ましい。オートクレーブを用いる場合、該オートクレーブ内の最高温度が125〜150℃の範囲内となるまで上昇させた後、20〜40分間該温度を維持させることにより車両用ウィンドシールドを得ることが可能となる。この時、0.9〜1.5MPaの圧力範囲内となるように加圧を行う。また、加圧と加熱は同時に行っても加圧した後に加熱を行っても、加熱した後に加圧を行ってもよい。
また、前記工程1の前に、前記積層フィルムを芯材に巻きロール状積層フィルムとした後、該ロール状積層フィルムを6〜8℃にする工程、6〜8℃の該ロール状積層フィルムから積層フィルムを引き出し、所定形状にカットする工程、所定形状の該積層フィルムを10〜25℃にする工程、を有し、前記工程1において、該積層フィルムを、該積層フィルムの巻内側が車内側となるように曲面形状のガラス板に積層するのが好ましい。ロール状積層フィルムとすることによって遮熱性フィルム表面をやや張った状態とし、脱気時の遮熱性フィルムの周縁部のシワを抑制する効果が期待できる。また、2枚の接着性樹脂中間膜の間に遮熱性フィルムを積層した3枚のフィルムを一体化させた積層フィルムの場合、剛性が高いため、ロール状積層フィルムとして予め変形を加えておくと、より効果的に遮熱性フィルム表面にテンションを加えることが期待できるため好ましい。
本実施例及び比較例で使用したフィルムを以下に記載する。尚、下記遮熱性フィルムa、bの弾性率は、該遮熱性フィルムを長さ75mm、幅50mmに切断したフィルム片を用いて、片持ち支持梁方式により測定を行った値である。
接着性樹脂中間膜:PVBフィルム(厚み:0.38mm)
遮熱性フィルムa:屈折率の異なるポリエチレンテレフタレートを積層した多積層フィルム(総厚み:0.106mm、熱収縮率:2.4%(150℃)、弾性率:340MN/mm2(20℃))
遮熱性フィルムb:屈折率の異なるポリエチレンテレフタレートを積層した多積層フィルム(総厚み:0.069mm、熱収縮率:3.1%(150℃)、弾性率:370MN/mm2(20℃))
遮熱性フィルムa:屈折率の異なるポリエチレンテレフタレートを積層した多積層フィルム(総厚み:0.106mm、熱収縮率:2.4%(150℃)、弾性率:340MN/mm2(20℃))
遮熱性フィルムb:屈折率の異なるポリエチレンテレフタレートを積層した多積層フィルム(総厚み:0.069mm、熱収縮率:3.1%(150℃)、弾性率:370MN/mm2(20℃))
(1)積層フィルムの硬さ評価
以下の方法で使用するフィルムの硬さを測定し表1、図4に記載した。表1のNo.1及びNo.4は予め3層を一体化させた3層からなる積層フィルム、No.2は予め2層を一体化させた2層からなる積層フィルム、No.3及びNo.5は3層を積層して一体化させていない3枚のフィルムである。
以下の方法で使用するフィルムの硬さを測定し表1、図4に記載した。表1のNo.1及びNo.4は予め3層を一体化させた3層からなる積層フィルム、No.2は予め2層を一体化させた2層からなる積層フィルム、No.3及びNo.5は3層を積層して一体化させていない3枚のフィルムである。
まず、フィルムを長さ200mm、幅50mmにカットした測定用フィルム片を準備し、所定温度に調整した雰囲気下に放置し、該測定用フィルムの温度がほぼ一定となるようにした。温度を調整した該測定用フィルム片を水平に置き、該積層フィルム片の長さ方向の一方の端部を固定した。
次に、該測定用フィルム片の固定していないもう一方の端部を持ち、折り目がつかないように該測定用フィルム片を湾曲させて端部同士を重ねた。この時、上になった方の測定用フィルム片の端部は固定しないようにした。
次に、該端部から80mmの位置を該測定用フィルム片の上から垂直下向きに荷重を加えた。荷重は荷重測定器(アイコーエンジニアリング株式会社製、名称:RX−20、型番:E00302)を用いて加えた。荷重を加えた点の垂直線上で測定用フィルム片が重なったところで力を加えるのをやめ、その時に加えた力を測定した。測定は5回行い、その平均値を硬さとした。
表1及び図4より、No.1〜5のいずれのフィルムも温度が上昇するにつれて硬さが低下した。また、NO.1、No.2、及びNo.4の積層フィルムはNo.3及びNo.5の積層していないフィルムよりも硬さが高く、3層を一体化させたNo.1、No.4は、2層を一体化させたNo.2より硬さが高いことがわかった。
(2)車両用ウィンドシールドの製造
前記No.1〜5のフィルムを用いて、以下の方法で車両用ウィンドシールドを製造した。
前記No.1〜5のフィルムを用いて、以下の方法で車両用ウィンドシールドを製造した。
実施例1
ガラス板(k=1370mm、m=1049mm、厚み2mm)を湾曲させた曲面形状のガラス板(h=64.1mm、l=26.1mm、(l/m)/(h/k)=0.53)を2枚用意し、該2枚の曲面形状のガラス板の間に表1のNo.1の積層フィルムを挟んで積層体とした。この時、該ガラス板の凸面上に、該積層フィルムともう1枚のガラス板を順次積層した。
ガラス板(k=1370mm、m=1049mm、厚み2mm)を湾曲させた曲面形状のガラス板(h=64.1mm、l=26.1mm、(l/m)/(h/k)=0.53)を2枚用意し、該2枚の曲面形状のガラス板の間に表1のNo.1の積層フィルムを挟んで積層体とした。この時、該ガラス板の凸面上に、該積層フィルムともう1枚のガラス板を順次積層した。
次に、該積層体を20℃に調整された環境下に約10分間放置して前記の測定法による平均硬さを0.61Kgfに調整した後、該積層体を真空バックで包み、減圧度90kPaで脱気を行った。脱気後に該積層体の外観を目視で観察したところ各ガラス辺の中央付近にシワは観測されなかった。
次に、オートクレーブを用いて130〜135℃の範囲内となるように加熱し、約20分間該温度を維持し加熱圧着を行った。得られた車両用ウィンドシールドについて外観を観察したところ、加熱圧着時においてもシワの発生は見られなかった。
実施例2
脱気前の積層体を25℃に調整された環境下に約10分間放置して前記の測定法による平均硬さを0.49Kgfに調整した他は実施例1と同様の方法で車両用ウィンドシールドを得た。本実施例においても、脱気時及び加熱圧着時のどちらの工程でもシワの発生は見られなかった。
脱気前の積層体を25℃に調整された環境下に約10分間放置して前記の測定法による平均硬さを0.49Kgfに調整した他は実施例1と同様の方法で車両用ウィンドシールドを得た。本実施例においても、脱気時及び加熱圧着時のどちらの工程でもシワの発生は見られなかった。
実施例3
ガラス板の間に挟む積層フィルムを、No.4の積層フィルムにして前記の測定法による平均硬さを0.45Kgfに調整した他は、実施例1と同様の方法で車両用ウィンドシールドを得た。本実施例においても、脱気時及び加熱圧着時のどちらの工程でもシワの発生は見られなかった。
ガラス板の間に挟む積層フィルムを、No.4の積層フィルムにして前記の測定法による平均硬さを0.45Kgfに調整した他は、実施例1と同様の方法で車両用ウィンドシールドを得た。本実施例においても、脱気時及び加熱圧着時のどちらの工程でもシワの発生は見られなかった。
実施例4
ガラス板(k=1370mm、m=1049mm、厚み2mm)を湾曲させた曲面形状のガラス板(h=64.1mm、l=26.1mm、(l/m)/(h/k)=0.53)を2枚用意し、該2枚の曲面形状のガラス板の間に表1のNo.2の積層フィルム及び接着性樹脂中間膜を挟んで積層体とした。この時、該ガラス板の凸面上に、遮熱性フィルム面を上にした該積層フィルム、該接着性樹脂中間膜、及びもう1枚のガラス板を順次積層した。
ガラス板(k=1370mm、m=1049mm、厚み2mm)を湾曲させた曲面形状のガラス板(h=64.1mm、l=26.1mm、(l/m)/(h/k)=0.53)を2枚用意し、該2枚の曲面形状のガラス板の間に表1のNo.2の積層フィルム及び接着性樹脂中間膜を挟んで積層体とした。この時、該ガラス板の凸面上に、遮熱性フィルム面を上にした該積層フィルム、該接着性樹脂中間膜、及びもう1枚のガラス板を順次積層した。
次に、該積層体を18℃に調整された環境下に約10分間放置して前記の測定法による平均硬さを0.47Kgfに調整した後、該積層体を真空バックで包み、減圧度90kPaで脱気を行った。脱気後に該積層体の外観を目視で観察したところシワは観測されなかった。
次に、オートクレーブを用いて130〜135℃の範囲内となるように加熱し、約20分間該温度を維持し加熱圧着を行った。得られた車両用ウィンドシールドについて外観を観察したところ、加熱圧着時においてもシワの発生は見られなかった。
実施例5
ガラス板(k=1314mm、m=872mm、厚み2mm)を湾曲させた曲面形状のガラス板(h=78.0mm、l=20.9mm、(l/m)/(h/k)=0.40)を2枚用いた以外は、実施例1と同様の方法で車両用ウィンドシールドを得た。本実施例においても、脱気時及び加熱圧着時のどちらの工程でもシワの発生は見られなかった。
ガラス板(k=1314mm、m=872mm、厚み2mm)を湾曲させた曲面形状のガラス板(h=78.0mm、l=20.9mm、(l/m)/(h/k)=0.40)を2枚用いた以外は、実施例1と同様の方法で車両用ウィンドシールドを得た。本実施例においても、脱気時及び加熱圧着時のどちらの工程でもシワの発生は見られなかった。
比較例1
ガラス板の間に挟む積層フィルムを、No.2の積層フィルムにして、脱気前の積層体を20℃に調整された環境下に約10分間放置して前記の測定法による平均硬さを0.43Kgfに調整した他は、実施例4と同様の方法で車両用ウィンドシールドを得た。本比較例では、脱気時にシワが発生し、加熱圧着後もシワが残ったままとなった。
ガラス板の間に挟む積層フィルムを、No.2の積層フィルムにして、脱気前の積層体を20℃に調整された環境下に約10分間放置して前記の測定法による平均硬さを0.43Kgfに調整した他は、実施例4と同様の方法で車両用ウィンドシールドを得た。本比較例では、脱気時にシワが発生し、加熱圧着後もシワが残ったままとなった。
比較例2
脱気前の積層体を25℃に調整された環境下に約10分間放置して前記の測定法による平均硬さを0.38Kgfに調整した他は実施例3と同様の方法で車両用ウィンドシールドを得た。本比較例では、脱気時にシワが発生し、加熱圧着後もシワが残ったままとなった。
脱気前の積層体を25℃に調整された環境下に約10分間放置して前記の測定法による平均硬さを0.38Kgfに調整した他は実施例3と同様の方法で車両用ウィンドシールドを得た。本比較例では、脱気時にシワが発生し、加熱圧着後もシワが残ったままとなった。
比較例3
ガラス板の間に挟む積層フィルムとして、No.3の3枚のフィルムを、順次接着性樹脂中間膜、遮熱性フィルム、接着性樹脂中間膜と積層して、20℃に調整された環境下に約10分間放置して前記の測定法による平均硬さを0.29Kgfに調整した他は、実施例1と同様の方法で車両用ウィンドシールドを得た。本比較例では、脱気時にシワが発生し、加熱圧着後もシワが残ったままとなった。
ガラス板の間に挟む積層フィルムとして、No.3の3枚のフィルムを、順次接着性樹脂中間膜、遮熱性フィルム、接着性樹脂中間膜と積層して、20℃に調整された環境下に約10分間放置して前記の測定法による平均硬さを0.29Kgfに調整した他は、実施例1と同様の方法で車両用ウィンドシールドを得た。本比較例では、脱気時にシワが発生し、加熱圧着後もシワが残ったままとなった。
以上より、脱気時の積層フィルムの硬さを前記の測定法において0.45kgf以上に調整することで、シワの発生を抑制できることが明らかとなった。
1 積層フィルム
2 曲面形状のガラス板
2 曲面形状のガラス板
Claims (3)
- 予め接着性樹脂中間膜と、125〜150℃における熱収縮率が0.5〜5%で厚みが30〜200μmの遮熱性フィルムとを重ねて全面を接着し一体化させた積層フィルムを、2枚の曲面形状のガラス板の間に積層する工程1、
該工程1の後に該積層フィルムとガラス板との間を脱気する工程2、
該工程2の後に加圧しながら最高温度が125〜150℃の範囲内となるように加熱することにより加熱圧着して車両用ウィンドシールドとする工程3、を有する車両用ウィンドシールドの製造方法において、
前記曲面形状のガラス板が、h/k>l/mの時、0.30≦(l/m)/(h/k)≦0.80、又は、h/k<l/mの時、0.30≦(h/k)/(l/m)≦0.80(m:ガラス板の縦方向の辺の長さの最大値、h:ガラス板の曲げ深さの最大値、k:ガラス板の横方向の辺の長さの最大値、l:ガラス板のダブリの最大値)を満たすものであり、
前記工程2において、以下の測定方法で測定される前記積層フィルムの硬さが0.45kgf以上であることを特徴とする車両用ウィンドシールドの製造方法。
工程A:前記積層フィルムを切断して短冊状試験片を作製し、該短冊状試験片を該工程2の脱気時の温度にする工程、
工程B:該工程Aで得られた該短冊状試験片を平坦な台上に水平に置いて折り曲げ、該短冊状試験片の両端部A、Bを重ねる工程、
工程C:該工程Bで重ねた両端部A、Bから一定の距離の点Cにおいて、垂直下向きに荷重測定器の荷重を該短冊状試験片に加える工程、
工程D:該点Cの垂直線上で試験片が重なったときに加えた荷重を測定し、該荷重の大きさを硬さとする工程。 - 前記積層フィルムは、2枚の接着性樹脂中間膜の間に遮熱フィルムを積層したものであることを特徴とする請求項1に記載の車両用ウィンドシールドの製造方法。
- 前記工程1の前に、前記積層フィルムを芯材に巻きロール状積層フィルムとした後、該ロール状積層フィルムを6〜8℃にする工程、
6〜8℃の該ロール状積層フィルムから積層フィルムを引き出し、所定形状にカットする工程、
所定形状の該積層フィルムを10〜25℃にする工程、を有し、
前記工程1において、該積層フィルムを、該積層フィルムの巻内側が車内側となるように曲面形状のガラス板に積層することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用ウィンドシールドの製造方法。
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