以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る光硬化性導電材料は、電極を表面に有する接続対象部材の接続に用いられ、光硬化性を有する導電材料である。本発明に係る光硬化性導電材料は、導電性粒子と、光硬化性化合物と、光カチオン重合開始剤と、光硬化遅延剤とを含む。光硬化遅延剤は、光硬化遅延剤を用いていない場合と比べて、光の照射後の導電材料の硬化速度を遅延させる。本発明に係る光硬化性導電材料では、上記光硬化遅延剤が、上記導電性粒子の表面に付着している。
本発明に係る光硬化性導電材料における上述した構成の採用により、電極を表面に有する接続対象部材の接続に用いられたときに、接続対象部材の反りを抑えるとともに、電極と導電性粒子との間の導電性粒子を除く配合成分を排除して、電極間の導通信頼性を高めることができ、かつ接続対象部材と導電材料の硬化物との接続信頼性を高めることができる。特に上記光硬化遅延剤が、上記導電性粒子の表面に付着していることにより、導電接続時に、電極と導電性粒子との間の導電性粒子を除く配合成分を排除して、電極間の導通信頼性を高めることができる。
本発明では、光硬化性導電材料に光を照射しても、光硬化遅延剤の影響によって硬化が速やかに進行することがないため、例えば、上側の接続対象部材の積層前であっても、導電材料の上側から導電材料に光を照射することができ、この光照射を行っても、接続信頼性に優れる接続構造体を得ることができる。また、上側の接続対象部材の積層時に、接着性を充分に確保できる。さらに、上側の接続対象部材の積層時に、電極と導電性粒子との間の導電性粒子を除く成分の排除性が高くなる。また、得られる接続構造体において、ボイドの発生を抑えることもできる。また、上側の接続対象部材の積層前に、導電材料の上側から導電材料に光を照射すれば、電極により光が遮られるのを防ぐことができ、導電材料に均一に光を直接照射することが可能である。導電材料に均一に光を直接照射することで、導電材料の硬化物における硬化率が部分的に異なることを防ぐことができる。このため、導電材料の硬化物により接続された接続対象部材の反りを抑えることができる。接続対象部材が薄くても、反りを充分に抑えることができる。接続対象部材の反りを抑えることによって、電極間の導通信頼性を高めることができる。
本発明では、導電材料を光硬化のみにより硬化させたり、導電材料を熱硬化と光硬化とにより硬化させたりすることができる。光硬化が行われることによって、導電材料を熱硬化させる場合に、導電材料を充分に硬化させるための熱硬化温度を低くすることができる。熱硬化温度を低くすることによって、接続対象部材の熱劣化を抑えることができる。さらに、熱硬化温度を低くすることによって、熱に起因する接続対象部材の反りの発生を効果的に抑えることができる。
本発明では、導電材料の上側から導電材料に光を照射した後に、上側の接続対象部材の配置時点での導電材料の硬化が抑えられる。このことによって、導電材料の上側から導電材料に光を照射した後に、上側の接続対象部材を積層しても、上側の接続対象部材と導電材料の硬化物とを充分に接続させることができる。
本発明に係る光硬化性導電材料は、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材とを接続し、かつ上記第1の電極と上記第2の電極とを電気的に接続して、接続構造体を得るために好適に用いられる。
また、本発明に係る光硬化性導電材料に関しては、光硬化性導電材料は、上記第1の接続対象部材の表面上に配置された後に、上記第1の接続対象部材側とは反対側から光硬化性導電材料に第1の光照射が行われ、次に上記第1の電極と上記第2の電極との間に上記導電性粒子が位置するように、第1の光照射が行われた光硬化性導電材料の上記第1の接続対象部材側とは反対の表面上に上記第2の接続対象部材が配置される時又は配置された後、光硬化性導電材料に第2の光照射及び熱の付与の内の少なくとも一方が行われ、光硬化性導電材料が硬化した硬化物を形成する工程を経て上記接続構造体を得るために好適に用いられる。このような工程を経て接続構造体を得ることにより、電極間の導通信頼性が高く、かつ接続対象部材と導電材料の硬化物との接続信頼性が高い接続構造体を得ることができる。
この場合に、本発明に係る光硬化性導電材料は、(1)光硬化性導電材料に第2の光照射が行われて、光硬化性導電材料が硬化した硬化物を形成する工程を経て、上記接続構造体を得るために好適に用いられ、(2)光硬化性導電材料に熱の付与が行われて、光硬化性導電材料が硬化した硬化物を形成する工程を経て、上記接続構造体を得るためにも好適に用いられ、(3)光硬化性導電材料に第2の光照射が行われてかつ光硬化性導電材料に熱の付与が行われて、光硬化性導電材料が硬化した硬化物を形成する工程を経て、上記接続構造体を得るためにも好適に用いられる。
上記光カチオン重合開始剤が、光の照射により酸を発生する光カチオン重合開始剤であることが好ましい。上記光硬化遅延剤は、光カチオン重合開始剤から発生した酸を捕捉可能であることが好ましい。上記第1の光照射により、上記カチオン硬化開始剤から一部の酸を発生させ、上記第2の光照射によっても、上記光カチオン重合開始剤から酸を発生させることが好ましい。上記第1の光照射により、上記カチオン硬化開始剤から全部の酸を発生させないことが好ましい。この場合には、上側の接続対象部材の積層前に、導電材料の上側から導電材料に光を照射したときに、光カチオン重合開始剤から酸が発生すると、上記光硬化遅延剤により酸が効果的に捕捉される。このため、導電材料の上側から導電材料に光を照射しても、上側の接続対象部材の積層前に、光硬化性導電材料の硬化度の上昇を効果的に抑えることができる。本発明に係る光硬化性導電材料中で、上記光硬化遅延剤は、上記第2の光照射により上記光カチオン重合開始剤から発生した酸の一部もしくは全量を捕捉不可能であることが好ましい。この場合には、第2の光照射により、光硬化性導電材料を効果的に硬化させることができる。本発明では、第1の光照射後に、光硬化遅延剤の作用を発現させ、第2の光照射後に、光硬化遅延剤の作用を第1の光照射後よりも発現させないことが好ましい。
上記第1の光照射によってすべての酸を発生させても構わない。この場合、上記第1の電極と上記第2の電極との間に上記導電性粒子が位置するように、第1の光照射が行われた光硬化性導電材料の上記第1の接続対象部材側とは反対の表面上に上記第2の接続対象部材が配置される時又は配置された後、光硬化性導電材料に第2の光照射を行わず、光硬化性導電材料に熱の付与を行うことで、熱による硬化のみを行っても構わない。
本発明に係る光硬化性導電材料は、光硬化性及び熱硬化性を有する導電材料であり、熱硬化性化合物と、熱硬化剤とを含むことが好ましい。この場合には、光硬化性導電材料に熱を付与することで、光硬化性導電材料を効果的に硬化させることができる。
また、本発明に係る光硬化性導電材料に関しては、光硬化性導電材料は、上記第1の接続対象部材の表面上に配置された後に、上記第1の接続対象部材側とは反対側から光硬化性導電材料に第1の光照射が行われ、次に上記第1の電極と上記第2の電極との間に上記導電性粒子が位置するように、第1の光照射が行われた光硬化性導電材料の上記第1の接続対象部材側とは反対の表面上に上記第2の接続対象部材が配置され、上記第2の接続対象部材が配置される時又は配置された後、光硬化性導電材料に第2の光照射が行われてかつ光硬化性導電材料に熱の付与が行われて、光硬化性導電材料が硬化した硬化物を形成する工程を経て、上記接続構造体を得るために好適に用いられる。このような工程を経て接続構造体を得ることにより、電極間の導通信頼性がより一層高く、かつ接続対象部材と導電材料の硬化物との接続信頼性がより一層高い接続構造体を得ることができる。
上記光硬化性導電材料は、回路接続材料であることが好ましい。上記光硬化性導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。該異方性導電材料には、上下の電極間を導通するための導電材料が含まれる。
上記光硬化性導電材料は、導電ペースト及び導電フィルムとして使用され得る。上記光硬化性導電材料が導電フィルムである場合には、上記導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。
接続構造体における接続部にボイドが発生するのを抑制し、導通信頼性をより一層高める観点からは、上記光硬化性導電材料は、導電ペーストであることが好ましい。上記光硬化性導電材料は、導電ペーストであり、かつペースト状の状態で接続対象部材の上面に塗工されることが好ましい。
次に、図1を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る光硬化性導電材料を用いた接続構造体について、具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る光硬化性導電材料を用いた接続構造体を模式的に示す断面図である。図1に示す接続構造体1は、第1の電極2aを表面に有する第1の接続対象部材2と、第2の電極3aを表面に有する第2の接続対象部材3と、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とを接続している接続部4とを備える。接続部4は、光硬化成分の硬化物11を含む。
第1の電極2aと第2の電極3aとは、導電性粒子21(後述する図3に示す導電性粒子複合体22における導電性粒子21)により電気的に接続されている。接続部4は、導電性粒子21と、光硬化性化合物と、光カチオン重合開始剤と、光硬化遅延剤(接続部4では消費されており、導電性粒子21の表面から脱離している)とを含む光硬化性導電材料に光を照射して、かつ光硬化性導電材料を硬化させることにより形成されている。
図1に示す接続構造体1は、具体的には、例えば、図2(a)〜(d)に示す状態を経て、以下のようにして得ることができる。ここでは、上記光硬化性導電材料として、光硬化性化合物と、光カチオン重合開始剤と、光硬化遅延剤33(図3参照)とを含み、かつ光硬化性及び熱硬化性を有する光硬化性導電材料(光硬化性及び熱硬化性導電材料)を用いている。以下の説明において、光硬化性化合物と、光カチオン重合開始剤と、光硬化遅延剤33とを、光硬化性成分と記載することがある。なお、熱硬化性を有さず、光硬化性のみを有する光硬化性導電材料を用いてもよい。光硬化性化合物は、光硬化性化合物として作用するだけでなく、熱硬化性化合物として作用してもよく、光及び熱硬化性化合物であってもよい。
図2(a)に示すように、第1の電極2aを表面(上面)に有する第1の接続対象部材2を用意する。また、複数の導電性粒子21と光硬化遅延剤33を含む光硬化性成分とを含む光硬化性導電材料を用意する。図3に示すように、光硬化遅延剤33は、導電性粒子21の表面に付着している。本実施形態では、光硬化遅延剤33が、導電性粒子21の表面に付着した導電性粒子複合体22を用いている。次に、第1の接続対象部材2の第1の電極2a側の表面上に、上記光硬化性導電材料を用いて、光硬化性導電材料層4Aを配置する。このとき、第1の電極2a上に、1つ又は複数の導電性粒子21が配置されていることが好ましい。ここでは、上記光硬化性導電材料として、導電ペーストを用いているので、導電ペーストの配置は、導電ペーストの塗布により行われている。光硬化性導電材料層4Aは、導電ペースト層である。
次に、上側の第2の接続対象部材3を配置する前に、光硬化性導電材料層4Aの上側から、光硬化性導電材料層4Aに光を照射する(第1の光照射工程)。すなわち、第2の接続対象部材3の配置前に、光硬化性導電材料層4Aの第1の接続対象部材2側とは反対側から、光硬化性導電材料層4Aに第1の光照射を行う。本実施形態では、第2の接続対象部材3の配置前に第1の光照射を行っているので、第2の接続対象部材3における第2の電極3aにより光が遮られない。このため、光硬化性導電材料層4Aの全領域に、比較的均一に光を直接至らせることができる。一方で、第2の接続対象部材3の配置後に第1の光照射を行った場合には、第2の電極3aにより光が遮られ、光硬化性導電材料層4Aに光が直接照射されない領域が存在する。第2の接続対象部材3の配置前に第1の光照射を行えば、導電性粒子21により光が遮られる光硬化性導電材料層4Aの領域は存在するものの、その領域の1つあたりの大きさは、第2の電極3aにより光が遮られる光硬化性導電材料層4Aの領域の大きさよりも小さい。導電性粒子21により光が遮られる光硬化性導電材料層4Aの領域の影響は、第2の電極3aにより光が遮られる光硬化性導電材料層4Aの領域の影響よりも小さい。
図2(a),(b)に示すように上記第1の光照射により、光硬化性導電材料層4Aは、上記第1の光照射が行われた光硬化性導電材料層4Bになる。上記第1の光照射の後に、光硬化遅延剤の影響によって光硬化性導電材料層4Bの硬化は速やかに進行せず、光硬化性導電材料層4Bの硬化速度は遅い。この結果、光硬化性導電材料層4Bでは、硬化が抑えられている。
次に、図2(c)に示すように、上記第1の光照射が行われた光硬化性導電材料層4Bの第1の接続対象部材2側とは反対の表面上に、第2の電極3aを表面に有する第2の接続対象部材3を、第2の電極3a側から配置する。すなわち、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3との間に、光硬化性導電材料層4Bを配置する。また、第1の電極2aと第2の電極3aとが対向するように、第2の接続対象部材3を配置する。このとき、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に導電性粒子21が位置するように、光硬化性導電材料層4Bを配置する。
第2の接続対象部材3の配置時又は配置後に、第1の光照射が行われた光硬化性導電材料層4Bに第2の光照射を行う(第2の光照射工程)。また、第2の接続対象部材3の配置時又は配置後に、光硬化性導電材料層4Bに熱の付与を行う(第1の熱の付与工程)。好ましくは熱圧着ヘッド51により熱の付与が行われる。第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とを熱圧着させることで、光硬化性導電材料層4Bに熱の付与を行うことが好ましい。熱の付与を行う場合は第2の光照射は行わなくても構わない。第2の光照射により、好ましくは第2の光照射と第1の熱の付与とにより、もしくは第1の熱の付与により、光硬化性導電材料層4Bの硬化が進行した結果、図2(d)に示すように、硬化が進行した光硬化性導電材料層4Cが形成される。この時点で、接続部4を形成してもよい。
上記第2の接続対象部材の配置時又は配置後に、上記光硬化性導電材料に、第2の光照射及び熱の付与の内の少なくとも一方を行う工程が行われればよい。上記第2の光照射工程が、(1)上記第2の接続対象部材の配置時又は配置後に、上記光硬化性導電材料に第2の光照射を行う第2の光照射工程であることが好ましく、(2)上記第2の接続対象部材の配置時又は配置後に、上記光硬化性導電材料に熱の付与を行う熱の付与工程であることも好ましく、(3)上記第2の接続対象部材の配置時又は配置後に、上記光硬化性導電材料に第2の光照射を行い、かつ上記光硬化性導電材料に熱の付与を行う第2の光照射及び熱の付与工程であることも好ましい。
また、好ましくは、上記第1の熱の付与の後、又は、上記第2の光照射及び第1の熱の付与の後、光硬化性導電材料層4Cに第2の熱の付与を行うことで、接続部4を形成し(第2の熱の付与工程)、より好ましくは、上記第2の光照射及び第1の熱の付与の後、光硬化性導電材料層4Cに第2の熱の付与を行うことで、接続部4を形成する(第2の熱の付与工程)。
この結果、図1に示す接続構造体1が得られる。
第1の光照射時及び第2の光照射時に用いる光源は特に限定されない。該光源としては、例えば、波長420nm以下に十分な発光分布を有する光源や、波長420nm以下の特定波長に強い発光を有する光源等が挙げられる。波長420nm以下に十分な発光分布を有する光源の具体例としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、及びメタルハライドランプ等が挙げられる。また、波長420nm以下の特定波長に強い発光を有する光源の具体例としては、LEDランプ等が挙げられる。なかでもLEDランプが好ましい。LEDランプを用いた場合には、被照射物自身の発熱が非常に少なくなり、発熱による上記光硬化性導電材料の過度の熱劣化を防ぐことができる。
第1の光照射における光照射量は、好ましくは50〜500mJ/cm2程度であり、より好ましくは100mJ/cm2以上、更に好ましくは150mJ/cm2以上、より好ましくは400mJ/cm2以下、更に好ましくは300mJ/cm2以下である。
第2の光照射により上記光硬化性導電材料層を硬化させるために、上記光硬化性導電材料層を適度に硬化させるための光照射量は、好ましくは300〜1000mJ/cm2程度であり、より好ましくは400mJ/cm2以上、更に好ましくは500mJ/cm2以上、より好ましくは900mJ/cm2以下、更に好ましくは800mJ/cm2以下である。
第1の光照射による硬化の進行を抑え、第2の光の照射による硬化を効果的に進行させる観点からは、第1の光照射における光照射強度は、第2の光照射における光照射強度よりも小さいことが好ましい。第1の光照射における光照射強度は、第2の光照射における光照射強度の1/2以下であることが好ましく、1/3以下であることがより好ましい。
第1の光照射を行う前の光硬化性導電材料の粘度η1と、波長365nmの紫外線を、光照射量が150mJ/cm2となるように照射してから60秒後の光硬化性導電材料の粘度η2とを測定したときに、粘度η2の粘度η1に対する比(η2/η1)は、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下である。なお、上記比(η2/η1)は一般的に0.5以上であり、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上、更に好ましくは1以上である。
なお、第2の光照射は、上記第2の接続対象部材の配置時又は配置後に行われ、配置時に行われてもよく、配置後に行われてもよい。但し、第2の光照射は、配置後に行われることがより好ましい。また、第2の光照射と第1の熱の付与とは同時に行われてもよく、別々に行われてもよく、第2の光照射後に第1の熱の付与が行われてもよく、第1の熱の付与後に第2の光照射が行われてもよい。第2の光照射と第1の熱の付与とは同時に行われることが好ましい。
上記光硬化性導電材料に熱を付与することにより硬化させる場合には、上記光硬化性導電材料層を適度に硬化させるための加熱温度は好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下である。
上記第1の熱の付与と上記第2の熱の付与とを行う場合には、上記第1の熱の付与での加熱温度は好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下である。上記第2の熱の付与での加熱温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下である。
上記第1の熱の付与は、上記第2の接続対象部材の配置時又は配置後に行われることが好ましく、配置時に行われてもよく、配置後に行われてもよい。但し、上記第1の熱の付与は、配置時に行われることがより好ましい。
上記の接続構造体1の製造方法では、光硬化性導電材料層4Aに第1の光照射を行っても、光硬化遅延剤の採用によって、硬化が速やかに進行することがないため、例えば、第2の接続対象部材3の配置前に、光硬化性導電材料層4Aの第1の接続対象部材2側とは反対側から光硬化性導電材料層4Aに光を照射することができる。第2の接続対象部材3の配置前に、光硬化性導電材料層4Aの第1の接続対象部材2側とは反対側から光硬化性導電材料層4Aに第1の光照射を行えば、第2の電極3aにより光が遮られるのを防ぐことができ、光硬化性導電材料層4Aに均一に光を直接照射することが可能である。光硬化性導電材料層4Aに均一に光を直接照射することで、光硬化性導電材料の硬化物(接続部4)における硬化率が部分的に異なることを防ぐことができる。このため、光硬化性導電材料の硬化物(接続部)により接続された第1,第2の接続対象部材2,3の反りを抑えることができる。第1,第2の接続対象部材2,3が薄くても、反りを充分に抑えることができる。さらに、第2の接続対象部材3の配置前に、光硬化性導電材料層4Aの第1の接続対象部材2側とは反対側から光硬化性導電材料層4Aに第1の光照射を行った後に、第2の接続対象部材3の配置時点での光硬化性導電材料層4Bの過度の硬化が抑えられる。このことによって、光硬化性導電材料層4Aの第1の接続対象部材2側とは反対側から光硬化性導電材料層4Aに第1の光照射を行った後に、第2の接続対象部材3を配置しても、第2の接続対象部材3と光硬化性導電材料の硬化物(接続部4)とを充分に接続させることができる。さらに、特に光硬化遅延剤が導電性粒子の表面に付着しているので、導電接続時に、電極と導電性粒子との間の導電性粒子を除く配合成分を排除して、電極間の導通信頼性を高めることができる。
以下、導電性粒子、光硬化性導電材料及び接続構造体の他の詳細を説明する。
(導電性粒子)
図3に、本発明の一実施形態に係る光硬化性導電材料に用いられる導電性粒子21、及び該導電性粒子21を備える導電性粒子複合体22を断面図で示す。
図3に示す導電性粒子複合体22は、導電性粒子21と、導電性粒子21の表面に付着している光硬化遅延剤33とを有する。光硬化遅延剤33は、導電性粒子21の表面に付着している。上記光硬化性導電材料では、光硬化遅延剤33が導電性粒子21の表面に付着した導電性粒子複合体22を用いる。この導電性粒子複合体22を用いることで、電極と導電性粒子との間の導電性粒子を除く配合成分を排除して、電極間の導通信頼性を高めることができる。さらに、導電性粒子複合体22を用いることで、光硬化遅延剤が光硬化性導電材料の接着性を低下させ難く、接続構造体において、接続信頼性がより一層高くなる。
導電性粒子21は、第1,第2の接続対象部材2,3の第1,第2の電極2a,3a間を電気的に接続する。導電性粒子21は、基材粒子31と、基材粒子31の表面上に配置された導電部32とを備える。導電部32は、導電層である。上記導電性粒子の導電性の表面上に絶縁性物質が配置されていてもよい。導電部の外表面上に絶縁性物質が配置されていてもよい。なお、絶縁性物質は、接続対象部材の接続時に、導電層と電極との間から排除される。上記導電性粒子は、導電性の表面に突起を有していてもよい。上記導電性粒子は、導電部の外表面に突起を有していてもよい。
また、導電性粒子21は基材粒子31を有するが、導電性粒子は全体が導電性の材料により形成されていてもよい。導電性粒子の全体が導電部であってもよい。また、導電性粒子21は、単層の導電部32(導電層)を有するが、導電性粒子は多層の導電層を有していてもよい。
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。
上記基材粒子は、樹脂により形成された樹脂粒子であることが好ましい。電極間を接続する際には、上記導電性粒子を電極間に配置した後、一般的に上記導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子であると、圧縮により上記導電性粒子が変形しやすく、上記導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の導通信頼性が高くなる。
上記樹脂粒子の材料として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が挙げられる。また、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させることにより、光硬化性導電材料に適した任意の圧縮時の物性を有する樹脂粒子を設計及び合成可能である。また、基材粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子の材料は、エチレン性不飽和基を複数有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合には、該エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子が得られる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、及び非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合には、基材粒子の材料である無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上有するケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子である場合には、該金属粒子の材料である金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
上記基材粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、より一層好ましくは1μm以上、更に好ましくは1.5μm以上、特に好ましくは2μm以上、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、より一層好ましくは300μm以下、更に好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、更に一層好ましくは30μm以下、特に好ましくは5μm以下、最も好ましくは3μm以下である。基材粒子の平均粒子径が上記下限以上であると、上記導電性粒子と電極との接触面積が大きくなるため、電極間の導通信頼性がより一層高くなり、上記導電性粒子を介して接続された電極間の接続抵抗がより一層低くなる。さらに、基材粒子の表面に導電部を無電解めっきにより形成する際に凝集し難くなり、凝集した上記導電性粒子が形成されにくくなる。基材粒子の平均粒子径が上記上限以下であると、上記導電性粒子が十分に圧縮されやすく、電極間の接続抵抗がより一層低くなり、更に電極間の間隔が狭くなる。
上記基材粒子の平均粒子径は、0.1μm以上、5μm以下であることが特に好ましい。上記基材粒子の平均粒子径が0.1〜5μmの範囲内であると、電極間の間隔が小さくなり、かつ導電部の厚みを厚くしても、小さい上記導電性粒子が得られる。電極間の間隔をより一層小さくしたり、導電部の厚みを厚くしても、より一層小さい上記導電性粒子を得たりする観点からは、上記基材粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは2μm以上、好ましくは3μm以下である。接続信頼性及び導通信頼性をより一層高める観点からは、上記基材粒子の平均粒子径は、好ましくは2.6μm以上である。
上記基材粒子の上記平均粒子径は数平均粒子径を示す。該平均粒子径は、例えばコールターカウンター(ベックマンコールター社製)を用いて測定可能である。
上記導電部の厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは20nm以上、特に好ましくは50nm以上、好ましくは1000nm以下、より好ましくは800nm以下、更に好ましくは500nm以下、特に好ましくは400nm以下、最も好ましくは300nm以下である。上記導電部の厚みは、複数の導電部がある場合には、複数の導電部全体の厚みである。上記導電部の厚みが上記下限以上であると、上記導電性粒子の導電性がより一層良好になる。上記導電部の厚みが上記上限以下であると、基材粒子と導電部との熱膨張率の差が小さくなり、基材粒子から導電部が剥離し難くなる。
上記基材粒子の表面上に上記導電部を形成する方法としては、無電解めっきにより上記導電部を形成する方法、並びに電気めっきにより上記導電部を形成する方法等が挙げられる。
上記導電部は、金属を含むことが好ましい。上記導電部の材料である金属は、特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、タングステン、モリブデン及びカドミウム、並びにこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属として、錫ドープ酸化インジウム(ITO)を用いてもよい。上記金属は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは1.5μm以上、より好ましくは2.5μm以上、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。接続信頼性及び導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは2.8μm以上である。
上記導電性粒子の平均粒子径は、数平均粒子径を示す。上記平均粒子径は、粒度分布測定装置等を用いて求められる。
上記導電性粒子は導電性の表面に、複数の突起を有することが好ましい。なお、芯物質が上記導電部中に埋め込まれていることによって、上記導電部の外表面に突起を容易に形成可能である。突起によって、上記接続信頼性及び上記導通信頼性の双方が高くなる。上記導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。突起を有する導電性粒子を用いた場合には、電極間に上記導電性粒子を配置して圧着させることにより、突起により上記酸化被膜が効果的に排除される。このため、電極と上記導電性粒子とがより一層確実に接触し、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。さらに、突起によって、上記導電性粒子と電極との間の導電性粒子を除く配合成分(バインダー樹脂)が効果的に排除される。このため、電極間の導通信頼性が高くなる。
上記導電性粒子の表面に突起を形成する方法として、従来公知の方法を採用可能である。基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電部を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電部を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電部を形成する方法等が挙げられる。上記突起を形成する他の方法としては、基材粒子の表面上に、第1の導電部を形成した後、該第1の導電部上に芯物質を配置し、次に第2の導電部を形成する方法、基材粒子の表面上に導電部を形成する途中段階で、芯物質を添加する方法、並びに基材粒子の表面上に導電部を形成する途中段階で芯物質を析出させる方法等が挙げられる。
上記芯物質の材料としては、導電性物質及び非導電性物質が挙げられる。上記導電性物質としては、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等が挙げられる。上記導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン等が挙げられる。上記非導電性物質としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。なかでも、導電性を高めることができ、更に接続抵抗を効果的に低くすることができるので、金属が好ましい。上記芯物質は金属粒子であることが好ましい。
上記導電性粒子は、上記導電性粒子の表面上に配置された絶縁性物質を備えることが好ましい。この場合には、上記導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の上記導電性粒子が接触したときに、複数の導電性粒子間に絶縁物質が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で上記導電性粒子を加圧することにより、導電層と電極との間の絶縁性物質を容易に排除できる。上記絶縁性物質の材料の屈折率は1.6未満であってもよい。
電極間の圧着時に上記絶縁性物質をより一層容易に排除できることから、上記絶縁性物質は、絶縁性粒子であることが好ましい。
上記絶縁性物質の材料は、有機物質又は有機無機ハイブリッド物質であることが好ましい。すなわち、上記絶縁性物質(絶縁性粒子など)は、有機物質又は有機無機ハイブリッド物質により形成されていることが好ましい。
上記光硬化性導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、特に好ましくは5重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは40重量%以下、更に好ましくは30重量%以下、特に好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
(光硬化性成分)
上記光硬化性導電材料は光硬化性を有する。上記光硬化性導電材料は、硬化性化合物と、光カチオン重合開始剤と、光硬化遅延剤とを含む。上記硬化性化合物は、光硬化性化合物(光の照射により硬化可能な化合物)を含む。上記光硬化性導電材料は、光硬化性及び熱硬化性を有することが好ましい。上記光硬化性導電材料は、光硬化性化合物(光の照射により硬化可能な化合物)と、光カチオン重合開始剤と、光硬化遅延剤と、熱硬化性化合物(熱の付与により硬化可能な化合物)と、熱硬化剤とを含むことも好ましい。上記光硬化性化合物(光の照射により硬化可能な化合物)が、光及び熱硬化性化合物(光の照射及び熱の付与により硬化可能な化合物)であってもよい。上記光カチオン重合開始剤が、光及び熱カチオン重合開始剤であってもよい。
上記光硬化性導電材料は、光硬化性及び熱硬化性を有することが好ましい。この場合には、例えば、熱の付与により光硬化性導電材料をより一層良好に硬化させることができ、光硬化性導電材料の硬化物の硬化度を効果的に高めることができる。
本発明に係る光硬化性導電材料は、第1の光照射後に、熱の付与、又は、第2の光照射及び熱の付与が行われることで、硬化させて用いられることが好ましく、第1の光照射後に、第2の光照射及び熱の付与が行われることで、硬化させて用いられることがより好ましい。このように光硬化性導電材料を硬化させることで、本発明の効果がより一層効果的に得られる。
光硬化性成分中に上記導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ特に限定されない。
上記光硬化性導電材料100重量%中、上記導電性粒子を除く成分の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、好ましくは90.98重量%以下である。上記導電性粒子を除く成分の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に上記導電性粒子が効率的に配置され、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
光硬化性化合物:
光の照射によって硬化するように、上記光硬化性導電材料は、光硬化性化合物を含む。
上記光硬化性化合物としては特に限定されず、(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物及び環状エーテル基を有する光硬化性化合物等が挙げられる。
上記光硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物であることが好ましい。(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物の使用により、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。電極間の導通信頼性を効果的に高める観点からは、上記光硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を1個又は2個有することが好ましい。
上記(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物としては、エポキシ基及びチイラン基を有さず、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物、及びエポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物が挙げられる。
上記(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物として、(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、又はイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が好適に用いられる。上記「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基とメタクリロイル基とを示す。上記「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルとを示す。上記「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとを示す。
上記(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物は特に限定されない。該エステル化合物として、単官能のエステル化合物、2官能のエステル化合物及び3官能以上のエステル化合物のいずれも用いることができる。
上記エポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物の一部のエポキシ基又は一部のチイラン基を、(メタ)アクリロイル基に変換することにより得られた光硬化性化合物であることが好ましい。このような光硬化性化合物は、部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物又は部分(メタ)アクリレート化エピスルフィド化合物である。
上記光硬化性化合物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物と、(メタ)アクリル酸との反応物であることが好ましい。この反応物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って触媒の存在下で反応することにより得られる。
上記部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、カルボン酸無水物変性エポキシ(メタ)アクリレート、及びフェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記光硬化性化合物として、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有するフェノキシ樹脂の一部のエポキシ基又は一部のチイラン基を(メタ)アクリロイル基に変換した変性フェノキシ樹脂を用いてもよい。すなわち、エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する変性フェノキシ樹脂を用いてもよい。
また、上記光硬化性化合物は、架橋性化合物であってもよく、非架橋性化合物であってもよい。
上記架橋性化合物の具体例としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、ポリエステル(メタ)アクリレート、及びウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記非架橋性化合物の具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記光硬化性導電材料100重量%中、上記光硬化性化合物の含有量は、好ましくは60重量%以上、より好ましくは80重量%以上、好ましくは90重量%以下である。上記光硬化性化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、光硬化性導電材料が適度に光硬化する。
光カチオン重合開始剤:
上記光カチオン重合開始剤は、光の照射によりカチオンを発生する。上記光カチオン重合開始剤として、ヨードニウム塩及びスルフォニウム塩が好適に用いられる。上記光カチオン重合開始剤の市販品としては、サンエイドSI−45L、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L、サンエイドSI−110L、サンエイドSI−150L(以上、三新化学社製)、アデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−170、アデカオプトマーSP−171(以上、ADEKA社製)、UVE−1014(ゼネラルエレクトロニクス社製)、並びにCD−1012(サートマー社製)等が挙げられる。
好ましい光カチオン重合開始剤のアニオン部分としては、PF6、BF4、及びB(C6F5)4が挙げられる。
また、上記光カチオン重合開始剤の他の具体例としては、2−ブテニルジメチルスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、2−ブテニルジメチルスルフォニウムテトラフルオロボレート、2−ブテニルジメチルスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、2−ブテニルテトラメチレンスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、2−ブテニルテトラメチレンスルフォニウムテトラフルオロボレート、2−ブテニルテトラメチレンスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、3−メチル−2−ブテニルジメチルスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、3−メチル−2−ブテニルジメチルスルフォニウムテトラフルオロボレート、3−メチル−2−ブテニルジメチルスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、3−メチル−2−ブテニルテトラメチレンスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、3−メチル−2−ブテニルテトラメチレンスルフォニウムテトラフルオロボレート、3−メチル−2−ブテニルテトラメチレンスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、4−ヒドロキシフェニルシンナミルメチルスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−ヒドロキシフェニルシンナミルメチルスルフォニウムテトラフルオロボレート、4−ヒドロキシフェニルシンナミルメチルスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、α−ナフチルメチルテトラメチレンスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、α−ナフチルメチルテトラメチレンスルフォニウムテトラフルオロボレート、α−ナフチルメチルテトラメチレンスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、シンナミルジメチルスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、シンナミルジメチルスルフォニウムテトラフルオロボレート、シンナミルジメチルスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、シンナミルテトラメチレンスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、シンナミルテトラメチレンスルフォニウムテトラフルオロボレート、シンナミルテトラメチレンスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、ビフェニルメチルジメチルスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビフェニルメチルジメチルスルフォニウムテトラフルオロボレート、ビフェニルメチルジメチルスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、ビフェニルメチルテトラメチレンスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビフェニルメチルテトラメチレンスルフォニウムテトラフルオロボレート、ビフェニルメチルテトラメチレンスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、フェニルメチルジメチルスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェニルメチルジメチルスルフォニウムテトラフルオロボレート、フェニルメチルジメチルスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、フェニルメチルテトラメチレンスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェニルメチルテトラメチレンスルフォニウムテトラフルオロボレート、フェニルメチルテトラメチレンスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、フルオレニルメチルジメチルスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フルオレニルメチルジメチルスルフォニウムテトラフルオロボレート、フルオレニルメチルジメチルスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、フルオレニルメチルテトラメチレンスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フルオレニルメチルテトラメチレンスルフォニウムテトラフルオロボレート、及びフルオレニルメチルテトラメチレンスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
上記光カチオン重合開始剤は、光の照射により無機酸イオンを放出するか、又は光の照射によりホウ素原子を含む有機酸イオンを放出することが好ましい。上記光カチオン重合開始剤は、光の照射により無機酸イオンを放出する成分であることが好ましく、光の照射によりホウ素原子を含む有機酸イオンを放出する成分であることも好ましい。
光の照射により無機酸イオンを放出する光カチオン重合開始剤は、アニオン部分としてSbF6−又はPF6−を有する化合物であることが好ましい。上記光カチオン重合開始剤は、アニオン部分としてSbF6−を有する化合物であることが好ましく、アニオン部分としてPF6−を有する化合物であることも好ましい。
上記光カチオン重合開始剤のアニオン部分がB(C6X5)4 −で表されることが好ましい。ホウ素原子を含む有機酸イオンを放出する光カチオン重合開始剤は、下記式(1)で表されるアニオン部分を有する化合物であることが好ましい。
上記式(1)中、Xはハロゲン原子を表す。上記式(1)中のXは、塩素原子、臭素原子又はフッ素原子であることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。
上記光カチオン重合開始剤のアニオン部分がB(C6F5)4 −で表されることが好ましい。上記ホウ素原子を含む有機酸イオンを放出する光カチオン重合開始剤は、下記式(1A)で表されるアニオン部分を有する化合物であることがより好ましい。
また、上記光カチオン重合開始剤の種類は、イオン性光酸発生型であってもよく、非イオン性光酸発生型であってもよい。
上記アンチモン錯体は特に限定されないが、スルホニウム塩であることが好ましい。上記アンチモン錯体であるスルホニウム塩としては、テトラフェニル(ジフェニルスルフィド−4,4’−ジイル)ビススルホニウム・ジ(六フッ化アンチモン)、テトラ(4−メトキトフェニル)[ジフェニルスルフィド−4,4’−ジイル]ビススルホニウム・ジ(六フッ化アンチモン)、ジフェニル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム・六フッ化アンチモン、並びにジ(4−メトキシフェニル)[4−フェニルチオフェニル]スルホニウム・六フッ化アンチモン等が挙げられる。
上記アンチモン錯体の市販品としては、例えば、アデカオプトマーSP−170(ADEKA社製)等が挙げられる。
6フッ化リンイオンを有する塩の市販品としては、例えば、WPI−113(和光純薬工業社製)、並びにCPI−100P(サンアプロ社製)等が挙げられる。
上記光カチオン重合開始剤の含有量は特に限定されない。上記光硬化性化合物100重量部に対して、上記光カチオン重合開始剤の含有量は、好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.15重量部以上、好ましくは2重量部以下、より好ましくは1重量部以下である。上記光カチオン重合開始剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、光硬化性導電材料が適度に光硬化する。
光硬化遅延剤:
光硬化遅延剤は、光照射された後に、比較的短い時間での光硬化性導電材料の硬化の進行を抑える。なお、光硬化性化合物には、光硬化遅延剤は含まれないこととする。
上記光硬化遅延剤としては、ポリエーテル化合物、ポリグリセロール化合物及び3級アミン化合物等が挙げられる。光硬化遅延剤は、3級アミン化合物であることが好ましい。特に上記光硬化遅延剤が、3級アミン化合物であることにより、接合界面にボイドをより一層生じ難くして、接続対象部材と導電材料の硬化物との接続信頼性をより一層高めることができる。上記光硬化遅延剤が、3級アミン化合物であることにより、電極があるライン(L)の幅と電極が無いスペース(S)の間隔とを示すL/Sが小さくても接合界面にボイドを効果的に生じ難くして、接続対象部材と導電材料の硬化物との接続信頼性を効果的に高めることができる。
上記ポリエーテル化合物としては、ポリオール化合物及びクラウンエーテル化合物等が挙げられる。なかでも、クラウンエーテル化合物が好適である。
上記ポリオール化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
上記クラウンエーテル化合物は特に限定されず、例えば、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、24−クラウン−8、及び、下記式(31)で表される構造を有する化合物等が挙げられる。
上記式(31)中、R1〜R12はそれぞれ、水素原子又は炭素数1〜20の置換又は無置換アルキル基を表す。但し、R1〜R12の内の少なくとも1つは炭素数1〜20のアルキル基を表す。上記置換又は無置換アルキル基は、炭素数1〜20のアルコキシル基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、及び、炭素数1〜20のカルボン酸アルキルエステル基からなる群より選択される1以上の官能基で置換されていてもよく、更に、隣接するRn及びRn+1(但し、nは、1〜12の偶数を表す)は、共同して環状アルキル骨格を形成していてもよい。上記炭素数1〜20のアルコキシル基は、直鎖状であってもよく、分枝状であってもよい。
上記式(31)で表される化合物のなかでも、少なくとも1つのシクロヘキシル基を有する化合物が好適である。上記シクロヘキシル基の存在により、クラウンエーテルの骨格が安定し、遅延効果が高まる。
シクロヘキシル基を有し、かつ上記式(31)で表される化合物としては、具体的には下記式(31A)で表される化合物が挙げられる。
上記式(31A)で表される化合物は、18−クラウン−6−エーテル分子の中央を通る線に対して線対称となる位置に2個のシクロヘキシル基を有する。このため、18−クラウン−6−エーテル分子の骨格に歪み等を生じさせることなく、遅延効果が高くなると考えられる。
上記ポリグリセロール化合物としては、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル及びポリグリセロールメタクリレート等が挙げられる。
上記3級アミン化合物としては、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール、イソシアヌル酸トリグリシジル及び2,4,6−トリ(グリシジルオキシ)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
接合界面にボイドをより一層生じ難くし、かつ接着信頼性をより一層高める観点からは、上記3級アミン化合物が、トリアジン骨格を有する化合物であることが好ましい。トリアジン骨格中の窒素原子が、3級アミンの窒素原子であることが好ましい。
接合界面にボイドをより一層生じ難くし、かつ接着信頼性をより一層高める観点からは、上記3級アミン化合物が、カチオン重合性基を有することが好ましい。
上記カチオン重合性基としては、エポキシ基、ビニル基及びオキセタン基等が挙げられる。
接合界面にボイドをより一層生じ難くし、かつ接着信頼性をより一層高める観点からは、上記カチオン重合性基がエポキシ基であることが好ましい。
上記光硬化遅延剤は、導電性粒子の表面に付着している。上記光硬化性導電材料は、光硬化遅延剤が導電性粒子の表面に付着した状態で、導電性粒子及び光硬化性遅延剤が光硬化性導電材料中に含まれている。上記導電性粒子と上記光硬化遅延剤とが、上記導電性粒子の表面に上記光硬化遅延剤を付着させた後に、配合されていることが好ましい。上記導電性粒子と上記光硬化遅延剤とが、上記導電性粒子の表面に上記光硬化遅延剤を付着させた後に、他の成分と混合されて、光硬化性導電材料が得られていることが好ましい。
上記光硬化遅延剤の含有量は特に限定されない。上記光硬化性化合物100重量部に対して、上記光硬化遅延剤の含有量は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。上記光硬化遅延剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、光硬化性導電材料が適度に遅延して光硬化する。
上記導電性粒子と上記光硬化遅延剤との合計100重量%中、上記光硬化遅延剤の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、特に好ましは3重量%以上、最も好ましくは10重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下である。上記光硬化遅延剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、光硬化性導電材料が適度に遅延して光硬化する。また、接続信頼性がより一層高くなる。
熱硬化性化合物:
上記熱硬化性化合物は熱硬化性を有する。上記熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱硬化性化合物は熱硬化性及び光硬化性を有してもよく、光硬化性を有していなくてもよい。
上記熱硬化性化合物としては、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。
上記光硬化性導電材料の硬化を容易に制御したり、接続構造体における導通信頼性をより一層高めたりする観点からは、上記熱硬化性化合物は、エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物を含むことが好ましく、チイラン基を有する熱硬化性化合物を含むことがより好ましい。エポキシ基を有する熱硬化性化合物は、エポキシ化合物である。チイラン基を有する熱硬化性化合物は、エピスルフィド化合物である。光硬化性導電材料の硬化性を高める観点からは、上記熱硬化性化合物100重量%中、上記エポキシ基又はチイラン基を有する化合物の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、100重量%以下である。上記熱硬化性化合物の全量が上記エポキシ基又はチイラン基を有する化合物であってもよい。
上記エピスルフィド化合物は、エポキシ基ではなくチイラン基を有するので、低温で速やかに硬化させることができる。すなわち、チイラン基を有するエピスルフィド化合物は、エポキシ基を有するエポキシ化合物と比較して、チイラン基に由来してより一層低い温度で硬化可能である。
上記エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物は、芳香族環を有することが好ましい。上記芳香族環は、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環であることが好ましく、ベンゼン環又はナフタレン環であることがより好ましい。また、平面構造を有するためにより一層速やかに硬化可能であるので、ナフタレン環が好ましい。
上記熱硬化性化合物は、フェノキシ樹脂を含んでいてもよい。この場合に、フェノキシ樹脂と、上記エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物とを併用してもよい。この場合に、上記エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物は、フェノキシ樹脂ではないことが好ましい。
接続構造体における電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは20000以上、好ましくは70000以下である。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
上記フェノキシ樹脂と、上記エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物とを併用する場合には、上記光硬化性導電材料は、上記フェノキシ樹脂と上記エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物とを重量比で、1:99〜99:1で含むことが好ましく、10:90〜90:10で含むことがより好ましく、20:80〜80:20で含むことが更に好ましく、30:70〜70:30で含むことが特に好ましい。
熱硬化性化合物を用いる場合には、光硬化性化合物と熱硬化性化合物との配合比は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物との種類に応じて適宜調整される。光硬化性化合物と熱硬化性化合物との配合比は、1:99〜99:1であってもよく、10:90〜90:10であってもよく、20:80〜80:20であってもよく、30:70〜70:30であってもよい。
上記光硬化性導電材料100重量%中、上記熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは0重量%(未含有)以上、より好ましくは0.3重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。上記熱硬化性化合物が含まれかつ上記熱硬化性化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、光硬化性導電材料が適度に熱硬化する。
熱硬化剤:
上記熱硬化剤は特に限定されない。上記熱硬化剤として、従来公知の熱硬化剤を使用可能である。上記熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤及び酸無水物等が挙げられる。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光硬化性導電材料を低温でより一層速やかに硬化可能であるので、上記熱硬化剤は、イミダゾール硬化剤、ポリチオール硬化剤又はアミン硬化剤であることが好ましい。また、光硬化性導電材料の保存安定性を高めることができるので、潜在性の硬化剤が好ましい。該潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性ポリチオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されず、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
上記ポリチオール硬化剤としては、特に限定されず、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
上記アミン硬化剤としては、特に限定されず、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。上記熱硬化性化合物100重量部に対して、上記熱硬化剤の含有量は、好ましくは5重量部以上、より好ましくは10重量部以上、好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下、更に好ましくは20重量部以下である。上記熱硬化剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、光硬化性導電材料が十分に熱硬化する。
(接続構造体の他の詳細)
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板である電子部品等が挙げられる。上記接続対象部材は電子部品であることが好ましい。
本発明に係る接続構造体の製造方法及び本発明に係る接続構造体は、例えば、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続(FOG(Film on Glass))、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))、半導体チップとガラス基板との接続(COG(Chip on Glass))、又はフレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB(Film on Board))等に適用できる。なかでも、上記光硬化性導電材料は、FOG用途又はCOG用途に好適であり、COG用途により好適である。上記光硬化性導電材料は、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続、又は半導体チップとガラス基板との接続に適用することが好ましく、半導体チップとガラス基板との接続に適用することがより好ましい。
本発明に係る接続構造体の製造方法及び本発明に係る接続構造体では、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材との組み合わせが、ガラス基板とフレキシブルプリント基板又は半導体チップとの組み合わせであることが好ましく、ガラス基板と半導体チップとの組み合わせであることがより好ましい。上記第1の接続対象部材及び上記第2の接続対象部材のいずれが、ガラス基板であってもよく、フレキシブルプリント基板又は半導体チップであってもよい。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、銀電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)導電性粒子複合体の作製
ジビニルベンゼン樹脂粒子(平均粒子径3μm)の表面がニッケルめっき層(厚み0.1μm)により被覆された導電性粒子を用意した。この導電性粒子の表面に、光硬化遅延剤としてイソシアヌル酸ジグリシジルモノアリル(四国化成工業社製「MA−DGIC」)(トリアジン骨格とエポキシ基とを有する化合物)を付着させて、導電性粒子複合体を得た。得られた導電性粒子複合体は、導電性粒子99重量%と、光硬化遅延剤1重量%とを含む。
(2)異方性導電フィルム(光硬化性導電材料)の作製
フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製「PKHC」)45重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「エピコート1009」)25重量部と、光カチオン重合開始剤(三新化学工業社製「サンエイドSI−80」)10重量部と、シランカップリング剤(東レダウコーニングシリコーン社製「SH6040」)2重量部と、導電性粒子複合体15重量部(導電性粒子14.85重量部と光硬化遅延剤0.15重量部)と、トルエンとを混合し、固形分50%の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を剥離処理されたポリエチレンテレフタレート上に塗布し、溶媒を乾燥させて、厚みが20μmである異方性導電フィルムを得た。
(3)接続構造体の作製
L/Sが10μm/10μmのTi−Al−Tiである複層電極パターンを上面に有する透明ガラス基板(第1の接続対象部材)を用意した。また、L/Sが10μm/10μmである金電極パターンを下面に有する半導体チップ(第2の接続対象部材)を用意した。
上記透明ガラス基板上のチップ搭載部分に、得られた異方性導電フィルムを貼り付けた。次に、異方性導電フィルムの上側から、波長365nmの紫外線照射を光照射量が100mJ/cm2となるように照射した(第1の光照射工程)。
第1の光照射を行ってから60秒後に、異方性導電フィルム上に、上記半導体チップを電極同士が対向するように積層した。その後、ヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せた。接続条件に関しては、110℃、50MPaで5秒間の加熱及び押圧と(第1の熱の付与工程)、透明ガラス基板側からの紫外線照射とを同時に行った。具体的には、加熱及び押圧のみを開始して2秒経過後から波長365nmの紫外線を、光照射量が600mJ/cm2となるように照射した(第2の光照射工程)。加熱押圧開始から10秒後に加熱及び押圧と紫外線照射とを同時に終了させた。その後、圧力を開放した。その後、100℃で1時間加熱して(第2の熱の付与工程)、接続構造体を得た。
(実施例2)
光カチオン重合開始剤を、サンアプロ社製「CPI−101A」に変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電フィルム及び接続構造体を得た。
(実施例3)
光硬化遅延剤を1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオールに変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電フィルム及び接続構造体を得た。
(実施例4)
光硬化遅延剤をトリエチルアミンに変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電フィルム及び接続構造体を得た。
(比較例1)
比較例1では、導電性粒子と光硬化遅延剤とを複合化させずに、別々に用いた。
フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製「PKHC」)45重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「エピコート1009」)25重量部と、光カチオン重合開始剤(三新化学工業社製「サンエイドSI−80」)10重量部と、シランカップリング剤(東レダウコーニングシリコーン社製「SH6040」)2重量部と、光硬化遅延剤(イソシアヌル酸ジグリシジルモノアリル(四国化成工業社製「MA−DGIC」)(トリアジン骨格とエポキシ基とを有する化合物))1重量部と、導電性粒子20重量部とをトルエンと混合し、固形分50%の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を剥離処理されたポリエチレンテレフタレート上に塗布し、溶媒を乾燥させて、厚みが20μmである異方性導電フィルムを得た。なお、用いた導電性粒子は、ジビニルベンゼン樹脂粒子(平均粒子径3μm)の表面がニッケルめっき層(厚み0.1μm)により被覆された導電性粒子である。
(比較例2)
光硬化遅延剤を1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオールに変更したこと以外は比較例1と同様にして、異方性導電フィルム及び接続構造体を得た。
(比較例3)
光硬化遅延剤をトリエチルアミンに変更したこと以外は比較例1と同様にして、異方性導電フィルム及び接続構造体を得た。
(比較例4)
光硬化遅延剤を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電フィルムを得た。第1の光照射工程を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(比較例5)
光カチオン重合開始剤を、光ラジカル発生剤(チバジャパン社製「IRGACURE 819」)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電フィルム及び接続構造体を得た。
(実施例5)
ジビニルベンゼン樹脂粒子(平均粒子径3μm)の表面に芯物質であるニッケル粒子(100nm)を付着させた後、ニッケルめっき層(厚み0.1μm)により被覆された突起付き導電性粒子を用意した。導電性粒子をこの突起付き導電性粒子に変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電フィルム及び接続構造体を得た。
(実施例6)
ジビニルベンゼン樹脂粒子(平均粒子径3μm)の表面に芯物質であるニッケル粒子(平均粒子径100nm)を付着させた後、ニッケルめっき層(厚み0.1μm)により被覆された突起付き導電性粒子を得た。この導電性粒子の表面を、更に有機絶縁性粒子(MMA(メチルメタクリレート)の重合体による平均粒子径200nmの絶縁性粒子)にて均一に被覆して、絶縁性粒子被覆及び突起付き導電性粒子を得た。得られた絶縁性粒子被覆及び突起付き導電性粒子では、導電性粒子の表面積の約60%を絶縁性粒子が覆っていた。導電性粒子をこの絶縁性粒子被覆及び突起付き導電性粒子に変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電フィルム及び接続構造体を得た。
(実施例7)
ジビニルベンゼン樹脂粒子(平均粒子径2.5μm)の表面がニッケルめっき層(厚み0.1μm)により被覆された導電性粒子を用意した。導電性粒子をこの突起付き導電性粒子に変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電フィルム及び接続構造体を得た。
(実施例8)
導電性粒子複合体における導電性粒子と光硬化遅延剤との重量比を、導電性粒子95重量%と、光硬化遅延剤5重量%とに変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電フィルム及び接続構造体を得た。
(実施例9)
導電性粒子複合体における導電性粒子と光硬化遅延剤との重量比を、導電性粒子90重量%と、光硬化遅延剤10重量%とに変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電フィルム及び接続構造体を得た。
(評価)
(1)粘度
第1の光照射を行う前の光硬化性導電材料の粘度η1と、波長365nmの紫外線照射を、光照射量が150mJ/cm2(接続構造体作製時の光照射強度)となるように照射してから60秒後の光硬化性導電材料の粘度η2とを測定した。粘度の測定には、TAインスツルメント社製「AR−2000ex」を用いた。粘度を下記の基準で判定した。
[粘度の判定基準]
A:η2/η1が1.3以下
B:η2/η1が1.3を超え、1.5以下
C:η2/η1が1.5を超える
(2)ボイドの有無
得られた接続構造体の断面を観察して、光硬化性導電材料が硬化した接続部にボイドが生じているか否かを、光学顕微鏡により観察した。ボイドの有無を下記の基準で判定した。ボイドが無いと接続信頼性が高くなり、ボイドが少ないほど接続信頼性が高くなる。
[ボイドの有無の判定基準]
○:ボイド無し
△:僅かにボイドがあるが、電極のL/S、ピッチ以上のボイドはなし
×:隣接する電極間以上のサイズのボイドあり
(3)電極と導電性粒子との接続状態
得られた接続構造体の断面を観察して、電極と導電性粒子との間に、光硬化性導電材料が硬化した接続部が挟み込まれている箇所があるか否かを評価した。
[電極と導電性粒子との接続状態]
○○:電極と導電性粒子との間に、光硬化性導電材料が硬化した接続部が挟み込まれていない
○:電極と導電性粒子との間に、接続不良が生じない程度に、光硬化性導電材料が硬化した接続部がごくわずかに挟み込まれている
△:電極と導電性粒子との間に、接続不良が生じない程度に、光硬化性導電材料が硬化した接続部がわずかに挟み込まれている
×:電極と導電性粒子との間に、接続不良が生じる可能性がある程度に、光硬化性導電材料が硬化した接続部が挟み込まれている
(4)第2の接続対象部材の反り
得られた接続構造体において、第2の接続対象部材である半導体チップの反り量を測定した。水平な面上に接続構造体を配置して、第2の接続対象部材である半導体チップの長辺25mmでの測定における最大高さ位置と最小高さ位置との差を反り量とした。第2の接続対象部材の反りを下記の基準で判定した。なお、第2の接続対象部材の反り量が大きい場合に、第2の接続対象部材が接続部から剥離しやすい傾向があることを確認した。
[第2の接続対象部材の反りの判定基準]
○○:第2の接続対象部材の反り量が10μm未満
○:第2の接続対象部材の反り量が10μm以上、15μm未満
△:第2の接続対象部材の反り量が15μm以上、20μm未満
×:第2の接続対象部材の反り量が20μm以上
(5)電極間の接続信頼性
4端子法により、得られた接続構造体における電極間の抵抗値を測定した。その後、85℃及び湿度85%の環境下で500時間処理した接続構造体における電極間の抵抗値を再度測定した。高温高湿環境下に放置した後の抵抗値の上昇倍率に従って、電極間の接続信頼性を下記の評価基準で評価した。
[電極間の接続信頼性の判定基準]
○○○:抵抗値上昇倍率が1倍未満
○○:抵抗値上昇倍率が1倍以上、2倍未満
○:抵抗値上昇倍率が2倍以上、4倍未満
△:抵抗値上昇倍率が4倍以上、8倍未満
×:抵抗値上昇倍率が8倍以上
(6)電極間の導通信頼性
4端子法により、得られた接続構造体における電極間の抵抗値を測定した。電極間の導通信頼性を下記の基準で判定した。
[電極間の導通信頼性の判定基準]
○○:抵抗値が1.5Ω未満
○:抵抗値が1.5Ω以上、2.0Ω未満
△:抵抗値が2.0Ω以上、2.5Ω未満
×:抵抗値が2.5Ω以上
結果を下記の表1に示す。
なお、実施例1と実施例5,6とでは、接続信頼性及び導通信頼性の評価結果は「○○」であるが、接続信頼性の抵抗値上昇率は、実施例5,6の方が実施例1よりも小さく、導通信頼性の抵抗値は実施例5,6の方が実施例1よりも小さかった。また、実施例6では、実施例1,5よりも、横方向に隣接する電極間の絶縁信頼性に優れていた。