JP2015190704A - 化学蓄熱装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】化学蓄熱装置1は、化学蓄熱材11が内蔵された反応器10と、空調空気7aと熱交換を行う蒸発器2と、冷熱を蓄える蓄冷材5とを備えている。化学蓄熱材11は、水和反応により放熱し、脱水反応により蓄熱する。蒸発器2は、媒体流路23によって反応器10と連通され、反応媒体4を蒸発させた媒体蒸気4gを生成すると。蓄冷材5は、蒸発器2において、反応媒体4が媒体蒸気4gへと変化する際の気化潜熱によって生じる冷熱を蓄えることができる。
【選択図】図2
Description
化学蓄熱装置における化学蓄熱材の水和反応の反応性は、反応初期に高く、時間が経つにつれて低下していく。また、化学蓄熱材の水和反応に用いられる水蒸気量は、反応性が高い場合には多量となり、反応性が低い場合には少量となる。したがって、蒸発器においては、化学蓄熱材における水和反応の反応性が高い反応初期に、多量の水蒸気を発生させ、多くの冷熱が生じるため必要とされる冷房性能よりも高い冷房性能を発揮できる。その一方で、化学蓄熱材の反応性が低くなる反応後期には、水蒸気の発生量が低下する。したがって、冷熱の発生量が低下し、ひいては蒸発器における冷房性能が低下する。
媒体流路によって上記反応器と連通され、反応媒体を蒸発させた媒体蒸気を生成すると共に空調空気と熱交換を行う蒸発器と、
該蒸発器において上記反応媒体が上記媒体蒸気へと変化する際の気化潜熱によって生じる冷熱を蓄える蓄冷材とを備えていることを特徴とする化学蓄熱装置にある。
上記化学蓄熱装置にかかる実施例について図1〜図3を参照して説明する。
図1及び図2に示すごとく、化学蓄熱装置1は、化学蓄熱材11が内蔵された反応器10と、空調空気7aと熱交換を行う蒸発器2と、冷熱を蓄える蓄冷材5とを備えている。化学蓄熱材11は、水和反応により放熱し、脱水反応により蓄熱する。蒸発器2は、媒体流路23によって反応器10と連通され、反応媒体4を蒸発させた媒体蒸気4gを生成すると。蓄冷材5は、蒸発器2において、反応媒体4が媒体蒸気4gへと変化する際の気化潜熱によって生じる冷熱を蓄えることができる。
図1及び図2に示すごとく、本例に示す化学蓄熱装置1は、化学蓄熱材11を内蔵した反応器10と、反応器10へ媒体蒸気4gを供給するための蒸発器2と、反応器10から排出された媒体蒸気4gを凝縮するための凝縮器3とを備えている。反応器10は、車両用空調における暖房の熱源として利用されている。また、蒸発器2は、車両用空調における冷房の冷熱源として利用されており、ブロアファン7により送風された空調空気7aとの間において熱交換することで、冷風を発生させることができる。
化学蓄熱材11は、例えば、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)によって形成されている。反応器10内では、以下に示すように蓄熱、放熱が可逆的に繰り返される。
Ca(OH)2 ⇔ CaO + H2O
なお、化学蓄熱材11としては、水酸化カルシウム以外にも、蓄熱、放熱を可逆的に繰り返す材料を用いることができる。
車両が信号待ち等で停車しエンジンが停止した際に、化学蓄熱装置1が作動する。このとき、化学蓄熱材11は、脱水された蓄熱状態にある。
まず、三方弁141を動作させ、導入排出流路14と媒体流路23とを連通させる。これにより、蒸発器2の蒸発室21内に貯留された反応媒体4が蒸発し、媒体蒸気4gとなり反応器10へと供給される。反応器10内に配設された化学蓄熱材11は、媒体蒸気4gと水和反応することで放熱する。化学蓄熱材11が放熱した熱は、冷媒流路13内を流通するエンジン冷却液との間において熱交換する。熱交換により加熱されたエンジン冷却液は、ヒータコアへと送られ、車両用空調の暖房時における熱源として利用される。
化学蓄熱装置1は、蒸発器2において反応媒体4が媒体蒸気4gへと変化する際の気化潜熱によって生じる冷熱を蓄える蓄冷材5を備えている。そのため、反応器10の反応性が高い反応初期においては、必要な冷房性能を得るための冷熱以外の余剰となる冷熱を蓄冷材5に蓄えることができる。そして、反応器10の反応性が低くなる反応後期においては、蒸発器2において不足する冷熱を、蓄冷材5に蓄えられた冷熱によって補うことができる。これにより、蒸発器2によって必要な冷房性能を長時間維持することができる。
本例は、図4に示すごとく、実施例1における化学蓄熱装置1の構造を変更した例を示すものである。
本例の化学蓄熱装置1における蓄冷材5は、蒸発器2の外側に設けられると共に、内部に反応媒体4を流通する内部流路51が形成されている。また、蓄冷材5の内部流路51と蒸発器2の蒸発室21との間には、反応媒体4を循環する循環流路52が設けてある。蓄冷材5の大きさは、実施例1の化学蓄熱装置における畜冷材に比べて大きく設定してある。
その他の構成は実施例1と同様である。尚、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
また、本例においても実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
本例は、図5に示すごとく、実施例1における化学蓄熱装置1の構成を変更した例を示すものである。
本例の化学蓄熱装置1は、反応器10として、第1反応器101及び第2反応器102の2つを備えている。第1反応器101と蒸発器2とは、第1媒体流路231によって連通しており、第2反応器102と蒸発器2とは、第2媒体流路232によって連通している。第1媒体流路231には、流通する媒体蒸気4gの流量を調節する流量調節手段8としての第1バルブ81を設けてある。また、第2媒体流路232には、流量調節手段8としての第2バルブ82を設けてある。
その他の構成は実施例1と同様である。尚、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
また、本例においても実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
本例は、図6に示すごとく、実施例1における化学蓄熱装置1の構成を変更した例を示すものである。
本例の化学蓄熱装置1の蒸発器2は、反応媒体4の一部を貯留することができる補助貯留容器6を備えている。蒸発器2と補助貯留容器6とは、補助流路61によって接続されており、反応媒体4を循環可能に構成されている。
その他の構成は実施例1と同様である。尚、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
また、本例においても実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
10、101、102 反応器
11 化学蓄熱材
2 蒸発器
23、231、232 媒体流路
4 反応媒体
4g 媒体蒸気
5 蓄冷材
7a 空調空気
Claims (7)
- 水和反応により放熱し、脱水反応により蓄熱する化学蓄熱材(11)が内蔵された反応器(10)と、
媒体流路(23)によって上記反応器(10)と連通され、反応媒体(4)を蒸発させた媒体蒸気(4g)を生成すると共に空調空気(7a)と熱交換を行う蒸発器(2)と、
該蒸発器(2)において上記反応媒体(4)が上記媒体蒸気(4g)へと変化する際の気化潜熱によって生じる冷熱を蓄える蓄冷材(5)とを備えていることを特徴とする化学蓄熱装置(1)。 - 上記蓄冷材(5)は、上記蒸発器(2)の内側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の化学蓄熱装置(1)。
- 上記蓄冷材(5)は、上記蒸発器(2)の外側に設けられると共に、内部に上記反応媒体(4)を流通する内部流路(51)が形成されており、上記蒸発器(2)と上記内部流路(51)との間において上記反応媒体(4)を循環する循環流路(52)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の化学蓄熱装置(1)。
- 上記蓄冷材(5)と空調空気(7a)との間においても熱交換を行うことができることを特徴とする請求項3に記載の化学蓄熱装置(1)。
- 上記蓄冷材(5)の凝固点は、目標の冷房性能を得るための上記蒸発器(2)における目標温度以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の化学蓄熱装置(1)。
- 上記反応器(10)としては、第1反応器(101)及び第2反応器(102)の2つを備えており、上記第1反応器(101)と上記蒸発器(2)とは、第1媒体流路(231)によって連通しており、上記第2反応器(102)と上記蒸発器(2)とは、第2媒体流路(232)によって連通しており、上記第1媒体流路(231)及び上記第2媒体流路(232)を流通する上記媒体蒸気(4g)の流量を調整する流量調節手段(8)を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の化学蓄熱装置(1)。
- 上記蒸発器(2)は、上記反応媒体(4)の一部を貯留することができる補助貯留容器(6)を備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の化学蓄熱装置(1)。
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