JP2015186868A - 積層布帛および該積層布帛からなる表皮材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 摩擦時の帯電電荷量や長時間荷重を加えた厚み低下が少なく、制電性やクッション性に優れており、さらには自動車用座席や事務用椅子等の表面被覆材とした場合に皺発生が少なく張り栄えする積層布帛を提供する。【解決手段】 導電性不織布、接着層、生地の順に積層された積層布帛であって、該導電性不織布が非導電性繊維としてポリエステル系短繊維を50〜99.5質量%、制電短繊維を0.5〜50質量%含有することを特徴とする積層布帛。【選択図】なし

Description

本発明は、導電性不織布、接着層および生地が積層され、制電性やクッション性を有し、さらには座席や椅子等の表面に貼り付けた際に張り栄えや耐へたり性に優れる積層布帛や該積層布帛からなる座席や椅子等の表皮材に関する。
自動車用座席や事務用椅子等の表面被覆材として使用されている生地には、その張り栄えやクッション性を増すために、該生地の裏面に発泡ポリウレタン層に代表される発泡樹脂層が貼り合わされている。生地の表面に発泡樹脂層を貼り合わせる方法としては、ウレタン系接着剤等の接着剤で貼り合わせる方法と、一般的には、発泡樹脂層表面に炎を当てて、同表面を燃焼溶融させ、溶融した状態で生地の裏面に貼り合わせるフレームラミネーションという方法等があり、後者の方法が広く用いられている。
また、生地が貼り合わされた発泡樹脂層の貼り合わせ面とは反対側の発泡樹脂面には滑り性の向上のため、ポリエステル、ポリアミド等の繊維で作成された織編物、不織布が同様な手法により貼り合わせられることが多い。
しかしながら、このように作成された発泡樹脂層に貼り合わされた生地は生地に静電気防止のための処方がなされなかった場合、衣服と擦れ合って静電気を発生させやすく、これらの生地を座席や椅子に使用した場合、使用した人の人体に静電気がたまり、電撃を受けやすくなり不快を与えることとなる。そのため、静電気防止のために、界面活性剤等の樹脂を生地に付着させたり、制電繊維を生地に含ませたり、導電性樹脂を生地裏面にコートしたりしている。
しかし、生地に界面活性剤等の樹脂を付着させた場合、寒冷時等の空気中の絶対水分量が少ない場合には効果が乏しい。また、制電繊維を生地に含ませる方法は空気中の水分量に影響を受けずに制電効果が期待できるが、生地に含ませるために生地の企画、デザインに制約がでてしまう。導電性樹脂を生地裏面にコーティングしたものも空気中の水分量に影響を受けずに制電効果が期待できるが、コーティングされた導電性樹脂が固いため生地の伸縮性を損ない、椅子の形状によっては対応できない場合がある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、すなわち、発泡ウレタン層の代わりに制電短繊維を含んだ導電性不織布を用い、該導電性不織布を接着層を介して生地の裏面に貼り合わせることで、静電気の発生を抑えることを目的としている。また、積層布帛を構成する導電性不織布の外表面にフック系ファスニングと係合力を有することで座席や椅子の製造を容易にすることができ、さらには接着層にポリウレタン樹脂またはポリプロピレン樹脂を含み、接着層を火炎で溶融しその溶融を利用して導電性不織布と生地とを貼り付けることができることを目的としている。
すなわち、本発明は、
(1)導電性不織布、接着層、生地の順に積層された積層布帛であって、該導電性不織布が非導電性繊維としてポリエステル系短繊維を50〜99.5質量%、制電短繊維を0.5〜50質量%含有することを特徴とする積層布帛、
(2)導電性不織布の原綿として、ポリエステル系短繊維捲縮率Kが20%〜60%のポリエステル系短繊維を30質量%以上使用してなる(1)記載の積層布帛、
(3)非導電性繊維が芯鞘型複合繊維またはサイドバイサイド型複合繊維である(1)または(2)に記載の積層布帛、
(4)導電性不織布がニードルパンチ不織布である(1)〜(3)に記載の積層布帛、
(5)接着層を形成する樹脂がポリウレタン樹脂およびポリプロピレン樹脂の少なくとも1種類を含む(1)〜(4)記載の積層布帛、
(6)導電性不織布の外表面が、フック系ファスナーと係合する性能を有する(1)〜(5)記載の積層布帛、
(7)接着層を火炎により処理することで、接着層を介して導電性不織布と生地とを接着させることを特徴とする(1)〜(6)記載の積層布帛の製造方法、
(8)(1)〜(7)に記載の積層布帛からなる座席または椅子の表皮材、
を提供する。
本発明の積層布帛は、摩擦時の帯電電荷量や長時間荷重を加えた後の厚み低下が少なく、制電性やクッション性に優れており、さらには自動車用座席や事務用椅子等の表面被覆材とした場合には皺発生が少なく張り栄えするため、座席や椅子をはじめ各種の上貼り(表皮材)として適している。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の積層布帛は、導電性不織布、接着層、生地の順に積層された構造を有する。
本発明の積層布帛は、限定されるものではないが、例えば自動車用座席、自動車内装材用ドア、事務用椅子等に表面被覆材として使用される生地に、制電性、張り栄えやクッション性を向上させるために用いることが可能であって、従来一般に使用されている裏貼り用の発泡ポリウレタン樹脂層の代替物として用いることができる。
本発明の積層布帛を構成する導電性不織布は生地の張り栄えやクッション性を向上させたり、生地の制電性を改善したりする役割を担うものである。すなわち生地単独よりも積層布帛とした場合に張り栄え、クッション性、制電性を向上させる場合に主たる役割を担う。
本発明において、導電性不織布は、裏貼りした生地の張り栄え性、クッション性等を担う部分であり、これらの性能をもたらす上から、生地および接着層と一体化して積層布帛を形成した後の、導電性不織布部分の厚みは1mm以上あることが好ましく、より好ましくは厚みが2mm以上、さらに好ましくは厚みが4mm以上である。厚みが1mm未満の場合には、目的とする生地の張り栄え、クッション性が得られない。厚みに上限は特にないが、導電性不織布が容易に作製できること、得られる積層布帛の縫製し易さ等を考慮すると厚さが15mm以下が適当である。
導電性不織布は、積層布帛を製造するための各工程での張力の影響、巻き上げの影響、貼り付け工程での圧着の影響により厚みは減じる方向となるため、貼り付け後の導電性不織布厚さを1mm以上にするためには、接着層を介して生地と積層させる前の状態では2mm以上の厚みを有していることが好ましく、より好ましくは3mm以上である。
導電性不織布の重量(目付け)としては特に制限はないが、生産面およびコスト面を考慮すると50〜700g/m、さらに80〜500g/m、特に100〜300g/mが好適である。また、導電性不織布の見かけ密度としては、クッション性と形状安定性や強度特性とを両立させることが容易な点で0.03〜0.08g/cmの範囲、特に0.04〜0.06g/cmの範囲が好ましい。
本発明において、導電性不織布中にポリエステル系短繊維が含有されていることが、へたり(嵩高の減少)が少なく、高いクッション性が得られる点で重要である。
本発明の効用を奏する限りにおいては、ポリエステル系短繊維を構成する樹脂の種類は限定されないものの、耐へたり性やクッション性、さらには調達の入手容易性や経済性等の点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂またはこれらを主たる繰り返し単位とする共重合ポリエステル樹脂がもっとも好適例として挙げられる。これらポリエステル系繊維の構成樹脂としては、環境面を考慮した資源の有効活用の観点から、ペットボトル、廃プラスチックから回収されたポリエステル樹脂であってもよい。また、ポリ乳酸のような非石油系ポリエステル系樹脂から得られた短繊維であってもよい。
導電性不織布中のポリエステル系短繊維含有量は50〜99.5質量%の範囲であることが、へたりを少なくし、クッション性を確保することが容易となる点で重要である。ポリエステル系短繊維含有量のより好ましい範囲は80〜99.5質量%であり、特に好ましい範囲は90〜99.5質量%である。
導電性不織布を構成する短繊維として、ポリエステル系短繊維の他に、ポリアミド系やポリオレフィン系等の合成繊維、レーヨンで代表される化学繊維、コットン、麻、羊毛等の天然の短繊維を本発明の効果を損なわない程度含んでいてもよい。また、使用される短繊維が顔料、染料等で着色されていても構わない。
また、導電性不織布に使用するポリエステル系短繊維の繊度(太さ)および繊維長に関しては、特に限定はないが、繊度としては1〜20デシテックス(以下dtexと表記する場合がある)の範囲が好ましく、より好ましくは1.5〜15dtexの範囲、もっとも好ましくは2〜11dtexの範囲であり、繊維長は15〜100mmの範囲が好ましく、より好ましくは20〜80mmの範囲、もっとも好ましくは25〜60mmの範囲である。
その中でも、導電性不織布を構成する繊維として、均一性と嵩高性、さらに耐へたり性およびクッション性を付与する点から、捲縮率Kが20%〜60%のポリエステル系の短繊維原綿を使用するのが好ましい。より好ましくは、捲縮率Kが25〜50%のポリエステル系短繊維を導電性不織布を構成する繊維の全質量に対して20〜99.5質量%用いるのが、優れた嵩高性と張り栄え、さらにクッション性および耐へたり性が得られる点で好ましい。
ここでいう捲縮率Kとは、熱処理前の短繊維を50〜100dtexの太さとなる本数を揃え、10dtexあたり0.1gの荷重をかけて短繊維の長さを測定し(L1)、その繊維束を180℃で15分間乾熱処理し、その後同じ荷重をかけて繊維長を測定する(L2)。そして次式により捲縮率Kを求める。
捲縮率K(%)=(L1−L2)/L1×100
このような捲縮率Kが20%〜60%のポリエステル系短繊維は、具体的には短繊維を生産する際に付与する捲縮の捲縮率、捲縮数を大きくすることで得られ、さらには収縮率の異なる2種類のポリエステル樹脂をサイドバイサイド断面となるように複合紡糸することにより製造される。捲縮率Kが20%〜60%のポリエステル系短繊維を導電性不織布の原綿として用いる場合、その繊度は1.5〜20dtexの範囲が好ましく、特に2〜11dtexの範囲が好ましい。捲縮率Kが20%未満では、嵩高な導電性不織布が得られず、得られる積層布帛のクッション性及び耐ヘタリ性も劣り好ましくない。捲縮率Kが60%を超えると、熱収縮率が大きく、得られる積層布帛が硬いクッション性となり好ましくない。
本発明の積層布帛を構成する導電性不織布において、導電性不織布中の制電短繊維の含有量を0.5〜50質量%とすることが、制電短繊維とポリエステル系短繊維等とを混綿して導電性不織布を作成する際に、不織布中における制電短繊維の均一性を有して、制電効果の均一性を十分とし、かつ得られる積層布帛のクッション性や経済性を確保するために重要である。
本発明において、導電性不織布を構成する制電短繊維は、発明の効用を奏する限りにおいては限定されるものではないが、カーボンを含有する熱可塑性ポリエステル樹脂、または熱可塑性ポリアミド樹脂からなる導電層とカーボンを実質的に含まない熱可塑性ポリエステル樹脂、または熱可塑性ポリアミド樹脂からなる保護層とからなることが、制電短繊維の制電特性と制電短繊維を製造する際の安定性とを両立する上で好ましく採用される。
導電層に含まれるカーボンの含有量については、20〜40質量%であり、好ましくは25〜35質量%である。カーボンの含有量が20質量%より少ない場合には、本発明が目的とするような導電性が得られず、充分な除電性能は発揮されず好ましくない。一方、40質量%を超える場合は、制電短繊維の強度特性が低下し好ましくない。導電層中のカーボンとしては、導電性カーボンブラック等の公知のものを使用することができ、他にアセチレンブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラック、ケッチェンブラック等が例示される。なかでも、導電性カーボンブラックが好ましく用いられ、10−3〜10Ω・cmの固有電気抵抗を有するものがより好ましい。
導電層に使用される熱可塑性ポリエステル樹脂としては、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン‐2,6‐ジカルボン酸、4,4’ ‐ジカルボキシジフェニル、5‐ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸などのジカルボン酸成分と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4‐ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオール;ビスフェノールAまたはビスフェノ−ルSのエチレンオキサイド付加物等の芳香族ジオ−ル;シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオールなどのジオール成分を用いて形成された繊維形成性ポリエステル、さらにはポリブチレンテレフタレート系の樹脂を挙げることができる。また、導電層を構成する樹脂の融点は200℃以上であることが実用耐久性の点で好ましい。
導電層に使用される熱可塑性ポリアミド樹脂としては、例えばナイロン12、ナイロン11、ナイロン6、ナイロン66、ナイロンエラストマー等を挙げることができる。
導電層の質量の割合としては、制電短繊維質量に対して15〜50質量%であることが好ましい。50質量%を超えると制電短繊維の原料となる制電糸を紡糸する時の曳糸性が低下する傾向にあり、紡糸断糸、延伸断糸が頻発する。15質量%未満では制電短繊維ごとの制電特性のばらつきが発生するため好ましくない。
保護層は、制電短繊維の原料となる制電糸の良好な工程性を維持することや導電層との界面剥離を生じさせず、長期耐久性能を維持することが容易になる点から繊維形成可能な熱可塑性ポリエステル樹脂及び熱可塑性ポリアミド樹脂を使用することができる。
保護層に使用される熱可塑性ポリエステル樹脂としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン‐2,6‐ジカルボン酸、4,4’ ‐ジカルボキシジフェニル、5‐ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸などのジカルボン酸成分と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4‐ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオール;ビスフェノールAまたはビスフェノ−ルSのエチレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール;シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオールなどのジオール成分を用いて形成された繊維形成性ポリエステルを挙げることができる。なかでも汎用ポリエステルであるエチレンテレフタレート単位、ブチレンテレフタレート単位を80モル%以上、好ましくは90モル%以上含有するポリエステルを挙げることができ、少量の第三成分を含む変性ポリエステルも使用することが可能である。
保護層に使用される熱可塑性ポリアミド樹脂としては、具体的にはナイロン12、ナイロン11、ナイロン6、ナイロン66、ナイロンエラストマー等を挙げることができる。さらに、これらに少量の添加剤、蛍光増白剤、安定剤等を含んでいてもよい。
前記熱可塑性ポリエステル樹脂及び熱可塑性ポリアミド樹脂は、繊維化する際の溶融粘度特性が良好であり、更に繊維物性、耐熱性が優れたものが好ましく採用される。なかでも、ポリエチレンテレフタレート系のポリエステル、ポリアミド系ではナイロン6が繊維化工程性、繊維物性、耐久性の点で好ましい。
制電短繊維の単糸繊度としては混綿のしやすさ、カーディング性等の点から2〜20dtexが好ましく、繊維長としてはカーディング性の点から15〜80mmが好ましい。
制電短繊維の単糸としての電気抵抗値としては、積層布帛が所望の性能を満足する限りにおいては限定されないものの、1×109Ω/cm以下であることが好ましい。
さらに導電性不織布が単繊維単位の全体あるいは一部の成分が180℃以下、より好ましくは150〜180℃で溶融する単繊維を全繊維の10質量%以上、より好ましくは10〜40質量%、特に好ましくは15〜30質量%含み、熱処理された導電性不織布であることが、導電性不織布の耐へたり性、クッション性の向上の点で好ましい。また、導電性不織布の接着層と反対側の面が、フック系ファスナーと係合性能を有するようにする場合に高い係合力を得ることが容易となる上でも好ましい。
単繊維単位全体が180℃以下で溶融する繊維の好ましい一例としては、繊維全体が溶融温度が180℃以下である共重合ポリエステルからなるポリエステル繊維が該当するがこれに限定されるものではない。
前記単繊維単位全体が180℃以下で溶融する繊維を導電性不織布に用いる場合においては、繊度が1〜20dtexのものが好ましく、繊維長としては15〜80mmの範囲のものが好ましい。不織布構成主体繊維であるポリエステル系繊維との熱融着性を考慮すると、同主体繊維と同様の繰り返し単位を主単位とするポリエステル系樹脂から構成されているのが好ましい。
一方、単繊維の一部が180℃以下で溶融する繊維の好ましい一例としては、例えば、芯鞘型複合繊維において鞘成分が180℃以下で溶融する樹脂で構成され、かつ芯成分を構成する樹脂が、鞘成分を構成する樹脂の溶融温度よりも高い溶融温度である樹脂で構成されている複合繊維や、180℃以下で溶融する樹脂と前記樹脂よりも高い溶融温度である樹脂とがサイドバイサイドで存在しているような複合繊維等、繊維表面の一部または全面が180℃以下で溶融する樹脂で覆われている複合繊維がこれに当てはまり、一般的にはバインダー繊維とよばれる繊維である。前記複合繊維において、芯鞘型複合繊維の芯成分を構成する樹脂や、サイドバイサイド型複合繊維の高溶融温度のサイドを構成する樹脂は、180℃では溶融しない樹脂であることが導電性不織布の強度特性を有する上で好ましく、特に210℃以上でも溶融しない樹脂が好ましい。
前記芯鞘型複合繊維あるいはサイドバイサイド型複合繊維において、180℃以下で溶融する樹脂としては、共重合により融点を低下させたポリエステル樹脂が好ましい。また前記180℃以下で溶融する樹脂よりも高い溶融温度である樹脂としては、実質的に共重合されていない、あるいは共重合されていても共重合の割合が前記180℃以下で溶融する樹脂より少ないポリエステル樹脂が好ましい。繊維の一部が180℃以下で溶融するバインダー繊維を用いる場合には、その繊度は1〜20dtexの範囲が好ましい。また、バインダー繊維を不織布構成繊維の一部として用いる場合には、不織布を構成する主体繊維であるポリエステル系繊維との熱融着性を考慮すると、180℃以下で溶融する樹脂は、同主体繊維と同様の繰り返し単位を主単位とするポリエステル樹脂であるのが好ましい。
特に、このような、芯鞘型複合繊維が導電性不織布を構成する繊維の一部として用いられ、かつ上記の捲縮率を満足する繊維が用いられている場合、例えば芯鞘型複合繊維またはサイドバイサイド型複合繊維が導電性不織布を構成する全繊維の20〜90質量%であり、かつ上記捲縮率を有する繊維が導電性不織布を構成する全繊維の10〜40質量%である場合には、導電性不織布、さらには得られる積層布帛は極めてクッション性に富むとともに、そのようなクッション性が長期間の使用によっても保有され、へたることがないことから特に好ましい。サイドバイサイド型複合繊維が、その一成分に180℃以下で溶融する樹脂を用いて製造されたもので、上記捲縮率Kを満足するものを用いることも可能である。
なお、180℃以下の乾熱で溶融する繊維をバインダー成分として用いる場合には、同短繊維を含む導電性不織布を熱処理して、該バインダー成分を溶融させてバインダー効果を発現させることとなるが、該熱処理温度はバインダー成分が溶融する温度以上でかつ該溶融温度プラス30℃以下が好適である。
導電性不織布の製造方法としては、カーディングにより短繊維のウェブを作製し、当該ウェブを、水流、ニードルパンチ、バインダー樹脂等にて繊維同士を交絡・固定させる方法が挙げられる。
導電性不織布に用いる繊維同士の固定方法としては、上記したように、水流、ニードルパンチ、バインダー処理等が一般的であるが、特に2mm以上の厚さの導電性不織布を得るには、ニードルパンチによるものが、交絡性の点で有利であり好ましい。ニードルパンチ条件としては、10〜500本/cm程度の針刺し密度条件を採用するのが好ましい。
また、バインダー樹脂、バインダー繊維等のバインダーを用いる固定方法も好ましく採用され、バインダー樹脂、バインダー繊維の具体例として、アクリル系の接着剤、あるいは前述したような180℃以下で溶解する樹脂を含む芯鞘型複合繊維やサイドバイサイド型複合繊維等の複合繊維からなるバインダー繊維を使用することができるが、均一かつ強固な固定が得られることから180℃以下で溶融する樹脂を含む芯鞘型複合繊維やサイドバイサイド型複合繊維等の複合繊維からなるバインダー繊維を用いる場合が好ましい。もちろん、これら固定方法の2つ以上、例えばバインダー繊維を用い、かつニードルパンチ法を併用する方法を採用してもよい。
本発明において導電性不織布は、接着層と反対側の面が、フック系ファスナーとの係合性を有するように製造されてもよい。従来、生地等をウレタンフォーム等に固定する方法としては、接着剤やワイヤーで固定する方法等が一般的であったが、生地のウレタンフォームへの貼り直しや張り替え等が非常に困難となる課題があった。この固定を例えばウレタンフォームにフック系ファスナーを装着しておき、導電性不織布の外表面にフック系ファスナーとの係合性を有している積層布帛と該ウレタンフォームのフック系ファスナー装着部とを係合させることで、積層布帛を容易に固定することが可能となる。また、上記方法によれば積層布帛の貼り直し、張り替えを容易に行うことが可能となる。
外表面にフック系ファスナーとの係合機能を有する導電性不織布を製造するには、例えば、ニードルパンチ法で得られた導電性不織布を経方向もしくは緯方向に押し込み、該導電性不織布が押し込まれた状態にてニードルでパンチングすることで凹凸の形状とすることや、導電性不織布を接着層と接する側から突起物で突いてループを作成し、ループ形状を形成することなどで得られるが、特に手法を限定しない。
凹凸となる面に使用される原綿は1.5dtex以上の繊度であることが係合性が強くなるという点で好ましく、2.0dtex以上がより好ましい。また、全体的に使用する原綿が180℃以下、より好ましくは150〜180℃の間で溶融する短繊維を10質量%以上、より好ましくは、全繊維の10〜40質量%、特に好ましくは、15〜30質量%含む短繊維で構成され、最終的に熱処理を施されることが、係合性が強くなるという点で好ましい。
積層布帛としての係合性は、例えばフック系ファスナーA8693(クラレファスニング製)との係合力(JIS L3416)で0.5N/cm以上であることが好ましく、さらには1N/cm以上がより好ましい。
本発明の積層布帛は接着層を有する。接着層は、導電性不織布と生地とを接着層を介して接着させ、導電性不織布と生地とを積層させる役目を担う。
接着層を構成する材料としては、生地に対して接着性を有する材料であって、本発明の積層布帛の効用を阻害しない材料であれば、限定されるものではない。
常温で硬化反応等によって接着能力を有する材料であってもよく、高温で溶融したのち固化することで接着能力を有する材料であってもよい。
接着層を構成する材料として、熱を加えることで接着能力を有する樹脂を用いてもよい。具体的には、例えばポリウレタン樹脂もしくはアクリル系樹脂からなるホットメルト系の接着剤を用いて導電性不織布と生地とを貼り合わせることが、接着剤入手の容易性や接着性能、さらには接着後の化学的安定性等から好ましく採用される。
もしくは、接着層がポリプロピレン樹脂からなるシート状構造物であってもよく、導電性不織布と前記ポリプロピレン樹脂からなるシート状構造物とを積層させて生地裏貼り用積層シートを形成し、さらに生地裏貼り用積層シートを熱処理して生地裏貼り用積層シートのポリプロピレン樹脂面と生地とを接触させて積層布帛を形成してもよい。前記ポリプロピレン樹脂からなるシート状構造物はポリプロピレン繊維からなる不織布または織編物であることが好ましい。生地裏貼り用積層シートを熱処理する方法として、生地裏貼り用積層シートのポリプロピレン樹脂面を火炎により処理する方法を採用してもよい。
ポリプロピレン樹脂からなるシート状構造物を接着層とする場合の好ましい製造方法の具体的な一例としては、接着層がポリプロピレン繊維からなる不織布であって、該ポリプロピレン繊維からなる不織布と導電性不織布とをニードルパンチ法等の方法で積層化させて生地裏貼り用積層シートを形成し、接着層であるポリプロピレン繊維からなる不織布の面を火炎により融着させ、接着層が融着している間に生地裏面と貼り合わせる方法が挙げられる。
貼り合わせの強力は特に制約はないが、その後の縫製工程や椅子等への設置時のはがれ、また椅子等の商品として使用中でのはがれが発生しないようにするためには積層布帛における剥離強さはJIS L3416に準拠して1〜10N/cmであることが好ましい。また、その方法としてはフレームラミネーションの手法が特に効率よく行うことができる。ここでいうフレームラミネーション手法は接着剤を使用することなく、接着層の表面を火炎により溶融し、溶融している間に生地または導電性不織布と貼り合わせる手法である。
フレームラミネーションの手法を採用する場合、接着層を構成する樹脂は、ポリウレタン樹脂またはポリプロピレン樹脂であることが好ましい。
接着層として、ポリプロピレン樹脂またはポリウレタン樹脂からなる織編物、不織布等を導電性不織布の接着面に積層させるようにするには、導電性不織布と接着層を別々に作成して、それぞれをバインダーにて接着させる方法や、導電性不織布と接着層を積層して導電性不織布側からニードルパンチを施し、導電性不織布を構成している短繊維を接着層と絡める方法等で得ることができる。
本発明の積層布帛において導電性不織布と貼り合わせる生地としては、モケット、ベルベットを含めた織物、ラッセル、トリコットの経編地、丸編等の緯編地等が挙げられる。また、不織布や織編物の表面にポリウレタン樹脂や塩化ビニル樹脂を存在させた合成皮革であっても、天然皮革でもよい。
生地は導電性不織布の片側の表面に貼り合わせてもよく、導電性不織布の両側の表面に貼り合わせてもよい。
以下、実施例をもって本発明を説明するが、これにより本発明の範囲が制限されるものではない。なお、各例における物性評価は、以下に示す方法で行った。
(厚み)
試料側面の厚み方向の写真を任意に3箇所撮影した後、前記写真を拡大した写真から厚みを求めてその平均値を厚み値とした。
(制電性)
JIS L1094 摩擦帯電電荷量測定法に準じて測定した。
(ファスナーとの係合性)
JIS L3416 に準じてクラレ製フック型面ファスナーA8693Yとの係合性を測定した。
(皺の発生)
積層布帛を事務用椅子および自動車用座席の上張り(表皮材)とした場合の、皺の有無を3名で目視評価し、2名以上が「皺がない」と判定した場合に「皺の発生がない」とした。
(張り栄え)
積層布帛を事務用椅子および自動車用座席の上張り(表皮材)とした場合の、張り感の有無を3名で目視評価し、2名以上が「張り感がある」と判定した場合に「張り栄えがある」とした。
(クッション性)
3名の評価者が積層布帛を上張り(表皮材)とした事務用椅子および自動車用座席に着座し、2名以上が「クッション性がある」と判定した場合に「クッション性に優れる」とした。
(へたり)
積層布帛を上張り(表皮材)とした事務用椅子に400MPaの荷重を5時間かけ、荷重を除いた後の厚みが、荷重をかける前の厚みの80%以上の場合を「へたりの生じない」とした。
実施例1
繊度が5.5dtexで繊維長が51mmで単糸の電気抵抗値が1×10Ω/cmの制電短繊維1質量%、繊度が3.3dtexで繊維長が51mm、捲縮率Kが25%のポリエチレンテレフタレート短繊維99質量%を用いてカードによりウェブを作製した後、ニードルパンチによる交絡方法により、目付け200g/m、厚みが4.0mmの不織布を得た。
上記導電性不織布を生地であるポリエステル繊維製丸編地裏に、接着層としてウレタン系接着剤を介して貼り合わせたところ、積層布帛の状態での導電性不織布部分の厚さは4.0mmであった。
そして、得られた積層布帛の生地側の外表面を摩擦帯電電荷量測定で制電性を測定したところ、摩擦布アクリルで0.7μC/m、摩擦布ナイロンで0.5μC/mで制電性に優れ、クッション性も良好であった。
また、得られた積層布帛を該積層布帛の生地側が外表面となるように事務用椅子および自動車用座席の上張り(表皮材)として使用したところ、皺の発生がなく張り栄えがし、クッション性に優れ、かつ、へたりの生じないものであった。
実施例2
繊度が5.5dtexで繊維長が51mmで単糸の電気抵抗値が1×10Ω/cmの制電短繊維40質量%、繊度が3.3dtexで繊維長が51mm、捲縮率Kが25%のポリエチレンテレフタレート短繊維60質量%を用いてカードによりウェブを作製した後、ニードルパンチによる交絡方法により、目付け220g/m、厚みが4.0mmの導電性不織布を得た。
上記導電性不織布を生地であるポリエステル繊維製丸編地裏に、接着層としてウレタン系接着剤を介して貼り合わせたところ、積層布帛の状態での導電性不織布部分の厚さは3.8mmであった。
そして、得られた積層布帛の生地側の外表面を摩擦帯電電荷量測定で制電性を測定したところ、摩擦布アクリルで0.4μC/m、摩擦布ナイロンで0.4μC/mで制電性に優れ、クッション性も良好であった。
また、得られた積層布帛を該積層布帛の生地側が外表面となるように事務用椅子および自動車用座席の上張り(表皮材)として使用したところ、皺の発生がなく張り栄えがし、クッション性に優れ、かつ、へたりの生じないものであった。
比較例1
繊度が5.5dtexで繊維長が51mmで単糸の電気抵抗値が1×10Ω/cmの制電短繊維0.1質量%、繊度が3.3dtexで繊維長が51mm、捲縮率Kが25%のポリエチレンテレフタレート短繊維99.9質量%を用いてカードによりウェブを作製した後、ニードルパンチによる交絡方法により、目付け200g/m、厚みが4.0mmの導電性不織布を得た。
上記導電性不織布を生地であるポリエステル繊維製丸編地裏に、接着層としてウレタン系接着剤を介して貼り合わせたところ、積層布帛の状態での導電性不織布部分の厚さは4.0mmであった。
そして、得られた積層布帛の生地側の外表面を摩擦帯電電荷量測定で制電性を測定したところ、摩擦布アクリルで10.1μC/m、摩擦布ナイロンで11.3μC/mで制電性の悪いものであった。
比較例2
繊度が5.5dtexで繊維長が51mmで単糸の電気抵抗値が1×10Ω/cmの制電短繊維60質量%、繊度が3.3dtexで繊維長が51mm、捲縮率Kが25%のポリエチレンテレフタレート短繊維40質量%を用いてカードによりウェブを作製した後、ニードルパンチによる交絡方法により、目付け215g/m、厚みが3.2mmの導電性不織布を得た。
上記導電性不織布を生地であるポリエステル繊維製丸編地裏に、接着層としてウレタン系接着剤を介して貼り合わせたところ、積層布帛の状態での導電性不織布部分の厚さは2.9mmであった。
そして、得られた積層布帛の生地側の外表面を摩擦帯電電荷量測定で制電性を測定したところ、摩擦布アクリルで0.5μC/m、摩擦布ナイロンで0.3μC/mで制電性の優れたものであった。
しかしながら、得られた積層布帛を該積層布帛の生地側が外表面となるように事務用椅子および自動車用座席の上張り(表皮材)として使用したところ、皺の発生がなく張り栄えはするもののクッション性に劣るものとなった。
実施例3
繊度が5.5dtexで繊維長が51mmで単糸の電気抵抗値が1×10Ω/cmの制電短繊維1質量%、繊度が3.3dtexで繊維長が51mm、捲縮率Kが25%のポリエチレンテレフタレート短繊維99質量%を用いてカードによりウェブを作製した後、ニードルパンチによる交絡方法により、目付け200g/m、厚みが4.0mmの導電性不織布を得た。一方、ポリプロピレン長繊維からなる厚みが0.2mm、目付けが20g/mのポリプロピレン製スパンボンド不織布(薄不織布)を上記導電性不織布と重ね合わせ、導電性不織布側からニードルパンチして一体化させ、厚さ3.8mmの導電性不織布からなる層と、厚さ0.2mmのポリプロピレン製スパンボンド不織布からなる接着層とが積層された生地裏貼り用積層不織布を得た。
続いて、上記生地裏貼り用積層不織布のポリプロピレン製スパンボンド不織布側の外表面と生地であるポリエステル繊維製丸編地裏とを、フレームラミネーション工程により貼り合わせて積層布帛を得た。積層布帛の状態での導電性不織布の部分の厚さは3.3mmとなった。
そして、得られた積層布帛の生地側の外表面を摩擦帯電電荷量測定で制電性を測定したところ摩擦布アクリルで0.6μC/m、摩擦布ナイロンで0.6μC/mで制電性の優れたものであった。
また、得られた積層布帛を該積層布帛の生地側が外表面となるように事務用椅子および自動車用座席の上張り(表皮材)として使用したところ、皺の発生がなく張り栄えがし、クッション性に優れ、かつ、へたりの生じないものであった。
実施例4
繊度が5.5dtexで繊維長が51mmで単糸の電気抵抗値が1×10Ω/cmの制電短繊維1質量%、繊度が3.3dtexで繊維長が51mm、捲縮率Kが25%のポリエチレンテレフタレート短繊維99質量%を用いてカードによりウェブを作製した後、ニードルパンチによる交絡を行い、続いて、畝が緯方向となるように生地と貼り合わせる面から反対側の面に、緯方向に一列に並んだ1mm×2mmの凸型突起で経方向に連続して突いて畝を作成し、その後、ニードルパンチでさらに交絡し、目付けが200g/mで、厚み4.0mmの導電性不織布を得た。
続いて、得られた導電性不織布の畝を有しているのと反対側の面と、生地であるポリエステル繊維製丸編地裏とを、ウレタン系接着剤を接着層として介して貼り合わせて積層布帛を得た。積層布帛の状態での導電性不織布部分の厚さは4.0mmであった。また、クラレ製フック型面ファスナーA8693Yとの係合性は3.1N/cmであった。
そして、得られた積層布帛の生地側の外表面を摩擦帯電電荷量測定で制電性を測定したところ摩擦布アクリルで0.7μC/m、摩擦布ナイロンで0.6μC/mで制電性の優れたものであった。
また、得られた積層布帛の導電性不織布側の外表面を、クラレ製フック型面ファスナーA8693Yを全面に装着した発泡ウレタンに係合させて事務用椅子の上張り(表皮材)として使用したところ、皺の発生がなく張り栄えがし、クッション性に優れ、かつ、へたりの生じないものであった。
実施例5
繊度が5.5dtexで繊維長が51mmで単糸の電気抵抗値が1×10Ω/cmの制電短繊維1質量%、繊度が3.3dtexで繊維長が51mm、捲縮率Kが25%のポリエチレンテレフタレート短繊維99質量%を用いてカードによりウェブを作製した後、ニードルパンチによる交絡方法を行い、続いて、畝が緯方向となるように生地と貼り合わせる面から反対側の面に、緯方向に一列に並んだ1mm×2mmの凸型突起で経方向に連続して突いて畝を作成し、その後、ニードルパンチでさらに交絡し、目付けが200g/mで、厚み4.0mmの導電性不織布を得た。
続いて、接着層としてポリプロピレン長繊維からなる厚みが0.2mm、目付けが20g/mの薄手のポリプロピレン製スパンボンド不織布を上記導電性不織布の畝を有しているのと反対側の面と重ね合わせ、導電性不織布の外表面側からニードルパンチして両者を一体化させ、厚さ3.8mmの嵩高不織布層と、厚さ0.2mmの接着層となる層からなる生地裏貼り用積層不織布を得た。
さらに、この生地裏貼り用積層不織布のポリプロピレン製スパンボンド不織布側の外表面と生地であるポリエステル繊維製丸編地裏とを、フレームラミネーション工程により貼り合わせて積層布帛を得た。積層布帛における導電性不織布層の厚さは3.5mmであった。また、クラレ製フック型面ファスナーA8693Yとの係合性は3.1N/cmであった。
そして、得られた積層布帛の生地側の外表面を摩擦帯電電荷量測定で制電性を測定したところ摩擦布アクリルで0.8μC/m、摩擦布ナイロンで0.6μC/mで制電性に優れたものであった。
また、得られた積層布帛の導電性不織布側の外表面を、クラレ製フック型面ファスナーA8693Yを全面に装着した発泡ウレタンに係合させて事務用椅子の上張り(表皮材)として使用したところ、皺の発生がなく張り栄えがし、クッション性に優れ、かつ、へたりの生じないものであった。
実施例6
繊度が5.5dtexで繊維長が51mmで単糸の電気抵抗値が1×10Ω/cmの制電短繊維3質量%、繊度が3.3dtexで繊維長が51mm、捲縮率Kが25%のポリエチレンテレフタレート短繊維67質量%、及び繊度が2.8dtexで繊維長が51mmであり、捲縮率Kが35%の、鞘成分が160℃で溶融する共重合ポリエチレンテレフタレート系樹脂、芯成分が非共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂で構成された芯鞘型複合ポリエステル短繊維30質量%を用い、カードによりウェブを作製した後、ニードルパンチによる交絡を行った後、180℃の熱風で熱処理して目付け200g/m、厚み4.8mmの導電性不織布を得た。
続いて、前記導電性不織布を生地であるポリエステル繊維製丸編地裏に、ウレタン系接着剤にて貼り合わせて積層布帛を得た。得られた積層布帛の導電性不織布部分の厚さは4.8mmであった。
そして、得られた積層布帛の生地側の外表面を摩擦帯電電荷量測定で制電性を測定したところ、摩擦布アクリルで0.6μC/m、摩擦布ナイロンで0.5μC/mで制電性に優れたものであった。
また、得られた積層布帛を用いて事務用椅子および自動車用座席の上張り(表皮材)として使用したところ、皺の発生がなく張り栄えがし、クッション性に優れ、かつ、へたりの生じないものであった。
実施例7
繊度が5.5dtexで繊維長が51mmで単糸の電気抵抗値が1×10Ω/cmの制電短繊維3質量%、繊度が3.3dtexで繊維長が51mm、捲縮率Kが25%のポリエチレンテレフタレート短繊維67質量%、及び繊度が2.8dtexで繊維長が51mmであり、捲縮率Kが35%の、鞘成分が160℃で溶融する共重合ポリエチレンテレフタレート系樹脂、芯成分が非共重合ポリエチレンテレフタレートで構成された芯鞘型複合ポリエステル短繊維30質量%を用い、カードによりウェブを作製した後、ニードルパンチによる交絡を行い、続いて、畝が緯方向となるように生地と貼り合わせる面から反対側の面に、緯方向に一列に並んだ1mm×2mmの凸型突起で経方向に連続して突いて畝を作成し、その後、ニードルパンチでさらに交絡し、180℃の熱風で熱処理して目付け200g/m、厚み5.8mmの導電性不織布を得た。
さらに、この導電性不織布の畝を有しているのと反対側の面と、生地であるポリエステル繊維製丸編地裏とを、接着層としてウレタン系接着剤を介して貼り合わせたところ、得られた積層布帛の導電性不織布部分の厚さは5.5mmであった。また、クラレ製フック型面ファスナーA8693Yとの係合性は4.2N/cmであった。
そして、得られた積層布帛の生地側の外表面を摩擦帯電電荷量測定で制電性を測定したところ摩擦布アクリルで0.5μC/m、摩擦布ナイロンで0.6μC/mで制電性に優れたものであった。
また、得られた積層布帛の導電性不織布側の外表面を、クラレ製フック型面ファスナーA8693Yを全面に装着した発泡ウレタンに係合させて、事務用椅子の上張り(表皮材)として使用したところ、皺の発生がなく張り栄えがし、クッション性に優れ、かつ、へたりの生じないものであった。
本発明の積層布帛は、制電性やクッション性に優れ、張り栄えがするため、事務用椅子および自動車用座席の上張り、表皮材として有効に使用することができる。また積層布帛を構成する生地が表面となっている座席または椅子はクッション性に優れ、へたりも少なく、乗用車用の座席、事務用あるいは家庭用等の椅子として適している。

Claims (8)

  1. 導電性不織布、接着層、生地の順に積層された積層布帛であって、該導電性不織布が非導電性繊維としてポリエステル系短繊維を50〜99.5質量%、制電短繊維を0.5〜50質量%含有することを特徴とする積層布帛。
  2. 導電性不織布の原綿として、ポリエステル系短繊維捲縮率Kが20%〜60%のポリエステル系短繊維を30質量%以上使用してなる請求項1記載の積層布帛。
  3. 非導電性繊維が芯鞘型複合繊維またはサイドバイサイド型複合繊維である請求項1または2記載の積層布帛。
  4. 導電性不織布がニードルパンチ不織布である請求項1〜3いずれか1項に記載の積層布帛。
  5. 接着層を形成する樹脂がポリウレタン樹脂およびポリプロピレン樹脂の少なくとも1種類を含む請求項1〜4いずれか1項に記載の積層布帛。
  6. 導電性不織布の外表面が、フック系ファスナーと係合する能力を有する請求項1〜5いずれか1項に記載の積層布帛。
  7. 接着層を火炎により処理することで接着層を介して導電性不織布と生地とを接着させることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の積層布帛の製造方法。
  8. 請求項1〜7いずれか1項に記載の積層布帛からなる座席または椅子の表皮材。
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