JP2015184450A - 光拡散性成形体、照明装置及び画像表示装置 - Google Patents

光拡散性成形体、照明装置及び画像表示装置 Download PDF

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正己 上垣外
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浩太郎 佐藤
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Tomoyuki Kori
悌之 郡
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Yuji Eguchi
勇司 江口
白土 斉
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Abstract

【課題】カーボンニュートラルな材料として微生物や植物等から得ることも可能な材料である、βフェランドレンをモノマーとする重合体を使用した光拡散性成形体、並びに、その光拡散性成形体を備えた照明装置及び画像表示装置の提供。【解決手段】(1)厚みが0.8〜10mmである光拡散性成形体であって、比重が0.85以上、1.0未満であり、ガラス転移温度が100℃以上であるβフェランドレン重合体が、前記光拡散性成形体の総質量に対して50〜100質量%含まれる光拡散性成形体。(2)光拡散剤が配合されている前記光拡散性成形体。(3)前記βフェランドレン重合体の屈折率と、前記光拡散剤の屈折率との差が、0.005以上である前記光拡散性成形体。(4)光出射面に、光拡散手段が一体的に設けられている前記光拡散性成形体。【選択図】なし

Description

本発明は、βフェランドレン重合体を使用した光拡散性成形体及び、その光拡散性成形体を備えた照明装置及び画像表示装置に関する。
LED照明の光源として多用される発光ダイオードは蛍光灯よりも指向性が強いため、そのまま使用した場合には目に眩しさを感じる問題や、照射対象物の影が複数現れる(マルチシャドーが現れる)等の問題がある。このため、LED光源からの光を光拡散板に透過させることによって、照射光を拡散することが行われている。また、バックライト型の液晶表示装置においては、光源と透過型表示素子との間に光拡散板を配置することによって、表示素子に近接して配置された光源からの光が均一に表示素子へ入射されて、輝度ムラが生じないように工夫されている。
上記の光拡散板のように、入射光を拡散させて透過させる光拡散性成形体として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリカーボネート(PC)等の透明樹脂中に、粒子径が数μm〜数十μmの微粒子を含有させた成形体が広く使用されている。さらに、この成形体の表面には、光を拡散させる凹凸構造が形成されることも多い。
しかしながら、従来から使用されているPMMAは吸湿性が大きく、耐熱性が小さいため、使用環境における湿気や光源からの熱によって光拡散性成形体に変形が生じたり、光学特性が変化したりする等の問題がある。また、PCを使用した光拡散性成形体の場合には、吸湿による変形は抑制できるが、透明性及び耐光性が低い等の問題がある。
その他、光学特性の優れた熱可塑性樹脂としては、脂環式ポリオレフィンや環状ポリオレフィンが知られている。例えばジシクロペンタジエン系の開環重合水添体や、ノルボルネン若しくはジシクロペンタジエンとオレフィンとの付加共重合体(特許文献1参照)、やビニルシクロヘキサン系重合体(特許文献2参照)が挙げられる。そのなかでビニルシクロヘキサン系重合体は、高耐熱性、低吸水性、低比重、低複屈折であるが、側鎖にかさ高い置換基を有しているために、脆く、耐光性も充分ではない問題がある。更に、ビニルシクロヘキサン系重合体以外の環状ポリオレフィンは、高耐熱性、低吸水性であるが、比重が大きく、耐光性も充分ではなかった。
このような比重が大きい従来の樹脂材料は、光拡散性成形体を軽量化する目的には適さない。照明装置や画像表示装置が大型化した場合には、各部材を軽量化するために、より軽い光拡散性成形体が求められている。部材を単に軽量化するだけで良ければ、例えば板状部材の場合にはその厚みを薄くすることが考えられるが、薄く成形された板状部材は変形し易いという問題がある。そこで、部材の変形を防ぎつつ軽量化が可能な、比重の小さい樹脂材料が求められている。
また、従来の一般的な脂環式炭化水素系重合体の原料となるモノマーは石油由来の化合物であるため、二酸化炭素の排出を抑えたカーボンニュートラルな材料を用いた製品が求められている今日のニーズに合致しているとはいえない。
カーボンニュートラルなポリマーの材料として、生物体内の生合成経路で生産されうる化合物が注目されている。例えば、マツ等から抽出したテルペン油由来のβピネンを重合して得られた、ガラス転移点が80℃の重合体が提案されている(特許文献3)。しかしながら、βピネンをモノマーとして使用して実用的な強度を発現する高重合度の重合体を得るには、2官能性ビニル化合物の存在下において重合せしめる必要があった。さらには重合温度を−80℃〜0℃と極低温にする必要があり、安価に製造するためおよび昨今の環境問題の観点から、更なる反応条件の向上や、重合特性の良好な天然材料の利用が望まれていた。
特開2000−221328号公報 特開昭63−43910号公報 特許第5275633号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、カーボンニュートラルな材料として微生物や植物等から得ることも可能な材料である、βフェランドレンをモノマーとする重合体を使用した光拡散性成形体、並びに、その光拡散性成形体を備えた照明装置及び画像表示装置を提供する。
<1> 厚みが0.8〜10mmである光拡散性成形体であって、比重が0.85以上、1.0未満であり、ガラス転移温度が100℃以上であるβフェランドレン重合体が、前記光拡散性成形体の総質量に対して50〜100質量%含まれることを特徴とする光拡散性成形体。
<2> 前記βフェランドレン重合体が、下記化学式(I)及び(II)で表されるβフェランドレンの少なくとも何れか一方が重合してなることを特徴とする前記<1>に記載の光拡散性成形体。
Figure 2015184450
<3> 前記βフェランドレン重合体に、下記化学式(I−1)、(I−2)、(II−1)及び(II−2)で表されるβフェランドレン単位が合計50質量%以上含有されていることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の光拡散性成形体。
Figure 2015184450
<4> 前記βフェランドレン重合体の数平均分子量Mnが4万以上であることを特徴とする前記<1>〜<3>の何れか一項に記載の光拡散性成形体。
<5> 前記βフェランドレン重合体が有するオレフィン性炭素−炭素二重結合の少なくとも一部が水素化されていることを特徴とする前記<1>〜<4>の何れか一項に記載の光拡散性成形体。
<6> 前記βフェランドレン重合体の水素添加率が、70%以上であることを特徴とする前記<5>に記載の光拡散性成形体。
<7> 光拡散剤が配合されていることを特徴とする前記<1>〜<6>の何れか一項に記載の光拡散性成形体。
<8> 前記βフェランドレン重合体の屈折率と、前記光拡散剤の屈折率との差が、0.005以上であることを特徴とする前記<7>に記載の光拡散性成形体。
<9> 前記βフェランドレン重合体の100重量部に対して、前記光拡散剤の0.01〜20重量部が配合されていることを特徴とする前記<7>又は<8>に記載の光拡散性成形体。
<10> 光出射面に、光拡散手段が一体的に設けられていることを特徴とする前記<1>〜<9>の何れか一項に記載の光拡散性成形体。
<11> 光源と、前記<1>〜<10>の何れか一項に記載の光拡散性成形体とを備えることを特徴とする照明装置。
<12> 光源と、前記<1>〜<10>の何れか一項に記載の光拡散性成形体とを備えることを特徴とする画像表示装置。
本発明によれば、光透過性、軽量性、耐熱性及び機械的強度に優れ、さらに、高耐光性、低吸水性、低複屈折及び低光弾性等の優れた性質を有する光拡散性成形体を提供できる。
本発明の光拡散性成形体を使用した照明装置は、輝度ムラが低減された均一な照射光を対象物に出射することができる。本発明の光拡散性成形体を使用した画像表示装置は、輝度ムラが低減されているため、視認性に優れる。これらの照明装置及び画像表示装置に使用された光拡散性成形体は上記の優れた特性を有し、特に軽量性と剛性に優れるため、照明装置及び画像表示装置が大型化された場合にも、光拡散性成形体が占める重量を少なくできる。このため、光拡散性成形体の変形を防ぐために必要な厚み又は大きさを充分に確保することができる。
本発明の第一態様は光拡散性成形体である。本発明の第二態様は、第一態様の光拡散性成形体を部材として使用した照明装置である。本発明の第三態様は、第一態様の光拡散性成形体を部材として使用した画像表示装置である。
まず、本発明の材料であるβフェランドレン重合体の製造方法を説明する。
<βフェランドレン重合体の製造方法>
βフェランドレン重合体を構成するモノマーであるβフェランドレンは、生物から抽出及び精製されていてもよいし、石油由来の化合物から化学合成されていてもよい。例えば植物の種子や根から水蒸気蒸留によって得られたエッセンシャルオイルに含まれるβフェランドレンを用いてもよいし、既存の化学物質を原料として、公知の化学合成法によって得られたβフェランドレンを用いてもよい。
例えば、既存の化学物質を原料とする場合は、4-Isopropylcyclohexanoneを出発原料としCrypronを経由して合成する公知の化学合成法(Organic & Biomolecular Chemistry, 9(7), 2433-2451, 2011)によって得られたβフェランドレンを使用することができる。
生物から抽出した化学物質を材料として使用する場合は、例えばβフェランドレンが含有される植物として、トドマツ、ジンジャー、フェンネル、ネロリ、ローズウッド、トマト、ラベンダー、カナダバルサム、アンジェリカ、などの葉または種子からの抽出物を精製して用いてもよい。特に高純度のβフェランドレンを使用することが好ましく、その場合は精密蒸留等の方法により純度(純分)を上げることができる。
カーボンニュートラルな材料として生物由来のβフェランドレンを用いることにより、製造過程における環境負荷を下げ、二酸化炭素の排出を低減することができる。
βフェランドレン重合体の数平均分子量Mnを高めることによって、耐熱性に関するガラス転移温度Tgを高め、優れた光透過性及び機械的強度を得る目的を達成するために、βフェランドレン重合体を合成する反応系において、βフェランドレンを含む反応液中のβフェランドレンの純度(純分)をなるべく高くすることが好ましい。また、前記反応系は、βフェランドレンの重合に干渉する二重結合を有する化合物をなるべく排除した反応系であることがより好ましい。
特に好ましくは、例えば、ディールスアルダー反応試薬等のシス型の共役二重結合と反応する物質を添加し、βフェランドレン以外のシス型の共役二重結合物質を不溶性の物質として除去し、純分を高くすることがよく、精密蒸留と組み合わせることにより純分をあげるのが好ましい。
具体的には、前記反応液中の重合性化合物の総質量に対して、βフェランドレンの含有量、即ちβフェランドレンの純度(純分)は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上が特に好ましく、95質量%以上が最も好ましい。前記含有量は100質量%であってもよい。ここで、「純度」とは、βフェランドレンの光学異性体を区別した光学的な純度を意味しておらず、βフェランドレンの光学異性体を区別しない単なる化学的な純度を意味する。また、前記「重合性化合物」とは、βフェランドレンと重合可能な二重結合を有する化合物を意味する。
本明細書および特許請求の範囲において、前記反応に使用するβフェランドレンの純度はガスクロマトグラフィー(GC)法またはGC−MSの方法によって、βフェランドレンのピーク面積百分率で求められた値である。
例えば、βフェランドレン反応用液を1質量%となるようにクロロホルム溶液(和光純薬社製高速液体クロマトグラフ用、純度99.7%)に希釈し、ガスクロマトグラフ分析装置(HEWLETT PACKARD社製 HP6890 Series GC System)を用いて測定することができる。この時、成分分離用のカラムとしてはDB−5(アジレント・テクノロジー社製キャピラリーカラム、30m×0.25mmID×0.25μ)、を用い、カラム温度:開始50℃、最終300℃、昇温速度 15℃/分、インジェクション温度:300℃で測定することが好ましい。βフェランドレンのピークはβフェランドレン標準液またはMSスペクトルより同定することができる。βフェランドレンの純分はGC分析において観測された面積値1000以上のピークの全面積の合計を100としたときのβフェランドレンの面積比率で算出することが好ましい。
前記反応液を構成する有機溶媒に、触媒としてのルイス酸を添加してよく分散させた後、高純度のβフェランドレンをゆっくり滴下して、カチオン重合を開始し、所定時間反応させることにより、目的のβフェランドレン重合体を得ることができる。
このような溶液重合法によってカチオン重合を行うに際しては、モノマーであるβフェランドレンの濃度は、前記反応溶液の総質量に対して、好ましくは1〜90質量%、より好ましくは10〜80質量%、更に好ましくは10〜50質量%に調製することができる。前記濃度が1質量%未満では生産性が低くなり、一方、90質量%を超えると重合熱の除去が困難になる。
前記反応液を構成する有機溶媒の種類はβフェランドレンを溶解可能であれば特に制限されず、従来のカチオン重合で使用される溶媒が適用できる。なかでも連鎖移動の少ない溶媒であることが好ましい。このような溶媒としては、ポリマーの重合条件下での溶解性や反応性等の観点から、例えばハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、及び脂肪族炭化水素等が挙げられる。より具体的には、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロルエタン、n−プロピルクロライド、1−クロロ−n−ブタン、2−クロロ−n−ブタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリン等の脂肪族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
前記有機溶媒として、1種の有機溶媒を単独で用いてもよいし、2種以上の有機溶媒を併用してもよい。
前記有機溶媒は、非極性溶媒であってもよいし、極性溶媒であってもよい。
βフェランドレン重合体の重合度を一層高めて、高靭性の重合体を得るためには、非極性溶媒を用いる方が特に好ましい。ハロゲン化脂肪族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素等の塩素系溶媒(塩素原子有する化合物からなる溶媒)は使用可能である。しかし、廃棄溶剤の処理、重合製品の脱塩処理および昨今のVOC規制の観点から使用不可能な塩素系溶剤もあるため、環境問題の観点からは好ましいとは限らない。
前記ルイス酸としては、従来のカチオン重合で使用されるルイス酸が適用可能であり、例えばEtAlCl、AlCl、EtAlCl、EtAlCl、BCl、SnCl、TiCl、Ti(OR)4−yCl[Rはアルキル基又はアリール基を表し、yは1〜3の整数を表す。]が、反応性及び選択性が高いため、好ましい。これらの他、BF、BBr、AlF、AlBr、TiBr、TiI、FeCl、FeCl、SnCl、WCl、MoCl、SbCl、TeCl、ZnCl等の金属ハロゲン化物、(i−Bu)Al、(i−Bu)AlCl、(i−Bu)AlCl、MeSn、EtSn、BuSn、BuSnCl等の金属アルキル化合物[Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Buはブチル基を表す。]、Al(OR)3−xCl[Rはアルキル基又はアリール基を表し、xは1又は2の整数を表す。]等の金属アルコキシ化合物が挙げられる。
前記ルイス酸として、1種のルイス酸を単独で用いてもよいし、2種以上のルイス酸を併用してもよい。
重合触媒としては上述のルイス酸のみでもよいが、ルイス酸として組み合わせて用いられる開始剤を利用してもよい。この場合、開始剤とはルイス酸と反応して炭素カチオンを発生するものであり、そのような特質を有するものであればどんなものでもよい。具体的には、アルキルビニルエーテル−塩化水素付加体、クロロアルキルビニルエーテル−塩化水素付加体、α−クロロエチルベンゼン、α―クロロイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(α―クロロイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(α―クロロイソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス(α―クロロイソプロピル)−5−t−ブチルベンゼン、1,3,5−トリス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクロライド、2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン等の塩素系開始剤:アルキルビニルエーテル−酢酸付加体、α―アセトキシエチルベンゼン、α―アセトキシイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(α−アセトキシイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(α−アセトキシイソプロピル)ベンゼン等のエステル系開始剤、α−ヒドロキシエチルベンゼン、α−ヒドロキシイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン等のアルコール系開始剤等が挙げられる。
また、リビングカチオン重合触媒と共に用いられる電子供与剤を用いてもよい。そのような電子供与剤としては、公知のものを使用することができる。具体的にはジエチルエーテル(Et2O)、メチル−t−ブチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル(EtOAc)、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸プロピル等のエステル類;ピリジン、2−メチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2,6−ジ−ブチルピリジン、2,6−ジフェニルピリジン、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルピリジン等のピリジン類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類;ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等を挙げることができる。特に、ジエチルエーテルや酢酸エチル等が、経済性及び反応後の除去が容易であることから、好適に使用される。
これらのルイス酸の前記反応液中の濃度としては、後で添加するβフェランドレン100重量部に対して、0.001〜100重量部が好ましく、0.01〜50重量部がより好ましく、0.1〜10重量部が更に好ましい。ルイス酸触媒の使用量が少な過ぎると反応が重合の完了前に停止してしまう恐れがあり、逆に多過ぎると不経済である。
前記滴下するβフェランドレンは、前記反応液を構成する有機溶媒と同じ種類の有機溶媒に予め溶解しておいてもよい。前記滴下する際の前記反応液の温度は、通常、−120℃〜150℃に設定することができ、−90℃〜100℃に設定することが好ましい。反応温度が高過ぎると反応の制御が困難となって再現性が得られ難くなる恐れがあり、低過ぎると製造コストが高くなる。
βフェランドレン重合体の製造方法においては、低温で反応させる方が重合度を高める点で有利であり、例えば−80〜70℃で反応させることにより、数平均分子量Mnが100,000以上、例えば140,000程度のβフェランドレン重合体を容易に得ることができる。また、−15〜40℃で反応させてもよく、この温度においては数平均分子量Mnが50,000〜100,000程度のβフェランドレン重合体を容易に得ることができる。
カチオン重合の反応時間は特に制限されず、重合触媒の種類や量、反応温度、反応設備等の条件に応じて、所望の特性を有するβフェランドレン重合体が得られるように適宜調整することができる。通常は、1秒〜100時間程度、好ましくは10秒〜1時間程度、より好ましくは30秒〜10分程度で反応させることにより、所望の特性を有するβフェランドレン重合体を得ることができる。
本発明で使用されるβフェランドレン重合体はβフェランドレンの単独重合体であってもよいし、βフェランドレンと他の共重合可能な単量体の1種以上との共重合体であってもよい。
また反応を終了させるために、所定時間反応後に停止剤を添加してもよい。停止剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール等のアルコール類が好適に使用される。停止剤の添加量は厳密に規定されるものでは無いが、通常、反応溶媒量の0.01〜10倍容量であり、好ましくは0.1〜1倍容量である。
前記反応液中で重合して得られたβフェランドレン重合体を溶媒から分離する方法としては、例えば再沈殿、加熱による溶媒の留去、減圧による溶媒の除去、水蒸気による溶媒の除去(コアギュレーション)、押出し機による脱気溶媒除去等の公知方法が適用可能である。
重合体を溶媒から分離する際に塩素系のルイス酸触媒を中和除去する必要がある場合は、適時アルカリ性の中和剤例えば、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア等の一般的に公知な中和剤を用いることができ、特に限定されるものではない。更に透明性や熱安定性の要求が厳しい用途においては、得られる重合体の不純物として残留する塩素、中和塩の十分な除去が望まれる。その除去方法としては特に限定されるものではないが、例えば、重合体の再枕時に適時加水等の処理により精製することが好ましい。特に光学特性や電気絶縁性を向上させるためには、残留の中和塩の含有率は重合体の質量に対し、100ppm以下とすることが好ましい。特に好ましくは10ppm以下である。
<βフェランドレン重合体>
上記のようにして得られたβフェランドレン重合体の数平均分子量Mnは、重合溶液の粘度や溶融粘度、成形性、成形された光拡散性成形体の強度、耐熱性を高める観点から、1万〜100万が好ましい。本発明に使用されるβフェランドレン重合体の数平均分子量Mnは、2万〜50万に調製することもできるし、3万〜40万に調製することもできるし、4万〜30万に調製することもできるし、5万〜25万に調製することもできるし、6万〜20万に調製することもできるし、7万〜15万に調製することもできるし、8万〜12万に調製することもできる。重合体の分子量が大き過ぎると、重合溶液の粘度が高くなって重合体の生産性が悪くなり、又は、重合体の溶融粘度が高くなって成形性が悪くなる恐れがある。一方、分子量が小さ過ぎると、重合体を用いて得られる光拡散性成形体の強度が低下すると共に、ガラス転移温度が80℃未満となり、十分な耐熱性を発揮し得ない恐れがある。
βフェランドレン重合体のガラス転移温度Tgは、耐熱性、成形性、成形された光拡散性成形体の強度を高める観点から、80〜350℃程度が好ましく、85〜250℃がより好ましく、90〜200℃が更に好ましい。本発明に使用されるβフェランドレン重合体のガラス転移温度Tgは、80℃以上200℃以下に調製することもできるし、85℃以上200℃以下に調製することもできるし、90℃以上200℃以下に調製することもできるし、95℃以上200℃以下に調製することもできるし、100℃以上200℃以下に調製することもできるし、110℃以上200℃以下に調製することもできるし、120℃以上200℃以下に調製することもできるし、125℃以上200℃以下に調製することもできるし、130℃以上200℃以下に調製することもできる。ガラス転移温度Tgが高過ぎると、βフェランドレン重合体の溶融粘度が高くなり、成形性が悪くなる恐れがある。一方、ガラス転移温度Tgが低過ぎると、成形された光拡散性成形体の耐熱使用温度が低くなるために、実用的ではない。通常、βフェランドレン重合体の分子量を高めることにより、及び、βフェランドレン重合体を水素添加することにより、そのガラス転移温度Tg及び耐熱性を向上させることができる。
本明細書及び特許請求の範囲において、βフェランドレン重合体の数平均分子量Mnは、JIS−K−0124−2002にて規定されているサイズ排除クロマトグラフィーの手法に従って求められるものであって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される示差屈折検出器の値と、標準ポリスチレンの校正曲線とから求められるものである。また、ガラス転移温度Tgは、JIS−K−7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」に規定されている手法に従って測定されたものであって、より詳細には、中間点ガラス転移温度(Tmg)として求められる温度が、本明細書及び特許請求の範囲におけるガラス転移温度Tgである。
<βフェランドレンの光学異性について>
本発明に使用されるβフェランドレン重合体の材料であるβフェランドレンは、下記化学式(I)及び(II)で表される互いに光学異性体(エナンチオマー)である化合物の混合物又はラセミ体であってもよいし、何れか一方の光学異性体のみであってもよい。化学合成されたβフェランドレンは、通常、前記混合物又はラセミ体である。何れか一方の光学異性体のみからなるβフェランドレンの材料を用いる場合、例えばキラルカラムを用いたクロマトグラフィー、光学分割剤を用いたジアステレオマ法等の手法を用いることにより、光学異性分離をして得られた材料を用いてもよい。
Figure 2015184450
βフェランドレンの前記混合物又はラセミ体を材料として使用して得られたβフェランドレン重合体には、下記化学式(I−1)、(I−2)、(II−1)及び(II−2)で表されるモノマー単位(繰り返し単位)のうち何れか1種以上が含まれる。なお、各化学式中、括弧は重合(結合)している隣のモノマー単位との結合を表す。
Figure 2015184450
本発明に使用されるβフェランドレン重合体は、上記の各化学式で表されるモノマー単位のうち、1種を有していてもよいし、2種を有していてもよいし、3種を有していてもよいし、4種を有していてもよい。
本発明に使用されるβフェランドレン重合体には、上記化学式(I)及び(II)の混合物又はラセミ体をその材料として用いた場合、上記化学式(I−1)、(I−2)、(II−1)及び(II−2)で表されるβフェランドレン単位が、当該βフェランドレン重合体の総質量に対して合計で50質量%以上含有されていると考えられる。この含有量は、50〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましく、80〜100質量%がさらに好ましく、90〜100質量%が最も好ましい。
<βフェランドレン重合体に対する水素添加>
本発明に使用されるβフェランドレン重合体が有するオレフィン性炭素−炭素二重結合に対して水素化(水素添加)を行うことができる。水素添加を行うことによって、耐熱性が一層向上した重合体を得ることができる。
βフェランドレン重合体に対する水素添加の方法として、従来の高分子に水素を添加する公知の方法が適用可能である。この際に用いられる水素添加触媒としては、一般にオレフィン類や芳香族化合物の水素化反応に使用される触媒が適用可能であり、例えば、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウム等の遷移金属をカーボン、アルミナ、シリカ、ケイソウ土などの担体に担持してなる担持型金属触媒;チタン、コバルト、ニッケル等の有機遷移金属化合物とリチウム、マグネシウム、アルミニウム、スズ等の有機金属化合物からなる均一系触媒;ロジウム、ルテニウム等の金属錯体触媒等が挙げられる。
前記担持型金属触媒としては、例えば、ニッケル・シリカ、ニッケル・ケイソウ土、ニッケル・アルミナ、パラジウム・カーボン、パラジウム・シリカ、パラジウム・ケイソウ土、パラジウム・アルミナ、白金・シリカ、白金・アルミナ、ロジウム・シリカ、ロジウム・アルミナ、ルテニウム・シリカ、ルテニウム・アルミナ等の触媒を挙げることができる。
前記均一系触媒としては、例えば、酢酸・コバルトトリエチルアルミニウム、トリオクチル酸ニッケル・トリイソブチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート・トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド・n−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリド・sec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネート・ジメチルマグネシウム等の組み合わせを挙げることができる。
前記金属錯体触媒としては、例えば、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジヒドリドテトラ(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ヒドリド(アセトニトリル)トリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、カルボニルクロロヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、カルボニルジヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム等を挙げることができる。
ここで例示した水素化反応に用いる触媒のうち、前記担持型金属触媒は、水素化反応後に、重合触媒と共にろ過で容易に分離回収することができるため、特に好ましい。
前記触媒を1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水素添加を行う際の反応温度は、通常、−20℃〜250℃で行うことが可能であり、−10℃〜220℃が好ましく、0〜200℃がより好ましい。反応温度が高過ぎると、重合体が熱分解する恐れがあり、低過ぎると、反応速度が遅くなり、反応が完了しない恐れがある。
前記水素添加を行う際の水素圧力は、通常0.1〜100kgf/cmで行うことが可能であり、好ましくは0.5〜70kgf/cm、より好ましくは1〜50kgf/cmである。水素圧力が低過ぎると、水素化反応が遅くなり、高過ぎると高耐圧反応装置が必要となる。
前記水素添加を行う際の溶媒としては、重合体が溶解し、触媒不活性な有機溶媒であれば特に制限されない。重合体の水素添加物の溶解性や反応性の観点から、例えば、脂肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、及び芳香族炭化水素等が挙げられる。具体的には、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、1,1−ジクロルエタン、1,2−ジクロルエタン、n−プロピルクロライド、1−クロロ−n−ブタン、2−クロロ−n−ブタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒が挙げられる。これらの有機溶媒のうち、溶解性や反応性の観点から、特に炭化水素系溶媒が好ましい。
前記有機溶媒を1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水素添加は、βフェランドレンの重合反応が終了した後の前記反応液の溶媒を交換せずに、そのまま水素添加の反応を行うことも可能である。このように溶媒を置換せずに水素添加を行うと、製造プロセスから排出される廃液が減少するので、環境負荷を下げる観点から好ましい。
前記水素添加の反応時間は、通常0.1〜20時間程度で行うことができる。水素添加反応の終了の目安としては、例えば、水素添加前の重合体が有するオレフィン性炭素−炭素二重結合(不飽和結合)のうち、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上が飽和されるまで、最も好ましくは100%が飽和されるまで、水素添加を継続することが望ましい。十分にβフェランドレン重合体に対して水素添加を行うことにより、耐熱性、耐光性に優れた重合体を得ることができる。
前記水素添加の前後の重合体におけるオレフィン性炭素−炭素二重結合の水素添加率を求める方法として、一般に、ヨウ素価滴定法、赤外分光スペクトル測定、核磁気共鳴スペクトル(H−NMRスペクトル)測定等の分析値から算出する方法が知られている。
本明細書及び特許請求の範囲において、βフェランドレン重合体のオレフィン性炭素−炭素二重結合に対する水素添加率は、重水素化クロロホルムを溶媒として用いた核磁気共鳴スペクトル(H−NMRスペクトル)の測定値を用いて算出している。具体的には、テトラメチルシランのプロトンを0ppmとして、δ=5.0〜6.0ppmに検出されるシグナルの積分値、即ちオレフィン性炭素−炭素二重結合のプロトンに由来するシグナルの積分値Aと、0.5〜2.5ppmに検出されるシグナルの積分値、即ち飽和炭化水素のプロトンに由来するシグナルの積分値Bとの比(A/B)を算出する。この比は、水素添加率が高くなるにつれて小さくなる。前記水素添加前の前記比(A/B(水添前))及び前記水素添加後の前記比(A/B(水添後))をそれぞれ算出し、下記式に代入することにより、水素添加率を求めることができる。
水素添加率(%)=
(比(A/B(水添前))−比(A/B(水添後))×100÷比(A/B(水添前))
βフェランドレン重合体に対して水素添加することにより得られる重合体のガラス転移温度Tgは、熱源(例えば熱を発する光源)に近い環境で使用することを想定した場合や、表面加工が容易になる等の観点から、高い方が好ましい。光源の熱による影響を低減する観点からは、Tgは100℃以上であることがより好ましい。本発明にかかる光拡散性成形体について、その耐薬品性を向上させたり、帯電防止性を付与したり、導電性を付与したり、光を拡散させるための凹凸を形成したりするために、公知の表面加工(表面処理)を行うことができる。これらの表面加工を容易に行うことができるため、水素添加したβフェランドレン重合体のTgは120℃以上であることが好ましい。Tgが200℃程度を超えると、βフェランドレン重合体の溶融粘度が高くなり、成形性が悪くなる恐れがある。一方、Tgが80℃未満であると、光拡散性成形体の耐熱使用温度が低くなるために、好ましくない。
水素添加したβフェランドレン重合体のガラス転移温度Tgの測定方法は、水素添加していないβフェランドレン重合体のガラス転移温度Tgの測定方法と同じでよい。
本発明で使用されるβフェランドレン重合体の全光線透過率は、その用途に通常求められる性質として、光拡散剤が配合されていない状態においては高いほど好ましく、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。例えば、βフェランドレン重合体のみからなる厚さ約3.2mmの平板状試験片を測定した場合、その全光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましく、95%以上であることが最も好ましい。
ここで、上記全光線透過率は、JIS-K-7361 : 1997 (ISO13468-1:1996)に準拠して測定した数値である。
本発明で使用されるβフェランドレン重合体は、寸法安定性の観点から、吸水率が低い方が好ましい。βフェランドレン重合体の吸水率は、60℃、90%RH(相対湿度)雰囲気下に試験片を24時間置いたときの試験片の質量変化を飽和吸水率として測定したときに、0.2%以下が好ましく、0.1%以下がより好ましく、0.05%以下がさらに好ましい。
ここで、上記吸水率は、JIS-K-7209:2000に準拠して測定した数値である。この際、試験片として、上記βフェランドレン重合体を縦60mm×横60mm×厚み1mmのシート形状に成形したものを使用することができる。
本発明で使用されるβフェランドレン重合体の比重は小さいため、軽い光拡散性成形体を得ることができる。本発明で使用されるβフェランドレン重合体の比重は、0.85以上1.0未満であり、0.85〜0.98であることが好ましい。
上記比重が0.85よりも小さいβフェランドレン重合体を得ることは通常困難である。また、上記比重が1.0以上であると、軽量化の目的を充分に達成し得なくなる。
ここで、上記比重は、JIS-K-7112:1999のA法に準じて測定した数値である。
一般に、成形品を構成する樹脂の光弾性係数が、Tg以上の温度において大きい場合、得られる成形品の光学歪みが大きくなる問題がある。故に、光学歪みの小さい成形品を得ようとする場合、成形条件の選択できる範囲が狭くなるため、生産性が低くなってしまう問題がある。
したがって、本発明で使用されるβフェランドレン重合体の光弾性係数は小さいことが好ましく、ガラス転移温度Tg以上の温度においても、その光弾性係数が小さいことがより好ましい。光弾性が小さいβフェランドレン重合体を使用することにより、光学歪みの少ない光拡散性成形体を得ることができる。
使用するβフェランドレン重合体のTg以上の温度(例えば、Tg+20℃)における好適な光弾性係数は、用途により一概に規定できないが、−3000×10−13〜3000×10−13cm/dynが好ましく、−1000×1000−13〜1000×10−13cm/dynがより好ましい。この範囲の光弾性係数を有することで、光学歪みの小さい光学用プラスチックフィルムを、生産性良く得ることができる。なお、1dyn=10−5Nである。
本発明で使用されるβフェランドレン重合体の曲げ弾性率は、2500MPa以上が好ましく、2700MPa以上がより好ましい。この範囲の曲げ弾性率であると、撓みによる変形を抑制し、光ディスク基板の厚みを薄くすることができる。ここで、上記曲げ弾性率は、ASTM D790に準拠した方法により測定された数値である。この際、試験片として、上記βフェランドレン重合体を、例えば上記ASTM D790規格で推奨される形状に成形したものを使用することができる。
本発明で使用されるβフェランドレン重合体の屈折率nD(25℃)は、1.450〜1.600の範囲であることが好ましい。この範囲の屈折率であると、従来の透明樹脂(PMMAの屈折率は1.49、PCの屈折率1.59)と同様に光ディスク基板を構成することができる。ここで、上記屈折率nD(25℃)は、JIS−K−7142に準拠した方法により測定された数値である。この際、試験片として、上記βフェランドレン重合体を、例えば上記JIS規格で推奨されるサイズの板状やフィルム状に成形したものを使用することができる。
<光拡散性成形体>
本発明の光拡散性成形体は、上述したβフェランドレン重合体が、前記光拡散性成形体の総質量に対して50〜100質量%含まれてなる光拡散性成形体である。
前記光拡散性成形体を構成するβフェランドレン重合体は、その比重が0.85以上1.0未満であり、且つそのガラス転移温度が100℃以上である。また、前記光拡散性成形体の厚みは0.8〜10mmである。
本発明の光拡散性成形体に含まれる前記βフェランドレン重合体の含有量は、前記光拡散性成形体の総質量に対して、60〜100質量%であってもよいし、70〜100質量%であってもよいし、80〜100質量%であってもよいし、90〜100質量%であってもよいし、95〜100質量%であってもよいし、98〜100質量%であってもよい。
本発明の光拡散性成形体の機械的強度及び耐熱性を向上させるためには、前記光拡散性成形体の主成分であるβフェランドレン重合体の機械的強度及び耐熱性を向上させればよい。βフェランドレン重合体の機械的強度及び耐熱性を向上させる観点から、好適なTgとしては、100〜350℃が好ましく、100〜250℃がより好ましく、100〜200℃が更に好ましい。また、同様の観点から、βフェランドレン重合体の好適な数平均分子量Mnは大きい程好ましく、4万以上が好ましく、6万以上がより好ましく、8万以上が更に好ましく、10万以上が更に一層好ましく、12万以上が特に好ましく、14万以上が最も好ましい。その数平均分子量Mnの上限値は特に限定されないが、成形性や加工性を向上させる観点から、通常、80万以下が好ましく、60万以下がより好ましく、40万以下が更に好ましい。
また、上記と同様の観点から、βフェランドレン重合体の好適な重量平均分子量Mwは大きい程好ましく、5万以上が好ましく、7万以上がより好ましく、9万以上が更に好ましく、11万以上が更に一層好ましく、13万以上が特に好ましく、15万以上が最も好ましい。その重量平均分子量Mwの上限値は特に限定されないが、成形性や加工性を向上させる観点から、通常、100万以下が好ましく、80万以下がより好ましく、60万以下が更に好ましい。重量平均分子量は数平均分子量と同様の方法で得た測定データから算出することができる。
また、上記と同様の観点から、βフェランドレン重合体のMw/Mnは、1〜25が好ましく、1.05〜20がより好ましく、1.1〜10がさらに好ましい。
本発明の光拡散性成形体の比重は、前述したβフェランドレン重合体が当該光拡散性成形体の総質量の50〜100質量%を構成している場合、より好ましくは70〜100質量%を構成している場合、通常、0.85〜1.0の範囲にすることができる。βフェランドレン重合体は、従来のアクリル系樹脂、PET樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等よりも比重が軽いため、βフェランドレン重合体を主成分として有する本発明に係る光拡散性成形体は、これらの従来樹脂からなる光拡散性成形体よりも軽量性に優れる。
本発明の光拡散性成形体の耐熱性を向上させる観点から、本発明に使用されるβフェランドレン重合体が有するオレフィン性炭素−炭素二重結合の少なくとも一部が水素化されていることが好ましい。
本発明の光拡散性成形体の吸水率は、前述したβフェランドレン重合体が当該光拡散性成形体の総質量の50〜100質量%を構成している場合、より好ましくは70〜100質量%を構成している場合、60℃、90%RH(相対湿度)雰囲気下に光拡散性成形体を24時間置いたときのその質量変化を飽和吸水率として測定したときに、0.2%以下が好ましく、0.1%以下がより好ましく、0.05%以下がさらに好ましい。ここで、上記吸水率は、JIS-K-7209:2000に準拠して測定した数値である。
βフェランドレン重合体は、従来のアクリル系樹脂よりも吸水性が低いため、βフェランドレン重合体を主成分として有する本発明の光拡散性成形体は、従来のアクリル系樹脂からなる光拡散性成形体よりも寸法安定性に優れる。
本発明の光拡散性成形体の光弾性係数は、前述したβフェランドレン重合体が当該光拡散性成形体の総質量の95〜100質量%を構成している場合、前述したβフェランドレン重合体の好適な光弾性係数と同等にすることができる。
本発明の光拡散性成形体の曲げ弾性率は、前述したβフェランドレン重合体が当該光拡散性成形体の総質量の95〜100質量%を構成している場合、前述したβフェランドレン重合体の好適な曲げ弾性率と同等にすることができる。
本発明の光拡散性成形体の屈折率は、前述したβフェランドレン重合体が当該光拡散性成形体の総質量の95〜100質量%を構成している場合、前述したβフェランドレン重合体の好適な屈折率と同等にすることができる。
本発明の光拡散性成形体を成形するためのβフェランドレン重合体には、本発明の目的を損なわない範囲において、更に必要に応じて、公知の各種の配合剤が、単独で又は2種以上を組み合わせて、混合されても構わない。
前記配合剤としては、従来の樹脂工業で通常使用されるものであれば特に制限されず、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、染料や顔料等の着色剤、滑剤、可塑剤(柔軟化剤)、帯電防止剤、蛍光増白剤、充填材等の配合剤を挙げることができる。
前記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。これらの酸化防止剤の中でも、フェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。
前記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート等のアクリレート系化合物;オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタン[即ちペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)]、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)等のアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン基含有フェノール系化合物等が挙げられる。
前記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のモノホスファイト系化合物;4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)等のジホスファイト系化合物等が挙げられる。これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等が特に好ましい。
前記イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等を挙げることができる。
前記酸化防止剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて、用いることができる。酸化防止剤の配合量は、本発明の目的が損なわれない範囲で適宜に決定されればよく、例えば、βフェランドレン重合体の100重量部に対して、0.001〜5重量部程度、好ましくは0.01〜1重量部の範囲で使用することができる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;4−t−ブチルフェニル−2−ヒドロキシベンゾエート、フェニル−2−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾエート系紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸3水和物、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2’−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のアクリレート系紫外線吸収剤;[2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)]−2−エチルヘキシルアミンニッケル等の金属錯体系紫外線吸収剤等を用いることができる。
前記光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、4−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)−1−(2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のヒンダードアミン系光安定剤を挙げることができる。
前記近赤外線吸収剤としては、例えば、シアニン系近赤外線吸収剤;ピリリウム系近赤外線吸収剤;スクワリリウム系近赤外線吸収剤;クロコニウム系近赤外線吸収剤;アズレニウム系近赤外線吸収剤;フタロシアニン系近赤外線吸収剤;ジチオール金属錯体系近赤外線吸収剤;ナフトキノン系近赤外線吸収剤;アントラキノン系近赤外線吸収剤;インドフェノール系近赤外線吸収剤;アジ系近赤外線吸収剤等が挙げられる。また、市販品の近赤外線吸収剤として、SIR−103、SIR−114、SIR−128、SIR−130、SIR−132、SIR−152、SIR−159、SIR−162(以上、三井東圧染料株式会社製)、Kayasorb IR−750、Kayasorb IRG−002、Kayasorb IRG−003、Kayasorb IR−820B、Kayasorb IRG−022、Kayasorb IRG−023、Kayasorb CY−2、Kayasorb CY−4、Kayasorb CY−9(以上、日本化薬株式会社製)等を挙げることできる。
前記染料としては、用いられるβフェランドレン重合体に均一に分散又は溶解するものであれば特に限定されず、例えば、βフェランドレン重合体との相溶性が優れる油溶性染料(各種C.I.ソルベント染料)が挙げられる。この油溶性染料の具体例としては、例えば、The Society of Dyers and Colourists 社刊の「Color Index」、Vol.3に記載されている各種のC.I.ソルベント染料が、挙げられる。
前記顔料のうち、有機系顔料としては、例えば、ピグメントレッド38等のジアリリド系顔料;ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド53、ピグメントレッド57:1等のアゾレーキ系顔料;ピグメントレッド144、ピグメントレッド166、ピグメントレッド220、ピグメントレッド221、ピグメントレッド248等の縮合アゾ系顔料;ピグメントレッド171、ピグメントレッド175、ピグメントレッド176、ピグメントレッド185、ピグメントレッド208等のベンズイミダゾロン系顔料;ピグメントレッド122等のキナクリドン系顔料;ピグメントレッド149、ピグメントレッド178、ピグメントレッド179等のペリレン系顔料;ピグメントレッド177等のアントラキノン系顔料が挙げられる。また、無機系顔料としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、べんがら、クロムレッド、モリブデンレッド、リサージ、酸化鉄等が挙げられる。
本発明の光拡散性成形体に着色が必要とされるときは、前記染料及び顔料の何れでも、本発明の目的の範囲内で使用することができる。例えば、ミクロな光学特性の考慮が必要な用途においては、染料による着色が好ましい。また、紫外線吸収剤が目視では黄色〜赤色の色を示すこともあり、近赤外線吸収剤が目視では黒色の色を示すこともあるため、これらの光吸収材と前記染料及び顔料とを厳密に区別して使用する必要は無い。また、これらの光吸収材と前記染料及び顔料を組み合わせて使用しても構わない。
前記滑剤としては、例えば、脂肪族アルコールのエステル、多価アルコールのエステル又は部分エステル等の有機化合物や無機微粒子等を用いることができる。
前記有機化合物としては、例えば、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等が挙げられる。
前記無機微粒子としては、周期律表の1族、2族、4族、6〜14族元素の酸化物、硫化物、水酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、燐酸塩、亜燐酸塩、有機カルボン酸塩、珪酸塩、チタン酸塩、硼酸塩、及びそれらの含水化物、それらを中心とする複合化合物、天然化合物等の微粒子が挙げられる。
前記可塑剤としては、例えば、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリエチルフェニルフォスフェート、ジフェニルクレジルフォスフェート、モノフェニルジクレジルフォスフェート、ジフェニルモノキシレニルフォスフェート、モノフェニルジキシレニルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート等の燐酸トリエステル系可塑剤;フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル系可塑剤;オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル等の脂肪酸一塩基酸エステル系可塑剤;二価アルコールエステル系可塑剤;オキシ酸エステル系可塑剤等が挙げられる。これらの中でも、燐酸トリエステル系可塑剤が好ましく、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェートが特に好ましい。
前記可塑剤の他の具体例として、スクアラン(C30H62、Mw=422.8)、流動パラフィン(ホワイトオイル、JIS−K−2231に規定されるISO VG10、ISO VG15、ISO VG32、ISO VG68、ISO VG100、ISO VG8及びISO VG21等)、ポリイソブテン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン等が挙げられる。これらの中でも、スクアラン、流動パラフィン及びポリイソブテンが好ましい。
前記帯電防止剤としては、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の長鎖アルキルアルコール、グリセリンモノステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート等の多価アルコールの脂肪酸エステル等が挙げられるが、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが特に好ましい。
前記配合剤は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。その混合割合は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜に選択される。また、前記配合剤の個々の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜に選択されるが、各配合剤につき、βフェランドレン重合体の100重量部に対して、通常、0.001〜5重量部程度、好ましくは0.01〜1重量部の範囲で使用することが好ましい。
本発明に係る光拡散性成形体を成形するためのβフェランドレン重合体には、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲において、その他のポリマー成分を配合することもできる。
本発明の光拡散性成形体には、前記βフェランドレン重合体に加えて、光拡散剤がさらに配合されていることが好ましい。この光拡散性成形体中に分散させる光拡散剤の屈折率、大きさ、分散量等を調整することによって、光の拡散状態を変化させたり、光の後方散乱を低減して全光線透過率を高めたりすることができる。
前記光拡散剤は特に制限されず、従来の光拡散板、光拡散シート等に配合された公知の光拡散剤が適用可能である。本発明においては、一種類の光拡散剤が単独で使用されてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。二種類以上を併用することにより、光透過性と光拡散性を調整することも可能である。
前記光拡散剤の屈折率nD(B1)と、前記βフェランドレン重合体の屈折率nD(A)との差△nD(=|nD(B1)−nD(A)|)は、通常、0.005以上であることが好ましく、0.01以上であることがより好ましい。この差△nDの上限値は0.3程度が好ましい。すなわち、前記差△nDは0.005〜0.3の範囲が好ましく、0.01〜0.3の範囲がより好ましい。これらの好適な範囲内であると、拡散率と全光線透過率のバランスを良好にすることができる。
前記光拡散剤の形状は特に制限されないが、上記バランスの取れた光拡散効果を容易に得られるので、微粒子状であることが好ましい。
前記微粒子状の光拡散剤としては、例えば、公知の無機微粒子又は有機微粒子が挙げられる。前記無機微粒子としては、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子、シリカアルミナ粒子、タルク、炭酸バリウム粒子、金属微粒子等が挙げられる。また、ガラス微粒子、金属微粒子、合成樹脂微粒子等のコアとなる微粒子の表面に、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の金属酸化物やMgF等の金属フッ化物等の被膜が形成された微粒子を用いることができる。前記有機微粒子としては、例えば、シリコーン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、ナイロン樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子等が挙げられる。
前記微粒子状の光拡散剤の粒子径は特に限定されない。その平均粒子径は、多くの場合、0.5μm〜30μm程度が好ましく、1μm〜20μmがより好ましく、1μm〜15μmがさらに好ましい。これらの好ましい範囲内であると、光拡散性と光透過性のバランスを良好にすることができる。
前記微粒子状の形状をより詳細に説明すると、その形状は略球状であることが好ましい。略球状の光拡散剤を多く含むことにより、本発明の光拡散性成形体における光拡散剤の分散性が良好となり、光拡散剤が意図しない配向性を有したり、光透過が不均一になったりすることを防ぐことができる。さらに、本発明の光拡散性成形体において、その略球状粒子が一種のレンズとして作用し、更に効果的な光拡散効果が奏され得る。光拡散剤として使用する微粒子中の略球状の微粒子の割合は、個数基準で、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、更に95%以上であることが特に好ましい。
ここで、略球状とは、微粒子の短径を長径で除した値(短径/長径)が、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.8以上、特に好ましくは0.9以上であり、全体として尖った角を有していない形状をいう。ここで、短径とは、一つの微粒子の最も小さな径をいい、長径とは、同じ微粒子の最も大きな径をいう。なお、個々の微粒子における短径、長径、角の有無については、顕微鏡観察によって測定することができる。平均粒子径は、顕微鏡で観察した複数の微粒子の長径を平均することにより求められる。
本発明の光拡散性成形体において、前記光拡散剤の合計の含有量は、βフェランドレン重合体の100重量部に対して、通常、0.01〜20重量部が好ましく、0.05〜15重量部がより好ましく、0.1〜10重量部がさらに好ましい。これらの好適な範囲であると、光線透過率、拡散率、剛性等の機械的強度、熱変形温度及び硬度等のバランスを良好にすることができる。
本発明の光拡散性成形体の形状は特に制限されず、光拡散性成形体に入射された光が拡散された状態で出射され得る形状であればよく、公知の種々の光拡散性成形体の形状が適用可能である。例えば、板状、シート状、ブロック状、ロッド状、屈曲形状、湾曲形状、球状等の形状が挙げられる。また、本発明の光拡散性成形体は、光が入射する面(第一面)と光が出射する面(第二面)を有することが好ましく、この第一面と第二面とが互いに対向する位置関係であることがより好ましい。
本発明の光拡散性成形体の少なくとも一部に、例えば片面に、線状パターン模様、ドット模様、マット模様等の微細構造や、レンズ機能を備えた凹凸構造が設けられていてもよい。これらの構造は、光拡散性成形体の表面に一体的に設けられることによって、光を拡散させる光拡散手段となり得る。このため、前記光拡散手段を備えることにより、前述の光拡散剤を配合させなくても、本発明の光拡散性成形体は機能し得る。また、前記光拡散手段と前記光拡散剤を併用すれば、光拡散性能を向上させたり、光拡散剤を単独で使用する場合よりも光拡散剤の使用量を低減させたりすることができる。
実用上の成形性や強度を確保し、軽量化の目的が充分に達成されるように、さらに、光を拡散させる目的が充分に達成されるように、本発明の光拡散性成形体の厚みは、0.8〜10mmであることが好ましく、1〜5mmであることがより好ましい。
0.8mm未満の厚みであると機械的強度が不足して撓み等が生じる恐れがあり、一方10mmを超えると、光拡散剤による拡散効果が過大となり、光線透過率が低下して、照射光が暗くなってしまう恐れがある。
本発明の光拡散性成形体の厚み以外の寸法、例えば、幅及び長さは、その用途に応じて適宜設計することができる。
本発明の光拡散性成形体の厚み変動は、厚みの3.0%以下であることが好ましく、2.4%以下であることがより好ましい。厚み変動がこのように小さいと、本発明の光拡散性成形体の出射面における色ムラや輝度ムラを小さくすることができる。
ここで、膜厚の測定法としては、放射線法(β線、γ線、χ線、蛍光χ線等)、光干渉法、レーザー法、静電容量法、マイクロ波法、接触法等が挙げられるが、特に限定されない。接触法の場合にはJIS-K-7130:1999に準ずるものであることが好ましい。
本発明の光拡散性成形体は、液晶ディスプレイ等の各種画像表示装置に装着されるバックライト等に付随する光学部材の一つとして、従来の光拡散性成形体と同様に使用され得る。本発明の光拡散性成形体の構成としては、例えば特開2004−109893号公報、特開2004−354892号公報等に記載されたような光拡散板として使用可能な構成、すなわち光が板厚方向に透過する構成、が挙げられる。また、このような光拡散板を含む照明装置において、その照明する側に透過型又は反射型表示素子を配置することによって、本発明の第三態様の画像表示装置を構成することができる。ここで、画像表示装置とは、照明装置と透過型又は反射型表示素子とを有する、画像表示機能を有する機器をいう。
また、光源と、その光源から出射された光を拡散させる上述した第一態様の光拡散性成形体と、を組み合わせることにより、本発明の第二態様の照明装置を構成することができる。前記光源の種類は特に制限されず、従来の液晶ディスプレイ等に使用されるバックライトやエッジライトであってもよいし、LEDであってもよいし、蛍光灯や白熱灯であってもよい。前記光源それ自体が、本発明の光拡散性成形体とは異なる光拡散性部材を備えていても構わない。また、この第二態様の照明装置には、本発明の光拡散性成形体とは異なる光拡散性の部材が備えられていてもよい。
<光拡散性成形体の製造方法>
本発明の光拡散性成形体を製造(成形)する方法は特に制限されず、従来の透明樹脂製の光拡散性成形体を製造する公知方法、例えば、射出成形法、熱プレス成形法、押出成形法、切削加工法、活性エネルギー線硬化型樹脂を用いる方法等が適用可能である。これらの製法のうち、生産性を高める観点から、射出成形法、熱プレス成形法、押出成形法が好適である。また、これらの成形方法によって、前記光拡散手段となり得る構造を、光拡散性成形体の表面に形成することができる。
本発明の光拡散性成形体に前記光拡散剤を含有させる方法は、特に制限されず、例えば、従来の樹脂成形品に種々の配合剤を添加する方法が挙げられる。具体的には、例えば、前記βフェランドレン重合体と、前記光拡散剤と、必要に応じて溶剤やその他の配合剤とをミキサー内に投入して、加熱しながら各成分を攪拌することにより、均一に混合することができる。なお、その混合の際には、各成分が劣化しない温度を選択することが重要である。通常、βフェランドレン重合体のガラス転移温度以上、300℃以下で、混合することが好ましい。
本発明の光拡散性成形体は、光透過性、耐熱性、吸水性、耐光性、光弾性係数及び機械的強度等に関して、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、カーボネート系樹脂等の石油由来の従来樹脂と比べて、同等又はより優れた物性を有する。そのうえ、多くの従来樹脂よりも比重が軽いため、軽量性に優れる。
また、従来知られているβピネン重合体からなる光拡散性成形体は、本発明の光拡散性成形体と同等の優れた軽量性を有するが、引張強度等の機械的強度において本発明のβフェランドレン重合体によって構成された光拡散性成形体の方が優れる。この要因の一つとして、βフェランドレンの方が、数平均分子量の大きい重合体を形成し易く、機械的強度に優れた光拡散性成形体に成り易いことが考えられる。
したがって、前述のβフェランドレン重合体を使用することにより、同じ強度を有しながら薄くて軽量な光拡散性成形体を製造することができる。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[合成例1]
本発明に係る光拡散性成形体の材料として、βフェランドレン重合体の水素添加物を以下の様に合成した。
[βフェランドレン重合体の製造]
乾燥させたガラス製フラスコに、ヘキサン(関東化学株式会社製)68重量部を入れ、0℃に冷却した。そこにルイス酸触媒のEtAlCl(エチルアルミニウムジクロリド)(17%ヘキサン溶液、約1mol/L、東京化成工業株式会社製)0.37重量部を投入し、よく分散させたのち、化学合成によって得たβフェランドレン(純度83.3%)5.1重量部をゆっくりと滴下投入した。1分後に、メタノール8重量部を加えて重合反応を停止した。反応溶液を分液ロートに移した後に1%水酸化ナトリウム溶液20重量部を加えて、よく撹拌した後、水溶液の相を分離除去した。次に、有機溶媒相をエバポレータによりゆっくりと蒸発させ、反応溶液を濃縮させた。濃縮した反応溶液約40重量部をメタノール240重量部にゆっくり滴下し、重合物を再沈させた。得られた沈殿物を溶液よりろ過分離し、十分乾燥させ、βフェランドレン重合体を得た。反応時のモノマーの反応率は100%であった。
得られたβフェランドレン重合体の数平均分子量は105,300、ガラス転移温度は85℃であった。
[水素添加]
十分窒素置換を行った圧力容器に、脱水したヘキサン61重量部および得られたβフェランドレン重合体4重量部を投入し十分溶解させた。ついで、パラジウム・アルミナ触媒(和光純薬製、Pd:5%)10重量部を添加し、8MPaの水素雰囲気下にて、120℃で10時間、水素添加反応を行った。テフロン(登録商標)からなる孔径1μmのフィルターを用いて反応液をろ過し、触媒を除去した後、メタノールにて再沈させ、沈殿を十分に乾燥させて、βフェランドレン重合体の水素添加物4.5重量部を得た。
得られたβフェランドレン重合体の水素添加率をH−NMRスペクトル測定により算出したところ、99.9%であった。また重合体の数平均分子量は104,000、ガラス転移温度は130℃、比重は0.93であった。
(反応収率)
o-ジクロロベンゼンを内部標準とする方法により、β-フェランドレンモノマーの共役二重結合に由来するシグナル5.5〜6.5ppmのシグナルの面積の減少率により算出した。
(数平均分子量)
標準ポリスチレン換算で測定した。装置として、島津製作所社製、LC-20AD送液ユニット、RID-10示差屈折率検出器を用いた。カラムは、昭和電工株式会社製のShodex KF803を2本用いた。溶媒は、THF(40℃)を用いた。
(水素添加率)
溶媒は重水素化クロロホルムを用いた。TMSで0ppm補正を行った。日本電子株式会社製のNMR装置、JNM-ECX400(400MHz)を使用して、H-NMRスペクトルを測定した。測定は室温で行った。
水素添加前のスペクトルの不飽和結合に起因する5.0〜6.0ppmのピークの減少率を求めた。この時、5.0〜6.0ppmのオレフィン性二重結合のプロトンに由来するシグナルの積分値Aと、0.5〜2.5ppmの飽和炭化水素のプロトンに由来するシグナルの積分値Bとの比 A/Bを用いた。水素添加率(%)は(A/B(Before)−A/B(After))x100/A/B(Before)で算出した。
(全光線透過率)
溶融押出法により、上記で作製したβフェランドレン重合体水添物からなる厚さ1mmの試験片を成形して、これを測定試料として全光線透過率を測定した。
JIS-K-7361 : 1997 (ISO13468-1:1996)に準拠して全光線透過率を測定した。測定装置として、東京電色社製のヘーズメーターTC-H3DPK/IIを用いた。
(ガラス転移温度)
JIS-K-7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」により、上記で作製したβフェランドレン重合体水添物のガラス転移温度Tgを、示差熱測定装置を用いて測定した。装置は、島津製作所社製のDSC-60を用いた。
(吸水率)
上記で作製したβフェランドレン重合体水添物を使用して、長さ:140mm、幅:60mm、厚さ:0.8mmの板をプレス成形した。この板を、60℃、90%RHの雰囲気下に10日間置き、初期質量からの増加した質量の割合を下記式により算出し、その吸水率を求めた。
吸水率(%) = 質量増加分×100/初期質量
(耐光性)
溶融押出法により、上記で作製したβフェランドレン重合体水添物からなる厚さ1.0mmの試験片を成形して、これを測定試料として耐光性を評価した。
上記試験片を紫外線暴露試験装置に入れ、100時間の促進暴露試験を行い、YI(イエローインデックス)の試験前と試験後における黄変度(ΔYI)を測定した。 YIの測定は、ASTM−G53に準じて行い、以下の判定基準に従って評価した。
ΔYI =(紫外線暴露100時間後のYI)−(紫外線暴露前のYI)
A: ΔYI ≦ 1 …長期の耐光性が非常に良好
B: 1 < ΔYI …長期の耐光性が不良
(光弾性係数)
溶融押出法により、上記で作製したβフェランドレン重合体水添物からなる厚さ0.2mmの試験片を成形して、これを測定試料として光弾性係数を評価した。
上記試験片(厚さ:200μm)を、Tgよりも20℃低い温度で、一晩アニールした後、Tgよりも20℃高い温度で、長軸方向に引っ張り応力をかけ、その際のレターデーションを、エリプソメーターM220(日本分光株式会社製)で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から、光弾性係数を算出した。算出した変化量を以下の基準に従って分類した。
変化量の絶対値が
A: 1000未満 …変化量が小さく、非常に良好である。
B: 1000以上3000未満 …変化量が許容範囲内であり、良好である。
C: 3000以上 …変化量が大きく、不良である。
単位は[×10−13cm/dyn]
(曲げ弾性率)
ASTM D790に準拠し、各試料の曲げ弾性率を測定した。結果を以下の基準で判定した。
試料の厚みは3.2mmとした。
A: 2500MPa以上 …良好
B: 2500MPa未満 …不良
(比重)
後述する方法で作製した光拡散性成形体の比重を、JIS-K-7112:1999のA法に準じて測定し、以下の判定基準に従って評価した。
A: 比重<1.0 …比重が軽く、良好である。
B: 1.0≦比重<1.1 …比重が重く、不良である。
C: 1.1≦比重 …比重が更に重く、不良である。
(耐湿性)
後述する方法で作製した光ディスク基板について、80℃、90%RHの条件下で、1000時間の耐久試験を行い、その外観変化を目視で観察した。以下の基準で判定した。
A:目視で変化はなく、良好な外観を保った。
B:白濁または変形が見られ、外観が劣化した。
(吸水率)
後述する方法で作製した光ディスク基板を、60℃、90%RHの雰囲気下に10日間置き、初期質量からの増加した質量の割合を下記式により算出し、その吸水率を求めた。
吸水率(%) = 質量増加分×100/初期質量
<光拡散性成形体の製造>
[実施例1]
上記合成例1で得たβフェランドレン重合体水添物100重量部に対し、ポリメチルシルセスオキサン粒子(商品名:トスパール120 モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製)1重量部を添加した組成物を溶融押出法により、厚み1mm、平板状の光拡散性成形体を製造した。その評価結果を下記表に示す。
[比較例1]
脂環式ポリオレフィン系樹脂(日本ゼオン株式会社製ゼオノア1060R、ガラス転移温度:102℃)のペレットに対して、熱風乾燥機を用いて、80℃、4時間の乾燥を行なった。次いで、実施例1と同様な装置を用いて、乾燥したペレットを260℃で溶融押出して、実施例1と同様の粒子を添加した光拡散性成形体を成形した。作製した光拡散性成形体の各物性を実施例1と同様に測定した。その評価結果を表1に示す。
[比較例2]
ポリメチルメタクリレート樹脂(三菱レイヨン社製、アクリペットTF-8)のペレットに対して、熱布乾燥機を用いて、85℃、6時間乾燥を行った。次いで、実施例1と同様な装置を用いて、乾燥したペレットを220℃で溶融押出して、実施例1と同様の粒子を添加した光拡散性成形体を成形した。作製した光拡散性成形体の各物性を実施例1と同様に測定した。その評価結果を表1に示す。
[比較例3]
ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ユーピロンH-3000)
を280℃で溶融押出して、実施例1と同様の粒子を添加した光拡散性成形体を成形した。作製した光拡散性成形体の各物性を実施例1と同様に測定した。その評価結果を表1に示す。
Figure 2015184450
以上の結果から、実施例1の光拡散性成形体は、光透過性、耐熱性、耐熱性及び耐光性が高く、吸水性が低く、光弾性及び軽量性に優れた光拡散性成形体であることが明らかである。実施例1の光拡散性成形体は、比較例1〜3の光拡散性成形体に比べて、各物性のバランスが優れており、光拡散性成形体の用途において有利であることが理解される。
以上で説明した各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはなく、請求項(クレーム)の範囲によってのみ限定される。
本発明は、光学素子、画像表示装置、照明装置等の分野で広く利用可能である。

Claims (12)

  1. 厚みが0.8〜10mmである光拡散性成形体であって、
    比重が0.85以上、1.0未満であり、ガラス転移温度が100℃以上であるβフェランドレン重合体が、前記光拡散性成形体の総質量に対して50〜100質量%含まれることを特徴とする光拡散性成形体。
  2. 前記βフェランドレン重合体が、下記化学式(I)及び(II)で表されるβフェランドレンの少なくとも何れか一方が重合してなることを特徴とする請求項1に記載の光拡散性成形体。
    Figure 2015184450
  3. 前記βフェランドレン重合体に、下記化学式(I−1)、(I−2)、(II−1)及び(II−2)で表されるβフェランドレン単位が合計50質量%以上含有されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光拡散性成形体。
    Figure 2015184450
  4. 前記βフェランドレン重合体の数平均分子量Mnが4万以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の光拡散性成形体。
  5. 前記βフェランドレン重合体が有するオレフィン性炭素−炭素二重結合の少なくとも一部が水素化されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の光拡散性成形体。
  6. 前記βフェランドレン重合体の水素添加率が、70%以上であることを特徴とする請求項5に記載の光拡散性成形体。
  7. 光拡散剤が配合されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の光拡散性成形体。
  8. 前記βフェランドレン重合体の屈折率と、前記光拡散剤の屈折率との差が、0.005以上であることを特徴とする請求項7に記載の光拡散性成形体。
  9. 前記βフェランドレン重合体の100重量部に対して、前記光拡散剤の0.01〜20重量部が配合されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の光拡散性成形体。
  10. 光出射面に、光拡散手段が一体的に設けられていることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の光拡散性成形体。
  11. 光源と、請求項1〜10の何れか一項に記載の光拡散性成形体とを備えることを特徴とする照明装置。
  12. 光源と、請求項1〜10の何れか一項に記載の光拡散性成形体とを備えることを特徴とする画像表示装置。
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