JP2015173100A - 固体電解質組成物およびその製造方法、これを用いた電池用電極シートおよび全固体二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
全固体二次電池のさらなる利点としては、電極のスタックによる高エネルギー密度化に適していることが挙げられる。具体的には、電極と電解質を直接並べて直列化した構造を持つ電池にすることができる。このとき、電池セルを封止する金属パッケージ、電池セルをつなぐ銅線やバスバーを省略することができるので、電池のエネルギー密度が大幅に高められる。また、高電位化が可能な正極材料との相性の良さなども利点として挙げられる。
そこで本発明は、全固体二次電池において、改善されたイオン伝導性を実現できる固体電解質組成物およびその製造方法、これを用いた電池用電極シートおよび全固体二次電池の提供を目的とする。
〔1〕動的光散乱式粒径分布測定装置で測定した累積粒度分布において少なくとも2つのピークを示す無機固体電解質粒子を含む固体電解質組成物。
〔2〕上記2つ以上のピークの最大粒径のピーク(Pa)が粒子径2μm〜0.4μmの範囲にあり、最小粒径のピーク(Pb)が1.5μm〜0.1μmの範囲にあり、上記最大粒径のピーク(Pa)と最小粒径のピーク(Pb)との関係が以下の式(1)を満たす〔1〕に記載の固体電解質組成物。
0.05≦Pb/Pa≦0.75 ・・・(1)
〔3〕上記無機固体電解質粒子は、平均粒子径(da)が2μm〜0.4μmの無機固体電解質粒子Aと、平均粒子径(db)が1.5μm〜0.1μmの無機固体電解質粒子Bとを含んで構成され、以下の式(2)を満たす〔1〕または〔2〕に記載の固体電解質組成物。
0.05≦db/da≦0.75 ・・・(2)
〔4〕動的光散乱式粒径分布測定装置で測定した累積粒度分布においてそれぞれのピークを対数正規分布に従うと仮定して非線形最小二乗法で波形分離したときに、最大粒径のピーク(Pa)の累積90%粒子径(Pa90)が3.4μm〜0.7μmであり、最小粒径のピーク(Pb)の累積90%粒子径(Pb90)が2.5μm〜0.2μmである〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
〔5〕動的光散乱式粒径分布測定装置で測定した累積粒度分布においてそれぞれのピークを対数正規分布に従うと仮定して非線形最小二乗法で波形分離したときに、最大粒径のピーク(Pa)の面積(WPa)と最小粒径のピーク(Pb)の面積(WPb)との比が下記式(3)を満たす〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
0.01≦WPb/(WPa+WPb)≦0.8 ・・・(3)
〔6〕上記無機固体電解質粒子Bの添加量(Wb)は、上記無機固体電解質粒子Aの添加量(Wa)よりも少なく、その質量比は以下の式(4)を満たす〔3〕または〔4〕に記載の固体電解質組成物。
0.01≦Wb/(Wa+Wb)≦0.8 ・・・(4)
〔7〕上記無機固体電解質が酸化物系または硫化物系の無機固体電解質である〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
〔8〕さらにバインダーを含有する〔1〕〜〔7〕のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
〔9〕さらに分散媒体を含有する〔1〕〜〔8〕のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
〔10〕無機固体電解質粒子Aと無機固体電解質粒子Bとを混合して調製する固体電解質組成物の製造方法であって、
上記無機固体電解質粒子Aは平均粒子径(da)が2μm〜0.4μmであり、
上記無機固体電解質粒子Bは平均粒子径(db)が1.5μm〜0.1μmであり、
以下の式(2)を満たす固体電解質組成物の製造方法。
0.05≦db/da≦0.75 ・・・(2)
〔11〕上記無機固体電解質粒子Aはその累積90%粒子径が3.4μm〜0.7μmであり、上記無機固体電解質粒子Bはその累積90%粒子径が2.5μm〜0.2μmである〔10〕に記載の固体電解質組成物の製造方法。
〔12〕上記無機固体電解質粒子Aの添加量(Wa)と上記無機固体電解質粒子Bの添加量(Wb)が以下の式(4)を満たす〔10〕または〔11〕に記載の固体電解質組成物の製造方法。
0.01≦Wb/(Wa+Wb)≦0.8 ・・・(4)
〔13〕上記無機固体電解質粒子Aおよび無機固体電解質粒子Bをそれぞれ少なくとも湿式分散方法あるいは乾式分散方法で処理した後、上記無機固体電解質粒子Aと無機固体電解質粒子Bとを混合する〔10〕〜〔12〕のいずれか1つに記載の無機固体電解組成物の製造方法。
〔14〕〔1〕〜〔9〕のいずれか1つに記載の固体電解質組成物を含んでなる電池用電極シート。
〔15〕〔14〕に記載の電池用電極シートを具備してなる全固体二次電池。
本発明の電池用電極シートおよび全固体二次電池は上記の固体電解質組成物を具備し、上記の良好な性能を発揮する。また、本発明の製造方法によれば、上記の固体電解質組成物および全固体二次電池を好適に製造することができる。
なお、上記負極集電体1、負極活物質層2、無機固体電解質層3、正極活物質層4、正極集電体5の各層の間あるいはその外側には、多能機能性の層を適宜介在ないし配設してもよい。また、各層は単層で構成されていても、複層で構成されていてもよい
(無機固体電解質)
無機固体電解質とは、無機の固体電解質のことであり、固体電解質とは、その内部においてイオンを移動させることができる固体状の電解質のことである。この観点から、後記電解質塩(支持電解質)との区別を考慮し、イオン伝導性の無機固体電解質と呼ぶことがある。
有機物すなわち炭素原子を含まないことから、有機固体電解質(PEOなどに代表される高分子電解質、LiTFSIなどに代表される有機電解質塩)とは明確に区別される。 また、無機固体電解質は定常状態では固体であるため、カチオンおよびアニオンに解離または遊離していない。この点で、電解液やポリマー中でカチオンおよびアニオンが解離または遊離している無機電解質塩(LiPF6、LiBF4、LiFSI、LiClなど)とも明確に区別される。無機固体電解質は周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有するものであれば特に限定されず電子伝導性を有さないものが一般的である。
硫化物固体電解質は、硫黄(S)を含有し、かつ、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有するものが好ましい。例えば下記式(1)で示される組成を満たすリチウムイオン伝導性無機固体電解質が挙げられる。
LiaMbPcSd (1)
(式中、Mは、B、Zn、Si、Cu、Ga及びGeから選択される元素を示す。a〜dは各元素の組成比を示し、a:b:c:dは1〜12:0〜0.2:1:2〜9を満たす。)
酸化物系固体電解質は、酸素(O)を含有し、かつ、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有するものが好ましい。
その中でも、Li1+x+y(Al,Ga)x(Ti,Ge)2−xSiyP3−yO12(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1)は、高いリチウムイオン伝導性を有し、化学的に安定して取り扱いが容易であり好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明において無機固体電解質粒子の平均粒子径は、特に断らない限り、後記実施例に記載した条件により測定した値を言う。
無機固体電解質粒子Aは、その平均粒子径daが2μm以下であることが好ましく、1.9μm以下であることがより好ましく、1.8μm以下であることが特に好ましい。下限は、0.4μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、0.6μm以上であることが特に好ましい。
累積90%粒子径は3.4μm以下であることが好ましく、3.2μm以下であることがより好ましく、3μm以下であることが特に好ましい。下限は、0.7μm以上であることが好ましく、0.8μm以上であることがより好ましく、1μm以上であることが特に好ましい。
粒径の範囲を上記下限以上とすることで、均質な薄膜を形成しやすくなる。上記上限以下とすることで、製造が著しく困難になることを避けるとともに、粒子数を適正に保ちやすく、粒子界面の総面積を著しく増大することなく、界面由来の抵抗を抑えて良好なイオン伝導度を実現することができる。なお、上記粒子Aの平均粒径の範囲は、混合後の組成物における最大粒径ピーク(Pa)およびその累積90%粒径ピーク(Pa90)と同じである。
無機固体電解質粒子Bは、平均粒子径dbが1.5μm以下であることが好ましく、1.3μm以下であることがより好ましく、1.2μm以下であることが特に好ましい。下限は、0.1μm以上であることが好ましく、0.15μm以上であることがより好ましく、0.2μm以上であることが特に好ましい。
累積90%粒子径は2.5μm以下であることが好ましく、2.3μm以下であることがより好ましく、2μm以下であることが特に好ましい。下限は、0.2μm以上であることが好ましく、0.3μm以上であることがより好ましく、0.5μm以上であることが特に好ましい。
粒径の範囲が、上記の上限値以下であると、粒径の異なる粒子を用いた効果が十分に発揮され好ましい。上記の下限値以上であると、製造適正に優れ、粒子数が増加することなく粒子界面の総面積を著しく増大させず、界面由来の抵抗を抑えて良好なイオン伝導度を実現できるため好ましい。なお、上記粒子Bの平均粒径の範囲は、混合後の組成物における最大粒径ピーク(Pb)およびその累積90%粒径ピーク(Pb90)と同じである。
0.05≦Pb/Pa≦0.75 ・・・(1)
0.1≦Pb/Pa≦0.72 ・・・(1a)
0.25≦Pb/Pa≦0.70 ・・・(1b)
0.05≦db/da≦0.75 ・・・(2)
0.1≦db/da≦0.72 ・・・(2a)
0.25≦db/da≦0.70 ・・・(2b)
無機固体電解質粒子Aと無機固体電解質粒子Bとの粒径の関係を上記のようにすることで、両者を混合し密に充填(加圧成形)したときの空隙が効果的に減少されるため好ましい。その結果、固体電解質層における界面由来の抵抗を効果的に抑え、良好なイオン伝導度を発揮することができる。また、上記の範囲とすることにより、無機固体電解質粒子(特に粒子B)の製造に適する。
0.01≦WPb/(WPa+WPb)≦0.8 ・・・(3)
0.05≦WPb/(WPa+WPb)≦0.6 ・・・(3a)
0.1≦WPb/(WPa+WPb)≦0.4 ・・・(3b)
0.01≦Wb/(Wa+Wb)≦0.8 ・・・(4)
0.05≦Wb/(Wa+Wb)≦0.6 ・・・(4a)
0.1≦Wb/(Wa+Wb)≦0.4 ・・・(4b)
無機固体電解質粒子AおよびBの添加量の比率を上記のようにすることで、両者を混合し密に充填(加圧成形)したときの空隙が効果的に減少されるため好ましい。
本発明の固体電解質組成物には、バインダーを用いることができる。これにより、上記の無機固体電解質粒子を結着して、一層良好なイオン伝導性を実現することができる。バインダーの種類は特に限定されないが、スチレン−アクリル系の共重合体(例えば特開2013−008611号公報、国際公開第2011/105574号パンフレット参照)、水素化ブタジエン共重合体(例えば特開平11−086899号公報、国際公開第2013/001623号パンフレット等参照)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン等のポリオレフィン系のポリマー(例えば特開2012−99315号公報参照)、ポリオキシエチレン鎖を有する化合物(特開2013−008611号公報)、ノルボルネン系ポリマー(特開2011−233422号公報)などを利用することができる。
バインダーポリマーは結晶性でも非晶性であってもよい。結晶性の場合、融点は200℃以下であることが好ましく、190℃以下がより好ましく、180℃以下が特に好ましい。下限は特にないが、120℃以上が好ましく、140℃以上がより好ましい。
粒子径分布の標準偏差は0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.15以上であることが特に好ましい。上限としては、1以下であることが好ましく、0.8以下であることがより好ましく、0.6以下であることが特に好ましい。
本発明においてポリマー粒子の平均粒径や粒子分散度は、特に断らない限り、後記実施例で採用した条件(動的光散乱法)によるものとする。
固体電解質組成物に対しては、その固形分中、バインダーが0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。上限としては、50質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。
バインダーを上記の範囲で用いることにより、一層効果的に無機固体電解質の固着性と界面抵抗の抑制性とを両立して実現することができる。
本発明の全固体二次電池には、その固体電解質組成物にリチウム塩を含有させてもよい。リチウム塩としては、通常この種の製品に用いられるリチウム塩が好ましく、特に制限はないが、例えば、以下に述べるものが好ましい。
これらのなかで、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6、LiClO4、Li(Rf1SO3)、LiN(Rf1SO2)2、LiN(FSO2)2、及びLiN(Rf1SO2)(Rf2SO2)が好ましく、LiPF6、LiBF4、LiN(Rf1SO2)2、LiN(FSO2)2、及びLiN(Rf1SO2)(Rf2SO2)などのリチウムイミド塩がさらに好ましい。ここで、Rf1、Rf2はそれぞれパーフルオロアルキル基を示す。
なお、電解液に用いる電解質は、1種を単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせてもよい。
本発明の固体電解質組成物においては、上記の各成分を分散させる分散媒体を用いてもよい。分散媒体としては、例えば、水溶性有機溶媒が挙げられる。具体例としては、下記のものが挙げられる。
・アルコール化合物溶媒
メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、2−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ソルビトール、キシリトール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールなど
・エーテル化合物溶媒(水酸基含有エーテル化合物を含む)
ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、アルキレングリコールアルキルエーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等)など
・アミド化合物溶媒
N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなど
・ケトン化合物溶媒
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど
・芳香族化合物溶媒
ベンゼン、トルエンなど
・脂肪族化合物溶媒
ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ペンタン、シクロペンタンなど
・ニトリル化合物溶媒
アセトニトリル、イソブチロニトリル
上記分散媒体は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の固体電解質組成物は常法により調製すればよいが、上記無機固体電解質粒子Aおよび無機固体電解質粒子Bをそれぞれ少なくとも湿式分散方法あるいは乾式分散方法で処理した後、上記無機固体電解質粒子Aと無機固体電解質粒子Bとを混合することが好ましい。湿式分散方法としては、ボールミル、ビーズミル、サンドミルなどが挙げられる。乾式分散方法としては、同様に、ボールミル、ビーズミル、サンドミルなどが挙げられる。この分散後は、ろ過を適宜施すことより、所定の粒子径以外の粒子や凝集体は取り除くことができる。
また、上記無機固体電解質粒子Aおよび無機固体電解質粒子Bを湿式あるいは乾式で分散させるには、各種の分散ボール、分散ビーズなどの分散メディアが使用できる。中でも高比重の分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、アルミナビーズ、スチールビーズが適している。これら分散メディアの粒子径と充填率は最適化して用いられる。
本発明の固体電解質組成物には、正極活物質を含有させてもよい。それにより、正極材料用の組成物とすることができる。正極活物質には遷移金属酸化物を用いることが好ましく、中でも、遷移元素Ma(Co、Ni、Fe、Mn、Cu、Vから選択される1種以上の元素)を有することが好ましい。また、混合元素Mb(リチウム以外の金属周期律表の第1(Ia)族の元素、第2(IIa)族の元素、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなど)を混合してもよい。この、遷移金属酸化物として例えば、下記式(MA)〜(MC)のいずれかで表されるものを含む特定遷移金属酸化物、あるいはその他の遷移金属酸化物としてV2O5、MnO2等が挙げられる。正極活物質には、粒子状の正極活物質を用いてもよい。具体的に、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できる遷移金属酸化物を用いることができるが、上記特定遷移金属酸化物を用いるのが好ましい。
リチウム含有遷移金属酸化物としては中でも下式で表されるものが好ましい。
LiaM1Ob ・・・ (MA)
(MA−1) LigCoOk
(MA−2) LigNiOk
(MA−3) LigMnOk
(MA−4) LigCojNi1−jOk
(MA−5) LigNijMn1−jOk
(MA−6) LigCojNiiAl1−j−iOk
(MA−7) LigCojNiiMn1−j−iOk
(i)LigNixMnyCozO2(x>0.2,y>0.2,z≧0,x+y+z=1)
代表的なもの:
LigNi1/3Mn1/3Co1/3O2
LigNi1/2Mn1/2O2
(ii)LigNixCoyAlzO2(x>0.7,y>0.1,0.1>z≧0.05,x+y+z=1)
代表的なもの:
LigNi0.8Co0.15Al0.05O2
リチウム含有遷移金属酸化物としては中でも下記式(MB)で表されるものも好ましい。
LicM2 2Od ・・・ (MB)
(MB−1) LimMn2On
(MB−2) LimMnpAl2−pOn
(MB−3) LimMnpNi2−pOn
(a) LiCoMnO4
(b) Li2FeMn3O8
(c) Li2CuMn3O8
(d) Li2CrMn3O8
(e) Li2NiMn3O8
高容量、高出力の観点で上記のうちNiを含む電極が更に好ましい。
リチウム含有遷移金属酸化物としてはリチウム含有遷移金属リン酸化物を用いることも好ましく、中でも下記式(MC)で表されるものも好ましい。
LieM3(PO4)f ・・・ (MC)
なお、Liの組成を表す上記a,c,g,m,e値は、充放電により変化する値であり、典型的には、Liを含有したときの安定な状態の値で評価される。上記式(a)〜(e)では特定値としてLiの組成を示しているが、これも同様に電池の動作により変化するものである。
上記正極活物質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の固体電解質組成物には、負極活物質を含有させてもよい。それにより、負極材料用の組成物とすることができる。負極活物質としては、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものが好ましい。その材料は、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、及び、SnやSi等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。なかでも炭素質材料又はリチウム複合酸化物が信頼性の点から好ましく用いられる。また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能であることが好ましい。その材料は、特には制限されないが、構成成分としてチタン及び/又はリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
上記負極活物質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正・負極の集電体としては、化学変化を起こさない電子伝導体が用いられることが好ましい。正極の集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、その中でも、アルミニウム、アルミニウム合金がより好ましい。負極の集電体としては、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンが好ましく、アルミニウム、銅、銅合金がより好ましい。
全固体二次電池の作製は常法によればよい。具体的には、上記固体電解質組成物を集電体となる金属箔上に塗布し膜を形成した電池用電極シートとする方法が挙げられる。例えば、金属箔上に正極材料となる組成物を塗布し、膜形成する。次いでその電池用電極シートの正極活物質層の上面に無機固体電解質の組成物を塗布し、膜形成する。さらに、同様にして負極の活物質の膜を形成して負極側の集電体(金属箔)を付与することで、所望の全固体二次電池の構造を得ることができる。なお、上記の各組成物の塗布方法は常法によればよい。このとき、正極活物質層をなす組成物、無機固体電解質層をなす組成物、及び負極活物質層をなす組成物のそれぞれの塗布の後に、加熱処理を施すことが好ましい。加熱温度は特に限定されないが、30℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。上限は、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましい。
本発明に係る全固体二次電池は種々の用途に適用することができる。適用態様は特に限定されないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
・周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの挿入放出が可能な活物質を含んでいる固体電解質組成物(正極または負極の電極用組成物)。
・上記固体電解質組成物を金属箔上に製膜した電池用電極シート。
・正極活物質層と負極活物質層と無機固体電解質層とを具備する全固体二次電池であって、上記正極活物質層、負極活物質層、および無機固体電解質層の少なくともいずれかを上記固体電解質組成物で構成した層とした全固体二次電池。
・上記固体電解質組成物を金属箔上に配置し、これを製膜する電池用電極シートの製造方法。
・上記電池用電極シートの製造方法を介して、全固体二次電池を製造する全固体二次電池の製造方法。
無機固体電解質とは、上述した高分子化合物をイオン伝導媒体とする電解質(高分子電解質)とは区別されるものであり、無機化合物がイオン伝導媒体となるものである。具体例としては、上記のLLTやLLZが挙げられる。無機固体電解質は、それ自体が実質的に陽イオン(Liイオン)を放出するものではなく、典型的には結晶格子中に陽イオンを取り込む形でイオンの輸送機能を示すものである。これに対して、電解液ないし固体電解質層に添加して陽イオン(Liイオン)を放出するイオンの供給源となる材料を電解質と呼ぶことがあるが、上記のイオン輸送材料としての電解質と区別するときにはこれを「電解質塩」または「支持電解質」と呼ぶ。電解質塩としては例えばLiTFSI(リチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド)が挙げられる。
本発明において「組成物」というときには、2種以上の成分が均一に混合された混合物を意味する。ただし、実質的に均一性が維持されていればよく、所望の効果を奏する範囲で、一部において凝集や偏在が生じていてもよい。また、特に固体電解質組成物というときには、基本的に電解質層を形成するための材料となる組成物(典型的にはペースト状)を差し、上記組成物を硬化して形成した電解質層はこれに含まれないものとする。
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを160個投入し、無機固体電解質LLT(豊島製作所製)9.0g、結着材としてHSBR(JSR製ダイナロン1321P)0.3g、分散媒としてトルエン15.0gを添加した後に、フリッチュ社製遊星ボールミルP−7に容器をセットし、回転数360rpmで90分湿式分散行い、無機固体電解質粒子PT1を得た。平均粒子径は1.8μm、累積90%粒子径は3.0μmであった。
なお、上記HSBRの重量分子量は200,000であり、Tgは−50℃であった。
上記調製例で得られた各種無機固体電解質スラリーを表1に示す種類および割合で混合し、合計重量25gをジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に直径5mmのジルコニアビーズ160個とともに投入し、フリッチュ社製遊星ボールミルP−7に回転数100rpmで5分混合攪拌を行った。得られた無機固体電解質組成物スラリーを厚み20μmのアルミ箔上に、任意のクリアランスを有するアプリケーターにより塗布し、80℃1時間加熱乾燥し、無機固体電解質シートを得た。なお、ここでのボールミル分散の条件(回転数・時間)では無機固体電解質粒子の径に殆ど変化は見られなかった。
JIS8826:2005に準じた動的光散乱式粒径分布測定装置(株式会社堀場製作所製LB−500)を用いて、無機固体電解質粒子分散物を20mlサンプル瓶に分取し、トルエンにより固形分濃度が0.2質量%になるように希釈調整し、温度25℃で2mlの測定用石英セルを使用してデータ取り込みを50回行い、得られた体積基準の算術平均を平均粒子径とした。また、累積粒度分布の微粒子側からの累積90%の粒子径を累積90%粒子径とした。混合前の粒子の平均粒径はこの方法で測定した。
混合前の無機固体電解質の粒子径および累積90%粒子径は、混合後の無機固体電解質の粒度分布測定結果から対数正規分布などを仮定して最小二乗法により波形分離を行うことで推定できる。具体的には、混合後の無機固体電解質分散物を動的光散乱式粒径分布測定装置(株式会社堀場製作所製LB−500)で測定し、得られた測定結果を、エクセル(マイクロソフト社製表計算ソフト)のソルバー機能を用いて、波形分離を行うことで混合前のそれぞれの無機固体電解質の粒子径および累積90%粒子径を算定した。このようにして算定した平均粒子径および90%粒子径は、調製前のそれぞれの平均粒子径および90%粒子径と良く一致していることを確認した。結果を表1に示した。
上記で得られた無機固体電解質シートの厚みと重量を測定し、見掛け密度を算出し、以下の式によって空間率εを算出した。結果を下記の評価基準に沿って表1に示した。
ε=1−(使用した固体電解質粒子の真比重/無機固体電解質シートの見掛け比重)
A:比較例c11を基準としこの空間率以下のもの
B:比較例c11を基準としこの空間率を超え+10%以下のもの
C:比較例c11を基準としこの+10%を超えるもの
上記で得られた無機固体電解質シートを直径14.5mmの円板状に打ち抜き、コイン電池を作製した。コイン電池の外部より、電極間に500kgf/cm2の圧力をかけることができるジグに挟み、30℃の恒温槽中で交流インピーダンス法により求めた。結果を下記の評価基準に沿って表1に示した。
A:比較例c11を基準としこの+10%を超えるもの
B:比較例c11を基準としこの伝導度を超え+10%以下のもの
C:比較例c11を基準としこの伝導度以下のもの
Pa90:固体電解質粒子Aの累積90%の粒子径
Pb:最小粒径のピーク位置(μm)
Pb90:固体電解質粒子Bの累積90%の粒子径
LLT:LixLayTiO3〔x=0.3〜0.7、y=0.3〜0.7〕
LLZ:Li7La3Zr2O12
WPa:最大粒径のピークPaの面積
WPb:最大粒径のピークPbの面積
また、実施例の電解質層の耐剥離性が良好であり、耐久性の面で優れることも確認した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレン換算の重量平均分子量を計測した。測定法としては、下記条件の方法により測定した。
(条件)
カラム:TOSOH TSKgel Super HZM−H、TOSOH TSKgel Super HZ4000、TOSOH TSKgel Super HZ2000をつないだカラムを用いる
キャリア:テトラヒドロフラン
試験101およびc11で用いた固体電解質粒子AおよびBをそれぞれ以下の表2のとおりに代えて同様の試験を行った。空隙率およびイオン伝導度に関して測定した結果を表2に併せて示しておく。この結果より、本発明によれば、硫化物系の固体電解質を用いた場合にも良好な性能が発揮されることが分かる。
アルゴン雰囲気下(露点−70℃)のグローブボックス内で、硫化リチウム(Li2S、Aldrich社製、純度>99.98%)2.42g、五硫化二リン(P2S5、Aldrich社製、純度>99%)3.90gをそれぞれ秤量し、乳鉢に投入した。Li2S及びP2S5はモル比でLi2S:P2S5=75:25とした。メノウ製乳鉢上において、メノウ製乳棒を用いて、5分間混合した。
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを66個投入し、上記混合物全量を投入し、アルゴン雰囲気下で容器を完全に密閉した。フリッチュ社製遊星ボールミルP−7に容器をセットし、25℃で、回転数510rpmで20時間メカニカルミリングを行うことで黄色粉体の硫化物固体電解質材料(Li/P/Sガラス)6.20gを得た。
次にジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを160個投入し、硫化物無機固体電解質(Li/P/Sガラス)9.0g、結着材としてHSBR(JSR製ダイナロン1321P)0.3g、分散媒としてトルエン15.0gを添加した後に、フリッチュ社製遊星ボールミルP−7に容器をセットし、回転数360rpmで90分湿式分散行い、硫化物固体電解質粒子PS1を得た。平均粒子径は1.5μm、累積90%粒子径は2.5μmであった。
別にジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを160個投入し、硫化物無機固体電解質(Li/P/Sガラス)9.0g、結着材としてHSBR(JSR製ダイナロン1321P)0.3g、分散媒としてトルエン15.0gを添加した後に、フリッチュ社製遊星ボールミルP−7に容器をセットし、回転数360rpmで120分湿式分散行い、硫化物固体電解質粒子PS2を得た。平均粒子径は0.9μm、累積90%粒子径は1.5μmであった。
2 負極活物質層
3 無機固体電解質層
4 正極活物質層
5 正極集電体
6 作動部位
10 全固体二次電池
Claims (15)
- 動的光散乱式粒径分布測定装置で測定した累積粒度分布において少なくとも2つのピークを示す無機固体電解質粒子を含む固体電解質組成物。
- 上記2つ以上のピークの最大粒径のピーク(Pa)が粒子径2μm〜0.4μmの範囲にあり、最小粒径のピーク(Pb)が1.5μm〜0.1μmの範囲にあり、上記最大粒径のピーク(Pa)と最小粒径のピーク(Pb)との関係が以下の式(1)を満たす請求項1に記載の固体電解質組成物。
0.05≦Pb/Pa≦0.75 ・・・(1) - 上記無機固体電解質粒子は、平均粒子径(da)が2μm〜0.4μmの無機固体電解質粒子Aと、平均粒子径(db)が1.5μm〜0.1μmの無機固体電解質粒子Bとを含んで構成され、以下の式(2)を満たす請求項1または2に記載の固体電解質組成物。
0.05≦db/da≦0.75 ・・・(2) - 動的光散乱式粒径分布測定装置で測定した累積粒度分布においてそれぞれのピークを対数正規分布に従うと仮定して非線形最小二乗法で波形分離したときに、最大粒径のピーク(Pa)の累積90%粒子径(Pa90)が3.4μm〜0.7μmであり、最小粒径のピーク(Pb)の累積90%粒子径(Pb90)が2.5μm〜0.2μmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
- 動的光散乱式粒径分布測定装置で測定した累積粒度分布においてそれぞれのピークを対数正規分布に従うと仮定して非線形最小二乗法で波形分離したときに、最大粒径のピーク(Pa)の面積(WPa)と最小粒径のピーク(Pb)の面積(WPb)との比が下記式(3)を満たす請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
0.01≦WPb/(WPa+WPb)≦0.8 ・・・(3) - 平均粒子径(db)が1.5μm〜0.1μmの無機固体電解質粒子Bの添加量(Wb)は、平均粒子径(da)が2μm〜0.4μmの無機固体電解質粒子Aの添加量(Wa)よりも少なく、その質量比は以下の式(4)を満たす請求項3または4に記載の固体電解質組成物。
0.01≦Wb/(Wa+Wb)≦0.8 ・・・(4) - 上記無機固体電解質が酸化物系または硫化物系の無機固体電解質である請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
- さらにバインダーを含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
- さらに分散媒体を含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
- 無機固体電解質粒子Aと無機固体電解質粒子Bとを混合して調製する固体電解質組成物の製造方法であって、
上記無機固体電解質粒子Aは平均粒子径(da)が2μm〜0.4μmであり、
上記無機固体電解質粒子Bは平均粒子径(db)が1.5μm〜0.1μmであり、
以下の式(2)を満たす固体電解質組成物の製造方法。
0.05≦db/da≦0.75 ・・・(2) - 上記無機固体電解質粒子Aはその累積90%粒子径が3.4μm〜0.7μmであり、上記無機固体電解質粒子Bはその累積90%粒子径が2.5μm〜0.2μmである請求項10に記載の固体電解質組成物の製造方法。
- 上記無機固体電解質粒子Aの添加量(Wa)と上記無機固体電解質粒子Bの添加量(Wb)が以下の式(4)を満たす請求項10または11に記載の固体電解質組成物の製造方法。
0.01≦Wb/(Wa+Wb)≦0.8 ・・・(4) - 上記無機固体電解質粒子Aおよび無機固体電解質粒子Bをそれぞれ少なくとも湿式分散方法あるいは乾式分散方法で処理した後、上記無機固体電解質粒子Aと無機固体電解質粒子Bとを混合する請求項10〜12のいずれか1項に記載の無機固体電解組成物の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の固体電解質組成物を含んでなる電池用電極シート。
- 請求項14に記載の電池用電極シートを具備してなる全固体二次電池。
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