JP2015171804A - ヘッドチップの製造方法、液体噴射ヘッド、液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アクチュエータプレート40に感光性ドライフィルムを貼付けるドライフィルム貼付け工程と、複数のチャネル45が形成され、かつ感光性ドライフィルムが貼付けられたアクチュエータプレート40に、所定の水溶液への浸漬により触媒を付与する触媒付与工程と、触媒が付与された部分に金属被膜を析出させることにより、コモン電極50、ダミー電極52、コモン端子51、ダミー端子53を形成する無電解メッキ工程と、無電解メッキ工程の後アクチュエータプレート40から感光性ドライフィルムを剥離するドライフィルム剥離工程と、を備えている。
【選択図】図5
Description
この方式は、インクや液体材料を液体タンクから供給管を介して液体噴射ヘッドに供給し、チャネルに充填したインクや液体材料をチャネルに連通するノズルから吐出させる。インクの吐出の際には、液体噴射ヘッドや噴射した液体を記録する被記録媒体を移動させて、文字や図形を記録する、または所定形状の機能性薄膜を形成している。
すなわち、まず、予め溝を設けたヘッドチップに導電性薄膜を蒸着、スバッタリングまたはメッキ等により成膜する。次いで、導電性薄膜の上にフォトレジストを塗布する。次いで、所定のパターンのフォトマスクを介して露光、現像させて隔壁上面が露出するレジストマスクを形成する。次いで、ウエットエッチンクまたはドライエッチングにより導電性薄膜の露出部分を除去し、駆動電極を形成する。そして、レジストマスクを剥離液または酸素プラズマ処理等により剥離する(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、ヘッドチップの駆動電極形成面に感光性レジストを塗布した後、感光性レジストの露光、現像を行うことにより、駆動電極形成が必要な部分のヘッドチップを露出させる。次いで、ヘッドチップの駆動電極形成が不要な部分を、感光性レジストにより被覆した状態とし、ヘッドチップ表面を酸性エッチング液でエッチングを行う。そして、エッチング後のヘッドチップ表面に触媒を付与した後、駆動電極形成を行う(例えば、特許文献2参照)。
また、上述の特許文献2にあっては、感光性レジストを塗布してレジスト膜を形成する際、レジスト膜を乾燥(ベーク)させるので、その熱によってヘッドチップが劣化してしまうおそれがあるという課題がある。
また、レジスト膜を乾燥させる工程も必要ないので、ヘッドチップの製造時の劣化も防止できる。
また、レジスト膜を乾燥させる工程も必要ないので、ヘッドチップの製造時の劣化も防止できる。
図1は、液体噴射記録装置の構成を示す斜視図である。
同図に示すように、液体噴射記録装置1は、記録紙等の被記録媒体Sを搬送する一対の搬送手段2、3と、被記録媒体Sに図示しないインク(液体)を噴射する液体噴射ヘッド4と、液体噴射ヘッド4にインクを供給するインク供給手段5と、液体噴射ヘッド4を被記録媒体Sの搬送方向Yと直交する走査方向Xに走査させる走査手段6と、を備える。
なお、本実施形態では、搬送方向Yおよび走査方向Xの2方向に直交する方向を上下方向Zとする。
そして、一対の搬送手段2、3のグリッドローラ2a、3aを回転させることで、被記録媒体Sを搬送方向Yに沿った矢印A方向に搬送することが可能とされている。
図示の例では、インクタンク10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の四色のインクがそれぞれ収容されたインクタンク10Y、10M、10C、10Bが搬送方向Yに並んで配置されている。インク配管11は、例えば可撓性を有するフレキシブルホースであり、液体噴射ヘッド4を支持するキャリッジ16の動作(移動)に追従可能とされている。
駆動機構17は、一対のガイドレール15の間に配置され、走査方向Xに間隔をあけて配置された一対のプーリ18と、これら一対のプーリ18の間に巻回されて走査方向Xに移動する無端ベルト19と、一方のプーリ18を回転駆動させる駆動モータ20と、を備えている。
図示の例では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各インクをそれぞれ噴射する4つの液体噴射ヘッド4、すなわち液体噴射ヘッド4Y、4M、4C、4Bが搭載されている。
次に、液体噴射ヘッド4について詳細に説明する。
図2は、液体噴射ヘッドの斜視図である。
同図に示すように、液体噴射ヘッド4は、キャリッジ16に固定される固定プレート25と、この固定プレート25上に固定されたヘッドチップ26と、インク供給手段5から供給されたインクを、ヘッドチップ26の後述するインク導入孔41aにさらに供給するインク供給部27と、ヘッドチップ26に駆動電圧を印加する制御手段28と、を備えている。
なお、これら流路部材31、圧力緩衝器32およびインク連結管33は、上記インク供給部27として機能する。
なお、これら制御回路35が搭載されたIC基板36、およびフレキシブル基板37は、上記制御手段28として機能する。
続いて、上記ヘッドチップ26について詳細に説明する。
図3は、ヘッドチップの斜視図、図4は、ヘッドチップの分解斜視図である。
図3、図4に示すように、ヘッドチップ26は、アクチュエータプレート(圧電プレート)40、カバープレート41、支持プレート42およびノズルプレート43を備え、後述する液体噴射チャネル45Aの長手方向端部に臨むノズル孔43aからインクを吐出する、いわゆるエッジシュートタイプとされている。
図4〜図6に示すように、アクチュエータプレート40は、第1アクチュエータプレート40Aおよび第2アクチュエータプレート40Bの2枚のプレートを積層した積層プレート(積層基板)とされている。これら第1アクチュエータプレート40Aおよび第2アクチュエータプレート40Bは、共に厚さ方向に分極処理された圧電基板、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)セラミックス基板であり、互いの分極方向を反対に向けた状態で接合されている。
このアクチュエータプレート40は、厚さ方向L1に直交する第1方向(配列方向)L2に長く、厚さ方向L1および第1方向L2に対して直交する第2方向L3に短い、平面視略長方形状に形成されている。
また、本実施形態では、アクチュエータプレート40の側面のうち、ノズルプレート43に対向する側面を前端面40aと称し、この前端面40aとは第2方向L3の反対側に位置する側面を後端面40bと称する。
このうち、液体噴射チャネル45Aは、アクチュエータプレート40の後端面40b側に開口することなく、前端面40a側にだけ開口した状態で形成されている。一方、ダミーチャネル45Bについては、アクチュエータプレート40の前端面40a側だけでなく、後端面40b側にも開口するように形成されている。
なお、各コモン端子51はそれぞれ電気的に独立するようにパターン形成されている。また、本実施形態のコモン電極50は、上記したように液体噴射チャネル45Aにおける内壁面の全体に形成されているので、一対の側壁面上に形成された側面電極50aと、底壁面上に形成されている。そして、側面電極50a同士を接続する底面電極50bとにより、断面U字状に形成された電極とされている。
この際、ダミー端子53は、一方の主面40c上において、コモン端子51よりも後端面40b側に離間した位置で第1方向L2に延びることにより、ダミー電極52同士をブリッジ状に繋ぐように形成されている。
このインク導入孔41aには、図6に示すように、流路部材31を介して供給されてきたインクを液体噴射チャネル45A内に導入させ、かつダミーチャネル45B内への導入を規制する複数のスリット55aが形成されたインク導入板55が形成されている。つまり、複数のスリット55aは、液体噴射チャネル45Aに対応する位置に形成されており、各液体噴射チャネル45A内にのみインクを充填することが可能とされる。
ノズルプレート43は、例えばポリイミド等のフィルム材からなるシートである。なお、ノズルプレート43における被記録媒体Sに対向する対向面には、例えばインクの付着等を防止するための撥水膜がコーティングされている。
上記のように構成された液体噴射記録装置1により、被記録媒体Sに情報を記録する場合の作用について説明する。
その結果、被記録媒体Sに4色のインクを利用して、文字や図形等の各種情報を記録することができる。
次に、上述したヘッドチップ26の製造方法について説明する。
ヘッドチップ26の製造方法としては、アクチュエータプレート40に複数のチャネル45を形成する工程と、複数のチャネル45が形成されたアクチュエータプレート40に各電極を形成する工程と、カバープレート41を加工する工程と、支持プレート42を加工する工程と、ノズルプレート43を加工する工程と、これらを一体に組み合わせる工程と、を備える。
ここでは、主にアクチュエータプレート40に関連する工程について、図7〜図13に基づいて詳細に説明する。
まず、図7に示すように、厚み方向に分極処理された第1アクチュエータプレート40Aおよび第2アクチュエータプレート40Bを互いの分極方向を反対に向けた状態で重ね合せ、例えば接着等により接合する。そして、接合した第1アクチュエータプレート40Aおよび第2アクチュエータプレート40Bを、例えば図示しないダイシングブレード等により所定のサイズに加工する。
具体的には、コモン電極50、ダミー電極52、コモン端子51およびダミー端子53の形成領域以外の部分に、感光性ドライフィルム61をパターニングする。なお、アクチュエータプレート40上の複数のチャネル45に対応する領域においては感光性ドライフィルム61に対して露光、現像を行わず、感光性ドライフィルム61を残す。
具体的には、複数のチャネル45が形成されたアクチュエータプレート40に、所定の水溶液への浸漬により触媒を付与する触媒付与工程S10と、触媒が付与された部分に金属被膜(メッキ金属)を析出させることで、コモン電極50、ダミー電極52、コモン端子51およびダミー端子53の各電極を形成する無電解メッキ工程S11を行う。
この工程としては、まず、アクチュエータプレート40を塩化第1錫水溶液に浸漬して、塩化第1錫をアクチュエータプレート40の表面に吸着させるセンシタイジング処理(センシタイジング工程S20)を行う。
具体的には、塩化第1錫水溶液、例えば株式会社ワールドメタル製「PT−3」(塩化スズ(II)二水和物4w%+無機酸類14w%+塩化水素8w%+水74w%、pH<1)に、15〜120秒程度、浸漬することで行う。
具体的には、塩化パラジウム溶液、例えば株式会社ワールドメタル製「PT−4」(塩化水素1w%+パラジウム塩類0.15w%+無機塩類0.5w%+水98.35w%、pH=1)に、15〜120秒程度、浸漬することで行う。
これにより、塩化第1錫および塩化パラジウムを積極的に拡散させて、チャネル45の内部まで入り込ませることができ、図9に示すように、チャネル45の内壁面のうち底壁面と、側壁面における底壁面側(チャネル45の側壁面のうちの略下半分)と、に主に金属パラジウムPdを堆積させることができる。
この第2触媒付与工程S10Bでは、超音波振動を加えないので、塩化第1錫および塩化パラジウムをチャネル45の内部まで積極的に入り込ませずに、図10に示すように、金属パラジウムPdをアクチュエータプレート40の一方の主面40c上と、チャネル45の側壁面における開口側と、に主に堆積させることができる。
なお、無電解メッキ工程S11で使用する電極金属としては、特に限定されるものではない。例えば、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)等が挙げられ、特にNiを用いることが好ましい。
なお、この段階では、ダミーチャネル45Bの内壁面全体にダミー電極52が形成されている。その後、レーザ加工又はダイシング加工等を行うことで、ダミーチャネル45Bの内壁面のうち底壁面上に形成されている部分を第2方向L3に沿ってライン状に除去することで、分断する。これにより、図5に示すように、ダミーチャネル45Bの内壁面のうち、第1方向L2に対向する一対の側壁面上にダミー電極52を電気的に切り離した状態でそれぞれ形成することができる。
さらに、アクチュエータプレート40に複数のチャネル45を形成するにあたり、予めアクチュエータプレート40に感光性ドライフィルム61を貼付け、この感光性ドライフィルム61をフォトリソ技術により所定のパターンに形成した後、感光性ドライフィルム61が貼付けられていない箇所を切削加工するようにしている。このため、アクチュエータプレート40に対して感光性ドライフィルム61を高精度に位置決めして貼付ける必要がなく、ヘッドチップ26の製造工程を簡素化できる。
例えば、上述の実施形態では、アクチュエータプレート40に形成される金属被膜Mは、金属被膜Mは、Ni−Bからなる下地金属被膜M1と、金からなる仕上げ金属被膜M2との2層構造になっている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、金属被膜Mを1層で構成しても良いし、2層以上の多層で構成しても良い。また、金属被膜Mを1層とする場合は、無電解メッキとして、例えばNi−PメッキやNi−Bメッキ等が挙げられ、特にNi−Bメッキが好ましい。Ni−Bメッキの場合、B含有量は通常1%以下であるので、Ni−PよりNi含有量が多く、電気抵抗が低く、且つ電気接続性が良いためである。
このようにすることで、無電解メッキの際に発生する気泡を除去し易くなり、この気泡に起因する密着不良や表面のざらつき等のメッキ不良を抑制することができる。
このように、各チャネル45の底壁面側から開口側に向かって順に金属パラジウムPdを堆積させることができるので、チャネル45の内壁面全体およびアクチュエータプレート40の一方の主面40c上に対して金属パラジウムPdをより均一に堆積させ易い。そのため、コモン電極50、ダミー電極52、コモン端子51及びダミー端子53の各電極を、均一且つ十分な厚みで形成し易い。
このようにすることで、アクチュエータプレート40の一方の主面40c上と、チャネル45の側壁面における開口側と、に主に堆積される金属パラジウムPdの堆積量を調整できるので、コモン端子51及びダミー端子53の厚みを任意に調整することができる。
なお、第2触媒付与工程S10Bを繰り返し行う場合において、水溶液の希釈濃度、具体的には上述した「PT−3」、「PT−4」の希釈濃度を徐々に変化させても良い。このようにすることで、例えば金属パラジウムPdの堆積量を容易に調整し易い。
この場合には、例えばアクチュエータプレート40の他方の主面側にノズルプレート43を重ね合せ、液体噴射チャネル45Aの長手方向中央部分にノズル孔43aに連通する連通口を形成する等すれば良い。
Claims (4)
- 圧電プレートと、
前記圧電プレートに形成され、前記圧電プレートの一方の主面側に開口し、かつ前記圧電プレートの厚さ方向に直交する方向に間隔をあけて並んだ複数の溝部と、
前記複数の溝部の内壁面にそれぞれ形成され、駆動電圧の印加時に、各溝部の間に画成される駆動壁を変形させることにより液滴を吐出させる駆動電極と、
前記圧電プレートの一方の主面上にパターン形成され、前記駆動電極に導通する電極端子部と、
を備えるヘッドチップを製造する方法であって、
前記圧電プレートにドライフィルムを貼付けるドライフィルム貼付け工程と、
前記複数の溝部が形成され、かつ前記ドライフィルムが貼付けられた前記圧電プレートに、所定の水溶液への浸漬により触媒を付与する触媒付与工程と、
前記触媒が付与された部分に金属被膜を析出させることにより、前記駆動電極および前記電極端子部を形成する無電解メッキ工程と、
前記無電解メッキ工程の後、前記圧電プレートから前記ドライフィルムを剥離するドライフィルム剥離工程と、
を備えていることを特徴とするヘッドチップの製造方法。 - 前記ドライフィルム貼付け工程の後、前記圧電プレートに前記複数の溝部を形成することを特徴とする請求項1に記載のヘッドチップの製造方法。
- 請求項1または請求項2に記載のヘッドチップの製造方法を用いて製造されたヘッドチップと、
前記駆動電極に前記駆動電圧を印加する制御手段と、
を備えることを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 請求項3に記載の液体噴射ヘッドと、
被記録媒体を予め決められた搬送方向に沿って搬送する搬送手段と、
前記被記録媒体に対して前記液体噴射ヘッドを前記搬送方向に直交する方向に走査させる走査手段と、を備えることを特徴とする液体噴射装置。
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