JP2015168772A - インク、インクカートリッジ、及び画像形成方法 - Google Patents

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正行 小谷野
岡田 崇
Takashi Okada
崇 岡田
尚史 羽橋
Hisafumi Habashi
尚史 羽橋
井上 智博
Tomohiro Inoue
智博 井上
永井 希世文
Kiyofumi Nagai
希世文 永井
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Abstract

【課題】着色剤である表面疎水性二酸化チタンが沈降しにくく、また、沈降しても容易に再分散が可能であるインクの提供。
【解決手段】着色剤である表面疎水性二酸化チタンと、水とを少なくとも含有してなり、
前記表面疎水性二酸化チタンの25℃における表面エネルギーが、28mN/m〜35mN/mであるインクである。前記表面疎水性二酸化チタンを除いたビヒクルの25℃における表面張力が25mN/m〜35mN/mである態様などが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、インク、インクカートリッジ、及び画像形成方法に関する。
通常のインクジェット記録用インクは、ほとんどが白色系の記録媒体への印字を対象とした透明性の高いインクであり、透明な基材や明度の低い基材に印字した場合、コントラストが得られず、鮮明なカラー発色性が得られなかったり、視認性のある表示が難しくなる。そこで、隠蔽性の高い白色インクを用いることが試みられている。
このような白色インクとしては、白色の無機顔料を着色剤とするインクが用いられている。前記無機顔料は、大抵の場合、有機顔料よりも比重が大きいことから、着色剤の沈降が起こり易いという問題がある。例えば、市販の無機顔料を着色剤として用いたインク(親水性表面処理した二酸化チタンを使用)を収容したインクカートリッジでは10日間以上使用しない場合には、インクカートリッジを振盪させてから使用する旨の注意書きが記載されていた(非特許文献1参照)。
また、二酸化チタン等の無機顔料を着色剤として含むインクを使用する場合には、撹拌機構又は循環機構を有するインクジェット記録装置を用いることが必要であった(特許文献1参照)。
また、特許文献2では、疎水化処理した二酸化チタンを水性分散体として用いているが、二酸化チタンを着色剤として使用しているものではなく、電解質の効果により二酸化チタン粒子が凝集することを抑制するものである。
また、アルミナ及びシリカによる表面処理後に、更にシランカップリング剤によって表面処理された酸化チタン、アニオン性基を有する樹脂、水溶性有機溶剤、及び塩基性化合物を含有する水性顔料分散液が提案されている(特許文献3参照)。
しかし、この提案の水性顔料分散液を用いたインクジェット記録用インクは、疎水化処理が適正化されていないため、インクジェット記録装置の攪拌機構を必要とするレベルであった。
したがって、着色剤である表面疎水性二酸化チタンが沈降しにくく、また、沈降しても容易に再分散が可能であるインクの提供が望まれている。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、着色剤である表面疎水性二酸化チタンが沈降しにくく、また、沈降しても容易に再分散が可能であるインクを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明のインクは、着色剤である表面疎水性二酸化チタンと、水とを少なくとも含有してなり、
前記表面疎水性二酸化チタンの25℃における表面エネルギーが、28mN/m〜35mN/mである。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、着色剤である表面疎水性二酸化チタンが沈降しにくく、また、沈降しても容易に再分散が可能であるインクを提供することができる。
図1は、インクカートリッジの一例を示す概略図である。 図2は、図1のインクカートリッジのケースも含めた概略図である。 図3は、インクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。 図4は、インクジェット記録装置の他の一例を示す概略図である。 図5は、インクジェット記録装置の機構部の一例を示す要部平面概略図である。 図6は、インクジェット記録装置の機構部の一例を示す概略平面図である。
(インク)
本発明のインクは、着色剤である表面疎水性二酸化チタンと、水とを少なくとも含有し、分散剤、水溶性有機溶剤、及び樹脂粒子を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
本発明においては、表面疎水性二酸化チタンと、水とを少なくとも含有するインクにおいて、前記表面疎水性二酸化チタンの25℃における表面エネルギーを、28mN/m〜35mN/mに調節することにより、着色剤である前記表面疎水性二酸化チタンが沈降しにくく、また、沈降してしまっても、容易に再分散が可能になるものである。
前記表面疎水性二酸化チタンの表面エネルギーの制御は疎水化剤による表面被覆が好ましい。また、前記インク中での表面疎水性二酸化チタンの沈降性を制御するために、二酸化チタンの表面の一部を被覆することがより好ましい。前記二酸化チタンの表面の一部を被覆するためには疎水化剤量を減らすことや、異方性のある気相法成長を行うことなどが挙げられる。また、前記二酸化チタンの全表面を疎水化剤で被覆した後にコロナ放電処理やスパッタリング等により表面疎水性二酸化チタンの表面の疎水化剤の一部を除去することも可能である(疎水化除去処理)。
ここで、表面疎水性二酸化チタンの25℃での表面エネルギーの値γ(mN/m)が、下記式(1)1を満たすことで疎水化剤が二酸化チタンの表面の全部ではなく一部を被覆していることがわかる。
γmin<γ<γmax ・・・ 式(1)
(ただし、前記式(1)中、γmaxは、疎水化剤を付与していない二酸化チタンの25℃での表面エネルギー(72mN/m)を表す。γminは、25℃の表面エネルギーの値が変化しない程度まで疎水化剤を付与した表面疎水性二酸化チタンの表面エネルギーを表す。)
これらの中でも、γmin+3<γ<γmaxの範囲であれば、表面疎水性二酸化チタンのビヒクル中への濡れ性が確保できる点からより好ましい。
本発明者らは、更に、ビヒクルとして水だけでなく着色剤の分散剤や水溶性有機溶剤を配合してビヒクルの表面張力を制御すると、前記表面エネルギー範囲の表面疎水性二酸化チタンが均一に分散することが可能になるだけでなく、分散液中で表面疎水性二酸化チタンが沈降しにくくなり、また、沈降しても容易に再分散することが可能になることを知見した。
したがって、前記表面疎水性二酸化チタンを除いたビヒクルの25℃における表面張力は、25mN/m〜40mN/mが好ましく、25mN/m〜33mN/mがより好ましい。前記表面張力が、25mN/m以上とすることでインクの吐出安定性を達成でき、40mN/m以下とすることで、表面エネルギーの低い酸化チタン表面を適度に濡らすことが可能となる。更に、前記表面張力を33mN/m以下とすることで、沈降性と再分散性が共に優れたインクの製造が可能となる。
前記表面張力は、協和界面科学株式会社製の表面張力計CBVP−Zを用いて液温25℃におけるウィルヘルミープレート法の5間秒後の静的表面張力を測定することができる。
<表面疎水性二酸化チタン>
前記表面疎水性二酸化チタンにおける「表面疎水性」とは、二酸化チタンの25℃における表面エネルギーが、25℃における水の表面張力(72mN/m)よりも5mN/m以上小さい場合には、「表面疎水性あり」とし、二酸化チタンの25℃における表面エネルギーが72mN/m以上である場合には、「表面疎水性なし」と判断する。
前記表面疎水性二酸化チタンの表面エネルギーは、水とメタノールとの体積比を変えた溶媒に対する二酸化チタンの浮遊割合を測定する方法で求めることができ、例えば、粉体濡れ性試験機(WET−101P、レスカ株式会社製)を用い、以下のようにして測定することができる。
まず、水100mLに二酸化チタン(0.1g)を浮遊させ、液体の回転速度は200rpm、メタノール流入量3mL/minにて、25℃での二酸化チタンの沈降を光学ディテクタを用いて検出する。二酸化チタンの沈降時のメタノールの体積濃度から表面張力を算出し、二酸化チタンの表面エネルギーを求めることができる。
前記表面疎水性二酸化チタンの25℃における表面エネルギーは、28mN/m〜35mN/mである。前記表面エネルギーを、35mN/m以下とすることにより、容易に表面疎水性二酸化の沈降することを防ぐことができる。また、表面エネルギーを28mN/m以上とすることにより、水以外の水溶性有機溶剤の添加量を抑えることができるので、画像の乾燥性に有利である。
前記表面疎水性二酸化チタンの表面エネルギーを28mN/m〜35mN/mとする手段としては、例えば、二酸化チタンを疎水化処理する際に用いるシリコーンオイル等の疎水化剤の付与量を、二酸化チタン100質量部に対して、1質量部〜100質量部とすることが好ましく、4質量部〜40質量部とすることがより好ましい。また、表面疎水化処理した表面疎水性二酸化チタンに対して、印加電圧8kV〜14kVのコロナ放電処理を施すことが好ましい。
前記表面疎水性二酸化チタンにおける二酸化チタンとしては、特に制限はなく、表面が無処理のものでもよいし、疎水化処理を行う際の処理剤との濡れ性を上げ疎水化処理の効率を向上させるために表面処理したものでもよい。前記表面処理としては、例えば、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、亜鉛等の酸化物などが挙げられる。
前記二酸化チタンの表面に疎水性を付与するための処理としては、例えば、アルキル処理、アルキルシラン処理、フルオロアルキル処理、パーフルオロアルキル処理、シリコーンオイル等によるシリコーン処理などが挙げられる。これらの中でも、シリコーン処理、アルキル処理が好ましい。
前記表面疎水性二酸化チタンとしては、適宜製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記製造方法としては、例えば、ジアルキルジハロゲン化シラン、トリアルキルハロゲン化シラン、アルキルトリハロゲン化シラン等の公知のシランカップリング剤やジメチルシリコーンオイル等のシリコーンオイルと二酸化チタンとを高温度下で接触反応させることによって製造することができる。
前記市販品としては、例えば、疎水性シリコーン表面処理TiO(CR−63、石原産業株式会社製)、疎水性シリコーン表面処理TiO(MTY−02、テイカ株式会社製)などが挙げられる。
前記表面疎水性二酸化チタンの体積基準の粒子径分布における累積50%粒子径(D50)は、200nm〜600nmが好ましく、210nm〜500nmがより好ましく、210nm〜320nmが更に好ましい。前記累積50%粒子径の範囲であれば、印字した画像の隠蔽性を確保しつつ、インクジェット記録装置内のインク流路や吐出ノズルの目詰まりを抑制し、安定的に装置を稼動させることが可能になる。
前記累積50%粒子径(D50)は、例えば、粒度分布測定装置(マイクロトラックUPA−EX150、日機装株式会社製)などにより測定することができる。
前記表面疎水性二酸化チタンの含有量は、インク全量に対して、1質量%〜20質量%が好ましく、3質量%〜15質量%がより好ましい。
<分散剤>
前記表面疎水性二酸化チタンは、水溶性有機溶剤、分散剤などを用いて水に分散させて顔料分散液とすることができる。
前記水溶性有機溶剤としては、後述するものが用いられる。
前記表面疎水性二酸化チタンを分散液中に分散させるための分散剤としては、例えば、水溶性樹脂、界面活性剤などが挙げられる。
前記分散方法としては、例えば、超音波照射、ホモジナイザー、ボールミル、ビーズミル、ペイントシェイカー等の汎用機器を用いて分散する方法などが挙げられる。
前記二酸化チタン分散液をビヒクルと混合することによりインクとすることができ、調製されたインクは、特に制限はないが、インクジェット記録用途に好適に使用することができる。
<<水溶性樹脂>>
前記水溶性樹脂としては、例えば、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、及びフマール酸誘導体から選ばれる少なくとも2つの単量体からなるブロック共重合体、あるいはランダム共重合体、又はこれらの塩などが挙げられる。
これらの水溶性樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶なアルカリ可溶型樹脂であり、これらの中でも重量平均分子量3,000〜20,000のものが、インクに用いた場合に、分散液の低粘度化が可能であり、かつ分散も容易であるという点から特に好ましい。
前記水溶性樹脂の含有量は、前記インク全量に対して、0.1質量%〜10質量%が好ましい。
<<界面活性剤>>
前記界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でも、表面疎水性二酸化チタンの種類、水溶性有機溶剤の組合せによって、分散安定性を損なわない界面活性剤を選択することが好ましい。
前記界面活性剤は、これらに限定されるものではなく、単独で用いても、複数のものを混合して用いてもよい。単独ではインク中で容易に溶解しない場合も、混合することで可溶化され、安定に存在することができる。
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、琥珀酸エステルスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどが挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。具体的には、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ジメチルアルキル(ヤシ)ベタイン、ジメチルラウリルベタインなどが挙げられる。
前記アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどのアセチレングリコール系(例えば、エアープロダクツ社(米国)のサーフィノール104、82、465、485、TGなど)などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー又はこの硫酸エステル塩、フッ素系脂肪族系ポリマーエステルなどが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S121、S131、S132、S−141、S−145(旭硝子株式会社製)、フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431、FC−4430(住友スリーエム株式会社製)、FT−110、250、251、400S(ネオス社製)、ゾニールFS−62、FSA、FSE、FSJ、FSP、TBS、UR、FSO、FSO−100、FSN、FSN−100、FS−300、FSK(DuPont社製)、ポリフォックスPF−136A、PF−156A、PF−151N(OMNOVA社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。これらの中でも、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が特に好ましい。
前記ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(いずれも、信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。
前記界面活性剤の含有量は、インク全量に対して、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.5質量%〜2質量%がより好ましい。前記含有量が、0.01質量%以上で、添加した効果が得られ、5質量%以下とすることで、記録用メディアへの浸透性を制御でき、画像濃度が高く、裏抜けの発生を防止することができる。
<樹脂粒子>
前記樹脂粒子は、インクが記録用メディアに着弾した際、増粘及び凝集する性質を持ち、着色成分の浸透を抑制し、更に記録用メディア上への定着を促進する効果を有する。また、樹脂粒子の種類によっては記録用メディア上で皮膜を形成し、印刷物の耐擦性をも向上させる効果を有する。更に、樹脂粒子を添加することで表面疎水性二酸化チタンの分散安定性が向上する。
前記樹脂粒子としては、例えば、スチレンアクリル樹脂粒子、アクリルシリコーン樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、アクリルウレタン樹脂粒子などが挙げられる。これらの中でも、ポリウレタン樹脂粒子が特に好ましい。
前記樹脂粒子は、インク作製原料として使用する際、又はインク作製後において、固体の粒子として存在する。
前記ポリウレタン樹脂粒子には、比較的親水性のポリウレタン樹脂を外部に乳化剤を使用して粒子化したものと、樹脂自体に乳化剤の働きをする官能基を共重合等の手段で導入した自己乳化型の樹脂粒子がある。本発明においてはいずれの樹脂粒子も使用可能であるが、インク組成の組み合わせによって、表面疎水性二酸化チタン及び樹脂粒子の分散安定性に若干の差異があるので注意が必要である。表面疎水性二酸化チタンや分散剤との各種組み合わせにおいて、常に分散安定性に優れているのはアニオン型自己乳化型ポリウレタンの樹脂粒子である。その際、表面疎水性二酸化チタンの固着性及び分散安定性の面でポリウレタン系樹脂はポリエステル型、ポリカーボネート型よりもエーテル型である方が好ましい。その理由は定かではないが、非エーテル型は耐溶剤性に弱いものが多く、インクの高温保存時に粘度が凝集しやすい。
前記樹脂粒子としては、市販品を使用することができ、前記市販品としては、例えば、J−450、J−734、J−7600、J−352、J−390、J−7100、J−741、J−74J、J−511、J−840、J−775、HRC−1645、HPD−71(スチレン−アクリル樹脂粒子、いずれも、ジョンソンポリマー社製);UVA383MA(アクリル−シリコーン樹脂粒子、BASF社製);AP4710(アクリル−シリコーン樹脂粒子、昭和高分子株式会社製);SF460、SF460S、SF420、SF110、SF300、SF361(ポリウレタン樹脂粒子、いずれも日本ユニカー株式会社製)、アクリットWEM−321U(アクリルウレタン樹脂粒子、大成化工株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂粒子の含有量は、インク全量に対して、0.1質量%〜20質量%が好ましく、0.2質量%〜10質量%がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると、表面疎水性二酸化チタンの分散性及び再分散性が低下し、記録用メディアへ着弾した後、樹脂が表面疎水性二酸化チタンを覆う量が不十分となり、耐擦過効果が小さくなってしまうことがあり、20質量%を超えると、インクの粘度が高すぎて、インクジェット方式での印字が困難になる傾向がある。
<水溶性有機溶剤>
本発明においては、分散媒として水だけでなく水溶性有機溶剤を混合して分散媒の親水性を制御すると、表面疎水性二酸化チタンを均一に分散することが可能になるだけでなく、分散液中で表面疎水性二酸化チタンが沈降しにくくなり、また、沈降しても容易に再分散することが可能になる。
前記水溶性有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、3−メチル−1,3−ヘキサンジオール、プロピルプロピレンジグリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジエチレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
前記環状エーテル類としては、例えば、エポキシ類、オキセタン類、テトラヒドロフラン類、テトラヒドロピラン類、クラウンエーテルなどが挙げられる。
前記アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルモノエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、3−アミノプロピルジエチルアミンなどが挙げられる。
前記アミド化合物類としては、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン、β−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、β−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドなどが挙げられる。
前記含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジグリコールなどが挙げられる。
前記水溶性有機溶剤の含有量は、インク全量に対して、10質量%〜50質量%が好ましく、15質量%〜40質量%がより好ましい。前記含有量を10質量%以上とすることで、吐出安定性を確保することが可能となり、インクジェット記録装置の維持装置で乾燥による不具合を防ぐことが可能となる。また、前記含有量を50質量%以下とすることで、紙面上での乾燥性を維持し、光沢紙上の色安定を早めることができる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、浸透剤、pH調整剤、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸素吸収剤、光安定化剤、などが挙げられる。
−浸透剤−
前記浸透剤としては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが好ましい。
その他の浸透剤としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、エタノール等の低級アルコール類などが挙げられる。
前記浸透剤の含有量は、インク全量に対して、0.1質量%〜4質量%が好ましい。前記含有量が、0.1質量%以上とすることで、記録用メディアへの浸透機能を発現でき、前記含有量を4質量%以下とすることで、着色剤である表面疎水性二酸化チタンの分散安定性を確保し、高い吐出安定性を得ることができる。
−pH調整剤−
前記pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずにpHを7〜11に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルコールアミン類、アルカリ金属元素の水酸化物、アンモニウムの水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、などが挙げられる。
pHが7未満又は11を超えるとインクジェットのヘッドやインク供給ユニットを溶かし出す量が大きく、インクの変質や漏洩、吐出不良などの不具合が生じることがある。
前記アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
前記アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
前記アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物などが挙げられる。
前記ホスホニウム水酸化物としては、例えば、第4級ホスホニウム水酸化物などが挙げられる。
前記アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。
−防腐防黴剤−
前記防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウムなどが挙げられる。
前記キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。
−酸化防止剤−
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが挙げられる。
前記フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)としては、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−〔β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンなどが挙げられる。
前記アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチル−フェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ジヒドロキフェニル)プロピオネート〕メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタンなどが挙げられる。
前記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−β,β’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイドなどが挙げられる。
前記リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイトなどが挙げられる。
−紫外線吸収剤−
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤などが挙げられる。
前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
前記サリチレート系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレートなどが挙げられる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレートなどが挙げられる。
前記ニッケル錯塩系紫外線吸収剤としては、例えば、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−n−ブチルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)トリエタノールアミンニッケル(II)などが挙げられる。
<インクの製造方法>
前記インクは、表面疎水性二酸化チタンを含む顔料分散液、及び水、更に必要に応じて樹脂粒子、分散剤、水溶性有機溶剤などのその他の成分を水性媒体中に分散又は溶解し、更に必要に応じて攪拌混合して製造する。この攪拌混合は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシェイカー、超音波分散機等により行うことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行うことができる。
<<インクの物性>>
前記インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、粘度、表面張力は以下の範囲であることが好ましい。
前記インクの25℃での粘度は、2mPa・s〜25mPa・sが好ましく、2mPa・s〜20mPa・sがより好ましく、10mPa・s〜12mPa・sが更に好ましい。前記インクの粘度を2mPa・s以上とすることによって、インクの吐出時の残留振動が起こりにくくなる効果があり、駆動波形による吐出後の振動抑制を行いやすくでき、短時間で次の吐出ができるようになるため高速印字に適するようになる。一方、前記インクの粘度を20mPa・s以下に抑えることで、吐出性を安定しやすくなる。
ここで、前記粘度は、例えば、R型回転粘度計(RE550L、東機産業株式会社製)を用いて、25℃で測定することができる。
前記インクの表面張力は、25℃で30mN/m以下が好ましく、28mN/m以下がより好ましい。前記インクの表面張力を30mN/m以下にすると、浸透性がよくなり、ビーディングが低減するので、普通紙印字での乾燥性が良好となる。また、前処理層に濡れ易くなるので、発色性がよくなり白ポチも改良される。一方、前記インクの表面張力が30mN/mを超えると、記録用メディア上でのインクのレベリングが起こり難く、乾燥時間の長時間化(乾燥性が悪くなる)を招くことがある。
前記インクは、インク流路内のインクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの(特開平2−51734号公報参照)、あるいは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させるいわゆるサーマル型のもの(特開昭61−59911号公報参照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることによりインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のもの(特開平6−71882号公報参照)などのいずれのインクジェットヘッドを搭載するプリンタにも良好に使用できる。
なお、前記インクは、例えば、印字時又は印字前後に記録用メディア及び前記インクを50℃〜200℃で加熱し、印字定着を促進する機能を有するプリンタ等に使用することもできる。
本発明のインクは、黒色等の明度の低い基材、透明基材などの種々の表面に、十分な白色度を有し視認性の高い記録を行うことができるので、プラスチック製品等の工業製品へのマーキング用等として有用である。
また、前記インクは、着色剤である表面疎水性二酸化チタンが沈降しにくく、また、沈降しても容易に再分散が可能であるので、インクジェット記録用インク、塗料等の各種用途に用いることができるが、以下に説明するインクジェット記録用インクが好ましい。
(インクカートリッジ)
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記インクと、容器とを含み、更に必要に応じて、インク袋などのその他の部材を含む。これにより、インク交換などの作業において、インクに直接触れる必要がなく、手指や着衣の汚れなどの心配がなく、またインクへのごみ等の異物混入を防止できる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを有するものなどが好適である。
前記インクカートリッジについて、図1及び図2を参照して説明する。図1はインクカートリッジのインク袋241の一例を示す概略図であり、図2は図1のインク袋241をカートリッジケース244内に収容したインクカートリッジ200を示す概略図である。
図1に示すように、インク注入口242からインクをインク袋241内に充填し、該インク袋中に残った空気を排気した後、該インク注入口242を融着により閉じる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給する。インク袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成する。そして、図2に示すように、通常、プラスチック製のカートリッジケース244内に収容し、インクカートリッジ200としてインクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いる。
前記インクカートリッジは、インクジェット記録装置に着脱可能とすることが好ましい。これにより、インクの補充や交換を簡素化でき作業性を向上させることができる。
(インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置)
本発明のインクジェット記録装置は、インク飛翔手段を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、刺激発生手段、制御手段などを有してなる。
本発明のインクジェット記録方法は、インク飛翔工程を少なくとも含んでなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、刺激発生工程、制御工程などを含んでなる。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録装置により好適に実施することができ、前記インク飛翔工程は前記インク飛翔手段により好適に行うことができる。また、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
−インク飛翔工程及びインク飛翔手段−
前記インク飛翔工程は、本発明の前記インクに、刺激を印加し、該インクジェット記録用インクを飛翔させて画像を形成する工程である。
前記インク飛翔手段は、本発明の前記インクに、刺激を印加し、該インクジェット記録用インクを飛翔させて画像を形成する手段である。該インク飛翔手段としては、特に制限はなく、例えば、インクジェットヘッド、などが挙げられる。
前記インクジェットヘッドとして、インク流路内のインクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの(特開平2−51734号公報参照)、あるいは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させるいわゆるサーマル型のもの(特開昭61−59911号公報参照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のもの(特開平6−71882号公報参照)などのいずれの場合も含まれる。
前記刺激は、例えば、前記刺激発生手段により発生させることができ、該刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱(温度)、圧力、振動、光などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に挙げられる。
前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライトなどが挙げられ、具体的には、圧電素子等の圧電アクチュエーター、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエーター、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエーター、静電力を用いる静電アクチュエーター、などが挙げられる。
前記インクの飛翔の態様としては、特に制限はなく、前記刺激の種類等に応じて異なり、例えば、前記刺激が「熱」の場合、記録ヘッド内の前記インクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを例えばサーマルヘッド等を用いて付与し、該熱エネルギーにより前記インクに気泡を発生させ、該気泡の圧力により、前記記録ヘッドのノズル孔から該インクを液滴として吐出噴射させる方法などが挙げられる。また、前記刺激が「圧力」の場合、例えば記録ヘッド内のインク流路内にある圧力室と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加することにより、圧電素子が撓み、圧力室の容積が縮小して、前記記録ヘッドのノズル孔から該インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。
前記飛翔させる前記インクの液滴は、その大きさとしては、例えば、3pl〜40plとするのが好ましく、その吐出噴射の速さとしては5m/s〜20m/sとするのが好ましく、その駆動周波数としては1kHz以上とするのが好ましく、その解像度としては300dpi以上とするのが好ましい。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
ここで、図3に示したインクジェット記録装置は、装置本体101と、装置本体101に装着した用紙を装填するための給紙トレイ102と装置本体101に装着され画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ103とを備えている。そして装置本体101の上カバー111の上面は略平坦な面であり,装置本体101の前カバーの前面112が上面に対して斜め後方に傾斜し、この傾斜した前面112の下方側に、前方(手前側)に突き出した排紙トレイ103及び給紙トレイ102を備えている。更に、前面112の端部側には、前面112から前方側に突き出し、上カバー111よりも低くなった箇所にインクカートリッジ装填部104を有し、このインクカートリッジ装填部104の上面に操作キーや表示器などの操作部105を配置している。このインクカートリッジ装填部104にはインクカートリッジの脱着を行うための開閉可能な前カバー115を有している。
装置本体101内には図4及び図5に示すように、図示しない左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド131とステー132とでキャリッジ133を主走査方向に摺動自在に保持し,図示しない主走査モーターによって、図5のキャリッジ走査方向に移動走査する。
キャリッジ133にはイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のインク滴を吐出する4個のインクジェットヘッドからなる記録ヘッド134を複数のインク吐出口を主走査方向と交差する方向に配列し,インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド134を構成するヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエーター、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエーター、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエーター、静電力を用いる静電アクチュエーター等をインクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
インクジェットヘッドのインク吐出部であるノズル面には、吐出安定性、ワイピング性向上のため、Ni/PTFE共析、シリコーン樹脂、フッ素系撥水付与剤により形成された層が設けられている。本発明では、ノズル孔内壁の表面エネルギーを吐出液体によって規定するが、ノズル面の表面エネルギーもノズル孔内壁のそれと合わせるとより効果的となる。従って、ノズル孔内壁も必要に応じてノズル表面と同様な処理が行われている。
キャリッジ133には、記録ヘッド134に各色のインクを供給するための各色のサブタンク135を搭載している。前記サブタンク135に、図示しないインク供給チューブを介して、インクカートリッジ装填部105に装填されたインクカートリッジからインクが補充供給される。一方、給紙トレイ103の用紙積載部(圧板)141上に積載した用紙142を給紙するための給紙部として、用紙積載部(圧板)141から用紙142を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)143及び給紙コロ143に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド144を備え、この分離パッド144は給紙コロ143側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙142を記録ヘッド134の下方側で搬送するための搬送部として、用紙142を静電吸着して搬送するための搬送ベルト151と、給紙部からガイド145を介して送られる用紙142を搬送ベルト151との間で挟んで搬送するためのカウンターローラー152と、略鉛直上方に送られる用紙142を略90°方向転換させて搬送ベルト151上に倣わせるための搬送ガイド153と、押さえ部材154で搬送ベルト151側に付勢された先端加圧コロ155とを備えている。また、搬送ベルト151表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラー156を備えている。
ここで、搬送ベルト151は、無端状ベルトであり、搬送ローラー157とテンションローラー158との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向に周回するように構成されている。この搬送ベルト151は、例えば,抵抗制御を行っていない純粋な厚み40μm程度の樹脂材、例えば、ETFEピュア材で形成した用紙吸着面となる表層と、前記表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。また、搬送ベルト151の裏側には、記録ヘッド134による印写領域に対応してガイド部材161を配置している。更に、記録ヘッド134で記録された用紙142を排紙するための排紙部として、搬送ベルト151から用紙142を分離するための分離爪171と、排紙ローラー172及び排紙コロ173とを備え、排紙ローラー172の下方に排紙トレイ103を備えている。また、装置本体101の背面部には両面給紙ユニット181が着脱自在に装着されている。この両面給紙ユニット181は搬送ベルト151の逆方向回転で戻される用紙142を取り込んで反転させて再度カウンターローラー152と搬送ベルト151との間に給紙する。また、この両面給紙ユニット181の上面には手差し給紙部182を設けている。
このように構成したインクジェット記録装置においては、給紙部から用紙142が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙142はガイド145で案内され、搬送ベルト151とカウンターローラー152との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド153で案内されて先端加圧コロ155で搬送ベルト151に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。この時、帯電ローラー156によって搬送ベルト151が帯電されており、用紙142は搬送ベルト151に静電吸着されて搬送される。そこで、キャリッジ133を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド134を駆動することにより、停止している用紙142にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙142を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙142の後端が記録領域に到達した信号を受け取ることにより、記録動作を終了して、用紙142を排紙トレイ103に排紙する。そして、サブタンク135内のインクの残量ニアーエンドが検知されると、インクカートリッジから所要量のインクがサブタンク135に補給される。
更に、図6に示すように、キャリッジ33の走査方向の一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための本発明に係る維持装置91を配置している。
この維持装置91には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ92と、ノズル面をワイピングするためのワイパーブレード93と、増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け94、この空吐出受けに一体成型され、ワイパーブレード93に付着したインクを除去するための清掃部材であるワイパークリーナー94、及びワイパーブレード93のクリーニング時にワイパーブレード93をワイパークリーナー側に押し付けるクリーナ手段を構成するクリーナコロ96などを備えている。
以上の構成において記録ヘッド34が、ワイパーブレード93の位置を通過する際、移動経路中に突出させれば、記録ヘッド34の吐出口がワイピングされることになる。
<インク記録物>
本発明のインク記録物は、基材上に、本発明の前記インクを用いて形成された画像を有してなる。
前記基材としては、白色以外であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光沢紙、特殊紙、布、OHPシート、フィルムなどが挙げられる。これらの中でも、フィルムのような非多孔質基材が好ましい。
ここで、前記非多孔質基材とは、透明、又は有色のポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンフィルム、アクリルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリスチレンフィルム等のプラスチック素材からなる表面を有する樹脂フィルムやラミネート紙、コート紙等のもの、ガラス、金属などであり、木材パルプ紙、和紙、合成パルプ紙、合成繊維紙等の紙成分を表面に含まないものからなる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
二酸化チタンを着色剤とする顔料インクは、白色インクを得ることが可能である。前記白色インクは、特に、白色以外の記録用メディアへの記録に好適に用いることができるだけでなく、フィルム、OHPシート等の透明性のメディアに記録する場合、白色インクを用いて画像形成することが可能である。また、透明性の記録用メディア上に白色インクを塗布して白色層を形成し、その上に、他の色のインクを用いて画像を形成することで、より鮮明で質の高い画像を得ることが可能となる。この場合、透明性メディア上に、まず、本発明のインクを付与して白色層を形成し、その上に黒色インクやカラーインクなどのインクを用いて画像形成することが可能である。また、透明性のメディアの上に黒色インクやカラーインクなどのインクを用いて画像形成した後に、本発明のインクを付与することで鮮明な画像を得ることも可能である。
前記黒色インクやカラーインクとしては、特に制限はなく、例えば、特開2009−280749号公報、特許第5304023号公報などに開示されたインクを使用することが可能である。
本発明のインクは、着色剤である表面疎水性二酸化チタンが沈降しにくく、また、沈降しても容易に再分散するが可能であることから、本発明のインクを用いて得られるインク記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(表面疎水性二酸化チタンの調製例1−1)
−シリコーン表面処理二酸化チタンの調製−
減圧乾燥機にて110℃で2日間乾燥させた二酸化チタン(CR−50、石原産業株式会社製)10質量部を、等圧滴下漏斗を備え付けた200mLフラスコに投入し、窒素ガス置換した。反応性シリコーンオイル(KF−99、信越化学工業株式会社製)0.4質量部を脱水トルエン40質量部で希釈した溶液を滴下漏斗から徐々に加えながら撹拌した。滴下終了後、オイルバスで加熱しトルエンを留去してから、150℃で3時間反応させた。反応終了後、固形分を回収し、トルエン、次いで、メタノールで十分に洗浄した後に60℃で1日間減圧乾燥し、シリコーン表面処理した調製例1−1の表面疎水化二酸化チタンを得た。
得られた調製例1−1の表面疎水化二酸化チタンについて、以下のようにして、表面エネルギーを測定した。結果を表1に示した。
<二酸化チタンの表面エネルギー>
二酸化チタンの表面エネルギーは、粉体濡れ性試験機(WET−101P、レスカ株式会社製)を用い、以下のようにして測定した。
まず、水100mLに二酸化チタン(0.1g)を浮遊させ、液体の回転速度は200rpm、メタノール流入量3mL/minにて、25℃での二酸化チタンの沈降を光学ディテクタにて検出した。二酸化チタンの沈降時のメタノールの体積濃度から表面張力を算出し、二酸化チタンの表面エネルギーとした。
ここで、二酸化チタンの25℃における表面エネルギーが、25℃における水の表面張力(72mN/m)よりも5mN/m以上小さい場合には、「表面疎水性あり」とし、二酸化チタンの25℃における表面エネルギーが、72mN/m以上である場合には、「表面疎水性なし」と判断した。
(表面疎水性二酸化チタンの調製例1−2〜1−7)
−シリコーン表面処理二酸化チタンの調製−
調製例1−1において、反応性シリコーンオイル(KF−99、信越化学工業株式会社製)の仕込み量(二酸化チタン10質量部に対する)を表1に示すように変化させて、調製例1−2〜1−7の表面疎水性二酸化チタンを得た。
得られた調製例1−2〜1−7の表面疎水性二酸化チタンについて、調製例1−1と同様にして、表面疎水性二酸化チタンの表面エネルギーを測定した。結果を表1に示した。
*表面エネルギーを測定する際に、水−メタノールを用いた滴定法により測定しているため、水単独で濡れ、かつ沈降する調製例1−7の表面エネルギーの測定値を72mN/m以上と表示した。
(表面疎水性二酸化チタンの調製例2−1)
−コロナ放電処理による疎水化除去処理−
下記に示すコロナ放電表面改質装置を用い、市販のシリコーン表面処理した表面疎水性二酸化チタン(CR−63、石原産業株式会社製)をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に厚みが20μmとなるように付与した。次に、固定電極に対する表面疎水性二酸化チタンを付与したPETフィルムの送り速度5mm/s、及び印加電圧8kVの条件で、疎水化除去処理を行い、調製例2−1の表面疎水性二酸化チタンを得た。
得られた調製例2−1の表面疎水性二酸化チタンについて、調製例1−1と同様にして、表面疎水性二酸化チタンの表面エネルギーを測定した。結果を表2に示した。
[コロナ放電処理条件]
・コロナ放電表面改質装置(コロナスキャナーASA−4、信光電気計装株式会社製)
・送り速度:5mm/s
・印加電圧:8kV〜14kV
(表面疎水性二酸化チタンの調製例2−2〜2−5)
−コロナ放電処理による疎水化除去処理−
調製例2−1において、表2に示すようにコロナ放電処理の印加電圧を変化させて、調製例2−2〜2−5の表面疎水性二酸化チタンを得た。
得られた調製例2−2〜2−5の表面疎水性二酸化チタンについて、調製例1−1と同様にして、表面疎水性二酸化チタンの表面エネルギーを測定した。結果を表2に示した。
(実施例1)
−二酸化チタン分散液の調製−
100mLバイアル瓶にイオン交換水11.4質量部、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール30質量部、分散剤としてDISPERBYK−190(ビックケミー社製)0.6質量部を入れ軽く撹拌して均一化した後、調製例1−1の表面疎水性二酸化チタン6質量部を加え、50℃で3時間超音波を照射(600W)して、二酸化チタン分散液を得た。
得られた二酸化チタン分散液を室温まで徐冷した後に、粒度分布測定装置(マイクロトラックUPA−EX150、日機装株式会社製)にて水で希釈した、体積基準の粒子径分布における累積50%粒子径(D50)を測定したところ、316nmであった。
−ビヒクルの調製−
下記に示す原材料を混合し、ビヒクルを調製した。
・アクリットWEM−321U(アクリルウレタン樹脂粒子、大成化工株式会社製、固形分濃度38質量%)・・・12.3質量部
・グリセリン・・・11.7質量部
・3−メチル−1,3−ブタンジオール・・・37.5質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・6.3質量部
・ポリフォックスPF−156A(アニオン系フッ素系界面活性剤、OMNOVA社製)・・・2.8質量部
・Proxel LV(防腐防黴剤、1,2−Benzisothiazolin−3−one、Avecia社製)・・・0.3質量部
・トリエタノールアミン・・・0.2質量部
・イオン交換水・・・28.9質量部
調製した前記二酸化チタン分散液と、前記ビヒクルとを、バイアル瓶中でそれぞれ等量ずつ混合し、インクの調製を行った。
得られたインクの粘度は、R型回転粘度計(RE550L、東機産業株式会社製)により測定したところ、25℃で11.4mPa・sであった。
表面疎水性二酸化チタンを除いたビヒクルの表面張力は、表面張力計(CBVP−Z、協和界面科学株式会社製)を用い、液温25℃におけるウィルヘルミープレート法の5秒後の静的表面張力を測定したところ、32.4mN/mであった。
なお、インク中の二酸化チタンの累積50%粒子径(D50)粒径は、分散液とほとんど変化がないことを確認した。
次に、実施例1のインクを用いて、以下のようにして、沈降性、再分散性、及び印字画像の白色度を評価した。結果を表5に示した。
<二酸化チタンの沈降性>
インク中の二酸化チタンの沈降性は、タービスキャン(MA2000、英弘精機株式会社製)を用いて測定した。
インクを、超音波洗浄器(US−3、アズワン株式会社製)を用いて超音波分散処理(100W、40分間)し、均一状態にしてから、ピペットを用いて装置専用のガラスセルにインクを5.5mL入れた。セル内のインクの液面が安定した30分間後に測定を行い、この時間を沈降性評価開始とした。その後、60℃で静置し、240時間後まで測定を行い、沈降性評価開始を基準とした偏差表示にて、沈降性を確認した。沈降性の確認は、主に、上澄みの生成による後方散乱光の変化をピークの積算(相対値モード)で行い、以下の基準で評価した。
[評価基準]
A:評価開始240時間後の後方散乱光の相対変化が5%未満
B:評価開始240時間後の後方散乱光の相対変化が5%以上10%未満
C:評価開始240時間後の後方散乱光の相対変化が10%以上
<沈降した二酸化チタンの再分散性>
50mLのバイアル瓶に作製したインク30mLを入れ、室温(25℃)下で1ヶ月静置した後、沈降した二酸化チタンについて、再分散性を以下の基準で評価した。
[評価基準]
A:バイアル瓶を手で10秒間振ると二酸化チタンの沈降が解消し、静置前の粒径に戻る
B:沈降したバイアル瓶中の二酸化チタンに対して、超音波洗浄器(US−3、アズワン株式会社製)により超音波照射処理(100W)を2分間行うと二酸化チタンの沈降が解消し、静置前の粒径に戻る
C:インク中の固形分が凝集し、撹拌しても再分散されない
<印字画像の白色度>
インクをインクカートリッジに充填し、インクジェットプリンター(株式会社リコー製、IPSiO GX3000)を用いて、全ノズルにインクが充填され異常画像が出ないことを確認し、記録用メディア上へのインク付着量が20g/mとなるように吐出量を調整した後、50mm×50mmのベタ画像を記録用メディアとしてのOHPシート上に印字した。この印字したOHPシートの下に市販の黒紙を敷いた状態で、印字した部分を分光測色濃度計X−Rite938(X−Rite社製)を用いて明度(L)を測定し、以下の基準で評価した。なお、参考として、黒紙の上に未印字のOHPシートを敷いた状態で測定したL値は、22.4であった。
[評価基準]
A:L値が、75以上
B:L値が、65以上75未満
C:L値が、65未満
(実施例2〜14及び比較例1〜5)
実施例1において、表3に示した二酸化チタン、及び水溶性有機溶剤を使用した以外は、実施例1と同様にして、二酸化チタン分散液を調製した。
また、実施例1において、表4に示したビヒクル組成とした以外は、実施例1と同様にして、ビヒクルを調製した。
得られた前記二酸化チタン分散液及び前記ビヒクルを用い、実施例1と同様にして、実施例2〜14及び比較例1〜5のインクを調製した。
得られた各インクについて、実施例1と同様にして、沈降性、再分散性、及び印字画像の白色度を評価した。結果を表5に示した。
*表5中のインクの累積50%粒径(D50)及びインクの粘度における空欄は、未測定であることを表す。ただし、前記インクの累積50%粒径(D50)は、いずれも200nm〜600nmの範囲である。前記インクの25℃での粘度は、いずれも2mPa・s〜25mPa・sの範囲である。
表5の結果から、実施例1〜14は、比較例1〜5に比べて、いずれも、優れた沈降性、再分散性、及び印字画像の白色度をすべて備えていることがわかった。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 着色剤である表面疎水性二酸化チタンと、水とを少なくとも含有してなり、
前記表面疎水性二酸化チタンの25℃における表面エネルギーが、28mN/m〜35mN/mであることを特徴とするインクである。
<2> 表面疎水性二酸化チタンを除いたビヒクルの25℃における表面張力が、25mN/m〜35mN/mである前記<1>に記載のインクである。
<3> 表面疎水性二酸化チタンが、二酸化チタンに疎水化剤を付与して疎水化処理してなる前記<1>から<2>のいずれかに記載のインクである。
<4> 疎水化剤の付与量が、二酸化チタン100質量部に対して、1質量部〜100質量部である前記<3>に記載のインクである。
<5> 表面疎水性二酸化チタンが、疎水化除去処理されてなる前記<1>から<4>のいずれかに記載のインクである。
<6> 疎水化除去処理が、コロナ放電処理である前記<5>に記載のインクである。
<7> 表面疎水性二酸化チタンの体積基準の粒子径分布における累積50%粒子径(D50)が、200nm〜600nmである前記<1>から<6>のいずれかに記載のインクである。
<8> インクジェット記録用である前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクである。
<9> 前記<1>から<8>のいずれかに記載のインクを容器内に収容してなることを特徴とするインクカートリッジである。
<10> 前記<8>に記載のインクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録用メディアに画像を記録するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
<11> 前記<8>に記載のインクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録用メディアに画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法である。
<12> 基材上に、前記<1>から<8>のいずれかに記載のインクを用いて画像を形成することを特徴とする画像形成方法である。
<13> 基材上に、前記<1>から<8>のいずれかに記載のインクを用いて形成された画像を有してなることを特徴とするインク記録物である。
134 記録ヘッド
200 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジケース
特開2010−222385号公報 特開2013−208760号公報 特開2011−225867号公報
http://dl.epson.jp/support/manual/data/ink/pxw8000/4118542_00.PDF

Claims (9)

  1. 着色剤である表面疎水性二酸化チタンと、水とを少なくとも含有してなり、
    前記表面疎水性二酸化チタンの25℃における表面エネルギーが、28mN/m〜35mN/mであることを特徴とするインク。
  2. 表面疎水性二酸化チタンを除いたビヒクルの25℃における表面張力が、25mN/m〜35mN/mである請求項1に記載のインク。
  3. 表面疎水性二酸化チタンが、二酸化チタンに疎水化剤を付与して疎水化処理してなる請求項1から2のいずれかに記載のインク。
  4. 疎水化剤の付与量が、二酸化チタン100質量部に対して、1質量部〜100質量部である請求項3に記載のインク。
  5. 表面疎水性二酸化チタンが、疎水化除去処理されてなる請求項1から4のいずれかに記載のインク。
  6. 疎水化除去処理が、コロナ放電処理である請求項5に記載のインク。
  7. インクジェット記録用である請求項1から6のいずれかに記載のインク。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載のインクを容器内に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
  9. 基材上に、請求項1から7のいずれかに記載のインクを用いて画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
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