JP2015168363A - 車体の前部構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】前面衝突時に衝突荷重に対して高い緩和性能を発揮することのできる車体の前部構造体を提供する。【解決手段】車体の前部構造体は、第1のバンパリンフォース33の両端部に連結される一対の第1のクラッシュボックス30と、第2のバンパリンフォース34の両端部に連結される一対の第2のクラッシュボックス31とを備える。第1のクラッシュボックス30と第2のクラッシュボックス31とは左右一対をなして設けられた縦柱15によって車体の上下方向に連結される。また、第1のクラッシュボックス30の後方側には縦柱15を介して車体の前後方向に沿って一対のサイドフレーム11が配設されるとともに、第2のクラッシュボックス31が連結された各縦柱15には一対のロアメンバ14が車体の後方側から連結される。そして、縦柱15同士は、連結部材20によって連結される。【選択図】図2
Description
本発明は、車体の前方から加わる衝突荷重を緩和する車体の前部構造体に関する。
従来、車体の前部構造体の一例としては、例えば特許文献1に記載されたバンパ装置が知られている。図9に示すように、このバンパ装置100は、車体の幅方向に延びる第1のバンパリンフォース101及び第2のバンパリンフォース102の長尺方向の両端部に対し、車体の前後方向に延びる第1のクラッシュボックス103及び第2のクラッシュボックス104がそれぞれ連結されている。また、第1のクラッシュボックス103の後端部には車体の一部を構成するサイドメンバ105がラジエータサポートサイド106を介して連結されている。また、第2のクラッシュボックス104の後端部には、車体の前後方向に延びるロアメンバ107の前端部がラジエータサポートサイド106を介して連結されるとともに、このロアメンバ107の後端部にはサイドメンバ105とともに車体の一部を構成するサスペンションメンバ(図示略)が連結されている。
そして、このような構成にあっては、例えば車両の衝突により車体の前方から衝突荷重が加わると、この衝突荷重は、第1のバンパリンフォース101から第1のクラッシュボックス103及びラジエータサポートサイド106を介してサイドメンバ105に伝達される。また、この衝突荷重は同様に、第2のバンパリンフォース102から第2のクラッシュボックス104、ラジエータサポートサイド106及びロアメンバ107を介してサスペンションメンバにも伝達される。こうして第1及び第2のクラッシュボックス103,104が各々軸圧縮変形することにより、車体に加わる衝突荷重が緩和される。
ところで、上記バンパ装置100では、車体の前方から衝突荷重が加わった際に、第2のクラッシュボックス104とロアメンバ107の結合部の車体の幅方向の剛性が低い構造においては、第2のクラッシュボックス104とロアメンバ107の平面視での交差角度に起因して車体の幅方向の分力が発生する。そして、この分力の為に第2のクラッシュボックス104とロアメンバ107の結合部が車体の幅方向へ変形してしまう。その結果、第2のクラッシュボックス104が積極的に衝突荷重を緩和させる構造とはならず、この点について改善の余地がある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、前面衝突時に衝突荷重に対して高い緩和性能を発揮することのできる車体の前部構造体を提供することにある。
上記課題を解決する車体の前部構造体は、車体の幅方向に延びる第1のバンパリンフォースの両端部に連結される一対の第1のクラッシュボックスと、前記第1のバンパリンフォースの下方を車体の幅方向に延びる第2のバンパリンフォースの両端部に連結される一対の第2のクラッシュボックスと、前記第1のクラッシュボックスと前記第2のクラッシュボックスとを車体の上下方向に連結するとともに左右一対をなして設けられた縦柱と、前記縦柱を介して前記第1のクラッシュボックスの後方側に車体の前後方向に沿って配設された一対のサイドフレームと、前記第2のクラッシュボックスが連結された各縦柱に車体の後方側から連結された一対のロアメンバと、前記縦柱同士を連結する連結部材とを備える。
上記構成によれば、車体の前方からバンパリンフォースに衝突荷重が加わったときに、サイドフレーム及びロアメンバにおける縦柱との連結部位が車体の幅方向の外側に拡がったとしても、かかる変位が縦柱同士を連結する連結部材によって規制される。そのため、サイドフレーム及びロアメンバは、第1のクラッシュボックス及び第2のクラッシュボックスの延設方向への支持剛性がそれぞれ担保されるため、これらのクラッシュボックスを円滑に軸圧縮変形させることができる。また、第1のクラッシュボックス及び第2のクラッシュボックスから縦柱を介してサイドフレーム及びロアメンバに衝突荷重が伝達されたときには、サイドフレーム及びロアメンバについても円滑に圧壊変形させることができる。したがって、車体の前方から加わる衝突荷重を上記各部材の設計上の狙いの変形モードでの圧壊変形によって、前面衝突時に衝突荷重に対して高い緩和性能を発揮することができる。
好ましい構成として、前記ロアメンバは、前記縦柱における前記第2のクラッシュボックスとの連結部位に対して前記連結部材を介して連結されてなり、前記連結部材と前記縦柱との連結部位は、前記ロアメンバと前記縦柱との連結部位に対して配置領域が車体の上下方向に重なっている。
上記構成によれば、連結部材と縦柱との連結部位は、第2のクラッシュボックスと縦柱との連結部位に対して配置領域が車体の上下方向に重なっている。そのため、縦柱は、第2のクラッシュボックスから衝突荷重が加わる部分と、連結部材から反力が作用する部分とが車体の上下方向に重なる。したがって、縦柱が車体の前後方向の両側から作用する力に起因して連結部位の周辺構造が車体の前後方向に剪断変形することを抑制できる。
好ましい構成として、前記縦柱に設けられた第1のリブと前記連結部材に設けられた第2のリブとが車体正面視において重なっている。
上記構成によれば、車体正面視において第1及び第2のリブが重なって配置されるときに、それらリブが干渉することを回避するために例えば一方のリブに切り欠きを形成する等の必要がない。そのため、リブによって補強される縦柱及び連結部材の強度が維持され、車体の前方からバンパリンフォースに衝突荷重が加わったときであれ、縦柱及び連結部材としての機能が的確に維持される。
好ましい構成として、前記連結部材は、車体の前方からの投影面においてラジエータに重なっている。
上記構成によれば、車体の前方から加わる衝突荷重によってラジエータが車体の後方に変位したときに、ラジエータは、連結部材における車体の幅方向の中央寄りの部分を車体の後方に押圧する。その結果、連結部材における車体の幅方向の中央寄りの部分が車体の後方に向かって凸となって湾曲する可能性がある。そしてそのような場合には、連結部材における縦柱との連結部位には車体の幅方向の内側に向けて張力が作用する。すなわち、このような張力によっても、サイドフレーム及びロアメンバにおける縦柱との連結部位が車体の幅方向の外側に拡がることが規制される。
以下、車体の前部構造体の一実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図面に示す矢印Frは車体の前方向を、矢印Upは車体の上方向を、矢印Wは車体の幅方向をそれぞれ示している。
図1及び図2に示すように、車体の前部構造体は、車体の幅方向の両側に配設された一対のサイドフレーム11を有している。サイドフレーム11は、四角筒状の金属材料からなり、車体に連結されて車体の後方に延びる後部11Aと、後部11Aの前端部から車体の前方に向けて斜め上方に延びる傾斜部11Bと、傾斜部11Bの前端部から車体の前方に向けて延びる前部11Cとを有している。
サイドフレーム11には、サスペンションメンバ12が下方から連結されている。具体的には、サスペンションメンバ12の上面のうち車体の幅方向の両側となる面部位には、上方が開口したねじ孔(図示略)を有する凸部12Aが突設されており、これらの凸部12Aが各サイドフレーム11の前部11Cの後端部に対してボルト(図示略)によって連結されている。
なお、サスペンションメンバ12には、サスペンションアーム13が車体の上下方向に揺動自在に支持されている。また、サスペンションメンバ12は、車体の幅方向の両側部分が車体の前後方向の両側に延出されたいわゆる蝶型のサスペンションメンバとされており、その前端部には、筒状の金属材料からなるロアメンバ14の後端部がボルト(図示略)によって連結されている。
ロアメンバ14の前端部とサイドフレーム11の前部11Cの前端部とは、車体の前後方向において同一の位置に配置されている。そして、これらの前端部には、車体の上下方向に延びる金属板からなる縦柱15がボルト16,17(図2参照)によって連結されている。
なお、縦柱15は、金属板の外縁が曲げ加工されることにより、その前面に第1の補強リブとして機能する環状リブ15A(図1参照)が形成されている。また、縦柱15のうちサイドフレーム11及びロアメンバ14が連結される部位には、ボルト16の軸部が挿通される貫通孔(図示略)、及び、ボルト17の軸部が挿通される貫通孔(図示略)がそれぞれ形成されている。
図2に示すように、ロアメンバ14の前端部と縦柱15との間には、車体の幅方向に延びる金属板からなる連結部材20が介在しており、縦柱15におけるロアメンバ14との連結部位に車体の後方側から重なって連結されている。
連結部材20は、矩形板状をなしており、その長尺方向の全域に亘って一定の断面形状に形成されている。そして、連結部材20は、その厚み方向を車体の前後方向と一致させた状態で、車体の幅方向の両側に設けられた縦柱15の間に架設されている。なお、連結部材20は、これらの縦柱15の間を直線状に連結しており、車体の幅方向外側への撓み代を有していない。この点で、連結部材20は、車体の幅方向の両側に設けられた縦柱15におけるロアメンバ14との連結部位を連結して車体の幅方向への変位を規制している。また、連結部材20は、その外縁が曲げ加工されることにより、その後面には第2の補強リブとして機能する環状リブ20Aが形成されている。
図3に示すように、縦柱15及び連結部材20は、各々の環状リブ15A,20Aが形成された面の裏面同士を重ね合わせた状態で連結されている。また、連結部材20において縦柱15に対する連結部位となる車体の幅方向の両端部には、ボルト17の軸部が挿通される貫通孔(図示略)が形成されている。
ロアメンバ14の前端部には、フランジ組付体23が溶接にて連結されている。フランジ組付体23のフランジ部23Aは、矩形板状をなしており、その後面にはボルト17の軸部が挿通される貫通孔(図示略)が形成されている。
そして、ロアメンバ14のフランジ組付体23、連結部材20及び縦柱15は、各々の貫通孔が位置合わせされつつ車体の後方側からボルト17の軸部が挿通されるとともに、縦柱15の前面から突出したボルト17の軸部の先端にナット24(図1参照)が螺合されることにより互いに連結されている。
サイドフレーム11の前端部には、フランジ組付体25が溶接にて連結されている。フランジ組付体25のフランジ部25Aは、矩形板状をなしており、その後面にはボルト16の軸部が挿通される貫通孔(図示略)が形成されている。
図1に示すように、縦柱15の前面には、四角筒状の金属材料からなり、車体の前後方向に延びる第1及び第2のクラッシュボックス30,31の後端部が溶接にて連結されている。
第1のクラッシュボックス30は、縦柱15におけるサイドフレーム11との連結部位に対して車体の前方側から連結されている。また、第2のクラッシュボックス31は、縦柱15におけるロアメンバ14との連結部位に対して車体の前方側から連結されている。すなわち、第2のクラッシュボックス31と縦柱15との連結部位は、ロアメンバ14と縦柱15との連結部位に対して配置領域が車体の上下方向に重なっている。なお、本実施の形態では、第2のクラッシュボックス31と縦柱15との連結部位はロアメンバ14と縦柱15との連結部位に対して同一の高さに配置されている。ただし、これらの連結部位は、配置領域のうちの一部の領域が車体の上下方向に重なりつつ他の領域が互いに異なる高さに配置されてもよい。
また、第1及び第2のクラッシュボックス30,31は、車体の前後方向の寸法が互いに同一となっており、これらの前端部は車体の前後方向において同一の位置に配置されている。そして、第1及び第2のクラッシュボックス30,31の前端部には、それぞれ車体の幅方向に延びる第1及び第2のバンパリンフォース33,34がボルト(図示略)によって連結されている。
第1及び第2のバンパリンフォース33,34は、その長尺方向の全域に亘って車体の後方が開放された略U字状の一定の断面形状に形成されている。そして、第1及び第2のバンパリンフォース33,34における車体の幅方向の両端部に対して各々クラッシュボックス30,31の前端部が連結されている。すなわち、各クラッシュボックス30,31は、各々対応するバンパリンフォース33,34に車体の前方から加わる衝突荷重を軸圧縮変形によって吸収もしくは緩和する。なお、第1及び第2のバンパリンフォース33,34の前端面の位置はほぼ一致している。そのため、例えば車両の衝突時には、基本的に第1及び第2のバンパリンフォース33,34に対して同時に衝突荷重が加わる。また、第1及び第2のクラッシュボックス30,31の強度は、サイドフレーム11及びロアメンバ14の強度よりも低く設定されている。そのため、サイドフレーム11及びロアメンバ14は、車体の前方から衝突荷重が入力された際には、各々対応するクラッシュボックス30,31が軸圧縮変形するまではこれらのクラッシュボックス30,31を車体の後方から支持する。すなわち、この車体の前部構造体は、車体の前方から後方にかけて順に変形することによって車体の変形を最小限に抑えている。
なお、図4に底面構造を示すように、サスペンションメンバ12は、サスペンションアーム13の先端に支持された車輪の舵角範囲を確保するために、車輪よりも車体の幅方向の内側に配置されている。そのため、サスペンションメンバ12の前端部は、通常、バンパリンフォース33,34における車体の幅方向の両端部よりも車体の幅方向の内側に配置されることとなり、ロアメンバ14は、その後端部から前端部にかけて車体の幅方向の外側に拡がっている。
また、図5に側面構造を示すように、サスペンションメンバ12の前端部は、第2のバンパリンフォース34よりも下方側に配置されている。そのため、ロアメンバ14は、その後端部から前端部にかけて斜め上方に延びている。
図1及び図2に示すように、車体の幅方向の両側に設けられた第2のクラッシュボックス31の上面には、車体の幅方向に延びる金属板からなるラジエータサポートロア36が架設されている。ラジエータサポートロア36は、その長尺方向のほぼ全域に亘って延びる平板部36Aと、平板部36Aの長尺方向の両側に設けられた屈曲部36Bとを有している。屈曲部36Bは、車体の幅方向の外側に向けて斜め上方に屈曲した後に車体の幅方向の外側に向けて更に水平に延びており、この水平に延びる部分が第2のクラッシュボックス31に連結されている。なお、ラジエータサポートロア36は、第2のクラッシュボックス31における車体の前後方向の途中位置に連結されているため、この連結部位はサイドフレーム11及びロアメンバ14と縦柱15との連結部位よりも車体の前方に配置されている。また、ラジエータサポートロア36は、例えば車両の衝突時において車体の前部構造体の前端部が直ちに変形することを阻害しないために強度が低く抑えられている。ちなみに、本実施の形態では、このラジエータサポートロア36の圧壊強度は、第2のクラッシュボックス31の軸圧縮変形を妨げない程度に調整されている。
ここで、図6に示すように、第2のクラッシュボックス31は、一対のユニット31A,31Bによって構成されている。各ユニット31A,31Bは、一枚の金属板がプレス加工されることにより、断面矩形状の凹溝40A,40Bが一面側に開口した屈曲部41A,41Bと、屈曲部41A,41Bの凹溝40A,40Bの開口端から車体の幅方向に沿って突出したフランジ部42A,42Bとが形成されている。そして、第2のクラッシュボックス31は、これらのユニット31A,31Bの屈曲部41A,41Bの凹溝40A,40Bの開口同士を対向させつつフランジ部42A,42Bを重ね合わせた状態で両ユニット31A,31Bを溶接にて連結することにより、車体の前後方向に延びる四角筒状をなして構成されている。ちなみに、本実施の形態では、両ユニット31A,31Bがそれぞれアッパユニット31A,ロアユニット31Bとして車体の上下方向に対向している。
なお、両ユニット31A,31Bの屈曲部41A,41Bの底壁には、両ユニット31A,31Bの厚み方向に貫通する貫通孔43A,43Bが形成されている。また、ラジエータサポートロア36の屈曲部36Bの上面には凹部44が形成されるとともに、この凹部44の底面には両ユニット31A,31Bの貫通孔43A,43Bと同程度の大きさを有する貫通孔45が開口されている。そして、ラジエータサポートロア36の貫通孔45とアッパユニット31Aの貫通孔43Aとが位置合わせされつつ、ラジエータサポートロア36の屈曲部36Bとアッパユニット31Aの屈曲部41Aの底壁とが面接触した状態で上方からボルト47の軸部が挿通されている。この場合、ボルト47の軸部の先端はロアユニット31Bの貫通孔43Bを貫通してロアユニット31Bの屈曲部41Bの底壁から突出されている。そして、この突出した軸部の先端に対して下方側からナット48が螺合されることにより、ラジエータサポートロア36の屈曲部36Bがアッパユニット31Aの屈曲部41Aの底壁に対して連結されている。また、ボルト47の頭部は、その全体がラジエータサポートロア36の屈曲部36Bの凹部44に収容されている。
また一方、図1及び図2に示すように、ラジエータサポートロア36における車体の幅方向の両端部には、一対のラジエータサポートサイド50が連結片(図示略)を介して上方から連結されている。ラジエータサポートサイド50は、一枚の金属板を直角に曲げ加工して平面視L字状をなして成形されており、その屈曲部位が車体の幅方向の内側に配置されている。すなわち、ラジエータサポートサイド50は、車体の幅方向に沿って配置される第1の側壁部50Aと、第1の側壁部50Aから車体の前方に向けて延びる第2の側壁部50Bとを有している。
図2に示すように、ラジエータサポートサイド50の第1の側壁部50Aは、サイドフレーム11の前端部と縦柱15との間に介在しており、その後面にはボルト16の軸部が挿通される貫通孔(図示略)が形成されている。
そして、サイドフレーム11のフランジ組付体25、ラジエータサポートサイド50の第1の側壁部50A、及び縦柱15は、各々の貫通孔が位置合わせされつつ車体の後方からボルト16の軸部が挿通されるとともに、縦柱15の前面から突出されたボルト16の軸部の先端に対してナット55(図1参照)が螺合されることにより互いに連結されている。
また、車体の幅方向の両側に設けられたラジエータサポートサイド50の第2の側壁部50Bの上端部には、車体の幅方向に延びる金属板からなるラジエータサポートアッパ56が架設されている。そして、ラジエータ60は、その下部がラジエータサポートロア36によって支持されるとともに、その上部がラジエータサポートアッパ56によって支持されている。なお、ラジエータ60の下端部は連結部材20に対して車体の前後方向に対向している。すなわち、ラジエータ60及び連結部材20は、車体の前方からの投影面において互いに重なっている。
次に、本実施の形態の車体の前部構造体の作用について説明する。
いま、図7(a)に示すように、車体の前方から衝突荷重が入力された場合、その衝突荷重は第2のバンパリンフォース34から第2のクラッシュボックス31及び縦柱15を介してロアメンバ14に伝達される。このとき、第2のクラッシュボックス31とロアメンバ14の平面視での交差角度に起因して車体の幅方向且つ車体の外向きの分力が縦柱15に作用することがあり得る。
特に、本実施の形態の底面構造に関しては図4を参照して説明したように、第2のクラッシュボックス31の延設方向とロアメンバ14の延設方向とが一致していない。そのため、第2のクラッシュボックス31の延設方向に沿う押圧力Fが縦柱15を介してロアメンバ14に伝達されたときに、その押圧力Fは、ロアメンバ14の延設方向に沿う分力F1と、ロアメンバ14の延設方向と直交して車体の幅方向の外側に向かう分力F2とに分散される。その結果、ロアメンバ14と第2のクラッシュボックス31を連結する縦柱15には、車体の幅方向の外側に向かう力も作用する。そして、このような力によって縦柱15が車体の幅方向の外側に変位するようなことがあると、車体の前部構造体に要求される剛性が維持できなくなるおそれがある。
この点、本実施の形態では、連結部材20が車体の幅方向の両側に設けられた縦柱15の車体の幅方向への変位を規制している。そのため、縦柱15に対して車体の幅方向の外側に向かう力が作用したとしても、この力によって縦柱15が車体の幅方向の外側に変位することが規制される。その結果、ロアメンバ14には、第2のクラッシュボックス31の延設方向への支持剛性が維持される。
また、図7(b)に示すように、本実施の形態では、ラジエータ60及び連結部材20が車体の前後方向に対向しており、車体の前方から加わる衝突荷重によってラジエータ60が車体の後方に変位するようなことがあると、ラジエータ60は、連結部材20における車体の幅方向の中央寄りの部分が車体の後方に押圧されることがある。これにより、連結部材20は車体の幅方向の中央寄りの部分が車体の後方に向かって凸となって湾曲することとなり、連結部材20における縦柱15との連結部位には車体の幅方向の内側に向けて張力Tが作用する。すなわち上述のように、縦柱15に対して車体の幅方向の外側に向かう力が作用したとしても、この車体の幅方向の内側に向かう張力Tによって縦柱15が車体の幅方向の外側に変位することが更に確実に規制される。そして、ロアメンバ14には、第2のクラッシュボックス31の延設方向への支持剛性がより確実に維持される。
そのため、結局は、図7(c)に示すように、第2のクラッシュボックス31は、ロアメンバ14によって車体の後方から支持された状態で、その延設方向に沿って軸圧縮変形し、車体の前方からの衝突荷重を効率よく緩和することができる。
また、第2のクラッシュボックス31が軸圧縮変形された後も、連結部材20は車体の幅方向の両側に設けられた縦柱15を車体の幅方向への変位を規制する態様で連結している。そのため、車体の前方から加わる衝突荷重によってロアメンバ14の前端部が車体の幅方向の外側に変位することが抑えられ、ロアメンバ14は狙いの変形モードで圧壊変形する。すなわち、これによっても、車体の前方からの衝突荷重は効率よく緩和される。
なお、本実施の形態では、ロアメンバ14は、その後端部から前端部にかけて斜め上方に延びている(図5参照)。そのため、第2のクラッシュボックス31の延設方向に沿う押圧力がロアメンバ14の前端部に伝達されたときに、ロアメンバ14の前端部には上方に向けても力が作用しやすい。
この点、本実施の形態では、ロアメンバ14の前端部とサイドフレーム11の前端部とが縦柱15によって連結されている。そのため、ロアメンバ14の前端部に対して上方に向かう力が作用したとしても、この力に基づきロアメンバ14の前端部が上方に変位することが規制される。そしてこれによっても、ロアメンバ14には、第2のクラッシュボックス31の延設方向への支持剛性が維持される。
また、本実施の形態では、ロアメンバ14と縦柱15との間に連結部材20が介在しており、連結部材20は、縦柱15における第2のクラッシュボックス31との連結部位が車体の幅方向に変位することを規制している。すなわち、連結部材20と縦柱15との連結部位は、第2のクラッシュボックス31と縦柱15との連結部位に対して配置領域が車体の上下方向に重なっている。そのため、縦柱15にあっては、第2のクラッシュボックス31が車体の前方から押圧力が作用させる部分と、連結部材20が車体の後方から反力を作用させる部分とが車体の上下方向に重なる部分となる。その結果、縦柱15における連結部材20との連結部位の周辺構造は、車体の前後方向の両側から作用する力に起因して車体の前後方向に剪断変形することが抑えられる。
また、本実施の形態では、連結部材20は、車体の後方側から縦柱15に対して重なっており、車体の前方から加わる衝突荷重に拮抗して連結部材20から縦柱15に対して車体の後方から反力が作用する。そのため、縦柱15にも、第1のクラッシュボックス30及び第2のクラッシュボックス31の延設方向への支持剛性が担保される。これにより、これらクラッシュボックス30,31は、各々の延設方向に軸圧縮変形し、これによっても車体の前方からの衝突荷重が効率よく緩和される。
また、本実施の形態では、縦柱15及び連結部材20は、各々の環状リブ15A,20Aが設けられた面の裏面側が互いに重なり合っている。そのため、各々の環状リブ15A,20Aは、車体の前方からの投影面において交差しているものの、これらの環状リブ15A,20Aが干渉することがない。その結果、これらの環状リブ15A,20Aに干渉回避のための切り欠きを形成すること等が不要となるため、各々の環状リブ15A,20Aによって補強された縦柱15及び連結部材20の強度も的確に維持される。
以上説明したように、上記実施の形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)縦柱15が車体の幅方向の外側に変位することを連結部材20によって規制することにより、第1及び第2のクラッシュボックス30,31、サイドフレーム11、及びロアメンバ14を的確に設計上の狙いの変形モードで変形させて、車体の前方から加わる衝突荷重を効率よく緩和することができる。
(2)縦柱15にあっては、第2のクラッシュボックス31が押圧力を作用させる部分と、連結部材20が反力を作用させる部分との配置領域が車体の上下方向に重なっている。したがって、縦柱15における連結部材20との連結部位の周辺構造が車体の前後方向に剪断変形することを抑制できる。
(3)ロアメンバ14は、縦柱15における第2のクラッシュボックス31との連結部位に対して連結部材20を介して連結されている。そのため、縦柱15にあっては、第2のクラッシュボックス31が押圧力を作用させる部分と、連結部材20が反力を作用させる部分との配置領域が車体の上下方向に重なる構成を容易に実現することができる。
(4)縦柱15及び連結部材20は、各々の環状リブ15A,20Aが設けられた面の裏面側が互いに重なり合うことにより、各々の環状リブ15A,20Aに切欠き等を設けなくてもこれらの環状リブ15A,20Aが互いに干渉することがない。そのため、各々の環状リブ15A,20Aによって補強された縦柱15及び連結部材20の強度を的確に維持することができる。
(5)連結部材20は、車体の前方からの投影面においてラジエータ60に重なっていることにより、車体の前方から加わる衝突荷重によってラジエータ60が車体の後方に変位したときに、ラジエータ60は、連結部材20における車体の幅方向の中央寄りの部分を車体の後方に向かって凸となって湾曲させることがある。これにより、連結部材20における縦柱15との連結部位に車体の幅方向の内側に向けて張力が作用することにより、縦柱15が車体の幅方向の外側に変位することを更に確実に規制することができる。
(6)連結部材20が車体の後方から縦柱15に対して重なっていることにより、車体の前方から衝突荷重が加わったときに、かかる衝突荷重に拮抗して連結部材20から縦柱15に対して車体の後方から反力が作用する。したがって、第1及び第2のクラッシュボックス30,31の延設方向への縦柱15の支持剛性が担保されて、これらのクラッシュボックス30,31を的確に軸圧縮変形させることができる。そしてこれによっても、車体の前方から加わる衝突荷重を効率よく緩和することができる。
なお、上記実施の形態は、以下のような形態にて実施することもできる。
・上記実施の形態において、車体の幅方向の両側に設けられた縦柱15同士を連結する連結部材の形状は必ずしも平板状である必要はない。例えば、図8に示すように、連結部材120は、その長尺方向のほぼ全域に亘って延びる棒状部120Aと、棒状部120Aの長尺方向の両側に設けられた平板部120Bとを有する構成であってもよい。この構成では、連結部材が平板状に構成される場合と比較して、連結部材120を挟んだ車体の前後両側の空間を遮る面積が小さいため、連結部材よりも車体の後方側に配置されるエンジンルームへの空気の流れを円滑にしてエンジンの冷却効率を高めることができる。
・上記実施の形態において、連結部材20は、必ずしも車体の前方からの投影面においてラジエータ60に重なる必要はなく、例えばラジエータサポートロア36よりも下方に配置されてもよい。
・上記実施の形態において、縦柱15にあっては、補強リブが少なくとも縦柱15の長尺方向に沿う部分を有するのであれば、その形状が環状でなくてもよい。
・上記実施の形態において、連結部材20にあっては、補強リブが少なくとも連結部材20の長尺方向に沿う部分を有するのであれば、その形状が環状でなくてもよい。
・上記実施の形態において、縦柱15及び連結部材20の少なくとも一方は、環状リブ15A,20Aを省略してもよい。
・上記実施の形態において、第2のクラッシュボックス31は、縦柱15に対してボルトによって連結されてもよい。この場合、連結部材20は、第2のクラッシュボックス31と縦柱15との間に介在されてもよい。この構成では、連結部材20は、車体の前方から縦柱15に対して重なることとなる。
・上記実施の形態において、連結部材20は、必ずしもロアメンバ14と縦柱15との間に介在する必要はなく、縦柱15におけるロアメンバ14との連結部位とは異なる部位にて縦柱15に対して連結されてもよい。
・上記実施の形態において、連結部材は、車体の幅方向の両側に設けられた縦柱15同士を直線状に連結する必要はなく、これらの縦柱15の車体の幅方向の外側への変位を規制することができる剛性を有するのであれば、その長尺方向に屈曲した構成であってもよい。
11…サイドフレーム、14…ロアメンバ、15…縦柱、15A…第1の補強リブの一例としての環状リブ、20…連結部材、20A…第2の補強リブの一例としての環状リブ、30…第1のクラッシュボックス、31…第2のクラッシュボックス、33…第1のバンパリンフォース、34…第2のバンパリンフォース、60…ラジエータ、120…連結部材。
Claims (4)
- 車体の幅方向に延びる第1のバンパリンフォースの両端部に連結される一対の第1のクラッシュボックスと、
前記第1のバンパリンフォースの下方を車体の幅方向に延びる第2のバンパリンフォースの両端部に連結される一対の第2のクラッシュボックスと、
前記第1のクラッシュボックスと前記第2のクラッシュボックスとを車体の上下方向に連結するとともに左右一対をなして設けられた縦柱と、
前記縦柱を介して前記第1のクラッシュボックスの後方側に車体の前後方向に沿って配設された一対のサイドフレームと、
前記第2のクラッシュボックスが連結された各縦柱に車体の後方側から連結された一対のロアメンバと、
前記縦柱同士を連結する連結部材と
を備える車体の前部構造体。 - 前記ロアメンバは、前記縦柱における前記第2のクラッシュボックスとの連結部位に対して前記連結部材を介して連結されてなり、
前記連結部材と前記縦柱との連結部位は、前記ロアメンバと前記縦柱との連結部位に対して配置領域が車体の上下方向に重なっている請求項1に記載の車体の前部構造体。 - 前記縦柱に設けられた第1のリブと前記連結部材に設けられた第2のリブとが車体正面視において重なっている請求項1又は請求項2に記載の車体の前部構造体。
- 前記連結部材は、車体の前方からの投影面においてラジエータに重なっている請求項1〜3の何れか一項に記載の車体の前部構造体。
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