JP2015160850A - ケラチン由来のバイオプラスチック成形体の製造方法 - Google Patents

ケラチン由来のバイオプラスチック成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】化学薬品を使用することなく、安価かつ安全にケラチンタンパク質を樹脂化する方法を提供する。
【解決手段】化学薬品で処理されていない羽毛、羊毛、毛髪又は獣毛を繊維長が500μm以下になるまで機械力によって粉砕して粉末にし、前記粉末に蒸留水を粉末と蒸留水との混合物100質量%に対して0〜30質量%の範囲になるように添加し均一に混合し、この混合物を熱圧成形した後、乾燥してケラチン由来のバイオプラスチック成形体を製造する。熱圧成形を6.0Pa以下の真空中でパルス通電焼結装置を用いて少なくとも20MPaの圧力下、120〜140℃の範囲の温度で行うか、又は大気雰囲気下ホットプレスを用いて少なくとも10〜30MPaの圧力下、130〜160℃の範囲の温度で行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、羽毛、羊毛等のケラチンタンパク質を化学薬品を使用することなく樹脂化するケラチン由来のバイオプラスチック成形体の製造方法に関する。本明細書で「バイオプラスチック」とは、石油でなく有機物から作られたプラスチックをいう。
ニワトリの食肉生産過程で廃棄されるニワトリの羽毛を有効活用するために、ニワトリの羽毛をアクリル酸メチルなどの化学薬品で処理してバイオプラスチックを作り出す(樹脂化する)ことに成功した記事が紹介されている(例えば、非特許文献1)。
またシルクフィブロインに代わる安価なタンパク質として従来から廃棄物として焼却処分されてきたニワトリの羽毛由来のケラチンをパルス通電焼結装置を用いて樹脂化する試みがなされている(例えば非特許文献2参照。)。この方法では、出発原料として中国産水鳥由来の羽毛をアルカリにより加水分解した非結晶性の羽毛由来ケラチン粉末を用いて、このケラチン粉末100質量%に対して0〜5質量%の蒸留水を加えて混合したものを黒鉛ジグに充填し、パルス通電焼結装置で6.0Pa以下の真空中、20MPaの加圧下で353〜443K(80〜170℃)の温度で0〜0.3ks(0〜5分)の時間保持した後、直ちに冷却することにより成形体を作製している。
一方、羽毛を予め薬品処理しない方法として、粒径40μm以下、好ましくは20μm以下の羽毛の微粉末を出発原料として用い、所定量の水を混合してホットプレスすることにより曲げ強度などの優れた成形体を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法では、羽毛に対して30〜50質量%の水又はアルコール水溶液を混合したスラリー状混合物を80kg/cm(8MPa)、好ましくは90〜120kg/cm(9〜12MPa)の圧力で95℃以上、好ましくは105℃以下の温度でホットプレス成形することにより含水量5〜9質量%の成形体を得ている。上記方法では上記スラリー中に尿素のような変性剤、アルデヒドのような架橋剤を加えることもできる。上記方法では、羽毛粉末に水分を加えてホットプレス成形することにより、水が可塑剤及び結合剤として作用して組成物が溶融化し一体化すると考えられている。
特許第2844431号公報(段落[0005]〜[0009]、[0012]〜[0036])
Yiqi Yang "Tough plastic film made from waste chicken feathers" 第241回「National Meeting & Exposition of the American Chemical Society」2011年4月5日, http://gigazine.net/news/20110405●plastic●made●from●chicken●feathers/(●はアンダーバーである。) 河原豊他「ケラチンタンパク質が樹脂化した成形体の作製」Fiber Preprint, Japan, Vol.66 (2011), No. 1 (Annual Meeting)
上記非特許文献1に示される方法は、アクリル系のモノマー(アクリル酸メチル)を使用したタンパク質の改変技術であり、樹脂化するためにはモノマーを重合する工程を要し、製造コストの面で不利であるとともに、有機溶媒に起因して安全性などの課題があった。また上記非特許文献2に示される方法も出発原料として、加水分解した非結晶性の羽毛由来ケラチン粉末を用いているため、十分な樹脂化を行うことができなかった。これは、製造工程途中で中和して噴霧する時に塩が混入するためと考えられる。更に上記特許文献1に示される方法では、羽毛に対して30〜50質量%の水を混合してスラリー状の混合物にするため、水の添加量が多過ぎ、ホットプレスにより過剰の液体を流出させる必要があった。また95〜105℃の温度でプレスするため、水熱反応が生じにくく、そのために水の代わりにアルコール水溶液を用いるか、或いは変性剤、架橋剤を併用しないと樹脂化しにくい不具合があった。上記特許文献1に示される方法では、羽毛の粒径を40μm以下の微粉末にするときに粉末同士がだんご状になってしまう不具合があった。
本発明の目的は、化学薬品を使用することなく、安価かつ安全にケラチン由来のバイオプラスチック成形体を製造する方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、化学薬品で処理されていない羽毛、羊毛、毛髪又は獣毛を繊維長が500μm以下になるまで機械力によって粉砕して粉末にし、前記粉末に蒸留水を粉末と蒸留水との混合物100質量%に対して0〜30質量%の範囲になるように添加し均一に混合し、この混合物を6.0Pa以下の真空中でパルス通電焼結装置を用いて少なくとも20MPaの圧力下、120〜140℃の範囲の温度で熱圧成形した後、乾燥してケラチン由来のバイオプラスチック成形体を製造する方法である。
本発明の第2の観点は、化学薬品で処理されていない羽毛、羊毛、毛髪又は獣毛を繊維長が125μm未満になるまで機械力によって粉砕して粉末にし、前記粉末に蒸留水を粉末と蒸留水との混合物100質量%に対して40〜50質量%の範囲になるように添加し均一に混合し、この混合物を大気雰囲気下ホットプレスを用いて10〜30MPaの圧力下、130〜160℃の範囲の温度で熱圧成形した後、乾燥してケラチン由来のバイオプラスチック成形体を製造である。
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、前記羽毛、羊毛、毛髪又は獣毛をボールミル又はジェットミルにより粉末にする製造方法である。
本発明の第4の観点は、羽毛、羊毛、毛髪又は獣毛から製造されたバイオプラスチック成形体であって、成形体表面におけるビッカース硬度が20〜40HVの範囲にあるケラチン由来のバイオプラスチック成形体である。
本発明の第1の観点の製造方法では、樹脂化するための化学薬品を必要とせず、環境を汚染しない。即ち、安価かつ安全にケラチン由来のバイオプラスチック成形体を得ることができる。また蒸留水を粉末と蒸留水との混合物100質量%に対して0〜30質量%の範囲になるように粉末に添加し均一に混合するため、特許文献1の発明より水の添加量を少なくして、水熱反応が可能になるとともに、過剰の水分を除去する必要がない。また繊維長が500μm以下になるまで、より好ましくは100μm以下になるまで機械力によって粉砕して粉末にするため、粉末が微粉にならず、粉末化するときに粉末がだんご状にならない利点がある。パルス通電焼結装置で混合物を最初に真空下に置くことで成形品の構造の均一化の効果を奏する。またパルス通電焼結装置の所定の熱圧条件により、装置内に水熱反応が生じ、羽毛、羊毛、毛髪又は獣毛のケラチンを構成するアミノ酸残基をラジカル化させることにより、特別に架橋剤を使用することなく、水が架橋剤の役目をして、複数の分子鎖間に3次元的に架橋結合を形成させる。この結果、ケラチンが高分子量化して樹脂化することができる。
本発明の第2の観点の製造方法では、特許文献1のように羽毛、羊毛、毛髪又は獣毛を粒径が40μm以下に微粉砕せずに、繊維長125μmまでの粗粉砕の状態でホットプレスを行うため、ホットプレスの上述した所定の熱圧条件により、パルス通電焼結装置と同様にホットプレス内で効率良く水熱反応が生じる。
具体的には、本発明では、水熱反応によりシスチンがデヒドロアラニンに変性する。デヒドロアラニンの二重結合は反応性が高く、他の残基と様々な架橋反応を生じることが推測される。従来、デヒドロアラニンへの変性は、アルカリ存在下で生じるものと考えられていたが、本発明者らは、この変性が単純な水熱処理によっても生じることを知見した。この架橋反応が生じていると推測されるのは、樹脂が褐色になっていることによる。即ち、デヒドロアラニン残基は、二重結合を有するので、生成すれば、無色のケラチンは褐色になることによる。ここで水熱処理とは対象となる物質に水を添加して熱処理することをいう。
また出発原料が毛髪又は獣毛の場合、このケラチンには結晶領域と非晶領域が存在し、コンポジットの形態をとる。結晶領域は温度、圧力の条件によって必ずしも非晶化しない。この非晶化しない部分はバイオプラスチック成形体のマトリックスを補強する強化材になる。
本発明の第3の観点の製造方法では、ボールミル又はジェットミルにより羽毛、羊毛、毛髪又は獣毛を粉末にするので、特許文献1の発明と異なり、所望の繊維長である500μm以下になるまで、より好ましくは100μm以下になるまで機械力によって粉砕した粉末が得られ、だんご状にならない。また仮に粉末を得るために羽毛、羊毛、毛髪又は獣毛をアルカリで加水分解して溶解し、これを噴霧して微粉化した場合にはケラチンの低分子量化を生じてバイオプラスチック成形体の力学特性が劣るのに対して、ボールミル又はジェットミルの機械的粉砕により、ケラチンの高分子量化を達成できる。
本発明の第4の観点のバイオプラスチック成形体は、成形体表面におけるビッカース硬度が20〜40HVの範囲にある。
本発明の成形体の硬さが増加することを羊毛の例に挙げて説明する。羊毛のαヘリックスからなる結晶は、コイル形状の結晶の外側(放射状)に、デヒドロアラニンに変性するシスチン結合が配列し、マトリックスと連結されている。このため結晶を取り巻くイオウが、シスチン結合が解離することにより、デヒドロアラニンに変性しても、αヘリックスの結晶構造は保持される可能性が高いと考えられる。一方、イオウ含有量の多い非晶マトリックスには、デヒドロアラニンが多く生成してマトリックス内部を強化するとともに、マトリックスはαヘリックスの外側に放射状に配列したデヒドロアラニンと架橋して、結局、結晶と強化された非晶がコンポジットを形成する。本発明では、樹脂が強化されるのは、デヒドロアラニンによってもたらされた架橋結合に加えて、結晶が樹脂の強化材として機能しているためと考えられる。βケラチンの羽毛に関しても同様な機構が生じていると考えられる。
実施例1〜14のバイオプラスチック成形体の製造方法を示す図である。 実施例1〜7で用いるパルス通電焼結装置の模式図である。 実施例1〜7で得られたバイオプラスチック成形体の外観写真図である。 実施例1〜3で得られたバイオプラスチック成形体の誘電率の測定結果を示す図である。 実施例4〜5で得られたバイオプラスチック成形体の誘電率の測定結果を示す図である。 実施例6〜7で得られたバイオプラスチック成形体の誘電率の測定結果を示す図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明のバイオプラスチック成形体の製造方法は、先ず、化学薬品で処理されていない羽毛、羊毛、毛髪又は獣毛を用意する。この羽毛、羊毛、毛髪又は獣毛を繊維長が500μm以下、より好ましくは100μm以下になるまで機械力によって粉砕して粉末にする。繊維長が上記値になるまでを基準として粉末化するのは、あまり細かい粉末にすると粉末化する際に粉末がだんご状になってしまうからである。また上限値を超えると、粉末ではなく短繊維状になるため均一な成形体を得るための原料の充填作業が阻害されること、それに加えて未粉砕又は不完全な粉砕、例えば羽毛形態では水が十分に粉体内部に供給されないために水熱反応が生じないからである。本発明では、粉砕はボールミルやジェットミルを用いることが好ましい。
次いで、得られた粉末に蒸留水を添加して均一に混合する。パルス通電焼結装置を用いる場合、蒸留水は、混合物100質量%に対して0〜30質量%の範囲、好ましくは5〜15質量%の範囲になるように添加する。ホットプレスを用いる場合、蒸留水は、混合物100質量%に対して40〜50質量%の範囲になるように添加する。蒸留水の添加量が下限値未満では架橋剤としての機能を有する水の量が少なすぎ、混合物の樹脂化が生じないためである。上限値を超えると、次のパルス通電焼結装置又はホットプレス等の熱圧成形時において混合物の加水分解が進行して適切な水熱反応が生じず、やはり混合物の樹脂化しないためである。例えば、蒸留水を粉末化した毛繊維に滴下しながら混合し、その混合物が小麦粉の粘土のような練り物にすることが好ましい。
得られた混合物を図2に示すパルス通電焼結装置10又は図示しないホットプレスにより熱圧成形する。パルス通電焼結装置10は、黒鉛製型11と、導電性の耐熱金属で構成された一対の押し板12a、12bと、一対の電極14a、14bと、一対の導電性のある押し棒15a、15bと、一対の通電部16a、16bと、焼結用の電源17とを備える。
この通電焼結装置10は、真空チャンバー18内に設置される。黒鉛製型11は、得られた混合物Aを収容して加圧しながら焼結する円筒形黒鉛製ダイ11aとこのダイ内に挿入して混合物Aを加圧する黒鉛製の一対の円柱状パンチ11b、11cとにより構成される。一対の押し板12a、12bは、パンチ11b、11cに押し当てられる。黒鉛製型11は、一対の押し板12a、12bを介して、一対の電極12a、12bの間に挟まれた状態で設置される。ダイ内の混合物Aには、一対の電極14a、14b、一対の押し棒15a、15b及び一対の通電部16a、16bを介してパルス電流が電源17から流れるようになっている。パルス通電焼結装置10は、図示しない焼結温度を制御するための熱電対、型内及び真空チャンバー内の圧力を検出する圧力センサを更に備える。
上記パルス通電焼結装置を用いてバイオプラスチック成形体を製造する方法について説明する。先ず、図2に示す真空チャンバー18を大気圧にした状態にし、ダイ11aと下部パンチ11cが形成する空間部に、通電焼結の対象としての混合物Aを冷間で収容する。通電焼結する前のこの状態で真空チャンバー18内を室温で減圧し、6.0Pa以下、好ましくは4Pa以下の真空状態にする。この真空圧にならない状態で加圧すると発泡が起こり、成形品の構造が不均一となるためである。次いでダイ11aの内径内に上部パンチ11bを挿入する。図示しない油圧ユニットを用いて押し棒15aに荷重をかけ、少なくとも20MPaの圧力で、好ましくは20〜40MPaの範囲内の一定圧力で混合物Aを加圧する。圧力が20MPa未満であると、成形品の構造の不均一化の不具合を生じる。
この状態を維持しながら、5〜50℃/分の範囲の速度で昇温し、40〜200℃の温度、好ましくは110〜150の温度の範囲まで加熱し、0〜500秒間保持する。温度が下限値未満であると、水熱反応が不十分となり成形品の構造形成に不具合があり、上限値を超えると、原料の著しい熱分解が発生する不具合がある。加熱は電源17に接続された一対の電極14a、14bを介してダイ11aに充填した混合物Aに通電して、ジュール熱により混合物A自体を発熱させることにより混合物Aを焼結する。ジュール熱は、特に電気抵抗の高い部位、即ち混合物Aを構成する粉末の粒子同士の界面で発生する。加熱後、5〜50℃/分の速度で降温する。続いて押し棒15aへの加圧を取り除き、真空チャンバー18内を大気圧にする。上部パンチ11bをダイ11aから抜いて通電焼結されたバイオプラスチック成形体を取り出す。ここで図示しない熱電対及び圧力センサにより通電焼結は制御される。更に続いて、この成形体をその水分率が1%以下の範囲になるまで乾燥する。ダイ11aにより形成される空間が円柱状であれば、円板状のバイオプラスチック成形体が得られる。
得られた混合物を図示しないホットプレスにより熱圧成形する場合には、中央に四角又は円形の孔の空いたステンレス製の厚さ100μm程度のプレートを用意し、このプレートをこのプレートより一回り大きな250℃程度の耐熱性のある第1樹脂基板の上に置き、この状態でプレートの孔の中に前述した混合物を充填して、第1樹脂基板と同形同大で同質の第2樹脂基板を被せる。第1及び第2樹脂基板で挟み込んだ混合物が充填されたプレートを、更に第1及び第2樹脂基板と同形同大の2枚のステンレス板で挟み込んでホットプレスに入れて熱圧成形する。このホットプレスによりフィルム状のバイオプラスチック成形体が得られる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
実施例1〜7では、パルス通電焼結装置を用いて円板状のバイオプラスチック成形体を作製した例を説明する。その製造条件を表1に、得られたバイオプラスチック成形体の特性、外観状況を表2に示す。
実施例8〜14及び比較例1〜4では、ホットプレスを用いてフィルム状のバイオプラスチック成形体を作製した例を説明する。その製造条件及び得られたバイオプラスチック成形体の特性を表3に示す。
<実施例1>
産廃グレードの羊毛を用意し、この羊毛を化学薬品で処理することなく、平均球径4mmのジルコニア球を用いた遊星型ボールミル(P-6型、フリチュ社製)に入れ、実施例1と同じボールミルに入れ、繊維長が100μm程度になるまで粉砕して羊毛粉末にした。基準のフルイとして125μmのメッシュを用いることによりこの羊毛粉末の繊維長を125μm未満に制御した。乳鉢にこの羊毛粉末を入れ、室温の蒸留水を滴下しながら羊毛粉末と蒸留水とを十分に混合して混合物を得た。蒸留水は混合物100質量%に対して15質量%となるように添加した。この混合物を図2に示すパルス通電焼結装置10を用いて焼結させた後、乾燥してバイオプラスチック成形体を得た。焼結前の真空度は6.0Pa、加圧圧力は20MPa、昇温速度20℃/分、焼結温度130℃、焼結保持時間0分、降温速度30℃/分であった。乾燥は温度60℃で72時間維持することにより行った。これにより厚さ4mm、直径15mmの円板状のバイオプラスチック成形体を得た。
<実施例2>
羊毛粉末に対する蒸留水の添加量を10質量%にした以外、実施例1と同じ方法で混合物を得た。またこの混合物を実施例1と同様にしてパルス通電焼結させ、乾燥させることにより厚さ4mm、直径15mmの円板状のバイオプラスチック成形体を得た。
<実施例3>
羊毛粉末に対する蒸留水の添加量を0質量%にした以外、即ち羊毛粉末に蒸留水を添加しない以外、実施例1と同じ方法で混合物を得た。またこの混合物を実施例1と同様にしてパルス通電焼結させ、乾燥させることにより厚さ4mm、直径15mmの円板状のバイオプラスチック成形体を得た。
<実施例4>
中国産の水鳥の羽毛を用意し、この羽毛を化学薬品で処理することなく、実施例1と同じボールミルに入れ、羽毛粉末にした。基準のフルイとして125μmのメッシュを用いることによりこの羽毛粉末の繊維長を125μm未満に制御した。乳鉢にこの羽毛粉末を入れ、室温の蒸留水を滴下しながら羽毛粉末と蒸留水とを十分に混合して混合物を得た。蒸留水は混合物100質量%に対して10質量%となるように添加した。またこの混合物を実施例1と同様にしてパルス通電焼結させ、乾燥させることにより厚さ4mm、直径15mmの円板状のバイオプラスチック成形体を得た。
<実施例5>
羽毛粉末に対する蒸留水の添加量を0質量%にした以外、実施例4と同じ方法で混合物を得た。またこの混合物を実施例1と同様にしてパルス通電焼結させ、乾燥させることにより厚さ4mm、直径15mmの円板状のバイオプラスチック成形体を得た。
<実施例6>
基準のフルイとして125μmのメッシュを用いることにより繊維長を125μm未満の羽毛粉末にした以外、実施例4と同じように蒸留水は混合物100質量%に対して10質量%となるように添加する方法で混合物を得た。またこの混合物を実施例1と同様にしてパルス通電焼結させ、乾燥させることにより厚さ4mm、直径15mmの円板状のバイオプラスチック成形体を得た。
<実施例7>
羽毛粉末に対する蒸留水の添加量を0質量%にした以外、実施例6と同じ方法で混合物を得た。またこの混合物を実施例1と同様にしてパルス通電焼結させ、乾燥させることにより厚さ4mm、直径15mmの円板状のバイオプラスチック成形体を得た。
<比較測定その1>
実施例1〜7で得られたバイオプラスチック成形体を図3に示す。これらの成形体について、円板状の成形体端縁から0.5mmおける箇所(a点)、1.5mmおける箇所(b点)、2.5mmにおける箇所(c点)、及び円板状の成形体中心から1.5mmおける箇所(d点)、0.5mmにおける箇所(e点)の各ビッカース硬度を測定した。なお、ビッカース硬度はマイクロビッカース硬度計,FM-700、フューチャアテック社製を使用して測定した。また、実施例1〜7で得られたバイオプラスチック成形体の誘電率を測定した結果を図4〜図6に示す。図4〜図6において、No.1〜No.7は、実施例1〜実施例7をそれぞれ意味する。なお、誘電率は、LCRメーター(LCRハイテスタ3532-50、日置電機社製)を使用して測定した。
<評価その1>
実施例1〜7で得られたバイオプラスチック成形体のビッカース硬度は羊毛が20.4〜33.2HVの範囲にあり、羽毛が22.8〜37.4HVの範囲にあり、銀よりも少し柔らかい程度であることが判った。図4〜図6から明らかなように、比誘電率はフィブロイの樹脂より高くなる傾向があった。
<実施例8〜14、比較例1〜4>
中国産の水鳥の羽毛を用意し、この羽毛を化学薬品で処理することなく、実施例1と同じボールミルに入れ、羽毛粉末にした。基準のフルイとして125μmのメッシュを用いることによりこの羽毛粉末の繊維長を125μm以下に制御した。乳鉢にこの羽毛粉末を入れ、室温の蒸留水を滴下しながら羊毛粉末と蒸留水とを十分に混合して混合物を得た。蒸留水は混合物100質量%に対して表3に示す割合(質量%)となるように添加した。得られた混合物を図示しないホットプレス(TOYOSEIKI製 mini TEST PRESS 10)により熱圧成形した。ホットプレスで熱圧成形するに際し、中央に20mm×20mmの正方形の孔の空いたステンレス製の厚さ100μmのプレートを用意し、このプレートを100mm×100mm×0.05mmの大きさのPTFE(商標名テフロン)製の第1樹脂基板の上に置き、この状態でプレートの孔の中に得られた混合物を充填して、第1樹脂基板と同形同大で同質の第2樹脂基板を被せた。第1及び第2樹脂基板で挟み込んだ混合物が充填されたプレートを、更に第1及び第2樹脂基板と同形同大の厚さ0.1mmの2枚のステンレス板で挟み込んだ。このように用意された試料をホットプレスに入れ、加熱時間240秒間、プレス時間90秒間で、表3に示す条件で熱圧成形した。このホットプレスにより厚さ0.1mm、20mm×20mmの正方形のフィルム状のバイオプラスチック成形体を得た。
<比較測定その2>
実施例8〜14及び比較例1〜4で得られたバイオプラスチック成形体について、(4)最大応力、および(5)破断伸びを、小型万能レオメータ(島津製作所(株)製) EZ-Testを用いてそれぞれ測定した。
<評価その2>
比較例1〜4で得られたバイオプラスチック成形体は、蒸留水の添加量が40質量%を下回ると、樹脂として固まらず、プラスチック成形体にならず、プレス後の引張強度が測定不能であった。これに対して、実施例8〜15で得られたバイオプラスチック成形体の引張強度は最大応力が15.24〜62.98MPa、破断伸びが1.71〜4.68%であり、プラスチック成形体が得られた。実施例8〜11で得られたバイオプラスチック成形体はホットプレスの温度上昇とともに、最大応力が上昇し、引張強度が増加する傾向が見られた。また実施例12〜14で得られたバイオプラスチック成形体は圧力と最大応力との関係から20MPaの圧力で最大応力値が最大となり、最適な圧力が存在することが判った。

Claims (4)

  1. 化学薬品で処理されていない羽毛、羊毛、毛髪又は獣毛を繊維長が500μm以下になるまで機械力によって粉砕して粉末にし、前記粉末に蒸留水を粉末と蒸留水との混合物100質量%に対して0〜30質量%の範囲になるように添加し均一に混合し、この混合物を6.0Pa以下の真空中でパルス通電焼結装置を用いて少なくとも20MPaの圧力下、120〜140℃の範囲の温度で熱圧成形した後、乾燥してケラチン由来のバイオプラスチック成形体を製造する方法。
  2. 化学薬品で処理されていない羽毛、羊毛、毛髪又は獣毛を繊維長が125μm以下になるまで機械力によって粉砕して粉末にし、前記粉末に蒸留水を粉末と蒸留水との混合物100質量%に対して40〜50質量%の範囲になるように添加し均一に混合し、この混合物を大気雰囲気下ホットプレスを用いて10〜30MPaの圧力下、130〜160℃の範囲の温度で熱圧成形した後、乾燥してケラチン由来のバイオプラスチック成形体を製造する方法。
  3. 前記羽毛、羊毛、毛髪又は獣毛をボールミル又はジェットミルにより粉末にする請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 羽毛、羊毛、毛髪又は獣毛から製造されたバイオプラスチック成形体であって、成形体表面におけるビッカース硬度が20〜40HVの範囲にあるバイオプラスチック成形体。
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