JP2015160651A - 積層剥離容器の加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】容器の任意の位置に外気導入孔を形成可能な、積層剥離容器の加工方法を提供する。【解決手段】本発明によれば、内容物を収容する収容部と、前記収容部から前記内容物を吐出する口部とを備え、且つ外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って前記内袋が前記外殻から剥離し収縮する容器本体を備える積層剥離容器の加工方法であって、加熱された筒状のカッター刃を回転させながら前記カッター刃の先端を前記外殻に対して押し付けるように移動させることによって前記外殻に外気導入孔を形成する工程を備える、方法が提供される。【選択図】図10
Description
本発明は、積層剥離容器の外殻に外気導入孔を形成することが可能な、積層剥離容器の加工方法に関する。
従来、内容物の減少に伴って内層が外層から剥離し収縮することによって容器の内部に空気が入り込むことを抑制する積層剥離容器が知られている(例えば、特許文献1)。このような積層剥離容器は、内層によって構成される内袋と、外層によって構成される外殻を備える。
積層剥離容器の外殻には、内袋の収縮を可能にするために外気導入孔が設けられる。外気導入孔は、通常、容器の外側からポンチカッターなどを用いて形成されるが、内袋を傷つけずに外殻に外気導入孔を確実に形成することは容易ではない。
積層剥離容器の外殻には、内袋の収縮を可能にするために外気導入孔が設けられる。外気導入孔は、通常、容器の外側からポンチカッターなどを用いて形成されるが、内袋を傷つけずに外殻に外気導入孔を確実に形成することは容易ではない。
特許文献1では、受け台を口部内面に当接させた状態で、ポンチカッターの先端のカッター刃を受け台に近接させることによって、口部外面側から口部に外気導入孔を形成している。そして、受け台とカッター刃の間隙が所定距離以下にならないようにする設定することによって、カッター刃が積層剥離容器の内袋を傷つけることを防いている。
しかし、特許文献1の方法は、容器の口部以外の部位に外気導入孔を形成することが困難であるという問題がある。
しかし、特許文献1の方法は、容器の口部以外の部位に外気導入孔を形成することが困難であるという問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、容器の外殻の任意の位置に外気導入孔を形成可能な、積層剥離容器の加工方法を提供するものである。
本発明によれば、内容物を収容する収容部と、前記収容部から前記内容物を吐出する口部とを備え、且つ外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って前記内袋が前記外殻から剥離し収縮する容器本体を備える積層剥離容器の加工方法であって、加熱された筒状のカッター刃を回転させながら前記カッター刃の先端を前記外殻に対して押し付けるように移動させることによって前記外殻に外気導入孔を形成する工程を備える、方法が提供される。
本発明の方法では、加熱された筒状のカッター刃を回転させながら、その先端を外殻に押し付けるのでカッター刃を外殻に対して強く押し付けることなく、外気導入孔を外殻に容易に形成することができる。
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記内袋の最外層を構成する樹脂の融点は、前記外殻の最内層を構成する樹脂の融点よりも高い。
好ましくは、前記カッター刃は、前記積層剥離容器に隣接して配置されたコイルによる電磁誘導によって加熱される。
好ましくは、前記カッター刃の先端に吸引力を働かせながら前記カッター刃の先端を前記外殻に押し付ける。
好ましくは、前記カッター刃の先端は丸められている。
好ましくは、前記カッター刃は、前記カッター刃の先端が前記外殻と前記内袋の界面を超えて前記内袋に押し付けられるまで移動させる。
好ましくは、前記外気導入孔の形成後に前記外気導入孔を通じて前記外殻と前記内袋の間にエアーを吹き込むことによって前記内袋を前記外殻から予備剥離させる工程をさらに備える。
好ましくは、前記内袋の最外層を構成する樹脂の融点は、前記外殻の最内層を構成する樹脂の融点よりも高い。
好ましくは、前記カッター刃は、前記積層剥離容器に隣接して配置されたコイルによる電磁誘導によって加熱される。
好ましくは、前記カッター刃の先端に吸引力を働かせながら前記カッター刃の先端を前記外殻に押し付ける。
好ましくは、前記カッター刃の先端は丸められている。
好ましくは、前記カッター刃は、前記カッター刃の先端が前記外殻と前記内袋の界面を超えて前記内袋に押し付けられるまで移動させる。
好ましくは、前記外気導入孔の形成後に前記外気導入孔を通じて前記外殻と前記内袋の間にエアーを吹き込むことによって前記内袋を前記外殻から予備剥離させる工程をさらに備える。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
図1〜図2に示すように、本発明の一実施形態の積層剥離容器1は、容器本体3と、弁部材5を備える。容器本体3は、内容物を収容する収容部7と、収容部7から内容物を吐出する口部9を備える。
図3に示すように、 容器本体3は、収容部7及び口部9において、外層11と内層13を備えており、外層11によって外殻12が構成され、内層13によって内袋14が構成される。内容物の減少に伴って内層13が外層11から剥離することによって、内袋14が外殻12から剥離して収縮する。
図4に示すように、口部9は、雄ネジ部9dが設けられている。雄ネジ部9dには、雌ねじを有するキャップやポンプなどが取り付けられる。図4には、インナーリング25を有するキャップ23の一部を図示している。インナーリング25の外径は、口部9の内径と略同じであり、インナーリング25の外面が口部9の当接面9aに当接することによって内容物の漏れ出しが防がれる。本実施形態では、口部9の先端には拡径部9bが設けられており、拡径部9bでの内径は、当接部9eでの内径よりも大きくなっているため、インナーリング25の外面は、拡径部9bには接触しないようになっている。口部9に拡径部9bがない場合は、口部9の内径が製造時のバラツキによってわずかでも小さくなった場合にはインナーリング25が外層11と内層13の間に入り込んでしまうという不具合が生じる場合があったが、口部9に拡径部9bがある場合は、口部9の内径が若干ばらついてもそのような不具合が生じない。
また、口部9は、当接部9eよりも収容部7に近い位置に、内層13のズレ落ちを抑制する内層支持部9cを備える。内層支持部9cは、口部9にくびれを設けることによって形成される。口部9に拡径部9bを設けた場合であっても、インナーリング25と内層13との摩擦によって内層13が外層11から剥離してしまう場合がある。本実施形態では、このような場合でも、内層支持部9cによって内層13のズレ落ちが抑制されるので、内袋14が外殻12内に脱落してしまうことを抑制することができる。
図3〜図5に示すように、収容部7は、前記収容部の長手方向に向かって断面形状が略一定である胴部19と、胴部19と口部9の間を繋ぐ肩部17を備える。肩部17には、折り曲げ部22が設けられている。折り曲げ部22は、図3に示す折り曲げ角度αが140度以下であり且つ容器内面側の曲率半径が4mm以下である部分である。折り曲げ部22が無い場合、内層13と外層11の間の剥離が胴部19から口部9にまで広がって、口部9においても内層13と外層11が剥離されてしまう場合がある。しかし、口部9において、内層13と外層11が剥離すると内袋14が外殻12内に脱落してしまう原因になるので、口部9での内層13と外層11の剥離は望ましくない。本実施形態では、折り曲げ部22が設けられているので、内層13と外層11の間の剥離が胴部19から折り曲げ部22まで広がると、図5に示すように内層13が折り曲げ部22で折れ曲がってしまい、内層13を外層11から剥離する力が折り曲げ部22の上側の部分に伝達されず、その結果、折り曲げ部22よりも上側の部分での内層13と外層11の間の剥離が抑制される。なお、図3〜図5では、肩部17に折り曲げ部22を設けているが、折り曲げ部22は、肩部17と胴部19の境界に設けてもよい。
折り曲げ角度αの下限は、特に規定されないが、製造の容易さを考慮すると90度以上であることが好ましい。曲率半径の下限も特に規定されないが、製造の容易さを考慮すると0.2mm以上であることが好ましい。また、口部9での内層13と外層11の剥離をより確実に防ぐべく、折り曲げ角度αは120度以下であることが好ましく、曲率半径は、2mm以下であることが好ましい。折り曲げ角度αは、具体的には例えば、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。曲率半径は、具体的には例えば、0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
図4に示すように、折り曲げ部22は、容器中心軸Cから折り曲げ部22での容器内面までの距離L2が、容器中心軸Cから口部9での容器内面までの距離L1の1.3倍以上になる位置に設けられる。本実施形態の積層剥離容器1は、ブロー成形によって形成されるものであり、L2/L1が大きいほど折り曲げ部22でのブロー比が大きくなって肉厚が薄くなるので、L2/L1≧1.3とすることによって、折り曲げ部22での内層13の肉厚が十分に薄くなり、折り曲げ部22において内層13がより折れ曲がりやすくなり、口部9での内層13と外層11の剥離がより確実に防止される。L2/L1は、例えば1.3〜3であり、1.4〜2が好ましい。L2/L1は、具体的には例えば、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
一例では、口部9での肉厚は0.45〜0.50mmであり、折り曲げ部22での肉厚は、0.25〜0.30mmであり、胴部19での肉厚は、0.15〜0.20mmである。このように、折り曲げ部22の肉厚が口部9での肉厚よりも十分に小さいことによって折り曲げ部22がその機能を効果的に発揮する。
ところで、図4に示すように、収容部7には、外殻12と内袋14の間の中間空間21と、容器本体3の外部空間Sとの間の空気の出入りを調節する弁部材5が設けられている。外殻12には、収容部7において中間空間21と外部空間Sを連通する外気導入孔15が設けられている。外気導入孔15は、外殻12にのみ設けられた貫通孔であり、内袋14には到達していない。弁部材5は、外気導入孔15に挿通され且つ外気導入孔15に対してスライド移動可能な軸部5aと、軸部5aの中間空間21側に設けられ且つ軸部5aよりも断面積が大きい蓋部5cと、軸部5aの外部空間S側に設けられ且つ弁部材5が中間空間21に入り込むことを防ぐ係止部5bを備える。
蓋部5cは、外殻12を圧縮した際に外気導入孔15を実質的に閉塞させるように構成され、軸部5aに近づくにつれて断面積が小さくなる形状になっている。また、係止部5bは、外殻12が圧縮された後に復元する際に中間空間21に空気が導入可能なように構成される。外殻12を圧縮すると、中間空間21内の圧力が外圧よりも高くなって、中間空間21内の空気が外気導入孔15から外部に漏れ出す。この圧力差と空気の流れによって蓋部5cが外気導入孔15に向かって移動し、蓋部5cが外気導入孔15を閉塞する。蓋部5cが軸部5aに近づくにつれて断面積が小さくなる形状であるので、蓋部5cが容易に外気導入孔15に嵌って外気導入孔15を閉塞する。
この状態で外殻12をさらに圧縮すると、中間空間21内の圧力が高まり、その結果、内袋14が圧縮されて、内袋14内の内容物が吐出される。また、外殻12への圧縮力を解除すると、外殻12が自身の弾性によって復元しようとする。この際、蓋部5cが外気導入孔15から離れて、外気導入孔15の閉塞が解除されて、中間空間21内に外気が導入される。また、係止部5bが外気導入孔15を塞いでしまわないように、係止部5bには外殻12に当接する部位に突起5dが設けられており、突起5dが外殻12に当接することによって、外殻12と係止部5bの間に隙間が設けられる。なお、突起5dを設ける代わりに、係止部5bに溝を設けることによって係止部5bが外気導入孔15を閉塞させることを防いでもよい。弁部材5の構成の具体例を図8に示す。
弁部材5は、蓋部5cが外気導入孔15を押し広げながら、蓋部5cに中間空間21内に挿入することによって容器本体3に装着することができる。そのため、蓋部5cの先端は、先細り形状になっていることが好ましい。このような弁部材5は、容器本体3の外側から蓋部5cを中間空間21内に押し込むだけで装着可能なので、生産性に優れている。
収容部7は、弁部材5を取り付けた後にシュリンクフィルムで覆われる。この際に、弁部材5がシュリンクフィルムに干渉しないように、弁部材5は、収容部7に設けられた弁部材取付凹部7aに装着される。また、弁部材取付凹部7aがシュリンクフィルムで密閉されてしまわないように弁部材取付凹部7aから口部9の方向に延びる空気流通溝7bが設けられる。
図1(b)に示すように、収容部7の底面29には、中央凹領域29aと、その周囲に設けられる周縁領域29bが設けられ、中央凹領域29aには、底面29から突出する底シール突出部27が設けられる。図6(a)〜(b)に示すように、底シール突出部27は、外層11と内層13を備える円筒状の積層パリソンを用いたブロー成形における、積層パリソンのシール部である。底シール突出部27は、底面29側から順にはベース部27dと、薄肉部27aと、薄肉部27aよりも肉厚が大きい厚肉部27bを備える。
ブロー成形の直後は、底シール突出部27は、図6(a)に示すように、周縁領域29bによって規定される面Pに対して略垂直に立っている状態であるが、この状態では、容器に衝撃が加わったときに、溶着部27cにおける内層13同士が分離されやすく、耐衝撃性が不十分である。そこで、本実施形態では、ブロー成形後に底シール突出部27に熱風を吹き付けることによって薄肉部27aを軟化させて図6(b)に示すように、薄肉部27aにおいて底シール突出部27を折り曲げている。このように、単に、底シール突出部27を折り曲げるという単純な工程によって底シール突出部27の耐衝撃性を向上させている。また、図6(b)に示すように、底シール突出部27は、折り曲げられた状態で周縁領域29bによって規定される面Pから突出しないようになっている。これによって、積層剥離容器1を立てた時に、底シール突出部27が面Pからはみ出して積層剥離容器1がグラグラすることが防止される。
なお、ベース部27dは、薄肉部27aよりも底面29側に設けられ且つ薄肉部27aよりも肉厚の部分であり、ベース部27dは、なくてもよいが、ベース部27d上に薄肉部27aを設けることによって底シール突出部27の耐衝撃性をさらに向上させることができる。
また、図1(b)に示すように、底面29の凹領域は、底シール突出部27の長手方向において底面29全体を横切るように設けられる。つまり、中央凹領域29aと周縁凹領域29cがつながっている。このような構成によって、底シール突出部27を折り曲げやすくなっている。
次に、容器本体3の層構成についてさらに詳細に説明する。容器本体3は、外層11と内層13を備える。
外層11は、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物などで構成される。外層11は、複数層構成であってもよい。例えば、リプロ層の両側をポリプロピレン層で挟んだ構成であってもよい。ここで、リプロ層とは、容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用した層をいう。また、外層11は、復元性が高くなるように、内層13よりも肉厚に形成される。
本実施形態では、外層11は、プロピレンと別のモノマーとの間のランダム共重合体からなるランダム共重合体層を備える。外層11は、ランダム共重合体層の単層であってもよく、複数層構成であってもよい。例えば、リプロ層の両側をランダム共重合体層で挟んだ構成であってもよい。外層11を特定構成のランダム共重合体で構成することによって、外殻12の形状復元性・透明性・耐熱性を向上させることができる。
ランダム共重合体は、プロピレン以外のモノマーの含有量が、50mol%よりも小さいものであり、5〜35mol%が好ましい。この含有量は、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30mol%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。プロピレンと共重合されるモノマーとしては、ポリプロピレンのホモポリマーに比べた場合のランダム共重合体の耐衝撃性を向上させるものであればよく、エチレンが特に好ましい。プロピレンとエチレンのランダム共重合体の場合、エチレンの含有量は、5〜30mol%が好ましく、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30mol%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。ランダム共重合体の重量平均分子量は、10〜50万が好ましく、10〜30万がさらに好ましい。この重量平均分子量は、具体的には例えば、10、15、20、25、30、35、40、45、50万であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
また、ランダム共重合体の引張弾性率は、400〜1600MPaが好ましく、1000〜1600MPaが好ましい。引張弾性率がこのような範囲の場合に、形状復元性が特に良好であるからである。引張弾性率は、具体的には例えば、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600Mpaであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
尚、容器が過度に硬いと、容器の使用感が悪くなるため、ランダム共重合体に、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンなどの柔軟材料を混合して外層11を構成してもよい。ただし、ランダム共重合体に対して混合する材料は、ランダム共重合体の有効な特性を大きく阻害することのなきよう、混合物全体に対して50重量%未満となるように混合することが好ましい。例えば、ランダム共重合体と直鎖状低密度ポリエチレンとを85:15の重量割合で混合した材料により外層11を構成することができる。
尚、容器が過度に硬いと、容器の使用感が悪くなるため、ランダム共重合体に、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンなどの柔軟材料を混合して外層11を構成してもよい。ただし、ランダム共重合体に対して混合する材料は、ランダム共重合体の有効な特性を大きく阻害することのなきよう、混合物全体に対して50重量%未満となるように混合することが好ましい。例えば、ランダム共重合体と直鎖状低密度ポリエチレンとを85:15の重量割合で混合した材料により外層11を構成することができる。
図7に示すように、内層13は、容器外面側に設けられたEVOH層13aと、EVOH層13aの容器内面側に設けられた内面層13bと、EVOH層13aと内面層13bの間に設けられた接着層13cを備える。EVOH層13aを設けることでガスバリア性、及び外層11からの剥離性を向上させることができる。
EVOH層13aは、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂からなる層であり、エチレンと酢酸ビニル共重合物の加水分解により得られる。EVOH樹脂のエチレン含有量は、例えば25〜50mol%であり、酸素バリア性の観点から32mol%以下が好ましい。エチレン含有量の下限は、特に規定されないが、エチレン含有量が少ないほどEVOH層13aの柔軟性が低下しやすいので25mol%以上が好ましい。また、EVOH層13aは、酸素吸収剤を含有することが好ましい。酸素吸収剤をEVOH層13aに含有させることにより、EVOH層13aの酸素バリア性をさらに向上させることができる。
EVOH樹脂の融点は、外層11を構成するランダム共重合体の融点よりも高いことが好ましい。外気導入孔15は、加熱式の穿孔装置を用いて外層11に形成することが好ましいが、EVOH樹脂の融点をランダム共重合体の融点よりも高くすることによって、外層11に外気導入孔15を形成する際に、孔が内層13にまで到達することを防ぐ。つまり、内層13の最外層(ここではEVOH層)を構成する樹脂の融点は、外層11の最内層(ここではランダム共重合体層)を構成する樹脂の融点よりも高いことが好ましい。また、(内層13の最外層を構成する樹脂の融点)−(外層11の最内層を構成する樹脂の融点)の差は大きい方がよく、15℃以上であることが好ましく、30℃以上であることが特に好ましい。この融点の差は、例えば5〜50℃であり、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
内面層13bは、積層剥離容器1の内容物に接触する層であり、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物などのポリオレフィンからなり、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンからなることが好ましい。内面層13bを構成する樹脂の引張弾性率は、50〜300MPaが好ましく、70〜200MPaが好ましい。引張弾性率がこのような範囲の場合に、内面層13bが特に柔軟であるからである。引張弾性率は、具体的には例えば、具体的には例えば、50、100、150、200、250、300Mpaであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
接着層13cは、EVOH層13aと内面層13bとを接着する機能を有する層であり、例えば上述したポリオレフィンにカルボキシル基を導入した酸変性ポリオレフィン(例:無水マレイン酸変性ポリエチレン)を添加したものや、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)である。接着層13cの一例は、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンと、酸変性ポリエチレンの混合物である。
次に、本実施形態の積層剥離容器1の製造方法の一例を説明する。
まず、図9(a)に示すように、製造すべき容器本体3に対応する積層構造(一例は、図9(a)に示すように容器内面側から順に、PE層/接着層/EVOH層/PP層の積層構造)を備えた溶融状態の積層パリソンを押出し、この溶融状態の積層パリソンをブロー成形金型にセットし、分割金型を閉じる。
次に、図9(b)に示すように、容器本体3の口部9側の開口部にブローノズルを挿入し、型締めを行った状態で分割金型のキャビティー内にエアーを吹き込む。
まず、図9(a)に示すように、製造すべき容器本体3に対応する積層構造(一例は、図9(a)に示すように容器内面側から順に、PE層/接着層/EVOH層/PP層の積層構造)を備えた溶融状態の積層パリソンを押出し、この溶融状態の積層パリソンをブロー成形金型にセットし、分割金型を閉じる。
次に、図9(b)に示すように、容器本体3の口部9側の開口部にブローノズルを挿入し、型締めを行った状態で分割金型のキャビティー内にエアーを吹き込む。
次に、図9(c)に示すように、分割金型を開いて、ブロー成形品を取り出す。分割金型は、弁部材取付凹部7a、空気流通溝7b、底シール突出部27などの容器本体3の各種形状がブロー成形品に形成されるようなキャビティー形状を有する。また、分割金型には、底シール突出部27の下側にピンチオフ部が設けられており、底シール突出部27の下側の部分に下バリが形成されるので、これを除去する。
次に、図9(d)に示すように、取り出したブロー成形品(積層剥離容器)を整列させる。
次に、図10(a)〜(e)に示すように、加熱式の穿孔装置2を用いて、積層剥離容器1の外殻12に外気導入孔15を形成する。以下、この工程について詳細に説明する。
まず、図10(a)に示すように、積層剥離容器1を穿孔装置2に近接した位置にセットする。穿孔装置2は、筒状のカッター刃2aと、伝達ベルト2bを通じてカッター刃2aを回転駆動するモーター2cと、カッター刃2aを加熱する加熱装置2dとを備える。穿孔装置2は、サーボモータの回転によって穿孔装置2を単軸移動させるサーボシリンダ(図示せず)によって支持されており、図10(c)の矢印X1方向及び図10(e)の矢印X2方向に移動可能に構成されている。このような構成によって、加熱されたカッター刃2aを回転させながら、その先端を積層剥離容器1の外殻12に押し付けることが可能になっている。また、穿孔装置2の位置と移動速度をサーボモータによって制御することによって、タクトタイムを短縮することが可能になっている。
カッター刃2aには、カッター刃2a内の空洞に連通する通気パイプ2eが連結されており、通気パイプ2eは、図示しない吸排気装置に連結されている。これによって、カッター刃2a内部からのエアー吸引及びカッター刃2a内部へのエアーの吹込が可能になっている。加熱装置2dは、導線で形成されたコイル2eを備え、コイル2eに交流電流を流すことによって電磁誘導の原理によってカッター刃2aを加熱するように構成されている。加熱装置2dは、ブロー成形品1aに近接して配置されており、且つカッター刃2aとは別体になっている。このような構成によって、加熱装置2dの配線がシンプルになり、かつカッター刃2aの先端を効率的に加熱することが可能になっている。
次に、図10(b)に示すように、穿孔装置2を積層剥離容器1に近づけ、コイル2f内にカッター刃2aを侵入させる。この状態でコイル2fに交流電流を流すことによってカッター刃2aが加熱される。
次に、図10(c)に示すように、カッター刃2aの先端が積層剥離容器1の直前に到達する位置まで、穿孔装置2を矢印X1方向に高速で移動させる。
次に、図10(d)に示すように、カッター刃2aの内部のエアーを吸引することによってカッター刃2aの先端に吸引力を働かせながら、穿孔装置2を微速で積層剥離容器1に近づけ、カッター刃2aの先端を積層剥離容器1の外殻12内に侵入させる。このように、高速移動と微速移動を組み合わせることによってタクトタイムの短縮を可能にしている。なお、本実施形態では、穿孔装置2の全体を移動させているが、別の実施形態では、カッター刃2aのみをシリンダ機構などで移動させ、カッター刃2aの先端が積層剥離容器1の直前に到達する位置まではカッター刃2aを高速移動させ、且つカッター刃2aを外殻12に侵入させる際にはカッター刃2aを微速で移動させてもよい。
カッター刃2aの先端が外殻12と内袋14の境界に到達すると、外殻12がカッター刃2aの先端形状にくり抜かれて外気導入孔15が形成される。外殻12がくり抜かれた際の切除片15aは、カッター刃2aの空洞内に吸引される。カッター刃2aは、その先端が外殻12と内袋14の境界に到達した時点で移動を停止させてもよいが、外気導入孔15をより確実に形成するように、カッター刃2aの先端が外殻12と内袋14の界面を超えて内袋14に押し付けられるまで移動させてもよい。この際に、カッター刃2aによって内袋14が傷つくことを抑制するために、カッター刃2aの先端形状は、図11(a)に示すような鋭利な形状よりも、図11(b)に示すように丸められた形状が好ましい。カッター刃2aの先端が丸められていると外殻12に外気導入孔15を形成しにくくなるが、本実施形態では、加熱されたカッター刃2aを回転させることによって、外殻12に外気導入孔15を容易に形成することを可能にしている。また、カッター刃2aの熱によって内袋14が溶融しないように、内袋14の最外層を構成する樹脂の融点は、外殻12の最内層を構成する樹脂の融点よりも高いことが好ましい。
次に、図10(e)に示すように、穿孔装置2を矢印X2方向に後退させ、カッター刃2aの空洞内にエアーを吹き込むことによって、切除片15aをカッター刃2aの先端から放出させる。
以上の工程で、外殻12への外気導入孔15の形成が完了する。
以上の工程で、外殻12への外気導入孔15の形成が完了する。
次に、図10(f)に示すように、ブロアー33を用いて、外気導入孔15を通じて外殻12と内袋14の間にエアーを吹き込むことによって内袋14を外殻12から予備剥離させる。また、外気導入孔15を通じたエアー漏れが無いようにしつつ、規定量のエアーを吹き込むことによって、内袋14の予備剥離の制御が容易になる。予備剥離は、収容部7の全体に対して行ってもよく、収容部7の一部に対して行ってもよいが、予備剥離されていない部位では内袋14のピンホールの有無のチェックができないので、収容部7の略全体において、内袋14を外殻12から予備剥離させることが好ましい。
次に、図12(a)に示すように、底シール突出部27に熱風を当てて薄肉部27aを軟化させて、底シール突出部27を折り曲げる。
次に、図12(b)に示すように、内袋14のピンホールチェックを行う。具体的には、まず、口部9にアダプタ35を取り付け、口部9を通じて内袋14内に特定ガス種を含む検査ガスを注入する。内袋14にピンホールが存在していると、特定ガス種がピンホールを通じて中間空間21に漏れ出し、中間空間21から外気導入孔15を通じて容器外に排出される。容器外の外気導入孔15に近接した位置には特定ガス種の感知部(ディテクタ)37が配置されており、特定ガス種の漏れ出しの感知が可能になっている。感知部37によって感知される特定ガス種の濃度が閾値以下である場合には内袋14にピンホールが存在しないと判断され、積層剥離容器1が良品であると判定される。一方、感知部37によって感知される特定ガス種の濃度が閾値を超える場合には、内袋14にピンホールが存在すると判断され、積層剥離容器1が不良品であると判定される。不良品であると判定された積層剥離容器1は、製造ラインから除去される。
特定ガス種としては、空気中の存在量が少ないガス種(好ましくは1%以下のガス種)が好適に選択され、例えば、水素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、ネオンなどが挙げられる。検査ガス中の特定ガス種の濃度は、特に限定されず、検査ガスは、特定ガス種のみで構成されていてもよく、空気と特定ガス種の混合ガスであってもよい。
検査ガスの注入圧力は特に限定されないが、例えば1.5〜4.0kPaである。注入圧力が低すぎると、特定ガス種の漏れ出しが少なくなりすぎて、ピンホールが存在するにも関わらず特定ガス種が感知できない場合があり、注入圧力が高すぎると、検査ガスの注入直後に内袋14が膨張して外殻12に押し付けられてしまい、内袋14のピンホールチェックの精度の低下に繋がる。
本実施形態では、感知部37は、積層剥離容器1外において外気導入孔15に近接して配置させているが、変形例として、外気導入孔15を通じて感知部37を中間空間21内に挿入して、中間空間21内において特定ガス種を検出するようにしてもよい。この場合、内袋14のピンホールを通過した特定ガス種が拡散する前に、特定ガス種を感知することができるので、特定ガス種の感知の精度を向上させることができる。さらに別の変形例として、特定ガス種を含む検査ガスを、外気導入孔15から中間空間21内に注入し、内袋14のピンホールを通じて内袋14内に漏れ出した特定ガス種を感知するようにしてもよい。この場合、容器外の、口部9に近接した位置に感知部37を配置してもよく、口部9から内袋14内に感知部37を挿入してもよい。
ピンホールチェック後の積層剥離容器1は、そのまま、次工程に送り出してもよいが、変形例として、内袋14内にエアーを吹き込むことによって内袋14を膨らませる工程を行った後に次工程に送り出してもよい。後者の場合、図12(e)でのエアー吹き込み工程を省略することができる。
次に、図12(c)に示すように、外気導入孔15に弁部材5を挿入する。
次に、図12(d)に示すように、上部筒状部31をカットする。
次に、図12(e)に示すように、内袋14内にエアーを吹き込むことによって、内袋14を膨らませる。
次に、図12(f)に示すように、内袋14内に内容物を充填する。
次に、図12(g)に示すように、口部9にキャップ23を装着する。
次に、図12(h)に示すように、収容部7をシュリンクフィルムで覆い、製品が完成する。
次に、図12(d)に示すように、上部筒状部31をカットする。
次に、図12(e)に示すように、内袋14内にエアーを吹き込むことによって、内袋14を膨らませる。
次に、図12(f)に示すように、内袋14内に内容物を充填する。
次に、図12(g)に示すように、口部9にキャップ23を装着する。
次に、図12(h)に示すように、収容部7をシュリンクフィルムで覆い、製品が完成する。
ここで示した各種工程の順序は、適宜入れ替え可能である。例えば、熱風曲げ工程は、外気導入孔形成工程の前や、内袋予備剥離工程の前に行ってもよい。また、上部筒状部31をカットする工程は、外気導入孔15に弁部材5を挿入する前に行ってもよい。また、内袋14の予備剥離を行った後で、外気導入孔15を形成してもよい。
次に、製造した製品の使用時の動作原理を説明する。
図13(a)〜(c)に示すように、内容物が充填された製品を傾けた状態で外殻12の側面を握って圧縮して内容物を吐出させる。使用開始時は、内袋14と外殻12の間に実質的に隙間がない状態であるので、外殻12に加えた圧縮力は、そのまま内袋14の圧縮力となり、内袋14が圧縮されて内容物が吐出される。
図13(a)〜(c)に示すように、内容物が充填された製品を傾けた状態で外殻12の側面を握って圧縮して内容物を吐出させる。使用開始時は、内袋14と外殻12の間に実質的に隙間がない状態であるので、外殻12に加えた圧縮力は、そのまま内袋14の圧縮力となり、内袋14が圧縮されて内容物が吐出される。
キャップ23は、図示しない逆止弁を内蔵しており、内袋14内の内容物を吐出させることはできるが、内袋14内に外気を取り込むことはできない。そのため、内容物の吐出後に外殻12へ加えていた圧縮力を除くと、外殻12が自身の復元力によって元の形状に戻ろうとするが、内袋14はしぼんだままで外殻12だけが膨張することになる。そして、図13(d)に示すように、内袋14と外殻12の間の中間空間21内が減圧状態となり、外殻12に形成された外気導入孔15を通じて中間空間21内に外気が導入される。中間空間21が減圧状態になっている場合、蓋部5cは、外気導入孔15に押し付けられないので、外気の導入を妨げない。また、係止部5bが外殻12に接触した状態でも係止部5bが外気の導入を妨げないように、係止部5bには突起5dや溝などの気道確保手段が設けられる。
次に、図13(e)に示すように、再度、外殻12の側面を握って圧縮した場合、蓋部5cが外気導入孔15を閉塞することによって、中間空間21内の圧力が高まり、外殻12に加えた圧縮力は中間空間21を介して内袋14に伝達され、この力によって内袋14が圧縮されて内容物が吐出される。
次に、図13(f)に示すように、内容物の吐出後に外殻12へ加えていた圧縮力を除くと、外殻12は、外気導入孔15から中間空間21に外気を導入しながら、自身の復元力によって元の形状に復元される。
1:積層剥離容器、3:容器本体、5:弁部材、7:収容部、9:口部、11:外層、12:外殻、13:内層、14:内袋、15:外気導入孔、23:キャップ、27:底シール突出部
Claims (7)
- 内容物を収容する収容部と、前記収容部から前記内容物を吐出する口部とを備え、且つ外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って前記内袋が前記外殻から剥離し収縮する容器本体を備える積層剥離容器の加工方法であって、
加熱された筒状のカッター刃を回転させながら前記カッター刃の先端を前記外殻に対して押し付けるように移動させることによって前記外殻に外気導入孔を形成する工程を備える、方法。 - 前記内袋の最外層を構成する樹脂の融点は、前記外殻の最内層を構成する樹脂の融点よりも高い、請求項1に記載の方法。
- 前記カッター刃は、前記積層剥離容器に隣接して配置されたコイルによる電磁誘導によって加熱される、請求項1又は請求項2に記載の方法。
- 前記カッター刃の先端に吸引力を働かせながら前記カッター刃の先端を前記外殻に押し付ける、請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の方法。
- 前記カッター刃の先端は丸められている、請求項1〜請求項4の何れか1つに記載の方法。
- 前記カッター刃は、前記カッター刃の先端が前記外殻と前記内袋の界面を超えて前記内袋に押し付けられるまで移動させる、請求項1〜請求項5の何れか1つに記載の方法。
- 前記外気導入孔の形成後に前記外気導入孔を通じて前記外殻と前記内袋の間にエアーを吹き込むことによって前記内袋を前記外殻から予備剥離させる工程をさらに備える、請求項1〜請求項6の何れか1つに記載の方法。
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-
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