JP2015159027A - 電解セル、セルスタック装置、電解モジュールおよび電解装置 - Google Patents

電解セル、セルスタック装置、電解モジュールおよび電解装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 クラックの発生を抑制できる電解セル、セルスタック装置、電解モジュールおよび電解装置を提供する。【解決手段】 固体電解質層4、インターコネクタ層8および補強層9で構成された筒状体で支持体1を取り囲んでなり、インターコネクタ層8は支持体1の長さ方向Lの他方側から一方側に延びているが、支持体1の一方側の端部には設けられておらず、かつ、インターコネクタ層8の長さ方向Lにおける一方側の端部が補強層9のインターコネクタ層8側の端部に重畳していることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、電解セル、セルスタック装置、電解モジュールおよび電解装置に関する。
近年、次世代エネルギーとして、固体酸化物形燃料電池セルを電気的に直列に複数個接続してなるセルスタック装置を、収納容器内に収容した燃料電池装置が種々提案されている。
例えば、固体酸化物形燃料電池セルとしては、互いに平行な一対の平坦面を有するとともに、内部に燃料ガスを流通させるための燃料ガス通路を有し、かつNiを含有してなる導電性支持体を具備したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。そして、この導電性支持体の一方側の平坦面上には、燃料極層、固体電解質層、酸素極層が順に積層され、他方側の平坦面上にはインターコネクタ層が積層されている。
従来、燃料電池セルは、導電性支持体の周囲を取り囲むように形成された緻密質なZrO系酸化物からなる固体電解質層と、この固体電解質層の両端部に、緻密質なLaCrO系酸化物からなるインターコネクタ層の両端部が重なるように接合して構成されている。
すなわち、固体電解質層とインターコネクタ層とで、導電性支持体の周囲を気密に取り囲み、導電性支持体の内部を通過する燃料ガスが、固体電解質層とインターコネクタ層とにより形成された緻密質な筒状体から外部に漏出しないように構成されていた。このインターコネクタ層は、導電性支持体の長さ方向全体に形成されており、一方側面が還元雰囲気に、他方側が酸化雰囲気に暴される。
そして、複数の燃料電池セル間に集電部材を介在させて電気的に直列に接続してセルスタックが構成され、このセルスタック(燃料電池セル)の下端部がガスタンクの開口部に挿入された状態で、ガラス等の無機材料からなる接着剤で接合して、セルスタック装置が構成されている。
特開2008−84716号公報
従来の燃料電池セルの下端部がガスタンクに接着剤で接合され、上端部は開放端であり、燃料電池セル間には集電部材が介装されていたため、燃料電池セルの下端部に応力が発生し易い構造であり、燃料電池セルの端部における強度向上が望まれていた。
さらに、従来、例えば、LaCrO系酸化物からなるインターコネクタ層が、導電性支持体の長さ方向全体に形成されており、燃料電池セルの下端部をガラス等の無機材料からなる接着剤でガスタンクに接合した場合には、燃料電池セルの接着剤が存在しない部分では、インターコネクタ層が還元雰囲気に曝されることにより還元膨張しようとする一方で、燃料電池セルの接着剤による接合部分では接着剤でインターコネクタ層の還元膨張が抑えられるため、その境界部分(セル下端部)における応力が大きく、クラックが発生するおそれがあった。
本発明は、クラックの発生を抑制できる電解セル、セルスタック装置、電解モジュールおよび電解装置を提供することを目的とする。
本発明の電解セルは、長尺状で多孔質な支持体と、該支持体の側面の異なる部分にそれぞれ設けられた緻密質な固体電解質層および緻密質なインターコネクタ層と、前記固体電解質層に設けられた多孔質な第1電極層と、前記支持体の側面のうち前記支持体の長さ方向における一方側の端部に設けられた緻密質な補強層とを具備するとともに、前記固体電解質層、前記インターコネクタ層および前記補強層で構成された筒状体で前記支持体を取り囲んでなり、前記インターコネクタ層は前記支持体の長さ方向の他方側から一方側に延びているが、前記支持体の一方側の端部には設けられておらず、かつ、前記インターコネクタ層の前記長さ方向における一方側の端部が前記補強層の前記インターコネクタ層側の端部に重畳していることを特徴とする。
本発明のセルスタック装置は、上記の電解セルを複数具備してなるとともに、該複数の電解セルを電気的に接続してなることを特徴とする。
本発明の電解モジュールは、上記のセルスタック装置を収納容器内に収納してなることを特徴とする。
本発明の電解装置は、上記の電解モジュールと、該電解モジュールを作動させるための補機とを、外装ケース内に収納してなることを特徴とする。
本発明の電解セルでは、固体電解質層、インターコネクタ層および補強層で構成された緻密質な筒状体で多孔質な支持体を取り囲んでいるため、筒状体内部をガス通路とすることができるとともに、支持体の長さ方向における一方側の端部には緻密質な補強層が設けられ、インターコネクタ層は支持体の一方側の端部には形成されていないため、例えば、補強層を高強度材料で形成したり、補強層の厚みを厚くすることにより、電解セルの端部におけるクラック発生を抑制できる。
また、例えば、LaCrO系酸化物からなるインターコネクタ層は支持体の一方側の端部には形成されておらず、支持体の一方側の端部には、インターコネクタ層とは異なる材料からなる補強層が形成されているため、電解セルの補強層の部分をガラス等の無機材料からなる接着剤でガスタンクに接合することにより、電解セルの端部における応力を低減し、クラックの発生を抑制できる。
これにより、性能が高く、長期信頼性の高いセルスタック装置、電解モジュール、電解装置を提供できる。
燃料電池セルを示すもので、(a)は横断面図、(b)は(a)をインターコネクタ層側から見た側面図である。 (a)は図1(b)の2a−2a線に沿った横断面図、(b)は図1(b)におけるインターコネクタ層の記載を省略して示す側面図である。 補強層とインターコネクタ層との重畳部およびその近傍の断面図であり、図1(b)の3−3線に沿った断面図である。 (a)は補強層の厚みが60μmの場合の応力分布を示すシミュレーション結果を示す図、(b)は補強層の厚みが20μmの場合の応力分布を示すシミュレーション結果を示す図、(c)は(a)、(b)の場合の応力分布を示すグラフである。 補強層を支持体下端部の全周に形成した状態を示す側面図である。 (a)は図5の6a−6a線に沿った横断面図、(b)は図5の6b−6b線に沿った横断面図である。 支持体の両主面の下端部にそれぞれ補強層を形成した燃料電池セルを示すもので、(a)はインターコネクタ層側から見た側面図、(b)は固体電解質層側から見た側面図である。 支持体の両主面の上下端部にそれぞれ補強層を形成した燃料電池セルを示すもので、(a)はインターコネクタ層側から見た側面図、(b)は固体電解質層側から見た側面図である。 セルスタック装置を示すもので、(a)は側面図、(b)は(a)の一部を拡大して示す横断面図である。 図1の燃料電池セルを、接着剤を用いてガスタンクに接着固定した状態を示すもので、(a)はセル配列方向から見た側面図、(b)はセル幅方向から見た側面図である。 燃料電池モジュールの一例を示す外観斜視図である。 燃料電池装置の一部を省略して示す斜視図である。
図1は、電解セルの一例である燃料電池セルを示すものであり、(a)はその横断面図、(b)は(a)の側面図である。(a)は(b)の1a−1a線に沿った断面図である。なお、両図面において、燃料電池セル10の各構成の一部を拡大して示している。
この燃料電池セル10は中空平板型で、断面が扁平状で、全体的に見て楕円柱状をしたNiを含有してなる多孔質の導電性の支持体1を備えている。支持体1の内部には、適当な間隔で複数の燃料ガス通路2が燃料電池セル10の長さ方向Lに貫通して形成されており、燃料電池セル10は、この支持体1上に各種の部材が設けられた構造を有している。
支持体1は、図1に示されている形状から理解されるように、互いに平行な一対の平坦面nと、一対の平坦面nをそれぞれ接続する弧状面(側面)mとで構成されている。平坦面nの両面は互いにほぼ平行に形成されており、一方の平坦面n(一方側主面:下面)と両側の弧状面mを覆うように多孔質な燃料極層(第2電極層)3が配置されており、さらに、この燃料極層3を覆うように、ガス遮断性を有するセラミックスからなる緻密質な固体電解質層4が配置されている。固体電解質層4の厚みは、30μm以下、特には20μm以下、さらには15μm以下であることが発電性能向上という点から望ましい。
また、固体電解質層4の表面には、中間層5を介して、燃料極層3と対面するように、多孔質な酸素極層(第1電極層)6が配置されている。中間層5は、酸素極層6が形成される固体電解質層4上に形成されている。
酸素極層6が積層されていない他方の平坦面n(他方側主面:上面)には、ガス遮断性を有する緻密質なLaCrO系酸化物等の導電性セラミックスからなるインターコネクタ8が形成されている。
すなわち、燃料極層3、固体電解質層4は、一方の平坦面(一方側主面:下面)から両端の弧状面mを経由して他方の平坦面n(他方側主面:上面)まで形成されており、セル幅方向Wにおける固体電解質層4の両端部には、セル幅方向Wにおけるインターコネクタ層8の両端部が積層されて接合されている。固体電解質層4は、一方側主面には全面に形成されている。
具体的に説明すると、平面形状が矩形状の酸素極層6が、支持体1の上下端部を除いて固体電解質層4上に形成されており、一方、インターコネクタ層8は、図1(b)に示すように、支持体1の長さ方向の他方側(上方)から一方側(下方)に延びている。このインターコネクタ層8は、支持体1の下端部を除いて形成されており、そのセル幅方向Wの左右両端部が、固体電解質層4の左右両端部に重畳し接合している。
ここで、燃料電池セル10は、燃料極層3と酸素極層6とが固体電解質層4を介して対面している部分が燃料電池として機能して発電する。即ち、酸素極層6の外側に空気等の酸素含有ガスを流し、且つ支持体1内の燃料ガス通路2に燃料ガス(水素含有ガス)を流し、所定の作動温度まで加熱することにより発電する。かかる発電によって生成した電流は、支持体1に設けられているインターコネクタ層8を介して集電される。
そして、本実施形態では、支持体1のインターコネクタ層8が形成されている他方の平坦面nであって、支持体1の長さ方向における一方側の端部には緻密質な補強層9が設けられており、固体電解質層4、インターコネクタ層8および補強層9で筒状体が構成され、この筒状体で支持体1が取り囲まれている。
また、インターコネクタ層8の長さ方向における一方側(下方)の端部が、補強層9のインターコネクタ層8側の端部に重畳し、インターコネクタ層8は支持体1の一方側の端部には形成されておらず、重畳した重畳部以外の補強層9の部分が露出している。
すなわち、ガス遮断性を有する緻密質な補強層9、固体電解質層4およびインターコネクタ層8とで支持体1を取り囲み、内部を流通する燃料ガスが外部に漏出しないように構成されている。言い換えれば、補強層9、固体電解質層4およびインターコネクタ層8とで、ガス遮断性を有する楕円筒状体を形成し、この楕円筒状体の内部が燃料ガス流路とされ、燃料極層3に供給される燃料ガスと、酸素極層6に供給される酸素含有ガスとが、楕円筒状体で遮断されている。なお、緻密質な補強層9、固体電解質層4およびインターコネクタ層8とは、走査型電子顕微鏡写真を画像解析装置で測定した気孔率が5%以下、特に2%以下の補強層9、固体電解質層4およびインターコネクタ層8をいう。
図1(a)を用いて具体的に説明すると、固体電解質層4が支持体1の下側の平坦面nから両側の弧状面mを介して、上側の平坦面nの両側まで延びており、この固体電解質層4の両端部間には、図2(b)に示すように、支持体1が露出している。支持体1の下端部における固体電解質層4の両端部間には、矩形状の補強層9の両端部が重畳しており、補強層9の上端部は、図1(b)に示すように、インターコネクタ層8の下端部が重畳し、補強層9の下端部は露出している。インターコネクタ層8のセル幅方向Wにおける両端部は、固体電解質層4の両端部に重畳し、インターコネクタ層8の下端部は、補強層9の上端部に重畳している。これにより、支持体1の外周を補強層9、固体電解質層4およびインターコネクタ層8からなる緻密質な筒状体で取り囲んでいる。なお、図2(a)は、図1(b)の2a−2a線に沿った断面図である。
補強層9は、緻密質で強度が高い材料であれば良いが、特には、固体電解質材料で構成することが望ましい。固体電解質材料とは、固体電解質層4を構成する材料、例えば、ジルコニア系酸化物、ランタンガレード系酸化物等を用いることができ、特に、固体電解質層4と同じ系の材料が望ましい。固体電解質層4および補強層9は、希土類元素を含有するZrOから構成されていることが望ましく、この場合、補強層9は、固体電解質層4よりも希土類元素の含有量が少ないことが強度向上の点から望ましい。
特には、固体電解質層4は部分安定化ジルコニア、例えば、7〜9モル%のYが固溶したZrOからなることが、発電性能を向上させる点で望ましい。また、補強層9
を構成する固体電解質材料は同じ部分安定化ジルコニアで、希土類元素として、固体電解質層4と同じものを含有することが望ましい。さらに、希土類元素は、固体電解質層4よりも少なく、例えば、3〜5モル%のYが固溶したZrOからなることが強度という点から望ましい。
また、図1(b)の3−3線に沿った断面図である図3に示すように、下方に補強層9が存在する部分のインターコネクタ層8の表面と、下方に補強層9が存在しない部分のインターコネクタ層8の表面は平坦状とされている。これにより、破線で示す領域Aにおける応力を低減できる。このような構成は、インターコネクタ層8を構成するペーストを、補強層9が形成された表面、支持体の表面に塗布することにより、インターコネクタ層8の表面を平坦状にできる。また、図示しないが、補強層9の露出部側に向けてインターコネクタ層8の先端部の厚みが薄くなることが望ましい(破線で示す領域B)。
インターコネクタ層8と補強層9との重畳部における補強層9の厚みは25μm以上とされている。支持体1と補強層9との界面に生じる応力を低減するという点から、30μm以上が望ましい。補強層9の厚みを厚くすることにより、重畳部における支持体と補強層9との間における引張応力を低減でき、重畳部における補強層9の支持体1からの剥離を抑制できる。補強層9の厚みは、100μm以下、特には80μm以下であることが望ましい。
図4に、補強層9の厚みを60μmとした場合(a)、補強層9の厚みを20μmとした場合(b)について、(c)に、支持体1と補強層9との界面に生じる垂直方向の応力分布を示すシミュレーション結果を示す。これらの結果から、補強層9の厚みを60μmの場合には、補強層9の厚みを20μmの場合よりも応力を小さくできることがわかる。なお、図4(c)におけるIC重なり部下端からの距離とは、図3のBにおけるインターコネクタ層8の先端位置から、A側に向けた距離である。
以上のような燃料電池セル10では、補強層9、固体電解質層4およびインターコネクタ層8で構成された緻密質な筒状体で多孔質な支持体1を取り囲んでいるため、筒状体内部をガス通路とすることができる。また、支持体1の下端部には、インターコネクタ層8が形成されておらず、補強層9が形成されているため、インターコネクタ層8の厚みを薄くして、発電電流が流れる部分における抵抗を小さくする一方で、補強層9の厚みを厚くして補強することができ、燃料電池セルの下端部におけるクラック発生を抑制できる。
また、従来、LaCrO系酸化物からなるインターコネクタ8は還元雰囲気に曝されると膨張し、また、Niを含有してなる多孔質の導電性の支持体1は、インターコネクタ8からの元素拡散により、還元雰囲気に曝されると膨張しようとする。このような燃料電池セルの下端部を、後述する図10に示すようにガスタンクの開口部に無機材料からなる接着剤で接合すると、燃料電池セル10の接着剤が存在しない部分では、インターコネクタ層が還元雰囲気に曝されることにより還元膨張しようとする一方で、燃料電池セルの接着剤による接合部分では接着剤でインターコネクタ層の還元膨張が抑えられるため、その境界部分(セル下端部)における応力が大きく、クラックが発生するおそれがあった。
これに対して、本実施形態では、支持体1の下端部には、還元変形するインターコネクタ層8が形成されておらず、補強層9が形成されているため、補強層9の部分を接着剤で接合し、インターコネクタ層8の部分は接着剤で接合しない構造とすることができ、これにより、セル下端部における応力を低減でき、クラック発生を抑制できる。
なお、酸素極層6が形成される側の固体電解質層4に、燃料電池セル10の長さ方向Lに、補強層9と同様な材料からなる棒状補強層(図示せず)を設けることもできる。酸素
極層6は、棒状補強層の上面の一部を被覆していてもよく、また、完全に覆っていても良い。この場合には、固体電解質層4の厚みが30μm以下と薄くすることにより、発電性能を向上できるとともに、燃料電池セル10が変形しようとしても、棒状補強層により燃料電池セル10の変形を抑制し、燃料電池セル10におけるクラックの発生を抑制できる。
図5は、燃料電池セルの他の形態を示すもので、補強層9が、支持体1の下端部の端面を除き、支持体1の下端部の側面全周を取り囲んで構成されている状態を示す側面図である。この形態では、図5のセル長さ方向Lにおける下端部の横断面図(6b−6b線に沿った断面図)である図6(b)に示すように、支持体1の下端部の側面全周に、補強層9が形成されている。そして、図5および図6(b)から理解されるように、補強層9の上端部に、固体電解質層4の下端部、インターコネクタ層8の下端部が重畳しており、さらに、固体電解質層4のセル幅方向Wの両端部に、インターコネクタ層8のセル幅方向Wの両端部が重畳している。このような燃料電池セルでは、セル下端部における応力をさらに低減でき、クラック発生を抑制できる。
図7は、燃料電池セルのさらに他の形態を示すもので、補強層9が、支持体1の下端部における両主面に形成されている状態を示す側面図である。すなわち、この形態では、図7(a)に示すように、インターコネクタ層8側では、上記図1の形態と同様であるが、図7(b)に示すように、酸素極層6が形成される固体電解質層4にも、補強層9が形成されている。この補強層9は、固体電解質層4上に形成されている。このような燃料電池セルでも、上記形態と同様の効果を得ることができる。
図8は、燃料電池セルのさらに他の形態を示すもので、上記形態では、支持体1の下端部のみに補強層9を設けた形態について説明したが、この形態では、支持体1の両主面に、かつ上下端部に補強層9を設けている。すなわち、図7では支持体の下端部の両主面に補強層9を設けた形態に対して、図8では、さらに、支持体の上端部の両主面に補強層9を設けた形態である。このような燃料電池セルでも、上記形態と同様の効果を得ることができるが、さらに、支持体1の上端部の両主面に補強層9が設けられているので、燃料電池セル10上端部におけるクラック発生を抑制できる。また、燃料電池セル10の上端で燃焼するタイプであっても、クラック発生を抑制できる。
以下に、本実施形態の燃料電池セル10を構成する各部材について説明する。
導電性の支持体1は、燃料ガスを燃料極層3まで透過させるためにガス透過性であること、インターコネクタ層8を介して集電を行うために導電性であることが要求されることから、例えば、Niおよび/またはNiOと、無機酸化物、例えば特定の希土類酸化物とにより形成されることが好ましい。
特定の希土類酸化物とは、支持体1の熱膨張係数を固体電解質層4の熱膨張係数に近づけるために使用されるものであり、Y、Lu、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Gd、Sm、Prからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む希土類酸化物が、Niおよび/またはNiOとの組み合わせで使用することができる。このような希土類酸化物の具体例としては、Y、Lu、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Gd、Sm、Prを例示することができ、Niおよび/またはNiOとの固溶、反応が殆どなく、また、熱膨張係数が固体電解質層4と同程度であり、かつ安価であるという点から、Y、Ybが好ましい。
また、本実施形態においては、支持体1の良好な導電率を維持し、かつ熱膨張係数を固体電解質層4と近似させるという点で、Niおよび/またはNiO:希土類酸化物=35
:65〜65:35の体積比で存在することが好ましい。なお、支持体1中には、要求される特性が損なわれない限りの範囲で、他の金属成分や酸化物成分を含有していてもよい。
また、支持体1は、燃料ガス透過性を有していることが必要であるため、多孔質であり、通常、開気孔率が30%以上、特に35〜50%の範囲にあることが好ましい。また、支持体1の導電率は、300S/cm以上、特に440S/cm以上であることが好ましい。
なお、支持体1の平坦面nの長さ(支持体1のセル幅方向Wの長さ)は、例えば、15〜35mm、弧状面mの長さ(弧の長さ)は、2〜8mmであり、支持体1の厚み(平坦面n間の厚み)は1.5〜5mmである。支持体1の長さは、例えば、100〜300mmとされている。
燃料極層3は、電極反応を生じさせるものであり、それ自体公知の多孔質の導電性セラミックスにより形成することができる。例えば、希土類元素酸化物が固溶したZrOまたは希土類元素酸化物が固溶したCeOと、Niおよび/またはNiOとから形成することができる。なお、希土類元素としては、導電性支持体1において例示した希土類元素を用いることができ、例えばYが固溶したZrO(YSZ)とNiおよび/またはNiOとから形成することができる。
燃料極層3中の希土類元素酸化物が固溶したZrOまたは希土類元素酸化物が固溶しているCeOの含有量は、35〜65体積%の範囲にあるのが好ましく、またNiあるいはNiOの含有量は、65〜35体積%であるのが好ましい。さらに、この燃料極層3の開気孔率は、15%以上、特に20〜40%の範囲にあるのが好ましく、その厚みは、1〜30μmであるのが好ましい。
また、燃料極層3は、酸素極層6に対面する位置に形成されていればよいため、例えば酸素極層6が設けられている支持体1の下側の平坦面nにのみ燃料極層3が形成されていてもよい。すなわち、燃料極層3は支持体1の下側の平坦面nにのみ設けられ、固体電解質層4が燃料極層3表面、支持体1の両弧状面m表面および燃料極層3が形成されていない支持体1の上側の平坦面n上に形成された構造をしたものであってもよい。
固体電解質層4は、3〜15モル%のY、Sc、Yb等の希土類元素を含有した部分安定化あるいは安定化ZrOからなるセラミックスを用いるのが好ましい。また、希土類元素としては、安価であるという点からYが好ましい。固体電解質層4は、部分安定化あるいは安定化ZrOからなるセラミックスに限定されるものではなく、従来、公知の、例えば、ランタンガレード系の固体電解質層であっても良いことは勿論である。
固体電解質層4と後述する酸素極層6との間に、固体電解質層4と酸素極層6との接合を強固とするとともに、固体電解質層4の成分と酸素極層6の成分とが反応して電気抵抗の高い反応層が形成されることを抑制する目的で中間層5が形成されている。
中間層5としては、Ce以外の他の希土類元素を含有するCeO系焼結体からなるもので、例えば、(CeO1−x(REO1.5(式中、REはSm、Y、Yb、Gdの少なくとも1種であり、xは0<x≦0.3を満足する数)で表される組成を有していることが好ましい。さらには、電気抵抗を低減するという点から、REとしてSmやGdを用いることが好ましく、例えば10〜20モル%のSmO1.5またはGdO1.5が固溶したCeOからなることが好ましい。
酸素極層6としては、いわゆるABO型のペロブスカイト型酸化物からなる導電性セラミックスにより形成することが好ましい。かかるペロブスカイト型酸化物としては、Laを含有する遷移金属ペロブスカイト型酸化物、特にAサイトにSrとLaが共存するLaMnO系酸化物、LaFeO系酸化物、LaCoO系酸化物の少なくとも1種が好ましく、600〜1000℃程度の作動温度での電気伝導性が高いという点からLaCoO系酸化物が特に好ましい。なお、上記ペロブスカイト型酸化物においては、Bサイトに、CoとともにFeやMnが存在しても良い。
また、酸素極層6は、ガス透過性を有する必要があり、従って、酸素極層6を形成する導電性セラミックス(ペロブスカイト型酸化物)は、開気孔率が20%以上、特に30〜50%の範囲にあることが好ましい。さらに、酸素極層6の厚みは、集電性という点から30〜100μmであることが好ましい。
インターコネクタ層8としては導電性セラミックスにより形成されている。燃料ガス(水素含有ガス)および酸素含有ガスと接触するため、耐還元性、耐酸化性を有していることが必要である。このため、耐還元性、耐酸化性を有する導電性セラミックスとしては、例えば、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO系酸化物)が使用され、特に支持体1および固体電解質層4の熱膨張係数に近づける目的から、BサイトにMgが存在するLaCrMgO系酸化物が用いられる。インターコネクタ層8材料は導電性セラミックスであればよく、特に限定されるものではない。
また、インターコネクタ層8の厚みは、ガスのリーク防止と電気抵抗という点から、10〜60μmであることが好ましい。この範囲ならばガスのリークを防止できるとともに、電気抵抗を小さくできる。
さらに、支持体1とインターコネクタ層8との間には、インターコネクタ層8と支持体1との間の熱膨張係数差を軽減する等のために密着層(図示せず)を形成することができる。
このような密着層としては、燃料極層3と類似した組成とすることができる。例えば、希土類酸化物、希土類元素酸化物が固溶したZrO、希土類元素酸化物が固溶したCeOのうち少なくとも1種と、Niおよび/またはNiOとから形成することができる。より具体的には、例えばYとNiおよび/またはNiOからなる組成や、Yが固溶したZrO(YSZ)とNiおよび/またはNiOからなる組成、Y、Sm、Gd等の酸化物が固溶したCeOとNiおよび/またはNiOからなる組成から形成することができる。なお、希土類酸化物や希土類元素酸化物が固溶したZrO(CeO)と、Niおよび/またはNiOとは、体積比で40:60〜60:40の範囲とすることが好ましい。
以上説明した本実施形態の燃料電池セル10の作製方法の一例について説明する。
先ず、例えば、Niおよび/またはNiO粉末と、Yなどの希土類酸化物の粉末と、有機バインダーと、溶媒とを混合して坏土を調製し、この坏土を用いて押出成形により支持体成形体を作製し、これを乾燥する。なお、支持体成形体として、支持体成形体を900〜1000℃にて2〜6時間仮焼した仮焼体を用いてもよい。
次に、例えば所定の調合組成に従い、NiOと、Yが固溶したZrO(YSZ)との素原料を秤量、混合する。この後、混合した粉体に、有機バインダーおよび溶媒を混合して燃料極層用スラリーを調製する。
そして、希土類元素酸化物が固溶したZrO粉末に、トルエン、バインダー粉末(下記、ZrO粉末に付着させるバインダー粉末よりも高分子、例えばアクリル系樹脂)、市販の分散剤等を加えてスラリー化したものをドクターブレード等の方法により、成形してシート状の固体電解質層成形体を作製する。
得られたシート状の固体電解質層成形体上に燃料極層用スラリーを塗布し乾燥して燃料極層成形体を形成し、シート状の積層成形体を形成する。この燃料極層成形体および固体電解質層成形体が積層したシート状の積層成形体の燃料極層成形体側の面を導電性支持体成形体に積層し、成形体を形成する。
次いで、上記の積層成形体を800〜1200℃で2〜6時間仮焼する。この後、固体電解質成形体(仮焼体)に、補強層となるスラリーを図2に示すような形状で塗布し、乾燥させる。
続いて、インターコネクタ層材料(例えば、LaCrMgO系酸化物粉末)、有機バインダー及び溶媒を混合してスラリーを作製する。この後の工程は、密着層を有する燃料電池セルの製法について説明する。
続いて、支持体1とインターコネクタ層8との間に密着層成形体を形成する場合には、下記のように作製する。例えば、Yが固溶したZrOとNiOが体積比で40:60〜60:40の範囲となるように混合して乾燥し、有機バインダー等を加えて密着層用スラリーを調整し、固体電解質層成形体の両端部間における支持体成形体上に塗布して密着層成形体を形成する。
続いて固体電解質層4と酸素極層6との間に配置する中間層を形成する。例えば、GdO1.5が固溶したCeO粉末を800〜900℃にて2〜6時間、熱処理を行い、中間層成形体用の原料粉末を調整する。この原料粉末に、溶媒としてトルエンを添加し、中間層用スラリーを作製し、このスラリーを固体電解質層成形体上に塗布して中間層成形体を作製する。
この後、固体電解質成形体(仮焼体)の両端部上に、インターコネクタ層用成形体の両端部が積層されるように、密着層成形体上、固体電解質層成形体の両端部および補強層の上端部上に、インターコネクタ層用スラリーを塗布し、積層成形体を作製する。
次いで、上記の積層成形体を脱バインダー処理し、酸素含有雰囲気中、1400〜1450℃にて2〜6時間、同時焼結(同時焼成)する。
さらに、酸素極層用材料(例えば、LaCoO系酸化物粉末)、溶媒および増孔剤を含有するスラリーをディッピング等により中間層上に塗布し、1000〜1300℃で、2〜6時間焼き付けることにより、図1に示す構造の本実施形態の燃料電池セル10を製造できる。
図9は、上述した燃料電池セル10の複数個を、集電部材13を介して電気的に直列に接続して構成されたセルスタック装置の一例を示したものであり、(a)はセルスタック装置を概略的に示す側面図、(b)は(a)のセルスタック装置の一部拡大断面図であり、(a)で示した破線で囲った部分を抜粋して示している。なお、(b)において(a)で示した破線で囲った部分に対応する部分を明確とするために矢印にて示しており、(b)で示す燃料電池セル10においては、上述した中間層等の一部の部材を省略して示している。
なお、セルスタック装置においては、各燃料電池セル10を、弾性を有する集電部材13を介して配列することでセルスタック12を構成しており、各燃料電池セル10の下端部が、燃料電池セル10に燃料ガスを供給するためのガスタンク16に、ガラスシール材等の絶縁性の接着剤17により固定されている。
また、ガスタンク16に下端部が固定された弾性変形可能な導電部材14により、燃料電池セル10のセル配列方向xの両端から、セルスタック12を挟持している。
また、図9に示す導電部材14においては、燃料電池セル10のセル配列方向xに沿って外側に向けて延びた形状で、セルスタック12(燃料電池セル10)の発電により生じる電流を引出すための電流引出し部15が設けられている。
図10に、燃料電池セル10下端部のガスタンク16への固定構造を示す。燃料電池セル10の下端部は、ガスタンク10に形成された開口部内に挿入され、ガラスシール材等の接着剤17により固定されている。なお、図10(a)はセル配列方向xから見た側面図、図10(b)はセル幅方向Wから見た側面図である。
すなわち、薄い箱状のガスタンクの上壁に、2個のセルスタック12の下端部が挿入される開口部が2個形成されており、これらの開口部に、セルスタック12の下端部がそれぞれ挿入された状態で、接着剤17で接合固定されている。接着剤17は、セルスタック12と開口部を構成する壁面との間、燃料電池セル10間に充填され、シールされている。
接着剤17は、図10に示すように、燃料電池セル10の下端部(補強層9の下端部)はガラスシール材等の接着剤17に埋設され、補強層9の上端部およびインターコネクタ層8の下端部は、接着剤17に埋設されていない。従って、接着剤17で埋設される部分には、インターコネクタ層8の下端部の代わりに補強層9が形成されているため、例えば、補強層9を高強度材料で構成したり、補強層9の厚みを厚くすることにより、燃料電池セル10の下端部を補強でき、クラックの発生を抑制できる。
すなわち、耐熱性合金からなるガスタンク16、燃料電池セル10、接着剤17を構成する材料の違いにより、燃料電池セル10の下端部に応力が生じ、クラック等が発生するおそれがあるが、補強層9により補強でき、燃料電池セル10の下端部におけるクラックの発生を防止できる。
また、LaCrO系酸化物からなるインターコネクタ層8は、還元雰囲気に晒されると還元膨張するが、図10に示すように、インターコネクタ層8の下端部は接着剤17で被覆されていないため、接着剤17で被覆された部分と被覆されていない部分との間における応力を小さくでき、燃料電池セル10の下端部におけるクラックの発生を抑制できる。
図11は、セルスタック装置を収納容器内に収納してなる燃料電池モジュール18の一例を示す外観斜視図であり、直方体状の収納容器19の内部に、図10に示したセルスタック装置を収納して構成されている。
なお、燃料電池セル10にて使用する燃料ガスを得るために、天然ガスや灯油等の原燃料を改質して燃料ガスを生成するための改質器20をセルスタック12の上方に配置している。そして、改質器20で生成された燃料ガスは、ガス流通管21を介してガスタンク16に供給され、ガスタンク16を介して燃料電池セル10の内部に設けられた燃料ガス通路2に供給される。
なお、図11においては、収納容器19の一部(前後面)を取り外し、内部に収納されているセルスタック装置および改質器20を後方に取り出した状態を示している。図11に示した燃料電池モジュール18においては、セルスタック装置を、収納容器19内にスライドして収納することが可能である。なお、セルスタック装置は、改質器20を含むものとしても良い。
また収納容器19の内部に設けられた酸素含有ガス導入部材22は、図11においてはガスタンク16に並置された一対のセルスタック12の間に配置されるとともに、酸素含有ガスが燃料ガスの流れに合わせて、燃料電池セル10の側方を下端部から上端部に向けて流れるように、燃料電池セル10の下端部に酸素含有ガスを供給する。そして、燃料電池セル10の燃料ガス通路2より排出される燃料ガスを酸素含有ガスと反応させて燃料電池セル10の上端部側で燃焼させることにより、燃料電池セル10の温度を上昇させることができ、セルスタック装置の起動を早めることができる。また、燃料電池セル10の上端部側にて、燃料電池セル10のガス通路2から排出される燃料ガスと酸素含有ガスとを燃焼させることにより、燃料電池セル10(セルスタック12)の上方に配置された改質器20を温めることができる。それにより、改質器20で効率よく改質反応を行うことができる。
さらに、本実施形態の燃料電池モジュール18では、上述した燃料電池セル10を用いたセルスタック装置を収納容器19内に収納してなることから、発電性能が高く、長期信頼性が向上した燃料電池モジュール18とすることができる。
図12は、外装ケース内に図11で示した燃料電池モジュール18と、セルスタック装置を動作させるための補機とを収納してなる燃料電池装置の一例を示す斜視図である。なお、図12においては一部構成を省略して示している。
図12に示す燃料電池装置23は、支柱24と外装板25とから構成される外装ケース内を仕切板26により上下に区画し、その上方側を上述した燃料電池モジュール18を収納するモジュール収納室27とし、下方側を燃料電池モジュール18を動作させるための補機類を収納する補機収納室28として構成されている。なお、補機収納室28に収納する補機類は省略して示している。
また、仕切板26には、補機収納室28の空気をモジュール収納室27側に流すための空気流通口29が設けられており、モジュール収納室27を構成する外装板25の一部に、モジュール収納室27内の空気を排気するための排気口30が設けられている。
このような燃料電池装置23においては、上述したように、発電性能が高く、信頼性を向上することができる燃料電池モジュール18をモジュール収納室27に収納して構成されることにより、発電性能が高く、信頼性の向上した燃料電池装置23とできる。
以上、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。例えば、導電性支持体上に酸素極層、固体電解質層、燃料極層を配置した燃料電池セルであっても良い。さらに、例えば、上記形態では、支持体1上に燃料極層3、固体電解質層4、酸素極層6を積層したが、支持体1を用いることなく、燃料極層3自体を支持体とし、この燃料極層3に、固体電解質層4、酸素極層6を設けても良い。
なお、上記実施形態では、中空平板型の固体酸化物形燃料電池セルについて説明したが、円筒型の固体酸化物形燃料電池セルであっても良いことは勿論である。また、各部材間
に機能に合わせて各種中間層を形成しても良い。
さらに、上記形態では燃料電池セル、セルスタック装置、燃料電池モジュールならびに燃料電池装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電解セルに水蒸気と電圧とを付与して水蒸気(水)を電気分解することにより、水素と酸素(O)を生成する電解セル(SOEC)およびこの電解セルを備える電解モジュールおよび電解装置にも適用することができる。
先ず、平均粒径0.5μmのNiO粉末と、平均粒径0.9μmのY粉末を混合し、有機バインダーと溶媒にて作製した坏土を押出成形法にて成形し、乾燥、脱脂して導電性の支持体成形体を作製した。支持体成形体は、還元後における体積比率が、NiOが48体積%、Yが52体積%であった。
次に、8mol%のYが固溶したマイクロトラック法による粒径が0.8μmのZrO粉末に、バインダー粉末と溶媒とを混合して得られたスラリーを用いて、ドクターブレード法にて固体電解質層用シートを作製した。
中間層成形体を形成するためのスラリーは、CeOを90モル%、希土類元素の酸化物(GdO1.5、SmO1.5)を10モル%含む複合酸化物を、溶媒としてイソプロピルアルコール(IPA)を用いて振動ミル又はボールミルにて粉砕し、900℃にて4時間仮焼処理を行い、再度ボールミルにて解砕処理し、セラミック粒子の凝集度を調製し、この粉体に、バインダーと溶媒とを添加し、混合して作製した。
次に平均粒径0.5μmのNiO粉末とYが固溶したZrO粉末と有機バインダーと溶媒とを混合した燃料極層用スラリーを作製し、固体電解質層用シート上にスクリーン印刷法にて塗布し乾燥して燃料極層成形体を形成した。
固体電解質層用シートに燃料極層成形体を形成したシート状の積層成形体を、その燃料極層成形体側の面を内側にして支持体成形体の所定位置に積層した。
続いて、上記のような成形体を積層した積層成形体を1000℃にて3時間仮焼処理した。
この後、中間層成形体を形成するスラリーを、スクリーン印刷法にて、固体電解質仮焼体の上面に塗布し乾燥して、中間層成形体を形成した。
この後、固体電解質の仮焼体の両端部およびこの仮焼体の両端部間の支持体仮焼体に、補強層を構成するスラリーを、図2に示す形状に塗布し、乾燥した。補強層を構成するスラリーは、4モル%のYが固溶した粒径0.4μmのZrO粉末を含有するスラリーである。
続いて、平均粒径0.7μmのLa(Mg0.3Cr0.70.96と、有機バインダーと溶媒とを混合したインターコネクタ層用スラリーを作製した。調整したインターコネクタ層用スラリーを、支持体の燃料極層(および固体電解質層)が形成されていない部位(支持体が露出した部位)に、固体電解質の仮焼体の両端部および補強層の成形体の上端部にかかるように塗布した。
次いで、上記の積層成形体を脱バインダー処理し、大気中で1450℃にて2時間同時焼成した。
次に、平均粒径2μmのLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8粉末と、イソプロピルアルコールとからなる混合液を作製し、固体電解質上面における中間層の表面に噴霧塗布し、酸素極層成形体を形成し、1100℃にて4時間で焼き付け、酸素極層を形成し、図1、図2に示す補強層を有する燃料電池セルを作製した。
なお、作製した燃料電池セルの寸法は25mm×200mmで、支持体の厚み(平坦面n間の厚み)は2mm、開気孔率35%、燃料極層の厚さは10μm、開気孔率24%、固体電解質層の厚みは10μm、酸素極層の厚みは50μm、開気孔率40%、インターコネクタ層の厚みは50μmであった。補強層とインターコネクタ層との重畳部における補強層の厚みを、表1に示すように変更した燃料電池セルも作製した。厚みは、走査型電子顕微鏡の写真から求めた。セル長さ方向Lにおける重畳部の長さは、5mmであった。
作製した6本の燃料電池セル10を、図9に示したように、集電部材を介して電気的に接続したセルスタックの下端部を、ガスタンクの開口部内に挿入し、結晶化ガラスからなる接着剤17で接合固定し、14個のセルスタック装置を作製した。この場合に、補強層9の上端部は、接着剤17端から上方に5mm露出していた。
一方、比較例として、補強層を形成せず、インターコネクタ層が支持体の長さ方向全体に形成された6本の燃料電池セルを用いてセルスタックを作製し、上記と同様にして14個のセルスタック装置を作製した。
これらのセルスタック装置のガスタンク内に水素ガスを供給し、燃料電池セルの内部に水素ガスを流し、850℃で10時間、支持体および燃料極層の還元処理を施し、冷却した。
そして、燃料電池セルの下端部におけるクラック発生有無を、目視にて確認し、84本の燃料電池セルの根元部にクラックがなかったものを○、1本でもクラックが発生していた場合を×とし、表1の根元クラック発生有無の欄に記載した。
また、補強層の厚みが20μmと60μmの場合について、シミュレーションを行い、支持体と補強層間に発生する応力を求め、図4(c)に記載した。
これらの結果から、支持体1の下端部に厚みが20〜60μmの補強層を形成し、インターコネクタ層8は支持体1の下端部にまで形成されていない場合には、補強層により燃料電池セルの下端部を補強でき、燃料電池セルの根元におけるクラックの発生を抑制できることがわかる。さらに、シミュレーション結果より、補強層の厚みを厚くすることにより、支持体と補強層間に発生する引張応力を低減でき、重畳部における補強層の剥離を抑制できることがわかる。
1:支持体
2:燃料ガス通路
3:燃料極層
4:固体電解質層
6:酸素極層
8:インターコネクタ層
9:補強層
18:燃料電池モジュール
23:燃料電池装置

Claims (9)

  1. 長尺状で多孔質な支持体と、該支持体の側面の異なる部分にそれぞれ設けられた緻密質な固体電解質層および緻密質なインターコネクタ層と、前記固体電解質層に設けられた多孔質な第1電極層と、前記支持体の側面のうち前記支持体の長さ方向における一方側の端部に設けられた緻密質な補強層とを具備するとともに、前記固体電解質層、前記インターコネクタ層および前記補強層で構成された筒状体で前記支持体を取り囲んでなり、前記インターコネクタ層は前記支持体の長さ方向の他方側から一方側に延びているが、前記支持体の一方側の端部には設けられておらず、かつ、前記インターコネクタ層の前記長さ方向における一方側の端部が前記補強層の前記インターコネクタ層側の端部に重畳していることを特徴とする電解セル。
  2. 前記補強層は、前記支持体の端部の側面全周を取り囲んで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電解セル。
  3. 前記補強層は、前記支持体の長さ方向の両端部に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の電解セル。
  4. 前記インターコネクタ層と前記補強層との重畳部における前記補強層の厚みが25μm以上であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の電解セル。
  5. 前記補強層は、固体電解質材料からなることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれかに記載の電解セル。
  6. 請求項1乃至5のうちいずれかに記載の電解セルを複数具備してなるとともに、該複数の電解セルを電気的に接続してなることを特徴とするセルスタック装置。
  7. 前記電解セルの長さ方向における一方側の端部が、絶縁性の接着剤でガスタンクに接合されていることを特徴とする請求項6に記載のセルスタック装置。
  8. 請求項6または7に記載のセルスタック装置を収納容器内に収納してなることを特徴とする電解モジュール。
  9. 請求項8に記載の電解モジュールと、該電解モジュールを作動させるための補機とを、外装ケース内に収納してなることを特徴とする電解装置。
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