JP2004259604A - 燃料電池セル及び燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガス流通路34が形成された多孔質導電性支持体33aに、少なくとも固体電解質33c、酸素側電極33dを順次設けてなるとともに、多孔質導電性支持体33aのガス排出口34a近傍で、該ガス排出口34aから排出されたガスが燃焼する燃料電池セルであって、ガス排出口34aの周囲における多孔質導電性支持体33aに無機成分が含浸されていることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池セル及び燃料電池に関するもので、特に、ガス流通路を有する多孔質導電性支持体のガス排出口近傍で燃焼する燃料電池セル及び燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、次世代エネルギーとして、燃料電池セルのスタックを収納容器内に収納した燃料電池が種々提案されている。
【0003】
従来の固体電解質型燃料電池では、収納容器内に、有底筒状の複数の燃料電池セルを収納し、該燃料電池セル内に空気を供給する空気導入管が挿入されたものが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
この燃料電池では、燃料電池セル内に空気導入管により空気を導入するとともに、燃料電池セルの外周囲に水素を供給することにより発電することになる。
【0005】
そして、燃料電池セル内の余剰な空気と、燃料電池セル外の余剰な水素が、燃料電池セルの開口部近傍で燃焼し、この燃焼ガスにより空気導入管を加熱し、空気導入管内の空気を予熱し、起動時間を短縮できる。
【0006】
この燃料電池セルでは、内側に形成された空気極の還元を防止するためスリーブが外嵌されており、このスリーブにより、燃料電池セル端部が燃焼ガスから遮断されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−110435号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1では、スリーブ内に燃料電池セルの端部を挿入していたため、スリーブの直径が大きいことに起因して、スリーブ内に燃料電池セルの端部を挿入したセル装置の幅が大きくなり、所定容積に収納するセル本数が少なくなり、所望の発電量が得られないという問題があった。
【0009】
また、スリーブの分だけ燃料電池セルが長くなり、大型化するという問題があった。
【0010】
本発明は、大型化することなく燃焼ガスによる劣化を防止できる燃料電池セル及び燃料電池を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池セルは、ガス流通路が形成された多孔質導電性支持体に、少なくとも固体電解質、外側電極を順次設けてなるとともに、前記多孔質導電性支持体のガス排出口近傍で、該ガス排出口から排出されたガスが燃焼する燃料電池セルであって、前記多孔質導電性支持体におけるガス排出口の周囲に、無機成分が含浸されていることを特徴とする。
【0012】
このような燃料電池セルでは、燃焼ガスに曝される端面は、多孔質導電性支持体に無機成分を含浸して構成されているため、強度の低い多孔質導電性支持体を無機成分で強化でき、これにより、燃焼ガスに曝される燃料電池セルの端部を強化して、破損を防止できる。特に、多孔質導電性支持体端面のガス流通路を形成する角部は欠けやすいため、有効に用いることができる。一方、多孔質導電性支持体は無機成分を含浸して構成されているため、熱伝導度を低下させ、ガス燃焼部からの熱を遮断でき、電極を保護できる。
【0013】
また、本発明の燃料電池セルは、多孔質導電性支持体に内側電極、固体電解質、外側電極を順次設けてなることを特徴とする。このような燃料電池セルでも、燃焼ガスに曝される端部を強化して、破損を防止できる。この燃料電池セル場合には、多硬質導電性部材のみならず、内側電極も多孔質であるため、内側電極にも無機成分を含浸させることが望ましい。これにより、燃料電池セルの端面をより保護することができる。
【0014】
さらに、本願発明の燃料電池セルは、ガス排出口側の一端部が非発電部とされており、該非発電部における多孔質導電性支持体に無機成分が含浸されていることを特徴とする。このような燃料電池セルでは、固体電解質が内側電極及び外側電極で挟持された部分が発電部であり、挟持されていない部分が非発電部となるるが、燃料電池セルの燃焼側の端部は、多孔質な外側電極の燃焼ガスによる劣化防止、又は製造工程上、或いは燃料電池セルの保持のため、ガス排出口側の一端部が非発電部とされている。
【0015】
このような燃料電池セルの非発電部における多孔質導電性支持体に無機成分を含浸することにより、燃料電池セルの発電性能に影響を与えることなく、端面を保護することができる。また、上記したように、熱伝導度を低下させ、ガス燃焼部からの熱を遮断でき、電極を保護できるため、非発電部を短くでき、燃料電池セルの短小化を促進できる。
【0016】
また、本発明の燃料電池セルは、多孔質導電性支持体が、Ni及び/又はNiOを含有していることを特徴とする。
【0017】
このような燃料電池セルでは、多孔質導電性支持体がNi及び/又はNiOを含有するため、電気伝導度が高く、例えば板状の多孔質導電性支持体を作製し、この多孔質導電性支持体の一方側主面に、内側電極、固体電解質、外側電極を順次形成し、多孔質導電性支持体の他方側主面にインターコネクタを設けると、多孔質導電性支持体の導電率が高いことに起因して燃料電池セルの発電性能を高めることができるものの、多孔質導電性支持体が薄い板状で、Ni及び/又はNiOを含有するサーメット材料から構成されることになるため、強度的に低くなる傾向があるが、多孔質導電性支持体のガス排出口の周囲に無機成分を含浸することにより強度を向上でき、燃焼ガスによる破損を抑制できる。
【0018】
また、本発明の燃料電池セルは、無機成分はZrO2を主成分とすることを特徴とする。一般的に燃料電池セルの各部材(多孔質導電性支持体、外側電極、内側電極等)の熱膨張係数は、ZrO2を主成分とする固体電解質の熱膨張係数に合致させるように制御されるが、多孔質導電性支持体に含浸される無機成分がZrO2を主成分とするため、無機成分の熱膨張係数をも固体電解質に近づけることができ、無機成分による燃料電池セルの破損を抑制できる。
【0019】
さらに、本発明の燃料電池セルは、非発電部における多孔質導電性支持体の外面には、緻密な固体電解質が設けられていることを特徴とする。このような燃料電池セルでは、ガス流通路内のガスの漏出を防止できるとともに、固体電解質の主成分がZrO2である場合に、ZrO2を主成分とする無機成分を多孔質導電性支持体に含浸させることにより、燃料電池セルの燃焼側の端部の熱膨張係数差による破損を抑制できる。
【0020】
本発明の燃料電池は、上記した燃料電池セルを収納容器内に複数収納してなるものである。このような燃料電池では、上記したように燃料電池セルの破損を抑制できるため、長期にわたって発電性能が劣化せず、長期信頼性を向上できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の燃料電池セル33の横断面斜視図を示すもので、燃料電池セル33は断面が扁平状で、全体的に見て楕円柱状であり、その内部には複数のガス流路34が形成されている。尚、燃料電池セル33は、その厚みを薄くすることにより、平板状ともなる。
【0022】
この燃料電池セル33は、Y,Lu,Yb,Tm,Er,Ho,Dy,Gd,Sm,Prから選ばれた1種以上の元素を含む希土類酸化物と、Ni及び/又はNiOとを含有する、断面が扁平状で、全体的に見て楕円柱状の多孔質導電性支持体(以下、支持体ということもある)33aの外面に、多孔質な燃料側電極(内側電極)33b、緻密質な固体電解質33c、多孔質な導電性セラミックスからなる酸素側電極(外側電極)33dを順次積層し、酸素側電極33dと反対側の支持体33aの外面に中間膜33e、ランタン−クロム系酸化物材料からなるインターコネクタ33f、P型半導体材料からなる集電膜33gを形成して構成されている。
【0023】
尚、支持体33aは、Ni及び/又はNiOと、ZrO2を含有する場合や、スピネル等を含有するものであっても良い。
【0024】
即ち、燃料電池セル33は、断面形状が、幅方向両端に設けられた弧状部mと、これらの弧状部mを連結する一対の平坦部nとから構成されており、一対の平坦部nは平坦であり、ほぼ平行に形成されている。これらの燃料電池セル33の平坦部nのうち一方は、支持体33aの一方側主面に中間膜33e、インターコネクタ33f、集電膜33gを形成して構成され、他方の平坦部nは、支持体33aの他方側主面に燃料側電極33b、固体電解質33c、酸素側電極33dを順次形成して構成されている。
【0025】
言い換えれば、支持体33aは多孔質(ガス透過性を有し)で導電性を有する板状であり、この板状の支持体33aの一方側主面に、中間膜33e、インターコネクタ33f、集電膜33gが順次積層され、板状の支持体33aの他方側主面に、インターコネクタ33fと対向するように、燃料側電極33b、固体電解質33c、酸素側電極33dが順次積層されている。
【0026】
板状の支持体33aの他方側主面に形成された燃料側電極33b、固体電解質33c、酸素側電極33dは、一方側主面に形成されたインターコネクタ33fまで延設されており、固体電解質33cとインターコネクタ33fが接合することにより、燃料電池セルのガス流通路34を流通するガスが外部に漏出するのを防止している。
【0027】
燃料電池セルのガス流通路34は支持体33aの軸長方向に形成されており、ガス流通路34の一方側がガス排出口34aとされ、他方側がガス導入口とされている。このガス流通路34のガス導入口から燃料ガスが導入され、ガス排出口から燃料ガスが排出され、燃料電池セルの外部に供給される酸素含有ガス(空気等)とが混合し、ガス排出口34a近傍で燃焼する。
【0028】
中間膜33eは、Ni及び/またはNiOと希土類元素を含有するZrO2とを主成分とするものである。中間膜33e中のNi化合物のNi換算量は全量中35〜80体積%が望ましく、好ましくは50〜70体積%が望ましい。Niを35体積%以上とすることで、Niの導電パスが増加し、中間膜33eにおける伝導度が向上し、電圧降下が小さくなる。また、Niを80体積%以下とすることで、支持体33aとインターコネクタ33fの間の熱膨張係数差を小さくすることができ、両者の界面の亀裂が発生を抑制できる。
【0029】
また、電位降下が小さくなるという点から中間膜33eの厚さは20μm以下が望ましく、さらに、10μm以下が望ましい。
【0030】
また、支持体33aの希土類元素は中希土類元素、重希土類元素が望ましい。中希土類元素や重希土類元素の酸化物の熱膨張係数は、固体電解質33cのY2O3を含有するZrO2の熱膨張係数より熱膨張係数が小さく、Niとのサーメット材としての支持体33aの熱膨張係数を固体電解質33cの熱膨張係数に近づけることができ、固体電解質33cのクラックや、固体電解質33cの燃料側電極33bからの剥離を抑制できる。熱膨張係数が小さい重希土類酸化物を用いることで、支持体33a中のNiを多くでき、支持体33aの電気伝導度を上げることができるという点から、さらに、重希土類酸化物を用いることが望ましい。
【0031】
なお、軽希土類元素のLa、Ce、Pr、Ndの酸化物は、希土類元素酸化物の熱膨張係数の総和が固体電解質の熱膨張係数未満である範囲であれば、中希土類元素、重希土類元素に加えて含有されていても何ら問題はない。
【0032】
また、精製途中の安価な複数の希土類元素を含む複合希土類酸化物を用いることにより原料コストを大幅に下げることができる。その場合も、複合希土類酸化物の熱膨張係数は固体電解質の熱膨張係数未満であることが重要である。
【0033】
また、インターコネクタ33f表面にP型半導体、例えば、遷移金属ペロブスカイト型酸化物からなる集電膜33gを設けることが望ましい。インターコネクタ33f表面に直接金属の集電部材を配して集電すると非オーム接触により、電位降下が大きくなる。オーム接触をし、電位降下を少なくするためには、インターコネクタ33fにP型半導体からなる集電膜33gを接続する必要があり、P型半導体である遷移金属ペロブスカイト型酸化物を用いることが望ましい。遷移金属ペロブスカイト型酸化物としては、ランタン−マンガン系酸化物、ランタン−鉄系酸化物、又は、それらの複合酸化物の少なくとも一種からなることが望ましい。
【0034】
支持体33aの外面に設けられた燃料側電極33bは、Niと固体電解質材料、例えば希土類元素が固溶したZrO2とから構成される。この燃料側電極33bの厚みは1〜30μmであることが望ましい。燃料側電極33bの厚みを1μm以上とすることで、燃料側電極33bとしての3層界面が十分に形成される。また、燃料側電極33bの厚みを30μm以下とすることで固体電解質33cとの熱膨張差により、界面剥離を防止できる。
【0035】
この燃料側電極33bの外面に設けられた固体電解質33cは、3〜15モル%のSc、Y等の希土類元素を含有した部分安定化あるいは安定化ZrO2からなる緻密質なセラミックスから構成される。尚、固体電解質はこれに限定されるものではない。
【0036】
希土類元素としては、安価であるという点からYもしくはYbが望ましい。
【0037】
固体電解質33cの厚さは、10〜100μmであることが望ましい。固体電解質33cの厚さを10μm以上とすることで、ガス透過を防止できる。また、固体電解質33cの厚さを100μm以下にすることで、抵抗成分の増加を抑制できる。
【0038】
また、酸素側電極33dは、遷移金属ペロブスカイト型酸化物のランタン−マンガン系酸化物、ランタン−鉄系酸化物、または、それらの複合酸化物の少なくとも一種の多孔質の導電性セラミックスから構成されている。酸素側電極33dは、800℃程度の中温域での電気伝導性が高いという点から(La,Sr)(Fe,Co)O3系組成物からなることが望ましい。酸素側電極33dの厚さは、集電性という点から30〜100μmであることが望ましい。
【0039】
支持体33a外面の一部には、その軸長方向に燃料側電極33b、固体電解質33c及び酸素側電極33dが形成されていない部分を有しており、この固体電解質33c及び酸素側電極33dから露出した支持体33aの外面には、中間膜33e、ランタン−クロム系酸化物からなるインターコネクタ33f、集電膜33gが形成されている。
【0040】
インターコネクタ33fは、支持体33aの内外の燃料ガス、酸素含有ガスの漏出を防止するため緻密質とされており、また、インターコネクタ33fの内外面は、燃料ガス、酸素含有ガスと接触するため、耐還元性、耐酸化性を有している。
【0041】
このインターコネクタ33fの厚みは、ガス透過を防止するという点、抵抗成分の増加を防止するという点から10〜200μmであることが望ましい。
【0042】
このインターコネクタ33fの端面と固体電解質33cの端面との間には、シール性を向上すべく例えば、Y2O3からなる接合層を介在させても良い。
【0043】
また、燃料電池セルは、図2に示すように、その両端部が発電しない非発電部55とされており、中央部が、固体電解質33cを燃料側電極33b、酸素側電極33dで挟持した発電部57とされている。非発電部55のガス排出口34a近傍で燃焼し、ガス導入口を有する非発電部は、例えば燃料ガスタンクに接続される。非発電部55は、支持体33aに燃料側電極33b、固体電解質33cを積層して構成され、固体電解質33cが外部に露出している状態であり、言い換えれば、固体電解質33cに酸素側電極33dが形成されていない部分が非発電部55とされている。
【0044】
そして、本発明の燃料電池セルでは、図1に示したように、ガス排出口34aの周囲における支持体33aに無機成分が含浸されている。即ち、支持体33aは多孔質であるため、ガス排出口34a側から無機成分が含浸され、ガス排出口34a近傍の支持体33aの気孔中には無機成分が充填されている。
【0045】
無機成分の充填は、ガス排出口34a近傍の支持体33aに含浸されていれば良いが、特に、発電性能の劣化を防止するため、非発電部55においてのみ充填されている必要がある。尚、ガス排出口34a近傍の支持体33a、即ち、表層部のみ含浸されていればよいが、非発電部55全体に含浸することが強度の点から望ましい。また、支持体33aのみならず、燃料側電極33bにも無機成分を含浸することが望ましい。
【0046】
無機成分はZrO2を主成分とされている。この無機成分は、ガラスやアルミナ、シリカ、ジルコンでも良いが、他の構成部材との熱膨張係数を一致させるという点から、固体電解質33cと類似する組成が望ましく、特には、固体電解質33cと同一材料からなることが望ましい。尚、無機成分が含浸された支持体33aは、含浸されない部分よりも緻密質となる。
【0047】
以上のような燃料電池セル33の製法について説明する。先ず、La、Ce、Pr、Ndの元素を除く希土類酸化物粉末と、Ni及び/又はNiO粉末を混合し、この混合粉末に、有機バインダーと、溶媒とを混合した支持体材料を用い、押し出し成形して、扁平状の支持体成形体を作製し、これを乾燥、脱脂する。
【0048】
次に、Ni及び/又はNiO粉末と、希土類元素が固溶したZrO2粉末と、有機バインダーと、溶媒を混合し、燃料側電極33b用のスラリーを作製する。
【0049】
次に、希土類元素が固溶したZrO2粉末と、有機バインダーと、溶媒を混合した固体電解質材料を用いてシート状の固体電解質成形体を作製し、このシート状の固体電解質成形体表面に、燃料側電極33b用のスラリーを塗布し、固体電解質成形体表面に燃料側電極成形体を形成する。
【0050】
これを、支持体成形体上に燃料側電極成形体が積層されるように、かつ、両端が支持体成形体の平坦部で所定間隔を置くように前記シート状の固体電解質成形体成形体を支持体成形体に巻き付けし、乾燥する。なお、このとき脱脂を行ってもよい。
【0051】
次に、Ni及び/又はNiO粉末と、希土類元素が固溶したZrO2粉と、有機バインダーと、溶媒を混合し、中間膜33e用のスラリーを作製し、このスラリーを、ランタン−クロム系酸化物粉末と、有機バインダーと、溶媒を混合したインターコネクタ材料を用いて形成されたシート状のインターコネクタ成形体表面に塗布し、インターコネクタ成形体に中間膜成形体を形成する。
【0052】
このインターコネクタ成形体を、固体電解質成形体成形体端間から露出した支持体成形体に積層する。
【0053】
これにより、支持体成形体の一方側主面に、燃料側電極成形体、固体電解質成形体を順次積層するとともに、他方側主面に、中間膜成形体、インターコネクタ成形体が積層された積層成形体を作製する。尚、各成形体はドクターブレードによるシート成形や印刷、スラリーディップ、スプレーによる吹き付けなどにより作製することができ、または、これらの組み合わせにより作製してもよい。
【0054】
次に、積層成形体を脱脂処理し、酸素含有雰囲気中で1300〜1600℃で同時焼成する。
【0055】
次に、P型半導体である遷移金属ペロブスカイト型酸化物粉末と、溶媒を混合し、ペーストを作製し、このペースト中に前記積層体を浸漬し、固体電解質33b、インターコネクタ33fの表面に酸素側電極成形体、集電膜成形体をディッピングにより形成するか、または、直接スプレー塗布する。この際、燃料電池セルの両端に非発電部を形成するように、酸素側電極成形体を形成しないように制御する。この後、1000〜1300℃で焼き付ける。
【0056】
次に、例えば、固体電解質33cと同一材料の無機材料の微粉末と、溶媒を混合し、スラリーを作製し、このスラリー中に、前記積層体の一端部を浸漬し、非発電部における支持体33a、燃料側電極33bの気孔中に、無機材料を充填し、これを乾燥、硬化させたり、無機材料のゾル中に含浸させ、乾燥、硬化させることにより、本発明の燃料電池セルを作製する。尚、スラリー中に積層体の一端部を浸漬するため、ガス排出口34aが形成されたセル端部のみならず、非発電部55の固体電解質33c外面にも無機材料が被覆されることになるが、この場合であっても、固体電解質材料と同一材料であるため、何等問題とならない。
【0057】
尚、支持体への無機成分の充填は、積層成形体を脱脂処理した後、上記方法で行い、固体電解質等と同時に焼成しても良い。この場合には、製造工程を簡略化できる。
【0058】
尚、燃料電池セル33は、酸素含有雰囲気での焼成により、支持体33a、燃料側電極33b、中間膜33e中のNi成分が、NiOとなっているため、その後、支持体33a側から還元性の燃料ガスを流し、NiOを800〜1000℃で還元処理する。また、この還元処理は発電時に行ってもよい。
【0059】
セルスタックは、図2に示すように、複数の燃料電池セル33が複数集合してなり、一方の燃料電池セル33と他方の燃料電池セル33との間に、金属フェルト及び/又は金属板からなる集電部材43を介在させ、一方の燃料電池セル33の支持体33aを、該支持体33aに設けられたインターコネクタ33f、集電膜33g、集電部材43を介して他方の燃料電池セル33の酸素側電極33dに電気的に接続して構成されている。
【0060】
集電部材43は、耐熱性、耐酸化性、電気伝導性という点から、Pt、Ag、Ni基合金、Fe−Cr鋼合金の少なくとも一種からなることが望ましい。尚、符号42は、燃料電池セルを直列に接続するための導電部材である。
【0061】
本発明の燃料電池は、図2のセルスタックを、収納容器内に収納して構成されている。この収納容器には、外部から水素等の燃料ガス及び空気等の酸素含有ガスを燃料電池セル33に導入する導入管が設けられており、燃料電池セル33が所定温度に加熱されることにより発電し、使用された燃料ガス、酸素含有ガスは、収納容器外に排出される。
【0062】
尚、本発明は上記形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、円筒状の支持体33aを用いて円筒型燃料電池セルを作製してもよく、支持体33aを用いる燃料電池セル33であれば形状は問わない。
【0063】
また、酸素側電極33dと固体電解質33cとの間に、反応防止層を形成しても良い。
【0064】
さらに、支持体33aに内側電極を設けた燃料電池セルについて説明したが、本発明では上記例に限定されるものではなく、支持体を有しない、即ち内側電極がそのまま支持体となっている場合についても、本発明は有効に用いることができる。
【0065】
また、支持体33aを、希土類酸化物と、Ni及び/又はNiOとを含有して構成したが、Ni及び/又はNiOと、スピネル等を含有する支持体であっても良いが、支持体からの元素拡散防止、固体電解質との熱膨張係数一致という点から、希土類酸化物とNi及び/又はNiOとを含有して構成することが望ましい。
【0066】
【発明の効果】
本発明の燃料電池セルでは、燃焼ガスに曝される端面は、多孔質導電性支持体に無機成分を含浸して構成されているため、強度の低い多孔質導電性支持体を無機成分で強化でき、これにより、燃焼ガスに曝される燃料電池セルの端部を強化して、破損を防止でき、特に、多孔質導電性支持体端面のガス流通路を形成する角部は欠けやすいため、有効に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池セルを示す斜視図である。
【図2】(a)は本発明の燃料電池セルの側面図、(b)は支持体の側面図である。
【図3】本発明のセルスタックを示す横断面図である。
【符号の説明】
33・・・燃料電池セル
33a・・・多孔質導電性支持体
33b・・・燃料側電極(内側電極)
33c・・・固体電解質
33d・・・酸素側電極(外側電極)
34・・・ガス流通路
34a・・・ガス排出口
55・・・非発電部
Claims (7)
- ガス流通路が形成された多孔質導電性支持体に、少なくとも固体電解質、外側電極を順次設けてなるとともに、前記多孔質導電性支持体のガス排出口近傍で、該ガス排出口から排出されたガスが燃焼する燃料電池セルであって、前記ガス排出口の周囲における多孔質導電性支持体に無機成分が含浸されていることを特徴とする燃料電池セル。
- 多孔質導電性支持体に内側電極、固体電解質、外側電極を順次設けてなることを特徴とする請求項1記載の燃料電池セル。
- ガス排出口側の一端部が非発電部とされており、該非発電部における多孔質導電性支持体に無機成分が含浸されていることを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池セル。
- 多孔質導電性支持体が、Ni及び/又はNiOを含有していることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の燃料電池セル。
- 無機成分はZrO2を主成分とすることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれかに記載の燃料電池セル。
- 非発電部における多孔質導電性支持体の外面には、緻密な固体電解質が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれかに記載の燃料電池セル。
- 請求項1乃至6のうちいずれかに記載の燃料電池セルを収納容器内に複数収納してなることを特徴とする燃料電池。
Priority Applications (1)
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