JP2015155387A - 有機ケイ素化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルケン類やアルキン類のヒドロシリル化反応における触媒を改良し、効率良く有機ケイ素化合物を製造することができる方法を提供すること。
【解決手段】下記式(A)で表される鉄錯体化合物とヒドリド還元剤を触媒として使用することにより、効率良く有機ケイ素化合物を製造することができる。
Figure 2015155387

(式(A)中、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を、R’は水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を、Xはハロゲン原子を表す。但し、2つのR’が共に炭化水素基である場合、炭化水素基同士が連結して環状構造を形成していてもよい。)
【選択図】なし

Description

本発明は、有機ケイ素化合物の製造方法に関し、より詳しくはジイミン配位子を有する鉄錯体を触媒として利用した有機ケイ素化合物の製造方法に関する。
有機ケイ素化合物は、分子内に少なくとも1つのケイ素−炭素結合を持つ化合物の総称で、多数の化合物が報告されており、電子材料、シリコーンオイル、シリコーン樹脂、シリコーンゴムなど我々の生活の身近なところで利用されている。しかし、有機ケイ素化合物は天然には存在せず、それら全ては人工的に化学合成されたものである。炭素−炭素多重結合へのヒドロシリル化反応は、理論的には全く副生成物を生じない直接的でかつ原子効率が高い反応であるため、有機ケイ素化合物を合成する上で重要な反応の1つである。
この反応は、通常、遷移金属触媒を必要とし、工業的には白金を用いたSpeier触媒(例えば、非特許文献1参照)やKarstedt触媒(例えば、非特許文献2参照)が使用されている。その他、ビニルシランを位置選択的、立体選択的に合成することが可能な優れた触媒として、ロジウム触媒(非特許文献3参照)やルテニウム触媒(非特許文献4参照)も報告されているが、中心金属は全て希少金属である。その一方で地殻中に豊富に存在し、供給不安がなく、価格が安く、毒性が低い鉄を用いた触媒も報告されているが(例えば、特許文献1、2、非特許文献5〜8)、いずれも白金触媒を代替できるほどの活性は示していない。
米国特許出願公開第2011/0009565号明細書 国際公開第2011/006049号
S. E. Denmark. D. Wehrli, Org. Lett., 2000, 2, 565. S. E. Denmark, Z. Wang, Org. Synth., 2005, 81, 54. A. Sato, H. Kinoshita, H. Shinokubo, K. Oshima, Org. Lett., 2004, 6, 2217. Y. Na, S. Chang, Org. Lett., 2000, 2, 1887. C. C. H. Atienza, A. M. Tondreau, K. J. Weller. K. M. Lewis, R. W. Cruse, S. A. Nye, J. L. Boyer. J. G. P. Delis, P. J. Chirik. ACS Catal., 2012, 2, 2169 A. M. Tondreau, C. C. H. Atienza, K. J. Weller, S. A. Nye, K. M. Lewis, J. G. P. Delis. P. J. Chirik, Science, 2012, 335, 567. A. M. Archer, M. W. Bouwkamp, M. P. Cortez, E. Lobkovsky, P. J. Chirik, Organometallics, 2006, 25, 4269. S. C. Bart, E. Lobkovsky, P. J. Chirik, J. Am. Chem. Soc., 2004, 126, 13794.
前述のようにアルケン類やアルキン類のヒドロシリル化反応は、触媒として白金等の希少金属が用いられたり、活性が不十分であったりしたため、コスト及び効率の観点で改善の余地を残すものであった。
本発明は、ヒドロシリル化反応における触媒を改良し、効率良く有機ケイ素化合物を製
造することができる方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ジイミン配位子を有する特定の鉄錯体とヒドリド還元剤を触媒として使用することにより、効率良く有機ケイ素化合物を製造することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の通りである。
<1> アルケン類及び/又はアルキン類とヒドロシラン類とを触媒存在下で反応させ
る有機ケイ素化合物の製造方法であって、
前記触媒として、下記式(A)で表される鉄錯体化合物とヒドリド還元剤を使用することを特徴とする、有機ケイ素化合物の製造方法。
Figure 2015155387

(式(A)中、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を、R’は水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を、Xはハロゲン原子を表す。但し、2つのR’が共に炭化水素基である場合、炭化水素基同士が連結して環状構造を形成していてもよい。)
<2> 下記式(I)、(I’)、(II−1)、(II−2)、(II’−1)、又
は(II’−2)で表される化合物を製造する方法である、<1>に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
Figure 2015155387

(式(I)、(I’)、(II−1)、(II−2)、(II’−1)、及び(II’−2)中、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又は窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シロキシ基、ケイ素数1〜50のポリシロキシ基、又は窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。但し、R〜Rの2以上が炭化水素基である場合、2以上の炭化水素基が連結して環状構造を形成していてもよい。)
<3> 下記式(A’)で表される鉄錯体化合物。
Figure 2015155387

(式(A’)中、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を、R”は炭素数1〜20の炭化水素基を、Xはハロゲン原子を表す。但し、2つのR”の炭化水素基同士が連結して環状構造を形成していてもよい。)
本発明によれば、効率良く有機ケイ素化合物を製造することができる。
実施例27〜32の1−オクテン/MePhSiHと転化率の関係を示したグラフである。 実施例33〜35の反応時間と転化率の関係を示したグラフである。
本発明を説明するに当たり、具体例を挙げて説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り以下の内容に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。
<有機ケイ素化合物の製造方法>
本発明の一態様である有機ケイ素化合物の製造方法は、アルケン類及び/又はアルキン類とヒドロシラン類とを触媒存在下で反応させる有機ケイ素化合物の製造方法であるが、触媒として、下記式(A)で表される鉄錯体化合物(以下、「鉄錯体化合物」と略す場合がある。)とヒドリド還元剤を使用することを特徴とする。
Figure 2015155387

(式(A)中、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を、R’は水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を、Xはハロゲン原子を表す。但し、2つのR’が共に炭化水素基である場合、炭化水素基同士が連結して環状構造を形成していてもよい。)
鉄錯体がヒドロシリル化反応に対して触媒活性を示すためには、活性種は0価でd電子数が14電子以下であることが望ましいと考えられる。これは下記反応式に示されるように、触媒サイクル中でアルケン若しくはアルキンによるη配位、ヒドロシランによるSi−H結合の酸化的付加が生じるものと想定されるからである。
Figure 2015155387

しかし、工業的な使用に耐えられる触媒としては、取り扱いが容易であること、即ち空気、湿気、熱的に対して安定であることが求められるが、上述の条件を満たす鉄錯体は非常に不安定であり、取り扱いや長期保管に問題があった。
本発明者らは、式(A)で表される鉄錯体とヒドリド還元剤を反応系中に添加することによって活性種を容易に誘導することができ、これがヒドロシリル化反応において高い触媒活性を示して、効率良く有機ケイ素化合物を製造することができることを明らかとしたのである。また、式(A)で表される鉄錯体は、比較的簡易的に合成することができる化合物であり、さらに空気中で安定であるため、取扱いが容易であり、実用性に富んだ触媒となることを見出したのである。
なお、「アルケン類」とは炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有する有機化合物を、「アルキン類」とは炭素−炭素三重結合を少なくとも1つ有する有機化合物を、「ヒドロシラン類」とはケイ素−水素結合(Si−H)を少なくとも1つ有する化合物を、「有機ケイ素化合物」とは炭素−ケイ素結合(C−Si)を少なくとも1つ有する有機化合物を意味するものとする。従って、「アルケン類及び/又はアルキン類」と「ヒドロシラン類」の反応として、例えば下記の反応式で示されるような反応が挙げられる(「アルケン類」が「1−オクテン」であり、「ヒドロシラン類」がジフェニルシランである。)。
Figure 2015155387
式(A)中、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表しているが、Rが炭化水素基である場合の炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上であり、好ましくは19以下、より好ましくは17以下、さらに好ましくは15以下である。
また、Rが炭化水素基である場合、直鎖状の飽和炭化水素基に限られず、分岐構造、環状構造、炭素−炭素不飽和結合のそれぞれを有していてもよい(分岐構造、環状構造、及び炭素−炭素不飽和結合からなる群より選択される少なくとも1種を有していてもよい。)。
Rの具体的な炭化水素基としては、tert−ブチル基、1,1,3,3−テトラブチルブチル基、シクロへキシル基、アダマンチル基、フェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基等が挙げられる。
式(A)中、R’はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表しているが、R’が炭化水素基である場合の炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上であり、好ましくは19以下、より好ましくは17以下、さらに好ましくは15以下である。
また、R’が炭化水素基である場合、直鎖状の飽和炭化水素基に限られず、分岐構造、環状構造、炭素−炭素不飽和結合のそれぞれを有していてもよい(分岐構造、環状構造、及び炭素−炭素不飽和結合からなる群より選択される少なくとも1種を有していてもよい。)。
R’の具体的な炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、tert−ブチル基、シクロへキシル基、フェニル基等が挙げられる。
さらに、2つのR’が共に炭化水素基である場合、炭化水素基同士が連結して環状構造を形成していてもよく、具体的には下記式で表される構造が挙げられる。
Figure 2015155387
鉄錯体化合物の配位子としては、下記式で表されるものが挙げられる。
Figure 2015155387
鉄錯体化合物としては、下記式で表されるものが挙げられる。
Figure 2015155387
本発明の有機ケイ素化合物の製造方法における鉄錯体化合物の使用量は、目的に応じて適宜することができるが、ヒドロシラン類の使用量に対して、物質量([mol])で、通常0.001倍以上、好ましくは0.01倍以上、より好ましくは0.05倍以上であり、通常1倍以下、好ましくは0.1倍以下、より好ましくは0.05倍以下である。上記範囲内であると、有機ケイ素化合物をより収率良く製造することができる。
(ヒドリド還元剤)
本発明の有機ケイ素化合物の製造方法は、ヒドリド還元剤を使用することを特徴とするが、ヒドリド還元剤の種類は特に限定されず、公知のものを適宜選択することができる。
具体的なヒドリド還元剤としては、水素化ホウ素リチウム(LiBH)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBHCN)、水素化トリエチルホウ素リチウム(LiBHEt)、水素化トリエチルホウ素ナトリウム(NaBHEt)、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素リチウム(LiBH(sec−Bu))、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素カリウム(KBH(sec−Bu))等の水素化ホウ素酸塩;水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(NaAlH(OCOCH)等のアルミニウムのヒドリド錯体等が挙げられる。
これらの中でも、水素化トリエチルホウ素ナトリウム(NaBHEt)が特に好ましい。
本発明の有機ケイ素化合物の製造方法におけるヒドリド還元剤の使用量は、目的に応じて適宜することができるが、鉄錯体化合物の使用量に対して、物質量([mol])で、通常1倍以上、好ましくは1.5倍以上、より好ましくは2倍以上であり、通常10倍以下、好ましくは5倍以下、より好ましくは2倍以下である。上記範囲内であると、有機ケイ素化合物をより収率良く製造することができる。
(有機ケイ素化合物)
本発明によって製造する有機ケイ素化合物は、前述のように炭素−ケイ素結合(C−Si)を少なくとも有する有機化合物であれば、具体的な構造は特に限定されず、幅広い有機ケイ素化合物に適用することができる。
具体的には、下記式(I)、(I’)、(II−1)、(II−2)、(II’−1)、又は(II’−2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015155387

(式(I)、(I’)、(II−1)、(II−2)、(II’−1)、及び(II’−2)中、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又は窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シロキシ基、ケイ素数1〜50のポリシロキシ基、又は窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。但し、R〜Rの2以上が炭化水素基である場合、2以上の炭化水素基が連結して環状構造を形成していてもよい。)
即ち、上記式(I)及び(I’)で表される化合物は、アルケン類とヒドロシラン類との反応によって得られる有機ケイ素化合物であり、上記式(II−1)及び(II−2)並びに(II’−1)及び(II’−2)で表される化合物は、アルキン類とヒドロシラン類との反応によって得られる有機ケイ素化合物である。また、SiR 基が付加する位置は特に限定されず、さらにアルキン類とヒドロシラン類との反応によって得られる有機ケイ素化合物は、Z体、E体、Z体とE体の混合物の何れであってもよいことを意味する。
なお、本発明の有機ケイ素化合物の製造方法は、anti−Markovnikov型の生成物を選択的に製造することも可能である。
〜Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は窒素原子、酸素原子、ケイ
素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表しているが、「窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい」とは、クロロ基(−Cl)、フルオロ基(−F)、アミノ基(−NH)、ニトロ基(−NO)、エポキシ基、ヒドロキシル基(−OH)、カルボニル基(−C(=O)−)、tert−ブチルジメチルシリル基(−SiBuMe)、アジ基(−N)等の窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、又はハロゲン原子を含む官能基を含んでいてもよいことを意味するほか、エーテル基(−O−)、チオエーテル基(−S−)等の窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、又はハロゲン原子を含む連結基を炭素骨格の内部又は末端に含んでいてもよいことを意味する。
〜Rが炭化水素基である場合の炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上であり、好ましくは19以下、より好ましくは17以下、さらに好ましくは15以下である。なお、R〜Rの2以上が炭化水素基である場合、2以上の炭化水素基が連結して環状構造を形成していてもよいが、例えばRとRが連結してシクロヘプタン構造、シクロヘプテン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘキセン構造等を形成していることが挙げられる。
〜Rが炭化水素基である場合の炭化水素基に含まれる官能基は、クロロ基(−Cl)、フルオロ基(−F)、アミノ基(−NH)、ニトロ基(−NO)、エポキシ基、ヒドロキシル基(−OH)、カルボニル基(−C(=O)−)、tert−ブチルジメチルシリル基(−SiBuMe)、アジ基(−N)等が挙げられる。
また、R〜Rが炭化水素基である場合、直鎖状の飽和炭化水素基に限られず、分岐構造、環状構造、炭素−炭素不飽和結合のそれぞれを有していてもよい(分岐構造、環状構造、及び炭素−炭素不飽和結合からなる群より選択される少なくとも1種を有していてもよい。)。
具体的なR〜Rとしては、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、n−へキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、メチルプロピル基、メチルブチル基、メチルペンチル基、メチルへキシル基、メチルヘプチル基、ジメチルプロピル基、ジメチルブチル基、ジメチルペンチル基、ジメチルへキシル基、ジメチルヘプチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルへキシル基、フェニルヘプチル基等が挙げられる。
はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シロキシ基、ケイ素数1〜50のポリシロキシ基、又は窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表しているが、「窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい」については、R〜Rの場合と同義である。
が炭化水素基である場合の炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上であり、好ましくは19以下、より好ましくは17以下、さらに好ましくは15以下である。
がポリシロキシ基である場合のケイ素数は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上であり、好ましくは48以下、より好ましくは46以下、さらに好ましくは45以下である。
また、Rが炭化水素基である場合、直鎖状の飽和炭化水素基に限られず、分岐構造、環状構造、炭素−炭素不飽和結合のそれぞれを有していてもよい(分岐構造、環状構造、及び炭素−炭素不飽和結合からなる群より選択される少なくとも1種を有していてもよい。)。
具体的なRとしては、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、ポリメチルシロキシ基等が挙げられる。この中でも、水素原子が好ましい。
はそれぞれ独立に水素原子等を表しているが、2つのRが水素原子であることが特に好ましい。水素原子が2つ以上であると、より収率良く有機ケイ素化合物を製造することができる。
(アルケン類・アルキン類)
本発明の有機ケイ素化合物の製造方法は、アルケン類及び/又はアルキン類とヒドロシラン類とを触媒存在下で反応させる方法であるが、アルケン類及び/又はアルキン類の種類は特に限定されず、製造目的である有機ケイ素化合物に基づいて適宜選択されるべきである。
基本的に製造目的である有機ケイ素化合物と共通する構造を有するアルケン類やアルキン類を選択すべきであり、例えば式(I)、(I’)、(II−1)、(II−2)、(II’−1)、又は(II’−2)で表される化合物を製造目的とする場合、アルケン類としては下記式(i)で表される化合物が、アルキン類としては(ii)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015155387

(式(i)及び(ii)中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。但し、R〜Rの2以上が炭化水素基である場合、2以上の炭化水素基が連結して環状構造を形成していてもよい。)
具体的なアルケン類としては、1−オクテン、1−デセン、4−フェニル−1−ブテン、6,6−ジメチル−1−ヘプテン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、1−オクテン、スチレン、シクロヘキセン等が挙げられる。
また、具体的なアルキン類としては、ジフェニルアセチレン、1−フェニル−1−プロピン、4−オクチン、フェニルアセチレン等が挙げられる。
(ヒドロシラン類)
本発明の有機ケイ素化合物の製造方法は、アルケン類及び/又はアルキン類とヒドロシラン類とを触媒存在下で反応させる方法であるが、ヒドロシラン類の種類は特に限定されず、製造目的である有機ケイ素化合物に基づいて適宜選択されるべきである。
基本的に製造目的である有機ケイ素化合物と共通する構造を有するヒドロシラン類を選択すべきであり、例えば式(I)、(I’)、(II−1)、(II−2)、(II’−1)、又は(II’−2)で表される化合物を製造目的とする場合、ヒドロシラン類としては下記式(s)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015155387

(式(s)中、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シロキシ基、ケイ素数1〜50のポリシロキシ基、又は窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
具体的なヒドロシラン類としては、ジエチルシラン、フェニルシラン、ジフェニルシラン、メチルフェニルシラン、ジメチルフェニルシラン、トリエトキシシラン、トリエチルシラン、ジエトキシメチルシラン等が挙げられる。
本発明の有機ケイ素化合物の製造方法におけるアルケン類及び/又はアルキン類とヒドロシラン類の使用量は、目的に応じて適宜することができるが、ヒドロシラン類の使用量は、アルケン類及び/又はアルキン類の使用量に対して、物質量([mol])で、通常0.0001倍以上、好ましくは0.001倍以上、より好ましくは0.03倍以上であり、通常1倍以下、好ましくは0.1倍以下、より好ましくは0.05倍以下である。上記範囲内であると、有機ケイ素化合物をより収率良く製造することができる。
(溶媒)
本発明の有機ケイ素化合物の製造方法は、溶媒を使用しても、使用しなくてもよいが、溶媒を使用しない方が好ましい。また、溶媒を使用する場合、その溶媒の種類は特に限定されず、目的に応じて適宜することができるが、具体的にはヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等のプロトン性極性溶媒、アセトン、ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
(反応条件)
本発明の有機ケイ素化合物の製造方法は、アルケン類及び/又はアルキン類とヒドロシラン類とを触媒存在下で反応させる方法であるが、反応温度、反応時間等の反応条件は特に限定されない。
反応温度は、通常25℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは110℃以上であり、通常200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下である。上記範囲内であれば、有機ケイ素化合物をより収率良く製造することができる。
反応時間は、通常1時間以上、好ましくは2時間以上、より好ましくは10時間以上であり、通常60時間以下、好ましくは48時間以下、より好ましくは24時間以下である。
反応は、通常窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下で行う。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<配位子の合成>
(合成例1:N,N’−Dicyclohexylethanediimineの合成)
Figure 2015155387

空気下、室温でシクロヘキシルアミン23.0g(231.6mmol)とn−プロパノール160mLの混合溶液に40%グリオキサール水溶液15.4g(103.4mmol)と水48mL、n−プロパノール16mLを加え、1.5時間70℃で撹拌した。室温まで冷却後、ろ過し、ろ物を水10mLで3回、冷却したメタノール20mLで1回、順次掛け洗い洗浄を行った。残った固体を減圧下で乾燥することにより、白色粉末19.6g(収率86%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, d/ppm) : 1.12-1.78 (m, 20H), 3.07-3.15 (m, 2H), 7.89 (s,
2H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3, d/ppm) : 24.61, 25.53, 33.98, 69.50, 160.13.
Anal. Calc. for C14H24N2 : C, 76.31; H, 10.98; N, 12.71. Found: C, 76.36; H, 10.96; N, 12.77. MS(FAB) for C14H24N2 : m/z 221.3 (M+)
(合成例2:N,N’−Di(1−adamantyl)ethanediimineの合成)
Figure 2015155387

空気下、室温でアダマンチルアミン5.0g(33.08mmol)をエタノール72mLに溶解し撹拌を開始した。この溶液に40%グリオキサール水溶液2.4g(16.54mmol)を滴下した。約30分後に生成物の晶析が認められた。22時間後反応溶液をろ過し、固体を冷エタノール6mLで2回、ろ物を掛け洗い洗浄した。得られた白色粉末を減圧下で乾燥させた(収量3.36g;1晶目63%)。ろ液を液量が半分になるま
で濃縮し溶存している生成物を晶析させた。これをろ過し、冷エタノール5mLで2回、ろ物を掛け洗い洗浄を行った。得られた白色粉末を減圧下で乾燥させた(収量0.75g;2晶目)。1晶と2晶を合わせて白色粉末4.1g(収率77%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, d/ppm) : 1.63-1.73 (m, 24H), 2.18 (s, 6H), 7.91 (s, 2H).

13C NMR (100 MHz, CDCl3, d/ppm) : 29.48, 36.50, 42.87, 58.64, 157.96. Anal. Calc. for C22H32N2 : C, 81.43; H, 9.94; N, 8.63. Found: C, 81.18; H, 9.91; N, 8.64. MS(FAB) for C22H32N2 : m/z 325.3 (M+)
(合成例3:1,2−Bis[(2,6−diisopropylphenyl)imino]acenaphtheneの合成)
Figure 2015155387

空気下、室温でアセナフトキノン1.54g(182.2mmol)をアセトニトリル62mLに溶解し、攪拌を開始した。この溶液を1時間還流させ、酢酸14.5mL(253.6mmol)を添加した。反応溶液が均一になったことを確認後、2,6−ジイソプロピルアニリンを30分以上かけて滴下した。生成した固体をろ別し、ヘキサン30mLで2回掛け洗い洗浄した後、減圧下で乾燥することにより、黄色粉末11.3g(収率69%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, d/ppm) : 0.97 (d, J = 6.8, 12H), 1.24 (d, J = 7.2 ,12H),
2.96-3.07 (m, 4H), 6.63 (d, J = 7.2, 2H), 7.27 (s, 6H), 7.36 (t, J = 8.0, 2H), 7.88 (d, J = 8.0, 2H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3, d/ppm) : 23.27, 23.57, 28.74, 123.59, 123.59, 124.41, 128.01, 129.00, 129.61, 131.23, 135.55, 140.92, 147.61, 161.10.
Anal. Calc. for C36H40N2: C, 86.35; H, 8.05; N, 5.59. Found: C, 86.22; H, 8.14; N, 5.62. MS(FAB) for C36H40N2 : m/z 501.3 (M+)
(合成例4:N,N’−Di(cyclohexyl)butane−2,3−diimineの合成)
Figure 2015155387

空気下、室温でシクロへキシルアミン4.9g(49.8mmol)とメタノール34mLの混合溶液に2,3−ブタジオン1.70g(19.8mmol)とメタノール17mLを注加し、室温で18時間攪拌した。反応溶液をろ過、濃縮した後に得られた茶褐色のオイルをKugelrohr蒸留により精製した(40Pa,140℃)。これにより茶褐色粉
末1.41 g (収率 29%) を得た。
Anal. Calc. for C16H28N2: C, 77.36; H, 11.36; N, 11.28. Found: C, 77.30; H, 11.40; N, 11.31.
(合成例5:N,N’−Diphenylbutane−2,3−diimineの合成)
Figure 2015155387

空気下、室温でジアセチル6.02g(69.7mmol)とメタノール55mLの混合溶液にアニリン22.65g(243.9mmol)とメタノール45mLを加えて攪拌を開始した。この溶液にジアセチルに対して触媒量(10mol%)のぎ酸0.6gを添加し、室温で5時間攪拌した。生成した固体をろ別し、メタノール20mLでろ物の掛け洗い洗浄を行い、黄色粉末11.3g(収率69%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, d/ppm) : 2.18 (s, 6H), 6.82 (d, J = 8.2, 4H), 7.14 (t, J
= 7.4, 2H), 7.39 (t, J = 8.2, 4H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3, d/ppm) : 15.51, 118.84, 123.92, 129.15, 151.03, 168.35.
Anal. Calc. for C16H16N2: C, 81.32; H, 6.82; N, 11.85. Found: C, 81.35; H, 6.93;
N, 11.82. MS(FAB) for C16H16N2 : m/z 237.2 (M+)
(合成例6:N,N’−Di(tert−butyl)ethanediimineの合成)
Figure 2015155387

空気下、室温でtert−ブチルアミン20.76g(284.0mmol)とヘキサン51mLの混合溶液を氷浴につけて冷却し、40%グリオキサール水溶液20.30g(139.9mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。分液後、ヘキサン層を硫酸マグネシウム2.00gにて乾燥させた。ろ過後、減圧下で乾燥し、白色粉末19.8g(収率84%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, d/ppm) : 1.15 (s, 18H), 7.83 (s, 2H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3, d/ppm) : 29.37, 58.16, 157.82.
Anal. Calc. for C10H20N2 : C, 71.37; H, 11.98; N, 16.65. Found: C, 71.09; H, 12.14; N, 16.45.
(合成例7:N,N’−Bis(1,1,3,3−tetramethylbutyl)ethanediimineの合成)
Figure 2015155387

空気下、室温で1,1,3,3−テトラメチルブチルアミン19.50g(150.9
mmol)と水100mLの混合溶液に40%グリオキサール水溶液20.30g(139.9mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。ろ過後、ろ物を水10mLで2回、掛け洗い洗浄した後、減圧下で乾燥することにより、白色粉末19.65g(収率95%)で得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, d/ppm) : 0.89 (s, 18H), 1.26 (s, 12H), 1.67 (s, 4H), 7.91 (s, 2H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3, d/ppm) : 29.50, 31.78, 32.22, 62.09, 157.73.
Anal. Calc. for C18H36N2: C, 77.08; H, 12.94; N, 9.98. Found: C, 77.17; H, 13.19; N, 9.97. MS(FAB) for C18H36N2 : m/z 280.3 (M+)
(合成例8:N,N’−Di(1−adamantyl)butane−2,3−diimineの合成)
Figure 2015155387

空気下、室温でアダマンチルアミン3.51g(11.62mmol)とメタノール40mLの混合溶液に2,3−ブタジオン1.0g(23.23mmol)を注加し、室温で18時間攪拌した。反応溶液をろ過、濃縮した後に得られた茶褐色のオイルをKugelrohr蒸留により精製した(40Pa,140℃)。これにより黄白色粉末1.8g (収率45%) を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, d/ppm) : 1.63-1.73 (m, 24H), 2.18 (s, 6H), 2.48 (s, 6H).13C NMR (100 MHz, CDCl3, d/ppm) : 15.32, 29.41, 35.47, 42.81, 59.48, 154.91.
<鉄錯体の合成>
(合成例9:N,N’−Di(1−adamantyl)ethanediimine FeClの合成)
Figure 2015155387

窒素雰囲気下、合成例2で合成した配位子1.00g(3.08mmol)をCHCl50mL(50倍volume)に溶解させ、塩化鉄(II)0.39g(3.08mmol)を加えた。塩化鉄は反応の進行と共に溶解し、同時に青〜紫色の不溶物として目的物が析出した。24時間撹拌後、反応溶液を窒素気流下ろ過した。ろ物をヘキサン10mL(10倍volume)に加えて20分懸濁させた後、ろ過した。ろ液をGCにて分析し、配位子のピークが消失するまで洗浄を繰り返し、未反応配位子を除去した後、室温にて減圧乾燥させて鉄錯体を得た(収率86%)。
なお、錯体は常磁性のため、NMRでの構造決定が困難である。そのためFAB−Massによるフラグメントピーク(−Cl)の確認、若しくは元素分析による推定構造を示した。
Anal. Calc. for C22H32Cl2FeN2 : C, 58.46; H, 7.15; N, 6.21. Found: C, 58.45; H, 7.18; N, 6.22.
(合成例10:N,N’−Dicyclohexylethanediimine FeClの合成)
Figure 2015155387

配位子を合成例1で合成した配位子に置き換えた以外は、合成例9と同様の方法により鉄錯体を得た。
MS(FAB) for C14H24Cl2FeN2: m/z 346.1 (M+), m/z 311.2 (M+-Cl).
(実施例1:N,N’−Di(cyclohexyl)butane−2,3−diimine FeClの合成)
Figure 2015155387

配位子を合成例4で合成した配位子に置き換えた以外は、合成例9と同様の方法により鉄錯体を得た。
MS(FAB) for C16H28Cl2FeN2: m/z 374.1 (M+), m/z 339.1 (M+-Cl).
(実施例2:N,N’−Diphenylbutane−2,3−diimine FeClの合成)
Figure 2015155387

配位子を合成例5で合成した配位子に置き換えた以外は、合成例9と同様の方法により鉄錯体を得た。
MS(FAB) for C16H16Cl2FeN2: m/z 362.0 (M+), m/z 327.1 (M+-Cl).
(合成例11:N,N’−Di(tert−butyl)ethanediimine
FeClの合成)
Figure 2015155387

配位子を合成例6で合成した配位子に置き換えた以外は、合成例9と同様の方法により鉄錯体を得た。
MS(FAB) for C10H20Cl2FeN2: m/z 294.0 (M+), m/z 259.1 (M+-Cl).
(合成例12:N,N’Bis(1,1,3,3−tetramethylbutyl)ethanediimine FeClの合成)
Figure 2015155387

配位子を合成例7で合成した配位子に置き換えた以外は、合成例9と同様の方法により鉄錯体を得た。
MS(FAB) for C18H36Cl2FeN2: m/z 406.1 (M+), m/z 371.1 (M+-Cl).
(実施例3:1,2−Bis[(2,6−diisopropylphenyl)imino]acenaphthene FeClの合成)
Figure 2015155387

配位子を合成例3で合成した配位子に置き換えた以外は、合成例9と同様の方法により鉄錯体を得た。
MS(FAB) for C36H40Cl2FeN2: m/z 626.3 (M+), m/z 591.3 (M+-Cl), Anal. Calc. for C36H40Cl2FeN2 : C, 68.91; H, 6.43; N, 4.46. Found: C, 68.87; H, 6.51; N, 4.48.
<有機ケイ素化合物の製造>
(実施例4〜16)
合成例9〜12、及び実施例1〜3で合成した鉄錯体をそれぞれ使用して、アルケン類のヒドロシリル化反応を実施した。なお、具体的な実験操作及び条件については、下記の通りである。
鉄錯体を空気中で所定量(実施例4:合成例9で合成した鉄錯体、5mg,0.011mmol)精密に測り取り、窒素気流下のシュレンクに移した。1−オクテン(8.52mL,54.26mmol)、PhSiH(1.00mL,5.43mmol)を順次加え、室温で撹拌を開始した。続いてNaBHEt(22μL,0.022mmol)を加えた後、100℃に昇温してシュレンクを密閉した状態で撹拌を維持した。所定の時間が経過した後、同温度にて窒素気流下、GCで反応溶液を分析した。反応終了確認後、反応溶液を室温に戻した。セライトろ過、アセトニトリルで洗浄した後、減圧下濃縮し、残渣を蒸留することでヒドロシリル化反応生成物を単離した。結果を表1に示す。
Figure 2015155387
Figure 2015155387
(実施例17〜24)
PhSiHをMeSiHに置き換えた以外、実施例4〜16と同様の方法により、アルケン類のヒドロシリル化反応を実施した。結果を表2に示す。
Figure 2015155387
Figure 2015155387
(実施例25、26)
下記表3に記載の条件を変更した以外、実施例7と同様の方法により、アルケン類のヒドロシリル化反応を実施した。結果を表3に示す。
Figure 2015155387
Figure 2015155387
(実施例27〜32)
合成例10で合成した鉄錯体(5mg,0.011mmol)精密に測り取り、窒素気流下のシュレンクに移した。所定量の1−オクテンとMePhSiHを順次加え、室温で撹拌を開始した。続いてNaBHEt(2.7mg,0.022mmol)を加えた
後、100℃に昇温してシュレンクを密閉した状態で撹拌を維持した。所定の時間が経過した後、同温度にて窒素気流下、GCで反応溶液を分析した。反応終了確認後、反応溶液を室温に戻した。セライトろ過、アセトニトリルで洗浄した後、減圧下濃縮し、残渣を蒸留することでヒドロシリル化反応生成物を単離した。結果を表4に、1−オクテン/MePhSiHと転化率の関係を示したグラフを図1に示す。
Figure 2015155387
Figure 2015155387
(実施例33〜35)
合成例9で合成した鉄錯体(5mg,0.011mmol)精密に測り取り、窒素気流
下のシュレンクに移した。1−オクテン(173.93mL,1.11mol)、PhSiH(20.42mL,0.11mol)を順次加え、室温で撹拌を開始した。続いてNaBHEt(2.7mg,0.022mmol)を加えた後、100℃に昇温して
シュレンクを密閉した状態で撹拌を維持した。所定の時間が経過した後、同温度にて窒素気流下、GCで反応溶液を分析した。結果を表5に、反応時間と転化率の関係を示したグラフを図2に示す。
Figure 2015155387
Figure 2015155387
実施例35の結果より、反応開始から15日経過後の転化率が42%であることが明らかであるが、15日以降も鉄触媒が失活していないことを確認した。即ち、鉄錯体はヒドロシリル化反応においてターンオーバー数(turnover number)が4200を超える優れた活性を有することが明らかである。
本発明によって得られた有機ケイ素化合物は、様々な材料の原料として使用することができる。

Claims (3)

  1. アルケン類及び/又はアルキン類とヒドロシラン類とを触媒存在下で反応させる有機ケイ素化合物の製造方法であって、
    前記触媒として、下記式(A)で表される鉄錯体化合物とヒドリド還元剤を使用することを特徴とする、有機ケイ素化合物の製造方法。
    Figure 2015155387

    (式(A)中、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を、R’は水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を、Xはハロゲン原子を表す。但し、2つのR’が共に炭化水素基である場合、炭化水素基同士が連結して環状構造を形成していてもよい。)
  2. 下記式(I)、(I’)、(II−1)、(II−2)、(II’−1)、又は(II’−2)で表される化合物を製造する方法である、請求項1に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
    Figure 2015155387

    (式(I)、(I’)、(II−1)、(II−2)、(II’−1)、及び(II’−2)中、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又は窒素原子、酸素原
    子、ケイ素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シロキシ基、ケイ素数1〜50のポリシロキシ基、又は窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。但し、R〜Rの2以上が炭化水素基である場合、2以上の炭化水素基が連結して環状構造を形成していてもよい。)
  3. 下記式(A’)で表される鉄錯体化合物。
    Figure 2015155387

    (式(A’)中、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を、R”は炭素数1〜20の炭化水素基を、Xはハロゲン原子を表す。但し、2つのR”の炭化水素基同士が連結して環状構造を形成していてもよい。)
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