JP2015141740A - 透明導電膜およびその製造方法 - Google Patents

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【課題】導電性と透明性に優れた透明導電膜を提供する。【解決手段】導電性ポリマーと金属粒子からなる透明導電膜あって、前記導電性ポリマーの仕事関数値と前記金属粒子の仕事関数値の差が0.3eV以下であり、前記導電性ポリマーの膜中における粒子径が1nm〜1μmの前記金属粒子を静電噴霧(ESD)により分散させていることを特徴とする。その製造法は、導電性ポリマーを基板上に塗布した後、粒子径が1nm〜1μmの金属粒子を静電噴霧(ESD)により分散させることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、導電性・透光性を兼ね備えた透明導電膜およびその製造方法に関する。
タッチパネルやディスプレイの普及に伴い、透明導電材料のニーズが高まっている。最も主流な透明導電材料として、その透明性と導電性の高さからITO(酸化チタンインジウム)が利用されているが、ITOは金属酸化物ゆえに脆く屈曲性に乏しい他、製造プロセスが高コスト、原材料の供給が不安定などの課題を抱えている。
このITOを代替する材料としてはPEDT(ポリエチレンジオキシチオフェン)などの導電性ポリマーや金属ナノワイヤなどが挙げられるが、導電性ポリマーは導電性でITOに劣り、金属ナノワイヤは導電性と透明性を両立するが熱に弱く、あるいはリソグラフィなどの複雑な工程を要するなど、課題が多い。
これら課題を解決するために、導電性ポリマーとCNT(非特許文献1)、金属とのコンポジット(非特許文献2)などが提案されているが、これらはフィラー由来の呈色が課題であり、十分な透明性の確保に至ってはいない。他、特許文献1では液相から作製する導電性ポリマーと金属のコンポジットを試みているが、導電性を得るために相当量の金属を必要としており、ITOに比べて十分な導電性・透光性を両立するには至っていない。
特開2010−61856号公報
R.H.Schmidt,et al,Langmuir,23,5707−5712(2007) H.Watanabe,et al.Electrochem.Solid−State Lett.,6,D1−D3(2003)
透明性が高く、ITO以上の導電性をもった透明導電膜として、本発明者は特願2013−012746を出願した。先願の発明において、ある種の金属粒子は水分の影響を受け導電性能が低下することがわかった。
上記課題を解決するため、鋭意研究開発した結果、前記導電性ポリマーの仕事関数値と前記金属粒子の仕事関数値の差が0.3eV以下の金属粒子をESD(静電噴霧工法)により複合化させることにより導電性・透光性を兼ね備え、水分の影響を受けるような環境下であっても性能が劣化することのない透明導電膜を発明することができた。
すなわち、本発明は以下の技術的特徴を有する構成の透明導電膜およびその製造方法である。
〔1〕 導電性ポリマーと金属粒子からなる透明導電膜あって、前記導電性ポリマーの仕事関数値と前記金属粒子の仕事関数値の差が0.3eV以下であり、前記導電性ポリマーの膜中における粒子径が1nm〜1μmの前記金属粒子を静電噴霧(ESD)により分散させていることを特徴とする透明導電膜。
〔2〕 前記導電性ポリマーの膜厚が、100μm以下であることを特徴とする前記〔1〕に記載の透明導電膜。
〔3〕 前記導電性ポリマーと前記金属粒子の重量比が金属粒子/導電性ポリマー=0.0001〜0.011であることを特徴とする前記〔1〕又は前記〔2〕に記載の透明導電膜。
〔4〕 前記〔1〕に記載の透明導電膜の製造方法であって、導電性ポリマーを基板上に塗布した後、前記導電性ポリマーの仕事関数値との差が0.3eV以下であり、粒子径が1nm〜1μmの金属粒子を静電噴霧(ESD)により分散させることを特徴とする透明導電膜の製造方法。
本発明では、2種以上の材料を液中での分散を介さずにコンポジット化させることが可能である。また、ESDを用いることにより1次粒子径がナノメートルオーダーの金属粒子の凝集を極力抑えて噴霧させることが可能であるため、粒径が極めて細かい金属粒子を導電性ポリマーに複合化できる。従って、導電性ポリマーと金属粒子との接触面積を増大させ、界面抵抗を小さくするとともに複合膜全体の電気抵抗値を下げることが可能になり、金属粒子径が原因で透光性を阻害することもなく、また金属粒子の使用量も少量で済むためコスト面でも有利である。
本発明によれば、透明性を損なわない範囲で微小径の金属粒子をESDにより均質に分散させた導電性ポリマーと金属粒子の均質な複合体を得ることにより、ITO以上の導電性と高い透光性を兼ね備えているのに加えて、前記導電性ポリマーの仕事関数値と前記金属粒子の仕事関数値の差が0.3eV以下の金属粒子をESD(静電噴霧工法)により複合化させることにより導電性・透光性を兼ね備え、水分の影響を受けるような環境下であっても性能が劣化することのない透明導電膜を得ることができる。
本発明の実施例1で得られた透明導電膜の破断面SEM像を示す 本発明の比較例1で得られた透明導電膜の破断面光学顕微鏡像を示す
本発明の透明導電膜は、導電性ポリマーと金属粒子からなる透明導電膜あって、前記導電性ポリマーの仕事関数値と前記金属粒子の仕事関数値の差が0.3eV以下であり、前記導電性ポリマーの膜中における粒子径が1nm〜1μmの前記金属粒子を静電噴霧(ESD)により分散させている透明導電膜である。導電性ポリマーの膜中における金属粒子の粒子径は、できるだけ小さい方がよく、好ましくは1nm〜500nmである。
前記導電性ポリマーの膜厚は、100μm以下であることが好ましい。膜厚が、100μm以上になると用いる材料によっては透明性が悪くなり、また、透明導電材料として用いる場合にも膜厚が厚くなると不適当な場合がある。膜厚の下限は、製膜する方法によって制限をうける。
本発明の金属粒子は、膜中に分散させる金属粒子の粒子径以下の粒子を用いる。金属粒子の粒子径は、入手できれば細かい方が良いが、現状では1次粒子径が1nm〜1μm、好ましくは1nm〜100nm、より好ましくは1nm〜50nmの金属粒子及び/又は導電性炭素材粒子が用いられる。ESDを用いることで塗布中ないし後の1次粒子同士の凝集を極力回避し、導電性ポリマー膜中における粒径を1nm〜1μm程度に保つことが可能になる。
また本発明に用いる金属粒子は、金属と導電性ポリマーの、各々の仕事関数値の差が0.3eV以下であることが望ましく、前記金属粒子としては、金、パラジウム及びニッケル等を挙げることができる。これは、電気陽性物質である導電性ポリマーと電気陰性物質である上記金属粒子が局部腐食電池を形成することを抑制するためである。仕事関数の異なる物質間では、各々の物質を正負の電極、空気中の水分を電解液としてガルバニ腐食電池を形成する。この腐食電池内では、正負の電極間の仕事関数差を起電力として、仕事関数の小さい金属粒子から、仕事関数の大きい導電性ポリマーへと電子の移動が生じる。つまり、金属粒子は電子を失って非導電体である酸化物となる反応を起こす。一方で導電性ポリマーは電子を受け取って還元反応と脱ドープ反応を起こし、同じく非導電体へと変化する。その結果、膜全体の導電性が著しく劣化する。これらの反応は正負の電極間の仕事関数差が大きいほど進みやすく、小さいほど律速となる。従って、金属粒子と導電性ポリマーの、各々の仕事関数値の差は小さいほど望ましく、0.3eV以下、より好ましくは0.1eV以下であることが望ましい。例えば、導電性ポリマーにPEDT/PSS(仕事関数値:5.1eV)に対しては銀(4.3eV)よりも金(5.0eV)やニッケル(5.1eV)の方が、膜導電性の耐久の視点ではより優位である。
次に、本発明においては、前記導電性ポリマーと前記金属粒子の重量比が金属粒子/導電性ポリマー=0.0001〜0.011になるように、金属粒子を静電噴霧(ESD)により分散させることが好ましい。金属粒子が多くなると透明導電膜の導電性は向上するが、透明性が悪くなる。また、金属粒子が少な過ぎると導電性の向上が期待できない。
続いて、本発明の透明導電膜の製造方法について説明する。
本発明の透明導電膜は、導電性ポリマーを基板上に塗布した後、1次粒子径が1nm〜1μm、好ましくは1nm〜100nm、より好ましくは1nm〜50nmの金属粒子及び/又は導電性炭素材粒子からなる金属粒子を静電噴霧(ESD)により分散させることにより、導電性ポリマー表面ないし膜中における粒子径が1nm〜1μmの前記金属粒子が分散した透明導電膜を製造することができる。
前記導電性ポリマーの膜は、基板上に導電性ポリマーの溶液を塗布することによって製膜することができる。
その製膜方法は、基板としてガラス、アルミナなどの無機物、あるいはPETやTAC等の樹脂フィルムを用いて、スピンコート法、グラビア印刷、スプレーデポジション等の通常の用いられている方法により塗布することができる。
使用する導電性ポリマーは主にポリエチレンジオキシチオフェン水分散液(PEDT分散液)およびチオフェンにある種の官能基を導入したポリマーの分散液、あるいはポリピロール(PPy)類、ポリアニリン(PAn)類などの溶液でもよい。PEDT分散液は、重合度:1〜10程度のポリエチレンジオキシチオフェン(ポリ−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ダイオキシン、PEDT)が水中にコロイド分散している液体であり、PEDT分散液の場合は、PEDTをコロイド分散させるために分散剤が用いられる。分散剤の種類は多岐に渡るが、スルホン酸基やカルボン酸基を分子内に1個以上含む1価ないし多価の酸であることが多い。その中でも最も汎用的な分散剤は、多価の酸であるポリスチレンスルホン酸(PSS)であり、多くがPEDT/PSS分散液の形態で流通している。PEDT/PSS分散液中のPEDTの固形分濃度は、通常0.05〜10重量%、かつPEDTに対するPSSの含有量は、通常PEDTのモノマー単位1モルに対して0.1〜10モルであり、PSSの重合度は、通常、モノマー単位で10〜100000個の範囲内であることが多いが、これらに限定されない。一方でポリピロール(PPy)類やポリアニリン(PAn)類は溶媒に可溶であるため、溶液として扱うことが可能である。その際の溶媒は水やアルコール類、あるいはその他極性の溶媒、それらの混合溶媒などが用いられることが多い。
前記導電性ポリマーを基板上に前記塗布した後、乾燥、加熱等を行っても良い。
その後、導電性ポリマー膜をターゲットとして、粒子径が1nm〜1μmの金属粒子を静電噴霧(ESD)により分散させることにより、本発明の透明導電膜を得ることができる。
以下、導電性ポリマー膜をターゲットとして、金属粒子を静電噴霧(ESD)により分散させて、本発明の透明導電膜を製造する方法について説明するが、本発明は下記の形態に限定されるものではない。
上記のような導電性ポリマーと金属粒子をESDにより複合化させるにあたり、装置は内作のものを用いた。負極を印加するターゲットには□50mmのSUS板上に上記の方法で作製した導電性ポリマーフィルムおよび基板、対向するように正極を印加するノズル、そして両極に印加する直流電圧を発生させる電源とで構成された装置を用いた。負極ターゲットの面積は□1〜15cm、基板の厚みは1〜1mmだが、この条件に限定されない。また正極ノズルの内径は50μm〜1mmのものを用いたが、この径に限定されない。直流電源は市販されている高圧電源を用いた。
上記導電性ポリマーと複合させる金属粒子は、金属粒子を溶媒中に分散させた分散液を使用する。通常、分散液に含まれる金属粒子の固形分濃度は1〜50wt%程度であるが、この固形分濃度に限定されない。通常、金属粒子が分散する溶媒の種類は、水、アルコール類、アルカン類など極性/非極性の様々な種類があるが、本発明においてこの種類は限定されない。後述する実施例においては、金属粒子として主に金ナノ粒子を溶媒中に分散させたインク状のものを使用した。通常、金ナノインクに含まれる金粒子の粒径は1〜500nm程度である。
金属粒子のESD条件は、電圧:DC1〜100kV、吐出速度:0.1μl〜1ml/min、ターゲット/ノズル端間隔:1mm〜100cmの間で制御されることが多いが、金属粒子分散液を微細な液滴粒子として飛散させるためには電圧:3kV以上、吐出速度:0.1ml/min以下、ターゲット/ノズル端間隔:10mm以上とすることが望ましい。電圧:3kV未満ではノズル内の各分散液の液滴を静電反発させていわゆる「テーラーコーン形状」を得るのに不十分であることが多い。また吐出速度:0.1ml/min以上では液滴が静電引力で引っ張られる速度を物理的に押し出す速度が上回ってノズル端部に液滴を形成しノズル詰まりを誘発させる原因となる。さらにターゲット/ノズル端間隔:10mm未満では帯電せずに物理的に吐出された粗大粒径の液滴がターゲットに付着し不均質な構造体を得る可能性がある。
上記方法で得られた構造体を、より高い全光線透過率・導電率にするために、ESD後に熱処理を加えても良い。その条件は限定されるものではないが、温度:80〜200℃、処理時間:10〜180min、雰囲気:NもしくはArフロー下で行われることが多い。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。なお、下記の実施例は本発明を限定するものではない。
本発明における透明導電膜の主成分となる導電性ポリマーには、PEDT/PSS分散液を用いた。PEDT/PSSは溶液として扱えない欠点があるものの、他の導電性ポリマーに比べ、成膜後の電気特性や透光性に加え、それらの耐久性において特に優れているためである。今回用いたPEDT/PSS分散液は、1次粒子径が10〜50nm程度のPEDT/PSSが0〜5重量部に対し、水80〜90重量部、エタン−1,2−ジオール0〜10重量部が混合されたものを用いた。
〔実施例1〕
(導電性ポリマーおよび金属粒子分散液の調製)
導電性ポリマーは、Heraeus社製PEDT分散液Clevios F RD−H(HCV4)を用いた。これは重合度:10〜100000程度のポリスチレンスルホン酸と重合度:1〜10程度のポリエチレンジオキシチオフェン(ポリ−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ダイオキシン、PEDT)がイオン結合したポリマーが0〜5重量部に対し、水80〜90重量部、エタン−1,2−ジオール0〜10重量部が混合された分散液であり、固形分の1次粒子径は10〜50nm程度である。このPEDT分散液80重量部に対し、メタノール20重量部を加え、室温下・撹拌子にて1h撹拌し、その後、超音波処理(43kHz/2h)を行った。
実施例の導電性ポリマーにPEDT/PSS分散液を用いたのは、PEDT/PSSは溶液として扱えない欠点があるものの、他の導電性ポリマーに比べ、成膜後の電気特性や透光性に加え、それらの耐久性において特に優れているためである。
(導電性ポリマーフィルムの作製)
上記のように調製した導電性ポリマーを、□100mm/厚み1mmのガラス板上にスピンコータにて3000rpm/15secの条件で塗膜に加工し、130℃/20min乾燥させてフィルムを得た。
(金属粒子のESDおよび複合体フィルムの熱処理工程)
金属粒子分散液は、協立化学産業社製金ナノインクNPG−J(1次粒子径:7nm、固形分濃度:50〜55%) を90重量部に対し、シクロペンタノン10重量部を加えたのち、トルエンを用いて1000倍に希釈して室温下・撹拌子にて1h撹拌し、その後、超音波処理(43kHz/2h)を行ったものを用いた。調製した金粒子分散液を10ml、内径10mmのシリンジに充填し、シリンジポンプにて、吐出速度:1μl/minに制御しつつ、テフロン(登録商標)チューブを介しながら、内径70μmのノズルへ送液させた。ターゲットには□50mmのSUS板上に上記で作製した導電性ポリマーフィルムおよびガラス板を貼り付けた。ターゲット/ノズル端部の距離は10cmとし、ターゲット/ノズル間に印加する電圧は20kVとした。電圧印加後5minで電圧印加を終了し、得られた複合体をガラス板ごとArフロー下、120℃/30min熱処理した。重量測定によると、金粒子AuのPEDT/PSSに対する重量比は1.04wt%であった。触針式の膜厚測定によると、複合体の膜厚は77nmであった。
(複合体の構造観察)
ガラス板上に得た複合体の構造を確認するため、破断面をSEMにて観察した。その結果、主マトリックス(PEDT/PSS)中にφ:50〜500nmの金粒子が均質に分散している様子が観察された。
(複合体の表面抵抗値の測定)
ガラス板上に得た複合体を、三菱化学製ロレスタを用い4探針法にて中央付近を1点測定し、表面抵抗値[Ohm/□]を得た。
表面抵抗値はESD処理前が745Ohm/□、処理後が455Ohm/□であった。そして、常温常湿度環境に放置したときの表面抵抗値の変化率を調べたところ、720時間後でも表面抵抗値は482Ohm/□であった。720時間後までの抵抗上昇率は6%であった。このように本例では初期の表面抵抗値をほぼ維持しており、PEDT/PSS(仕事関数値:5.1eV)に複合化させる金属種を銀(4.3eV)から金(5.0eV)に変更したことで酸化還元による劣化を抑制できることを確認できた。
〔比較例1〕
金属粒子分散液に紀州技研工業社製銀ナノインクAGK101(1次粒子径:10〜20nm、固形分濃度:30〜40%) を90重量部に対し、シクロペンタノン10重量部を加えたのち、トルエンを用いて1000倍に希釈して室温下・撹拌子にて1h撹拌し、その後、超音波処理(43kHz/2h)を行ったものを用いた以外は、実施例1に従った。重量測定によると、AgのPEDT/PSSに対する重量比は0.58wt%であった。触針式による膜厚測定によると、複合体の膜厚は65nmであった。その結果、実施例1と同様の方法で測定した表面抵抗値は、ESD処理前が1327Ohm/□、処理後が250Ohm/□であった。しかし、常温常湿度環境に放置したときの表面抵抗値の変化率を調べたところ、720時間後(1ヶ月後)までに885Ω/□まで表面抵抗値が増大していた。720時間後までの抵抗上昇率は253%であった。
〔比較例2〕
ESDにおける電圧印加後、実施例1よりも3倍長い15minで電圧印加を終了した以外は前記実施例1に従った。重量測定によると、AgのPEDT/PSSに対する重量比は0.91wt%であった。触針式による膜厚測定によると、複合体の膜厚は75nmであった。また、実施例1と同様の方法で測定した表面抵抗値は、ESD処理前が819Ohm/□、処理後が89Ohm/□であった。しかし、常温常湿度環境に放置したときの表面抵抗値の変化率を調べたところ、720時間後(1ヶ月後)までに332Ω/□まで表面抵抗値が増大していた。720時間後までの抵抗上昇率は273%であった。
以上示した実施例と比較例の結果をまとめて、表1にそのサンプル特性値を示した。表2に、常温常湿度環境(25℃/45%RH)における放置時間に対する表面抵抗値とその変化率を示した。また、図1に実施例1、図2に比較例1の複合体構造を観察したSEM像を示した。
表1に示すように、本発明の一実施態様の透明導電膜は、高い全光線透過率と低い表面抵抗率とを両立することができる上に、金属と導電性ポリマーの複合体において従来の課題であった、水分を含む空気中での導電性劣化を防ぐことが可能になった。表2に示したように、常温常湿度のような水を含む環境においても最長で1ヶ月の放置でも抵抗値が変わらず維持されていることが確認できた。これによって常温常湿度環境でも劣化することなく扱えるようになったため、ドライ雰囲気のような複雑な製造環境を必要とせず、透明導電膜を応用できる範囲を広げることができた。
電気・電子、機械・加工の分野において、主にタッチパネル用途の透明導電材料として応用が期待される。

Claims (4)

  1. 導電性ポリマーと金属粒子からなる透明導電膜あって、前記導電性ポリマーの仕事関数値と前記金属粒子の仕事関数値の差が0.3eV以下であり、前記導電性ポリマーの膜中における粒子径が1nm〜1μmの前記金属粒子を静電噴霧(ESD)により分散させていることを特徴とする透明導電膜。
  2. 前記導電性ポリマーの膜厚が、100μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電膜。
  3. 前記導電性ポリマーと前記金属粒子の重量比が金属粒子/導電性ポリマー=0.0001〜0.011であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透明導電膜。
  4. 請求項1に記載の透明導電膜の製造方法であって、導電性ポリマーを基板上に塗布した後、前記導電性ポリマーの仕事関数値との差が0.3eV以下であり、粒子径が1nm〜1μmの金属粒子を静電噴霧(ESD)により分散させることを特徴とする透明導電膜の製造方法。
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