JP2015140342A - 精製テレフタル酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粗製テレフタル酸製造の湿潤結晶を、乾燥して結晶粉末にすることなく、そのまま水溶液として精製を行うドライヤレスプロセスを経済的に行う。そのため粗製テレフタル酸結晶の水による洗浄と洗浄排出水の含有酢酸の回収を効率よく、省エネルギで行う。【解決方法】粗製テレフタル酸結晶スラリーから結晶を分離、洗浄において、実質的に酢酸の含有しない結晶を回収すると共に水洗浄の排出水を分別して回収する。そして洗浄排出水を、脱水蒸留することなく、抽出剤を用いて酢酸の抽出を行い、水を分離した後、酢酸抽出液を酢酸の脱水蒸留塔へ供給して、酢酸を回収する。そしてその洗浄排出水の酢酸含有量と抽出剤の量(溶媒比)において効率的関係を見出し、酢酸損失とエネルギを低減した容易な水洗浄方法を見出した。【選択図】図1

Description

本発明はパラキシレンを原料として粗製テレフタル酸を製造し、次いで水素化により粗製テレフタル酸を精製する工程の連結からなる精製テレフタル酸の製造方法の改善に関する。
粗製テレフタル酸の精製に先立って行われる粗製テレフタル酸の製造時においては、原料パラキシレンが液相酸化され、酢酸溶媒中に生成された粗製テレフタル酸結晶が高収率で回収される。一方で、粗製テレフタル酸結晶から分離された溶媒酢酸も回収されるが、回収時の酢酸の損失を少なくしつつ循環使用することで、工業製造における経済的(具体的には製造コスト低減)な製造方法が望まれている。
一般的な精製テレフタル酸の製造プロセスにおいては、まず、酢酸溶媒に溶解させたパラキシレンを液相酸化することで、粗製テレフタル酸(CTA)結晶が得られる。得られた粗製テレフタル酸結晶は固液分離及び洗浄された後、乾燥過程を経て実質的に酢酸を含有しない結晶粉末として回収される。そして、回収された粗製テレフタル酸結晶粉末が精製工程に供給されることで、精製テレフタル酸(PTA)が製造されている。
この方法では、粗製テレフタル酸結晶スラリーから固液分離された結晶は、反応溶媒(触媒、反応副生物等を含んだ酢酸溶媒)を含んだ結晶ケーキ(湿潤結晶)の形態で回収される。そのため、結晶ケーキが溶媒酢酸(酢酸脱水蒸留塔により回収された回収酢酸や、補充用の新たな工業酢酸)で洗浄されることで、触媒や反応副生物を実質的に含有しない溶媒酢酸含有の結晶ケーキが回収される。これは、粗製テレフタル酸の酢酸湿潤結晶(酢酸含有量として約8質量%〜13質量%)である。そして、この湿潤結晶を乾燥過程で処理して、その含有酢酸を蒸発及び除去することで、酢酸を実質的に含まない粗製テレフタル酸が結晶粉末として製造される。以下、これらの工程を「粗製テレフタル酸製造工程」ということがある。
粗製テレフタル酸製造工程では、回収された結晶ケーキ(湿潤結晶)に含有される酢酸を蒸発分離させて、乾燥された結晶粉末を製造するための乾燥設備が必要とされる。具体的には、粗製テレフタル酸の湿潤結晶中の酢酸を蒸発分離させるため、加熱された不活性ガスを循環する加熱設備付きの加熱管式回転円筒乾燥機や流動層式塔型乾燥機等が必要とされる。
さらには、乾燥された多量の結晶粉末を移送、計量、貯蔵あるいは運搬に必要な、粉末を取り扱う特有の設備も必要とされる。具体的には、ベルト式やバケット式等の機械的輸送機、あるいは不活性ガスによる結晶粉末の低密度あるいは高密度の気体輸送装置等、さらに粉末製品として計量、貯蔵するための粉末貯留タンク及びコンテナ、粉体用サイロ等の設備が必要とされる。
また、粗製テレフタル酸製造工程では、前記固液分離過程で分離、回収された分離母液(反応溶媒)や、酢酸洗浄排出水及び乾燥過程の循環ガス、反応排ガス等のガス洗浄過程等から回収された溶媒酢酸は、そのまま、パラキシレンを酸化する酸化反応溶媒の一部として再使用される。ただし、再使用されるものの他にも、付設の溶媒酢酸回収工程に供給されて、含有不純物を除いた純度の高い回収酢酸として回収される酢酸溶媒もある。
溶媒酢酸回収工程では、反応溶媒中に含有される酸化触媒や、安息香酸等の芳香族副生物及びタール状となる高分子副生物等の重質反応副生物が濃縮分離される。一方で、水、酢酸メチル等の軽質反応副生物は、脱水蒸留塔において、蒸留操作により分離され、溶媒酢酸が回収される。脱水蒸留塔では、水や酢酸メチル等は塔頂部から留出され、酢酸は缶出液として塔底部から流出される。このように、溶媒酢酸は、高純度高回収率の回収酢酸(約92%以上)として回収されている。そして回収された酢酸は、粗製テレフタル酸製造工程において循環使用されている。
脱水蒸留塔では、塔頂部留出水から酢酸の留出を低減するため、高い段数の蒸留塔(約80段)が用いられ、高い還流比(4〜7)の還流液が必要とされる。そのために高いエネルギが必要とされる。さらに、塔頂部から脱水(反応生成水)留出された水性成分には、酢酸メチル等の軽沸点物質が含有される。そのため、留出された水性成分は改めて溶媒回収塔に供給されて蒸発や蒸留が行われ、酢酸メチル等の軽沸点留分が分離回収される。そして、溶媒回収塔の塔底部からの排出水は、粗製テレフタル酸製造工程の反応生成水として排出、廃水処理される。
しかし、脱水蒸留塔の塔頂部留出水には、少なからず溶媒酢酸が含まれている(約1質量%以下)。そして、この溶媒回収塔の排出液から溶媒酢酸を分離回収することなく廃液となっており、溶媒酢酸の損失につながっている。従って、脱水蒸留塔からの留出水中の酢酸含有量を低減すること及び缶出液として高い純度の溶媒酢酸を回収する溶媒酢酸回収工程は、粗製テレフタル酸の製造と同時に稼働されて、粗製テレフタル酸の製造に不可欠な付帯設備となっている。このように、溶媒酢酸回収工程での脱水蒸留塔の酢酸の損失を極力抑え、酢酸脱水精製(回収酢酸の高純度化)するためのエネルギを低減することは、粗製テレフタル酸の経済的工業生産において、重要な課題となっている。
以上の状況において、近年の精製テレフタル酸の需要の高まりとともに、粗製テレフタル酸の製造設備の大規模化が進んでいる。そのため、前記した粗製テレフタル酸湿潤結晶の乾燥過程以降の粉末を取り扱う処理設備においても、大型化あるいは複数系列化が必要とされている。そこで、粗製テレフタル酸結晶を固液分離及び洗浄して得られた湿潤結晶をそのまま精製用水性溶媒と混合しスラリーとして用いて精製テレフタル酸を製造する、所謂ドライヤレスプロセスの技術改善への要望が一層高くなってきている。
ドライヤレスプロセスは、該湿潤結晶(結晶ケーキ)の乾燥過程及び結晶粉末の移送過程が省略されたものである。ドライヤレスプロセスにより、乾燥及び移送過程の設備が省略されるため、設備コストの削減、粉末を取り扱う運転時のトラブルの低減、そしてその間の運転経費の削減を図ることができる。ドライヤレスプロセスに関する技術として、以下の特許文献に記載の技術が知られている。
特許文献1には、酢酸溶媒中に生成した粗製テレフタル酸結晶のスラリーを、濾材を可動バンドとした濾過機(ベルト式濾過機等)を用いて濾過し、濾材バンド上の濾過ケーキ(第―の湿った沈積物)に対して水性媒体を用いて十分洗浄し、回収した結晶ケーキ(第二の湿った沈積物)を新たな水(純水、イオン交換水等)に懸濁して粗製テレフタル酸結晶スラリーを製造する方法が記載されている。
この技術では、濾過機での濾過分離後の結晶ケーキ(第―の湿った沈積物)中に残留している酢酸留分、触媒成分、残渣成分等を可動バンドの進行方向と逆に、可動バンド上を洗浄排出水で繰り返し洗浄する向流洗浄がなされる。そして、最後に、向流洗浄後の結晶が、最終洗浄域(結晶排出側)で新たな水(純水)により洗浄される。これにより、粗製テレフタル酸は、実質的に水で湿潤された結晶ケーキとして回収される。そして、回収された結晶ケーキには別の水性媒体(水素化精製用水溶媒)が加えられスラリーとしたのち加熱されて水溶液とされて粗製テレフタル酸精製工程に供給可能であるとされている。
また、特許文献2には、酢酸溶媒中の粗製テレフタル酸結晶スラリーを、回転する濾材を有するロータリーフィルタ(回転式円筒濾過機等)を用いて、濾材を回転しながら濾過し、濾材上の結晶ケーキ(湿潤結晶)を得ることが記載されている。得られた結晶ケーキの最終洗浄域で新たな水によって洗浄され、その排出水を用いて、濾材の回転方向と逆向きにさらに繰り返し洗浄する、所謂、向流洗浄法によって最終洗浄域から粗製テレフタル酸湿潤結晶が回収される。そして、回収された結晶は、水性媒体によりスラリー化されて、直接、精製テレフタル酸製造工程に供給可能であるとされている。
この技術では、最終洗浄液の排出水を用いて繰り返し向流洗浄が行われることで、新たに使用する水の量が低減される。そのため、洗浄排出水中に取り込まれる酢酸濃度が繰り返し洗浄することによって増加して高濃度となるため、洗浄排出水を脱水蒸留することなく、そのままパラキシレンの酸化反応に直接使用することができるとされている。
さらに、特許文献3には、酢酸溶媒中の粗製テレフタル酸結晶スラリーを特殊な濾過面からなるフィルタセル方式の濾過機(BHS−WERK社製BHS−FEST加圧フィルタ等)を使用して、精密な濾過及び水洗浄(押込置換洗浄法)と洗浄排出水の繰り返し向流洗浄とを行うことが記載されている。これにより、少量の水で洗浄することができ、粗製テレフタル酸に対する酢酸残存量が5000ppm(0.5質量%)以下の粗製テレフタル酸湿潤結晶が回収可能であるとされている。なお、この粗製テレフタル酸結晶は、後段の精製工程に直接供給可能である。
また、この方法では新たに加えられる洗浄水の量が少なく(洗浄比=0.15〜0.35洗浄水/粗製テレフタル酸結晶(質量比))、洗浄の最終段階から排出される洗浄排出水は高い酢酸濃度となる。そのため、テレフタル酸製造プロセスに送りそのまま再使用するか、また脱水蒸留塔に送り、回収酢酸として回収し製造プロセス内で循環させることが記載されている。さらに、酢酸を含む粗製テレフタル酸結晶を精製用水性溶媒と混合し、結晶スラリーとして精製工程に供給することは、溶媒酢酸の損失に繋がることは勿論であるが、水素化精製触媒の触媒毒として働くとして、粗製テレフタル酸結晶に実質的に含有しない量(5000ppm(0.5質量%)以下)まで除去する必要があるとしている。
また、前記の特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載の技術、即ち水性溶媒による濾過洗浄法(濾過結晶層を濾材の上方から供給し、洗浄水を置換洗浄する方法)では粗製テレフタル酸の結晶から酢酸を完全に除去することは困難として、特許文献4に記載の技術が知られている。特許文献4には、酢酸溶媒中の粗製テレフタル酸結晶を固液分離後、洗浄水性溶媒により撹拌、混合して再懸濁(リスラリー)を行い、再懸濁液を濾過分離・洗浄を行う、懸濁洗浄法と濾過洗浄法との組み合わせが記載されている。
この技術では、酢酸溶媒中の粗製テレフタル酸結晶スラリーに対して、第一のロータリードラムフィルタ(回転式円筒濾過機)を使用し、濾過分離及び濾過洗浄が行われている。そして、洗浄後に回収した結晶ケーキに対して、第二のロータリードラムフィルタからの結晶分離水及び洗浄排出水、さらに新たな水を加えた水性媒体で再懸濁(リスラリー)洗浄を行ったのち、第二のロータリードラムフィルタを用い、再び濾過分離および濾過洗浄を行って十分な水洗浄を行うことが記載されている。ここで回収された結晶ケーキは、酢酸含有量の少ない水湿潤の状態であるとしている。また、この技術では、懸濁洗浄のため新たに加えた水の量が比較的多く(洗浄比=1.0洗浄水/粗製テレフタル酸結晶(質量比))、回収した結晶ケーキの酢酸含有量を低減させることができる(酢酸/粗製テレフタル酸結晶=0.1質量%)。このときの洗浄排出水は溶媒酢酸回収工程の脱水蒸留塔に送られ脱水を行うことで、塔底缶出流から酢酸が回収されるとしている。
特許文献1〜特許文献4に記載のように、ドライヤレスプロセスは精製テレフタル酸の製造プロセスとして効率的であることが記載されている。しかし、結晶ケーキの水洗浄のために新たに加えた水が洗浄排出水として排出され、洗浄排出水には酢酸が含まれることになる。そのため、高い濃度の酢酸の含有の洗浄排出水はそのまま酸化反応に用いるにしても、水洗浄のために新たに加えられた水はいずれ除去されなければならない。即ち、新たに加えられた水は、酸化反応によって生じた反応生成水とともに、溶媒酢酸回収工程に供給されて脱水蒸留塔を経ることで、脱水分離されなければならない。
従って、結晶ケーキの洗浄のため加えられた水が、何れの方法においても脱水蒸留塔の脱水分離する水の量の増加に繋がり、脱水蒸留のためのエネルギの増加となる。これにより、脱水蒸留塔における脱水エネルギの増加が、粗製テレフタル酸の製造工程へのドライヤレスプロセスの工業化適用が進まない一因となっている。
一方、溶媒酢酸回収工程でのプロセスの改善には、酢酸の脱水蒸留塔の蒸留法において、水と共沸組成を形成する共沸剤とを加えて共沸蒸留により脱水することにより、塔頂からの酢酸損失及び脱水エネルギの低減を図る技術が提案されている(特許文献5及び特許文献6)。これらの文献に記載の溶媒酢酸回収工程では、酸化反応から流出され脱水蒸留塔に供給される水含有の酢酸供給流は、30質量%以下(酢酸含有量として70質量%以上)の水含有の酢酸溶液(特許文献5)、又は、20質量%〜40質量%(酢酸含有量として60質量%〜80質量%)の水含有酢酸流(特許文献6)である。従って、特許文献5及び特許文献6では、酢酸含有量の高い水含有酢酸液に対して共沸蒸留法が適用されていることになる。
また、共沸蒸留による脱水蒸留法とともに、使用している共沸剤を用い、水含有酢酸から酢酸を抽出する抽出剤として使用し、水を分離したのち、水含有酢酸流を脱水蒸留塔に供給する脱水エネルギの低減技術も提案されている(特許文献7)。
しかし、前記の特許文献5や特許文献6に記載されるように、粗製テレフタル酸製造工程からの酸化反応溶媒から流出される水含有量の少ない酢酸溶液(即ち高濃度酢酸溶液)を、抽出剤(共沸剤)と混合する特許文献7に記載の抽出分離法では、混合液は均一溶液となり、二相分離することができず、共沸剤(抽出剤)で酢酸を抽出することは出来ない。従って、酸化反応からの高濃度の酢酸溶液に水を分離する抽出分離法を適用し、脱水蒸留法と組み合わせた特許文献7に記載の脱水エネルギ低減技術は記載通りに適用できないと見られる。
特開平05−065246号公報 特開平06−327915号公報 特許第2620820号公報 特許第3859178号公報 特公昭62−041219号公報 国際公開第96/06065号 国際公開第2007/038258号
以上の状況を踏まえ、本発明者らは、粗製テレフタル酸製造工程における分離結晶ケーキ(酢酸湿潤結晶)を水性溶媒及び新たな水による水洗浄することによって排出された酢酸水溶液は、酢酸含有量として約5質量%〜30質量%であることから、脱水蒸留することなく有機溶剤を用いて水を分離する抽出方法を適用することを見出した。そして、本発明者らは、この方法と、前記した粗製テレフタル酸結晶のドライヤレスプロセスとを組み合わせることで、粗製テレフタル酸の製造プロセスの改善が図られることを見出した。このような、粗製テレフタル酸製造工程において固液分離された結晶ケーキの水洗浄を行う洗浄方法と、洗浄排出水から酢酸抽出、水を分離する抽出方法と、を関連付けたプロセスシステムを構築することにより、このプロセスシステムは新しいドライヤレスプロセスとして好適であることを見出した。
ここで、本発明者らは、粗製テレフタル酸製造工程で製造される酢酸ケーキ(酢酸湿潤結晶)に含まれる酢酸は約8質量%〜13質量%(乾燥基準で約8.7質量%〜14.9質量%)であることに注目した。従って、その酢酸湿潤結晶に対して新たな水を加えての水洗浄により、実質的に酢酸を含有しない水湿潤結晶(酢酸含有量として5000ppm(0.5質量%)以下)として回収する方法では、新たに加えられる水の量により異なるものの、洗浄排出水に含有される酢酸は通常約5質量%〜30質量%となる。なお、この「新たに加える水」とは、前記濾過機を用いての向流繰り返し濾過洗浄法、又は、懸濁洗浄と濾過洗浄との組み合わせ洗浄法等において、水洗浄のため使用された、繰り返し用いられる水性溶媒以外の、新しく加えられる水のことであり、脱イオン水などの純水である。
そのため、前記洗浄排出水(酢酸水溶液)から、抽出剤を用いて酢酸を抽出して水を分離することは、抽出剤の特性(三成分の相平衡)を考慮し、二相分離する水分離法として脱水エネルギ低減に効果的な方法となる。そこで、本発明者らは、前記洗浄排出水から水を分離し、酢酸を回収する酢酸抽出法を、前記乾燥、移送工程を省略したプロセス(ドライヤレスプロセス)に組み入れたプロセスシステムを構築することを検討した。
先ず、本発明者らは、粗製テレフタル酸結晶スラリーを固液分離した後に水洗浄を行って、実質的に酢酸を含有しない水湿潤の結晶ケーキ(酢酸5000ppm(0.5質量%)以下)を回収することを検討した。さらに、前記の洗浄排出水を、粗製テレフタル酸結晶からの分離母液や洗浄酢酸等の酢酸溶液(酢酸排出液)に混入させることなく、また洗浄排出水にそれらの酢酸溶液(酢酸排出液)を混入させることなく、酢酸含有の洗浄排出水の全量を分別して回収することを検討した。
また、本発明者らは、回収した洗浄排出水(酢酸濃度として約5質量%〜30質量%の酢酸水溶液)中の酢酸を有機溶剤による抽出法によって酢酸を抽出し、酢酸含有量を極力低減した水溶液を抽残液として水分離する方法を検討した。さらに、本発明者らは、抽残液の酢酸含有量として、酢酸−水系の二成分脱水蒸留法により脱水留出する水溶液と同等の酢酸含有量(0.7質量%以下)を、蒸留分離することなく抽出法により達成することを目標とした(二成分系蒸留分離方法については前記の特許文献5や特許文献7参照)。
酢酸水溶液から有機溶剤を用いて抽出した酢酸抽出液は、粗製テレフタル酸製造工程に付設された溶媒酢酸回収工程に供給され、脱水蒸留塔において抽出剤を分離した後、酢酸が脱水蒸留塔の塔底部から回収されることになる。一方で、水溶液からなる抽残液は、溶媒酢酸回収工程の溶媒回収塔に供給され、含有(溶解)される抽出剤をストリッピング(蒸発)あるいは蒸留によって分離した後、廃水処理されることになる。そのため、抽残液中に含有の酢酸はそのまま損失に繋がることになるので、洗浄排出水含有の酢酸を回収するプロセスとして最適化するためには、抽残液含有の酢酸の低減(0.7質量%以下)が重要である。そこで、ドライヤレスプロセスの工業化を促進するため、実質的に酢酸を含有しない粗製テレフタル酸結晶を回収する分離洗浄過程と、粗製テレフタル酸結晶の水洗浄排出水から酢酸を回収し、水を分離する抽出分離過程を備えた溶媒酢酸回収工程と、の処理方法において、酢酸損失を抑えたエネルギ消費の少ないプロセスを構築することを本発明の課題とした。
酢酸含有の洗浄排出水(酢酸水溶液)から酢酸を抽出する酢酸抽出過程で用いる抽出剤(有機溶剤)は、酢酸水溶液との混合溶液(酢酸−水−抽出剤系)が少なくとも二相に分離(有機相と水相との二相分離)するものでなければならない。それは、三成分の混合溶液が均一となるプレイポイントの酢酸濃度以下となるように酢酸濃度を設定する必要がある(後記する図5記載のプレイポイント(水相と有機相とが交差する点))。即ち、想定される有機溶剤を用いて酢酸を抽出する抽出法では、三成分混合の酢酸含有量は、多くとも約50質量%以下あるいは約40質量%以下の濃度であるとみられる。そのため、酢酸含有量の高い水含有酢酸溶液では、抽出剤を加えても二相の分離相を形成しないか、多量の抽出剤を加える必要がある。
粗製テレフタル酸結晶スラリーを固液分離した後の酢酸湿潤結晶、及び、その結晶に対してさらに溶媒酢酸で洗浄を行った後の酢酸湿潤結晶には、通常約8質量%〜13質量%(乾燥基準で約8.7質量%〜14.9質量%)の酢酸が残存している。そのため、テレフタル酸の粉末結晶に対して0.5質量倍の新たな水を加え、向流繰り返しによる濾過洗浄を行って排出される洗浄排出水に含まれる酢酸の量は、約16質量%〜29質量%になると想定される。また、このとき、酢酸を実質的に含有しない粗製テレフタル酸(酢酸含有量として5000ppm(0.5質量%)以下)が得られると想定される。
また、0.75質量倍、1.0質量倍、1.5質量倍あるいは2質量倍の新たな水を加えての濾過洗浄あるいは懸濁洗浄と濾過洗浄を組み合わせた洗浄法では、酢酸の含有量が、それぞれ、約11質量%〜19質量%、約8質量%〜14質量%、約5質量%〜10質量%あるいは約4質量%〜7質量%になると想定される。なお、もし粗製テレフタル酸結晶に対して0.4質量倍の新たな水を加え、向流繰り返しによる濾過洗浄を行うとすれば、排出される洗浄排出水の酢酸の含有量は約20質量%〜36質量%となると算出される。
従って、粗製テレフタル酸の酢酸による湿潤結晶に対して、0.5質量倍〜2質量倍程度の新たな水を加え、向流繰り返しの濾過洗浄や、向流繰り返しの懸濁洗浄と濾過洗浄とを組み合わせた洗浄法等によって、実質的に酢酸を含有しない水湿潤結晶(5000ppm(0.5質量%)以下)を得ることができると考えられる。このとき、約4質量%〜29質量%(概略約5質量%〜30質量%)の酢酸を含有した洗浄排出水が酢酸抽出過程に供給されることになる。そのため、前記低濃度の酢酸含有の洗浄排出水(酢酸水溶液)に前記想定の有機溶剤で酢酸を抽出し水を分離する方法は、酢酸損失を抑えたエネルギ消費の少ないプロセスとして洗浄排出水に適した水分離方法となる。
即ち、本発明の精製テレフタル酸の製造方法は、パラキシレンを酢酸溶媒中で酸化させて粗製テレフタル酸結晶を生成させた後、固液分離器により分離された粗製テレフタル酸結晶を洗浄することによって粗製テレフタル酸結晶を得る粗製テレフタル酸製造工程と、前記粗製テレフタル酸製造工程での固液分離により発生した酢酸溶液に対して、含まれる溶媒酢酸を回収する溶媒酢酸回収工程と、前記粗製テレフタル酸製造工程において得られた粗製テレフタル酸結晶を水性溶媒に混合し、溶解して水素化精製したのち、精製テレフタル酸結晶を生成させて、その結晶を含む液から精製テレフタル酸結晶を固液分離して回収する粗製テレフタル酸精製工程と、を含み、以下の(1)〜(3)の操作が行われることを特徴とする。
(1)前記粗製テレフタル酸製造工程においては、固液分離器による固液分離により得られた粗製テレフタル酸結晶を第一洗浄域に移動して、溶媒酢酸による少なくとも一回の洗浄を行ったのち、その洗浄結晶を第二洗浄域に移動する。第二洗浄域では、結晶の移動方向から得られる水性溶媒(洗浄排出水)及び/又は新たな水による少なくとも一回の洗浄を行ったのち、その洗浄結晶を第三洗浄域に移動する。第三洗浄域(最終洗浄域)では、新たな水による洗浄を行ったのち実質的に酢酸を含有しない粗製テレフタル酸湿潤結晶が回収される。前記固液分離器により分離された分離母液を分離母液貯槽に、第一洗浄域において行った溶媒酢酸による洗浄排出液を洗浄排出液貯槽に回収し、前記パラキシレンの酸化反応を行う酢酸溶媒として使用する。前記第二洗浄域において行われた水性溶媒及び/又は新たな水による洗浄排出水を回収し、少なくとも一回の第二洗浄域での洗浄水として繰り返し使用したのち、排出される洗浄排出水を洗浄排出水貯槽に回収する。前記第三洗浄域(最終洗浄域)において行われた洗浄排出水を回収し、結晶の移動方向と反対方向の第二洗浄域での洗浄のための水性溶媒として使用する。
(2)前記溶媒酢酸回収工程においては、前記粗製テレフタル酸の分離洗浄過程から排出、回収された洗浄排出水貯槽の洗浄排出水を酢酸抽出塔に供給し、水と二相分離する抽出剤を用いて、酢酸抽出塔において洗浄排出溶水中の酢酸を抽出し、有機相である酢酸抽出液を回収するともに、水相からなる抽残液を得る。前記酢酸抽出液を脱水蒸留塔上部に供給して、脱水蒸留塔の塔底部から酢酸を回収し、脱水蒸留塔の塔頂部から、前記抽出剤を含む凝縮液を回収する。回収された凝縮液から油水分離槽を用いて二相分離することで抽出剤を分離、回収して、前記酢酸抽出塔の抽出剤として再使用するとともに、その一部を脱水蒸留塔の還流液として循環する。前記酢酸抽出塔から排出された抽残液は溶媒回収塔に供給し、溶解された抽出剤を回収する。
(3)前記粗製テレフタル酸精製工程においては、前記第三洗浄域から回収された粗製テレフタル酸湿潤結晶をそのままスラリー調製槽に供給し、水素化精製用の水性溶媒と混合して、粗製テレフタル酸結晶スラリーを調製したのち、粗製テレフタル酸精製工程に供給する。
本発明によれば、従来、粗製テレフタル酸製造工程に設置されてきた粗製テレフタル酸の湿潤ケーキから酢酸を蒸発分離するための不活性ガスの加熱循環設備付きの加熱管式回転乾燥機及び流動層式乾燥機等の乾燥設備が不要となる。さらには、乾燥された粗製テレフタル酸の粉末結晶を移送するベルト式、バケット式等の機械的粉末輸送機あるいは結晶粉末の気体輸送装置等、さらに、計量、貯留槽、粉末用コンテナ、粉体用タンク、粉体用サイロ等の粉末製品を取り扱う特有の設備機器が不要となる。そのため、設備機器コスト及び維持管理コストを大きく低減することができる。また、これらの設備を設ける必要がないため、それらの設備機器を取り扱う操作の煩雑さからのトラブルの頻度も低減され、精製テレフタル酸の製造の安定運転に大きく寄与することになる。
また、前記乾燥・移送工程を省略する効果を得るため避けられなかった、洗浄排出水から酢酸を回収するための水分離法においても、エネルギ多消費型の脱水蒸留法を回避して、抽出による水分離法を粗製テレフタル酸結晶の分離洗浄過程の洗浄方法と連携したシステムを提供することができる。これにより、既設の溶媒酢酸回収工程に酢酸抽出塔のみを導入、付設する、新規設備機器の改善、増設を極力抑えた方法としての製造システムを提供することができる。
さらに、この製造システムでは、粗製テレフタル酸結晶の分離洗浄過程と、その洗浄排出水からの水分離及び酢酸回収とが一体のシステムとして設計される。そのため、洗浄排出水の水分離及び酢酸回収に対するエネルギ消費を低減することができ、酢酸損失においても脱水蒸留方法とほぼ同等に低減できる経済的ドライヤレスプロセスの実用化を促進することができる。
本実施形態となる精製テレフタル酸の製造プロセスの概略フローである。 溶媒酢酸回収工程のうちの特に抽出分離過程を説明する図である。 酢酸−酢酸イソブチル−水系の液液平衡のA.Chafer et al.の測定結果を、直角三角形による三角座標(質量%)に変換しプロットしたものである。 酢酸10質量%水溶液を、抽出剤として酢酸イソブチルを使用した向流多段抽出のシミュレーション結果から、抽出剤の量をパラメータとして理論段に対応した各段出口酢酸濃度をプロットしたものである。 酢酸20質量%水溶液を、抽出剤として酢酸イソブチルを使用した向流多段抽出のシミュレーション結果から、抽出剤の量をパラメータとして理論段に対応した各段出口酢酸濃度をプロットしたものである。
はじめに、従来の技術と対比しながら、本実施形態の内容を大まかに説明する。次いで、本実施形態の内容を具体的に説明する。
従来提案されてきたドライヤレスプロセスとしては、前記のように、粗製テレフタル酸結晶スラリーの固液分離後の結晶ケーキを水洗浄(濾過洗浄、懸濁洗浄と濾過洗浄との組み合わせ)を行って結晶を回収する方法が知られている(前記の特許文献1〜特許文献4等)。これらの方法においては、結晶の最終洗浄域において新たな水による洗浄を行ったのち、その洗浄排出水(水性溶媒)を結晶移動に向流の方向に繰り返し洗浄水として使用し洗浄を行うことによって、高い酢酸含有の洗浄排出水を得ることができ、実質的に酢酸を含有しない(酢酸含有量として5000ppm(0.5質量%以下))湿潤結晶(結晶ケーキ)が得られる。
この点は、本実施形態での精製テレフタル酸の製造方法における、粗製テレフタル酸結晶スラリーのテレフタル酸分離洗浄過程(固液分離及び水洗浄)を経て水湿潤結晶が回収される方法と同様である。しかし、本発明方法の実施形態での製造方法においては、以下の点で異なる。
まず、粗製テレフタル酸結晶スラリーから固液分離(酢酸溶媒からなる分離母液が回収される)した直後の湿潤結晶に対して、(1)少なくとも一回の酢酸(回収酢酸や新たな酢酸からなる溶媒酢酸)による洗浄を行い(第一洗浄域)、酸化触媒、酸化副生物を含有した分離母液(酢酸溶媒)が除去される。その後、水性溶媒(洗浄排出水及び/又は新たな水)による水洗浄を行った(第二洗浄域)のち、新たな水(脱イオン水等の純水)によって水洗浄が行われる(第三洗浄域)。さらに、(2)回収された前記分離母液及び前記溶媒酢酸による洗浄排出液とは分別して、水洗浄による洗浄排出水のみが全量回収される。
従って、これら洗浄方法を固液分離域と洗浄域が一体となった濾過機(回転円筒濾過機、ベルト式濾過機、BHS−FESTフィルタ等)による濾過分離及び洗浄方法においては、前記二操作((1)及び(2))を可能とする濾過機の洗浄域の区分とその洗浄排出液(水)の排出口(排出管口)の改良を行い、前記二操作が実施されることになる。即ち、これら濾過機域の後の洗浄域を少なくとも三区分し、最初の洗浄域において溶媒酢酸による洗浄を少なくとも1回行い(第一洗浄域)、後続の洗浄域(第二洗浄域及び第三洗浄域)においては水性溶媒及び新たな水による水洗浄を行うことが可能なように設備改良が行われる。そして、最初の洗浄域(第一洗浄域)からの洗浄排出液の排出口とは別に、後続の水洗浄域からの洗浄排出水を分けて回収することを可能にする設備改良及び周辺設備の改良が行われる。なお、新たな水による最終洗浄域(第三洗浄域)からの洗浄排出水は、第二洗浄域での水洗浄用として循環可能な設備改良が行われる。また第二洗浄域においても、必要により、洗浄排出水を結晶移動に向流方向に繰り返し水洗浄が可能となる設備改良が行われる。
前記洗浄方法と濾過洗浄とを組み合わせた固液分離及び洗浄方法においては、固液分離域と洗浄域とが一体となった濾過機を用い、濾過機と懸濁洗浄槽と濾過機とをこの順で組み合わせて前記二操作((1)及び(2))を実施することができる。即ち、粗製テレフタル酸結晶スラリーを第一段の濾過機に供給し、固液分離後の湿潤結晶を洗浄域において溶媒酢酸による洗浄を少なくとも一回行い(第一洗浄域)、洗浄酢酸湿潤結晶を懸濁洗浄槽に供給し、第二段の濾過機から排出される洗浄分離排出水の一部、新たな水による洗浄排出水及び、必要により、新たな水を加えて撹拌、混合して懸濁洗浄を行う(第二洗浄域)。そしてその懸濁スラリーを、第二段の濾過機に供給し、固液分離後の水湿潤結晶を新たな水による洗浄を行った(第三洗浄域)のち、実質的に酢酸を含有しない湿潤結晶を回収する。さらに第一段の濾過機からの分離母液及び洗浄排出液とは分別して、前記洗浄分離排出水が回収される。
前記方法によって水洗浄域では、結晶の最終排出域(第三洗浄域)に新たな加えた水による洗浄排出水を、結晶移動方向と反対の向流方向の洗浄域に洗浄する水(水性溶媒)として用い、あるいはその洗浄排出水を結晶移動と向流方向の洗浄域に洗浄する水(水性溶媒)として少なくとも一回用いて、繰り返し洗浄を行う(第二洗浄域)水洗浄方法が行われる。そのため、新たに加える水の量(0.5質量倍〜2質量倍/粗製テレフタル酸結晶)に対応して洗浄排出水の量が排出され、そしてこれにより、洗浄排出水中の酢酸含有量や回収される水湿潤結晶の酢酸含有量が決定付けられる。
そして、分別回収された洗浄排出水は、酢酸を抽出する抽出分離過程に移送され、水を分離した後、抽出酢酸を回収する溶媒酢酸回収工程の脱水蒸留塔に供給され、酢酸が酸化反応用の溶媒酢酸と共に回収される。別途回収された前記粗製テレフタル酸結晶スラリーの固液分離及び洗浄からの酢酸溶媒からなる分離母液及び洗浄排出液は、従来実施されている酸化反応溶媒の一部として直接循環使用され、残りを溶媒酢酸回収工程に供給して酢酸が回収される。
次に、前記したように懸濁洗浄と濾過洗浄との組み合わせた洗浄において、図1を参照しながら、本発明方法の実施形態での精製テレフタル酸の製造方法を具体的に説明する。
図1は、本実施形態となる精製テレフタル酸の製造プロセスの概略フローを図示したものである。粗製テレフタル酸製造工程(分離洗浄過程が含まれる)において粗製テレフタル酸が製造される。製造された粗製テレフタル酸は、粗製テレフタル酸精製工程において精製され、精製テレフタル酸が得られる。なお、粗製テレフタル酸製造工程から排出された洗浄排出水中の酢酸は、酢酸溶媒回収工程(抽出分離過程が含まれる)において抽出されて回収される。
まず、原料となるパラキシレン(p−キシレン)は、重金属触媒とともに酢酸溶媒に溶解される。この酢酸は、溶媒酢酸回収工程において回収された酢酸を含むものである。そして、パラキシレンは、酸化反応槽1において空気により酸化され、粗製テレフタル酸が生成する。このとき、残余の空気や揮発した酢酸等は、冷却凝縮器2で液化され、気液分離器3により、気液分離される。分離された気体は、反応排ガスとして排出されるとともに、分離された液体は、酸化反応槽1に戻されるほか、下記の脱水蒸留塔44に供給される。
酸化反応槽1において生成した粗製テレフタル酸は、追酸化反応槽4においてさらに酸化される。これにより、未反応のパラキシレンは完全に粗製テレフタル酸に変化する。追酸化反応槽4においても、前記の酸化反応槽1と同様に、冷却凝縮器5及び気液分離器6を介して、気体と液体とに分離される。分離された気体は排出ガスとして排出され、分離された液体は追酸化反応槽4に戻される。
粗製テレフタル酸は、その後、晶析槽7に供給される。晶析槽7においては、粗製テレフタル酸を含む溶液が蒸発冷却され、これにより、粗製テレフタル酸結晶が析出する。このとき、晶析槽7内の気体は、追酸化反応槽4と同様に、冷却凝縮器8及び気液分離器9を介して、気体と液体とに分離される。分離された気体は排出ガスとして排出され、分離された液体は晶析槽7に戻される。
晶析槽7において生成した粗製テレフタル酸結晶スラリーは、固液分離器(濾過域と洗浄域とが一体となった回転円筒濾過機)10に供給される。固液分離器10においては、溶液中の粗製テレフタル酸結晶が濾過分離されるとともに、粗製テレフタル酸結晶が酢酸により濾過洗浄される(第一洗浄域)。これにより、酢酸湿潤結晶(結晶ケーキ)が得られる。また、濾過分離されて得られた分離母液は分離母液貯槽11に回収され、また、酢酸により洗浄されて排出された洗浄排出液は、洗浄排出液貯槽12に回収される。なお、分離母液貯槽11に貯留された分離母液の一部は、前記パラキシレンを酸化反応する酢酸溶媒として再使用され、残りは溶媒酢酸回収工程の蒸発塔43に供給されて酢酸が回収される。また、洗浄排出液貯槽12に貯留された洗浄排出液も、前記パラキシレンを酸化反応する酢酸溶媒の一部として再使用される。
固液分離器10(回転円筒濾過機)において洗浄分離された粗製テレフタル酸の酢酸湿潤結晶は、再スラリー槽1Aに供給されるとともに、後記する第2固液分離機2Aから排出される懸濁洗浄排出水、新たな水による洗浄排出水及び新たな水からなる水性溶媒の供給によって、再スラリー槽1Aにおいて攪拌混合され、懸濁洗浄(第二洗浄域)される。次いで再スラリー槽1Aの懸濁スラリーは第2固液分離機2A(回転円筒濾過機)に供給され、粗製テレフタル酸結晶は濾過分離されたのち、新たな水による洗浄を行って(第三洗浄域)、実質的に酢酸を含有しない水湿潤結晶が回収される。このとき回収された水湿潤結晶は粗製テレフタル酸精製工程のスラリー調製槽23に供給され、水素化精製用の水性溶媒と撹拌、混合し、粗製テレフタル酸のスラリーが調製される。
第2固液分離機2Aからは濾過分離により排出される懸濁洗浄排出水は洗浄排出水貯槽3Aへ排出され、その一部は懸濁洗浄用の水性溶媒として繰り返し使用され、再使用されなかった残りの懸濁洗浄排出水は洗浄排出水貯槽3Aから抜き出され抽出分離過程に供給される。また第2固液分離機2Aからの新たな水による洗浄排出水は全量懸濁洗浄用の水性溶媒として再使用される。
前記のように洗浄排出水を洗浄用の水性溶媒として繰り返し使用する洗浄方法では、第三洗浄域(第2固液分離機2Aの洗浄域)及び第二洗浄域(懸濁洗浄域)で加えられる新たな水の量が洗浄排出水貯槽3Aから抜き出される洗浄排出水の量とバランスされる。そのため洗浄排出水貯槽3Aからの洗浄排出水の含有酢酸量が加えられる新たな水の量を調節、管理する方法となる。そしてその新たに加える洗浄水の量が回収される粗製テレフタル酸水湿潤結晶の含有酢酸量に影響を与えることになり管理される。
なお、実施例1(後記する)によれば、粗製テレフタル酸結晶スラリーの濾過分離及び酢酸洗浄後の酢酸湿潤結晶を用いて懸濁洗浄と濾過洗浄とによる繰り返し洗浄を行った結果では、新たな水をテレフタル酸結晶に対して濾過洗浄(第三洗浄域)において0.5質量倍を、懸濁洗浄(第二洗浄域)において0.5質量倍を加え、約1.9質量倍の水性溶媒による懸濁洗浄を行い、酢酸含有量約11質量%の懸濁洗浄排出水が約1.0質量倍の量で排出された。同時に実質的に酢酸を含有しない粗製テレフタル酸の水湿潤結晶(0.41質量%)が得られている。
また、特殊な濾過洗浄機を使用した前記特許文献3の洗浄例(向流押込置換洗浄法)では、新たに加えた水を約0.3質量倍/粗製テレフタル酸結晶の水性溶媒繰り返し洗浄によって、実質的に酢酸を含有しない水湿潤結晶(酢酸含有量として約4000ppm(0.4質量%))が回収される。そのため洗浄排出水には約27質量%〜48質量%の高い濃度の酢酸が含有されていると想定されるが、本発明方法となる洗浄排出水の酢酸抽出過程を経るには高い酢酸含有量を必要としていないため、特許文献3のような特殊な濾過機を使用して本発明方法を実施することはない。
さらに、前記特許文献4の洗浄例では、二台の汎用濾過機(回転円筒濾過機)を用いた懸濁洗浄によって、懸濁洗浄水の量として約1.5質量倍/粗製テレフタル酸結晶を用い、実質的に酢酸を含有しない水湿潤結晶(酢酸含有量として0.1質量%)が回収される。特許文献4では、本発明方法による洗浄方法と異なるが、洗浄排出水には約8質量%の酢酸が含有していると想定される。
本発明方法の粗製テレフタル酸結晶の水による洗浄において、新たに加えられる水の量を0.5〜2質量倍/粗製テレフタル酸結晶とし、酢酸抽出の対象となる洗浄排出水の酢酸含有量を約5〜30質量%を目標としてきた、しかし、実質的に酢酸を含有しない粗製テレフタル酸(0.5質量%以下)を回収するには、抽出対象となる洗浄排出水の酢酸含量は8質量%であっても充分であることが想定される。また、新たに加える水の量を削減するため、特殊な濾過洗浄機を用いて、酢酸含量が前記濃度(約27質量%〜48質量%程度/新たに加える洗浄水0.3質量倍)の洗浄排出水を回収する必要性もない。
従って、粗製テレフタル酸結晶の分離洗浄工程から排出された洗浄排出水には、約8〜25質量%の酢酸の含有量で管理されることが好ましい。そのため、特殊な濾過、洗浄法を採用することなく、汎用濾過法の組み合わせによる水の繰り返し洗浄により、新たな加えられる水の量の調節によって、実質的に酢酸を含有しない粗製テレフタル酸の結晶が得られることが確認できた。
図1に示すように、粗製テレフタル酸結晶スラリーを固液分離器10では濾過域と洗浄域が一体型の回転円筒型濾過機を使用し、結晶の濾過分離及び酢酸(回収酢酸、新たな酢酸)洗浄が行われ(第一洗浄域)ている。これにより分離結晶に残存している分離母液が洗浄に用いた溶媒酢酸に置換された酢酸湿潤結晶が得られる。もし、酢酸で洗浄しないと、分離母液が残存することになり、後続の水(水性溶媒)洗浄による洗浄排出水に、分離母液に含有される酸化触媒や反応副生物等の高沸点物質が混入することになる。そうすると溶媒酢酸回収工程での抽出分離過程において、酸化触媒等の不純物は抽出されることなく、注残物に残存して廃水として処理される。また、酸化触媒は損失となるため回収を必要とする。従って、固液分離器10における分離結晶は溶媒酢酸による少なくとも一回の酢酸洗浄を必要とされる。また分離母液及び酢酸洗浄排出液が、後続の水性溶媒による前記洗浄排出水に混入することのないように分別して回収する必要がある。
次に、粗製テレフタル酸製造工程において製造された粗製テレフタル酸が精製される粗製テレフタル酸精製工程について説明する。
第2固液分離器2Aから水湿潤結晶を供給されたスラリー調製槽23では、水湿潤結晶は水素化精製用の水性溶媒と撹拌、混合されスラリー化される。この水性溶媒は、固液分離器29,32の分離母液や結晶洗浄水のほか新たに供給される水からなっている。調製された結晶スラリーは、加熱器24により加熱された後、溶解槽25で十分に溶解され、水素化精製塔26に供給される。水素化精製塔26は、貴金属が担持された活性炭からなる水素化精製触媒が充填されており、粗製テレフタル酸水溶液は、水素化精製塔26の上部から高圧の水素ガスと共に触媒層を流下して水素化精製される。
精製されたテレフタル酸水溶液は、段階的に圧力(温度)を降下させた複数直列の晶析槽27,28(全ての晶析槽は図示しておらず、例えば5槽や6槽の晶析槽)に順次供給される。第1晶析槽27では、同伴した余剰の水素ガスとともに蒸気発生を伴って放圧、冷却されて、テレフタル酸結晶の一部が析出して結晶スラリーを生成する。さらに、第2晶析槽、第3晶析槽・・・と順次放圧冷却され、最後の晶析槽28で、殆どのテレフタル酸の結晶が析出した、精製テレフタル酸結晶スラリーが生成される。
この結晶スラリーは、固液分離器29、再スラリー槽31及び固液分離器32を経て、乾燥器34に供給される。この過程において、固液分離器29で発生した分離母液(上清)は、分離母液貯槽30に貯留される。また、固液分離器32で発生した分離母液(上清)は、洗浄排出水貯槽33に貯留される。
乾燥器34に供給された湿潤結晶は、乾燥機34を用いて水を蒸発分離(凝縮水として排出される)、乾燥されて、精製テレフタル酸の結晶粉末の製品が得られる。得られた精製テレフタル酸の製品は、出荷のため、粉体供給機35を経て不活性ガスと混合後、粉体輸送設備(図示しない)を経由して、粉体貯槽36に送られる。粉体貯槽36では、気液分離器37を介して不活性ガスの排出が行われる。
次に溶媒酢酸回収工程について説明する。
分離母液貯槽11に回収された酸化反応溶液からの分離母液は、蒸発塔43に供給されて気化する。蒸発塔43には蒸発濃縮槽41及び加熱器42が付設され、これにより、溶媒酢酸が十分に気化されるとともに、気化しなかった不純物が残渣として排出される。そして、気化した溶媒酢酸は、脱水蒸留塔44に供給される。なお、脱水蒸留塔44には、前記のように、酸化反応槽1からの溶媒酢酸も供給される。
脱水蒸留塔44は通常の蒸留方式により塔底部から溶媒酢酸が回収され、塔頂部から水性成分が分離されるが、図1では水と共沸組成を形成する共沸剤が加えられた共沸蒸留方式によるフローを示している。そのため塔頂部から排出され共沸剤と共沸組成を形成された留出蒸気は、冷却凝縮器46及び油水分離槽47に導入されて、油分(有機相)と水分(水相)に分離、回収される。回収された油分は脱水蒸留塔44の還流液として還流され、水成分は溶媒回収塔48に供給されて、溶解されている共沸剤及び酸化副生物の酢酸メチルが回収されたのち、塔底部から水成分が抜き出される。
このとき溶媒回収塔48の塔底部からの排出水(脱水水成分)には僅かな酢酸が含まれ、加熱器49によって気化しないため、廃水処理されて酢酸損失となる。そのため脱水蒸留塔塔頂留出水の酢酸含有量は0.7質量%以下とするように操作される。
ここで抽出分離過程を付設した溶媒酢酸回収工程の流れについて、図2と併せて以下説明する。
抽出分離過程での酢酸抽出塔4Aは、多孔板抽出塔のような向流多段式抽出装置(向流多段階の抽出方式)が用いられる。粗製テレフタル酸製造工程に含まれる分離洗浄過程から排出された洗浄排出水が、酢酸抽出塔4Aの塔頂部から連続供給され、有機溶剤からなる抽出剤が酢酸抽出塔4A底部から供給される。このとき酢酸の抽出剤として、酢酸−水−抽出剤系の液液平衡において、酢酸を抽出した有機相と分離した水相の二相分離の可能な有機溶剤が選択される。これにより酢酸抽出塔4Aにおいて、供給した洗浄排出水と抽出剤とが多段階に向流接触と相分離とを繰り返しながら酢酸が抽出され、有機相からなる酢酸抽出液が塔頂部から溢流、回収される。回収された酢酸抽出液(有機相)は脱水蒸留塔44の上部に還流液として還流され、酢脱水蒸留塔44の塔底部から酸化反応溶媒からの多量の溶媒酢酸とともに回収される。そして溶媒酢酸(回収酢酸)として酸化反応に循環使用されるため抽出酢酸が回収される。同時に、酢酸含有量0.7質量%以下となる抽残液(水相)が、酢酸抽出塔4Aの下部から分離、留出される。
酢酸抽出塔4Aから溢流、回収された酢酸抽出液は、脱水蒸留塔44の還流液として脱水蒸留塔44の塔上部(共沸蒸留域)に供給されて、酢酸と抽出剤とが蒸留分離される。酢酸は、脱水蒸留塔44の塔底部缶出液として回収される。ここで、脱水蒸留塔44では、酢酸の脱水機能を高めるため、水と共沸する共沸剤(有機溶剤)が使用され、共沸蒸留法によって酢酸の回収が行われる。そのため、抽出剤としては、水(酸化反応生成水)と共沸組成を形成する共沸剤を用いることにより、脱水蒸留塔44の塔頂部から水と共沸して留出することになる。従って、共沸留出した水と抽出剤(共沸剤)との塔頂部からの留出蒸気は、冷却凝縮器46により冷却凝縮されて油水分離槽47に導入され、水と油分(抽出剤を含む有機相)に二相分離される。そして、油水分離槽47において、上相の油分(有機相)として回収された抽出剤(共沸剤)は、再び向流多段抽出塔4Aの抽出剤として戻されて循環される。また、回収された抽出剤は、脱水蒸留塔44の還流液となる。
抽出分離過程での酢酸抽出塔4Aとしては、多孔板式抽出塔、脈動式多段抽出塔、撹拌機付き多段抽出塔、泡鐘式多段抽出塔、充填式抽出塔等が挙げられ、中でも、抽出の段効率の高くなる脈動式多段抽出塔、撹拌機付き多段抽出塔等が好ましい。また、精製テレフタル酸の製造の大規模化を考慮すると、酢酸抽出塔4Aの大型化の観点から、大型化に好適な静置方式である多孔板式抽出塔、泡鐘式多段抽出塔、充填式抽出塔等も好ましい。
抽出分離過程においては、脱水蒸留塔44で共沸蒸留により脱水を行う共沸剤と、抽出分離過程で使用される抽出剤とは、同一のものであることが好ましい。なお、抽出剤と共沸剤とが同一のものではなかった場合においても、脱水蒸留塔44上部の留出部沸点(共沸点)の違いによって、夫々を個別に分離回収して循環使用することができる。
また、脱水蒸留塔44が二成分系蒸留方式の蒸留法である場合でも、抽出剤として、水と共沸組成を形成する有機溶剤を用いることで、脱水蒸留塔44の上部留出部の設備改造によって容易に共沸蒸留方式に転換でき、脱水効率を向上させることができる。酢酸の脱水蒸留法に使用される共沸剤としては、例えば酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル等の酢酸エステル類、及び、ベンゼン、トルエン、パラキシレン、メタキシレン等の芳香族炭化水素類等の有機溶剤が使用可能である。
ここで、本発明者らは、前記共沸剤を抽出剤として使用し、酢酸含有量が約5質量%〜30質量%の洗浄排出水から酢酸を抽出し、水分離を行い、酢酸抽出液(有機相)から酢酸を回収する方法についての検討を行った。その結果、この洗浄処理水から、酢酸含有量を0.7質量%以下(酢酸−水系の二成分系脱水蒸留法と同等酢酸含有量)で含有する抽残液(水相)を得る方法としては、大量の抽出剤を使用して、新たな抽出剤で多段階に抽出する多回抽出方法が考えられた。また、適度な量の抽出剤を用いて、向流多段抽出する効率的な抽出方法も考えられた。
これらのうち、後者の向流多段抽出方法では、混合抽出槽が連結されて設置される。そして、この連結混合抽出槽において、洗浄排出水が一方の端の槽から、抽出剤が他方の端の槽から向流となるよう連続的に供給される。各混合抽出槽において混合−抽出−相分離を多段階に繰り返し、抽出処理が行われ、洗浄排出水供給端の抽出槽の相分離域上部から酢酸抽出液(有機相)が溢流し、他方の端の抽出槽(抽出剤供給の抽出槽)の相分離域下部(水相)から酢酸0.7質量%以下となる抽残液が得られる。
従って、多段抽出塔方式を用いた図2の酢酸抽出塔4Aでは、塔頂部から供給される洗浄排出水と、塔底部から供給される抽出剤(有機相)とによって多段階に向流接触を繰り返すことで、水成分が分離(低減)された酢酸抽出液(有機相)が塔頂部から分離溢流される。一方、塔底部からは、酢酸含有量が低減された水相となる抽残液(酢酸含有量として約0.7質量%以下)が流出されることになる。塔頂部から流出した酢酸抽出液は脱水蒸留塔44に供給され、塔底部から酸化反応溶媒となる多量の溶媒酢酸とともに、酢酸が回収される(図1参照、図2では図示しない)。また、酢酸を分離された抽出剤は、水と共沸組成を形成して脱水蒸留塔44の上部濃縮部あるいは塔頂部から共沸して留出し、冷却凝縮器46での凝縮後、油水分離槽47において有機相と水相とに相分離される。有機相として回収された共沸剤(抽出剤)は、再び酢酸回収塔4Aでの抽出剤として塔底部から供給され、循環される。
酢酸抽出塔4Aの塔底部の水相から流出した抽残液は、溶媒酢酸回収工程の溶媒回収塔48に供給される。そして、溶媒回収塔48では、溶解している少量の抽出剤(約1質量%以下)を蒸留分離し、得られた分離水は溶媒回収塔48の塔底部から排出される。従って、洗浄排出水は、図2に示す溶媒酢酸回収工程に付設された酢酸抽出塔4Aに供給されることで、熱エネルギの消費を従来よりも低減しつつ(即ち、脱水蒸留塔を経由することなく)、分離することができる。
また、酢酸抽出塔4Aからの酢酸抽出液は脱水蒸留塔44に供給されるが、脱水蒸留塔44においては水の分離は必要とされず、抽出剤(有機溶剤)と酢酸とが分離されることになる。従って、脱水蒸留塔44の塔底部からは、酸化反応に使用された多量の溶媒酢酸とともに抽出された酢酸が回収されることになる。そのため、抽出剤と水(反応生成水)とは共沸組成を形成、濃縮されて酢酸抽出塔4Aの塔頂部から留出され、冷却凝縮されて、油水分離槽47に導入された後、前記のように循環使用される。このように、従来よりもエネルギ消費を低減しつつ、酢酸抽出液(水含有量が1質量%以下)から、酢酸及び抽出剤の分離回収をすることができる。
ここで、図3に示す、酢酸−酢酸イソブチル−水系の液液平衡曲線図(A.Chafer et al., Fluid Phase Equibria. 271, 76-81 (2008))を用いて、酢酸水溶液から酢酸を多段抽出し、酢酸0.4質量%以下の抽残液を得る抽出シミュレーションを行った。なお、酢酸イソブチルは、酢酸抽出における酢酸エステル類の代表的な抽出剤である。詳細は後記するが、このシミュレーションに基づき、酢酸濃度を変化させたときの酢酸抽出可能な抽出剤の量、理論段数、酢酸損失を後記する表1に纏めている。その結果、表1に見られるように、0.4質量%の酢酸含有量の抽残液を得るために、酢酸含有量が30質量%の酢酸水溶液では抽出剤(酢酸イソブチル)を2質量倍以上、酢酸含有量が20質量%の酢酸水溶液では抽出剤を2.5質量倍以上、酢酸含有量が10質量%の酢酸水溶液では抽出剤を3質量倍以上、酢酸含有量が5質量%の酢酸水溶液では抽出剤を3質量倍以上使用して、向流多段抽出を行う必要があることがわかった。
また、酢酸含有量が5質量%〜30質量%の酢酸水溶液から酢酸を抽出する場合、理論段数が小さい方が、抽出が容易である。そのため、以下の表1の結果に基づけば、理論段数が最も小さくなった試算例6、即ち、5.5質量倍(溶媒比)の抽出剤を用いれば向流多段抽出方式で特に容易に酢酸抽出が可能なことが考えられる。また、同様の観点から、抽出剤が4.2質量倍(試算例2、5、10、14)では、いずれも理論段数が5段程度であり、容易に酢酸抽出が可能であるとみられる。従って、抽出剤として酢酸イソブチルを使用して、向流多段抽出方式によって洗浄排出水中の酢酸を抽出するには、洗浄排出水の酢酸含有量が5質量%〜30質量%であることを考慮し、抽出剤を少なくとも2質量倍〜3質量倍から多くとも5.5質量倍程度を用いて抽出を行うことが効果的であることがわかった。
一方、酢酸含有量(5質量%〜30質量%)の洗浄排出水夫々に対する抽残液(酢酸含有量 0.4質量%)からの酢酸損失を算出すると、酢酸含有量が5質量%の洗浄排出水では損失率が約7.5%となり(以下の表1における試算例1及び2)、酢酸含有量が10質量%の洗浄排出水では損失率が約3.5%(以下の表1における試算例4〜6)、酢酸含有量20質量%では損失率約1.5%となる(以下の表1における試算例8〜10)。そのため、洗浄排出水中の酢酸含有量が5質量%から10質量%と2倍になると酢酸損失が半減することになる。そして、洗浄排出水の酢酸含有量が30質量%になれば、損失率が約1%にまで低減することができる(以下の表1における試算例11〜14)。これらの点を踏まえると、洗浄排出水からの酢酸損失率を多くとも5%以下に抑えるには、即ち、酢酸抽出率を95%以上にするためには、粗製テレフタル酸結晶の水洗浄において、洗浄排出水(図1の洗浄排出水貯槽3Aに回収される洗浄排出水)中の酢酸含有量が7.5質量%以上にする必要がある。さらに酢酸抽出率を98.5%程度にするには洗浄排出水の酢酸含有量を20質量%にすることが好ましいことがわかった。
従って、酢酸抽出シミュレーション結果(表1)から抽出分離過程において、抽出剤は、洗浄排出水に対して少なくとも3質量倍以上、洗浄排出水の酢酸含有量20質量%以上の場合は2.5質量倍以上を用い、最大5.5質量倍の量を用いて酢酸抽出を行うことが好ましいと考えられる。また、その酢酸抽出率において、95%以上(酢酸損失率5%以下)を得るためには、酢酸含有量が7.5質量%〜30質量%の洗浄排出水を分離洗浄過程から抽出分離過程に供給するようにすればよいことになる。さらに98.5%の酢酸抽出率を得るには洗浄排出水の酢酸含有量が20質量%になるように分離洗浄過程での洗浄水量を調節、洗浄すればよいことになる。
そのため、分離洗浄過程において、実質的に酢酸を含有しない粗製テレフタル酸の水湿潤結晶を得るとともに、洗浄水量低減のため高濃度の酢酸含有洗浄排出水を生成していた特殊な濾過洗浄方法(向流押込置換洗浄法(特許文献3))に対して、汎用の濾過機(回転式円筒濾過機、ベルト式濾過機等)を用いた洗浄方法(濾過洗浄法、懸濁洗浄法)により、洗浄排出水の酢酸含有量を5質量%〜30質量%に、好ましくは7.5質量%〜30質量%になるように調節、管理した洗浄方法にすることによって、酢酸損失の低減した、実質的に酢酸を含有しない粗製テレフタル酸の結晶を得ることができる方法となる。さらに新たに加える洗浄水量を0.75質量倍にし、実質的に酢酸を含有しない粗製テレフタル酸の結晶を得ることができるより容易な洗浄方法を採ることによって、洗浄排出水の酢酸含有量20質量%以下が可能となる。そのため、さらに好ましくは酢酸含有量7.5質量%〜20質量%の洗浄排出水に洗浄方法を調節、管理することができれば、酢酸損失の低減したドライヤレスプロセスとすることができる。
本発明による実施形態のドライヤレスプロセスにおいては、工業化促進の観点から、従来から汎用されている固液分離器を用いてテレフタル酸結晶の分離洗浄過程が行われている。ここで、この分離洗浄過程には、回転式円筒濾過機による懸濁洗浄を含む多段処理、ベルト式濾過機による洗浄域長、遠心分離機による懸濁洗浄を含む多段処理、遠心分離機と濾過機による懸濁洗浄を含む多段処理等が含まれる。従って、抽出分離過程に供給される洗浄排出水に含まれる酢酸含有量を5質量%〜30質量%とすることが、汎用分離機(汎用濾過機)の活用、既設分離洗浄工程の活用の観点から、好ましいといえる。
即ち、洗浄排出水の酢酸含有量と洗浄水量との関係からわかるように、分離洗浄工程において新たに加える洗浄水の量が、特殊な濾過機を用いた洗浄水量である粗製テレフタル酸結晶の0.4質量倍以下の量ではなく、0.5質量倍以上の量が好ましい。また、粗製テレフタル酸結晶を充分に洗浄するため2質量倍以上を洗浄水を用いることなく、1.5質量倍以下とすることが好ましい。これにより、抽出分離工程に供給される洗浄排出水に含まれる酢酸濃度を前記の量にすることができる。
なお、以上の内容は、抽出剤として酢酸イソブチルを用いた場合であるが、抽出剤として酢酸ブチルを用いた場合にも同様の結果が得られると考えられる。具体的には、酢酸ブチルの三成分系の液液平衡曲線(E.Ince and S.I.Kirbaslar, Brazilian J. Chem. Eng., 19, 243-254 (2002))及び芳香族炭化水素類としてトルエン(Tol)の三成分系の液液平衡曲線(S.Javad et al, J. Chem. Thermdyn., 57, 76-81 (2013))は、酢酸イソブチルについての図3の液液平衡曲線と同様の形状になっている。そのため、抽出剤として、前記の酢酸イソブチルや酢酸ブチルのほか、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル等の酢酸エステル類及びベンゼン、トルエン、パラキシレン、メタキシレン等の芳香族炭化水素類から選ばれる有機溶剤等の抽出剤を用いた場合でも、抽出剤として酢酸イソブチルを例に説明した前記内容が適用可能である。また、これらの抽出剤は水と共沸組成を形成するため、脱水蒸留塔において共沸蒸留により脱水することができる。そのため酢酸イソブチルと同様に酢酸抽出の抽出剤とし、脱水蒸留の共沸剤として併用して循環使用することができる。
以上のように、粗製テレフタル酸製造工程で製造された粗製テレフタル酸結晶の分離洗浄過程において、分離母液等の酢酸排出液から分別回収された洗浄排出水は、脱水蒸留塔を経由することなく、酢酸抽出塔4Aにおいて、抽出剤により酢酸が高抽出率で回収される。そして、抽残液である、酢酸含有量が十分に低減された水相(酢酸含有量として0.7質量%以下)を排出するこの方法は、水を分離するために脱水エネルギを必要としない、経済的な酢酸の回収方法となる。そのため、既存の溶媒酢酸回収工程の設備に向流多段抽出塔からなる酢酸抽出塔4Aを付属設置し、脱水蒸留塔44及び溶媒回収塔48における酢酸や抽出剤の回収及び循環のための付帯機器の設備改善によって、酢酸を高効率に回収することができる。
<シミュレーションによる酢酸抽出>
洗浄排出水から酢酸を抽出する抽出分離過程について、抽出剤による抽出方法及び抽残液の酢酸含有量等、酢酸抽出の実現の可能性を検証するため、洗浄排出水の酢酸濃度の洗浄排出水条件と抽出剤の量(溶媒比(質量比):抽出剤量/洗浄排水量)の抽出条件とに具体的数値を設定して、それぞれの過程での条件を関連付けた酢酸抽出シミュレーションを行った。
このシミュレーションは、分離洗浄工程から排出される洗浄排出水(酢酸を含む)を対象として行った。抽出剤としては酢酸イソブチルを用い、酢酸抽出塔4Aとしては向流多段抽出塔を想定した。そして、各抽出段出口からの抽残液の酢酸濃度及び最終抽残液の酢酸濃度が0.4質量%以下となる抽出理論段数を図解シミュレーションによって行った。抽出剤に酢酸イソブチルを用いた酢酸の抽出シミュレーションは、図3に示す酢酸イソブチル−酢酸−水系の液液平衡曲線を用い、酢酸の向流抽出による抽出各段の抽出液と抽残液の酢酸濃度を逐次段階的に図解により求め、抽残液の酢酸濃度が0.4質量%となるまで繰り返し行い抽出理論段数を求めた。また、酢酸濃度0.4質量%となる抽残液量から酢酸損失量を算出し、夫々の洗浄排出水(酢酸水溶液)に対する酢酸損失率を算出した(表1)。
酢酸濃度5質量%、10質量%、20質量%及び30質量%の各水溶液に対して抽出剤の量(溶媒比)を変え、酢酸濃度0.4質量%の抽残液とするために必要な理論段数及び抽出過程から損失となる抽残液からの酢酸損失(率)の試算結果表1に示した。
Figure 2015140342
また、酢酸濃度が10質量%及び20質量%の水溶液に対して抽出剤の量(溶媒比)を変えて、各抽出段からの抽残液の酢酸濃度の試算結果を例示したのが図4及び図5である。
図4に示すように、酢酸濃度が10質量%の水溶液において、抽残液の酢酸濃度が0.4質量%に到達するには、溶媒比3.0では理論段数12段(11.4段)で、溶媒比4.2においては理論段数6段(5.8段)である。しかし、溶媒比2.5では、理論段数が6段の酢酸濃度4質量%から酢酸濃度の低下割合が減退し始め、酢酸含有量が約3.5質量%以下の濃度の抽残液とすることは不可能である。従って、0.4質量%の抽残液を得ることは溶媒比2.5(試算例3)の本抽出条件ではほとんど不可能である。そのため表1の理論段数を不能とした。
また、図5に示すように、酢酸濃度が20質量%の水溶液において、抽残液の酢酸濃度が0.4質量%に到達するには、溶媒比2.5では理論段数18段(17.3段)(図示せず)で、溶媒比3.0では理論段数10段(9.6段)であることが分かる。そして、溶媒比4.2では理論段数7段(6.6段)で、0.4質量%以下の濃度まで酢酸を抽出することが可能である。しかし、溶媒比2.0(試算例7)では0.4質量%の抽残液とすることが不可能であることが分かる。そのため表1の理論段数は不能とした。
さらに、表1に示すように、酢酸濃度が30質量%の水溶液においては、溶媒比2.0では理論段数20段(19.4段)の高段数の抽出塔を用いれば、0.4質量%以下の濃度にまで酢酸を抽出することができる。
従って、洗浄排出水に対して、抽出剤として酢酸イソブチルを用いて酢酸を0.4質量%以下の抽残液にするには、洗浄排出水の酢酸濃度が高い方が小さな溶媒比で抽出が可能である。そして、洗浄排出水の酢酸濃度(5質量%〜30質量%)に対応して、溶媒比として少なくとも2質量倍(対酢酸濃度30質量%)〜3質量倍(対酢酸濃度5質量%)以上の抽出剤が必要であり、洗浄排出水に対して溶媒比として最大5.5質量倍を使用すれば、向流多段抽出によって酢酸を容易に抽出することができる。
前記シミュレーション結果は液液平衡からの理論段を試算したもので、多段抽出塔の形状、方式に伴う有機相、水相の液流れ等により接触効率が異なる。そのため、それに伴った酢酸の抽出効率(段効率)を加味し、理論段数をもとに抽出塔の実段数が決定され、多段抽出塔の設計がなされることになる。しかし、前記液液平衡曲線を用いてのシミュレーションによって不可能と推定された抽出条件(試算例3及び7)では、酢酸含有量0.4質量%以下の濃度に酢酸を抽出することは不可能となる。
一方、抽出分離過程で抽出しきれなかった酢酸(抽残液中の0.4質量%の酢酸)を抽出原料となる酢酸水溶液に対する割合として試算した表1の酢酸損失は、酢酸濃度が5質量%の水溶液から10質量%へと洗浄排出水の酢酸含有量の倍増によって、酢酸損失が半減する。従って、抽出分離過程における酢酸損失を考慮して、洗浄排出水の酢酸含有量の酢酸損失を5%以下(酢酸抽出率95%以上)とするには、洗浄排出水の酢酸含有量を少なくとも7.5質量%以上(酢酸濃度5質量%〜10質量%の中間程度の濃度)とすることが好ましいと考えられ、その上限として30質量%以下が好ましいと考えられる。中でも酢酸抽出率98.5%とするには洗浄排出水中の酢酸濃度を20質量%とすることが好ましい。
次に、分離洗浄過程において、濾過分離・洗浄−懸濁洗浄−濾過分離・洗浄を想定して実施した粗製テレフタル酸結晶の懸濁洗浄を含んだ洗浄例を実施例として説明する。
<実施例1>
粗製テレフタル酸製造工程において、パラキシレンの酸化反応から製造された粗製テレフタル酸結晶スラリーを晶析槽(図1に示す晶析槽7)から約2.5kg採取し、撹拌しながら500mlフラスコ6個に300gずつその結晶スラリーを分取した。その結晶スラリー採取1個(300g)を約60℃に加熱し、直径70mmのブフナー漏斗(ろ紙5A、以下同じものを用いて濾過した)を用いて吸引濾過した後、60℃、50gの回収酢酸(水含有量として5.2質量%)で洗浄して酢酸湿潤結晶(濾過ケーキ)を得た。この湿潤濾過ケーキの質量及び乾燥質量を別に測定したところ、112g及び100g(湿潤率10.7質量%)であった。なお、吸引濾過により排出した分離母液及び酢酸洗浄による洗浄排出液は全量採取し、廃棄した。
この酢酸湿潤結晶を500mlフラスコに移し、水188gを加えてスラリーとし、約60℃、約10分撹拌して懸濁洗浄した。次いで、この粗製テレフタル酸結晶の水スラリーを直径70mmのブフナー漏斗を用い吸引濾過し、分離濾過液(第1回分離濾過水)の全量を採取した。そして、ブフナー漏斗上の湿潤結晶(濾過ケーキ)に約60℃、50gの水を加え濾過洗浄し、洗浄排出水(第1回洗浄排出水)の全量を採取し、水湿潤結晶(第1回水湿潤結晶)を得た。
分取した結晶スラリー2個目(300g)を約60℃に加熱し、前記と同様、直径70mmのブフナー漏斗を用いて吸引濾過した後、60℃、50gの酢酸で洗浄して酢酸湿潤結晶を得た。この酢酸湿潤結晶を500mlフラスコに移し、新たな水50g、第1回洗浄排出水の全量(約50g)及び第1回分離濾過水88gを加え、スラリーとして約60℃、約10分撹拌、懸濁洗浄した。なお、第1回分離濾過水の残量約100gは酢酸含有洗浄水として排出されることになる。そして、粗製テレフタル酸結晶の懸濁スラリーについて、直径70mmブフナー漏斗を用い吸引濾過し、第2回分離濾過水の全量を採取した。そして、ブフナー漏斗上の湿潤結晶に約60℃、50gの新たな水を加え濾過洗浄を行い、第2回洗浄排出水の全量採取し、第2回水湿潤結晶を得た。
分取した結晶スラリー3個目(300g)、4個目(300g)及び5個目(300g)の結晶スラリーのそれぞれに対し、前記同様、吸引濾過及び酢酸洗浄を行った後、酢酸湿潤結晶を得た。そして、3個目の酢酸湿潤結晶に、前記同様、新たな水50g、第2回洗浄排出水の全量(約50g)及び第2回分離濾過水88gを加え、懸濁洗浄を行なった。そして、前記同様に吸引濾過及び新たな水50gを加え濾過洗浄を行って、第3回分離濾過水及び第3回洗浄排出水の全量を別々に採取し、第3回水湿潤結晶を得た。
また、前記と同様にして、4個目の酢酸湿潤結晶を用い、第4回分離濾過水及び第4回洗浄排出水を採取し、第4回水湿潤結晶を得た。
さらに、前記と同様にして、5個目の酢酸湿潤結晶を用い、第5回分離濾過水及び第5回洗浄排出水を採取し、第5回水湿潤結晶を得た。
6個目の酢酸湿潤結晶を500mlフラスコに移し、新たな水50g、第5回洗浄排出水の全量(約50g)及び第5回分離濾過水88gを加え、スラリーとして約60℃、約10分撹拌、懸濁洗浄した。次いで、粗製テレフタル酸結晶の懸濁スラリーを直径70mmブフナー漏斗を用いて吸引濾過し、第6回分離濾過水の全量を採取した。そして、ブフナー漏斗上の湿潤結晶に新たな水50g(約60℃)を加え濾過洗浄を行い、第6回洗浄排出水の全量を採取した。同時に、第6回水湿潤結晶を得た。
以上の操作は、図1の洗浄法(洗浄排出水の繰り返し洗浄)を継続して実施している状況を想定シミュレートしたものである。
そして、第5回分離濾過水及び第6回分離濾過水の酢酸含有量、並びに、第5回水質準晶及び第6回水湿潤結晶の酢酸含有量を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2015140342
表2に示すように、洗浄排出水の繰り返し使用によって、第5回水湿潤結晶及び第6回水湿潤結晶、並びに第5回分離濾過水及び第6回分離濾過水の酢酸含有量は、ほぼ定常状態に達したと考えられる。従って、粗製テレフタル酸の酢酸湿潤結晶に対し、約1.9倍量(新たな水約0.5質量倍と、前回の濾過洗浄排出水約0.5質量倍と、前回の懸濁洗浄排出水約0.88質量倍との合計1.88倍量の懸濁洗浄水量)の水性溶媒による繰り返し懸濁洗浄を行い、さらに結晶に対して0.5倍量の新たな水による濾過洗浄によって、酢酸約0.41質量%含有の粗製テレフタル酸結晶が回収できることが確認できた。また、100gの結晶(乾燥質量)について、結晶質量に対して新たな1倍量の水(懸濁洗浄用の0.5倍量(50g)の水、濾過洗浄用の0.5倍量(50g)の新たな水)を用いて洗浄することによって、バランスした約1倍量(乾燥質量として100gの結晶に対する量)の洗浄排出水(約100g)が酢酸含有量11.2質量%で排出されることが確認できた。
<実施例2>
内径60mm、高さ約2600mm、段数25段の多孔板式抽出塔(アクリル製フランジ付き短管(90mm)に、ステンレス製ダウンカマー付き多孔板を挟んだ多孔板塔)を用い、15質量%の酢酸水溶液を170g/分の割合で塔頂部から供給した。一方で、塔底部からは、抽出剤としての酢酸ブチルを526g/分の割合(酢酸水溶液に対する溶媒比として3.1質量倍)で連続的に供給した(向流抽出)。そして、酢酸抽出液を塔頂部から、抽残液を塔底部から排出して、酢酸ブチルによる酢酸の連続抽出試験を実施した。なお、試験実施の抽出塔の平均温度は約35℃であった。
塔頂部から排出された酢酸抽出液(有機相)の排出量及び酢酸含有量、並びに、塔底部から排出された抽残液(水相)の排出量及び酢酸含有量の結果を表3に示す。
Figure 2015140342
表3に示すように、酢酸抽出液に含まれる酢酸含有量は4.4質量%であった。この結果から、酢酸抽出率は約98%であることがわかった。また、抽残液の酢酸含有量は0.4質量%であり、酢酸水溶液の殆どの酢酸が抽出されることが明らかになった。
<実施例3>
実施例2の多孔板式抽出塔を用い、10質量%の酢酸水溶液を100g/分の割合で塔頂部から、また、抽出剤としての酢酸イソブチルを300g/分の割合(酢酸水溶液に対する溶媒比として3質量倍)で塔底部から連続的に供給した。そして、実施例2と同様にして、酢酸の連続抽出試験を実施した。なお、試験実施の抽出塔の平均温度は約35℃であった。その結果を表4に示す。
Figure 2015140342
表4に示すように、酢酸抽出液に含まれる酢酸含有量は3.1質量%であった。この結果から、酢酸抽出率は約97%であることがわかった。また、抽残液の酢酸含有量は0.3質量%であり、酢酸水溶液の殆どの酢酸が抽出されることが明らかになった。なお、本実施例における段効率は、シミュレーションによる理論段数に対して約46%であることが確認された。
1 酸化反応槽
2 冷却凝縮器
3 気液分離器
4 追酸化反応槽
5 冷却凝縮器
6 気液分離器
7 晶析槽
8 冷却凝縮器
9 気液分離器
10 固液分離器(第一洗浄域を含む)
11 分離母液貯槽
12 洗浄排出液貯槽
23 スラリー調製槽
24 加熱器
25 溶解槽
26 水素化精製塔
27 第1晶析槽
28 第n晶析槽
29 第1固液分離器
30 分離母液貯槽
31 再スラリー槽
32 第2固液分離器
33 洗浄排出水貯槽
34 乾燥機
35 粉体供給機
36 粉体(精製テレフタル酸)貯槽
41 蒸発濃縮槽
42 加熱器
43 蒸発塔
44 脱水蒸留塔
45 加熱器
46 冷却凝縮器
47 油水分離槽
48 溶媒回収塔
49 加熱器
50 冷却凝縮器
1A 再スラリー槽(第二洗浄域を含む)
2A 第2固液分離器(第三洗浄域を含む)
3A 洗浄排出水貯槽
4A 酢酸抽出塔

Claims (9)

  1. パラキシレンを酢酸溶媒中で酸化させて粗製テレフタル酸結晶を生成させた後、固液分離器により分離された粗製テレフタル酸結晶を洗浄することによって粗製テレフタル酸結晶を得る粗製テレフタル酸製造工程と、
    前記粗製テレフタル酸製造工程での固液分離により発生した酢酸溶液に対して、含まれる溶媒酢酸を回収する溶媒酢酸回収工程と、
    前記粗製テレフタル酸製造工程において得られた粗製テレフタル酸結晶を水性溶媒に混合し、溶解して水素化精製したのち、精製テレフタル酸結晶を生成させて、その結晶を含む液から精製テレフタル酸結晶を固液分離して回収する粗製テレフタル酸精製工程と、を含み、以下の(1)〜(3)の操作が行われることを特徴とする精製テレフタル酸の製造方法。
    (1)前記粗製テレフタル酸製造工程においては、
    固液分離器による固液分離により得られた粗製テレフタル酸結晶を第一洗浄域に移動して、溶媒酢酸による少なくとも一回の洗浄を行ったのち、その洗浄結晶を第二洗浄域に移動する。第二洗浄域では、結晶の移動方向から得られる水性溶媒(洗浄排出水)及び/又は新たな水による少なくとも一回の洗浄を行ったのち、その洗浄結晶を第三洗浄域に移動する。第三洗浄域(最終洗浄域)では、新たな水による洗浄を行ったのち実質的に酢酸を含有しない粗製テレフタル酸湿潤結晶が回収される。
    前記固液分離器により分離された分離母液を分離母液貯槽に、第一洗浄域において行った溶媒酢酸による洗浄排出液を洗浄排出液貯槽に回収し、前記パラキシレンの酸化反応を行う酢酸溶媒として使用する。
    前記第二洗浄域において行われた水性溶媒及び/又は新たな水による洗浄排出水を回収し、少なくとも一回の第二洗浄域での洗浄水として繰り返し使用したのち、排出される洗浄排出水を洗浄排出水貯槽に回収する。
    前記第三洗浄域(最終洗浄域)において行われた洗浄排出水を回収し、結晶の移動方向と反対方向の第二洗浄域での洗浄のための水性溶媒として使用する。
    (2)前記溶媒酢酸回収工程においては、
    前記粗製テレフタル酸の分離洗浄過程から排出、回収された洗浄排出水貯槽の洗浄排出水を酢酸抽出塔に供給し、水と二相分離する抽出剤を用いて、酢酸抽出塔において洗浄排出溶水中の酢酸を抽出し、有機相である酢酸抽出液を回収するともに、水相からなる抽残液を得る。
    前記酢酸抽出液を脱水蒸留塔上部に供給して、脱水蒸留塔の塔底部から酢酸を回収し、脱水蒸留塔の塔頂部から、前記抽出剤を含む凝縮液を回収する。回収された凝縮液から油水分離槽を用いて二相分離することで抽出剤を分離、回収して、前記酢酸抽出塔の抽出剤として再使用するとともに、その一部を脱水蒸留塔の還流液として循環する。
    前記酢酸抽出塔から排出された抽残液は溶媒回収塔に供給し、溶解された抽出剤を回収する。
    (3)前記粗製テレフタル酸精製工程においては、
    前記第三洗浄域から回収された粗製テレフタル酸湿潤結晶をそのままスラリー調製槽に供給し、水素化精製用の水性溶媒と混合して、粗製テレフタル酸結晶スラリーを調製したのち、粗製テレフタル酸精製工程に供給する。
  2. 前記粗製テレフタル酸製造工程において、
    前記洗浄排出水貯槽に回収される洗浄排出水中の酢酸含有量が7.5質量%以上30質量%以下となるように、前記第三洗浄域及び/又は前記第二洗浄域からの洗浄排出水を用いて粗製テレフタル酸結晶の移動方向と反対方向に繰り返し洗浄を行うことを特徴とする請求項1に記載の精製テレフタル酸の製造方法。
  3. 前記洗浄排出水貯槽に回収される洗浄排出水中の酢酸含有量が7.5質量%以上20質量%以下であることを特徴とする請求項2に記載の精製テレフタル酸の製造方法。
  4. 前記第二洗浄域における洗浄法として、少なくとも一回の懸濁洗浄を行うことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の精製テレフタル酸の製造方法。
  5. 前記溶媒酢酸回収工程において用いられる抽出剤は、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、ベンゼン、トルエン、パラキシレン及びメタキシレンからなる群より選ばれる少なくとも一種の有機溶媒であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の精製テレフタル酸の製造方法。
  6. 前記酢酸抽出塔において用いられる抽出剤の量は、前記洗浄排出水貯槽に回収された洗浄排出水に対して3質量倍以上5.5質量倍以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の精製テレフタル酸の製造方法。
  7. 前記酢酸抽出塔において用いられる抽出剤は、前記脱水蒸留塔における共沸蒸留により脱水を行う共沸剤と同種類であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の精製テレフタル酸の製造方法。
  8. 前記酢酸抽出塔における酢酸の抽出は、前記洗浄排出水貯槽に回収される洗浄排出水と、前記抽出剤とを用いた向流多段階の抽出方式によって行われ、
    前記抽残液に残存する酢酸の含有量が0.7質量%以下になるまで酢酸の抽出が行われることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の精製テレフタル酸の製造方法。
  9. 前記向流多段階の抽出方式は向流多段式抽出塔で行われることを特徴とする請求項8に記載の精製テレフタル酸の製造方法。
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