JP2015137798A - 極低温冷凍機 - Google Patents
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Abstract
【課題】差圧駆動式の極低温冷凍機の故障リスクを低減する技術を提供する。【解決手段】極低温冷凍機100において、高圧流路は、高圧の冷媒ガスを流す。低圧流路は、低圧の冷媒ガスを流す。バルブ4は、高圧流路と低圧流路とを切り換える。シリンダ3は、高圧流路を介して受け入れた冷媒ガスを膨張させ、膨張させた冷媒ガスを低圧流路を介して排出させる。中間圧室23は、高圧流路を流れる冷媒ガスの圧力と、低圧流路を流れる低圧の冷媒ガスの圧力との間の圧力の冷媒ガスを格納する。ピストン25は、シリンダ3における冷媒ガスの圧力と、中間圧室23における冷媒ガスの圧力との差圧で駆動する。バルブ4は、ピストン25を動力として動作する。【選択図】図2
Description
本発明は、冷媒ガスを膨張させて発生した冷熱を蓄冷材に蓄冷する蓄冷器式の極低温冷凍機に関する。
極低温を発生する冷凍機としてギフォードマクマホン(Gifford-McMahon;GM)冷凍機が知られている。GM冷凍機は、シリンダ内でディスプレーサを往復移動することにより、膨張空間の体積を変化させる。この体積変化に対応して膨張空間と圧縮機の吐出側と吸気側とを選択的に接続することで、冷媒ガスが膨張空間で膨張する。GM冷凍機の中には、モータを用いてディスプレーサを駆動する種類のものと、以下の特許文献1のように、圧力の異なる冷媒ガスの差圧を利用してディスプレーサを駆動する種類のものとが存在する。
圧力の異なる冷媒ガスの差圧を利用してディスプレーサを駆動する種類の極低温冷凍機は、ディスプレーサを駆動するためのモータは用いない。しかしながら、この種類の極低温冷凍機であっても、冷媒ガスの導入および排出を切り換えるためのバルブを駆動するためにモータを用いる。
モータは回転軸や回転軸を支える軸受、磁石のような機械部品や、コイル等の電機部品から構成される複雑な部品であり、故障のリスクが存在する。一方、極低温冷凍機は、例えば超伝導コイルの冷却に用いられるが、超伝導コイルは温度が上昇すると超伝導性が低下する。このため、極低温冷凍機の故障リスクを低減することが望まれている。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、差圧駆動式の極低温冷凍機の故障リスクを低減する技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の極低温冷凍機は、高圧の冷媒ガスを流す高圧流路と、低圧の冷媒ガスを流す低圧流路と、高圧流路と低圧流路とを切り換えるバルブと、高圧流路を介して受け入れた冷媒ガスを膨張させ、膨張させた冷媒ガスを低圧流路を介して排出させるシリンダと、高圧流路を流れる冷媒ガスの圧力と、低圧流路を流れる低圧の冷媒ガスの圧力との間の圧力の冷媒ガスを格納する中間圧室と、シリンダにおける冷媒ガスの圧力と、中間圧室における冷媒ガスの圧力との差圧で駆動するピストンとを備える。バルブは、ピストンを動力として動作する。
本発明によれば、差圧駆動式の極低温冷凍機の故障リスクを低減することができる。
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら説明する。
(前提技術)
極低温冷凍機として、ギフォードマクマホン冷凍機やスターリング冷凍機等がある。以下、本発明の実施の形態に係る極低温冷凍機の前提技術として、ギフォードマクマホン冷凍機のうち、冷媒ガスの差圧を動力として動作する差圧駆動式の極低温冷凍機について簡単に説明する。
極低温冷凍機として、ギフォードマクマホン冷凍機やスターリング冷凍機等がある。以下、本発明の実施の形態に係る極低温冷凍機の前提技術として、ギフォードマクマホン冷凍機のうち、冷媒ガスの差圧を動力として動作する差圧駆動式の極低温冷凍機について簡単に説明する。
図1(a)−(b)は、実施の形態の前提技術に係る極低温冷凍機1を示す模式図である。図1(a)および図1(b)に示すように、この極低温冷凍機1は、圧縮機2からの高圧の冷媒ガスをシリンダ3内に導入および排出するためのバルブ4を有している。冷媒ガスとしては、ヘリウムガスを用いることができるがこれに限定されるものではない。
圧縮機2は、低圧配管2aが接続された吸気側から低圧の冷媒ガスを回収し、これを圧縮した後に吐出側に接続された高圧配管2bに高圧の冷媒ガスを供給する。圧縮機2から供給される冷媒ガスは、第1カップリング5aからモータハウジング6に導入される。
モータハウジング6は気密性の保たれた気密容器となっており、バルブモータ7を収容する。モータハウジング6内の気密容器は、圧縮機2から供給される高圧の冷媒ガスも収容する。
ベース8は、モータハウジング6と隣接して設けられる。モータハウジング6内の気密容器の気密性を保つために、モータハウジング6とベース8との間にはシール部材9が設けられる。また、ベース8と嵌合するようにバルブステム10が設けられている。ベース8とバルブステム10とによって、冷媒ガスを収容可能な空間であるサージボリューム11が形成される。詳細は後述するが、サージボリューム11は、圧縮機2から供給される高圧の冷媒ガスの圧力よりもやや低い圧力の冷媒ガスを収容する。
サージボリューム11の気密性を保つために、ベース8とバルブステム10との間も複数のシール部材12が設けられる。煩雑となることを避けるために、図1(a)−(b)において、シール部材12の符号は1カ所のみ示したが、ベース8とバルブステム10との間に存在する黒塗りの矩形は、シール部材12を示す。バルブ4は、バルブモータ7の回転軸と接続され、バルブモータ7を動力としてバルブステム10と面接触しながら回転する。
ディスプレーサ13はシリンダ3に収容され、シリンダ3との間に冷媒ガスの膨張空間14を形成する。ディスプレーサ13は円筒状の外周面を有しており、ディスプレーサ13の内部には、図示しない蓄冷材が充填されている。これにより、ディスプレーサ13の内部容積は蓄冷器15として機能する。ディスプレーサ13はシリンダ3内部で往復可能であり、シリンダ3内でディスプレーサ13が往復移動することで膨張空間14内の冷媒ガスが膨張し、寒冷が発生する。
バルブステム10には、モータハウジング6内の冷媒ガスを膨張空間14に導入したり、膨張空間14内の冷媒ガスを第2カップリング5bを介して圧縮機2に排出したりするための第1ガス流路16が形成されている。ベース8にも、膨張空間14内の冷媒ガスを第2カップリング5bを介して圧縮機2に排出するための第2ガス流路17が設けられており、第1ガス流路16と第2ガス流路17とは、バルブ4を介して連通可能である。
バルブステム10にはまた、第1ガス流路16を流れる冷媒ガスの一部をサージボリューム11に導入するためのガス分岐路18が、第1ガス流路16から分岐して設けられている。ガス分岐路18のサージボリューム11側の出口には、ガス分岐路18からサージボリューム11内に導入される冷媒ガスの流量を調整するために、キャピラリ19が設けられている。
サージボリューム11には、サージボリューム11内の冷媒ガスの圧力を調整するために、ブリード20が設けられている。ブリード20は第2ガス流路17と連通しており、サージボリューム11内の冷媒ガスの一部を圧縮機2に排出することができる。サージボリューム11にはさらに、サージボリューム11内の冷媒ガスの圧力を調整するためのオリフィス21も設けられている。
サージボリューム11は、第3ガス流路22を介して、中間圧室23と連通している。中間圧室23は、圧縮機2が吸気する低圧の冷媒ガスの圧力より高く、圧縮機2が供給する高圧の冷媒ガスの圧力よりも低い圧力の冷媒ガスを格納する。より具体的には、中間圧室23内の冷媒ガスは、高圧の冷媒ガスの圧力と低圧の冷媒ガスの圧力との、中間の圧力であることが好ましい。
中間圧室23と、シリンダ3の内部空間のうちディスプレーサ13を収容している空間(以下、シリンダ3の内部空間のうちディスプレーサ13を収容している空間を、単に「シリンダ」ということもある。)との間は、シール部材24が設けられている。これにより、シリンダ3内の冷媒ガスの圧力と、中間圧室23内の冷媒ガスの圧力との間に差圧が生じる。
上述したように、バルブ4は、バルブモータ7を動力として回転する。バルブ4には、高圧な冷媒ガスをシリンダ3内に導入するための導入管路と、シリンダ3内の冷媒ガスを圧縮機2に排出するための排出管路とが設けられている。バルブモータ7を動力として回転することで、バルブ4は導入管路と排出管路とを切り換える。
図1(a)は、シリンダ3内への冷媒ガスの導入時におけるバルブ4の位置を示している。バルブ4の導入管路が第1ガス流路16と接続することにより、モータハウジング6とシリンダ3とが連通し、高圧の冷媒ガスがシリンダ3内に供給される。この意味で、バルブ4の導入管路と第1ガス流路16とは、高圧の冷媒ガスが流れる高圧流路として機能する。
図1(b)は、圧縮機2への冷媒ガスの排出時におけるバルブ4の位置を示している。バルブ4の排出管路が第1ガス流路16と第2ガス流路17とを接続することにより、シリンダ3と低圧配管2aとが連通する。これにより、シリンダ3内の冷媒ガスが圧縮機2に排出される。この意味で、バルブ4の導入管路、第1ガス流路16、および第2ガス流路17は、低圧の冷媒ガスが流れる低圧流路として機能する。
次に、実施の形態の前提技術に係る極低温冷凍機1の動作を説明する。
圧縮機2から供給される高圧の冷媒ガスは、高圧配管2bおよび第1カップリングを介してモータハウジング6内に供給される。バルブ4はバルブモータ7を動力として回転駆動することにより、図1(a)に示すように、ある時点でバルブ4の導入管路が第1ガス流路と接続されて高圧流路が形成される。モータハウジング6内の高圧の冷媒ガスは、高圧流路を介してシリンダ3に供給される。
シリンダ3内に供給された高圧の冷媒ガスは、ディスプレーサ13を介して膨張空間14に到達する。シリンダ3内に高圧の冷媒ガスが供給されるにしたがってシリンダ3内の圧力が上昇し、中間圧室23内の冷媒ガスの圧力よりも高くなる。これにより、中間圧室23内の圧力とシリンダ3内の圧力との差圧によって、ディスプレーサ13は中間圧室23側に向かって移動する。ディスプレーサ13冷媒ガスは蓄冷材によって冷却されながら膨張空間14に至り、膨張空間14の体積が増加する。
一方、バルブ4が回転し、図1(b)に示すように、バルブ4の排出管路が第1ガス流路16と第2ガス流路17とを接続すると、シリンダ3と圧縮機2との間に低圧流路が形成される。これにより、膨張空間14内の冷媒ガスが一気に減圧され、発生した冷熱で冷却された冷媒ガスが、ディスプレーサ13内の蓄冷材を冷却しながら第2カップリング5bを介して圧縮機2に排出される。この際、シリンダ3内の冷媒ガスの圧力は中間圧室23内の冷媒ガスの圧力よりも低くなる。これにより、中間圧室23内の圧力とシリンダ3内の圧力との差圧によって、ディスプレーサ13は膨張空間14に向かって移動し、膨張空間14の体積が減少する。
以下本明細書において、説明の便宜のため、シリンダ3内の冷媒ガスの圧力が中間圧室23内の冷媒ガスの圧力よりも高くなったときにディスプレーサ13が動く方向を「上方向」と記載し、その逆の方向を「下方向」と記載することがある。しかしながら、「上方向」と「下方向」とはディスプレーサ13が動く方向を示す便宜上の言葉であり、極低温冷凍機1が実際に設置される向きとは関係しない。
以上のように、バルブモータ7によってバルブ4が回転駆動することにより、シリンダ3の端部のうち、膨張空間14が形成される側の端部が極低温に冷却される。また、得られた冷熱がディスプレーサ13内の蓄冷材に蓄えられる。なお、実施の形態の前提技術に係る極低温冷凍機1において、ディスプレーサ13はシリンダ3の内圧と中間圧室23の内圧との差圧を動力として往復駆動する。このため、ディスプレーサ13を駆動するためのモータ等の動力装置は不要である。
(実施の形態)
以上、本発明の実施の形態の前提技術に係る極低温冷凍機1について説明した。続いて、実施の形態に係る極低温冷凍機について説明する。
以上、本発明の実施の形態の前提技術に係る極低温冷凍機1について説明した。続いて、実施の形態に係る極低温冷凍機について説明する。
前提技術に係る差圧駆動式の極低温冷凍機1において、バルブモータ7は、高圧の冷媒ガスの導入と低圧の冷媒ガスの排出とを切り換えるためにバルブ4を回転させる動作のみを担っている。バルブモータ7は、例えばディスプレーサ13の往復駆動等、冷媒ガスの導入や排出の切替以外の仕事は担っていない。
一方で、前提技術に係る差圧駆動式の極低温冷凍機1において、ディスプレーサ13の往復駆動は、シリンダ3の内圧と中間圧室23の内圧との差圧を、シール部材24で受けることによって実現している。
本願の発明者は、シリンダ3の内圧と中間圧室23の内圧との差圧を、ディスプレーサ13の往復駆動の動力のみならず、バルブ4の駆動力として用いることにより、差圧駆動式の極低温冷凍機1からバルブモータ7を取り除くことができる可能性について認識するに至った。より具体的には、バルブ4が高圧の冷媒ガスの導入と低圧の冷媒ガスの排出とを切り換えることでディスプレーサ13を駆動させ、そのディスプレーサ13の駆動を動力としてバルブを切り換えることができれば、バルブの切り換えるためのバルブモータ7が不要となる。これにより、極低温冷凍機1のコストの削減や、モータの故障による極低温冷凍機1の故障リスクを低減することができる可能性について認識するに至った。
実施の形態に係る極低温冷凍機は、バルブ4の駆動力にシリンダ3の内圧と中間圧室23の内圧との差圧を用いることで、前提技術に係る差圧駆動式の極低温冷凍機1からバルブモータ7を取り除いた構成となっている。以下、実施の形態に係る極低温冷凍機について図面を参照しながら説明する。
図2は、実施の形態に係る極低温冷凍機100を示す模式図である。以下において、実施の形態に係る極低温冷凍機100を構成する部材のうち、前提技術に係る極低温冷凍機1と共通する部材については同一の符号を付して説明する。また、実施の形態に係る極低温冷凍機100と前提技術に係る極低温冷凍機1とで重複する説明については、適宜省略または簡略化して記載し、主に相違点を中心に説明する。
実施の形態に係る極低温冷凍機100は、前提技術に係る極低温冷凍機1と比較すると、バルブ4を回転駆動するためのバルブモータ7を含まない。このため、実施の形態に係る極低温冷凍機100は、モータハウジング6も有しない。一方で、実施の形態に係る極低温冷凍機100は、前提技術に係る極低温冷凍機1が備えないピストン25を備える。ピストン25は、一端がディスプレーサ13に接続し、他端がバルブ4と接触している。
上述したように、ディスプレーサ13は、中間圧室23における冷媒ガスの圧力と、シリンダ3における冷媒ガスの圧力との差圧を動力として往復駆動する。ピストン25の一端はディスプレーサ13に接続しているため、ピストン25は、ディスプレーサ13の往復駆動と連動して往復駆動する。
詳細は後述するが、図2に示すように、ピストン25の他端はピストン25の軸方向に対して傾斜する面を備える。この面と、バルブ4に設けられた傾斜面とが面接触しており、ピストン25の軸方向における運動が、バルブ4における軸方向と直交する方向の運動に変換されて伝達される。これにより、バルブ4はディスプレーサ13の往復駆動を動力として作動することになる。ピストン25のバルブ4と接触する端部は、例えばフッ素樹脂のような摩擦係数が少ない部材でコーティングすることが好ましい。同様に、バルブ4に設けられた傾斜面も、フッ素樹脂のような摩擦係数が少ない部材でコーティングすることが好ましい。
バルブ4はコイル等の弾性体26を介してベース8と接続する。ディスプレーサ13の往復駆動を動力として作動したバルブ4は、弾性体26の付勢力によって元に位置に戻る。
図3(a)−(c)は、実施の形態に係るバルブ4の往復駆動を説明するための模式図である。より具体的に、図3(a)は、実施の形態に係る極低温冷凍機100の吸気工程におけるバルブ4の位置を示す模式図である。吸気工程においては、ディスプレーサ13は下死点に位置し、バルブ4は弾性体26の付勢力によって基準位置に存在する。
ここでバルブ4の「基準位置」とは、実施の形態に係る極低温冷凍機100の動作が停止しているとき、すなわち、圧縮機2の動作が停止しているときに、バルブ4が存在する位置であり、いわばニュートラルポジションである。図3(a)は、バルブ4における導入管路27が第1ガス流路16と接続され、導入管路27と第1ガス流路16とは高圧流路を形成することを示している。このように、図3(a)に示す例では、高圧の冷媒ガスが圧縮機2からシリンダ3内に導入可能となる状態が、バルブ4の「基準位置」として示されている。
バルブ4が基準位置にあるとき、導入管路27と第1ガス流路16とは高圧流路を構成し、シリンダ3内に高圧の冷媒ガスが導入される。これによりシリンダ3内の冷媒ガスの圧力が上昇し、やがて中間圧室23内の冷媒ガスの圧力よりも高くなる。シリンダ3内の冷媒ガスの圧力が中間圧室23内の冷媒ガスの圧力よりも高くなると、その差圧によってディスプレーサ13はバルブ4の方向(上述した上方向)に移動し、膨張空間14の体積が増加する。これに伴い、ディスプレーサ13に接続されたピストン25も、上方向に移動する。
バルブ4には、ピストン25の駆動方向に対して傾斜するように設けられた傾斜面29を備える。ピストン25の端部は、バルブ4の傾斜面29と面接触するように構成されており、ピストン25の往復運動がバルブ4に作用する力は、その往復運動の方向に対して平行な成分と垂直な成分とを持つことになる。
ここで、圧縮機2が供給する高圧の冷媒ガスの圧力は例えば2.2MPaであり、圧縮機2が吸気する低圧の冷媒ガスの圧力は、例えば0.8MPaである。このため、バルブ4は高圧の冷媒ガスの圧力と低圧の冷媒ガスの圧力との差圧程度の力(1.4MPa程度)でバルブステム10に押しつけられることになる。
上述したとおり、ディスプレーサ13は、中間圧室23内の冷媒ガスの圧力とシリンダ3内の冷媒ガスの圧力との差圧を動力として駆動する。ここで、中間圧室23内の冷媒ガスの圧力が、高圧の冷媒ガスの圧力と低圧の冷媒ガスの圧力との中間の圧力であるとすれば、その値は1.5MPaとなる。この場合、中間圧室23内の冷媒ガスの圧力とシリンダ3内の冷媒ガスの圧力との差圧は、最大で0.7MPa程度となる。
したがって、ピストン25の往復運動によって、上方向の力をバルブ4に作用させても、バルブ4はその方向に動くことはない。ゆえに、バルブ4は、往復運動するピストン25から力を受けることにより、その往復運動の方向に対して垂直な方向に移動する。ピストン25の往復運動の方向を縦とするならば、バルブ4は横方向に摺動する。
図3(b)は、実施の形態に係る極低温冷凍機100の移送工程におけるバルブ4の位置を示す模式図である。往復運動するピストン25から力を受けることによってバルブ4は横方向に摺動し、図3(b)に示すように、移送工程においてはバルブ4の導入管路27は、第1ガス流路16から切断される。また、移送工程においてはバルブ4の排出管路28は第2ガス流路17から切断されている。以上より、移送工程においてはシリンダ3は圧縮機2の吸気側および排気側とのいずれとも切断される。バルブ4がさらに横方向に摺動すると、実施の形態に係る極低温冷凍機100は排気工程に移行する。
図3(c)は、実施の形態に係る極低温冷凍機100の排気工程におけるバルブ4の位置を示す模式図である。図3(c)においては、ディスプレーサ13は上死点に到達し、バルブ4内の排出管路28は第2ガス流路17と接続する。バルブ4の導入管路27、第1ガス流路16、および第2ガス流路17によって低圧流路が形成され、シリンダ3は圧縮機2の吸気側と連通する。この結果、シリンダ3内の冷媒ガスが圧縮機2に排出され、シリンダ3において寒冷が発生する。
シリンダ3内の冷媒ガスが圧縮機2に排出されるとシリンダ3内の冷媒ガスの圧力は下降し、やがて中間圧室23内の冷媒ガスの圧力よりも小さくなる。この結果、ディスプレーサ13は膨張空間14の方向、すなわち下方向に向かって移動し、膨張空間14の体積が減少する。バルブ4は、弾性体26の付勢力によって基準位置に向かって移動する。この結果、バルブ4は図3(b)に示す移送工程を経て、図3(a)に示す吸気工程に戻る。
このように、バルブ4はディスプレーサ13に接続されたピストン25の縦方向の往復駆動を動力として横方向に往復駆動する。これにより、バルブ4は、導入管路27と排出管路28とを切り換え、シリンダ3と高圧流路との接続、およびシリンダ3と低圧流路との接続を切り換える。
上述したように、バルブ4の往復駆動は、導入管路27から排出管路28に切り換える往路動作と、排出管路28から導入管路27に切り換える復路動作とを含み、往路動作と復路動作とを繰り返すことでシリンダ3において寒冷を発生させる。図3に示す例では、バルブ4の往路動作はディスプレーサ13に接続されたピストン25の往復駆動を動力として駆動し、復路動作は弾性体26の付勢力を動力として駆動する場合を示すが、これには限られない。
バルブ4は、往路動作と復路動作とのいずれか一方をピストン25の往復駆動、すなわちシリンダ3の内圧と中間圧室23の内圧との差圧を動力として駆動し、もう一方は弾性体26の付勢力を動力として駆動すればよい。したがって、バルブ4は復路動作を差圧を動力として駆動し、往路動作を弾性体26の付勢力を動力として駆動するようにしてもよい。この場合、図3(c)に示す排気工程におけるバルブ4の位置が、バルブ4の基準位置となる。すなわち、排出管路28が第2ガス流路17と接続され、排出管路28と第2ガス流路17、および第1ガス流路16が低圧流路を形成する位置が、バルブ4の基準位置となる。
以上説明したように、実施の形態に係る極低温冷凍機100は、シリンダ3の内圧と中間圧室23の内圧との差圧を動力として、バルブ4を駆動する。これにより、バルブ4の駆動にバルブモータが不要となり、故障リスクを低減することができる。さらには、極低温冷凍機100のコンパクト化、コスト削減、および振動の抑制にも資する。
上述したように、本発明によれば、差圧駆動式の極低温冷凍機100の故障リスクを低減することができる。
以上本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明は上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形および置換を加えることができる。
(第1の変形例)
図4は、実施の形態の第1の変形例に係るバルブ4を説明するための模式図である。図4に示すバルブ4は、図3(a)−(c)に示す例と比較して、第1ピン30a、第2ピン30b、および溝部31をさらに備える。
図4は、実施の形態の第1の変形例に係るバルブ4を説明するための模式図である。図4に示すバルブ4は、図3(a)−(c)に示す例と比較して、第1ピン30a、第2ピン30b、および溝部31をさらに備える。
第1ピン30aと第2ピン30bとはともに、例えばベース8の内壁に固定され、ディスプレーサ13の往復駆動の方向とバルブ4の往復駆動の方向との両者に直行する方向に延在する。バルブ4は、第1ピン30aと第2ピン30bとを収容する溝部31を備える。ここで、バルブ4の溝部31は、バルブ4が吸気工程に位置するとき、第1ピン30aが溝部31の一端と接するように構成されている。バルブ4の溝部31はまた、バルブ4が排気工程に位置するとき、第2ピン30bが溝部31の他端と接するように構成されている。すなわち、第1ピン30aと第2ピン30bとは、バルブ4の往復駆動を規制するための規制手段として機能する。これにより、バルブ4の往復駆動の振幅が一定範囲となることが保証され、極低温冷凍機100の吸気工程と排気工程との精度を向上することができる。
(第2の変形例)
図5は、実施の形態の第2の変形例に係るバルブ4を説明するための模式図である。図5に示すバルブ4は、図3(a)−(c)に示す例と比較して、ピン32および溝部33をさらに備えるが、弾性体26は有しない。
図5は、実施の形態の第2の変形例に係るバルブ4を説明するための模式図である。図5に示すバルブ4は、図3(a)−(c)に示す例と比較して、ピン32および溝部33をさらに備えるが、弾性体26は有しない。
ピン32は、ピストン25と交差して接続している。より具体的には、ピン32は、ディスプレーサ13の往復駆動の方向とバルブ4の往復駆動の方向との両者に直行する方向に延在するように、ピストン25と交差して接続している。ピン32は、バルブ4の内部に設けられた溝部33に収容される。溝部33は、図3(a)−(c)に示す傾斜面29と同様に、ピストン25の駆動方向とバルブ4の駆動方向との両者に対して傾斜するように設けられている。
極低温冷凍機100が吸気工程から吸気工程に移行するまでの間は、ピストン25は、上述した「上方向」に向かって移動する。これに伴い、溝部33の上方向の面は、ピン32から「上方向」に力を受ける。溝部33はピストン25の駆動方向に対して傾斜するように設けられているため、溝部33は横方向にも力を受ける。この結果、バルブ4は摺動して往路動作をする。
極低温冷凍機100が排気工程から吸気工程に移行するまでの間は、ピストン25は下方向に向かって移動する。このとき、溝部33の下方向の面は、ピン32から下方向に力を受ける。溝部33はピストン25の駆動方向に対して傾斜するように設けられているため、溝部33は横方向にも力を受ける。この結果、バルブ4は摺動して復路動作をする。
このように、第2の変形例に係るバルブ4は、往路動作と復路動作との両者とも、シリンダ3の内圧と中間圧室23の内圧との差圧を動力として駆動する。図3(a)−(c)に示す例と比較すると、弾性体26を省略することができる。弾性体26は経年変化によって付勢力が低下しうる。弾性体26の付勢力の低下はバルブ4の動作に影響するため極低温冷凍機100の故障の原因となり得るが、第2の変形例に係るバルブ4によれば弾性体26が不要となるので、極低温冷凍機100の故障リスクをさらに低減することができる。
(第3の変形例)
上述した極低温冷凍機においては段数が一段である場合を示したが、この段数は二段以上に適宜選択することが可能である。
上述した極低温冷凍機においては段数が一段である場合を示したが、この段数は二段以上に適宜選択することが可能である。
2 圧縮機、 2a 低圧配管、 2b 高圧配管、 3 シリンダ、 4 バルブ、 5a 第1カップリング、 5b 第2カップリング、 6 モータハウジング、 7 バルブモータ、 8 ベース、 9 シール部材、 10 バルブステム、 11 サージボリューム、 12 シール部材、 13 ディスプレーサ、 14 膨張空間、 15 蓄冷器、 16 第1ガス流路、 17 第2ガス流路、 18 ガス分岐路、 19 キャピラリ、 20 ブリード、 21 オリフィス、 22 第3ガス流路、 23 中間圧室、 24 シール部材、 25 ピストン、 26 弾性体、 27 導入管路、 28 排出管路、 29 傾斜面、100 極低温冷凍機。
Claims (5)
- 高圧の冷媒ガスを流す高圧流路と、
低圧の冷媒ガスを流す低圧流路と、
前記高圧流路と前記低圧流路とを切り換えるバルブと、
前記高圧流路を介して受け入れた冷媒ガスを膨張させ、膨張させた冷媒ガスを前記低圧流路を介して排出させるシリンダと、
前記高圧流路を流れる冷媒ガスの圧力と、前記低圧流路を流れる低圧の冷媒ガスの圧力との間の圧力の冷媒ガスを格納する中間圧室と、
前記シリンダにおける冷媒ガスの圧力と、前記中間圧室における冷媒ガスの圧力との差圧で駆動するピストンとを備え、
前記バルブは、前記ピストンを動力として動作することを特徴とする極低温冷凍機。 - 前記中間圧室における冷媒ガスの圧力と前記シリンダにおける冷媒ガスの圧力との差圧を動力として往復運動するディスプレーサをさらに備え、
前記バルブは、前記ディスプレーサの往復運動を動力として作動することを特徴とする請求項1に記載の極低温冷凍機。 - 前記バルブは、前記高圧流路と接続する導入管路と、前記低圧流路と接続する排出管路とを備え、往復運動することによって前記導入管路と前記排出管路とを切り換えることを特徴とする請求項1または2に記載の極低温冷凍機。
- 前記バルブの往復運動は、前記導入管路から前記排出管路に切り換える往路動作と、前記排出管路から前記導入管路に切り換える復路動作とを含み、
本極低温冷凍機は、前記バルブと接続する弾性体をさらに備え、
前記バルブは、前記往路動作と前記復路動作とのいずれか一方は前記差圧を動力として作動し、もう一方は前記弾性体の付勢力を動力として作動することを特徴とする請求項3に記載の極低温冷凍機。 - 前記弾性体は、本極低温冷凍機が停止しているとき、付勢力によって前記高圧流路と前記バルブにおける前記導入管路とが接続させるか、または前記低圧流路と前記排出管路とが接続させるかのいずれか一方となるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の極低温冷凍機。
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JP2014009363A JP2015137798A (ja) | 2014-01-22 | 2014-01-22 | 極低温冷凍機 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113302439A (zh) * | 2019-01-15 | 2021-08-24 | 住友重机械工业株式会社 | 超低温制冷机的启动方法、超低温制冷机 |
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-
2014
- 2014-01-22 JP JP2014009363A patent/JP2015137798A/ja active Pending
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