JP2015135367A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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貴和子 廣原
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貴和子 廣原
渡邊 真弘
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真弘 渡邊
輝樹 草原
Teruki Kusahara
輝樹 草原
歩 佐藤
Ayumi Sato
歩 佐藤
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Abstract

【課題】低温において良好な定着性を達成すると共に、経時帯電量を維持することができ、鮮鋭性が良好で、高品質な画像を長期間に亘って形成できる静電荷像現像用トナーを提供すること。【解決手段】結晶性樹脂を含む2種以上の結着樹脂及び帯電制御剤が有機溶媒中に溶解又は分散された油相を、水系媒体中で分散乃至乳化して得られ、前記結着樹脂は、テトラヒドロフランに可溶な成分の重量平均分子量Mwが1?103〜7?103ある樹脂を含み、前記油相は、TAインスツルメンツAR2000(TA Instruments AR2000)レオメーターを用いて回転速度が60rpm、当該油相の温度が15〜25℃、且つ固形分が50重量%である条件で測定した粘度が100〜2000mPa・sであることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用トナーに関する。
本発明は電子写真法、静電記録法、静電印刷法の如き画像形成方法に用いられる静電荷像現像用トナーに関し、近年の市場においては長寿命化、低温定着性および高画質化等の様々な要望があり、これらを達成すべく種々の検討が為されている。
例えば特許文献1では、静電荷像現像用トナーの製造における油相中の粘度を規定することにより低温定着性に優れると共に、ブレードクリーニングを使用する画像形成装置における転写残トナーが少なく、高画質で高い解像度の画像が得られることが記載されている。
しかしながら、低温定着性について充分な検討が為されておらず、また、油相粘度と帯電特性の関係については何ら検討が為されておらず、近年の市場からの様々な要望に対して充分に満足のいくものではない。なお、特許文献1における油相中の粘度は、後述する本発明とは用いる粘度計および測定条件が異なるため、特許文献1において開示されたものは本発明の範囲には属しないものとなっており、さらなる改善が求められている。
また特許文献2では、結着樹脂にポリカーボネート樹脂を用いて分散を小粒径化することで低温定着が可能であると共に、充分な帯電性、および現像性を有する静電荷像現像用トナーが得られることが記載されている。
しかしながら、静電荷像現像用トナーの帯電の立ち上がりについて充分な検討が為されておらず、また、低温定着性において安定的な結果が得られず、更なる改善を要するものである。
さらに特許文献3では、層状無機鉱物が有する層間のイオンの少なくとも一部を有機物イオンで変性した変性層状無機鉱物を含んだ静電荷像現像用トナーが記載され、低温定着性において検討が為されている。
しかしながら、帯電安定性について充分な検討が為されておらず、近年の市場からの様々な要望に対して充分に満足のいくものではない。
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、低温において良好な定着性を達成すると共に、経時帯電量を維持することができ、鮮鋭性が良好で、高品質な画像を長期間に亘って形成できる静電荷像現像用トナーを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る静電荷像現像用トナーは、結晶性樹脂を含む2種以上の結着樹脂及び帯電制御剤が有機溶媒中に溶解又は分散された油相を、水系媒体中で分散乃至乳化して得られる静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂は、テトラヒドロフランに可溶な成分の重量平均分子量Mwが1×10〜7×10ある樹脂を含み、前記油相は、TAインスツルメンツAR2000(TA Instruments AR2000)レオメーターを用いて回転速度が60rpm、当該油相の温度が15〜25℃、且つ固形分が50重量%である条件で測定した粘度が100〜2000mPa・sであることを特徴とする。
本発明によれば、低温定着性に優れ、経時帯電量を維持することができ、高品質な画像を長期間に亘って形成することができる静電荷像現像用トナーを提供することができる。
本発明に係る静電荷像現像用トナーは、結晶性樹脂を含む2種以上の結着樹脂及び帯電制御剤が有機溶媒中に溶解又は分散された油相を、水系媒体中で分散乃至乳化して得られる静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂は、テトラヒドロフランに可溶な成分の重量平均分子量Mwが1×10〜7×10ある樹脂を含み、前記油相は、TAインスツルメンツAR2000(TA Instruments AR2000)レオメーターを用いて回転速度が60rpm、当該油相の温度が15〜25℃、且つ固形分が50重量%である条件で測定した粘度が100〜2000mPa・sであることを特徴とする。
本発明によれば、低温において良好な定着性を達成すると共に、経時帯電量を維持することができ、高品質な画像を形成できる静電荷像現像用トナーを提供することができる。従来、結晶性樹脂を用いて油相の粘度が上記範囲外であるものに対して、これまで種々の検討が為されてきたが、本発明では、新たな結着樹脂を用いると共に油相粘度を最適なものとすることで、高解像度で高画質の静電荷像現像用トナーを得ることが可能となった。
次に、本発明に係る静電荷像現像用トナーについてさらに詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
≪静電荷像現像用トナー≫
本発明に係る静電荷像現像用トナーは、少なくとも結着樹脂及び帯電制御剤が有機溶媒中に溶解又は分散された油相を、水系媒体中で分散乃至乳化して得られる静電荷像現像用トナーである。また、結着樹脂及び帯電制御剤が含有されたトナー母体と、該トナー母体表面に付着してなる外添剤と、を有することが好ましい。さらにトナー母体は、着色剤、離型剤、有機微粒子、層間のイオンの少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物を含有することが好ましい。
次に、本発明に係る静電荷像現像用トナー(以下において単にトナーと称する場合もある)を構成する各材料について、以下においてそれぞれ説明する。
≪結着樹脂≫
本発明に用いられる結着樹脂としては、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
中でも前記結晶性樹脂としてポリエステル骨格を有する結晶性ポリエステル樹脂を含み、さらに非結晶性樹脂としてポリエステル骨格を有する非結晶性ポリエステル樹脂及び/または非結晶性ビニル樹脂を含むことが帯電特性及び定着性の面でより好ましい。また、結着樹脂は、少なくとも2種類の結着樹脂を含むことが好ましい。
本発明に好ましく用いられるポリエステル樹脂の組成は以下の通りである。
ポリエステル樹脂は、全成分中45〜55mol%がアルコール成分であり、45〜55mol%が酸成分であることが好ましい。
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA;のジオール類が挙げられる。
全酸成分中50mol%以上2価のカルボン酸を含むことが好ましい。2価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物、炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたこはく酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物が挙げられる。
特に好ましいポリエステル樹脂のアルコール成分としてはビスフェノール誘導体であり、酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸又はその無水物、こはく酸、N−ドデセニルコハク酸、又はその無水物、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸の如きジカルボン酸類等が挙げられる。
ポリエステル樹脂において、架橋点間の距離の長いゲル成分をつくる方法としては、(1)線状ポリエステル或いはゲル成分の少ないポリエステルを合成した後、3価以上のアルコール或いは酸を添加し、縮重合させる方法、(2)縮重合反応活性の違いを利用して、3価以上のアルコール或いは酸を用いてゲル成分の少ないポリエステルを合成した後、これとは別に、合成した線状ポリエステル或いは非線状ポリエステル及び3価以上のアルコール或いは酸を混合し、さらに縮重合させる方法、等が挙げられる。
数平均分子量が1000〜50000の比較的低分子量の樹脂と、架橋点間距離の長いゲル成分とを有する樹脂組成物をつくる方法としては、低分子量成分の樹脂とゲル成分を有する樹脂をそれぞれ別々に合成し、混合する方法、ポリエステルの場合は、ジアミンやジイソシアネートなど、分子量分布を広げる効果を有するものを、(A)線状ポリエステルを合成する場合に添加する方法、或いは、(B)架橋点間距離の長いゲル成分をつくるときに反応系に添加する方法などが挙げられる。
(非結晶性樹脂)
非結晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)は35〜70℃が好ましい。
また、非結晶性樹脂のテトラヒドロフラン(THF)に可溶な成分の重量平均分子量(Mw)は、1×10〜7×10であることが好ましい。Mwが1×10未満であると耐熱保存性が悪く、高温高湿下での長期ランニングにおいて帯電部材へのスペントが発生する。一方、Mwが7×10を超えると低温定着性が悪いため、定着時に低温オフセットが発生する。
本発明において分子量の測定は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるクロマトグラムによって行い、次の条件で行われる。なお、他の結着樹脂の分子量測定も同様である。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに,溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6重量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical co.製あるいは,東洋ソーダ工業社製の分子量が6×10,2.1×10,4×10,1.75×10,5.1×10,1.1×10,3.9×10,8.6×10,2×10,4.48×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いることが適当である。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
カラムとしては、1×10〜2×10の分子量領域を適確に測定するために市販のポリスチレンゲルカラムを複数組合せることが良い。例えばWaters社製のμ−StyraGel 500,103,104,105の組合せや、昭和電工社製のShodexKA−801,802,803,804,805,806,807の組み合わせが好ましい。
また、非結晶性樹脂の酸価(AV)が1〜20mgKOH/gであることが好ましく、3〜20mgKOH/gであることがより好ましく、10〜20mgKOH/gであることが特に好ましい。
酸価が上記の範囲から外れると、高温高湿度又は低温低湿度の環境において環境の影響を受けやすくなり、画像が劣化する場合がある。
非結晶性樹脂の水酸基価(OHV)は、5mgKOH/g以上であることが好ましく、10mgKOH/g〜120mgKOH/gであることがさらに好ましく、20mgKOH/g〜80mgKOH/gであることが特に好ましい。
水酸基価が5mgKOH/g未満では、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また水酸基価が上記の範囲から外れると、高温高湿度又は低温低湿度の環境において環境の影響を受けやすくなり、画像が劣化する場合がある。
さらに、非結晶性樹脂の酸価(AV)+水酸基価(OHV)の値であるαは、50mgKOH/g〜100mgKOH/gであることが好ましく、60mgKOH/g〜90mgKOH/gであることがより好ましい。60mgKOH/g〜90mgKOH/gであると、高温高湿度又は低温低湿度の環境において環境の影響を受けにくく、画像の品質を維持することができる。
酸価(AV)と水酸基価(OHV)の測定方法はJIS K2501などで定められた方法を用いることが一般的であり、本発明においてもこれに準じて測定することができる。
(結晶性樹脂)
結晶性樹脂の融点は40℃以上80℃以下が好ましい。
また、結晶性樹脂のテトラヒドロフラン(THF)に可溶な成分の数平均分子量(Mn)が3×10〜5×10であることが好ましい。さらに、結晶性樹脂のテトラヒドロフラン(THF)に可溶な成分の重量平均分子量(Mw)が3×10〜3×10であることが好ましく、7×10〜2×10であることがより好ましい。
このとき、数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)は、5以下であることが好ましい。この比(Mw/Mn)が5を超えると、シャープメルト性が低下し、光沢性が損なわれる場合がある。
結晶性樹脂の水酸基価(OHV)は、5mgKOH/g以上であることが好ましく、10mgKOH/g〜120mgKOH/gがさらに好ましく、20mgKOH/g〜80mgKOH/gが特に好ましい。
水酸基価が5mgKOH/g未満では、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、水酸基価が上記の範囲から外れると、高温高湿度又は低温低湿度の環境において環境の影響を受けやすくなり、画像が劣化しやすくなる。
≪帯電制御剤≫
帯電制御剤としては、層間のイオンの少なくとも一部を有機物イオンで変性した変性層状無機鉱物を用いることが好ましく、スメクタイト系の基本結晶構造を持つ層状無機鉱物の層間のイオンの少なくとも一部を有機物イオンで変性したものがより好ましい。
有機物イオンとしては、4級アンモニウムイオンが好ましい。層状無機鉱物としては、モンモリロナイト[(Na,Ca)0.33(Al,Mg)2Si410(OH)2・nH2O]が特に好ましい。
変性層状無機鉱物を用いると、トナーの形状制御およびトナーの帯電性能を良好なものにすることができる。この変性層状無機鉱物を使用する際には、トナー中に適正な分散状態とするために、変性層状無機鉱物と結着樹脂とを混練複合体にして有機溶媒中に溶解乃至分散させることが好ましい。
混練複合体は、変性層状無機鉱物と結着樹脂とを高せん断力をかけて混合、混練して形成することができる。
変性層状無機鉱物と結着樹脂との混練複合体における変性層状無機鉱物の体積平均粒径Dvは、0.1μm〜0.55μmであり、且つ、体積平均粒径1μm以上の粒子の割合が15体積%以下であることが好ましい。体積平均粒径Dvが0.1μm未満であるか、0.55μmを超えるか、又は粒径1μm以上の頻度が15体積%を超えると、トナーの形状及びトナーの帯電性能への効果が低下する場合がある。
帯電制御剤は、静電荷像現像用トナー中に0.1〜5重量%含有されていることが好ましく、0.1重量%未満ではトナー形状及びトナー帯電性能への効果が低下する場合があり、5重量%を超えると定着性能が悪化する場合がある。
また、帯電制御剤としては上述した変性層状無機鉱物以外にも周知慣用のものを用いることができ、一例として以下のものが挙げられる。
トナーを負荷電性に制御するものとして、例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効である。モノアゾ金属錯体、金属錯体、芳香族ジカルボン酸系の金属錯体が挙げられる。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールのフェノール誘導体類が挙げられる。なお、トナーを正荷電性に制御するものであってもよい。
(静電荷像現像用トナーの表面組成)
本発明では、変性したモンモリロナイトを含有する静電荷像現像用トナーは、表面分析による表面組成の構成元素におけるSiの比率と、表面分析による表面組成の構成元素におけるAlの比率との合計をβとすると、1.0<β<10.0を満たすことが好ましい。
表面分析は、測定装置として日本電子社製、JPS−9000MXを使用し、X線源としてMgKα線を用い、加速電圧を10kV、エミッション電流を30mAに設定して得た値とする。SiとAlの比率が高ければ高いほど、モンモリロナイトが多くなり帯電量が増加する。従って、前記βが1.0未満であるとモンモリロナイトが不足し所望の帯電量が得られない場合がある。一方、前記βが10.0を超えると、モンモリロナイトが過剰となり、帯電量が高くなり過ぎる場合がある。
(静電荷像現像用トナーの製造方法)
本発明に係る静電荷像現像用トナーの製造方法は、結着樹脂及び帯電制御剤を含むトナー材料が有機溶媒中に溶解又は分散した油相を、水系媒体中に分散・乳化させて造粒してトナー粒子(トナー母体)を得る方法が挙げられる。
以下により具体的な例を挙げて説明する。
有機溶媒中に、結着樹脂と、活性水素基を有する化合物と、活性水素基と反応可能な部位を有する重合体(変性ポリエステル樹脂)と、帯電制御剤(変性層状無機鉱物)と、さらに必要に応じて他のトナー組成分(結着樹脂及び/又は結着樹脂前駆体、着色剤、離型剤、等)とを溶解又は分散させて、該溶解物又は分散物である油相を水系媒体中に添加して、前記活性水素基を有する化合物と、前記活性水素基と反応可能な部位を有する重合体とを反応させた後、有機溶媒を除去、乾燥してトナー(トナー母体)が得られる。このようにして得られた乳化分散液からトナー粒子を造粒することにより、低温定着性に優れると共にブレードクリーニングにおける転写残トナーが少なく、しかも高画質の画像が得られるトナーとなる。
本発明においては、有機溶媒中に、結着樹脂と、活性水素基を有する化合物と、活性水素基と反応可能な部位を有する重合体と、他のトナー組成分とを溶解又は分散させるにあたり、結着樹脂と、活性水素基と反応可能な部位を有する重合体と、活性水素基を有する化合物及び他のトナー組成分とを、分けて溶解又は分散を行ない、後で混合することが好ましい。分けて溶解又は分散を行うことで反応の進行を防ぐことができ、一括で溶解又は分散を行う場合よりも粘度測定が正確となる。
さらに、トナー母体と、トナー母体と同極性に帯電する流動化剤としての外添剤と、をヘンシェルミキサーの如き混合機により充分混合し、トナー母体粒子表面に外添剤を有する本発明の静電荷像現像用トナーを得ることができる。
なお、本発明に係る静電荷像現像用トナーは、重量平均粒径が3〜10μmであることが好ましく、より好ましくは、3〜7μmであることが、高画質化の点で好ましい。
(油相の粘度の調整)
前述した混練複合体の使用により層状無機鉱物の分散は容易となるが、本発明者らは、上述したトナー材料が有機溶媒中に溶解又は分散した油相の粘度を特定の範囲に調整すれば、さらに目的とする形状と粒径を有するトナーが得やすいことを知見した。
即ち、活性水素基を有する化合物を、帯電制御剤である層状無機鉱物及び結着樹脂、着色剤、離型剤と共に有機溶媒中に溶解又は分散させ、該溶解液又は分散液からなる油相の粘度を、TAインスツルメンツAR2000(TA Instruments AR2000)レオメーターを用いて回転速度60rpm、油相の温度15〜25℃でトナー固形分が50%になるように調整する。
また、油相中のAR2000の回転速度60rpmでの粘度は、100〜2000mPa・sがより好ましく、300〜1500mPa・sであることが特に好ましい。
油相中のAR2000の回転速度60rpmで100〜2000mPa・sの範囲を外れると本発明の目的を達成することができない。100mPa・s未満では目的とするトナー形状が得られず、2000mPa・sを超えると目的とするトナー粒径が得られない。
(油相の粘度の測定方法)
本発明における粘度の測定は、TAインスツルメンツAR2000(TA Instruments AR2000)レオメーターを用いて次のように測定する。測定試料をAR2000の内径42mmの試料台に設置する。40mmパラレルプレートにて所定の回転数で2分間回した後の粘度値を読み取り、試料の粘度値とする。
≪その他のトナー材料≫
本発明に係る静電荷像現像用トナーには、結着樹脂、帯電制御剤以外にも周知慣用のトナー材料を含有してもよく、例えば、離型剤、着色剤、磁性体等がその他の含有し得るトナー材料として挙げられる。また、これらをトナー材料として得られたトナー母体の表面に外添剤を添加しても良い。
(離型剤)
本発明において、必要に応じて一種又は二種以上の離型剤を、トナー中に含有させてもよい。離型剤のトナーにおける含有量は、結着樹脂に対して、2〜18重量%の範囲内である。
本発明に用いられる離型剤としては室温では固体の次のものが挙げられる。具体的には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス、また、パラフィンワックス、サゾールワックス等の長鎖炭化水素、またさらに、カルボニル基を有するワックス等が挙げられる。
中でも、トナー中に含有させるワックスとしては、モノエステルワックスが好ましい。モノエステルワックスとしては、カルボニル基を有するワックスが好ましい。カルボニル基を有するワックスとしては、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート等の複数のアルカン酸残基を有するエステルワックスが挙げられる。そのほか、トリメリット酸トリステアリル、マレイン酸ジステアリル等の複数のアルカノール残基を有するエステルワックス等が挙げられる。
またさらに、トナー中に含有させるワックスとしては、エチレンジアミンジベヘニルアミド等の複数のアルカン酸残基を有するアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等の複数のモノアミン残基を有するアミド、ジステアリルケトン等のジアルキルケトン等を含むワックスが挙げられる。これらの中でも複数のアルカン酸残基を有するエステルが好ましい。
これら混合物をそのままエステル化した場合、目的とするエステル化合物の他に各種の類似構造物を持つ副生成物を副生するために、トナーの各特性に悪影響を及ぼしやすい。
そのため原材料や生成物を溶剤抽出や減圧蒸留操作を用いて精製することで、本発明で好ましく使用できるモノエステルワックスを得ることができる。
離型剤の融点としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、40℃〜160℃が好ましく、50℃〜120℃がより好ましく、60℃〜90℃が特に好ましい。この融点が40℃未満であると耐熱保存性に悪影響を与える場合があり、160℃より高くなると低温での定着時にコールドオフセットを起こす場合がある。また離型剤の溶融粘度は、特に制限はないが、融点より20℃高い温度において5cps(センチポアズ)〜1000cpsであることが好ましく、10cps〜100cpsがさらに好ましい。溶融粘度が1000cpsを超えると、耐ホットオフセット性及び低温定着性を向上させる効果が乏しくなる。
本発明に用いられる離型剤の量は、結着樹脂に対して2〜18重量%含まれることが好ましく、3〜14重量%含まれていることがより好ましい。
(本発明に用いられるモノエステルワックス)
本発明でエステルワックスを構成するエステル化合物R−COO−Rとしては、R及び/又はRが直鎖状アルキル基である化合物が用いられ、例えば下記の構造式のエステル化合物が例示できる。
CH3−(CH216−COO−(CH217−CH3
CH3−(CH218−COO−(CH217−CH3
CH3−(CH216−COO−(CH219−CH3
CH3−(CH218−COO−(CH219−CH3
CH3−(CH220−COO−(CH217−CH3
CH3−(CH216−COO−(CH221−CH3
CH3−(CH222−COO−(CH217−CH3
CH3−(CH218−COO−(CH221−CH3
CH3−(CH220−COO−(CH219−CH3
CH3−(CH222−COO−(CH219−CH3
CH3−(CH222−COO−(CH219−CH3
CH3−(CH220−COO−(CH221−CH3
CH3−(CH222−COO−(CH221−CH3
CH3−(CH214−COO−(CH244−CH3
CH3−(CH227−COO−(CH221−CH3
CH3−(CH243−COO−(CH221−CH3
特に、Rが炭素数15〜45の直鎖状アルキル基であり、Rが炭素数16〜44の直鎖状アルキル基であるエステル化合物が好ましい。
(着色剤)
着色剤としては、カーボンブラック、チタンホワイトの如き無機顔料、有機顔料及び/又は染料を用いることができる。
例えば本発明の静電荷像現像用トナーをカラートナーとして使用する場合には、染料としては、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダンレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベージックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6がある。
顔料としては、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、オバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGがある。
マゼンダ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207、209、269、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35が挙げられる。
シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2、3、15、16、17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料が挙げられる。
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、65、73、74、83、185、C.I.バットイエロー1、3、20が挙げられる。
また、顔料を単独で使用しても構わないが、染料と顔料と併用してその鮮明度を向上させても良い。マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27、C.I.ディスパースバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料が挙げられる。
非磁性着色剤の使用量は結着樹脂100重量部に対して、3〜40重量部好ましくは4〜35重量部である。
なお、着色剤はマスターバッチとしてトナー母体に含有させても良い。
(外添剤)
トナー粒子に流動性、現像性、帯電性を付与するための外添剤としては、例えば無機微粒子を使用することができる。
無機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機微粒子の一次粒子径は、5nm〜2μmが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。
また、前記無機微粒子のBET法による比表面積は、20m/g〜500m/gが好ましい。
前記無機微粒子の含有量は、トナーに対し0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.01質量%〜2.0質量%がより好ましい。
その他、高分子系微粒子を外添剤として使用してもよい。高分子系微粒子としては、例えばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
(流動性向上剤)
本発明に係る静電荷像現像用トナーには流動性向上剤を用いてもよい。流動性向上剤とは、表面処理を行って疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味する。流動性向上剤としては、例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、等が挙げられる。
(クリーニング性向上剤)
本発明に係る静電荷像現像用トナーにはクリーニング性向上剤を用いてもよい。クリーニング性向上剤とは、静電潜像担持体や一次記録媒体に残留する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加される。クリーニング工場剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。該ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01μm〜1μmのものが好適である。
以下、製造例及び実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下に示す製造例及び実施例に何ら限定されるものではない。なお、「部」は重量部を意味する。
以下に、具体的なトナーの製造例および実施例を説明する。
≪エチレンオキサイド付加物の作製≫
撹拌及び温度調節機能の付いたオートクレーブに、ビスフェノールAを1molと水酸化カリウムを2g入れ、135℃でエチレンオキサイドを0.1〜0.4MPa範囲の圧力下で導入し、その後3時間付加反応させた。反応生成物に吸着剤「キョーワード600」(協和化学工業社製:2MgO・6SiO2・XH2O)16gを投入し、90℃で30分攪拌し熟成させた。その後ろ過を行い、各付加物のエチレンオキサイド各付加モル体含有量が平均して2.2であるビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物を得た。
≪プロピレンオキサイド付加物の作製≫
撹拌及び温度調節機能の付いたオートクレーブに、ビスフェノールAを1molと水酸化カリウム2g入れ、135℃でプロピレンオキサイドを0.1〜0.4MPa範囲の圧力下で導入し、その後3時間付加反応させた。反応生成物に吸着剤「キョーワード600」(協和化学工業社製:2MgO・6SiO2・XH2O)16gを投入し、90℃で30分攪拌し熟成させた。その後ろ過を行い、各付加物のエチレンオキサイド各付加モル体含有量が平均して2.2であるビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を得た。
≪非結晶性ポリエステル樹脂の製造≫
<製造例1>
≪非結晶性ポリエステル樹脂Aの製造≫
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物67部、ビスフェノールAのプロピオンオキサイド3モル付加物84部、テレフタル酸270部、イソフタル酸120部及びジブチルスズオキシド2部を投入し、常圧下、270℃で8時間反応させた。次に、10〜15mmHgの減圧下、7時間反応させて、ポリエステル樹脂を合成した。得られた非結晶性ポリエステル樹脂Aは、重量平均分子量Mw=4500,酸価=17,AV+OHV(酸価+水酸基価)=80であった。
<製造例2>
≪非結晶性ポリエステル樹脂Bの製造≫
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物65部、ビスフェノールAのプロピオンオキサイド3モル付加物65部、テレフタル酸260部、トリメリット酸120部及びジブチルスズオキシド2部を投入し、常圧下、270℃で8時間反応させた。次に、10〜15mmHgの減圧下、7時間反応させて、ポリエステル樹脂を合成した。得られた非結晶性ポリエステル樹脂Bは、重量平均分子量Mw=6000,酸価=17,AV+OHV=80であった。
<製造例3>
≪非結晶性ポリエステル樹脂Cの製造≫
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2mol付加物72部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3mol付加物58部、テレフタル酸270部、イソフタル酸80部及びジブチルスズオキシド2部を仕込み、常圧下230℃で11時間反応させた。次に、10〜15mmHgの減圧下で8時間反応させて、ポリエステル樹脂を合成した。得られた非結晶性ポリエステル樹脂Cは、重量平均分子量Mw=2950,酸価=17,AV+OHV=80であった。
<製造例4>
≪非結晶性樹脂Dの製造≫
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム0.64重量部をイオン交換水103.5重量部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム0.47重量部をイオン交換水18.5重量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃とし、スチレン28.5重量部,n−ブチルアクリレート7.1重量部,メタクリル酸1.9重量部のモノマー混合液を1時間かけて滴下後、80℃で2時間加熱後、撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子を調製した。
<製造例5>
≪非結晶性ポリエステル樹脂Eの製造≫
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物67部、ビスフェノールAのプロピオンオキサイド3モル付加物84部、テレフタル酸300部、イソフタル酸150部及びジブチルスズオキシド2部を投入し、常圧下、270℃で8時間反応させた。次に、10〜15mmHgの減圧下、7時間反応させて、ポリエステル樹脂を合成した。得られた非結晶性ポリエステル樹脂Eは、重量平均分子量Mw=4500,酸価=21,AV+OHV=80であった。
<製造例6>
≪非結晶性ポリエステル樹脂Fの製造≫
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物67部、ビスフェノールAのプロピオンオキサイド3モル付加物84部、テレフタル酸150部、イソフタル酸150部及びジブチルスズオキシド2部を投入し、常圧下、270℃で8時間反応させた。次に、10〜15mmHgの減圧下、7時間反応させて、ポリエステル樹脂を合成した。得られた非結晶性ポリエステル樹脂Fは、重量平均分子量Mw=4500,酸価=17,AV+OHV=45であった。
<製造例7>
≪非結晶性ポリエステル樹脂Gの製造≫
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物67部、ビスフェノールAのプロピオンオキサイド3モル付加物84部、テレフタル酸350部、イソフタル酸150部及びジブチルスズオキシド2部を投入し、常圧下、270℃で8時間反応させた。次に、10〜15mmHgの減圧下、7時間反応させて、ポリエステル樹脂を合成した。得られた非結晶性ポリエステル樹脂Gは、重量平均分子量Mw=4500,酸価Mw=4500,AV+OHV=105であった。
<製造例8>
≪比較非結晶性ポリエステル樹脂Hの製造≫
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物67部、ビスフェノールAのプロピオンオキサイド3モル付加物84部、テレフタル酸500部、イソフタル酸300部及びジブチルスズオキシド2部を投入し、常圧下、270℃で8時間反応させた。次に、10〜15mmHgの減圧下、7時間反応させて、ポリエステル樹脂を合成した。得られた比較非結晶性ポリエステル樹脂Hは、重量平均分子量Mw=10050,酸価=17,AV+OHV=80であった。
<製造例9>
≪比較非結晶性ポリエステル樹脂Iの製造≫
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物67部、ビスフェノールAのプロピオンオキサイド3モル付加物84部、テレフタル酸300部、イソフタル酸100部及びジブチルスズオキシド2部を投入し、常圧下、270℃で8時間反応させた。次に、10〜15mmHgの減圧下、7時間反応させて、ポリエステル樹脂を合成した。得られた比較非結晶性ポリエステル樹脂Iは、重量平均分子量Mw=990,酸価=17,AV+OHV=80であった。
≪イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂の合成≫
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682重量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81重量部、テレフタル酸283重量部、無水トリメリット酸22重量部、及びジブチルチンオキサイド2重量部を仕込み、常圧下で、230℃にて8時間反応させた。次いで、10mmHg〜15mmHgの減圧下で、5時間反応させて、中間体ポリエステルを合成した。
得られた中間体ポリエステルは、重量平均分子量Mw=9500,酸価AV=0.5,水酸基価OHV=51であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、前記中間体ポリエステル410重量部、イソホロンジイソシアネート89重量部、及び酢酸エチル500重量部を仕込み、100℃にて5時間反応させて、イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂(活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体)を合成した。
得られたイソシアネート基を含有するポリエステル樹脂の遊離イソシアネート含有量は、1.53質量%であった。
≪ケチミン化合物(活性水素基含有化合物)の合成≫
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン170重量部及びメチルエチルケトン75重量部を仕込み、50℃にて5時間反応を行い、ケチミン化合物(活性水素基含有化合物)を合成した。
得られたケチミン化合物のアミン価は418であった。
≪結晶性ポリエステル樹脂の製造≫
<製造例1>
≪結晶性ポリエステル樹脂Aの製造≫
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに1,4−ブタンジオール2010部、アジピン酸2520部、無水トリメリット酸285部、ハイドロキノン4.9部を入れ、160℃で6時間反応させた後、200℃に昇温して2時間反応させ、さらに8.3kPaにて1時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂を合成した。得られた結晶性ポリエステル樹脂は、重量平均分子量Mw=13000であった。
<製造例2>
≪結晶性樹脂Bの製造≫
反応器に融点117℃の低分子量ポリエチレン100重量部を入れ、窒素雰囲気下150℃にて溶解させた。これにスチレン系誘導体としてスチレンモノマーを12重量部、不飽和脂肪酸系としてジブチルフマレートを6重量部、開始剤としてジ−t−ブチルペルオキシドを1.5重量部を約4時間かけて連続供給し、その後さらに約1時間加熱反応させた。その後、溶融状態のまま真空中で脱気処理をして揮発分を除去し、その後冷却し合成した。得られた結晶性ポリアルキレン樹脂は、重量平均分子量Mw=13000であった。
<製造例3>
≪結晶性ポリエステル樹脂Cの製造≫
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに1,4−ブタンジオール2010部、アジピン酸3000部、無水トリメリット酸50部、ハイドロキノン4.9部を入れ、160℃で6時間反応させた後、200℃に昇温して2時間反応させ、さらに8.3kPaにて1時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂を合成した。得られた結晶性ポリエステル樹脂は、重量平均分子量Mw=2900であった。
<製造例4>
≪結晶性ポリエステル樹脂Dの製造≫
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに1,4−ブタンジオール2010部、イソフタル酸2520部、無水トリメリット酸400部、ハイドロキノン4.9部を入れ、160℃で6時間反応させた後、200℃に昇温して2時間反応させ、さらに8.3kPaにて1時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂を合成した。得られた結晶性ポリエステル樹脂は、重量平均分子量Mw=30500であった。
≪結晶性ポリエステルの分散液作製≫
金属製2L容器に結晶性ポリエステル樹脂A100g、結晶性ポリエステル用分散剤50g、酢酸エチル400gを入れ、70℃で加熱溶解させた後、氷水浴中で15℃/minの速度で急冷した。これにガラスビーズ(3mmφ)500mlを加え、バッチ式サンドミル装置(カンペハピオ社製)で10時間粉砕を行い、結晶性ポリエステル分散液Aを得た。また、結晶性樹脂Bおよび結晶性ポリエステル樹脂C,Dについても同様にして分散液を得た。
≪樹脂微粒子分散液の製造≫
撹拌棒及び温度計を設置した反応容器に、水680部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩のエレミノールRS−30(三洋化成工業社製)12部、スチレン84部、メタクリル酸82部、アクリル酸ブチル100部及び過硫酸アンモニウム1部を入れ、400rpmで15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。この乳濁液を加熱して系内温度を75℃まで昇温し、5時間反応させた。
反応後の反応液に、1重量%過硫酸アンモニウム水溶液30部を加え、75℃で5時間熟成し、ビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液である樹脂微粒子分散液を得た。
≪ワックスの調製≫
<製造例1>
≪モノエステルワックスの製造≫
ジムロート還流器、Dean−Stark水分離器を備えた4つ口フラスコ反応装置にベンゼン1740重量部、長鎖アルキルカルボン酸成分1300重量部、長鎖アルキルアルコール成分1200重量部、さらにp−トルエンスルホン酸120重量部を加え充分攪拌し溶解後、5時間還流せしめた後、水分離器のバルブを開け、共沸留去を行った。共沸留去後炭酸水素ナトリウムで十分洗浄後、乾燥しベンゼンを留去した。得られた生成物を再結晶後、洗浄し精製して炭素数分布がC36〜44のモノエステルワックスを得た。
<製造例2>
≪ジエステルワックスの製造≫
ジムロート還流器、Dean−Stark水分離器を備えた4つ口フラスコ反応装置にベンゼン1740重量部、炭素数C22のアルカンジカルボン酸1300重量部、炭素数C22のアルカンジオール1200重量部、さらにp−トルエンスルホン酸120重量部を加え十分攪拌し溶解後、7時間還流せしめた後、水分離器のバルブを開け、共沸留去を行った。共沸留去後炭酸水素ナトリウムで充分洗浄後、乾燥しベンゼンを留去した。得られた生成物を再結晶後、洗浄し精製して炭素数分布がC30〜48のジエステルワックスを得た。
≪マスターバッチの製造≫
水1200部、カーボンブラック(PrinteX35/デクサ製)〔DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5〕540部、ポリエステル樹脂1200部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕し、マスターバッチAを得た。
≪油相作製≫
撹拌棒および温度計をセットした容器に、非結晶性ポリエステル樹脂Aを378部、離型剤としてモノエステルワックスAを50部、結晶性ポリエステル分散液Aを20重量部、CCA(サリチル酸金属錯体E−84:オリエント化学工業)20部、酢酸エチル950部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却しワックス分散液Aを得た。次いで容器にマスターバッチ500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し原料溶解液を得た。
≪トナー材料液≫
トナー母体100重量部に対して有機モンモリロナイトが1.5重量部になるように有機モンモリロナイトを上記の原料溶解液1324部に加えて容器に移し、ビーズミルを用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、ワックスの分散を行った。次いで、非結晶性ポリエステル樹脂Aの65%酢酸エチル溶液1042部加え、非結晶性ポリエステル分散液を得た。上記条件のビーズミルで1パスし、固形分濃度(130℃、30分)が50%のトナー材料液(油相)を得た。
≪水相(水系媒体)の調整≫
水990部、樹脂微粒子分散液83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを水相とする。
≪乳化・脱溶剤≫
トナー材料液665部、イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂(プレポリマー)を110部、結晶性ポリエステル分散液Aを74部、ケチミン化合物5部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5000rpmで1分間混合した後、容器に水相を1200部加え、TKホモミキサーで、回転数13000rpmで20分間混合し乳化スラリーを得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、乳化スラリーを投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、分散スラリーを得た。
≪洗浄・乾燥≫
(1):分散スラリー100部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
(3):濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12000rpmで10分間)した後濾過した。
(4):濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12000rpmで10分間)した後濾過する、という前記(1)〜(4)の操作を2回行い濾過ケーキを得た。
最後に、濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩いトナー母体1を得た。
≪混合≫
得られたトナー母体粒子100重量部に対し、疎水性シリカ(HDK H 2000/クラリアント株式会社製)を3.8重量部を添加し、ヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社製)にて周速33m/sの条件の下、3分間混合し、さらに酸化チタン(MT−150A/テイカ社製)を0.59重量部を同装置にて周速33m/sの条件の下、3分間混合した。混合後の粉体を目開き38μmのメッシュに通過させ、粗大粉を取り除き疎水性微粉末を外添したトナー1を作製した。
実施例2
実施例1の油相作製時の酢酸エチル含有量を700重量部に変えてトナー母体を作製し、それ以外は同様にして実施例2のトナー2を得た。
実施例3
実施例1の油相作製時の酢酸エチル含有量を1100重量部に変えてトナー母体を作製し、それ以外は同様にして実施例1と同様にして、実施例3のトナー3を得た。
実施例4
実施例1の非結晶性ポリエステル樹脂Aを非結晶性ポリエステル樹脂Bに変えてトナー母体を作製し、それ以外は同様にして実施例4のトナー4を得た。
実施例5
実施例4の油相作製時の酢酸エチル含有量を700重量部に変えてトナー母体を作製し、それ以外は同様にして実施例5のトナー5を得た。
実施例6
実施例4の油相作製時の酢酸エチル含有量を1100重量部に変えてトナー母体を作製し、それ以外は同様にして実施例6のトナー6を得た。
実施例7
実施例1の非結晶性ポリエステル樹脂Aを非結晶性ポリエステル樹脂Cに変えてトナー母体を作製し、それ以外は同様にして実施例7のトナー7を得た。
実施例8
実施例7の油相作製時の酢酸エチル含有量を700重量部に変えてトナー母体を作製し、それ以外は同様にして実施例8のトナー8を得た。
実施例9
実施例7の油相作製時の酢酸エチル含有量を1100重量部に変えてトナー母体を作製し、それ以外は同様にして実施例9のトナー9を得た。
実施例10
実施例1の非結晶性ポリエステル樹脂Aを非結晶性樹脂Dに変えてトナー母体を作製し、それ以外は同様にして実施例10のトナー10を得た。
実施例11
実施例1の非結晶性ポリエステル樹脂Aを非結晶性ポリエステル樹脂Eに変えてトナー母体を作製し、それ以外は同様にして実施例11のトナー11を得た。
実施例12
実施例1の非結晶性ポリエステル樹脂Aを非結晶性ポリエステル樹脂Fに変えてトナー母体を作製し、それ以外は同様にして実施例12のトナー12を得た。
実施例13
実施例1の非結晶性ポリエステル樹脂Aを非結晶性ポリエステル樹脂Gに変えてトナー母体を作製し、それ以外は同様にして実施例13のトナー13を得た。
実施例14
≪カリックスアレン誘導体分散液の調製≫
カリックスアレン誘導体A1(オリエント化学社製:BONTRON E−89)をビーカー内に5重量部、前記未変性ポリエステル15重量部、酢酸エチル30重量部を仕込み、ビーズミル(「ウルトラビスコミル」;アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/s、及び0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスしてカリックスアレン誘導体A1分散液を調製した。分散液中のカリックスアレン誘導体の平均粒子径(分散径)は120nmであった。
実施例1のモンモリロナイトをカリックスアレン誘導体に変えてトナー母体を作製し、実施例1と同様にして実施例14のトナー14を得た。
実施例15
実施例1のモンモリロナイトの添加量をトナー母体100重量部に対して0.1重量部に変えてトナー母体を作製し、実施例1と同様にして実施例15のトナー15を得た。
実施例16
実施例1のモンモリロナイトの添加量をトナー母体100重量部に対して2.5重量部に変えてトナー母体を作製し、実施例1と同様にして実施例16のトナー16を得た。
実施例17
実施例1の油相作製時の酢酸エチル含有量を100重量部に変えてトナー母体を作製し、それ以外は同様にして実施例17のトナー17を得た。
実施例18
実施例1の油相作製時の酢酸エチル含有量を2000重量部に変えてトナー母体を作製し、それ以外は同様にして実施例18のトナー18を得た。
実施例19
実施例1の結晶性ポリエステル樹脂Aを結晶性樹脂Bに変えてトナー母体を作製し、実施例1と同様にして実施例19のトナー19を作製した。
実施例20
実施例1の結晶性ポリエステル樹脂Aを結晶性ポリエステル樹脂Cに変えてトナー母体を作製し、実施例1と同様にして実施例20のトナー20を作製した。
実施例21
実施例1の結晶性ポリエステル樹脂Aを結晶性ポリエステル樹脂Dに変えてトナー母体を作製し、実施例1と同様にして実施例21のトナー21を作製した。
実施例22
実施例1のモノエステルワックスをジエステルワックスに変えてトナー母体を作製し、実施例1と同様にして実施例22のトナー22を作製した。
実施例23
実施例1のモノエステルワックスをパラフィンワックスHNP−9(日本精蝋製)に変えてトナー母体を作製し、実施例1と同様にして実施例23のトナー23を作製した。
実施例24
実施例1のモノエステルワックスをマイクロクリスタリンワックス、Hi−Mic−1080(日本精鑞製)に変えてトナー母体を作製し、実施例1と同様にして実施例24のトナー24を作製した。
実施例25
イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂(プレポリマー)100重量部に対し、非結晶性ポリエステル樹脂20重量部、結晶性ポリエステル樹脂7重量部、モノエステルワックス8.43重量部(トナー母体に対して6重量%の配合量であり、得られるトナー母体を100重量部とした場合、6重量部を内添していることとなる。)、色材として銅フタロシアニン顔料(Pig.15−3)(商品名 シアニンブルー4920:大日精化工業社製)4重量部、および帯電制御剤としてサリチル酸のジルコニウム塩1重量部をヘンシェルミキサーにて混合した後、混練機で混練したものを油相とし、流動床式粉砕機およびローター式分級機で分級後、混合し、実施例25のトナー25を得た。
実施例26
実施例1で用いた結晶性ポリエステル樹脂を分散した結晶性ポリエステル分散液、及び非結晶性ポリエステル樹脂を分散した非結晶性ポリエステル樹脂分散液、トナー原料液、及びワックス分散液Aを混合して混合分散液を調製したものを油相とし、これにポリ塩化アルミニウムを含む1種以上の金属塩の重合体を添加し、所望のトナー径にほぼ近い径を持つ凝集粒子を凝集成長させた凝集微粒子分散液を作製し、その後非結晶性樹脂を分散した非結晶性樹脂分散液を添加し混合することにより、所望のトナー径にほぼ近い径を持つ凝集微粒子を作製する。さらに凝集微粒子表面に非結晶性樹脂を付着させての成長を停止させこれを加熱し、更に洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て実施例26のトナー26を得た。
実施例27
≪ワックス分散液の調製≫
スチレン単量体、モノエステルワックスA 6重量部を温度調節可能な容器に仕込み、ウルトラタラックスT−50(IKA社製)を用いて10000rpmで液温を常に65℃以下とし、40分間撹拌を行ってワックス分散液Bを得る。
このワックス粗分散液を温度調節可能な撹拌タンクに投入し、SCミル(三井鉱山社製)を途中に組み込んだ循環ラインにポンプで移送し、2時間循環させることによって微分散工程を行った。
≪着色剤分散液の調製≫
スチレン単量体、サリチル酸系化合物アルミニウム錯体、カーボンブラック(Printex35デクサ製)〔DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5〕を温度調節可能な撹拌槽に仕込み、撹拌を行って充分均一になじませた後に、SCミル(三井鉱山社製)を途中に組み込んだ循環ラインにポンプで移送し、90分間循環させることによって着色剤分散液を調製する。
≪重合性単量体組成物の調製≫
ワックス分散液B、着色剤分散液、n−ブチルアクリレート単量体、結着樹脂を温度調節が可能な撹拌槽に投入し、常温下で撹拌混合した後、これを60℃まで昇温してからモノエステルワックスAを投入し、さらに撹拌を継続して重合性単量体組成物を得る。
≪水性分散媒の調製≫
水、リン酸三ナトリウムの成分を温度調節可能でクレアミックス(エム・テクニック社製)を備えた撹拌槽に投入し、60℃まで昇温した後、低速でリン酸三ナトリウムが完全に溶解するまで撹拌し水性分散媒を得た。
≪重合開始剤溶液の調製≫
重合性単量体組成物、2、2’−アゾビス−(2、4−ジメチルバレロニトリル)とスチレン単量体を撹拌混合し、重合開始剤溶液を調製する。
≪重合性単量体組成物分散液の調製≫
クレアミックスを備えた撹拌槽中に重合性単量体組成物と水性分散媒を入れて撹拌を行い、重合性単量体組成物分散液(油相)を得る。
≪重合工程・乾燥工程・混合工程≫
上述の工程により得られた重合性単量体組成物分散液を撹拌槽に導入し、重合体微粒子分散液を得て、それらを塩酸を添加して撹拌し、重合体微粒子を覆った分散安定剤を溶解した後に、フィルタープレスやベルトフィルターなどの公知のろ過器で脱水し、これを水中に投入撹拌し、再び分散液とした後に前述のろ過器で脱水した。重合体微粒子の水への再分散とろ過を分散剤が完全に洗浄されるまで繰り返し行って乾燥させた。その後、酸化チタンを0.59重量部用いて他の外添剤と同様に混合し、実施例27のトナー27を得た。
比較例1
実施例1の非結晶性ポリエステル樹脂Aを非結晶性ポリエステル樹脂Hに、油相作製時の酢酸エチル含有量を500重量部に変えてトナー母体を作製し、それ以外は同様にしてトナー母体を作製し、実施例1と同様にして比較例1の比較トナー1を作製した。
比較例2
実施例1の非結晶性ポリエステル樹脂Aを非結晶性ポリエステル樹脂Hに変えてトナー母体を作製し、それ以外は同様にしてトナー母体を作製し、実施例1と同様にして比較例2の比較トナー2を作製した。
比較例3
実施例1の非結晶性ポリエステル樹脂Aを非結晶性ポリエステル樹脂Hに、油相作製時の酢酸エチル含有量を1500重量部に変えてトナー母体を作製し、それ以外は同様にしてトナー母体を作製し、実施例1と同様にして比較例3の比較トナー3を作製した。
比較例4
実施例1の油相作製時の酢酸エチル含有量を400重量部に変えてトナー母体を作製し、それ以外は同様にしてトナー母体を作製し、実施例1と同様にして比較例4の比較トナー4を作製した。
比較例5
実施例1の油相作製時の酢酸エチル含有量を1800重量部に変えてトナー母体を作製し、それ以外は同様にしてトナー母体を作製し、実施例1と同様にして比較例5の比較トナー5を作製した。
比較例6
実施例1の非結晶性ポリエステル樹脂Aを非結晶性ポリエステル樹脂Iに、油相作製時の酢酸エチル含有量を500重量部に変えてトナー母体を作製し、それ以外は同様にしてトナー母体を作製し、実施例1と同様にして比較例6の比較トナー6を作製した。
比較例7
実施例1の非結晶性ポリエステル樹脂Aを非結晶性ポリエステル樹脂Iに変えてトナー母体を作製し、それ以外は同様にしてトナー母体を作製し、実施例1と同様にして比較例7の比較トナー7を作製した。
比較例8
実施例1の非結晶性ポリエステル樹脂Aを非結晶性ポリエステル樹脂Iに、油相作製時の酢酸エチル含有量を1500重量部に変えてトナー母体を作製し、それ以外は同様にしてトナー母体を作製し、実施例1と同様にして比較例8の比較トナー8を作製した。
表1に作製したトナーの原材料条件を示す。
Figure 2015135367
次に表2に作製したトナーの条件を示す。
Figure 2015135367
≪評価方法及び評価結果≫
下記評価方法に従い、実施例および比較例の各トナーについて評価を行い、評価結果を表3に示す。
<定着性>
定着性リコー製imagioNeo450を用いて、普通紙及び厚紙の転写紙(リコー製タイプ6200及びNBSリコー製複写印刷用紙<135>)にベタ画像で、1.0±0.1mg/cmのトナーが現像されるように調整を行ない、定着ベルトの温度が可変となるように調整を行って、普通紙でオフセットの発生しない温度を、厚紙で定着下限温度を測定した。
定着下限温度は、得られた定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって定着下限温度とした。
この試験方法で定着可能な温度領域が135℃〜200℃を満たすトナーは定着装置の劣化、ユーザーの使用状況に影響されず、安定した定着画像が得られる。
またオフセットの発生する温度を測定した。
定着下限温度の評価条件は、紙送りの線速度を120〜150mm/秒、面圧を1.2kgf/cm、ニップ幅を3mmとした。
また定着上限温度の評価条件は、送りの線速度を50mm/秒、面圧を2.0kgf/cm、ニップ幅を4.5mmとした。
なお従来の低温定着トナーの定着下限温度は、140℃程度である。
このとき定着下限温度は120℃未満である場合を◎、120以上125℃未満である場合を○、125℃以上140℃未満である場合を△、140℃以上150℃未満である場合を×として判定した。
また定着上限温度は、200℃以上である場合を◎、190℃以上200℃未満である場合を○、180℃以上190℃未満である場合を△、180未満である場合を×として判定した。
<地汚れ>
デジタルフルカラー複写機(リコー社製imagioColor2800)を用い、単色モードで50%画像面積の画像チャートを30,000枚ランニング出力した後、白紙画像を現像中に停止させ、現像後の感光体上の現像剤をテープ転写し、未転写のテープの画像濃度との差を938スペクトロデンシトメーター(X−Rite社製)により測定を行なった。画像濃度の差が少ない方が地肌汚れが良く、良好なものから「◎」、「○」、「△」、「×」の順にランク付けした。
<トナー飛散>
デジタルフルカラー複写機(リコー社製imagioColor2800)を用い、5万枚の連続印刷後、機内のトナーの汚染度合いを確認した。問題ないレベルを「○」、トナーが見られるものの、使用上問題ないレベルのものを「△」、著しく汚染しており、問題となるものを「×」とした。
<電量評価>
1)15秒撹拌帯電量
得られた各トナー10gとフェライトキャリア100gとを温度28℃、湿度80%の環境内で内容積の3割までステンレス製ポットに入れ、100rpmの撹拌速度で15秒撹拌し、現像剤の帯電量(μC/g)を[東芝ケミカル(株)製:TB−200]にてブローオフ法により測定した。
2)1分撹拌帯電量
1)と同様にして1分撹拌したときの帯電量
3)10分撹拌帯電量
1)と同様にして10分撹拌したときの帯電量
<帯電安定性>
(1)高温高湿環境帯電安定性
温度40℃、湿度90%の環境において、単色モードで7%画像面積の画像チャートをデジタルフルカラー複写機(リコー社製imagioColor2800)にて100,000枚ランニング出力する間に、1000枚ごとに現像剤を一部サンプリングしてブローオフ法により帯電量を測定して、帯電安定性を評価した。帯電量の変化が5μc/g以下の場合は○、10μc/g以下の場合は△、10μc/g超える場合は×とした。
(2)低温低湿環境帯電安定性
温度10℃、湿度15%の環境において、単色モードで7%画像面積の画像チャートをデジタルフルカラー複写機(リコー社製imagioColor2800)にて100,000枚ランニング出力する間に、1000枚ごとに現像剤を一部サンプリングしてブローオフ法により帯電量を測定して、帯電安定性を評価した。帯電量の変化が5μc/g以下の場合は○、10μc/g以下の場合は△、10μc/g超える場合は×とした。
(1)及び(2)のブローオフ法による帯電量測定は次のように行った。
温度20℃、湿度50%の試験室で各トナー10gとフェライトキャリア100gとを内容積の3割までステンレス製ポットに入れ、100rpmの撹拌速度で10分攪拌し、現像剤の帯電量(μC/g)を[東芝ケミカル(株)製:TB−200]にて測定した。
<総合判定>
全ての項目において、以下の通りに規定する。
それぞれの項目において◎を1つ以上含み且つ△および×を含まない場合は総合判定を◎、△および×が1つもない場合は総合判定を○、△が3つ以下且つ×が1つもない場合は総合判定を△、△を4つ以上含む場合または×を1つでも含む場合は総合判定を×とし、総合判定で△以上のものは使用できる。
Figure 2015135367
以上の実施例及び比較例より、本発明に係る静電荷像現像用トナーによれば、低温において良好な定着性を達成すると共に、経時帯電量を維持することができ、鮮鋭性が良好で、高品質な画像を長期間に亘って形成できることがわかった。
特開2009−134012号公報 特開2006−267980号公報 特開2012−032829号公報

Claims (10)

  1. 結晶性樹脂を含む2種以上の結着樹脂及び帯電制御剤が有機溶媒中に溶解又は分散された油相を、水系媒体中で分散乃至乳化して得られる静電荷像現像用トナーであって、
    前記結着樹脂は、テトラヒドロフランに可溶な成分の重量平均分子量Mwが1×10〜7×10ある樹脂を含み、
    前記油相は、TAインスツルメンツAR2000(TA Instruments AR2000)レオメーターを用いて回転速度が60rpm、当該油相の温度が15〜25℃、且つ固形分が50重量%である条件で測定した粘度が100〜2000mPa・sであることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 前記結着樹脂は、テトラヒドロフランに可溶な成分の重量平均分子量Mwが1×10〜7×10ある非結晶性樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記結晶性樹脂は、ポリエステル骨格を有する結晶性ポリエステル樹脂であり、
    前記非結晶性樹脂は、ポリエステル骨格を有する非結晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記非結晶性樹脂は、酸価が1〜20mgKOH/gであることを特徴とする請求項2または3に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記非結晶性樹脂は、(酸価+水酸基価)をαとすると、50≦α≦100を満たすことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 前記結晶性樹脂は、テトラヒドロフランに可溶な成分の重量平均分子量が3×10以上3×10以下であることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 前記帯電制御剤は、層間のイオンの少なくとも一部を有機物イオンで変性した変性層状無機鉱物であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 前記帯電制御剤は、モンモリロナイトの層間のイオンの少なくとも一部を有機物イオンで変性した変性層状無機鉱物であり、
    前記静電荷像現像用トナーは、表面分析による表面組成の構成元素におけるSiの比率と、表面分析による表面組成の構成元素におけるAlの比率との合計をβとすると、1.0<β<10.0を満たすことを特徴とする請求項7に記載の静電荷像現像用トナー。
  9. 前記油相は、離型剤をさらに含み、
    該離型剤は、モノエステルワックスを含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  10. 前記結着樹脂と、活性水素基を有する化合物と、帯電制御剤と、を含むトナー組成物を有機溶媒中に溶解又は分散させて溶解物又は分散物とし、該溶解物又は分散物の有機溶媒液である油相を、樹脂微粒子を含む水系媒体中に分散させると共に、得られた分散液から前記有機溶媒を除去することにより得られることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108354394A (zh) * 2018-03-29 2018-08-03 江苏集萃有机光电技术研究所有限公司 一种oled照明屏风

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