JP2015128946A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2015128946A
JP2015128946A JP2014001547A JP2014001547A JP2015128946A JP 2015128946 A JP2015128946 A JP 2015128946A JP 2014001547 A JP2014001547 A JP 2014001547A JP 2014001547 A JP2014001547 A JP 2014001547A JP 2015128946 A JP2015128946 A JP 2015128946A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
electric power
power steering
steering device
worm
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014001547A
Other languages
English (en)
Inventor
村上 豪
Takeshi Murakami
豪 村上
卓也 常増
Takuya Tsunemasu
卓也 常増
内山 貴彦
Takahiko Uchiyama
貴彦 内山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2014001547A priority Critical patent/JP2015128946A/ja
Publication of JP2015128946A publication Critical patent/JP2015128946A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Power Steering Mechanism (AREA)
  • Gear Transmission (AREA)
  • General Details Of Gearings (AREA)
  • Lubricants (AREA)

Abstract

【課題】コラムアシスト式は当然のこととして、より厳しい条件で使用されるラックアシスト式に適用した場合においても、高い信頼性を備え、静音性に優れた電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂と、40℃における損失正接が0.03以上であり、且つ、引張弾性率が20〜90GPaであるアラミド繊維とを含有する樹脂組成物からなる樹脂部の外周面にギヤ歯を形成したウォームホイールと、金属製のウォームとから構成される減速ギヤを備えるとともに、ウォームホイールの歯部分と金属製のウォームの歯部分との間に、基油がポリ−α−オレフィン油で、増ちょう剤がウレア化合物であり、ちょう度が200〜300のグリースが充填されている減速歯車機構を備える電動パワーステアリング装置。
【選択図】図3

Description

本発明は、電動モータによる補助出力を、減速歯車機構を介して車両のステアリング機構に伝達する電動パワーステアリング装置に関し、特に金属製芯金の外周に、樹脂組成物からなり外周面にギヤ歯が形成された樹脂部を一体に設けてなる従動歯車を備え、グリース潤滑される電動パワーステアリング装置に関する。
自動車に組み込まれる電動パワーステアリング装置に用いられる減速機構としては、一組で大きな減速比が得られる等の理由から、図5に示すような、電動モータ(図示せず)の回転軸に連結するウォーム52と、ウォーム52に噛み合うウォームホイール51とから構成される減速ギヤ50が使用されるのが一般的である。
このような減速ギヤ50では、ウォームホイール51とウォーム52の両方を金属製とすると、ハンドル操作時に、歯打ち音や振動音等の不快音が発生するという不具合が生じやすい。そこで、ウォームホイール51に、金属製の芯管62の外周に、樹脂製で外周面にギヤ歯64を形成してなる樹脂部63を一体化させたものを使用し、(金属製ウォームホイールを採用する場合に対して、という意味での)騒音対策を行っている。
上記樹脂部63には、例えば、特許文献1に示すようにポリアミド6、ポリアミド66、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などのベース樹脂に、ガラス繊維や炭素繊維等の強化材を配合した材料の他、ガラス繊維や炭素繊維などを含有しないMCナイロン(クオドラントポリペンコジャパン株式会社の登録商標)やポリアミド6、ポリアミド66等が使用されている。中でも、性能とコストのバランスから、強化材を含有しないMCナイロン、ガラス繊維を含有したポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46等が主流となっている。
ところで、電動パワーステアリング装置には、車室内に搭載されるコラムアシスト式とエンジンルーム内に搭載されるラックアシスト式があり、上記の現在主流の材料は、特に、コラムアシスト式の電動パワーステアリング装置において好適に適用されることが多い。
特公平6−60674号公報
しかしながら、エンジンルーム内に搭載されるラックアシスト式においては、その性能に対する要求として、コラムアシスト式と比較しての更なる高温環境(〜120℃)対応化、及び高出力化があり、更にこれらに加えて、コラムアシスト式の場合と同様に、静音化に対する強い要求もある。
上記のポリアミド系材料は、これらラックアシスト式電動パワーステアリングの要求の全てをバランスよく満足するのは極めて困難である。具体的には、コラムアシスト式に適用してきた材料では高温における耐久性(歯面の摩耗耐久性、歯元曲げ疲労強度)が不足しており、異常摩耗進行による操舵フィーリングの変化などが想定される。
また、コラムアシスト式に適用されている樹脂組成物の強化材として、ガラス繊維が用いられているが、そのようなガラス繊維強化樹脂においては、強度・剛性、及び寸法安定性が改善されるものの、ガラス繊維はウォームへの攻撃性が強く、静音性という点では未だ改善の余地がある。更に、通常の使用に伴う正常摩耗の進行によってウォームホイールのギヤ歯面から脱落したガラス繊維が、ウォームホイールの歯部分と金属製ウォームとの間に介在することでギヤ歯面のアブレシブ摩耗が促進され、その結果として、ステアリングの操舵フィーリングの変化が想定される。
また、ウォームホイールの歯部分と金属製のウォームの歯部分との間にはグリースが充填されており、選定するグリースの特性によってはグリースによるギヤの騒音抑制効果も期待できるが、そのような静音性の高いグリースを選定した場合においても、従来のガラス繊維強化樹脂製のウォームホイールでは、ギヤの歯面に存在するガラス繊維によって油膜が容易に破壊され、十分な静音効果が得られないことが容易に想定される。
本発明は、このような状況に着目してなされたものであり、コラムアシスト式は当然のこととして、より厳しい条件で使用されるラックアシスト式に適用した場合においても、高い信頼性を備え、且つ、静音性に優れた電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
上記したガラス繊維強化樹脂による問題点に関し、ウォームへの攻撃性が高い強化材を含まない材料としてMCナイロンやポリフェニレンサルファイド樹脂が使用されており、静音性の克服も可能であると思われるが、より過酷な環境下での使用が想定されるラックアシスト式への適用を想定すると、強化材を含まない樹脂材料では耐久性が不足しており、ラックアシスト式電動パワーステアリング装置に要求される製品レベルには到達しないことが実験によって明らかになってきた。
そこで本発明者らは、現在、電動パワーステアリング装置のウォームホイールに実用されている樹脂材料からなるサンプルギヤの耐久試験終了品を詳細に分析すると共に、他の開発試作材からなるウォームホイールによる試験を繰返し行う等、鋭意研究を重ねた。その結果、ベース樹脂に対する補強効果は優れているが、静音性の観点からは、その適用は決して好ましいとは言えないガラス繊維に替わり、ウォームへの攻撃性が少なく、油膜切れを引き起こし難いだけでなく、それ自体、優れた制振性を備えたアラミド繊維を補強材として使用し、更に、油膜切れを起こし難く、消音効果も期待出来るウレア系グリースを併用した場合に、静音性と耐久性を兼備した減速ギヤシステムとして電動パワーステアリング装置に適用可能となることを見出した。
即ち、上記課題を解決するために、本発明は下記の電動パワーステアリング装置を提供する。
(1)電動モータによる補助出力を、減速歯車機構を介して車両のステアリング機構に伝達する電動パワーステアリング装置において、
前記減速歯車機構が、熱可塑性樹脂と、40℃における損失正接が0.03以上であり、且つ、引張弾性率が20〜90GPaであるアラミド繊維とを含有する樹脂組成物からなる樹脂部を金属製芯管の外周に一体に設け、前記樹脂部の外周面にギヤ歯を形成したウォームホイールと、前記ウォームホイールと噛み合う金属製のウォームとから構成される減速ギヤを備えるとともに、
前記ウォームホイールの歯部分と金属製のウォームの歯部分との間に、基油がポリ−α−オレフィン油で、増ちょう剤がウレア化合物であり、ちょう度が200〜300のグリースが充填されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
(2)前記熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂及びポリエーテルエーテルケトン樹脂から選ばれる少なくとも1種であり、前記アラミド繊維がポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びビスマレイミド樹脂から選ばれる1種以上のサイジング剤によって表面処理が施されていることを特徴とする上記(1)記載の電動パワーステアリング装置。
(3)前記グリースが、モンタン酸エステルワックス、モンタン酸エステル部分けん化ワックス及びポリエチレンワックスから選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする上記(1)または(2)記載の電動パワーステアリング装置。
本発明の電動パワーステアリング装置では、減速ギヤにおいて、ウォームホイールを構成する樹脂部が、特定の損失正接及び引張弾性率を有するアラミド繊維を配合した樹脂組成物製であり、更に、ちょう度が200〜300に調整されたポリ−α−オレフィン油ベースのウレア系グリースを充填したことにより、コラムアシスト式は当然のこと、より厳しい条件で使用されるラックアシスト式向けとしても、高い信頼性を備え、且つ、静音性に優れるようになる。
コラムアシスト式電動パワーステアリング装置の一例を示す概略構成図である。 ラックアシスト式電動パワーステアリング装置の一例を示す概略構成図である。 本発明の減速ギヤの一例を示す斜視図である。 実施例1、2及び比較例1、2の減速ギヤにおいて、耐久サイクル数に対する摩耗量を示すグラフである。 従来の減速ギヤを示す斜視図である。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
本発明は、コラムアシスト式電動パワーステアリング装置並びにラックアシスト式電動パワーステアリング装置の両方に適用できる。
図1はコラムアシスト式電動パワーステアリング装置10の一例を示す概略図であるが、舵輪軸11は、上部舵輪軸11aと下部舵輪軸11bとで構成され、舵輪軸11は舵輪軸ハウジング12の内部に軸芯回りに回転自在に支承されており、舵輪軸ハウジング12は車室内部の所定位置に、その下部を前方に向けて傾斜した状態に固定されている。また、上部舵輪軸11aの上端には、図示されていない舵輪が固定されている。更に、上部舵輪軸11aと下部舵輪軸11bとは、図示されていないトーションバーにより結合されており、舵輪から上部舵輪軸11aを経て下部舵輪軸11bに伝達される操舵トルクがトーションバーに検出され、検出された操舵トルクに基づいてモータ13の出力が制御される。モータ13には減速ギヤ30が連結しており、モータ13の回転がウォーム及びウォームホイールを経て下部舵輪軸11bに伝承される。
また、ラック・ピニオン式運動変換機構20は、長手方向を車両の左右方向として車両前部のエンジンルーム内に略水平に配置され、軸方向に移動自在なラック軸21と、ラック軸21の軸芯に対して斜めに支承されてラック軸21の歯部に噛合する歯部を備えたピニオンを含むピニオン軸22、及びラック軸21とピニオン軸22を支承する筒状のラック軸ケース23とから構成される。
また、図2はラックアシスト式電動パワーステアリング装置100の一例であるが、ラック軸101と、ステアリング軸(図示せず)に連結する第1のピニオン105と、モータ110側の第2のピニオン106と、減速ギヤ30とを備えている。減速ギヤ30は、モータ110のシャフトに連結されたウォームとウォームホイールとから構成されており、第2のピニオン106がウォームホイールに固着されている。また、第2のピニオン106はラック軸101に噛み合っている。
そして、上記の減速ギヤ30は、図3に示したような、金属製の芯管42の外周に、樹脂組成物製でその外周端面にギヤ歯44を形成した樹脂部43を一体化したウォームホイール31と、ウォーム32とを備える。尚、ウォーム32は金属製とすることもできる。
ウォームホイール31の樹脂部43を形成する樹脂組成物の母材となる熱可塑性樹脂は、ポリアミド系樹脂、即ち、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46の他に、半芳香族ポリアミドであるポリアミド6T/6−6、ポリアミド6T/6I、ポリアミド6T/6I/6−6、ポリアミド6T/M−5T、ポリアミド9Tなどを好適に使用することができる。また、ポリフェニレンサルファイド樹脂やポリエーテルエーテルケトン樹脂も使用可能である。
上記の樹脂組成物には、補強材として、粘弾性特性、詳細には、40℃、100Hzで計測した損失正接(tanδ)の値が、0.03以上で、かつ、引張弾性率が20〜90GPaのポリアミド繊維を配合する。一般に、損失正接の値が小さい材料は、振動吸収性能(制振性、静音性)に劣り、静音性の観点から、その損失正接の値が小さすぎる材料は好ましくなく、一定レベル以上が必要である。本発明者らは、静音性に関して究明を進めた結果、強化材として適用するアラミド繊維の損失正接の値が0.03(40℃、100Hzでの測定値)以上あれば、それを配合したアラミド繊維強化材料がウォームホイール用材料として必要十分な静音性を実現することが可能になることを見出した。この損失正接の値は、0.04以上が好ましい。
また、アラミド繊維は、ガラス繊維に替わる強化材として使用されるため、アラミド繊維の弾性率に関しても一定レベル以上が確保されるべきであり。これに関して本発明者らは、ギヤの耐久試験を繰返すことにより、ウォームホイール用材料の強化材として、引張弾性率の値が20GPa以上必要であることを見出した。即ち、アラミド繊維の引張弾性率が、20GPaに満たない場合には、それによる補強効果が不十分であり、ウォームホイール用材料の強化材として好ましくない。
更に、本発明者らは、ウォームホイールに適用するアラミド繊維の弾性率には適正範囲が存在し、引張弾性率の適正範囲が20〜90GPaであることを見出した。アラミド繊維の引張弾性率が90GPaを超えると、その制振性が損なわれるだけでなく、樹脂に配合した場合のアラミド繊維強化材料としての強度が低下するため好ましくない。この理由については、今のところ明確になっていないが、90GPaを超えるような高い弾性率を持つアラミド繊維は、母材樹脂との親和性が、比較的低い弾性率を持つ繊維のそれと比較して低いと思われ、高弾性率を持つアラミド繊維と樹脂の間には強固な界面構造が形成されておらず、十分な補強効果が発現しないのではないかと推察している。引張弾性率は40〜80GPaが好ましい。
また、アラミド繊維は、熱可塑性樹脂との密着性を高めて補強効果を向上させるためにポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ビスマレイミド樹脂から選ばれる1種以上のサイジング剤によって表面処理が施されていてもよい。
アラミド繊維は、樹脂組成物全量の10〜40質量%の範囲内で配合される。10質量%に満たない場合には、十分な補強効果が発現しないため好ましくない。また、40質量%を超えて配合した場合には、増量による改善効果が殆ど認められないことから、好ましくない。好ましい配合量は10〜25質量%である。
また、樹脂組成物には、アラミド繊維の他にも各種の添加剤を添加してもく、例えば成形時及び使用時の熱による劣化を防止するために、ヨウ化物系熱安定剤やフェノール系、アミン系の酸化防止剤を、それぞれ単独、あるいは、併用して添加しても良い。
減速ギヤ30では、ウォームホイール31の歯部分とウォーム32の歯部分との潤滑状態を良好に保つためにグリースが充填されるが、本発明ではポリ−α−オレフィン油を主成分とした基油に、増ちょう剤として、アミンとイソシアネートからなるウレア化合物を配合し、ちょう度が200〜300のグリースを用いる。尚、基油の動粘度は、低温から高温までの流動性を考慮して20〜90mm/s(40℃)が好ましい。また、ポリ−α−オレフィン油の潤滑性を改善するために、ジエステル油や芳香族エステル油を混合したものであってよく、その場合の混入量は、基油全体に対して30質量%以下である。
上記基油及び増ちょう剤を選択したのは、本発明者らが、本製品に係る使用環境、使われ方を鑑みると共に、本発明において適用するウォームホイール用の樹脂組成物との親和性について、鋭意検討を重ねた結果、決定するに至った。
即ち、上記の成分から構成されるグリースの硬さ(ちょう度)の最適化検討を重ねた結果、ちょう度が200〜300である場合、最も望ましい性能を発揮することを見出した。ここで、ちょう度が200に満たない場合には、硬すぎて軽快な操舵フィーリングが失われるだけでなく、特に低温下での伝達効率が看過できないレベルにまで低下するため、好ましくない。一方、ちょう度が300を越えるような場合には、油膜破断が生じ易く、油膜破断が生じることでグリースによるギヤの騒音抑制効果が期待できなくなるため、好ましくない。好ましいちょう度は265〜295である。
また、グリースには、必要に応じて各種添加剤を加えることもできる。例えば、アミン系やフェノール系等の酸化防止剤、Caスルホネート等の防錆剤、MoDTC等の極圧添加剤、モンタン酸エステルワックス、モンタン酸エステル部分けん化ワックス、ポリエチレンワックス、オレイン酸等油性向上剤等であるが、中でもワックス類が好ましい。
このように、本発明で用いるグリースは、適切な動粘度を有するポリ−α−オレフィン油に対し、ウレア系増ちょう剤、並びに、各種添加剤を適量配合し、電動パワーステアリングの減速ギヤシステム用として最高のグリース性能を発現させるべく、上記範囲に収まるようにちょう度を調整している。
尚、本発明では減速ギヤ30の種類として、図3に示す他にも平歯車、はすば歯車、かさ歯車、ハイポイドギヤ等が可能であり、何れも金属製の芯管の外周に、外周面にギヤ歯が形成された樹脂部を一体化したものである。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
(実施例1〜3、比較例1〜8)
ウォームホイール用材料を想定して、表1、表2に示す熱可塑性樹脂及び強化材からなる樹脂組成物を成形して板状試験片を作製した。尚、実施例1〜3、並びに比較例1、2、6〜8では、ポリアミド66((株)宇部興産「UBEナイロン66」)に、粘弾性率特性及び引張弾性率の異なる種々のアラミド繊維を配合した樹脂組成物を用いた。また、比較例3では、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂(30%ガラス繊維強化ポリアミド66:(株)東レ「アミランCM3006G−30」)を用い、比較例4ではMCナイロン(クオドラント ポリペンコ ジャパン(株)「MC901」)を用い、比較例5ではポリフェニレンサルファイド((株)DIC「PPS Z−200−E5」)を用いた。
また、80mm/s(40℃)のポリ−α−オレフィン油を基油とし、ウレア化合物を配合してなり、表記したようにちょう度の異なるグリースを用意した。
そして、下記に示す(1)ウォーム軸への攻撃性の評価、(2)回転時発生音の評価及び(3)耐久性評価を行った。
(1)ウォーム軸への攻撃性の評価、
ウォームホイールのウォームへの攻撃性を把握することを目的に、実施例1、2及び比較例1〜5の各板状試験片を用いてボールオンディスク試験を行い、試験終了後の金属製ボールの損傷状態を評価した。即ち、本試験では、板状試験片と金属製ボールの間にグリースを介在させ、雰囲気温度23℃にて金属ボールを回転させ、所定時間経過後に金属製ボールの表面状態を観察した。
結果を表1に示すが、ガラス繊維強化材である比較例3では、試験終了後に金属製ボールの表面に、ガラス繊維による損傷痕が明確に認められたのに対し、アラミド繊維強化材である実施例では相手材を攻撃することがなく、試験終了後の金属製ボールの表面状態は極めて良好であった。この結果から、実施例の材料によるウォームホイールによれば、ガラス繊維強化材を用いた従来品と異なり、ステアリング作動時にガラス繊維がウォームを攻撃しながら摺動することで生じる不快音の発生を完全に防止できることは明白である。尚、比較例4、5の板状試験片は樹脂のみであるため、金属製ボールの損傷は見られなかった。
(2)回転時発生音の評価
クロスローレット加工を施し、脱脂した外径45mm、幅13mmのS45C製の芯管を、スプルー及びディスクゲートを装着した金型に配置し、射出成形機を用いて実施例及び比較例の樹脂組成物または樹脂からなる成形材料を一体成形して外径60mm、幅13mmのウォームホイールブランク材とし、次いで樹脂部の外周を切削加工してギヤ歯を形成してウォームホイールを作製した。
そして、実際の電動パワーステアリング装置のギヤボックスを模擬して作製したアルミ製ケースに、このウォームホイールと、金属製のウォームとを組み込み、グリースを充填した後、ウォームホイールを一定速度で回転させて減速ギヤ回転時の発生音を評価した。本評価は無響室にて行い、発生音はマイクロホンで計測し、現行製品の減速ギヤシステムに対し、発生音が5dB以上低下したものを合格と判定した。
結果を表1、表2に示すが、本発明に係る粘弾性特性及び引張弾性率を有するアラミド繊維を含む樹脂組成物を用い、グリースのちょう度を200〜300とした実施例では、合否判定基準を満足する結果が得られた。これに対し、アラミド繊維の損失正接が0.03を下回った比較例1、ガラス繊維を配合した比較例3では、グリースのちょう度が200〜300の範囲であっても合否判定基準を満足していない。また、本発明に係る粘弾性特性及び引張弾性率を有するアラミド繊維を含む樹脂組成物を用いても、グリースのちょう度が200〜300の範囲外である比較例6〜8では、合否判定基準を満足する結果が得られた。即ち、グリースのちょう度が200に満たない比較例6では、所望の速度での回転させることが困難なほど回転トルクが大きく、このことから、比較例6は発生音を評価する以前に、トルク増加が実際の操舵に支障が生じるレベルと判断し、不合格とした。また、グリースのちょう度が300を超える比較例7、8では、現行製品に対する発生音の低減効果が小さく、更に比較例8においては現行より悪化しており、不合格とした。
(3)耐久性評価
(2)回転時発生音の評価と同様にして減速ギヤを組み立て、雰囲気温度を80℃にコントロールして20万サイクルの繰り返し耐久試験を行い、破損(歯元クラックなど)が認められず、更に、摩耗が所定量以下であるものを合格と判定した。
結果を表1、表2に示すが、実施例のウォームホイールは20万サイクル耐久後もクラック発生は認められず、また、摩耗も少なく、問題なく作動した。これに対し、引張弾性率が90GPaを超えるアラミド繊維を用いた比較例1、損失正接が0.03を超えるが引張弾性率が20GPaを下回るアラミド繊維を用いた比較例2、補強繊維を含まない比較例4、5は十分な耐久性が得られていない。尚、比較例4、5では歯元クラックが見られたため、摩耗の評価は行っていない。
Figure 2015128946
Figure 2015128946
また、図4に実施例1、2及び比較例1、2の減速ギヤについて、サイクル回数に対する摩耗量をグラフ化して示す。図示されるように、実施例1、2の減速ギヤは20万サイクル耐久後でも摩耗量が少なく、耐久性に優れているが、比較例1では10万サイクルを超えてから摩耗量が増え続け、約14万サイクルで基準値を超えている。また、比較例2では、歯元クラックが発生している。
30 減速ギヤ
31 ウォームホイール
32 ウォーム
42 芯管
43 樹脂部
44 ギヤ歯

Claims (3)

  1. 電動モータによる補助出力を、減速歯車機構を介して車両のステアリング機構に伝達する電動パワーステアリング装置において、
    前記減速歯車機構が、熱可塑性樹脂と、40℃における損失正接が0.03以上であり、且つ、引張弾性率が20〜90GPaであるアラミド繊維とを含有する樹脂組成物からなる樹脂部を金属製芯管の外周に一体に設け、前記樹脂部の外周面にギヤ歯を形成したウォームホイールと、前記ウォームホイールと噛み合う金属製のウォームとから構成される減速ギヤを備えるとともに、
    前記ウォームホイールの歯部分と金属製のウォームの歯部分との間に、基油がポリ−α−オレフィン油で、増ちょう剤がウレア化合物であり、ちょう度が200〜300のグリースが充填されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂及びポリエーテルエーテルケトン樹脂から選ばれる少なくとも1種であり、前記アラミド繊維がポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びビスマレイミド樹脂から選ばれる1種以上のサイジング剤によって表面処理が施されていることを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記グリースが、モンタン酸エステルワックス、モンタン酸エステル部分けん化ワックス及びポリエチレンワックスから選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1または2記載の電動パワーステアリング装置。
JP2014001547A 2014-01-08 2014-01-08 電動パワーステアリング装置 Pending JP2015128946A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014001547A JP2015128946A (ja) 2014-01-08 2014-01-08 電動パワーステアリング装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014001547A JP2015128946A (ja) 2014-01-08 2014-01-08 電動パワーステアリング装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015128946A true JP2015128946A (ja) 2015-07-16

Family

ID=53760073

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014001547A Pending JP2015128946A (ja) 2014-01-08 2014-01-08 電動パワーステアリング装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015128946A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020193711A (ja) * 2020-08-06 2020-12-03 バンドー化学株式会社 ウエイトローラー
JP6960559B1 (ja) * 2021-03-31 2021-11-05 日立Astemo株式会社 ボールねじ装置、電動パワーステアリング装置およびボールねじ装置用潤滑剤

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020193711A (ja) * 2020-08-06 2020-12-03 バンドー化学株式会社 ウエイトローラー
JP6960559B1 (ja) * 2021-03-31 2021-11-05 日立Astemo株式会社 ボールねじ装置、電動パワーステアリング装置およびボールねじ装置用潤滑剤
WO2022208722A1 (ja) * 2021-03-31 2022-10-06 日立Astemo株式会社 ボールねじ装置、電動パワーステアリング装置およびボールねじ装置用潤滑剤

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2004083015A1 (ja) 電動パワーステアリング装置及びそれに使用する樹脂歯車
DE102014003006A1 (de) Harzgetriebevorrichtung mit aufgebrachter harzschmierender Schmierfettzusammensetzung
JP2015128946A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2018090681A (ja) 樹脂潤滑用グリース組成物、樹脂歯車装置及び車載用空調処理システムのアクチュエータ
JP2004162018A (ja) 潤滑剤組成物とそれを用いた減速機ならびにそれを用いた電動パワーステアリング装置
JP6161689B2 (ja) 繊維強化樹脂歯車
JP2005240940A (ja) 樹脂歯車
JP2004301268A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP4665450B2 (ja) 減速ギヤ
JP2005329849A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2014111435A (ja) 電動パワーステアリング装置及びその製造方法
JP4250902B2 (ja) 電動パワーステアリング装置用減速ギア
JP2004345595A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2016064714A (ja) 電動パワーステアリング装置用減速ギヤ及び電動パワーステアリング装置
JP2015127162A (ja) 電動パワーステアリング装置用減速ギヤ
JP6132154B2 (ja) 摺動軸およびステアリング装置
JP2005068316A (ja) 潤滑剤、樹脂潤滑用グリース組成物及び電動パワーステアリング装置
JP2014073827A (ja) 電動パワーステアリング装置
JPH10141477A (ja) 合成樹脂製歯車
JP4352668B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2013208934A (ja) 電動パワーステアリング装置ギヤ及び電動パワーステアリング装置
JP2015150984A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2007168718A (ja) 電動パワーステアリング装置用減速ギア
JP5610015B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2006290062A (ja) 電動パワーステアリング装置用減速ギヤ