JP2015125913A - 静電気保護部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】放電部にめっき液が侵入することを抑制し、且つ、浮遊容量を低減する。
【解決手段】静電気保護部品1Aのグラウンド電極20は、第1対向部20c、第2対向部20d、第1引出部20a、及び第2引出部20bを有する。第1引出部20aは、外部電極9に接続される第1部分20a1と、第1対向部20c及び第2対向部20dと同一の層に配置され且つ第1対向部20c及び第2対向部20dのそれぞれの一端に接続される第2部分20a2と、を含む。第2引出部20bは、外部電極10に接続される第1部分20b1と、第1対向部20c及び第2対向部20dと同一の層に配置され且つ第1対向部20c及び第2対向部20dのそれぞれの他端に接続される第2部分20b2と、を含む。第1引出部20a及び第2引出部20bのそれぞれの幅が、第1対向部20cの幅と第2対向部20dの幅との和よりも小さい。
【選択図】図3
【解決手段】静電気保護部品1Aのグラウンド電極20は、第1対向部20c、第2対向部20d、第1引出部20a、及び第2引出部20bを有する。第1引出部20aは、外部電極9に接続される第1部分20a1と、第1対向部20c及び第2対向部20dと同一の層に配置され且つ第1対向部20c及び第2対向部20dのそれぞれの一端に接続される第2部分20a2と、を含む。第2引出部20bは、外部電極10に接続される第1部分20b1と、第1対向部20c及び第2対向部20dと同一の層に配置され且つ第1対向部20c及び第2対向部20dのそれぞれの他端に接続される第2部分20b2と、を含む。第1引出部20a及び第2引出部20bのそれぞれの幅が、第1対向部20cの幅と第2対向部20dの幅との和よりも小さい。
【選択図】図3
Description
本発明は、静電気保護部品に関する。
複数の絶縁体層が積層されてなる素体と、素体の内部の同一層において互いに離間して配置された複対向電極対向電極及びグラウンド電極と、対向電極及びグラウンド電極を含んで構成される2以上の放電部と、を備える静電気保護部品が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の静電気保護部品では、対向電極及びグラウンド電極が、同一の層においてそれぞれ素体の外表面へと引き出されて露出することにより、当該素体の外表面に配置された各外部電極と接続されている。
上記特許文献1に記載の静電気保護部品では、同一の層に複数の電極が配置されて、且つ、当該複数の電極が同一の層において素体の外表面へ引き出されているので、同一の層における電極の総面積が多いものとなっている。このため、絶縁体層同士の密着性が悪く、構造上の欠陥が発生する可能性が高くなる。
外部電極は、導電性ペーストを塗布して乾燥させた後に、電気めっきを行うことで形成されるため、静電気保護部品は製造過程において必ずめっき液に曝される。したがって、静電気保護部品に構造上の欠陥が発生し易くなると、絶縁体層に配置された各電極における、素体の外表面へ露出する部分から、素体内にめっき液が侵入し易くなってしまう。その結果、素体内で放電を生じる放電部にまでめっき液が侵入し、当該めっき液によりギャップ部が繋がってショートしてしまうおそれがある。そこで、各電極における、素体の外表面へ露出する部分からの素体内へのめっき液の侵入を、出来る限り抑制する必要がある。
静電気保護部品は、静電気が印加されると、対向電極とグラウンド電極との間の離間部分、即ち放電部において放電を生じ、グラウンド電極に接続される外部電極を通ってグラウンドへと静電気を流す。これにより、静電気保護部品は電子機器を静電気から保護しているが、放電が繰り返されるにつれて、グラウンド電極が細くなり、結果的に静電気保護部品としての機能を果たせなくなるおそれがある。
これを抑制するため、グラウンド電極は所望の幅を確保することが求められているが、例えば上記特許文献1に記載の静電気保護部品においてグラウンド電極の幅を大きくすると、素体内へめっき液が侵入し易くなるおそれがある。具体的に、上記特許文献1に記載の静電気保護部品では、グラウンド電極が一定の幅のまま素体の外表面へと引き出されて素体の外表面に露出している。このため、グラウンド電極の幅を大きくすると、グラウンド電極が素体の外表面に露出する部分も大きくなる。これにより、グラウンド電極における、素体の外表面へ露出する部分から、素体内にめっき液が侵入し易くなってしまう。
更に、グラウンド電極の幅を大きくすると、浮遊容量が大きくなってしまうという問題がある。
本発明は、放電部にめっき液が侵入することを抑制し、且つ、浮遊容量を低減することが可能な静電気保護部品を提供することを目的とする。
本発明に係る静電気保護部品は、複数の絶縁体層が積層されてなる素体と、素体の内部に配置されたグラウンド電極と、グラウンド電極と互いに離間して配置され、グラウンド電極とで一の放電部を構成する第1対向電極と、グラウンド電極と互いに離間して配置され、前記グラウンド電極とで一の放電部を構成する第2対向電極と、グラウンド電極に接続され且つ素体の外表面に配置された第1外部電極と、グラウンド電極に接続され且つ素体の外表面に配置された第2外部電極と、第1対向電極に接続され且つ素体の外表面に配置された第3外部電極と、第2対向電極に接続され且つ素体の外表面に配置された第4外部電極と、を備え、グラウンド電極は、第1対向電極及び第2対向電極と同一の層に配置され且つ第1対向電極とで放電部を構成する第1対向部と、第1対向電極及び第2対向電極と同一の層に配置され且つ第2対向電極とで放電部を構成する第2対向部と、第1外部電極と第1対向部及び第2対向部とに接続される第1引出部と、第2外部電極と第1対向部及び第2対向部とに接続される第2引出部と、を有し、第1引出部は、第1外部電極に接続される第1部分と、第1対向部及び第2対向部と同一の層に配置され且つ第1対向部及び第2対向部のそれぞれの一端に接続される第2部分と、を含み、第2引出部は、第2外部電極に接続される第1部分と、第1対向部及び第2対向部と同一の層に配置され且つ第1対向部及び第2対向部のそれぞれの他端に接続される第2部分と、を含み、第1引出部及び第2引出部のそれぞれの幅が、第1対向部の幅と第2対向部の幅との和よりも小さい。
本発明に係る静電気保護部品では、グラウンド電極における、第1引出部及び第2引出部のそれぞれの幅が、第1対向部の幅と第2対向部の幅との和よりも小さいので、第1引出部及び第2引出部が素体の外表面へ露出する部分が、第1対向部の幅と第2対向部の幅との和よりも小さい。よって、グラウンド電極の幅が一定のまま素体の外表面へ引き出される場合よりも、グラウンド電極における素体の外表面へ露出する部分の大きさが小さい。したがって、当該露出する部分から素体の内部へめっき液が侵入することを抑制することができ、且つ、全体としてグラウンド電極が小さくなる分、浮遊容量を低減することができる。さらに、グラウンド電極の第1対向部と第2対向部とは、第1引出部における、第1対向部及び第2対向部と同一の層に配置された第2部分にそれぞれの一端が接続されると共に、第2引出部における、第1対向部及び第2対向部と同一の層に配置された第2部分にそれぞれの他端が接続される。つまり、第1対向部及び第2対向部は、第1引出部の第2部分にて分岐するように延び、且つ、第2引出部の第2部分にて分岐するように延びている。このため、第1引出部及び第2引出部における、素体の外表面へ露出する部分からめっき液が侵入した場合であっても、当該めっき液の侵入経路は、第1部分を通った後、第2部分にて分岐される。したがって、第1対向部及び第2対向部にまでめっき液が侵入することを抑制することができる。
第1引出部及び第2引出部のうちの少なくとも1つにおいて、第1部分と第2部分とが、異なる層に配置されると共にスルーホール導体を介して電気的に接続されていてもよい。この場合、同一の層内における電極の面積を少なくすることができ、絶縁体層同士の密着性が向上するので、構造上の欠陥が発生する可能性を低くすることができる。したがって、構造上の欠陥によるめっき液の侵入を抑制することができる。
本発明によれば、放電部にめっき液が侵入することを抑制し、且つ、浮遊容量を低減することが可能な静電気保護部品を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
まず、図1〜図5を参照して、第1実施形態に係る静電気保護部品の構成を説明する。図1は、第1及び第2実施形態に係る静電気保護部品を示す斜視図である。図2は、第1実施形態に係る素体の構成を示す分解斜視図である。図3は、図2の第1〜第4放電部を含む部分の構成を示す分解斜視図である。図4は、第1実施形態に係る静電気保護部品の、第1放電部及び第3放電部を含む断面構成を示す図である。図5は、第1実施形態に係る静電気保護部品の、第2放電部及び第4放電部を含む断面構成を示す図である。
まず、図1〜図5を参照して、第1実施形態に係る静電気保護部品の構成を説明する。図1は、第1及び第2実施形態に係る静電気保護部品を示す斜視図である。図2は、第1実施形態に係る素体の構成を示す分解斜視図である。図3は、図2の第1〜第4放電部を含む部分の構成を示す分解斜視図である。図4は、第1実施形態に係る静電気保護部品の、第1放電部及び第3放電部を含む断面構成を示す図である。図5は、第1実施形態に係る静電気保護部品の、第2放電部及び第4放電部を含む断面構成を示す図である。
本実施形態に係る静電気保護部品1Aは、電子機器の回路基板に実装され、ESD(Electro-Static Discharge:静電気放電)から電子機器を保護する電子部品である。図1〜図5に示されるように、静電気保護部品1Aは、略直方体形状を呈する素体4と、素体4の外表面に配置された外部電極5〜10と、素体4の内部に配置された対向電極12,14,16,18と、素体4の内部に配置されたグラウンド電極20と、素体4の内部に配置された2以上の放電部(第1放電部GP1、第2放電部GP2、第3放電部GP3、及び第4放電部GP4)と、素体4の内部に配置された放電誘発部24,25と、素体4の内部に配置された空洞部26〜29と、素体4の内部に配置されたコイルL1,L2と、を備えている。以下、素体4の積層方向をZ方向(上下方向)、積層方向の端面及び断面における短手方向(以下、単に「素体4の短手方向」という)をX方向、長手方向(以下、単に「素体4の長手方向」という)をY方向とする。
素体4は、複数の絶縁体層11が積層されて構成されている。各絶縁体層11は、略長方形状を有している。各絶縁体層11は、電気絶縁性を有する絶縁体であり、絶縁体グリーンシートの焼結体から構成される。実際の素体4では、各絶縁体層11は、その間の境界が視認できない程度に一体化されている。素体4は、外表面として、互いに対向する一対の端面4a,4bと、端面4a,4bに隣り合う四つの側面を有している。四つの側面のうち一の側面4cは、図示しない他の電子機器(例えば、回路基板又は電子部品など)に対面する面(実装面)として規定されている。
外部電極5は、素体4の側面4eに配置されている。外部電極5は、素体4の長手方向(図のY方向)における、端面4bよりも端面4aに近い位置に配置されている。外部電極5は、その一部が素体4の側面4c及び素体4の側面4dに回り込むようにして形成されている。
外部電極6は、素体4の側面4fに配置されている。外部電極6は、素体4の長手方向における、端面4bよりも端面4aに近い位置に配置されている。外部電極6は、その一部が素体4の側面4c及び素体4の側面4dに回り込むようにして形成されている。
外部電極7は、素体4の側面4eに配置されている。外部電極7は、素体4の長手方向における、端面4aよりも端面4bに近い位置に配置されている。外部電極7は、その一部が素体4の側面4c及び素体4の側面4dに回り込むようにして形成されている。
外部電極8は、素体4の側面4fに配置されている。外部電極8は、素体4の長手方向における、端面4aよりも端面4bに近い位置に配置されている。外部電極8は、その一部が素体4の側面4c及び素体4の側面4dに回り込むようにして形成されている。
外部電極9は、素体4の端面4aに配置されている。外部電極9は、素体4の短手方向(図のX方向)における、略中央の位置に配置されている。外部電極9は、その一部が素体4の側面4c及び素体4の側面4dに回り込むようにして形成されている。
外部電極10は、素体4の端面4bに配置されている。外部電極10は、素体4の短手方向における、略中央の位置に配置されている。外部電極10は、その一部が素体4の側面4c及び素体4の側面4dに回り込むようにして形成されている。
対向電極12は、素体4の長手方向における、端面4bよりも端面4aに近い位置で、且つ、素体4の短手方向における、側面4fよりも側面4eに近い位置で配置されている。対向電極12は、L字形状を有している。対向電極12は、引出部12a及び対向部12bを有している(図3参照)。引出部12aと対向部12bとは、同一の絶縁体層11に配置されている。引出部12aは、素体4の短手方向に沿って延在している。引出部12aの端部12cは、素体4の側面4e側に引き出され、当該側面4eに露出しており、外部電極5に接続される。対向部12bは、素体4の長手方向に沿って延在している。
対向電極14は、素体4の長手方向における、端面4aよりも端面4bに近い位置で、且つ、素体4の短手方向における、側面4fよりも側面4eに近い位置で配置されている。対向電極14は、L字形状を有している。対向電極14は、引出部14a及び対向部14bを有している。引出部14a及び対向部14bは、対向電極12の対向部12bが配置された層と同一の絶縁体層11に配置されている。即ち、引出部14aと対向部14bとは、同一の絶縁体層11に配置されている。引出部14aは、素体4の短手方向に沿って延在している。引出部14aの端部14cは、素体4の側面4e側に引き出され、当該側面4eに露出しており、外部電極7に接続される。対向部14bは、素体4の長手方向に沿って延在している。
対向電極16は、素体4の長手方向における、端面4bよりも端面4aに近い位置で、且つ、素体4の短手方向における、側面4eよりも側面4fに近い位置で配置されている。対向電極16は、L字形状を有している。対向電極16は、引出部16a及び対向部16bを有している。引出部16a及び対向部16bは、対向電極12の対向部12bが配置された層と同一の絶縁体層11に配置されている。即ち、引出部16aと対向部16bとは、同一の絶縁体層11に配置されている。引出部16aは、素体4の短手方向に沿って延在している。引出部16aの端部16cは、素体4の側面4f側に引き出され、当該側面4fに露出しており、外部電極6に接続される。対向部16bは、素体4の長手方向に沿って延在している。
対向電極18は、素体4の長手方向における、端面4aよりも端面4bに近い位置で、且つ、素体4の短手方向における、側面4eよりも側面4fに近い位置で配置されている。対向電極18は、L字形状を有している。対向電極18は、引出部18a及び対向部18bを有している。引出部18a及び対向部18bは、対向電極12の対向部12bが配置された層と同一の絶縁体層11に配置されている。即ち、引出部18aと対向部18bとは、同一の絶縁体層11に配置されている。引出部18aは、素体4の短手方向に沿って延在している。引出部18aの端部18cは、素体4の側面4f側に引き出され、当該側面4fに露出しており、外部電極8に接続される。対向部18bは、素体4の長手方向に沿って延在している。
グラウンド電極20は、素体4の短手方向における、略中央の位置で配置されている。グラウンド電極20は、第1引出部20a、第2引出部20b、第1対向部20c、及び第2対向部20dを有している。第1引出部20a、第2引出部20b、第1対向部20c、及び第2対向部20dは、対向電極12の対向部12bが配置された層と同一の絶縁体層11に配置されている。即ち、第1引出部20a、第2引出部20b、第1対向部20c、及び第2対向部20dは、同一の絶縁体層11に配置されている。
第1引出部20aは、素体4の長手方向における、端面4bよりも端面4aに近い位置で、且つ、素体4の短手方向における、略中央の位置で配置されている。第1引出部20aは、外部電極9に接続される第1部分20a1と、第1対向部20c及び第2対向部20dに接続される第2部分20a2と、を有している。第1部分20a1は、素体4の長手方向に沿って延在するI字形状を有している。第1部分20a1の端部20gは、素体4の端面4a側に引き出され、当該端面4aに露出しており、外部電極9に接続される。第2部分20a2は、第1部分20a1の外部電極9に接続される側の端部20gとは反対側の端部に接続されると共に、第1対向部20c一端及び第2対向部20dの一端に接続される。
第2引出部20bは、素体4の長手方向における、端面4aよりも端面4bに近い位置で、且つ、素体4の短手方向における、略中央の位置で配置されている。第2引出部20bは、外部電極10に接続される第1部分20b1と、第1対向部20c及び第2対向部20dに接続される第2部分20b2と、を有している。第1部分20b1は、素体4の長手方向に沿って延在するI字形状を有している。第1部分20b1の端部20hは、素体4の端面4b側に引き出され、当該端面4bに露出しており、外部電極10に接続される。第2部分20b2は、第1部分20b1の外部電極10に接続される側の端部20hとは反対側の端部に接続されると共に、第1対向部20c他端及び第2対向部20dの他端に接続される。
第1対向部20c及び第2対向部20dは、それぞれ素体4の長手方向に延在している。第1対向部20cと第2対向部20dとは、第1引出部20aの第2部分20a2にそれぞれの一端が接続されると共に、第2引出部20bの第2部分20b2にそれぞれの他端が接続される。即ち、第1対向部20cと第2対向部20dとは、第1引出部20aの第2部分20a2を介して第1引出部20aの第1部分20a1に電気的に接続されると共に、第2引出部20bの第2部分20b2を介して第2引出部20bの第1部分20b1に電気的に接続される。
第1対向部20cと第2対向部20dとは、第1引出部20aの第2部分20a2と第2引出部20bの第2部分20b2との間において、素体4の長手方向にそれぞれ延びている。つまり、第1対向部20cと第2対向部20dとは、第1引出部20aの第2部分20a2にて分岐するように延び、且つ、第2引出部20bの第2部分20b2にて分岐するように延びている。第1引出部20aの第2部分20a2、第2引出部20bの第2部分20b2、第1対向部20c、及び第2対向部20dにより、同一の絶縁体層11上にループ状の導体パターンが形成されている。
第1対向部20cと第2対向部20dとが延びている方向と略直交する方向、即ち、素体4の短手方向において、第1対向部20cの幅と第2対向部20dの幅との和よりも、第1引出部20aの幅は小さい。つまり、第1引出部20aが素体4の端面4aへ露出する部分は、第1対向部20cの幅と第2対向部20dの幅との和よりも小さい。同様にして、素体4の短手方向において、第1対向部20cの幅と第2対向部20dの幅との和よりも、第2引出部20bの幅は小さい。つまり、第2引出部20bが素体4の端面4bへ露出する部分は、第1対向部20cの幅と第2対向部20dの幅との和よりも小さい。
第1対向部20cは、対向電極12の対向部12b及び対向電極14の対向部14bと離間して対向配置されている。これにより、対向電極12の対向部12bとグラウンド電極20の第1対向部20cとの間に第1放電部GP1が形成され(図4参照)、対向電極14の対向部14bとグラウンド電極20の第1対向部20cとの間に第2放電部GP2が形成される(図5参照)。このような構成により、外部電極5及び外部電極9の間に所定以上の電圧が印加されると、第1放電部GP1において放電が生じる。同様にして、外部電極7及び外部電極10の間に所定以上の電圧が印加されると、第2放電部GP2において放電が生じる。
第2対向部20dは、対向電極16の対向部16b及び対向電極18の対向部18bと離間して対向配置されている。これにより、対向電極16の対向部16bとグラウンド電極20の第2対向部20dとの間に第3放電部GP3が形成され(図4参照)、対向電極18の対向部18bとグラウンド電極20の第2対向部20dとの間に第4放電部GP4が形成される(図5参照)。このような構成により、外部電極6及び外部電極9の間に所定以上の電圧が印加されると、第3放電部GP3において放電が生じる。同様にして、外部電極8及び外部電極10の間に所定以上の電圧が印加されると、第4放電部GP4において放電が生じる。
放電誘発部24は、第1放電部GP1及び第3放電部GP3に位置し、第1放電部GP1及び第3放電部GP3における放電を発生し易くする機能を有している。放電誘発部24は、対向電極12の対向部12bとグラウンド電極20の第1対向部20cとを接続すると共に、対向電極16の対向部16bとグラウンド電極20の第2対向部20dとを接続している。
放電誘発部25は、第2放電部GP2及び第4放電部GP4に位置し、第2放電部GP2及び第4放電部GP4における放電を発生し易くする機能を有している。放電誘発部25は、対向電極14の対向部14bとグラウンド電極20の第1対向部20cとを接続すると共に、対向電極18の対向部18bとグラウンド電極20の第2対向部20dとを接続している。
空洞部26は、第1放電部GP1に形成されている。空洞部26は、対向部12b、第1対向部20c、絶縁体層11、及び放電誘発部24の、放電時における熱膨張を吸収する機能を有する。空洞部27は、第2放電部GP2に形成されている。空洞部27は、対向部14b、第1対向部20c、絶縁体層11、及び放電誘発部25の、放電時における熱膨張を吸収する機能を有する。空洞部28は、第3放電部GP3に形成されている。空洞部28は、対向部16b、第2対向部20d、絶縁体層11、及び放電誘発部24の、放電時における熱膨張を吸収する機能を有する。空洞部29は、第4放電部GP4に形成されている。空洞部29は、対向部18b、第2対向部20d、絶縁体層11、及び放電誘発部25の、放電時における熱膨張を吸収する機能を有する。
コイルL1とコイルL2とは、絶縁体層11の積層方向において、対向電極12,14,16,18及びグラウンド電極20が配置された層よりも、素体4の側面4cの近くに配置されている。コイルL1とコイルL2とは、素体4の側面4cに近い方からコイルL2及びコイルL1の順に併置されている。コイルL1は、素体4の内部において絶縁体層11の積層方向に併置される複数の内部導体である導体51及び導体52の端部同士が、導体51及び導体52の間に位置するスルーホール導体56で接続されることにより構成されている。導体51は、スパイラル状を呈している。導体51及び導体52は、絶縁体層11の積層方向に、素体4の側面4cに近い方から、導体51及び導体52の順に併置されている。
導体51の端部51aは、素体4の側面4eまで引き出され、当該側面4eに露出しており、外部電極5と接続される。導体52の端部52aは、素体4の側面4fまで引き出され、当該側面4fに露出しており、外部電極6と接続される。よって、コイルL1は、外部電極5及び外部電極6と電気的に接続される。
コイルL2は、素体4の内部において絶縁体層11の積層方向に併置される複数の内部導体である導体53及び導体54の端部同士が、導体53及び導体54の間に位置するスルーホール導体55で接続されることにより構成されている。導体54は、スパイラル状を呈している。導体53及び導体54は、絶縁体層11の積層方向に、素体4の側面4dに近い方から、導体53及び導体54の順に併置されている。
導体53の端部53aは、素体4の側面4eまで引き出され、当該側面4eに露出しており、外部電極7と接続される。導体54の端部54aは、素体4の側面4fまで引き出され、当該側面4fに露出しており、外部電極8と接続される。よって、コイルL2は、外部電極7及び外部電極8と電気的に接続される。
コイルL1とコイルL2とは、スパイラル形状を呈する導体52及び導体54が磁気的に結合することで、いわゆるコモンモードフィルタを構成している。
次に、各構成要素の材料について詳細に説明する。
外部電極5〜10と、対向電極12,14,16,18と、グラウンド電極20とは、それぞれAg、Pd、Au、Pt、Cu、Ni、Al、Mo、又はWを含有する導体材料によって構成される。外部電極5〜10は、合金として、Ag/Pd合金、Ag/Cu合金、Ag/Au合金、又はAg/Pt合金などを用いることができる。
絶縁体層11は、Fe2O3、NiO、CuO、ZnO、MgO、SiO2、TiO2、Mn2O3、SrO、CaO、BaO、SnO2、K2О、Al2O3、ZrO2、又はB2O3などの中の単独材料によって構成される。絶縁体層11は、これらの二種類以上を混合させたセラミック材料によって構成されてもよい。絶縁体層11には、ガラスが含有されていてもよい。絶縁体層11には、低温焼結を可能とするために酸化銅(CuO又はCu2O)が含有されていることが好ましい。
各導体51〜54、各スルーホール導体55,56は、例えばAg又はPdなどの導体材料を含んでいる。各導体51〜54、各スルーホール導体55,56は、上記導体材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
放電誘発部24,25は、Fe2O3、NiO、CuO、ZnO、MgO、SiO2、TiO2、Mn2O3、SrO、CaO、BaO、SnO2、K2О、Al2O3、ZrO2、又はB2O3などの中の単独材料を含んで構成される。放電誘発部24,25は、これらの二種類以上を混合させた材料を含んで構成されてもよい。放電誘発部24,25には、Ag、Pd、Au、Pt、Ag/Pd合金、Ag/Cu合金、Ag/Au合金、又はAg/Pt合金などの金属粒子が含有されている。放電誘発部24,25に金属粒子として含有されている金属材料の融点は、コイルL1を構成する各導体51〜54に含有されている導体材料の融点よりも高くてもよい。放電誘発部24,25には、RuO2などの半導体粒子が含有されていることが好ましい。放電誘発部24,25には、ガラス又は酸化鉛(SnO又はSnO2)が含有されていてもよい。
次に、図6を参照して、本実施形態における静電気保護部品の製造方法について説明する。図6は、本実施形態に係る静電気保護部品の製造方法を示すフロー図である。
まず、絶縁体層11を構成する材料のスラリーを調合し(S1)、絶縁体層11用のグリーンシートを形成する(S2)。具体的には、酸化銅(CuO)を含む所定量の誘電体粉末と、有機溶剤及び有機バインダを含む有機ビヒクルと、を混合し、絶縁体層11用のスラリーを調合する。誘電体粉末には、Mg、Cu、Zn、Si、又はSrの酸化物(他の誘電体材料でもよい)を主成分として含む誘電体材料を用いることができる。その後、ドクターブレード法などによって、PETフィルム上にスラリーを塗布し、厚さ20μm程度のグリーンシートを形成する。なお、各絶縁体層11における各スルーホール導体31〜37の形成予定位置には、レーザ加工によって貫通孔が形成されている。
絶縁体層11用のグリーンシートを形成した後、当該グリーンシートの所定の位置に、放電誘発材料スラリー、導体ペースト、及び溶剤(空洞用ラッカー)をそれぞれ印刷する(S3)。放電誘発材料スラリーの印刷は、絶縁体層11用のシートに、焼成後の放電誘発部24,25を形成するための放電誘発材料スラリーを調合して塗布することにより行う(S3A)。具体的には、所定量に秤量した酸化錫、絶縁体、及び導体の各粉末と、有機溶剤及び有機バインダを含む有機ビヒクルと、を混合し、放電誘発材料スラリーを調合する。例えば、酸化錫として工業用のSnO2を使用でき、絶縁体として誘電体粉末を使用できる。誘電体粉末には、Mg、Cu、Zn、Si、又はSrの酸化物(他の誘電体材料でもよい)を主成分として含む誘電体材料を用いることができる。導体粉末として、Ag/Pd粉を用いることができる(Ag、Pd、Au、Pt、又はその混合物若しくは化合物などでもよい)。酸化錫の粒子とAg/Pd合金の金属粒子が混在する状態となるように、各粉末を十分に混合する。放電誘発材料スラリーは、後述する焼成工程により、放電誘発部24,25となる。
導体ペーストの印刷は、絶縁体層11用のグリーンシートに、導体パターンを形成するための導体ペーストをスクリーン印刷などによって塗布することにより行う(S3B)。導体パターンは、後述する焼成工程により、各導体51〜54、対向電極12,14,16,18、及び、グラウンド電極20となる。各導体パターンは、スクリーン印刷した後、乾燥することによって形成される。貫通孔には、各導体パターンの形成の際に導体ペーストが充填される。貫通孔に充填された導体ペーストは、後述する焼成工程により、各スルーホール導体55,56となる。
空洞用ラッカーの印刷は、絶縁体層11用のグリーンシートに、既に印刷された対向電極12の対向部12b及びグラウンド電極20の第1対向部20cを形成するための導体ペーストと、既に印刷された対向電極14の対向部14b及びグラウンド電極20の第1対向部20cを形成するための導体ペーストと、既に印刷された対向電極16の対向部16b及びグラウンド電極20の第2対向部20dを形成するための導体ペーストと、既に印刷された対向電極18の対向部18b及びグラウンド電極20の第2対向部12dを形成するための導体ペーストと、をそれぞれ覆うように、空洞用ラッカーを塗布することにより行う(S3C)。空洞用ラッカーは、空洞部26,27,28,29を形成するための塗料である。
放電誘発材料スラリー、導体ペースト、及び空洞用ラッカーが印刷された絶縁体層11用のグリーンシートを、順次積層させ(S4)、プレスし(S5)、個々の静電気保護部品1の大きさになるように積層体を切断する(S6)。絶縁体層11用のグリーンシートの積層順序は、焼成後に形成される各構成の積層方向における順序が、回路基板に対する実装面である素体4の側面4cに近い方から順に、各導体51〜54、放電誘発部24,25、引出部12a,14a,16a,18a、第1引出部20a及び第2引出部20b、対向部12b,14b,16b,18b、第1対向部20c及び第2対向部20d、並びに空洞部26〜29となるように編集する。
続いて、絶縁体層11用のグリーンシートの積層体が切断されて得られた各グリーンチップのバレル研磨を行う(S7)。これにより、角部や稜線が丸められたグリーンチップが得られる。
次に、バレル研磨工程の後、グリーンチップを所定の条件(例えば、大気中で850〜950℃で2時間)焼成する(S8)。これにより、グリーンチップは、焼成により、素体4となる。これにより、対向部12b及び第1対向部20cの間に第1放電部GP1、対向部14b及び第1対向部20cの間に第2放電部GP2、対向部16b及び第2対向部20dの間に第3放電部GP3、並びに、対向部18b及び第2対向部20dの間に第4放電部GP4が形成される。また、焼成工程では、空洞用ラッカーが消失し、第1放電部GP1を覆う空洞部26、第2放電部GP2を覆う空洞部27、第3放電部GP3を覆う空洞部28、及び、第4放電部GP4を覆う空洞部29が形成される。即ち、焼成工程を経ることにより、第1放電部GP1、第2放電部GP2、第3放電部GP3、及び、第4放電部GP4が備えられた中間体が得られる。
続いて、素体4に外部電極5〜10用の導体ペーストを塗布し(S9)、所定条件(例えば、大気中で600〜800℃で2時間)にて熱処理を行い、外部電極5〜10を焼き付けて形成する(S10)。その後、外部電極5〜10の表面にめっきを施す(S12)。めっきは、電解めっきが好ましく、例えば、Ni/Sn、Cu/Ni/Sn、Ni/Pd/Au、Ni/Pd/Ag、Ni/Agなどを用いることができる。
以上の過程を経て、静電気保護部品1Aが得られる。
以上、本実施形態に係る静電気保護部品1Aによれば、グラウンド電極20における、第1引出部20a及び第2引出部20bのそれぞれの幅が、第1対向部20cの幅と第2対向部20dの幅との和よりも小さいので、第1引出部20aにおける、素体4の端面4aへ露出する部分、及び、第2引出部20bにおける、素体4の端面4bへ露出する部分が、第1対向部20cの幅と第2対向部20dの幅との和よりも小さい。よって、グラウンド電極20の幅が一定のまま素体4の外表面へ引き出される場合よりも、グラウンド電極20における、素体4の外表面へ露出する部分の大きさが小さい。したがって、当該露出する部分から素体4の内部へめっき液が侵入することを抑制することができ、且つ、全体としてグラウンド電極20が小さくなる分、浮遊容量を低減することができる。さらに、グラウンド電極20の第1対向部20cと第2対向部20dとは、第1引出部20aにおける、第1対向部20c及び第2対向部20dと同一の層に配置された第2部分20a2にそれぞれの一端が接続されると共に、第2引出部20bにおける、第1対向部20c及び第2対向部20dと同一の層に配置された第2部分20a2にそれぞれの他端が接続される。つまり、第1対向部20c及び第2対向部20dは、第1引出部20aの第2部分20a2にて分岐するように延び、且つ、第2引出部20bの第2部分20b2にて分岐するように延びている。このため、第1引出部20aにおける、素体4の端面4aへ露出する部分からめっき液が侵入した場合であっても、当該めっき液の侵入経路は、第1引出部20aの第1部分20a1を通った後、第1引出部20aの第2部分20a2にて分岐される。同様にして、第2引出部20bにおける、素体4の端面4bへ露出する部分からめっき液が侵入した場合であっても、当該めっき液の侵入経路は、第2引出部20bの第1部分20b1を通った後、第2引出部20bの第2部分20b2にて分岐される。したがって、第1対向部20c及び第2対向部20dにまでめっき液が侵入することを抑制することができる。以上より、第1放電部GP1、第2放電部GP2、第3放電部GP3、及び第4放電部GP4にめっき液が侵入することを抑制し、且つ、浮遊容量を低減することができる。
(第2実施形態)
次に、図1及び図7〜図10を参照して、第2実施形態に係る静電気保護部品の構成を説明する。図7は、第2実施形態に係る素体の構成を示す分解斜視図である。図8は、図7の第1〜第4放電部を含む部分の構成を示す分解斜視図である。図9は、第2実施形態に係る静電気保護部品の、第1放電部及び第3放電部を含む断面構成を示す図である。図10は、第2実施形態に係る静電気保護部品の、第2放電部及び第4放電部を含む断面構成を示す図である。
次に、図1及び図7〜図10を参照して、第2実施形態に係る静電気保護部品の構成を説明する。図7は、第2実施形態に係る素体の構成を示す分解斜視図である。図8は、図7の第1〜第4放電部を含む部分の構成を示す分解斜視図である。図9は、第2実施形態に係る静電気保護部品の、第1放電部及び第3放電部を含む断面構成を示す図である。図10は、第2実施形態に係る静電気保護部品の、第2放電部及び第4放電部を含む断面構成を示す図である。
第2実施形態に係る静電気保護部品1Bは、第1実施形態に係る静電気保護部品1A同様、略直方体形状を呈する素体4と、素体4の外表面に配置された外部電極5〜10と、素体4の内部に配置されたコイルL1,L2と、を備えている。素体4と、外部電極5〜10とコイルL1,L2の構成は、第1実施形態と同様である(図1及び図2参照)。図7〜図10に示されるように、第2実施形態に係る静電気保護部品1Bにおいては、第1〜第4放電部を含む部分の構成が、第1実施形態に係る静電気保護部品1Aとは異なっている。具体的には、対向電極12,14,16,18、グラウンド電極20、第1放電部GP1、第2放電部GP2、第3放電部GP3、第4放電部GP4、放電誘発部24,25、及び、空洞部26〜29の代わりに、静電気保護部品1Bは、対向電極30,32,34,36、グラウンド電極38、第1放電部GP5、第2放電部GP6、第3放電部GP7、第4放電部GP8、放電誘発部42,43、及び、空洞部44〜48、を備えている。
対向電極30は、素体4の長手方向における、端面4bよりも端面4aに近い位置で、且つ、素体4の短手方向における、側面4fよりも側面4eに近い位置で配置されている。対向電極30は、引出部30a及び対向部30bを有している(図8参照)。引出部30aと対向部30bとは、互いに異なる絶縁体層11に配置されている。引出部30aは、素体4の短手方向に沿って延在するI字形状を有している。引出部30aの端部30cは、素体4の側面4e側に引き出され、当該側面4eに露出しており、外部電極5に接続される。対向部30bは、素体4の長手方向に沿って延在するI字形状を有している。対向部30bは、対向部30bと引出部30aとの間に位置するスルーホール導体31を介して、引出部30aに電気的に接続される。
対向電極32は、素体4の長手方向における、端面4aよりも端面4bに近い位置で、且つ、素体4の短手方向における、側面4fよりも側面4eに近い位置で配置されている。対向電極32は、引出部32a及び対向部32bを有している。引出部32aは、対向電極30の対向部30bが配置された層とは別の絶縁体層11に配置され、対向部32bは、対向電極30の対向部30bが配置された層と同一の絶縁体層11に配置されている。即ち、引出部32aと対向部32bとは、互いに異なる絶縁体層11に配置されている。引出部32aは、素体4の短手方向に沿って延在するI字形状を有している。引出部32aの端部32cは、素体4の側面4e側に引き出され、当該側面4eに露出しており、外部電極7に接続される。対向部32bは、素体4の長手方向に沿って延在するI字形状を有している。対向部32bは、対向部32bと引出部32aとの間に位置するスルーホール導体33を介して、引出部32aに電気的に接続される。
対向電極34は、素体4の長手方向における、端面4bよりも端面4aに近い位置で、且つ、素体4の短手方向における、側面4eよりも側面4fに近い位置で配置されている。対向電極34は、引出部34a及び対向部34bを有している。引出部34aは、対向電極30の対向部30bが配置された層とは別の絶縁体層11に配置され、対向部34bは、対向電極30の対向部30bが配置された層と同一の絶縁体層11に配置されている。即ち、引出部34aと対向部34bとは、互いに異なる絶縁体層11に配置されている。引出部34aは、素体4の短手方向に沿って延在するI字形状を有している。引出部34aの端部34cは、素体4の側面4f側に引き出され、当該側面4fに露出しており、外部電極6に接続される。対向部34bは、素体4の長手方向に沿って延在するI字形状を有している。対向部34bは、対向部34bと引出部34aとの間に位置するスルーホール導体35を介して、引出部34aに電気的に接続される。
対向電極36は、素体4の長手方向における、端面4aよりも端面4bに近い位置で、且つ、素体4の短手方向における、側面4eよりも側面4fに近い位置で配置されている。対向電極36は、引出部36a及び対向部36bを有している。引出部36aは、対向電極30の対向部30bが配置された層とは別の絶縁体層11に配置され、対向部36bは、対向電極30の対向部30bが配置された層と同一の絶縁体層11に配置されている。即ち、引出部36aと対向部36bとは、互いに異なる絶縁体層11に配置されている。引出部36aは、素体4の短手方向に沿って延在するI字形状を有している。引出部36aの端部36cは、素体4の側面4f側に引き出され、当該側面4fに露出しており、外部電極8に接続される。対向部36bは、素体4の長手方向に沿って延在するI字形状を有している。対向部36bは、対向部36bと引出部36aとの間に位置するスルーホール導体37を介して、引出部36aに電気的に接続される。
グラウンド電極38は、素体4の短手方向における、略中央の位置で配置されている。グラウンド電極38は、第1引出部38a、第2引出部38b、第1対向部38c、及び第2対向部38dを有している。第1対向部38c及び第2対向部38dは、対向電極30の対向部30bが配置された層と同一の絶縁体層11に配置されている。
第1引出部38aは、素体4の長手方向における、端面4bよりも端面4aに近い位置で、且つ、素体4の短手方向における、略中央の位置で配置されている。第1引出部38aは、第1対向部38c及び第2対向部38dが配置された層とは別の絶縁体層11に配置され、且つ、外部電極9に接続される第1部分38a1と、第1対向部38c及び第2対向部38dが配置された層と同一の層に配置され、且つ、第1対向部38c及び第2対向部38dのそれぞれの一端に接続される第2部分38a2と、を有している。即ち、第1引出部38aの第1部分38a1と、第1引出部38aの第2部分38a2とは、互いに異なる層に配置されている。第1部分38a1は、素体4の長手方向に沿って延在するI字形状を有している。第1部分38a1の端部38gは、素体4の端面4a側に引き出され、当該端面4aに露出しており、外部電極9に接続される。第2部分38a2は、第1部分38a1の外部電極9に接続される側の端部38gとは反対側の端部にスルーホール導体39を介して電気的に接続されると共に、第1対向部38c一端及び第2対向部38dの一端に接続される。
第2引出部38bは、素体4の長手方向における、端面4aよりも端面4bに近い位置で、且つ、素体4の短手方向における、略中央の位置で配置されている。第2引出部38bは、第1対向部38c及び第2対向部38dが配置された層とは別の絶縁体層11に配置され、且つ、外部電極10に接続される第1部分38b1と、第1対向部38c及び第2対向部38dが配置された層と同一の層に配置され、且つ、第1対向部38c及び第2対向部38dのそれぞれの他端に接続される第2部分38b2と、を有している。即ち、第2引出部38bの第1部分38b1と、第2引出部38bの第2部分38b2とは、互いに異なる層に配置されている。第1部分38b1は、素体4長手方向に沿って延在するI字形状を有している。第1部分38b1の端部38hは、素体4の端面4b側に引き出され、当該端面4bに露出しており、外部電極10に接続される。第2部分38b2は、第1部分38b1の外部電極9に接続される側の端部38hとは反対側の端部にスルーホール導体40を介して電気的に接続されると共に、第1対向部38c他端及び第2対向部38dの他端に接続される。
第1対向部38c及び第2対向部38dは、それぞれ素体4の長手方向に延在している。第1対向部38cと第2対向部38dとは、第1引出部38aの第2部分38a2にそれぞれの一端が接続されると共に、第2引出部38bの第2部分38b2にそれぞれの他端が接続される。即ち、第1対向部38cと第2対向部38dとは、第1引出部38aの第2部分38a2を介して第1引出部38aの第1部分38a1に電気的に接続されると共に、第2引出部38bの第2部分38b2を介して第2引出部38bの第1部分38b1に電気的に接続される。
第1対向部38cと第2対向部38dとは、第1引出部38aの第2部分38a2と第2引出部38bの第2部分38b2との間において、素体4の長手方向にそれぞれ延びている。つまり、第1対向部38cと第2対向部38dとは、第1引出部38aの第2部分38a2にて分岐するように延び、且つ、第2引出部38bの第2部分38b2にて分岐するように延びている。第1引出部38aの第2部分38a2、第2引出部38bの第2部分38b2、第1対向部38c、及び第2対向部38dにより、同一の絶縁体層11上にループ状の導体パターンが形成されている。
第1対向部38cと第2対向部38dとが延びている方向と略直交する方向、即ち、素体4の短手方向において、第1対向部38cの幅と第2対向部38dの幅との和よりも、第1引出部38aの幅は小さい。つまり、第1引出部38aが素体4の端面4aへ露出する部分は、第1対向部38cの幅と第2対向部38dの幅との和よりも小さい。同様にして、素体4の短手方向において、第1対向部38cの幅と第2対向部38dの幅との和よりも、第2引出部38bの幅は小さい。つまり、第2引出部38bが素体4の端面4bへ露出する部分は、第1対向部38cの幅と第2対向部38dの幅との和よりも小さい。
第1対向部38cは、対向電極30の対向部30b及び対向電極32の対向部32bと離間して対向配置されている。これにより、対向電極30の対向部30bとグラウンド電極38の第1対向部38cとの間に第1放電部GP5が形成され(図9参照)、対向電極32の対向部32bとグラウンド電極38の第1対向部38cとの間に第2放電部GP6が形成される(図10参照)。このような構成により、外部電極5及び外部電極9の間に所定以上の電圧が印加されると、第1放電部GP5において放電が生じる。同様にして、外部電極7及び外部電極10の間に所定以上の電圧が印加されると、第2放電部GP6において放電が生じる。
第2対向部38dは、対向電極34の対向部34b及び対向電極36の対向部36bと離間して対向配置されている。これにより、対向電極34の対向部34bとグラウンド電極38の第2対向部38dとの間に第3放電部GP7が形成され(図9参照)、対向電極36の対向部36bとグラウンド電極38の第2対向部38dとの間に第4放電部GP8が形成される(図10参照)。このような構成により、外部電極6及び外部電極9の間に所定以上の電圧が印加されると、第3放電部GP7において放電が生じる。同様にして、外部電極8及び外部電極10の間に所定以上の電圧が印加されると、第4放電部GP8において放電が生じる。
放電誘発部42は、第1放電部GP5及び第3放電部GP7に位置し、第1放電部GP5及び第3放電部GP7における放電を発生し易くする機能を有している。放電誘発部42は、対向電極30の対向部30bとグラウンド電極38の第1対向部38cとを接続すると共に、対向電極34の対向部34bとグラウンド電極38の第2対向部38dとを接続している。
放電誘発部43は、第2放電部GP6及び第4放電部GP8に位置し、第2放電部GP6及び第4放電部GP8における放電を発生し易くする機能を有している。放電誘発部43は、対向電極32の対向部32bとグラウンド電極38の第1対向部38cとを接続すると共に、対向電極36の対向部36bとグラウンド電極38の第2対向部38dとを接続している。
空洞部44は、第1放電部GP5に形成されている。空洞部44は、対向部30b、第1対向部38c、絶縁体層11、及び放電誘発部42の、放電時における熱膨張を吸収する機能を有する。空洞部45は、第2放電部GP6に形成されている。空洞部45は、対向部32b、第1対向部38c、絶縁体層11、及び放電誘発部43の、放電時における熱膨張を吸収する機能を有する。空洞部46は、第3放電部GP7に形成されている。空洞部46は、対向部34b、第2対向部38d、絶縁体層11、及び放電誘発部42の、放電時における熱膨張を吸収する機能を有する。空洞部47は、第4放電部GP8に形成されている。空洞部47は、対向部36b、第2対向部38d、絶縁体層11、及び放電誘発部43の、放電時における熱膨張を吸収する機能を有する。
以上、本実施形態における静電気保護部品1Bについても、上記実施形態と同様の効果を奏する。即ち、本実施形態に係る静電気保護部品1Bによれば、グラウンド電極38における、第1引出部38a及び第2引出部38bのそれぞれの幅が、第1対向部38cの幅と第2対向部38dの幅との和よりも小さいので、第1引出部38aにおける、素体4の端面4aへ露出する部分、及び、第2引出部38bにおける、素体4の端面4bへ露出する部分が、第1対向部38cの幅と第2対向部38dの幅との和よりも小さい。よって、グラウンド電極38の幅が一定のまま素体4の外表面へ引き出される場合よりも、グラウンド電極38における、素体4の外表面へ露出する部分の大きさが小さい。したがって、当該露出する部分から素体4の内部へめっき液が侵入することを抑制することができ、且つ、全体としてグラウンド電極38が小さくなる分、浮遊容量を低減することができる。さらに、グラウンド電極38の第1対向部38cと第2対向部38dとは、第1引出部38aにおける、第1対向部38c及び第2対向部38dと同一の層に配置された第2部分38a2にそれぞれの一端が接続されると共に、第2引出部38bにおける、第1対向部38c及び第2対向部38dと同一の層に配置された第2部分20b2にそれぞれの他端が接続される。つまり、第1対向部38c及び第2対向部38dは、第1引出部38aの第2部分38b2にて分岐するように延び、且つ、第2引出部38bの第2部分38b2にて分岐するように延びている。このため、第1引出部38aにおける、素体4の端面4aへ露出する部分からめっき液が侵入した場合であっても、当該めっき液の侵入経路は、第1引出部38aの第1部分38a1を通った後、第1引出部38aの第2部分38a2にて分岐される。同様にして、第2引出部38bにおける、素体4の端面4bへ露出する部分からめっき液が侵入した場合であっても、当該めっき液の侵入経路は、第2引出部38bの第1部分38b1を通った後、第2引出部38bの第2部分38b2にて分岐される。したがって、第1対向部38c及び第2対向部38dにまでめっき液が侵入することを抑制することができる。以上より、第1放電部GP5、第2放電部GP6、第3放電部GP7、及び第4放電部GP8にめっき液が侵入することを抑制し、且つ、浮遊容量を低減することができる。
更に、本実施形態に係る静電気保護部品1Bによれば、第1引出部38aの第1部分38a1及び第2引出部38bの第1部分38a1と、第1引出部38aの第2部分38a2及び第2引出部38bの第2部分38a2とが、異なる層に配置されると共にスルーホール導体39,40を介して電気的に接続されている。したがって、同一の層内における電極の面積を少なくすることができ、絶縁体層11同士の密着性が向上するので、構造上の欠陥が発生する可能性を低くすることができる。したがって、構造上の欠陥によるめっき液の侵入を抑制することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
例えば、静電気保護部品1A及び1Bは、コイルL1,コイルL2を備えていなくてもよい。
また、上記第2実施形態に係る静電気保護部品1Bでは、第1引出部38aの第1部分38a1及び第2引出部38bの第1部分38a1と、第1引出部38aの第2部分38a2及び第2引出部38bの第2部分38a2とが、異なる層に配置されると共にスルーホール導体39,40を介して電気的に接続されているが、これに限られず、第1引出部38a及び第2引出部38bの少なくとも1つにおいて、第1部分38a1,38b1と第2部分38a2,38b2とが、異なる層に配置されると共にスルーホール導体39,40を介して電気的に接続されていてもよい。
1A,1B…静電気保護部品、4…素体、5〜10…外部電極、11…絶縁体層、12,14,16,18,30,32,34,36…対向電極、20,38…グラウンド電極、20a,38a…第1引出部、20a1,38a1…第1部分、20a2,38a2…第2部分、20b,38b…第2引出部、20b1,38b1…第1部分、20b2,38b2…第2部分、20c,38c…第1対向部、20d,38d…第2対向部、39,40…スルーホール導体、GP1,GP5…第1放電部、GP2,GP6…第2放電部、GP3,GP7…第3放電部、GP4,GP8…第4放電部。
Claims (2)
- 複数の絶縁体層が積層されてなる素体と、
前記素体の内部に配置されたグラウンド電極と、
前記グラウンド電極と互いに離間して配置され、前記グラウンド電極とで一の放電部を構成する第1対向電極と、
前記グラウンド電極と互いに離間して配置され、前記グラウンド電極とで一の放電部を構成する第2対向電極と、
前記グラウンド電極に接続され且つ前記素体の外表面に配置された第1外部電極と、
前記グラウンド電極に接続され且つ前記素体の外表面に配置された第2外部電極と、
前記第1対向電極に接続され且つ前記素体の外表面に配置された第3外部電極と、
前記第2対向電極に接続され且つ前記素体の外表面に配置された第4外部電極と、
を備え、
前記グラウンド電極は、前記第1対向電極及び前記第2対向電極と同一の層に配置され且つ前記第1対向電極とで前記放電部を構成する第1対向部と、前記第1対向電極及び前記第2対向電極と同一の層に配置され且つ前記第2対向電極とで前記放電部を構成する第2対向部と、前記第1外部電極と前記第1対向部及び前記第2対向部とに接続される第1引出部と、前記第2外部電極と前記第1対向部及び前記第2対向部とに接続される第2引出部と、を有し、
前記第1引出部は、前記第1外部電極に接続される第1部分と、前記第1対向部及び前記第2対向部と同一の層に配置され且つ前記第1対向部及び前記第2対向部のそれぞれの一端に接続される第2部分と、を含み、
前記第2引出部は、前記第2外部電極に接続される第1部分と、前記第1対向部及び前記第2対向部と同一の層に配置され且つ前記第1対向部及び前記第2対向部のそれぞれの他端に接続される第2部分と、を含み、
前記第1引出部及び前記第2引出部のそれぞれの幅が、前記第1対向部の幅と前記第2対向部の幅との和よりも小さい、静電気保護部品。 - 前記第1引出部及び前記第2引出部のうちの少なくとも1つにおいて、前記第1部分と前記第2部分とが、異なる層に配置されると共にスルーホール導体を介して電気的に接続されている、
請求項1に記載の静電気保護部品。
Priority Applications (1)
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JP2013269783A JP2015125913A (ja) | 2013-12-26 | 2013-12-26 | 静電気保護部品 |
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JP2013269783A JP2015125913A (ja) | 2013-12-26 | 2013-12-26 | 静電気保護部品 |
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JP (1) | JP2015125913A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2008069190A1 (ja) * | 2006-12-07 | 2008-06-12 | Panasonic Corporation | 静電気対策部品およびその製造方法 |
-
2013
- 2013-12-26 JP JP2013269783A patent/JP2015125913A/ja active Pending
Patent Citations (1)
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