JP2015117406A - 打ち抜き性に優れる中・高炭素鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 自動車のチェーン、ギヤー、クラッチ等の駆動系部品及び鋸、刃物等の素材として好適な、打ち抜き性優れ、特に打ち抜きダレの少ない中・高炭素鋼板とその製造方法を提供する。
【解決手段】 質量%で、C:0.10〜0.70%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.1〜3.0%、P:0.001〜0.025%、S:0.0001〜0.010%、Al:0.001〜0.10%、N:0.001〜0.010%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼板であり、鋼板表層から板厚方向200μmまでの領域において、(110)面が鋼板表面に対して±5°以内の平行度におさまる結晶方位の集積度が2.5以上であることを特徴とする打ち抜き性に優れる中・高炭素熱延焼鈍鋼板。
【選択図】 図1

Description

本発明は、打ち抜き性に優れる中・高炭素熱延鋼板およびその製造する方法に関するものである。
中・高炭素鋼板は、自動車のチェーン、ギヤー、クラッチ等の駆動系部品及び鋸、刃物等の素材として用いられる。中・高炭素鋼の鋼帯あるいは鋼帯から切り出した鋼板から金型で所定の形状に打ち抜かれた元素材は絞り、穴拡げ、増肉、減肉等の塑性加工により部品形状へと成形される。
従前は熱間鍛造により部品が成形されることが多かった。近年は低コスト化のために前述の冷間での塑性加工により部品を製造する動きがある。加工後は所定の寸法を得るために切削が施されるが、トータル製造コストに占める切削コストの割合は大きいため、冷間での塑性加工により成形された部品に求められる寸法精度は高まってきている。塑性加工のスタートは、鋼帯あるいは切板から打ち抜かれたブランク板であるため、打抜きで高い寸法精度をもつ鋼板を製造する技術の確立が要求される。
本発明で示す打ち抜き性の改善とは、寸法精度の改善として打ち抜きブランク板のダレの減少、打抜き端面の性状改善、更には金型寿命の延長である。
これまで、打ち抜き性を改善する技術について多くの提案がなされてきた(例えば、特許文献1〜6、参照)。
例えば、特許文献1には、精密打抜き性に優れ高周波焼入れ可能な精密打抜き用高炭素鋼板として、C:0.15〜0.90重量%の中炭素又は高炭素鋼板を、球状化率80%
以上、平均粒径0.4〜1.0μmの炭化物がフェライトマトリックスに分散した組織に
調整し、切欠き引張伸びElVを20%以上とし、更にD値[=(3×ElV2+18×ElV)/TS、TS:引張強さ]を3以上にすることで金型寿命を改善する発明が開示されているものの、内部の組織形態の制御による打ち抜き端面性状の改善に関するものであり、打ち抜きダレを改善できる技術ではない。
さらに特許文献2には、加工性が優れるばかりでなく、打抜きおよびシェービング加工時に加工金型を損耗させることのない軟質な組織形態の中・高炭素鋼板の発明が開示されているが、この組織形態の製造には熱延酸洗鋼板に対して、1回もしくは2回以上の冷間圧延を施す必要があり、抜本的な低コスト化には至らない。
特許文献3は、Cを0.70質量%以上0.95質量%以下含有する高炭素鋼板において、焼鈍条件と冷却条件の組合せで、鋼組織にボイドを導入することで、打抜き性材質の軟質化と打抜き性の向上を図る発明が開示されている。
特許文献4は、打抜き加工性を劣化させず、製造工程の簡略化を可能とする高炭素冷延鋼板の製造方法及び高炭素冷延鋼板に係る発明で、所定の成分の高炭素冷延鋼板を、(Ar3変態点−20℃)以上の仕上温度で熱間圧延し、120℃/s超えの冷却速度で400℃以上550℃以下の冷却停止温度まで冷却し、600℃以上Ac1変態点以下の巻取り温度域まで温度上昇させた後、該温度域でコイル状に巻取り、鋼板温度が400℃になるまで平均冷却速度20℃/hr以下で冷却して、熱延鋼板とし、酸洗後、圧延率30%以上で冷間圧延を行い、600℃以上Ac1変態点以下の焼鈍温度で焼鈍する発明が開示されている。
特許文献5は、長時間を要する多段階焼鈍を用いることなく製造でき、打抜き端面の割れが発生しにくい伸びフランジ性に優れた高炭素熱延鋼板とするもので、炭化物平均粒径を0.1μm以上1.2μm未満、炭化物を含まないフェライト粒の体積率を10%以下に制御することを特徴とする発明が開示されている。
特許文献6は、熱間圧延工程と短時間の焼鈍工程のみで、微細でかつ均一な球状炭化物分散鋼と同等の特性を有し、しかも従来の微細炭化物分散鋼の問題点であった加工性とくに精密打ち抜き加工性ならびに曲げ加工性の点についても有利に改善した高炭素熱延鋼板の製造方法に係る発明が開示されている。
しかし、これらのいずれの発明にも、塑性加工品の寸法精度に影響を及ぼす打ち抜きダレを改善する技術については何らの開示もされていない。
特開2009−299189号公報 特開2009−215612号公報 特開2011−012316号公報 特開2007−031761号公報 特開2003−013145号公報 特開平8−269541号公報
本発明は、上記実情に鑑み、優れた打ち抜き性、特に打ち抜きダレの少ない中・高炭素鋼板とその製造方法を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決する手法について鋭意研究した。その結果、優れた打ち抜き性、特に打ち抜きダレ量の抑制には、鉄の体心立方格子の(110)面が鋼板表面に対して±5°以内の平行度におさまる結晶方位の集積度を2.5以上に制御することが有効であることを知見した。加えて、熱延板焼鈍板のビッカース硬さを100HV以上160HV以下とし、さらに鋼板の組織としてフェライト粒径を10μm以上50μm以下、セメンタイト粒子径を0.1μm以上2.0μm以下、セメンタイトの球状化率を85%以上とすることにより打抜き部品における端面性状の改善及び金型の高寿命化が可能であることを知見した。
また、これを満足する鋼板の製造方法は、単に熱延条件や焼鈍条件などを単一にて工夫しても製造困難であり、熱延・焼鈍工程などのいわゆる一貫工程にて最適化を達成することでしか製造できないことも、種々の研究を積み重ねることで知見し、本発明を完成した。
本発明の要旨は、次の通りである。
(1)質量%で、
C:0.10〜0.70%、
Si:0.01〜1.0%、
Mn:0.1〜3.0%、
P:0.001〜0.025%、
S:0.0001〜0.010%、
Al:0.001〜0.10%、
N:0.001〜0.010%、
を含有し、残部がFeおよび不純物からなる鋼板であり、
鋼板表層から板厚方向200μmまでの領域において、(110)面が鋼板表面に対して±5°以内の平行度におさまる結晶方位の集積度が2.5以上であることを特徴とする打ち抜き性に優れる中・高炭素熱延鋼板。
(2)前記鋼板が、添加元素として質量%で、さらに、
Ti:0.01〜0.20%、
Cr:0.01〜1.50%、
Mo:0.01〜0.50%、
B:0.0001〜0.010%、
Nb:0.001〜0.10%、
V:0.001〜0.2%、
Cu:0.001〜0.4%
W:0.001〜0.5%、
Ta:0.001〜0.5%、
Ni:0.001〜0.5%、
Mg:0.001〜0.03%、
Ca:0.001〜0.03%、
Y:0.001〜0.03%、
Zr:0.001〜0.03%、
La:0.001〜0.03%
Ce:0.001〜0.030%
の内の1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(1)に記載の打ち抜き性に優れる中・高炭素熱延鋼板。
(3)前記(1)または(2)に記載の鋼板は、
フェライト粒径が10μm以上50μm以下であり、
セメンタイト粒子径が0.1μm以上2.0μm以下であり、
セメンタイトの球状化率が85%以上である組織を有し、
ビッカース硬さが100HV以上160HV以下であることを特徴とする打ち抜き性に優れる中・高炭素熱延鋼板。
(4)前記(1)または(2)に記載の成分の連続鋳造鋳片を直接、または一旦冷却後、加熱し熱間圧延する際に、粗熱延終了後粗バーを加熱して20〜150℃昇温させ、600℃以上Ae3−20℃未満の温度域で仕上げ熱延を完了し、400℃以上650℃未満で捲取った熱延鋼板をそのまま、あるいは酸洗し、箱焼鈍して製造することを特徴とする打ち抜き性に優れる中・高炭素熱延鋼板の製造方法。
(5)前記(4)に記載の箱焼鈍として680℃以上720℃以下の焼鈍温度で3hr以上60hr以下の焼鈍時間の焼鈍を施すことを特徴とする打ち抜き性に優れる中・高炭素熱延鋼板の製造方法。
(6)前記(4)に記載の箱焼鈍として680℃以上720℃以下の焼鈍温度で3hr以上60hr以下の焼鈍時間の1段目の焼鈍を施した後に、730℃以上790℃以下の焼鈍温度で1hr以上12hr以下の焼鈍時間の2段目の焼鈍を施し、650℃まで1℃/hr以上20℃/hr以下の冷却速度にて冷却し、その後室温まで冷却するステップ型の焼鈍を施すことを特徴とする打ち抜き性に優れる中・高炭素熱延鋼板の製造方法。
本発明によれば、打抜きによるダレを抑制する中・高炭素鋼板及びその製造方法を提供できる。更には打ち抜き端面の性状に優れ、金型寿命も延長できるという顕著な効果を奏する。
(110)±5°への方位集積度と打ち抜きダレの関係を示す図である。 製造条件の影響として、熱延仕上げ温度と捲取温度の最適製造範囲を示す図である。 組織の影響として、フェライト粒径とセメンタイト粒子径の最適形態範囲を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の鋼板の化学成分を限定した理由について説明する。ここで成分についての「%」は質量%を意味する。
(C:0.10〜0.70%)
Cは、圧延における転位の増殖を促す強力な元素である。圧延中に変態したフェライトの転位の増殖及び蓄積により(110)方位に集積するため、0.10%以上の添加が望ましい。0.10%未満では、熱延での転位の増殖が抑えられるため集積度が低下する。このため、下限を0.10%とする。一方、0.70%を超えると、熱延においてフェライトが変態しがたくなり、(110)方位への集積が得られないため上限を0.70%とする。より好ましくは0.15〜0.65%である。
(Si:0.01〜1.0%)
Siは、脱酸剤として作用し、また、熱延中におけるフェライト変態を促進させる元素である。0.01%未満では、添加効果が得られないので、下限を0.01%とする。一方、1.0%を超えると、延性が低下するため、熱延中に耳割れが発生し、歩留まりの低下及びコスト増加を招く。このため、上限を1.0%とする。より好ましくは0.05〜0.8%であり、さらに好ましくは0.08〜0.35%である。
(Mn:0.1〜3.0%)
Mnは、圧延における転位の蓄積を促す元素である。圧延中に変態したフェライトの転位の増殖及び蓄積により(110)方位に集積するため、0.10%以上の添加が望ましい。0.10%未満では、熱延での転位の蓄積が抑えられるため集積度が低下する。このため、下限を0.10%とする。一方、3.0%を超えると、熱延中にフェライトが変態しがたくなり、(110)方位への集積が得られないため上限を3.0%とする。より好ましくは0.3〜2.5%、さらに好ましくは0.5〜1.5%である。
(P:0.001〜0.025%)
Pは、圧延における転位の増殖を促す元素である。0.001%未満では、添加効果が得られないので、下限を0.001%とする。一方、0.025%を超えると、延性が低下するため、熱延中に耳割れが発生し、歩留まりの低下及びコスト増加を招く。このため上限を0.025%とする。より好ましくは0.002〜0.02%である。
(S:0.0001〜0.010%)
Sは、MnSなどの非金属介在物を形成し、打抜き端面の性状を悪化させるため、上限を0.010%とする。しかし、Sを0.0001%未満に低減することは、精錬コストの大幅な上昇を招くため、下限を0.0001%とする。より好ましくは0.0003%〜0.007%である。
(Al:0.001〜0.10%)
Alは、脱酸剤として作用し、また、熱延中におけるフェライト変態を促進させる元素である。0.001%未満では、添加効果が十分に得られないので、下限を0.001%とする。一方、0.10%を超えると添加効果は飽和し、鋼板の延性を低下させ、熱延コイルの耳割れ及び巻ほどしにおける脆化割れを引き起こす。このため、上限を0.10%とする。より好ましくは0.01%〜0.08%であり、さらに好ましくは0.015〜0.04%である。
(N:0.001〜0.010%)
Nは、熱延中の転位の増殖に有効に働く元素である。0.001%未満では添加効果が充分に得られないため、下限を0.001%とする。一方、過剰な含有により鋼板の延性低下を招くため、上限を0.010%とする。より好ましくは0.002%〜0.008%である。
本発明は、上記成分を鋼板の基本成分とするが、さらに、鋼板の機械的特性を向上させる目的で、以下に述べる成分を選択的に含有させることができる。
(Ti:0.01〜0.2%)
Tiは熱延中のオーステナイト粒の微細化に有効な添加元素である。オーステナイト粒の微細化によりフェライト変態が促進され、(110)への方位集積が促進するため、0.01%以上の添加が望ましい。0.01%未満では効果が得られないため、下限を0.01%とする。一方、過剰な添加では鋼板の延性低下を招き、熱延鋼帯の耳割れを引き起こすため、上限を0.2%とする。より好ましくは0.015%〜0.1%である。
(Cr:0.01〜1.50%)
Crは、熱延中におけるフェライト変態を促進し、部品熱処理時の焼入れ性を改善する添加元素である。0.01%未満では大きな添加の効果が得られないため、下限を0.01%とする。一方、1.50%を超える添加では、鋼板の延性低下を招き、熱延鋼帯の耳割れを引き起こすため、上限を1.50%とする。より好ましくは0.05%〜1.10%である。
(Mo:0.01〜0.50%)
Moは、熱延中におけるフェライト変態を促進し、部品熱処理時の焼入れ性を改善する添加元素である。0.01%未満では大きな添加の効果が得られないため、下限を0.01%とする。一方、0.50%を超える添加では、鋼板の延性低下を招き、熱延鋼帯の耳割れを引き起こすため、上限を0.50%とする。より好ましくは0.05%〜0.30%である。
(B:0.0001〜0.010%)
Bは、熱延中のオーステナイト粒を微細化させ、部品熱処理時の焼入れ性を改善する添加元素である。0.0001%未満では、添加効果がないので、下限を0.0001%とする。0.010%を超えると、鋼板の延性低下を招き、熱延鋼帯の耳割れを引き起こすため、上限を0.010%とする。より好ましくは0.0005%〜0.005%である。
(Nb:0.001〜0.10%)
Nbは、窒化物を形成し、鋼材の強度増加に有効な元素である。その効果を有効に発揮させるためには0.001%以上を含有させることが好ましい。しかし、0.10%を超えると、延性の低下を招き、鋼帯の耳割れを引き起こすため、上限を0.10%とする。より好ましくは0.01%〜0.08%である。
(V:0.001〜0.2%)
Vも、Nbと同様に、窒化物を形成し、鋼材の強度増加に有効な元素である。その効果を有効に発揮させるためには0.001%以上を含有させることが好ましい。0.2%を超えると、延性の低下を招き、鋼帯の耳割れを引き起こすため、上限を0.2%とする。 より好ましくは0.01%〜0.15%である。
(Cu:0.001〜0.4%)
Cuは、微細な析出物の形成により鋼材の強度を増加させる元素である。強度増加の効果を有効に発揮するためには0.001%以上の含有が好ましい。強度増加には含有量は多いほど望ましいが、0.4%を超える含有では、鋼板の熱間脆化を招き、熱延中の板破断を引き越すため、上限を0.4%とする。より好ましくは0.01%〜0.35%である。
(W:0.001〜0.5%)
Wは、部品熱処理時の焼入れ性の向上に有効な元素である。その効果を有効に発揮させるためには0.001%以上を含有させることが好ましい。0.5%を超えると、延性の低下を招き、鋼帯の耳割れを引き起こすため、上限を0.5%とする。より好ましくは0.01%〜0.4%である。
(Ta:0.001〜0.5%)
Taは、窒化物を形成し、鋼板の強度を増加させるとともに、焼入れ性も向上させる元素である。その効果を有効に発揮させるためには0.001%以上を含有させることが好ましい。0.5%を超えると、延性の低下を招き、鋼帯の耳割れを引き起こすため、上限を0.5%とする。より好ましくは0.01%〜0.4%である。
(Ni:0.001〜0.5%)
Niは、部品の靭性の向上や、焼入れ性の向上に有効な元素である。その効果を有効に発揮させるためには0.001%以上を含有させることが好ましい。しかし、Niは高価な合金元素であるため、多量の添加によりコスト増加を招く。このため、上限を0.5%とする。より好ましくは0.01%〜0.4%である。
(Mg:0.001〜0.03%)
Mgは微量添加で硫化物の形態を制御できる元素であり、必要に応じて含有できる。0.001%未満ではその効果は得られないため下限を0.001%以上とする。一方、過剰の含有では粗大なMg−酸化物を形成し、打ち抜き端面の性状の低下を招くため、上限を0.03%とする。より好ましくは0.001〜0.015%である。
(Ca:0.001〜0.03%)
Caは、Mgと同様に微量添加で硫化物の形態を制御できる元素であり、必要に応じて含有できる。0.001%未満ではその効果は得られないため下限を0.001%以上とする。一方、過剰の含有では粗大なCa−酸化物を形成し、打ち抜き端面の性状の低下を招くため、上限を0.03%とする。より好ましくは0.001〜0.015%である。
(Y:0.001〜0.03%)
Yは、Mg、Caと同様に微量添加で硫化物の形態を制御できる元素であり、必要に応じて含有できる。0.001%未満ではその効果は得られないため下限を0.001%以上とする。また、過剰の含有では粗大なY−酸化物を形成し、打ち抜き端面の性状の低下を招くため、上限を0.03%とする。より好ましくは0.001〜0.015%である。
(Zr:0.001〜0.03%)
Zrは、Mg、Ca、Yと同様に微量添加で硫化物の形態を制御できる元素であり、必要に応じて含有できる。0.001%未満ではその効果は得られないため下限を0.001%以上とする。また過剰の含有では粗大なZr−酸化物などを形成し、打ち抜き端面の性状の低下を招くため、上限を0.03%とする。より好ましくは0.001〜0.015%である。
(La:0.001〜0.03%)
Laは、Mg、Ca、Y、Zrと同じように微量添加で硫化物の形態制御に有効な元素であり、必要に応じて添加できる。0.001%未満ではその効果は得られないため下限を0.001%以上とする。またLaは酸化物を形成しやすく、それらの化合物は成形時に割れの起点となり、成形性の低下を招くため、上限を0.03%とする。
(Ce:0.001〜0.030%)
Ceは、Mg、Ca、Y、Zr、Laと同様に微量添加で硫化物の形態を制御できる元素であり、必要に応じて添加できる。0.001%未満ではその効果は得られないため下限を0.001%以上とする。また過剰の含有では粗大なCe−酸化物を形成し、打ち抜き端面の性状の低下を招くため、上限を0.030%とする。より好ましくは0.001〜0.015%である。
なお、本発明鋼板では、上記に述べた成分の残部はFeおよび不可避不純物である。また、上記に述べた選択成分の成分範囲未満であっても本発明鋼板の特性を阻害するものではないので、成分範囲未満をも許容する。さらに、本発明鋼板の原料としてスクラップを用いた場合、不可避的にSn、Sb、及び、Asの1種又は2種以上が、0.003%以上混入するが、いずれも、0.03%以下であれば、本発明鋼板の焼入れ性を阻害しないため、本発明鋼板においては、Sn:0.003〜0.03%、Sb:0.003〜0.03%、及び、As:0.003〜0.03%の1種又は2種以上の含有を不可避不純物として許容する。
本発明鋼板において、O量は規定していないが、酸化物が凝集して粗大化すると、成形性は低下するので、Oは、0.003%以下が好ましい。Oは、少ないほうが好ましいが、0.0001%未満に低減することは、技術的に困難であるので、0.0001%以上の含有は不可避不純物として許容される。
本発明鋼板は、前述した成分組成に加え、最適な熱延及び焼鈍を施し、鋼板表層から板厚方向に200μmまでの領域において、体心立方格子の鉄の(110)面から±5°以内の結晶が鋼板表面に対して平行である方位の集積度を2.5以上とすることにより、打ち抜き時のダレを著しく抑制し、さらに鋼板の組織としてフェライト粒径を10μm以上50μm以下、セメンタイト粒子径を0.1μm以上2.0μm以下、セメンタイトの球状化率を85%以上とし、また、鋼板の硬度としてビッカース硬さで100HV以上160HV以下に制御することにより、打ち抜き端面の性状を改善し、金型の寿命を向上することは、本発明者らが見いだした新規な知見である。
鋼板表層から板厚方向200μmまでの領域において、(110)面が鋼板表面に対して±5°以内の平行度におさまる結晶方位の集積度を2.5以上とすることにより打ち抜きダレを著しく抑制できることについて説明する。
図1に鋼板表面に対して(110)面が±5°以内の方位差で向く結晶方位の集積度と打ち抜きダレの関係を示す。(110)への方位集積度と打ち抜きダレには明確な相関が認められ、鋼板表面から板厚中心方向に200μmまでの領域における方位集積度を2.5以上に制御することで鋼板表面から剪断面までのダレ長さが200μm以下となり、打ち抜きダレが著しく抑えられていることがわかる。このように、(110)への方位集積度が2.5以上となることで、打ち抜きダレが抑制できる理由は明確でないが、打抜き時において鋼板がポンチとダイスから受ける剪断変形が鉄の体心立方格子の主すべり面である(110)と平行であるため、ランダム方位の場合に比べて剪断変形とは異なる方向へのすべりが抑制され、打ち抜きダレが小さくなったと推察される。方位集積度は高い方が良く、特に3.0以上であれば更に好ましい。方位集積度は高い方が好ましいのであるから、上限は特に限定するものではないが、打ち抜きダレの抑制効果は方位集積度がほぼ5.0で飽和する。
方位集積度は、特定の向きの結晶方位がどの程度存在するかを表わす指標である。結晶方位としては特定軸の周りの回転角を5°きざみの領域に分け、その範囲に存在するそれぞれの方位を一つの同一の方位として見なす。また、各方位の結晶の集積度は、完全にランダムな結晶方位をもつ材料ではいずれの方位の集積度も1と規格し、全ての方位の集積度の総量を全ての方位で平均した値が1となるように調整して求められる。すなわちある方位の集積度が増えれば、相対的に別の方位の集積度が減ることとなる。
方位集積度はEBSD(電子線後方散乱回折法)により評価することが望ましい。従来実施されるようなXRD(X線回折)による評価では、鋼板表面から200μm位置までの領域における結晶方位の情報を得る精度が薄膜サンプルの作製精度に大きく依存し、さらに各面方位で単位体積あたりの反射強度が異なるためXRDにより測定及び計算した方位集積度は必ずしも実際の体積率の状態を反映しない場合があるためである。
なお、サンプルの真の情報を得るためにはEBSDのサンプル作製や方位解析のプロセスにも注意が必要である。評価用のサンプルは鋼帯及び鋼帯から切り出した切板、または打ち抜かれたブランク板で歪が与えられていない箇所から放電ワイヤ加工機で切り出し、鋼板表面に対して垂直な面を観察面として準備する。EBSDの測定精度は観察面の平坦度や研磨により与えられた歪の影響を受けるため、観察面を湿式研磨およびダイヤモンド砥粒研磨により鏡面に仕上げた後に、歪取りの研磨を施す。歪取り研磨は、振動研磨装置(ビューラー製のバイブロメット2)を用いて出力40%、研磨時間60minの条件にて実施する。なお、電界研磨やフッ化水素系の腐食溶液でサンプル表面を溶解させる化学エッチングでは、観察面の表層部と鋼板表面の角が優先的に溶解し、ダレが発生するためEBSDによる鋼板表面から200μm位置までの領域における結晶方位の測定には適用できない。SEM−EBSDであればSEMや菊池線検出器の装置種は特に限定しない。菊池線の検出器に対して観察面が70°であるようにサンプルを設置し、板厚の表層において板厚方向に200μm、板幅方向に900μmの領域を0.5μmの測定ステップ間隔で4視野測定し、得られた結晶方位の情報から(100)の逆極点図を作製し、(110)から±5°以内の集積度を求める。測定データの解析はTSL社のOIM解析ソフトが良く、ノイズによる測定誤差のデータ影響を除くため、クリーンアップは施さずに、CI値が0.1以下のデータを除き、解析する。
打ち抜き前の鋼板の組織としてフェライト粒径を10μm以上、50μm以下とすることで、打ち抜き性を更に改善することができる。フェライト粒径が10μm未満であると、打ち抜きサンプルの表面にストレッチャーストレインが発生し、表面美観を損なうため、下限を10μm以上とする。また、フェライト粒径が50μmを超えると、打ち抜きサンプルの表面に梨地が発生し、表面美観を損なうため、上限を50μm以下とする。フェライト粒径は3%硝酸−アルコール溶液などでエッチングした組織を光学顕微鏡、もしくは走査型電子顕微鏡にて観察し、撮影した画像に対して線分法により測定する。
また、セメンタイトの粒子径を0.1μm以上、2.0μm以下、球状化率を85%以上とすることで打ち抜き性を更に改善することができる。セメンタイト粒子径が0.1μm未満であると、打ち抜き端面において微細炭化物を連結するように破断面が発達することにより剪断面比率が低下し、性状を低下させるため、下限を0.1μm以上とする。また、セメンタイト粒子径が2.0μmを超えると、打ち抜き端面において粗大なセメンタイト粒子を連結するように、鋸歯状の破断面を形成するため、上限を2.0μm以下とする。
さらに、セメンタイトの球状化率は85%以上とすることで打ち抜き性を更に改善することができる。85%未満であると、針状の炭化物に応力が集中し、それらを連結するように破断面が進展するため、打ち抜き端面の性状が低下する。このため、下限を85%以上とする。なお、球状化率は高いほど望ましいが、100%に制御するには非常に長時間の焼鈍を施す必要があり、製造コストの増加を招くため、上限は100%未満が望ましい。上記のように、鋼板の組織及び硬さを制御することにより、打ち抜きダレを低減でき、さらに良好な端面性状(美観)と金型損耗低減を達成できる。
なお、セメンタイトの観察は、走査型電子顕微鏡で行なう。組織観察用のサンプルは、エメリー紙による湿式研磨及び粒子サイズが1μmのダイヤモンド砥粒による研磨にて観察面を鏡面に仕上げた後、飽和ピクリン酸アルコール溶液にてエッチングを施して準備する。観察の倍率は1000〜10000倍、本発明では、3000倍にて組織観察面上に炭化物が500個以上含まれる視野を16個所選択し、組織画像を取得する。得られた組織画像に対して三谷商事株式会社製(Win ROOF)に代表される画像解析ソフトにより、その領域中に含まれる各炭化物の面積を詳細に測定する。ノイズによる測定誤差の影響を抑えるため、面積が0.01μm以下の炭化物は評価の対象から除外し、1個あたりの平均面積を円形で近似した際の直径を平均セメンタイト粒子径として求める。各炭化物の長軸長と短軸長の比が3以上の場合を針状炭化物とし、3未満の場合を球状炭化物として算出する。球状炭化物の個数を全炭化物の個数で除した値をセメンタイトの球状化率とする。
また、打ち抜き前の鋼板(サンプル)の硬さをビッカース硬さで100HV以上160HV以下とすることで、打ち抜き性を更に改善することができる。ビッカース硬さは荷重2.94Nにて板厚方向に0.1mm間隔で10か所測定した平均値(算術平均値)とする。ビッカース硬さが100HV未満であると、打ち抜きサンプルの表面に梨地が発生し、美観を損なう。このため下限を100HV以上とする。また、ビッカース硬さが160HVを超えると、金型の寿命が低下し、打ち抜き精度の低下を招きやすくなる。このため、上限を160HV以下とする。
次に、本発明鋼板の製造方法について説明する。
本発明の製造方法の技術的思想は上述した成分範囲の材料を用いて、熱間圧延と焼鈍条件の一貫した管理によるのを特徴としている。
本発明の具体的な製造方法の特徴は以下の通りである。
熱延の特徴;所定の成分を有するスラブを連続鋳造後、常法通りそのまま、または一旦冷却後に加熱し、熱間で圧延する際に、粗圧延終了後、仕上げ圧延開始前に粗バーを加熱し、表層のオーステナイト粒の粒度分布を整える。粗バーを加熱後、仕上げ圧延を開始し、600℃以上、Ae3―20℃未満の温度域にて仕上げ熱延を終了し、熱間圧延機の中で変態したフェライトを圧延する。仕上げ圧延後の鋼帯を400℃以上、650℃未満の温度範囲で巻き取り熱延コイルとする。熱延コイルをそのまま、あるいは酸洗後に箱焼鈍を施して打ち抜き性に優れる中・高炭素鋼板を得る。
以下に、本発明の製造方法について具体的に説明してゆく。
(熱間圧延)
所定の成分を有するスラブを連続鋳造後、そのまま、または一旦冷却後に加熱し、熱間で圧延する際に、粗圧延終了後、仕上げ圧延開始前に粗バーを加熱して、仕上げ圧延を開始し、600℃以上、Ae3―20℃未満の温度域にて仕上げ熱延を終了し、得られた鋼帯を400℃以上、650℃未満の温度範囲で巻き取る。
スラブの加熱温度が1150℃を超える場合はAe3−20℃までの冷却に多大な時間を要して生産性を低下させる他、鋳片表層に厚いスケールを生成させ鋼帯への疵発生を助長する。このため、スラブ加熱温度は1150℃以下を上限とする。また、加熱温度が900℃未満の場合は鋳造で形成したミクロ偏析やマクロ偏析が解消せず、圧延及び焼鈍後にも鋼材内部にSiやMn等の合金元素が濃化した領域が残存し、打ち抜き部品の端面に偏析量に応じた凹凸を形成し、端面の美観を損なうため下限を900℃とする。
粗熱延終了後、仕上げ熱延素材は表層のオーステナイトが粗バー長手方向にわたって混粒の状態にある。これは熱延加熱炉における炉床のスラブ支持台との接触の有無により生じた温度差が粗圧延終了後にも影響を及ぼしており、粗バー長手方向にわたって温度差があるためである。仕上げ熱延開始前の粗バーを加熱しないまま、仕上げ熱延を開始すると混粒の組織が解消せず、熱間圧延途中にオーステナイト粒の微細な箇所から優先的にフェライト変態が開始するため、仕上げ圧延完了直後に鋼板表層に存在するフェライトに蓄積された歪の量は不均一となり、(110)への方位集積にバラツキが生まれたり、方位集積度が低下したりする。このため、仕上げ熱延素材の表層のオーステナイト粒径を粗バー長手方向にわたって均一に制御し、熱延機内でのフェライト変態のタイミングを揃えるために、粗バーの加熱による長手方向の温度差の低減が必要となる。粗バーの加熱温度は特に限定しないが、粗圧延終了後の温度より20℃以上高い温度に加熱(昇温)することが好ましいと考えられる。加熱温度は高いほど望ましいものの、150℃以上の加熱温度(焼鈍)では、鋼板表層に厚いスケールが生成し、鋼帯表面の疵生成を招くため、上限を150℃とする。
仕上げ熱延は600℃以上、Ae3−20℃未満で終了させることが好ましい。仕上げ熱延温度が600℃未満であると、鋼材の変形抵抗の増加から、圧延負荷が顕著に高まり、更にロール磨耗量の増大を招き、生産性の低下を引き起こす。このため下限を600℃以上とする。また、Ae3−20℃以上であると、仕上げ熱延中に微量のフェライトしか変態しなくなり、(110)方位への集積が低下し、本発明の効果が得られなくなる。このため、上限をAe3−20℃未満とする。
巻き取り温度は400℃以上、650℃未満とする。巻き取り温度が400℃未満であると、仕上げ圧延中に未変態であったオーステナイトがマルテンサイトに変態し、コイルの脆化を招き、巻きほどし時に割れを引き起こすため、下限を400℃以上とする。また、巻き取り温度が650℃以上の時は、未変態のオーステナイトが粗大なラメラーをもつパーライトに変態し、打ち抜き端面の性状の低下を引き起こす。このため上限を650℃未満とする。
前述の条件で製造した熱延コイルをそのまま、あるいは酸洗後に箱焼鈍を施すことで打ち抜き性を更に向上させることができる。
Ae3温度はThermo−Calcなどの熱力学計算ソフトにより求めることが望ましいが、本発明では下記の経験式(1)で代用するものとする。なお、式中の%は全て質量%である。
Ae3(℃)=910−203×(√%C)−15.2×(%Ni)+44.7×(%Si)+104×(%V)+31.5×(%Mo)+13.1×(%W) ・・・ (1)
(フェライト+セメンタイト域における焼鈍条件)
前述の熱延コイルを、680℃以上720℃以下で3hr以上60hr保持後に室温まで冷却する箱焼鈍を施す。
焼鈍温度は680℃以上720℃以下とすることが好ましい。焼鈍温度が680℃未満であると、フェライト粒やセメンタイト粒子の粗大化が不十分であり、打ち抜き部品へのストレッチャーストレインの発生や、打ち抜き端面の性状の低下を引き起こす。このため下限を680℃以上とする。また、焼鈍温度が720℃を超えると焼鈍中にオーステナイト相が生成する。この状態で単純に室温まで冷却すると、オーステナイト相から新たにパーライトが生成し、セメンタイトの球状化率の低下や素材硬度の増加を引き起こす。このため、上限を720℃以下とする。
焼鈍の保持時間は3hr(時間)以上60hr以下とすることが好ましい。保持時間が3hr未満であると、フェライト粒やセメンタイト粒子の粗大化が不十分であり、打ち抜き部品へのストレッチャーストレインの発生や、打ち抜き端面の性状の低下を引き起こす。このため、下限を3hr以上とする。保持時間が60hrを超えると、フェライト粒やセメンタイト粒子が粗大化しすぎて、打ち抜き部品に梨地の発生や、打ち抜き端面の性状の低下を引き起こす。このため、上限を60hr以下とする。
(フェライト+オーステナイト+セメンタイト域における焼鈍条件)
前述の熱延コイルを、680℃以上720℃以下で3hr以上60hr保持する1段目の焼鈍を施した後に、更に730℃以上790℃以下で1hr以上12hr以下保持する2段目の焼鈍を施し、その後650℃までの冷却速度を20℃/hr以下とし、室温まで冷却する焼鈍を施すことが好ましい。1段目の焼鈍において、セメンタイトにMn等の合金元素を濃化させ、熱的安定性を高める。続く2段目の高温焼鈍において、オーステナイトを生成させ、合金元素の濃化していないセメンタイトをオーステナイト中に溶かし、その後に徐冷を施すことで、未溶解のセメンタイトへオーステナイト中のCを吸着させることにより、セメンタイトの球状化率を高めることができるからである。
1段目の焼鈍温度は680℃以上720℃以下とする。焼鈍温度が680℃未満であると、セメンタイト粒子への合金元素の濃化が不十分であり、2段目の焼鈍において未溶解のセメンタイトを残存することはできず、2段目の焼鈍後の冷却速度を徐冷に制御したとしても、新たなパーライトの生成を抑制できないため、セメンタイトの球状化率の低下や硬度の増加を引き起こす。このため下限を680℃以上とする。また、1段目の焼鈍温度が720℃を超えると焼鈍中にオーステナイト相が生成する。1段目の焼鈍でオーステナイト相が生成した箇所では、2段目の焼鈍において未溶解のセメンタイトを残存することはできず、2段目の焼鈍後の冷却速度を徐冷に制御したとしても、新たなパーライトの生成を抑制できないため、セメンタイトの球状化率の低下や硬度の増加を引き起こす。このため、上限を720℃以下とする。
1段目の焼鈍の保持時間は3hr以上60hr以下とする。保持時間が3hr未満であると、セメンタイト粒子への合金元素の濃化が十分でなく、2段目の焼鈍において未溶解のセメンタイトを残存することはできず、2段目の焼鈍後の冷却速度を徐冷に制御したとしても、新たなパーライトの生成を抑制できないため、セメンタイトの球状化率の低下や硬度の増加を引き起こす。このため、下限を3hr以上とする。保持時間が60hrを超えると、フェライト粒が粗大化しすぎて、打ち抜き部品に梨地の発生を引き起こす。このため、上限を60hr以下とする。
2段目の焼鈍温度は730℃以上790℃以下とする。焼鈍温度が730℃未満であると、焼鈍中にオーステナイト相が生成しない。このため下限を730℃以上とする。また、2段目の焼鈍温度が790℃を超えるとオーステナイト相へのセメンタイトの溶解が促進し、未溶解のセメンタイトを残存させることが難しくなるため、2段目の焼鈍後に徐冷したとしても、新たなパーライトの生成を抑制できず、セメンタイトの球状化率の低下や硬度の増加を引き起こす。このため、上限を790℃以下とする。
2段目の焼鈍の保持時間は1hr以上12hr以下とする。保持時間が1hr未満であると、箱焼鈍ではコイル全体を均一な温度にすることはできず、コイル長手方向に材質バラツキを生み、商品力を低下させるため、下限を1hr以上とする。保持時間が12hrを超えると、オーステナイト相へのセメンタイトの溶解が促進し、未溶解のセメンタイトを残存させることが難しくなる。このため、上限を12hr以下とする。
2段目焼鈍後の650℃までの冷却速度は20℃/hr以下とする。冷却速度は遅いほど、フェライト/オーステナイト界面の移動速度は小さくなり、未溶解セメンタイトへのC吸着が促進する。一方で、遅くしすぎると焼鈍の時間が長くなるため、生産性の低下を招く。このため、好ましくは1℃/hr以上の冷却速度とする。また、冷却速度が20℃/hrを超えると、フェライト/オーステナイト界面の移動速度が増し、未溶解セメンタイトへのC吸着が不十分となり、このような箇所から新たにパーライトが生成する。これにより、セメンタイトの球状化率の低下や、素材の硬度増加を引き起こすため、上限を20℃/hr以下とする。2段目焼鈍後の冷却は、650℃まで冷却速度を制御することで未溶解セメンタイトへのC吸着を促進させるのに重要で、その後に室温まで冷却するステップ型の焼鈍を施す。
なお、箱焼鈍の雰囲気は特に限定せず、95%以上窒素の雰囲気、95%以上水素の雰囲気、大気雰囲気いずれの条件でも良い。
以上の本発明の製造方法によれば、鋼板表層から板厚方向に200μmまでの領域において、体心立方格子の鉄の(110)面から±5°以内の結晶が鋼板表面に対して平行である方位の集積度を2.5以上に制御し、打ち抜き時のダレを著しく抑制できる鋼板を得ることができ、さらに焼鈍の条件を適正化することにより、素材のフェライト粒径を10μm以上50μm以下、セメンタイト粒子径を0.1μm以上2.0μm以下、セメンタイトの球状化率を85%以上、ビッカース硬さを100HV以上160HV以下に制御し、打ち抜き端面の性状を改善し、金型の寿命を向上可能な、打ち抜き性に優れる中・高炭素鋼板を得ることができる。
次に実施例により本発明の効果を説明する。
実施例の水準は、本発明の実施可能性ならびに効果を確認するために採用した実行条件の一例であり、本発明はこの一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明要旨を逸脱せず、本発明目的を達する限りにおいては、種々の条件を採用可能とするものである。
表1−1〜表1−3に示す成分組成を有する連続鋳造鋳片(鋼塊)を、1030℃で1hr加熱後に熱間圧延し、250mmのスラブを30mmまで粗熱延後、仕上げ熱延素材の粗バーを38℃昇温させ、仕上げ熱延を開始し、700℃で仕上げ熱延後、510℃で巻き取り、板厚3.5mmの熱延コイルを製造した。熱延コイルを酸洗し、95%水素−5%窒素雰囲気において700℃で14hr保持する焼鈍を施し打ち抜き評価用のサンプルを作製した。打ち抜き試験はダイス径10.7mm、ポンチ径10mm、片側クリアランス10%の条件で実施し、円形に打ち抜いたサンプルの表面ダレを実測し、表面性状の観察により打ち抜き性を評価した。打ち抜きダレ長さの測定や打ち抜き端面の表面性状の観察は、キーエンス製のマイクロスコープ(VHX−1000)を用いて実施した。各サンプルの方位集積度は段落(0057)〜(0059)、組織は段落(0060)〜(0063)、硬さは段落(0064)に記載する方法にて測定した。表2−1、表2−2に製造した焼鈍サンプルの打ち抜き性の評価結果を示す。
表2−1、表2−2に示すように、発明例のNo.2、3、4、6、7、8、9、10、13、15、16、18、19、21、22、23、26、27、28、29、31、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45は、いずれも鋼板表層から板厚方向200μmまでの領域において、(110)面が鋼板表面に対して±5°以内の平行度におさまる結晶方位の集積度が2.5以上であり、打ち抜きダレの量(mm)が低く、良好な打ち抜き端面性状を示した。
これに対して、比較例1は、鋼成分のC量が低いので、熱延での歪蓄積が抑えられたため、集積度が低下し、打ち抜きダレの量が高く、打ち抜き端面性状が劣っていた。比較例5は、高Nによる延性低下のため、熱延中に耳割れが発生した。比較例11は、S量が高いことにより粗大なSulfideの形成のため、打抜き端面の性状度の低下を招いた。比較例12は、Si量が高いことによる延性低下のため、熱延中に耳割れが発生した。比較例14は、P量が高いことによる延性低下のため、熱延中に耳割れが発生した。比較例17は、Al量が高いことによる延性低下のため、熱延中に耳割れが発生した。比較例20は、Mn量が高いことにより、熱延でのフェライト変態が抑えられたため、集積度が低下し、打ち抜きダレの量が高く、打ち抜き端面性状が劣っていた。比較例24は、C量が高いことにより、熱延でのフェライト変態が抑えられたため、集積度が低下し、打ち抜きダレの量が高く、打ち抜き端面性状が劣っていた。比較例25は、Ti量が高いことによる延性低下のため、熱延中に耳割れが発生した。比較例30は、Cr量が高いことによる延性低下のため、熱延中に耳割れが発生した。比較例32は、Ce量が高いことによる粗大なCe−Oxideの形成のため、打抜き端面の性状度の低下を招いた。比較例34は、Mo量が高いことによる延性低下のため、熱延中に耳割れが発生した。比較例35は、Nb量が高いことによる延性低下のため、熱延中に耳割れが発生した。
Figure 2015117406
Figure 2015117406
Figure 2015117406
Figure 2015117406
Figure 2015117406
熱間圧延条件の影響を調べるために、表1−1〜表1−3に示す2、3、4、6、7、8、9、10、13、15、16、18、19、21、22、23、26、27、28、29、31、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45の成分をもつスラブを鋳造し、そのまま、あるいは一旦冷却後に1060℃で0.5〜2hr加熱後に粗熱延を開始し、板厚28mmの粗バーを製造し、仕上げ熱延前に粗バーを加熱し、あるいは加熱せずに仕上げ熱延を開始し、種々の温度で仕上げ熱延とコイルへの巻き取りを行い、酸洗あるいは未酸洗の状態で700℃×14hrの焼鈍を施して、製造条件の影響を調査する打ち抜き試験用サンプルを作製した。
表3−1、表3−2に製造条件及び製造した焼鈍サンプルの打ち抜き性の評価結果を示す。
表3−1、表3−2に示すように、発明例2−B、3−A、4−A、6−B、7−A、8−B、9−B、10−B、13−A、15−A、16−B、18−A、19−A、21−B、22−B、23−B、26−B、27−A、28−B、29−B、31−A、33−B、36−A、36−B、37−A、37−B、38−A、38−B、39−A、39−B、40−A、40−B、41−A、41−B、42−A、42−B、43−A、43−B、44−A、44−B、45−A、45−Bは、いずれも鋼板表層から板厚方向200μmまでの領域において、(110)面が鋼板表面に対して±5°以内の平行度におさまる結晶方位の集積度が2.5以上であり、打ち抜きダレの量(mm)が0.15mm以下と低く、良好な打ち抜き端面性状を示した。
これに対して、比較例2−Aは、低CT(巻取り温度)により鋼板が脆化し、コイル巻きほどき時に割れが発生し、製造条件が適切でなかった例である。比較例3−Bは、粗バー非加熱により表層が混粒となったため、(110)への方位集積度が2.5未満であって、打ち抜きダレの量(mm)が高く、打ち抜き性が劣っていた。比較例4−Bは、低FT(熱延仕上げ温度)により圧延荷重が増加したため通板性が低下し、更に低CTにより鋼板が脆化してコイル巻きほどき時に割れが発生した。比較例6−Aは、高FTため(110)への方位集積が2.5未満であって、打ち抜きダレの量(mm)が高く、打ち抜き端面性状が劣っていた。
比較例7−Bは、高FTため(110)への方位集積が2.5未満であり、更に高CTにより粗大なパーライトラメラが生成したため打抜き端面性状が低下した。
比較例8−Aは、低FTにより圧延荷重が増加したため通板性が低下した。
比較例9−Aは、高FTため(110)への方位集積が2.5未満であり、打ち抜きダレの量が高く、打ち抜き端面性状が劣っていた。
比較例10−Aは、高CTにより粗大なパーライトラメラが生成したため打抜き端面性状が低下した。
比較例13−Bは、高FTため(110)への方位集積が2.5未満であり、更に低CTにより鋼板が脆化してコイル巻きほどき時に割れが発生した。
比較例15−Bは、高CTにより粗大なパーライトラメラが生成したため打抜き端面性状が低下した。
比較例16−Aは、低FTにより圧延荷重が増加したため通板性が低下した。
比較例18−Bは、高CTにより粗大なパーライトラメラが生成したため打抜き端面性状が低下した。
比較例19−Bは、低FTにより圧延荷重が増加したため通板性が低下し、更に低CTにより鋼板が脆化してコイル巻きほどき時に割れが発生した。
比較例21−Aは、粗バー非加熱により表層が混粒となったため、(110)への方位集積度が2.5未満であって、打ち抜きダレの量が高く、打ち抜き端面性状が劣っていた。
比較例22−Aは、低CTにより鋼板が脆化し、コイル巻きほどき時に割れが発生した。
比較例23−Aは、高FTため(110)への方位集積が2.5未満であり、更に低CTにより鋼板が脆化してコイル巻きほどき時に割れが発生した。
比較例26−Aは、高FTため(110)への方位集積が2.5未満であり、更に高CTにより粗大なパーライトラメラが生成したため打抜き端面性状が低下した。
比較例27−Bは、高FTため(110)への方位集積が2.5未満であって、打ち抜きダレの量が高く、打ち抜き端面性状が劣っていた。
比較例28−Aは、高FTため(110)への方位集積が2.5未満であり、更に高CTにより粗大なパーライトラメラが生成したため打抜き端面性状が低下した
比較例29−Aは、粗バー非加熱により表層が混粒となったため、(110)への方位集積度が2.5未満であって、打ち抜きダレの量が高く、打ち抜き端面性状が劣っていた。
比較例31−Bは、高CTにより粗大なパーライトラメラが生成したため打抜き端面性状が低下した。
比較例33−Aは、低FTにより圧延荷重が増加したため通板性が低下した。
以上のように、製造条件が適切でなければ、品質の良い鋼板を製造することが困難となる。
Figure 2015117406
Figure 2015117406
続いて、フェライト+セメンタイト域における焼鈍条件の影響を調べるために、表1に示す2、3、4、6、7、8、9、10、13、15、16、18、19、21、22、23、26、27、28、29、31、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45の成分をもつスラブを鋳造し、そのまま、あるいは一旦冷却後に1010℃で0.5〜2hr加熱後に粗熱延を開始し、粗熱延後の板厚35mmの粗バーを仕上げ圧延開始前に加熱した後に、仕上げ熱延を開始し、種々の温度で仕上げ熱延とコイルへの巻き取りを行い、酸洗あるいは未酸洗の状態で焼鈍を施して、製造条件の影響を調査する打ち抜き試験用サンプルを作製した。
表4に焼鈍条件及び製造した焼鈍サンプルの打ち抜き性の評価結果を示す。
表4に示すように、発明例2−C、3−C、4−C、6−C、8−C、9−C、16−C、18−C、19−C、21−C、23−C、27−C、29−C、31−C、33−C、36−C、37−C、38−C、39−C、40−C、41−C、42−C、43−C、44−C、45−Cは、いずれも鋼板表層から板厚方向200μmまでの領域において、(110)面が鋼板表面に対して±5°以内の平行度におさまる結晶方位の集積度が2.5以上であり、打ち抜きダレの量(mm)が低く、良好な打ち抜き端面性状を示した。
これに対して、比較例7−Cは、焼鈍温度が高く、針状セメンタイトに起因して打抜き端面性状が低下した。
比較例10−Cは、焼鈍温度が高く、針状セメンタイトに起因して打抜き端面性状が低下した。
比較例13−Cは、焼鈍時間が長すぎて、ダレ面周辺に梨地が発生し、低硬度のためダレ量は増加した。
比較例15−Cは、焼鈍時間が短すぎて、微細セメンタイトに起因して破断面比率が増加したため端面性状が低下し、高硬度のため金型が損傷した。
比較例22−Cは、焼鈍温度が低いため、ダレ面周辺にストレッチャーストレインが発生し、高硬度のため金型が損傷した。比較例26−Cは、焼鈍温度が低いため、微細セメンタイトに起因して破断面比率が増加したため打ち抜き端面性状が低下した。
比較例38−Cは、焼鈍時間が長すぎて、粗大セメンタイトに起因して打抜き端面性状が低下し、低硬度のためダレ量は増加した。
Figure 2015117406
最後に、フェライト+オーステナイト+セメンタイト域における焼鈍条件の影響を調べるために、表1−1〜表1−3に示す2、3、4、6、7、8、9、10、13、15、16、18、19、21、22、23、26、27、28、29、31、33、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45の成分をもつスラブを鋳造し、そのまま、あるいは一旦冷却後に1040℃で0.5〜2hr加熱後に粗熱延を開始し、粗圧延後の板厚33mmの粗バーを仕上げ圧延前に加熱した後に、仕上げ熱延を開始し、種々の温度で仕上げ熱延とコイルへの巻き取りを行い、酸洗あるいは未酸洗の状態でフェライト+オーステナイト+セメンタイト域で焼鈍を施して、製造条件の影響を調査する打ち抜き試験用サンプルを作製した。表5に製造条件及び製造した焼鈍サンプルの打ち抜き性の評価結果を示す。
表5に示すように、発明例2−D、3−D、4−D、6−D、7−D、8−D、15−D、18−D、19−D、22−D、28−D、29−D、31−D、33−D、36−D、37−D、38−D、39−D、40−D、41−D、42−D、43−D、44−D、45−Dは、いずれも鋼板表層から板厚方向200μmまでの領域において、(110)面が鋼板表面に対して±5°以内の平行度におさまる結晶方位の集積度が2.5以上であり、打ち抜きダレの量(mm)が低く、良好な打ち抜き端面性状を示した。
これに対して、比較例9−Dは、1段目の焼鈍温度が高く、針状セメンタイトに起因して打抜き端面性状が低下した。
比較例10−Dは、2段目の焼鈍温度が高く、針状セメンタイトに起因して打抜き端面性状が低下し、高硬度のため金型が損傷した。
比較例13−Dは、2段目の焼鈍時間が長く、針状セメンタイトに起因して打抜き端面性状が低下し、高硬度のため金型が損傷した。
比較例16−Dは、1段目の焼鈍時間が長く、ダレ面周辺に梨地が発生し打抜き部材の美観が低下した。
比較例21−Dは、1段目の焼鈍時間が短く、針状セメンタイトに起因して打抜き端面性状が低下し、高硬度のため金型が損傷した
比較例23−Dは、冷却速度が速すぎて、針状セメンタイトに起因して打抜き端面性状が低下し、高硬度のため金型が損傷した
比較例26−Dは、2段目の焼鈍時間が短く、コイル長手方向で材質バラツキが発生した。
比較例27−Dは、1段目の焼鈍温度が低く、針状セメンタイトに起因して打抜き端面性状が低下し、高硬度のため金型が損傷した。
Figure 2015117406
表4及び表5で作製したサンプルの組織形態を表6−1、表6−2に示す。素材のフェライト粒径を10μm以上50μm以下、セメンタイト粒子径を0.1μm以上2.0μm以下、セメンタイトの球状化率を85%以上、ビッカース硬さを100HV以上160HV以下に制御することで、打ち抜き面の美観(打ち抜きダレの減少)、打ち抜き端面の性状や、更には金型寿命の延長をさらに改善できることは明らかである。
すなわち、表6−1、表6−2に示すように、発明例2−C、3−C、4−C、6−C、8−C、9−C、16−C、18−C、19−C、21−C、23−C、27−C、29−C、31−C、33−C、36−C、37−C、38−C、39−C、40−C、41−C、42−C、43−C、44−C、45−C、2−D、3−D、4−D、6−D、7−D、8−D、15−D、18−D、19−D、22−D、28−D、29−D、31−D、36−D、37−D、38−D、39−D、40−D、41−D、42−D、43−D、44−D、45−Dは、いずれもセメンタイト粒子径が0.1μm以上2.0μm以下、セメンタイトの球状化率が85%以上、フェライト粒径が10μm以上50μm以下、ビッカース硬さが100HV以上160HV以下となっていて、打ち抜きダレの減少、打抜き端面の性状、更には金型寿命の延長に良好な結果を示していた。
これに対して、比較例7−Cは、セメンタイトの球状化率が低く、針状セメンタイトに起因して打抜き端面性状が低下した。
比較例10−Cは、セメンタイトの球状化率が低く、針状セメンタイトに起因して打抜き端面性状が低下した。
比較例13−Cは、ダレ面周辺に梨地が発生し、低硬度のためダレ量は増加した。
比較例15−Cは、セメンタイト粒子径が小さすぎ、微細セメンタイトに起因して破断面比率が増加したため端面性状が低下し、高硬度のため金型が損傷した。
比較例22−Cは、ダレ面周辺にストレッチャーストレインが発生し、高硬度のため金型が損傷した。
比較例26−Cは、微細セメンタイトに起因して破断面比率が増加したため端面性状が低下した。
比較例28−Cは、粗大セメンタイトに起因して打抜き端面性状が低下し、低硬度のためダレ量は増加した。
比較例9−Dは、セメンタイトの球状化率が低く、針状セメンタイトに起因して打抜き端面性状が低下した。
比較例10−Dは、セメンタイトの球状化率が低く、針状セメンタイトに起因して打抜き端面性状が低下し、高硬度のため金型が損傷した。
比較例13−Dは、セメンタイトの球状化率が低く、針状セメンタイトに起因して打抜き端面性状が低下し、高硬度のため金型が損傷した。
比較例16−Dは、フェライト粒径が小さく、ダレ面周辺に梨地が発生し打抜き部材の美観が低下した。
比較例21−Dは、セメンタイトの球状化率が低く、針状セメンタイトに起因して打抜き端面性状が低下し、高硬度のため金型が損傷した。
比較例23−Dは、セメンタイトの球状化率が低く、針状セメンタイトに起因して打抜き端面性状が低下し、高硬度のため金型が損傷した。
比較例26−Dは、コイル長手方向で材質バラツキが発生し、低硬度のためダレ量は増加した。
比較例27−Dは、セメンタイトの球状化率が低く、針状セメンタイトに起因して打抜き端面性状が低下した
Figure 2015117406
Figure 2015117406
表3−1、表3−2の実施例をもとに作成した製造条件の最適範囲を図2に示す。図2は熱延仕上げ温度と巻取温度の最適製造範囲を示す図で、図中において○印は発明例、×印は比較例を示している。600℃以上Ae3−20℃未満の温度域で仕上げ熱延を完了し、400℃以上650℃未満で巻取ることにより、○印の発明例に示すように、打ち抜き性に優れる中・高炭素熱延鋼板を得ることができることが分る。
表6−1、表6−2の実施例から作成した打ち抜き性に優れる中・高炭素鋼板の最適組織マップを図3に示す。図3はフェライト粒径とセメンタイト粒子径の最適形態範囲を示す図で、○印は打ち抜き性が最も良好(Best)な例で、×印は打ち抜き性が良好(Better)な例を示していて、鋼板表面から200μmの領域での結晶方位の制御による打ち抜きダレの低減に加えて、特に、鋼板の組織をフェライト粒径が10μm以上50μm以下、セメンタイト粒子径が0.1μm以上2.0μm以下の組織(○印の例)とすることにより、打ち抜き端面の性状や金型損耗の低減を果たすことができ、打ち抜き性は×印で示す例よりも更に向上することが分る。

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C:0.10〜0.70%、
    Si:0.01〜1.0%、
    Mn:0.1〜3.0%、
    P:0.001〜0.025%、
    S:0.0001〜0.010%、
    Al:0.001〜0.10%、
    N:0.001〜0.010%、
    を含有し、残部がFeおよび不純物からなる鋼板であり、
    鋼板表層から板厚方向200μmまでの領域において、(110)面が鋼板表面に対して±5°以内の平行度におさまる結晶方位の集積度が2.5以上であることを特徴とする打ち抜き性に優れる中・高炭素熱延鋼板。
  2. 前記鋼板が、添加元素として質量%で、さらに、
    Ti:0.01〜0.20%、
    Cr:0.01〜1.50%、
    Mo:0.01〜0.50%、
    B:0.0001〜0.010%、
    Nb:0.001〜0.10%、
    V:0.001〜0.2%、
    Cu:0.001〜0.4%
    W:0.001〜0.5%、
    Ta:0.001〜0.5%、
    Ni:0.001〜0.5%、
    Mg:0.001〜0.03%、
    Ca:0.001〜0.03%、
    Y:0.001〜0.03%、
    Zr:0.001〜0.03%、
    La:0.001〜0.03%
    Ce:0.001〜0.030%
    の内の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の打ち抜き性に優れる中・高炭素熱延鋼板。
  3. 前記請求項1または2に記載の鋼板は、
    フェライト粒径が10μm以上50μm以下であり、
    セメンタイト粒子径が0.1μm以上2.0μm以下であり、
    セメンタイトの球状化率が85%以上である組織を有し、
    ビッカース硬さが100HV以上160HV以下
    であることを特徴とする打ち抜き性に優れる中・高炭素熱延鋼板。
  4. 前記請求項1または2に記載の成分の連続鋳造鋳片を直接、または一旦冷却後、加熱し熱間圧延する際に、粗熱延終了後粗バーを加熱して20〜150℃昇温させ、600℃以上Ae3−20℃未満の温度域で仕上げ熱延を完了し、400℃以上650℃未満で捲取った熱延鋼板をそのまま、あるいは酸洗し、箱焼鈍して製造することを特徴とする打ち抜き性に優れる中・高炭素熱延鋼板の製造方法。
  5. 前記請求項4に記載の箱焼鈍として680℃以上720℃以下の焼鈍温度で3hr以上60hr以下の焼鈍時間の焼鈍を施すことを特徴とする打ち抜き性に優れる中・高炭素熱延鋼板の製造方法。
  6. 前記請求項4に記載の箱焼鈍として680℃以上720℃以下の焼鈍温度で3hr以上60hr以下の焼鈍時間の1段目の焼鈍を施した後に、730℃以上790℃以下の焼鈍温度で1hr以上12hr以下の焼鈍時間の2段目の焼鈍を施し、650℃まで1℃/hr以上20℃/hr以下の冷却速度にて冷却し、その後室温まで冷却するステップ型の焼鈍を施すことを特徴とする打ち抜き性に優れる中・高炭素熱延鋼板の製造方法。
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