[第1実施形態]
図1において、内視鏡システム10は、生体内の観察部位を撮像する内視鏡11と、撮像により得られた画像信号に基づいて観察部位の表示画像を生成するプロセッサ装置12と、観察部位を照射する照明光を内視鏡11に供給する光源装置13と、表示画像を表示するモニタ14とを備えている。プロセッサ装置12には、キーボードやマウス等の操作入力部15が接続されている。
内視鏡システム10は、観察部位の全体の性状を観察するための通常観察モードと、観察部位の粘膜内部に存在する血管を強調して観察するための血管強調観察モードとを備えている。各モードの切り替えは、操作入力部15を操作することにより行われる。血管強調観察モードは、血管のパターンを強調表示して、腫瘍の良悪鑑別等の診断を行うためのモードである。血管強調観察モードでは、血中ヘモグロビンに対する吸光度が高い特定の波長帯域の光の成分を多く含む照明光を観察部位に照射する。通常観察モードでは、観察部位の全体の性状の観察に適した通常観察画像が表示画像として生成され、血管強調観察モードでは、血管のパターンの観察に適した血管強調観察画像が表示画像として生成される。
内視鏡11は、生体の消化管内に挿入される挿入部16と、挿入部16の基端部分に設けられた操作部17と、内視鏡11とプロセッサ装置12および光源装置13を連結するユニバーサルコード18とを備えている。
挿入部16は、先端から順に連設された、先端部19、湾曲部20、可撓管部21で構成される。図2に示すように、先端部19の先端面には、観察部位に照明光を照射する照明窓22、観察部位の像を取り込むための観察窓23、観察窓23を洗浄するために送気・送水を行う送気・送水ノズル24、鉗子や電気メスといった処置具を突出させて各種処置を行うための鉗子出口25が設けられている。観察窓23の奥には、撮像素子56や結像用の対物光学系60(ともに図3参照)が内蔵されている。
湾曲部20は、連結された複数の湾曲駒からなり、操作部17のアングルノブ26を操作することにより、上下左右方向に湾曲動作する。湾曲部20が湾曲することにより、先端部19の向きが所望の方向に向けられる。可撓管部21は、食道や腸等曲がりくねった管道に挿入できるように可撓性を有している。挿入部16には、撮像素子56を駆動する駆動信号や撮像素子56が出力する画像信号を通信する通信ケーブル、光源装置13から供給される照明光を照明窓22に導光するライトガイド55(図3参照)等が挿通されている。
操作部17には、アンブルノブ26の他、処置具を挿入するための鉗子口27、送気・送水ノズル24から送気・送水を行う際に操作される送気・送水ボタン28、静止画像を撮影するためのレリーズボタン(図示せず)等が設けられている。
ユニバーサルコード18には、挿入部16から延設される通信ケーブルやライトガイド55が挿通されており、プロセッサ装置12および光源装置13側の一端には、コネクタ29が取り付けられている。コネクタ29は、通信用コネクタ29aと光源用コネクタ29bとを有する複合タイプのコネクタである。通信用コネクタ29aはプロセッサ装置12に、光源用コネクタ29bは光源装置13にそれぞれ着脱自在に接続される。通信用コネクタ29aには通信ケーブルの一端が配設されており、光源用コネクタ29bにはライトガイド55の入射端55a(図3参照)が配設されている。
図3において、光源装置13は、青色、緑色、赤色、紫色の4つの半導体光源35、36、37、38で構成される光源部40と、各半導体光源35〜38の各色光の光路を統合する光路統合部41と、緑色半導体光源36と光路統合部41の間に設けられ、緑色半導体光源36が発する緑色蛍光の光量を調整する調光部42と、各半導体光源35〜38および調光部42の駆動を制御する光源制御部43とを備えている。
各半導体光源35〜38には、ドライバ45、46、47、48がそれぞれ接続されている。光源制御部43は、これら各ドライバ45〜48を介して、各半導体光源35〜38の点灯、消灯および光量の制御を行う。
調光部42は、上流側から入射する緑色蛍光の透過率を変更することにより、下流側に出射される緑色蛍光の光量を調整する液晶素子を用いたものである。調光部42には、ドライバ49が接続されている。光源制御部43は、ドライバ49を介して調光部42に与える駆動電圧を上げ下げし、調光部42による光の透過率を変化させる。これにより、調光部42からの出射光の光量が増減される。
青色、赤色、紫色半導体光源35、37、38は、発光素子として、青色の波長帯域の光を発する青色LED、赤色の波長帯域の光を発する赤色LED、紫色の波長帯域の光を発する紫色LEDをそれぞれ有している。各半導体光源35、37、38は、例えば、各LEDが実装される基板と、基板上に形成され、各LEDを収容するキャビティが形成されたモールドと、キャビティに封入された樹脂とで構成される、いわゆる表面実装型である。なお、表面実装型でなく、マイクロレンズが形成された砲弾型のケースにLEDを収容した形態でもよい。
各LEDは、周知のようにP型半導体とN型半導体を接合したものである。そして、電圧を掛けるとPN接合部付近においてバンドギャップを超えて電子と正孔が再結合して電流が流れ、再結合時にバンドギャップに相当するエネルギーを光として放出する。各LEDは、供給電力の値を増加させると、発する光の光量が増加する。
図4において、緑色半導体光源36は、紫色から青色の波長帯域の青色励起光を発する青色励起光LD(以下、単に励起光LDという)80と、青色励起光で励起されて緑色の波長帯域の緑色蛍光を発する緑色蛍光体81が表面に形成された回転板82とを有する蛍光型半導体光源である。緑色半導体光源36は、これらの他に、集光レンズ83、コリメートレンズ84、ダイクロイックミラー85、ピックアップ光学系86といった種々の光学系を備えている。
励起光LD80は、P型半導体からなるP層とN型半導体からなるN層が活性層を挟んで接合された半導体チップであり、レーザ発振により活性層から青色励起光となるレーザ光を発する。緑色半導体光源36では、励起光LD80からの青色励起光の光量の増加に応じて、緑色蛍光体81による緑色蛍光の光量も増加する。
励起光LD80は、円板状のステム90の一面に取り付けられ、樹脂製の円筒状の透明キャップ91で覆われている。ステム90の裏面からは、リード線92が延びている。励起光LD80と対向する透明キャップ91の先端には、励起光LD80が発した青色励起光を平行光化するコリメートレンズ93が取り付けられている。この励起光LD80とコリメートレンズ93を1組とする素子が、2次元状に複数個、例えば8個×4列の32個配列されている。そして、複数個の励起光LD80は直列接続されている。
複数個の励起光LD80が発した青色励起光は、集光レンズ83とコリメートレンズ84によって光束が狭められてダイクロイックミラー85に入射する。ダイクロイックミラー85は、透明なガラス板に所定の透過特性を有するダイクロイックフィルタを形成した光学部材である。ダイクロイックミラー85は、青色励起光の光軸に対して45°傾けた姿勢で配置されている。ダイクロイックミラー85は、コリメートレンズ84を介して入射した青色励起光を反射して青色励起光の光路を90°折り曲げ、励起光LD80の光軸と直交する位置に配置された回転板82に向けて青色励起光を導光する。
ピックアップ光学系86は、ダイクロイックミラー85で反射された青色励起光を集光して緑色蛍光体81上に照射する。また、ピックアップ光学系86は、緑色蛍光体81が発した緑色蛍光を平行光化する。
図5にも示すように、回転板82は例えばアルミニウム等の金属円板であり、その表面の偏心した位置(回転中心から外れた位置)には緑色蛍光体81が円環状に形成されている。回転板82は、青色励起光が入射する側に緑色蛍光体81が形成された面を向けて設置されている。ピックアップ光学系86で集光された青色励起光は、この回転板82の偏心した位置に形成された緑色蛍光体81に向けて照射される。緑色蛍光体81としては、周知のβサイアロン等を利用することができる。緑色蛍光体81は、こうした蛍光体の粉末を樹脂に練り込んだものを回転板82の表面に塗布して固化させることで形成される。
回転板82の中心には穴が開けられて回転軸94が取り付けられ、回転軸94にはモータ95が取り付けられている。モータ95は、光源制御部43の制御の下、ドライバ96からの回転指示信号により駆動制御される。回転指示信号は、回転軸94を中心として回転板82を所定の方向に所定の回転周期で回転させるためのもので、光源制御部43の内部メモリ111(図25参照)に記憶された回転周期情報を元に生成される。こうして回転板82が回転することにより、青色励起光の照射位置は円環状の緑色蛍光体81上を周期的に移動する。
モータ95には、回転位置検出センサ97が内蔵されている。回転位置検出センサ97は、例えば回転軸94に取り付けられた磁石と、磁石による磁界変化を読み取るホール素子とで構成される。回転位置検出センサ97は、回転軸94、すなわち回転板82の回転位置(角度)を検出し、これを回転位置情報として光源制御部43に出力する(図25参照)。なお、回転位置の検出方法としては、ロータリエンコーダを用いる方法や、モータ95がパルスモータの場合はモータ95に与える駆動パルス数をカウントする等、他の周知の方法を採用することができる。
ダイクロイックミラー85の下流側には、光量測定センサ98とガラス板99が設けられている。光量測定センサ98は、ダイクロイックミラー85を透過した緑色蛍光の光量を一定のサンプリング周期で測定する。ガラス板99は、ダイクロイックミラー85を透過した緑色蛍光の一部を反射して光量測定センサ98に導光する。
ガラス板99は、緑色蛍光の光軸に対して、例えば35°傾けた姿勢で配置されている。ガラス板99に緑色蛍光が入射すると、フレネル反射が生じる。ガラス板99は、このフレネル反射を利用して、緑色蛍光の一部(4%〜8%程度)の光を光量測定センサ98に導光する。なお、ガラス板99に代えて光ファイバ等の他の導光部材を用いてもよい。
緑色半導体光源36は、光源装置13の筐体によって外部から遮光されており、光量測定センサ98には緑色蛍光のみが入射する。緑色蛍光の純粋な光量を光量測定センサ98で測定することができる。
光量測定センサ98は、ガラス板99のフレネル反射により導光された緑色蛍光を受光して、受光した緑色蛍光LGfの光量に応じた光量測定信号を出力する。光量測定信号は光源制御部43に送信される(図25参照)。
図6に示すように、青色LEDは、例えば紫色から青色の波長帯域である440nm〜470nm付近の波長成分を有し、ピーク波長455±10nmの青色光LBを発光する。また、図7に示すように、赤色LEDは、例えば赤色の波長帯域である615nm〜635nm付近の波長成分を有し、ピーク波長620±10nmの赤色光LRを発光する。さらに図8に示すように、紫色LEDは、例えば紫色の波長帯域である395nm〜415nm付近の波長成分を有し、中心波長405±10nmの紫色光LVを発光する。
図9において、励起光LD80は、例えば紫色から青色の波長帯域である420nm〜440nm付近の波長成分を有し、ピーク波長430±10nmの青色励起光LBeを発光する。また、図10に示すように、緑色蛍光体81は、例えば緑色の波長帯域である500nm〜600nm付近の波長成分を有し、ピーク波長520±10nmの緑色蛍光LGfを発光する。
ダイクロイックミラー85のダイクロイックフィルタは、青色励起光LBeを反射し、緑色蛍光LGfを透過させる特性を有する。具体的には、図11に示すように、ダイクロイックミラー85のダイクロイックフィルタは、約460nm未満の紫色、青色の波長帯域の光を反射し、それ以上の緑色、赤色の波長帯域の光を透過する特性を有している。このため、ダイクロイックミラー85に入射した青色励起光LBeは、光路を90°折り曲げられて回転板82の緑色蛍光体81に入射する。また、緑色蛍光LGfは、ダイクロイックミラー85を透過して調光部42に入射する。
緑色蛍光体81は、青色励起光LBeの大部分を吸収して緑色蛍光LGfを発するが、青色励起光LBeの一部は緑色蛍光体81で吸収されずに緑色蛍光体81で反射される。この緑色蛍光体81で反射された一部の青色励起光LBeは、ダイクロイックミラー85で励起光LD80に向けて反射される。このため、緑色半導体光源36が最終的に外部に発する光の発光スペクトルは、緑色蛍光体81を反射した一部の青色励起光LBeは含まず、図10で示した緑色蛍光LGfの色成分のみとなる。
紫色半導体光源38は、血管強調観察用の光源である。血中ヘモグロビンの吸光スペクトルを示す図12において、血中ヘモグロビンの吸光係数μaは、波長依存性を有しており、450nm以下の波長帯域において急激に上昇し、405nm付近においてピークを有している。また、450nm以下の波長帯域と比較すると低い値ではあるが、530nm〜560nmの波長帯域においてもピークを有している。吸光係数μaが大きな波長帯域の光を観察部位に照射すると、血管においては吸収が大きいので、血管とそれ以外の部分とのコントラストに差がある画像が得られる。
また、図13に示すように、生体組織の光の散乱特性にも波長依存性があり、短波長になるほど散乱係数μSは大きくなる。散乱は生体組織内への光の深達度に影響する。すなわち、散乱が大きいほど、生体組織の粘膜表層付近で反射される光が多く、中深層に到達する光が少ない。そのため、短波長であるほど深達度は低く、長波長になるほど深達度は高い。こうしたヘモグロビンの吸光特性と生体組織の光の散乱特性を鑑みて、血管強調用の光の波長が選択される。
紫色LEDが発する中心波長405±10nmの紫色光LVは、比較的短波長で深達度が低いので、表層血管による吸収が大きい。このため紫色光LVは表層血管強調用の光として用いられる。紫色光LVを用いることにより、表層血管が高コントラストで描出された血管強調観察画像を得ることができる。また、中深層血管強調用の光としては、ピーク波長520±10nmの緑色蛍光LGfが用いられる。図12に示す吸光スペクトルにおいて、450nm以下の青色波長帯域と比較して、530nm〜560nmの緑色波長帯域においては、吸光係数は緩やかに変化するので、中深層血管強調用の光は、紫色光LVのように狭帯域であることは要求されない。そのため、後述するように、中深層血管強調用には、撮像素子56のG色のマイクロカラーフィルタによって色分離した緑色の画像信号が用いられる。
図3において、各ドライバ45〜48は、光源制御部43の制御の下、各LEDと励起光LD80に駆動電流を連続的に与えることで各LEDと励起光LD80を点灯させる。そして、プロセッサ装置12から受信した露出制御信号に応じて、与える駆動電流値を変化させることにより各LEDと励起光LD80への供給電力を変更し、青色光LB、緑色蛍光LGf、赤色光LR、紫色光LVの光量をそれぞれ制御する。緑色蛍光LGfの光量制御は、励起光LD80の青色励起光LBeの光量を制御することにより行われる。このため、緑色蛍光LGfの光量を増加させる場合は、青色励起光LBeの光量を増加させるために、ドライバ46から励起光LD80に与える駆動電流値が増やされる。なお、各LEDと励起光LD80の駆動制御において、駆動電流を連続的ではなくパルス状に与え、駆動電流パルスの振幅を変化させるPAM(Pulse Amplitude Modulation)制御や、駆動電流パルスのデューティ比を変化させるPWM(Pulse Width Modulation)制御を行ってもよい。
光路統合部41は、各半導体光源35〜38が発する各色光の光路を1つの光路に統合する。光路統合部41の光出射部は、光源用コネクタ29bが接続されるレセプタクルコネクタ54の近傍に配置されている。光路統合部41は、各半導体光源35〜38から入射された光を、内視鏡11のライトガイド55の入射端55aに出射する。なお、図示は省略するが、光源用コネクタ29bとレセプタクルコネクタ54にはそれぞれ保護ガラスが設けられている。
光路統合部41で統合された青色、緑色、赤色半導体光源35〜37からの青色光LB、緑色蛍光LGf、赤色光LRの混合光の発光スペクトルを図14に示す。この混合光は可視光の全域にわたって連続したスペクトルを有する白色光であり、通常観察モード時の照明光LW0として利用される。
一方、血管強調観察モードでは、図15に示すように、照明光LW0と紫色光LVの混合光である照明光LW1が観察部位に照射される。青色励起光LBeは、ダイクロイックミラー85でカットされるので、照明光LW0、LW1の発光スペクトルには青色励起光LBeの発光スペクトルは重畳されていない。なお、図14および図15に示す照明光LW0、LW1の発光スペクトルは一例であり、所望の表示画像の色味等に応じて目標とする照明光LW0、LW1の発光スペクトルを様々に変更してもよい。具体的には、青色光LB、緑色蛍光LGf、赤色光LR、紫色光LVの光量の割合(各LEDと励起光LD80の駆動電流値の割合)を変更し、目標とする発光スペクトルの照明光LW0、LW1を生成する。
光源制御部43は、目標とする発光スペクトルを維持しつつ、照明光の露出制御を行う。照明光を構成する各色光の光量の割合が変わると、照明光の発光スペクトルが変化して表示画像の色味が変わってしまう。このため光源制御部43は、各色光の光量の割合が一定となるよう、各ドライバ45〜48を通じて各LEDと励起光LD80に与える駆動電流値を独立に変化させ、各色光の光量を増減させる。
また、光源制御部43は、通常観察モードと血管強調観察モードとで、照明光の発光スペクトルを変更する。例えば、光源制御部43は、血管強調観察モードにおいて、青色光LBに比して紫色光LVが支配的となるように、通常観察モードと比べて青色光LBの光量の割合を下げる。
図3において、内視鏡11は、ライトガイド55、撮像素子56、アナログ処理回路57(AFE:Analog Front End)、および撮像制御部58を備えている。ライトガイド55は、複数本の光ファイバをバンドル化したファイババンドルである。光源用コネクタ29bが光源装置13に接続されたときに、光源用コネクタ29bに配置されたライトガイド55の入射端55aが光路統合部41の出射端と対向する。先端部19に位置するライトガイド55の出射端は、2つの照明窓22に光が導光されるように、照明窓22の前段で2本に分岐している。
照明窓22の奥には、照射レンズ59が配置されている。光源装置13から供給された照明光は、ライトガイド55により照射レンズ59に導光されて照明窓22から観察部位に向けて照射される。照射レンズ59は凹レンズからなり、ライトガイド55から出射する光の発散角を広げる。これにより、観察部位の広い範囲に照明光を照射することができる。
観察窓23の奥には、対物光学系60と撮像素子56が配置されている。観察部位の像は、観察窓23を通して対物光学系60に入射し、対物光学系60によって撮像素子56の撮像面56aに結像される。
撮像素子56は、CCDイメージセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサ等からなり、その撮像面56aには、フォトダイオード等の画素を構成する複数の光電変換素子がマトリックス状に配列されている。撮像素子56は、撮像面56aで受光した光を光電変換して、各画素においてそれぞれの受光量に応じた信号電荷を蓄積する。信号電荷はアンプによって電圧信号に変換されて読み出される。電圧信号は画像信号として撮像素子56からAFE57に出力される。
AFE57は、相関二重サンプリング回路、自動ゲイン制御回路、およびアナログ/デジタル変換器(いずれも図示省略)で構成されている。相関二重サンプリング回路は、撮像素子56からのアナログの画像信号に対して相関二重サンプリング処理を施し、信号電荷のリセットに起因するノイズを除去する。自動ゲイン制御回路は、相関二重サンプリング回路によりノイズが除去された画像信号を増幅する。アナログ/デジタル変換器は、自動ゲイン制御回路で増幅された画像信号を、所定のビット数に応じた階調値を持つデジタルな画像信号に変換してプロセッサ装置12に入力する。
撮像制御部58は、プロセッサ装置12内のコントローラ65と接続されており、コントローラ65から入力される基準クロック信号に同期して、撮像素子56に対して駆動信号を入力する。撮像素子56は、撮像制御部58からの駆動信号に基づいて、所定のフレームレートで画像信号をAFE57に出力する。
撮像素子56は、カラー撮像素子であり、撮像面56aには、図16に示すような分光特性を有するB、G、Rの3色のマイクロカラーフィルタが各画素に割り当てられている。マイクロカラーフィルタの配列は例えばベイヤー配列である。
Bフィルタが割り当てられたB画素は約380nm〜560nmの波長帯域の光に感応し、Gフィルタが割り当てられたG画素は約450nm〜630nmの波長帯域の光に感応する。また、Rフィルタが割り当てられたR画素は約580nm〜800nmの波長帯域の光に感応する。青色光LB、緑色蛍光LGf、赤色光LRは、青色光LBに対応する反射光が主としてB画素、緑色蛍光LGfに対応する反射光が主としてG画素、赤色光LRに対応する反射光が主としてR画素でそれぞれ受光される。血管強調観察用の紫色光LVに対応する反射光は、B画素で受光される。
図17および図18に示すように、撮像素子56は、1フレームの取得期間内で、画素に信号電荷を蓄積する蓄積動作と、蓄積した信号電荷を読み出す読み出し動作を行う。図17において、通常観察モードでは、撮像素子56の蓄積動作のタイミングに合わせて、各半導体光源35〜37が点灯し、青色光LB、緑色蛍光LGf、赤色光LRの混合光からなる照明光LW0(LB+LGf+LR)が観察部位に照射され、その反射光が撮像素子56に入射する。撮像素子56は、照明光LW0の反射光をマイクロカラーフィルタで色分離する。青色光LBに対応する反射光をB画素が受光し、緑色蛍光LGfに対応する反射光をG画素が、赤色光LRに対応する反射光をR画素がそれぞれ受光する。撮像素子56は、読み出しタイミングに合わせて、B、G、Rの各画素の画素値が混在した1フレーム分の画像信号B、G、Rをフレームレートにしたがって順次出力する。こうした撮像動作は、通常観察モードが設定されている間、繰り返される。
図18において、血管強調観察モードでは、撮像素子56の蓄積動作のタイミングに合わせて、各半導体光源35〜37に加えて紫色半導体光源38が点灯する。各半導体光源35〜38が点灯すると、青色光LB、緑色蛍光LGf、赤色光LR、および紫色光LVの混合光(LB+LGf+LR+LV)が照明光LW1として観察部位に照射される。
通常観察モードと同様に、照明光LW1は、撮像素子56のマイクロカラーフィルタで分光される。B画素は、青色光LBに対応する反射光に加えて、紫色光LVに対応する反射光も受光する。G画素、R画素は、通常観察モードと同じく、緑色蛍光LGfに対応する反射光、赤色光LRに対応する反射光をそれぞれ受光する。血管強調観察モードにおいても、撮像素子56は、読み出しタイミングに合わせて、画像信号B、G、Rをフレームレートにしたがって順次出力する。こうした撮像動作は、血管強調観察モードが設定されている間、繰り返される。
各半導体光源35〜37、または各半導体光源35〜38は、撮像素子56の読み出し動作のタイミングに合わせて消灯される。ただし、回転板82は、緑色半導体光源36の点灯、消灯に関わらず、連続的に回転駆動される。
図3において、プロセッサ装置12は、コントローラ65の他、DSP(Digital Signal Processor)66と、画像処理部67と、フレームメモリ68と、表示制御回路69とを備えている。コントローラ65は、CPU、制御プログラムや制御に必要な設定データを記憶するROM、プログラムをロードして作業メモリとして機能するRAM等を有し、CPUが制御プログラムを実行することにより、プロセッサ装置12の各部を制御する。
DSP66は、撮像素子56が出力する画像信号を取得する。DSP66は、B、G、Rの各画素に対応する信号が混在した画像信号を、B、G、Rの画像信号に分離し、各色の画像信号に対して画素補間処理を行う。この他、DSP66は、ガンマ補正や、B、G、Rの各画像信号に対してホワイトバランス補正等の信号処理を施す。
また、DSP66は、画像信号B、G、Rに基づいて表示画像全体の明るさを示す露出値を算出して、画像全体の光量が不足している場合(露出アンダー)には照明光の光量を上げ、一方、光量が高すぎる場合(露出オーバー)には照明光の光量を下げるように制御して、表示画像の明るさを一定にする露出制御信号をコントローラ65に出力する。コントローラ65は、光源装置13の光源制御部43に露出制御信号を送信する。
フレームメモリ68は、DSP66が出力する画像データや、画像処理部67が処理した処理済みの画像データを記憶する。表示制御回路69は、フレームメモリ68から画像処理済みの画像データを読み出して、コンポジット信号やコンポーネント信号等のビデオ信号に変換してモニタ14に出力する。
図19に示すように、通常観察モードにおいては、画像処理部67は、DSP66によってB、G、Rの各色に色分離された画像信号B、G、Rに基づいて、通常観察画像を生成する。この通常観察画像がモニタ14に出力される。画像処理部67は、フレームメモリ68内の画像信号B、G、Rが更新される毎に、通常観察画像を更新する。
図20に示すように、血管強調観察モードにおいては、画像処理部67は、画像信号B、G、Rに基づいて、血管強調観察画像を生成する。血管強調観察モードにおける画像信号Bには、青色光LBに対応する反射光の成分に加えて、紫色光LVに対応する反射光の成分が含まれているため、表層血管が高コントラストで描出される。癌等の病変においては、正常組織と比較して表層血管の密集度が高くなる傾向がある等、血管のパターンに特徴があるため、腫瘍の良悪鑑別を目的とする血管強調観察においては、表層血管が鮮明に描出されることが好ましい。
より表層血管を強調するために、例えば、画像信号Bに基づいて画像内の表層血管の領域を抽出して、抽出した表層血管の領域に対して輪郭強調処理等を施してもよい。そして、輪郭強調処理が施された画像信号Bを、画像信号B、G、Rを元に生成したフルカラー画像に合成し、血管強調観察画像を生成する。表層血管に加えて中深層血管に対しても同様の処理を行ってもよい。中深層血管を強調する場合には、中深層血管の情報が多く含まれている画像信号Gから中深層血管の領域を抽出して、抽出した中深層血管の領域に対して輪郭強調処理を施して、画像信号B、G、Rから生成したフルカラー画像に合成し、血管強調観察画像を生成する。
血管強調観察画像は、通常観察画像と同様に、画像信号B、G、Rに基づいて生成されるため、観察部位をフルカラーで表示することが可能である。ただし、血管強調観察モードにおける画像信号Bは、通常観察モードにおける画像信号Bと比較すると、青色の濃度が高い。そのため、血管強調観察画像を生成する場合には、通常観察画像と同様の色味になるように青色の濃度を抑制する等の色補正を画像処理部67で行ってもよい。
画像処理部67は、フレームメモリ68内の画像信号B、G、Rが更新される毎に、血管強調観察画像を生成する。なお、血管強調観察画像を生成する方式としては、画像信号Rを使わずに、画像信号B、Gの2色のみで血管強調観察画像を生成して、画像信号Bをモニタ14のBチャンネルおよびGチャンネルに、画像信号Gをモニタ14のRチャンネルに割り当てる方式等、観察部位を疑似カラーで表示する方式を採用してもよい。
図21において、光路統合部41は、各半導体光源35〜38が発する各色光をコリメートするコリメートレンズ100、101、102、103と、第1ダイクロイックミラー104、第2ダイクロイックミラー105、第3ダイクロイックミラー106と、光路統合部41から出射する光をライトガイド55の入射端55aに集光する集光レンズ107とで構成されている。
緑色半導体光源36は、その光軸がライトガイド55の光軸と一致する位置に配置されている。そして、緑色半導体光源36と赤色半導体光源37は、互いの光軸が直交するように配置されている。これら緑色半導体光源36と赤色半導体光源37の光軸が直交する位置に、第1ダイクロイックミラー104が設けられている。同様に、青色半導体光源35と紫色半導体光源38も、互いの光軸が直交するように配置され、これらの光軸が直交する位置に、第2ダイクロイックミラー105が設けられている。また、第1、第2ダイクロイックミラー104、105の作用により、青色光LB、緑色蛍光LGf、赤色光LR、紫色光LVの全ての光路が最終的に交わる位置に第3ダイクロイックミラー106が設けられている。第1ダイクロイックミラー104は緑色半導体光源36、赤色半導体光源37の光軸、第2ダイクロイックミラー105は青色半導体光源35、紫色半導体光源38の光軸、第3ダイクロイックミラー106は青色半導体光源35、緑色半導体光源36の光軸に対して、それぞれ45°傾けた姿勢で配置されている。
図22に示すように、第1ダイクロイックミラー104のダイクロイックフィルタは、約610nm以上の赤色の波長帯域の光を反射し、それ未満の青色、緑色の波長帯域の光を透過する特性を有している。第1ダイクロイックミラー104は、コリメートレンズ101を介して緑色半導体光源36から入射した緑色蛍光LGfを下流側に透過させ、コリメートレンズ102を介して赤色半導体光源37から入射した赤色光LRを反射させる。これにより緑色蛍光LGfと赤色光LRの光路が統合される。
図23に示すように、第2ダイクロイックミラー105のダイクロイックフィルタは、約430nm未満の紫色の波長帯域の光を反射し、それ以上の青色、緑色、赤色の波長帯域の光を透過する特性を有している。第2ダイクロイックミラー105は、コリメートレンズ100を介して青色半導体光源35から入射した青色光LBを下流側に透過させ、コリメートレンズ103を介して紫色半導体光源38から入射した紫色光LVを反射させる。これにより青色光LBと紫色光LVの光路が統合される。
図24に示すように、第3ダイクロイックミラー106のダイクロイックフィルタは、約490nm未満の紫色、青色の波長帯域の光を反射し、それ以上の緑色、赤色の波長帯域の光を透過する特性を有している。このため、第3ダイクロイックミラー106は、第1ダイクロイックミラー104を透過した緑色蛍光LGfと、第1ダイクロイックミラー104で反射した赤色光LRを透過させる。さらに、第3ダイクロイックミラー106は、第2ダイクロイックミラー105を透過した青色光LBと、第2ダイクロイックミラー105で反射した紫色光LVを反射させる。この第3ダイクロイックミラー106により、青色光LB、緑色蛍光LGf、赤色光LR、および紫色光LVの全ての光路が統合される。
内視鏡システム10は、通常観察モード、血管強調観察モードの他に、これら各観察モードにおいて蛍光LGfの光量変動を補正する光量補正の下準備を行うためのメンテナンスモードを備えている。メンテナンスモードでは、各LEDは消灯されて励起光LD80のみが例えば最大駆動電流で点灯され、回転板82が所定の回転周期で回転される。また、光量測定センサ98で緑色蛍光LGfの光量が測定される。
図25において、メンテナンスモードでは、光源制御部43にデータ生成部110が構築される。データ生成部110は、光量測定センサ98から光量測定信号を、回転位置検出センサ97から回転位置情報をそれぞれ受け取る。また、光量測定センサ98による緑色蛍光LGfの光量のサンプリング毎の回転板82の回転角度を示す角度間隔情報を内部メモリ111から受け取る。回転板82が1回転するうちに、光量測定センサ98が一定のサンプリング周期で例えば36回サンプリングを行う場合、角度間隔情報は360°/36=10°となる。この場合は光量測定センサ98のサンプリング毎に10°ずつ回転板82が回転することになり、光量測定信号は10°刻みで緑色蛍光LGfの光量を測定したものとなる。データ生成部110は、受け取った信号および情報に基づき、回転板82の回転位置と緑色蛍光LGfの光量との関係を表すデータ、すなわち光量変動データを生成する。
具体的には、まず、回転位置情報から回転板82の基準位置(回転角度0°の位置)を特定する。そして、角度間隔情報に基づき、次々に光量測定センサ98から送られてくる光量測定信号を回転板82の各回転位置に対応する点にプロットしていく。なお、光量変動データの縦軸は、光量測定信号のうちの所定の値を1.0として規格化した光量を表す。
あるいは、回転板82の基準位置に対応する時刻と、ある光量を得たときの時刻との時間差を計算する。次いで、計算した時間差で基準位置から進む回転位置を回転板82の回転周期から割り出す。例えば回転板82の回転周期が10ms/1回転で、時間差が5msであった場合は、ある光量を得たときの回転位置は180°と割り出せる。取得した光量測定信号全てについて、上記の時間差の計算と回転位置の割り出しとを行えば、光量変動データを生成することができる。
光量変動データは、回転板82を1回だけ回転させて得た光量測定信号ではなく、回転板82を複数回回転させて得た光量測定信号の平均値に基づき生成することが好ましい。こうすれば、光量の測定バラつきを吸収することができ、光量変動データの信頼性が増す。
データ生成部110は、光量変動データに基づき、緑色蛍光LGfの光量変動を補正するための光量補正データを生成する。光量補正データは、回転板82の各回転位置に対する調光部42の透過率の変動を表す。データ生成部110は、点線で示す光量変動の逆位相の波形(基準の1.0を対称軸にして上下反転させた波形)を透過率の変動とする。したがって光量補正データは、光量が基準よりも多い場合はそれに対応して調光部42の透過率を下げ、逆に光量が少ない場合は透過率を上げる、という内容になる。つまり、光量補正データに基づいて調光部42の透過率を変動させることで、緑色蛍光LGfの光量変動を打ち消す光量補正が行われる。なお、光量補正データの縦軸は、光量変動データと同様、所定の透過率を1.0として規格化した透過率を表す。
データ生成部110は、上記のようにして生成した光量補正データを内部メモリ111に記憶する。内部メモリ111には、最初、工場出荷時にメンテナンスモードを実施して生成した光量補正データが記憶されている。データ生成部110は、メンテナンスモードが選択されて新たに光量補正データが生成される毎に内部メモリ111の内容を更新する。
光源制御部43は、通常観察モードおよび血管強調観察モードの際に、光量補正部として機能する。光源制御部43は、内部メモリ111から光量補正データを読み出し、光量補正データにしたがってドライバ49を介して調光部42の透過率を変動させる。この際、光源制御部43は、回転位置検出センサ97からの回転位置情報に基づき、回転板82の回転位置と調光部42の透過率の変動を同期させる。より具体的には、回転位置情報から特定した回転板82の基準位置と光量補正データの0点(ともに回転角度0°の位置)を合わせ、光量補正データによる調光部42の透過率の変動周期を回転板82の回転周期に合わせる。
以下、上記構成による作用について説明する。内視鏡診断を行う場合には、内視鏡11をプロセッサ装置12と光源装置13に接続し、プロセッサ装置12と光源装置13の電源を入れて、内視鏡システム10を起動する。
まず、操作入力部15を操作してメンテナンスモードを選択する。光源装置13では励起光LD80のみが点灯し、回転板82は回転周期情報に基づいた所定の回転周期で回転する。回転板82の回転位置は回転位置検出センサ97で検出され、回転位置情報が光源制御部43に出力される。
励起光LD80が発した青色励起光LBeは、集光レンズ83、コリメートレンズ84を介してダイクロイックミラー85に入射し、ダイクロイックミラー85で反射される。そして、ピックアップ光学系86によって集光されて回転板82の緑色蛍光体81に入射する。これにより緑色蛍光体81は緑色蛍光LGfを発する。緑色蛍光LGfはピックアップ光学系86によって平行光化され、ダイクロイックミラー85を透過してガラス板99に入射する。ガラス板99のフレネル反射により、緑色蛍光LGfの一部の光が光量測定センサ98に導光される。この一部の光が光量測定センサ98で測定され、光量測定センサ98からこれに応じた光量測定信号が出力される。光量測定信号は光源制御部48に送信される。
光源制御部43のデータ生成部110では、光量測定センサ98からの光量測定信号、回転位置検出センサ97からの回転位置情報、および内部メモリ111からの角度間隔情報に基づき、光量変動データが生成される。さらに、光量変動データを元に光量補正データが生成される。光量補正データは光源制御部43の内部メモリ111に記憶される。これにてメンテナンスモードが終了する。
メンテナンスモード終了後、内視鏡11の挿入部16を被検者の消化管内に挿入して、消化管内の観察を開始する。通常観察モードでは、各半導体光源35〜37が点灯する。光源制御部43は、各LEDおよび励起光LD80に与える駆動電流値を通常観察モード用の値に設定して、各半導体光源35〜37の点灯を開始する。そして、目標とする発光スペクトルを維持しつつ光量制御を行う。
青色、赤色半導体光源35、37は、青色、赤色LEDによる青色光LB、赤色光LRをそれぞれ発する。緑色半導体光源36は、緑色蛍光体81による緑色蛍光LGfを発する。青色光LB、赤色光LRは光路統合部41のコリメートレンズ100、102にそれぞれ入射する。緑色蛍光LGfは調光部42を介してコリメートレンズ101に入射する。
光源制御部43は、データ生成部110で生成された光量補正データにしたがって調光部42の透過率を変動させる。光量補正データにしたがって調光部42の透過率を変動させることで、回転板82の回転に起因する緑色蛍光LGfの光量変動が打ち消され、光路統合部41には光量変動がないフラットな光量の緑色蛍光LGfが入射する。
赤色光LRは第1ダイクロイックミラー104で反射し、第3ダイクロイックミラー106を透過する。緑色蛍光LGfは第1、第3ダイクロイックミラー104、106を透過する。第1ダイクロイックミラー104によって、赤色光LR、緑色蛍光LGfの光路が統合される。青色光LBは、第2ダイクロイックミラー105を透過し、第3ダイクロイックミラー106で反射する。第3ダイクロイックミラー106によって、青色光LB、緑色蛍光LGf、赤色光LRの光路が統合される。これら青色光LB、緑色蛍光LGf、赤色光LRは、集光レンズ107に入射する。これにより、青色光LB、緑色蛍光LGf、赤色光LRで構成される照明光LW0が生成される。集光レンズ107は、照明光LW0を内視鏡11のライトガイド55の入射端55aに集光し、照明光LW0を内視鏡11に供給する。
内視鏡11において、照明光LW0はライトガイド55を通じて照明窓22に導光されて、照明窓22から観察部位に照射される。観察部位で反射した照明光LW0の反射光は、観察窓23から撮像素子56に入射する。撮像素子56は画像信号B、G、Rをプロセッサ装置12のDSP66に出力する。DSP66は画像信号B、G、Rを色分離して、画像処理部67に入力する。撮像素子56による撮像動作は所定のフレームレートで繰り返される。画像処理部67は、入力された画像信号B、G、Rに基づいて通常観察画像を生成する。通常観察画像は表示制御回路69を通じてモニタ14に出力される。通常観察画像は撮像素子56のフレームレートにしたがって更新される。
また、DSP66は、画像信号B、G、Rに基づいて露出値を算出し、算出した露出値に応じた露出制御信号を光源装置13の光源制御部43に送信する。光源制御部43は、受信した露出制御信号に基づいて、各色光の光量の割合が一定となるよう(目標とする発光スペクトルが変化しないよう)各半導体光源35〜37の駆動電流値を決定する。そして、決定した駆動電流値で各半導体光源35〜37を駆動する。これにより、各半導体光源35〜37による、照明光LW0を構成する青色光LB、緑色蛍光LGf、赤色光LRの光量を、通常観察モードに適した割合に一定に保つことができる。
通常観察モードで病変部と疑わしき観察部位が発見された場合、通常観察モードから血管強調観察モードに切り替える。血管強調観察モードでは、各半導体光源35〜37に加えて、紫色半導体光源38が点灯する。各半導体光源35〜37からの各色光は、上述した光路統合部41の作用によって照明光LW0となる。通常観察モード時と同様に、光源制御部43は、データ生成部110で生成された光量補正データにしたがって調光部42の透過率を変動させる。
紫色半導体光源38は、紫色LEDによる紫色光LVを発する。紫色光LVはコリメートレンズ103に入射する。紫色光LVは、第2、第3ダイクロイックミラー105、106で反射する。第2、第3ダイクロイックミラー105、106によって、紫色光LVは照明光LW0と同じ光路に統合されて照明光LW1となる。照明光LW1は内視鏡11に供給される。
撮像素子56は、照明光LW1の観察部位での反射光を受光し、DSP66にB、G、Rの画像信号を出力する。DSP66は、画像信号B、G、Rを分離して、画像処理部67に入力する。画像処理部67は、B、Gの画像信号に基づいて、血管強調観察画像を生成する。血管強調観察画像はモニタ14に出力される。血管強調観察画像は撮像素子56のフレームレートにしたがって更新される。
光量補正データにしたがって調光部42の透過率を変動させることにより、緑色蛍光LGfの光量変動が打ち消され、観察部位には光量変動の少ない安定した緑色蛍光LGfが照射される。このため、良好な画質の通常観察画像および血管強調観察画像を得ることができ、これらの画像を元に行う内視鏡診断の妥当性を担保することができる。
上記第1実施形態では、調光部として液晶素子を用いたものを例示したが、図26に示すように、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD:Digital Micromirror Device)を用いた調光部120でもよい。この場合、DMDは反射型デバイスであるため、調光部120を緑色半導体光源36の光軸に対して45°傾けた姿勢で配置する。そして、調光部120と緑色半導体光源36との間に、上記第1実施形態のコリメートレンズ102に相当するコリメートレンズ121を配する。その他の構成は上記第1実施形態と同じである。
DMDは、周知のように多数のマイクロミラーを配列してなり、光源に対するマイクロミラーの傾斜角度によって外部への光の投影(オン)、非投影(オフ)を切り替えるものである。DMDを用いた場合は、マイクロミラーに与えるオン/オフパルスのデューティ比を変化させるPWM制御を行うことで光量を調整する。より具体的には、光量を上げる場合はオフ時間に比べてオン時間を長くし、逆に光量を下げる場合はオン時間に比べてオフ時間を長くする。
液晶素子、DMDを用いた調光部の他には、多結晶磁性ガーネット膜の磁気光学効果を利用した調光部が挙げられる。ただし、液晶素子を用いたものは他のものと比べると廉価で、また、駆動電圧の上げ下げだけで駆動制御が簡単に済むので、調光部としては液晶素子を用いたものがより好ましい。
なお、調光部としては、上記例の他に、光路を開閉する絞り羽根を有する光学絞りを用いてもよい。ただし、光学絞りは上記例の液晶素子を用いたもの等と比べて応答速度が遅いので、光学絞りの応答速度に合わせて回転板の回転周期を長くする必要がある。回転板の回転周期を長くすると、緑色蛍光体のある一点に青色励起光LBeが照射される時間も長くなるため、緑色蛍光体の熱劣化防止という観点からは宜しくない。したがって、調光部としては光学絞りよりも上記例の液晶素子を用いたもの等を採用するほうが好ましい。
調光部の配置箇所は、上記第1実施形態の緑色半導体光源36と光路統合部41の間に限らない。例えば図27に示す調光部130のように、光路統合部41の光出射部とライトガイド55の入射端55aの間に設けてもよい。調光部130はDMDを用いたもので、光路統合部41からの出射光の光軸に対して45°傾けた姿勢で配置されている。ライトガイド55の入射端55aは、出射光の光軸に対して90°の位置に配置されている。調光部130と入射端55aとの間には、上記第1実施形態の集光レンズ107に相当する集光レンズ131が配され、調光部130で反射した光路統合部41からの出射光を入射端55aに集光する。その他の構成は上記第1実施形態と同じである。
また、上記例の液晶素子を用いたもの等や光学絞りを用いずに、露出制御と同様に励起光LD80に与える駆動電流を制御することで、緑色蛍光LGfの光量変動を補正してもよい。この場合、図28に示すように、データ生成部110は、回転板82の各回転位置に対する励起光LD80の駆動電流値の変動を表す光量補正データを生成する。光源制御部43は、露出制御を行いつつ、内部メモリ111から光量補正データを読み出し、光量補正データにしたがってドライバ46を介して励起光LD80に与える駆動電流値を変動させ、光量補正を行う。
ただし、励起光LD80等の半導体発光素子では、駆動電流の変化に伴い発する光のスペクトルが変化してしまうことが知られており、露出制御に加えて緑色蛍光LGfの光量変動の補正も駆動電流制御に担わせると、駆動電流の変動幅が大きくなって青色励起光LBe、ひいては緑色蛍光LGfの発光スペクトルの変化が無視できないほど大きくなり、表示画像の色味が大きく変化するおそれがある。したがって、駆動電流制御よりも上記例の液晶素子を用いたもの等や光学絞りを用いて緑色蛍光LGfの光量変動を補正することが好ましい。
緑色蛍光LGfの光量変動の補正に加えて、調光部に露出制御を担わせてもよい。この場合、調光部は緑色半導体光源36と光路統合部41の間だけでなく、青色、赤色、紫色半導体光源35、37、38と光路統合部41の間にも設けられる。各半導体光源35〜38は、一定の駆動電流、例えば最大駆動電流で駆動される。これにより駆動電流の変化に伴う光のスペクトル変化が抑止される。
上記第1実施形態では、光量変動データの逆位相の波形である光量補正データをデータ生成部110で生成し、これを内部メモリ111に記憶して、観察モード時に内部メモリ111から光源制御部43に光量補正データを読み出して光量補正を行っているが、光量変動データを内部メモリ111に記憶しておき、観察モード時にデータ生成部110で光量補正データを生成し、光量補正を行ってもよい。
ここで、回転板82の1回転に要する時間である回転周期TRと、撮像素子56による1フレーム分の撮像に要する時間であるフレーム周期TFとの関係について考える。図29〜図32は、例えば内視鏡11の先端部19に、底部に白板が取り付けられた遮光キャップを被せ、緑色蛍光LGfの白板による反射光のみを撮像素子56で撮像した場合の露出値と回転周期TR、フレーム周期TFの関係を表したものである。
図29Aにおいて、回転周期TRとフレーム周期TFとが一致している場合(TR=TF)、緑色蛍光LGfの光量変動のパターンは各フレームで同じであるため、各フレームの露出値は差がなく一定となる。また、図29Bのように、TR=(1/2)TFとした場合も同様に、各フレームの露出値は一定となる。TR=(1/3)TF、TR=(1/4)TF、・・・としても同じことが言える。つまり、回転周期TRとフレーム周期TFがTR=(1/k)TF(ただし、kは1以上の自然数)の関係にある場合は、撮像素子56の各フレームにおいて、光量変動の同一の区間の光量を積算するので、露出値は光量変動の影響を受けずに一定となり、自然と光量変動が打ち消されるため光量補正は不要である。逆に、回転周期TRとフレーム周期TFがTR≠(1/k)TFの関係にある場合に光量補正が必要となる。
回転周期TRとフレーム周期TFとの関係としては、図30Aに示す、回転周期TRに比してフレーム周期TFが大きい場合(TR<TF)と、図30Bに示す、フレーム周期TFに比して回転周期TRが大きい場合(TR>TF)とが考えられる。いずれの場合も、緑色蛍光LGfの光量変動のパターンが各フレームで異なり、各フレームの露出値に差が生じるため、光量補正が必要となる。
ただし、図31A、図31Bに示すように、回転周期TRとフレーム周期TFとの差が十分に小さい場合(|TR−TF|≒0)や、図31Cに示すように、回転周期TRに比してフレーム周期TFを十分大きくとった場合(TR≪TF)は、各フレームの露出値の差は微々たるものとなるため、光量変動を完全に打ち消すことはできないまでも、光量変動の影響を薄めることはできる。
一方、図32に示すように、フレーム周期TFに比して回転周期TRを十分大きくとり、回転周期TRに対してフレーム周期TFが2以上包含されている場合(TR≧2TF)は、各フレームの露出値の差が大きくなるため、光量補正の必要性が増す。したがって、回転周期TRとフレーム周期TFは、TR≠(1/k)TF(ただし、kは1以上の自然数)であることが好ましく、TR≧2TFであることがさらに好ましい。
なお、図29〜図32では、撮像素子の動作タイミングおよび照明光の照射タイミングも併記している。撮像素子56の読み出し動作のタイミングに合わせて各半導体光源3〜37または各半導体光源35〜38を消灯するので、その期間の光量変動データは点線で表している。
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、光量測定センサ98を用いて緑色蛍光LGfの光量を測定しているが、撮像素子56を用いて緑色蛍光LGfの光量を測定してもよい。この場合、撮像素子56による光量測定の邪魔になる外光が観察窓23に入射することを防ぐため、内視鏡11の先端部19には遮光キャップが被せられる。先端部19の先端面と対向する遮光キャップの底部には白板が取り付けられ、撮像素子56はこの白板で反射した緑色蛍光LGfを撮像する。
DSP66は、緑色蛍光LGfを撮像して撮像素子56から出力された画像信号B、G、Rを露出値に変換する。コントローラ65は、この露出値を緑色蛍光LGfの光量の測定結果を表す光量測定信号として光源制御部43に出力する。
図33において、光源制御部43のデータ生成部110では、撮像素子56(コントローラ65)からの光量測定信号、回転位置検出センサ97からの回転位置情報、および内部メモリ111からの角度間隔情報に基づき、光量変動データが生成される。この場合の角度間隔情報は、1フレーム分の回転板82の回転角度を示す。以降の処理は第1実施形態と同じであるため説明を省略する。
本実施形態の撮像素子56を用いて緑色蛍光LGfの光量を測定する構成では、既存の撮像素子56を緑色蛍光LGfの光量の測定に流用することができる。対して上記第1実施形態の光量測定センサ98を設ける構成では、遮光キャップを用意する必要がなく、遮光キャップを内視鏡11の先端部19に被せる手間も省くことができる。
なお、光量測定信号のサンプリング数を増やすために、メンテナンスモードにおいて、コントローラ65から撮像制御部58に送る基準クロック信号の周期を速め、撮像素子56のフレームレートを観察モードよりも速めてもよい。
撮像素子56を用いて緑色蛍光LGfの光量を測定する場合、以下のようにして光量変動データを生成してもよい。図34において、まず、フレーム周期TFを、回転板82の回転周期TRと同一(TR=TF)とし、各フレームの蓄積動作の期間TCを徐々に長く(TC1<TC2<TC3・・・)しながら複数回撮像を行う。次いで、これにより得られた露出値(光量測定信号)を蓄積期間毎にプロットした、図35に示すデータを生成する。そして、図35に示すデータを微分することで光量変動データを生成する。
[第3実施形態]
内視鏡診断においては、照明光の光量変動の幅の許容範囲が±2%〜±3%とされている。そこで、本実施形態においては、光量変動データが示す緑色蛍光LGfの光量変動の幅が±2%〜±3%の範囲にあった場合、緑色蛍光LGfの光量変動を補正する制御を行わない。
図36に示すように、本実施形態の光源制御部135には、上記各実施形態のデータ生成部110に加えて、判定部136が構築される。そして、図37のフローチャートに示すように、ステップS100でデータ生成部110にて光量変動データが生成された後、判定部136は、光量変動データが示す緑色蛍光LGfの光量変動の幅が±2%〜±3%の範囲か否かを判定する(ステップS110)。すなわち、本実施形態においては、判定部136は第1判定部に相当する。
判定部136で光量変動の幅が±2%〜±3%の範囲にないと判定された場合(ステップS110でNO)、データ生成部110は、上記各実施形態と同様に光量補正データを生成して内部メモリ111に記憶させる(ステップS120)。この場合、光源制御部135は、緑色蛍光LGfの光量変動を補正する制御を実行する(ステップS130)。
対して、光量変動の幅が±2%〜±3%の範囲にあると判定された場合(ステップS110でYES)は、データ生成部110は光量補正データを生成せず、代わりに緑色蛍光LGfの光量変動を補正する制御が不要であることを示す補正不要信号を出力する(ステップS140)。補正不要信号が出力された場合、光源制御部43は、緑色蛍光LGfの光量変動を補正する制御を実行しない(ステップS150)。これにより必要のない制御を行わなくて済む。なお、緑色蛍光LGfの光量変動を補正する制御を行うか否かを判定する範囲としては、上記の±2%〜±3%の範囲に限らず、±1%以内等、より範囲を厳しくしてもよい。操作入力部17を操作することで、ユーザが好みに応じて範囲を設定変更可能に構成してもよい。
[第4実施形態]
緑色蛍光体81の劣化が時間経過とともに進行し、それにより緑色蛍光LGfの光量変動の幅が大きくなって、調光部の駆動制御では光量補正することが不可能となる場合も考えられる。そこで、本実施形態では、光量変動データが示す緑色蛍光LGfの光量変動が、調光部の駆動制御により光量補正することが不可能なものであった場合、光量補正することが不可能である旨を報せる。
本実施形態では、上記第3実施形態と同様に光源制御部43に判定部136が構築される。そして、図38のフローチャートに示すように、ステップS100でデータ生成部110にて光量変動データが生成された後、判定部136は、光量変動データが示す緑色蛍光LGfの光量変動が、調光部の駆動制御により光量補正することが可能か否かを判定する(ステップS200)。すなわち、本実施形態においては、判定部136は第2判定部に相当する。調光部の駆動制御が可能な光量変動の幅のデータは予め内部メモリ111に記憶されており、判定部136は、この内部メモリ111に記憶されたデータと、光量変動データとを比較することで上記判定を行う。
判定部136で、光量変動が調光部の駆動制御により補正することが可能であると判定された場合(ステップS200でYES)、データ生成部110は、上記各実施形態と同様に光量補正データを生成して内部メモリ111に記憶させる(ステップS120)。この場合、光源制御部43は、緑色蛍光LGfの光量変動を補正する制御を実行する(ステップS130)。
対して、光量変動が調光部の駆動制御により補正することが不可能であると判定された場合(ステップS200でNO)、光量補正することが不可能である旨のメッセージ、例えば図39に示すような「光源装置の故障です。サービスセンターにお問い合わせ下さい。」といった警告メッセージ140をモニタ14に表示させる(ステップS210)。この場合はモニタ14が、光量補正することが不可能である旨をユーザに報せる報知部として機能する。これにより光源装置の修理を依頼したり緑色蛍光体を新品に交換する等の適切な対処をユーザにとらせることができる。なお、報知の態様としては、モニタ14による警告メッセージ140の表示に代えて、または加えて、音声により行ってもよい。音声報知の場合は、報知部として機能するスピーカーを設け、スピーカーからの音声出力により光量補正することが不可能である旨を報せる。
なお、光量補正が調光部の駆動制御により不可能であった場合は、メッセージを表示したうえで継続して内視鏡システム10を使用可能としてもよいが、光量変動によって表示画像の画質が劣化し、内視鏡診断に支障を来すおそれがあるため、メッセージの表示後、内視鏡システム10を使用不可とすることが好ましい。
上記各実施形態では、回転板82の回転位置毎の緑色蛍光LGfの光量測定信号から光量変動データを生成し、回転板82の回転に同期して調光部42の駆動を制御し、回転位置毎に光量補正を行っているが、内視鏡診断において問題となるのは、フレーム毎の光量変動である。このため、回転位置毎の光量測定信号ではなく、フレーム毎の光量測定信号から光量変動データを生成し、撮像素子56の動作に同期して調光部42の駆動を制御し、フレーム毎に光量補正を行ってもよい。ここで、図29〜図32で示した、先端部19に遮光キャップを被せ、緑色蛍光LGfの白板による反射光のみを撮像素子56で撮像した場合の露出値は、フレーム毎の光量測定信号に他ならない。
フレーム毎の光量測定信号から光量変動データを生成する場合、光量補正データも各フレームに対する調光部42の透過率の変動を表すものとなる。この場合、回転板82の回転開始、撮像素子56の撮像開始、および調光部42の駆動制御開始のタイミングを合わせることで、回転板82の回転位置と調光部42の透過率の変動を同期させる。回転位置毎に光量補正を行うよりも、フレーム毎に光量補正を行うほうが、内視鏡診断において実際に問題となるフレーム毎の光量変動が解消されるため、より実効性がある。
蛍光型半導体光源は、上記各実施形態の緑色半導体光源に限らない。緑色半導体光源に代えて、あるいは加えて、赤色半導体光源を蛍光型半導体光源としてもよい。この場合、赤色半導体光源は、例えば、紫色から青色の波長帯域の青色励起光を発する青色励起光発光素子、および青色励起光で励起されて赤色の波長帯域の赤色蛍光を発する赤色蛍光体で構成される。赤色半導体光源を蛍光型半導体光源で構成する場合は、励起光発光素子は紫色から青色の波長帯域の青色励起光を発する青色励起光発光素子に限らず、緑色の波長帯域の緑色励起光を発する緑色励起光発光素子であってもよい。
また、蛍光型半導体光源として白色半導体光源を用いてもよい。光源部は、上記第1実施形態の光源部40から、緑色半導体光源36、赤色半導体光源37を除き、これらの代わりに白色半導体光源を設けたものとなる。また、光路統合部は、上記第1実施形態の光路統合部41から、緑色半導体光源36、赤色半導体光源37に係るコリメートレンズ101、102や第1ダイクロイックミラー104を除いたものとなる。
白色半導体光源は、青色の波長帯域の青色励起光を発する青色励起光発光素子、および青色励起光で励起されて緑色の波長帯域の緑色蛍光を発する緑色蛍光体、および赤色の波長帯域の赤色蛍光を発する赤色蛍光体で構成される。この場合、照明光LW0は、青色半導体光源35が発する青色光LBと、白色半導体光源が発する緑色蛍光、赤色蛍光の混合光により構成される。
ただし、緑色は人間の比視感度が最も高い色であるため、上記各実施形態のように、緑色半導体光源を蛍光型半導体光源とし、緑色蛍光LGfの光量変動を補正する制御を行うほうが、より表示画像の画質に効くため有効である。
なお、蛍光型半導体光源の励起光発光素子としては、LDの他にLEDや有機EL(Electro-Luminescence)素子を用いてもよい。蛍光型半導体光源に限らず、他の半導体光源(青色半導体光源35、赤色半導体光源37等)の発光素子に、LDや有機EL素子を用いてもよい。
上記各実施形態では、緑色半導体光源36として、青色励起光LBeの光路をダイクロイックミラー85で90°折り曲げて緑色蛍光体81に導光する、いわゆる反射型の蛍光型半導体光源を例示したが、図40に示す緑色半導体光源150を用いてもよい。
緑色半導体光源150は、励起光LD80、集光レンズ83、コリメートレンズ84、ピックアップ光学系86等の構成は緑色半導体光源36と同じであるが、緑色蛍光体81が形成された回転板151と励起光LD80とが正対しており、これらの位置関係が緑色半導体光源36と異なる。また、回転板151は、青色励起光LBeが入射する側と反対側に緑色蛍光体81が形成された面を向けて設置されている。そして、回転板151の緑色蛍光体81の反対側(励起光LD80側)の面には、ダイクロイックフィルタ152が緑色蛍光体81と同様に円環状に形成されている。
ダイクロイックフィルタ152は、ダイクロイックミラー85のダイクロイックフィルタとは逆に、約460nm以下の紫色、青色の波長帯域の光を透過し、それより長い緑色、赤色の波長帯域の光を反射する特性を有している。このため、励起光LD80が発した青色励起光LBeは、ダイクロイックフィルタ152を透過して緑色蛍光体81に入射する。緑色蛍光体81は、青色励起光LBeを受けて、ダイクロイックフィルタ152側(励起光LD80側)に緑色蛍光LGfを出射する。緑色蛍光LGfは、ダイクロイックフィルタ152で反射されて集光レンズ143に向けて照射される。
上記各実施形態では、データ生成部110を光源制御部43内に構築しているが、光源制御部43とは別に光源装置13内にデータ生成部を設けてもよい。第3、第4実施形態の判定部136も同様である。
データ生成部110は、内視鏡システム10にメンテナンスモードを搭載し、定期的に光量変動データ、光量補正データを生成して、光量補正データを更新する場合に必要となる。工場出荷時に1回だけ光量変動データ、光量補正データを生成し、その後光量補正データを更新しない場合は、データ生成部110の機能を光源装置13とは別の機器に設けて、光源装置13には設けなくてもよい。しかし、光量変動データは、緑色蛍光体81の劣化等によって経時的に変化することが見込まれるため、光源装置13にデータ生成部110を設けて定期的に光量変動データ、光量補正データ生成し、光量補正データを更新することが好ましい。
上記第1実施形態では、調光部42を透過する前の緑色蛍光LGfの光量を光量測定センサ98で測定し、その光量測定信号に基づいてデータ生成部110で光量変動データ、光量補正データを生成して光量補正を行っているが、本発明はこれに限定されない。図41Aに示すように、光量測定センサ98を調光部42の後段、例えば光路統合部41と調光部42の間に配して、光量測定センサ98、光源制御部43、ドライバ49、および調光部42でクローズドループ制御系を構成する。そして、この制御系において、光量測定センサ98からの光量測定信号に基づくアナログフィードバック制御を、光源制御部43がドライバ49を介して調光部42に施すことで、光量補正を行ってもよい。アナログフィードバック制御としては、例えば、光量測定信号が目標値(回転板82の1回転分の光量測定信号の平均値等)に収束するよう、調光部42の駆動を制御するPID(Proportional Integral Derivative)制御が挙げられる。この場合はデータ生成部110、内部メモリ111はいらず、シンプルな構成で光量補正を行うことができる。また、従来周知のアナログフィードバック制御であるため制御が簡単である。
なお、図28に示す、励起光LD80に与える駆動電流を制御して光量補正を行う場合は、図41Bに示すように、光量測定センサ98、光源制御部43、ドライバ46、および励起光LD80で構成されるクローズドループ制御系において、光源制御部43がドライバ46を介して励起光LD80にアナログフィードバック制御をかける。
上記各実施形態における光路統合部の構成は1例であり、種々の変更が可能である。例えばダイクロイックフィルタを形成した光学部材としてダイクロイックミラーを用いているが、代わりにプリズムにダイクロイックフィルタを形成したダイクロイックプリズムを用いてもよい。また、ダイクロイックミラーやダイクロイックプリズムといった、ダイクロイックフィルタを形成した光学部材の代わりに、例えば、各半導体光源に対峙する複数の入射端と、内視鏡のライトガイドの入射端に対峙する1つの出射端を有する分岐型ライトガイドを用いて光路を統合してもよい。分岐型ライトガイドは、光ファイバをバンドル化したファイババンドルであり、一端において光ファイバを所定本数ずつ複数に分割して、入射端を複数に分岐させたものである。この場合には、分岐した各入射端のそれぞれに対応させて各半導体光源を配置する。
上記各実施形態では、撮像素子56として、B、G、Rのマイクロカラーフィルタによって照明光を色分離するカラー撮像素子を有し、カラー撮像素子によってB、G、Rの画像信号を同時に取得する同時式の内視鏡システムおよびそれに用いられる光源装置を例に説明したが、モノクロ撮像素子を有し、青色、緑色、赤色の各色光を順次照射して、B、G、Rの画像信号を面順次で取得する面順次式の内視鏡システムおよびそれに用いられる光源装置に本発明を適用してもよい。
上記各実施形態では、撮像素子56の蓄積動作と読み出し動作のタイミングに合わせて各半導体光源35〜37または各半導体光源35〜38を点灯、消灯しているが、撮像素子56としてCCDイメージセンサ、またはローリングシャッタ方式で駆動するCMOSイメージセンサを用いる場合は、各半導体光源35〜37または各半導体光源35〜38を常時点灯させてもよい。一方、グローバルシャッタ方式で駆動するCMOSイメージセンサを用いる場合は、図42に示すように照明光の点灯、消灯タイミングとCMOSイメージセンサの駆動タイミングを合わせる。
図42において、まず、各半導体光源35〜37または各半導体光源35〜38を点灯させ、照明光の点灯を開始させる。CMOSイメージセンサに対しては、1〜n行の全行の画素の信号電荷を一括して破棄するリセット動作を行わせ、全行の画素に信号電荷を蓄積する蓄積動作を開始させる。そして、CMOSイメージセンサには蓄積動作をさせたままで、蓄積動作を開始させてから所定時間経過後、各半導体光源35〜37または各半導体光源35〜38を消灯させ、照明光の点灯を停止させる。この照明光の消灯期間中に、CMOSイメージセンサは1行目からn行目まで順に読み出し動作を行う。CMOSイメージセンサに全画素一括してリセット動作を行わせることで、全画素の蓄積動作の開始時間が揃い、照明光を消灯することで、全画素の蓄積動作の終了時間が揃う。これにより実質的な蓄積期間は全画素で同じとなる。なお、この場合も上記第1実施形態と同様に、回転板82は連続的に駆動される。
なお、言うまでもないが、上記各実施形態は、単独で実施することも、複合して実施することも可能である。
上記各実施形態では、光源装置とプロセッサ装置が別体で構成される例で説明したが、2つの装置を一体で構成してもよい。また、本発明は、照明光の観察部位の反射光をイメージガイドで導光するファイバスコープや、撮像素子と超音波トランスデューサが先端部に内蔵された超音波内視鏡を用いた内視鏡システムおよびそれに用いられる光源装置にも適用することができる。