図1において、内視鏡システム10は、生体内の観察対象を撮像する内視鏡11と、撮像により得られた画像信号に基づいて観察用の表示画像を生成するプロセッサ装置12と、観察対象に照射する照明光を内視鏡11に供給する光源装置13とを備えている。プロセッサ装置12には、表示画像を表示するモニタ14と、キーボードやマウス等の操作入力部15とが接続されている。
内視鏡11は、生体内に挿入される挿入部16と、挿入部16の基端部分に設けられた操作部17と、内視鏡11とプロセッサ装置12および光源装置13を連結するユニバーサルコード18とを備えている。
挿入部16は、先端から順に連設された、先端部19、湾曲部20、可撓管部21で構成される。図2に示すように、先端部19の先端面には、観察対象に照明光を照射するための照明窓22、観察対象を撮像するための観察窓23、観察窓23を洗浄するために送気・送水を行う送気・送水ノズル24、鉗子や電気メスといった処置具を突出させて各種処置を行うための鉗子出口25が設けられている。観察窓23の奥には、撮像センサ56や結像用の対物光学系63(ともに図4参照)が内蔵されている。
湾曲部20は、連結された複数の湾曲駒からなり、操作部17のアングルノブ26を操作することにより、上下左右方向に湾曲動作する。図1では上方向の湾曲動作を破線で示している。湾曲部20が湾曲することにより、先端部19が所望の方向に向けられる。可撓管部21は、食道や腸等の曲がりくねった管道に挿入できるように可撓性を有している。挿入部16には、撮像センサ56を駆動する駆動信号や撮像センサ56が出力する画像信号を通信する通信ケーブル、光源装置13から供給される照明光を照明窓22に導光するライトガイド55(図4参照)等が挿通されている。
操作部17には、アンブルノブ26の他、処置具を挿入するための鉗子口27、送気・送水ノズル24から送気・送水を行う際に操作される送気・送水ボタン28、静止画像を撮影するためのレリーズボタン(図示せず)等が設けられている。
ユニバーサルコード18には、挿入部16から延設される通信ケーブルやライトガイド55が挿通されている。ユニバーサルコード18のプロセッサ装置12および光源装置13側の一端には、コネクタ29が取り付けられている。コネクタ29は、通信用コネクタ29Aと光源用コネクタ29Bからなる複合タイプのコネクタである。通信用コネクタ29Aと光源用コネクタ29Bはそれぞれ、プロセッサ装置12と光源装置13に着脱自在に接続される。通信用コネクタ29Aには通信ケーブルの一端が配設されており、光源用コネクタ29Bにはライトガイド55の入射端61(図4参照)が配設されている。
内視鏡診断が終了すると、コネクタ29の接続が解除され、内視鏡11はプロセッサ装置12および光源装置13から取り外されて洗浄・消毒される。そして、次回の内視鏡診断を開始する際に再びプロセッサ装置12および光源装置13に接続される。
図1では、内視鏡11を1台のみ図示しているが、図3に示すように、内視鏡11には、同一機種のものが複数台(符号11A~11Cで示す)、あるいは内視鏡診断の内容に応じた仕様の異なる複数種類(符号11D、11Eで示す)が用意されている。プロセッサ装置12および光源装置13は、同一機種の複数台の内視鏡11A~11Cや仕様が異なる複数種類の内視鏡11D、11Eを交換可能に接続することができる。
図4において、光源装置13は、青色、緑色、赤色の3つの光をそれぞれ発する青色半導体光源35、緑色半導体光源36、赤色半導体光源37と、光学系群41と、各半導体光源35~37の駆動を制御する光源制御部42とを備えている。
各半導体光源35~37は、発光素子として、青色の波長帯域の光(青色光BL)を発する青色LED43、緑色の波長帯域の光(緑色光GL)を発する緑色LED44、赤色の波長帯域の光(赤色光RL)を発する赤色LED45をそれぞれ有している。各LED43~45は、周知のようにP型半導体とN型半導体を接合したものである。そして、電圧を掛けるとPN接合部付近においてバンドギャップを超えて電子と正孔が再結合して電流が流れ、再結合時にバンドギャップに相当するエネルギーを光として放出する。各LED43~45は、供給電力の増減に応じて発する光の光量が増減する。
各LED43~45には、ドライバ50、51、52がそれぞれ接続されている。光源制御部42は、これら各ドライバ50~52を介して、各LED43~45の点灯、消灯および光量の制御を行う。光量の制御は、プロセッサ装置12からの露出制御信号に基づいて、各LED43~45への供給電力を変更することで行う。
各ドライバ50~52は、光源制御部42の制御の下、各LED43~45に駆動電流を連続的に与えることで各LED43~45を点灯させる。そして、露出制御信号に応じて、与える駆動電流の値を変化させることにより各LED43~45への供給電力を変更し、青色光BL、緑色光GL、赤色光RLの各色光の光量をそれぞれ制御する。なお、駆動電流を連続的に与えるのではなくパルス状に与え、駆動電流パルスの振幅を変化させるPAM(Pulse Amplitude Modulation)制御や、駆動電流パルスのデューティ比を変化させるPWM(Pulse Width Modulation)制御を行ってもよい。
光学系群41は、青色光BL、緑色光GL、赤色光RLの各色光の光路を1つの光路に結合し、各色光を内視鏡11のライトガイド55の入射端61に集光する。なお、図示は省略するが、光源用コネクタ29Bにはレセプタクルコネクタ54と係合するCリング等の係合部材が設けられ、レセプタクルコネクタ54には、光源用コネクタ29Bの外周面と当接して、レセプタクルコネクタ54への光源用コネクタ29Bの挿入量を規制する規制部材が設けられている。また、光源用コネクタ29Bとレセプタクルコネクタ54にはそれぞれ保護ガラスが設けられている。
内視鏡11は、ライトガイド55、撮像センサ56、アナログ処理回路57(AFE:Analog Front End)、および撮像制御部58を備えている。ライトガイド55は、複数本の光ファイバをバンドル化した円筒状のファイババンドル59と、ファイババンドル59の外周を覆う保護チューブ60とで構成される。光源用コネクタ29Bが光源装置13に接続されたときに、光源用コネクタ29Bに配置されたライトガイド55(ファイババンドル59)の入射端61が光学系群41と対向する。先端部19に位置するライトガイド55の出射端は、2つの照明窓22に光が導光されるように、照明窓22の前段で2本に分岐している。
照明窓22の奥には、照射レンズ62が配置されている。光源装置13から供給された照明光は、ライトガイド55により照射レンズ62に導光されて照明窓22から観察対象に向けて照射される。照射レンズ62は凹レンズからなり、ライトガイド55から出射する光の発散角を広げる。これにより、観察対象の広い範囲に照明光を照射することができる。
観察窓23の奥には、対物光学系63と撮像センサ56が配置されている。観察対象の像は、観察窓23を通して対物光学系63に入射し、対物光学系63によって撮像センサ56の撮像面56Aに結像される。
撮像センサ56は、CCDイメージセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサ等からなり、その撮像面56Aには、フォトダイオード等の画素を構成する複数の光電変換素子がマトリックス状に配列されている。撮像センサ56は、撮像面56Aで受光した光を光電変換して、各画素においてそれぞれの受光量に応じた信号電荷を蓄積する。信号電荷はアンプによって電圧信号に変換されて読み出される。電圧信号は画像信号として撮像センサ56からAFE57に出力される。
AFE57は、相関二重サンプリング回路、自動ゲイン制御回路、およびアナログ/デジタル変換器(いずれも図示省略)で構成されている。相関二重サンプリング回路は、撮像センサ56からのアナログの画像信号に対して相関二重サンプリング処理を施し、信号電荷のリセットに起因するノイズを除去する。自動ゲイン制御回路は、相関二重サンプリング回路によりノイズが除去された画像信号を増幅する。アナログ/デジタル変換器は、自動ゲイン制御回路で増幅された画像信号を、所定のビット数に応じた階調値を持つデジタルな画像信号に変換してプロセッサ装置12に出力する。
撮像制御部58は、プロセッサ装置12内のコントローラ65に接続されており、コントローラ65から入力される基準クロック信号に同期して、撮像センサ56に対して駆動信号を入力する。撮像センサ56は、撮像制御部58からの駆動信号に基づいて、所定のフレームレートで画像信号をAFE57に出力する。
撮像センサ56はカラー撮像センサであり、撮像面56Aには青色マイクロカラーフィルタ(Bフィルタ)、緑色マイクロカラーフィルタ(Gフィルタ)、赤色マイクロカラーフィルタ(Rフィルタ)の3色のマイクロカラーフィルタが設けられ、各フィルタが各画素に割り当てられている。各フィルタの配列は例えばベイヤー配列である。
なお、以下の説明では、Bフィルタが割り当てられた画素をB画素、Gフィルタが割り当てられた画素をG画素、Rフィルタが割り当てられた画素をR画素という。また、B画素から出力された画像信号をB画像信号、G画素から出力された画像信号をG画像信号、R画素から出力された画像信号をR画像信号という。
プロセッサ装置12は、コントローラ65の他、DSP(Digital Signal Processor)66と、画像処理部67と、フレームメモリ68と、表示制御部69とを備えている。コントローラ65は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムや制御に必要な設定データを記憶するROM(Read Only Memory)、プログラムをロードして作業メモリとして機能するRAM(Random Access Memory)等を有し、CPUが制御プログラムを実行することにより、プロセッサ装置12の各部を制御する。
DSP66は、撮像センサ56からの画像信号を取得する。DSP66は、B画素、G画素、R画素の各画素に対応するB画像信号、G画像信号、R画像信号に対してそれぞれ画素補間処理を行う。この他、DSP66は、ガンマ補正や、B、G、Rの各画像信号に対してホワイトバランス補正等の信号処理を施す。
また、DSP66は、各画像信号に基づいて露出値を算出して、画像全体の光量が不足している場合(露出アンダー)には照明光の光量を上げるように、一方、光量が高すぎる場合(露出オーバー)には照明光の光量を下げるように制御する露出制御信号をコントローラ65に出力する。コントローラ65は、光源装置13の光源制御部42に露出制御信号を送信する。
フレームメモリ68は、DSP66が出力する画像信号や、画像処理部67が処理した処理済みの画像信号を記憶する。表示制御部69は、フレームメモリ68から画像処理済みの画像信号を読み出して、コンポジット信号やコンポーネント信号等のビデオ信号に変換してモニタ14に出力する。
画像処理部67は、B、G、Rの各画像信号に基づいて、表示画像を生成する。この表示画像が表示制御部69を通じてモニタ14に出力される。画像処理部67は、フレームメモリ68内の画像信号が更新される毎に、表示画像を生成する。
図5および図6に示すように、青色半導体光源35は、青色LED43が実装される基板75と、基板75上に形成され、青色LED43を収容するキャビティ76が形成されたモールド77と、キャビティ76に封入された樹脂78とで構成される。青色LED43は配線79によって基板75と接続される。このような青色半導体光源35の実装形態は、一般的に表面実装型と呼ばれる。
キャビティ76は矩形状の開口を有し、基板75側にいくにつれて幅が狭くなっている。このキャビティ76の矩形状の開口から青色光BLが発せられる。すなわち、キャビティ76の開口は青色光BLの発光部として機能する。また、キャビティ76の内面は青色光BLを反射するリフレクタとして機能する。キャビティ76の開口の寸法は、例えば長辺2mm、短辺1.5mmである。樹脂78には光を拡散する拡散材が分散されている。なお、各半導体光源35~37は基本的に同じ構成であるため、青色半導体光源35を例として挙げて説明し、緑色、赤色半導体光源36、37の説明は省略する。
図7に示すように、青色半導体光源35は、例えば青色の波長帯域である420nm~500nm付近の波長成分を有し、中心波長460±10nm、半値幅25±10nmの青色光BLを発光する。また、図8に示すように、緑色半導体光源36は、例えば緑色の波長帯域である480nm~600nm付近の波長成分を有し、中心波長550±10nm、半値幅100±10nmの緑色光GLを発光する。さらに図9に示すように、赤色半導体光源37は、例えば赤色の波長帯域である600nm~650nm付近の波長成分を有し、中心波長625±10nm、半値幅20±10nmの赤色光RLを発光する。なお、中心波長は各色光の発光スペクトルの幅の中心の波長を示し、半値幅は、各色光の発光スペクトルのピークの半分を示す波長の範囲である。
光学系群41で光路が結合された青色光BL、緑色光GL、赤色光RLの混合光の発光スペクトルを図10に示す。この混合光は照明光である白色光WLとして利用される。白色光WLは、キセノン光源が発する白色光と同等の演色性を維持するために、その発光スペクトルには光強度成分がない波長帯域が生じないようにしている。
図11は、撮像センサ56の撮像面56Aに設けられるBフィルタ、Gフィルタ、Rフィルタの分光特性を示すグラフである。Bフィルタが割り当てられたB画素は約380nm~560nmの波長帯域の光に感応し、Gフィルタが割り当てられたG画素は約450nm~630nmの波長帯域の光に感応する。また、Rフィルタが割り当てられたR画素は約580nm~800nmの波長帯域の光に感応する。白色光WLを構成する青色光BL、緑色光GL、赤色光RLは、青色光BLに対応する反射光が主としてB画素、緑色光GLに対応する反射光が主としてG画素、赤色光RLに対応する反射光が主としてR画素でそれぞれ受光される。
図12において、撮像センサ56は、1フレームの画像信号の取得期間内で、画素に信号電荷を蓄積する蓄積動作と、蓄積した信号電荷を読み出す読み出し動作とを行う。撮像センサ56の蓄積動作のタイミングに合わせて、各半導体光源35~37が点灯し、青色光BL、緑色光GL、赤色光RLの混合光からなる白色光WL(BL+GL+RL)が観察対象に照射され、その反射光が撮像センサ56に入射する。撮像センサ56は、白色光WLの反射光を各フィルタで色分離する。青色光BLに対応する反射光をB画素が受光し、緑色光GLに対応する反射光をG画素が、赤色光RLに対応する反射光をR画素がそれぞれ受光する。撮像センサ56は、読み出しタイミングに合わせて、1フレーム分の画像信号をフレームレートにしたがって順次出力する。
図13において、光学系群41は、各半導体光源35~37からの各色光を、それぞれ入射端61へと導光するコリメートレンズ75、76、77と、各コリメートレンズ75~77を透過した各色光の光路を結合するダイクロイックミラー78、79と、各色光を入射端61に集光する集光レンズ80とで構成される。
コリメートレンズ75~77は、各半導体光源35~37からの各色光を透過させて各色光を略平行光化する。コリメートレンズ75~77は複数の第1光学系を構成し、また、第1光学系を構成する光学部材に相当する。ダイクロイックミラー78、79は、透明なガラス板に所定の透過特性を有するダイクロイックフィルタを形成した光学部材である。ダイクロイックミラー78、79は、コリメートレンズ75~77と集光レンズ80の間に設けられている。ダイクロイックミラー78、79は第3光学系を構成する。集光レンズ80は第2光学系を構成する。
緑色半導体光源36は、その光軸がライトガイド55の光軸と一致する位置に配置されている。そして、緑色半導体光源36と赤色半導体光源37は、互いの光軸が直交するように配置されている。これら緑色半導体光源36と赤色半導体光源37の光軸が直交する位置に、ダイクロイックミラー78が設けられている。同様に、青色半導体光源35も、緑色半導体光源36の光軸と直交するように配置され、これらの光軸が直交する位置に、ダイクロイックミラー79が設けられている。
ダイクロイックミラー78は緑色半導体光源36の光軸、赤色半導体光源37の光軸に対して、それぞれ45°傾けた姿勢で配置されている。また、ダイクロイックミラー79は青色半導体光源35の光軸、緑色半導体光源36の光軸に対して、それぞれ45°傾けた姿勢で配置されている。
ダイクロイックミラー78のダイクロイックフィルタは、例えば約600nm以上の赤色の波長帯域の光を反射し、約600nm未満の青色、緑色の波長帯域の光を透過する特性を有している。ダイクロイックミラー78は、緑色半導体光源36からの緑色光GLを下流側に透過させ、赤色半導体光源37からの赤色光RLを反射させる。これにより緑色光GLと赤色光RLの光路が結合される。
一方、ダイクロイックミラー79のダイクロイックフィルタは、例えば約480nm未満の青色の波長帯域の光を反射し、約480nm以上の緑色、赤色の波長帯域の光を透過する特性を有している。このため、ダイクロイックミラー79は、ダイクロイックミラー78を透過した緑色光GL、およびダイクロイックミラー78で反射した赤色光RLを透過させる。さらに、ダイクロイックミラー79は、青色半導体光源35からの青色光BLを反射させる。このダイクロイックミラー79の作用により、青色光BL、緑色光GL、および赤色光RLの全ての光路が結合され、白色光WLが生成される。
コリメートレンズ75~77のうち、緑色半導体光源36と対向するコリメートレンズ76を除く青色半導体光源35と対向するコリメートレンズ75、および赤色半導体光源37と対向するコリメートレンズ77には、位置調整機構(以下、単に調整機構という)81、82が設けられている。調整機構81、82は、コリメートレンズ75、77の位置を光軸方向に調整することで、集光レンズ80から出射される青色光BL、赤色光RLの焦点位置を調整して、青色光BL、緑色光GL、赤色光RLの各色光の焦点位置を一致させるための機構である。より具体的には、調整機構81、82は、コリメートレンズ75、77を光軸方向に移動することにより、各色光の焦点位置を一致させる。
本実施形態の青色半導体光源35、緑色半導体光源36、赤色半導体光源37を有する光源装置13のように、複数の単色半導体光源を有する光源装置では、図25を用いて説明したように、集光レンズ80から出射された青色光BL、緑色光GL、赤色光RLのそれぞれの焦点位置BFP、GFP、RFPが光軸OA上でずれることがある。調整機構81、82は、この各焦点位置のずれに起因して表示画像の色味が変化する色ずれを解消するために、集光レンズ80から出射される青色光BLの焦点位置BFP、赤色光RLの焦点位置RFPを、緑色光GLの焦点位置GFPに一致させる。つまり、本実施形態では、緑色光GLが1色の光に相当し、青色光BL、赤色光RLが残りの色の光に相当する。
調整機構81の具体的な構成を示す図14および図15において、コリメートレンズ75は、円筒状のレンズホルダ90に保持されて光学系群41のハウジング91に取り付けられる。レンズホルダ90の上部には長穴92が、長穴92と対向する下部にはガイド突起93がそれぞれ設けられている。長穴92は、光軸OAに対して垂直な方向に沿って形成されている。また、長穴92は、その中心が上方から見たときに光軸OAと一致し、かつ光軸OAに対して左右対称となるよう形成されている。長穴92は、レンズホルダ90、すなわちコリメートレンズ75を光軸OA方向に移動する移動機構として機能する。ガイド突起93は、光軸OAと平行な方向に沿って、レンズホルダ90の全幅にわたって形成されている。
ハウジング91には、レンズホルダ90が嵌め込まれる嵌入穴95が形成されている。嵌入穴95の上部には切り欠き96が、切り欠き96と対向する下部にはガイド溝97がそれぞれ設けられている。切り欠き96は、レンズホルダ90を嵌入穴95に嵌め込んだ場合に、長穴92が設けられたレンズホルダ90の上部を露呈させるために設けられている。ガイド溝97は、ガイド突起93と同じく、光軸OAと平行な方向に沿って、嵌入穴95の全幅にわたって形成されている。
ガイド溝97は、レンズホルダ90を嵌入穴95に嵌め込む際に、ガイド突起93を受け入れる。これらガイド突起93とガイド溝97とで、レンズホルダ90、すなわちコリメートレンズ75の光軸OA方向の移動をガイドする。つまり、ガイド突起93およびガイド溝97はガイド機構として機能する。
切り欠き96の上部には、軸受け部98が設けられている。軸受け部98は、切り欠き96によって露呈するレンズホルダ90の上部と対向する位置に設けられている。軸受け部98には軸受け穴99が形成されている。
レンズホルダ90を嵌入穴95に嵌め込んだ後、ハウジング91には固定具100が取り付けられる。固定具100は、切り欠き96によって露呈するレンズホルダ90の上部に倣う形状を有する本体部101と、本体部101の両端から張り出した取付部102とを備える。取付部102には挿通穴104が形成されている。挿通穴104には、ネジ105が挿通される。ネジ105は、ハウジング91の上面に形成されたネジ穴106に螺合する。
ネジ105で固定具100をハウジング91に締結固定した場合、本体部101は、切り欠き96によって露呈したレンズホルダ90の上部と密着し、レンズホルダ90を上部から押さえ付ける。これによりレンズホルダ90の光軸OA方向への移動が規制され、レンズホルダ90、すなわちコリメートレンズ75の位置が固定される。これら固定具100、ネジ105、およびネジ穴106は固定機構として機能する。
図15は、レンズホルダ90を嵌入穴95に嵌め込んで固定具100をハウジング91に取り付ける前の仮止めの状態を示している。この仮止めの状態においては、偏心ドライバ110を用いて、レンズホルダ90、すなわちコリメートレンズ75を光軸OA方向に移動させることが可能である。
偏心ドライバ110は、作業者が握るグリップ111と、グリップ111の下部から突出した回転軸112と、回転軸112の下部から突出した偏心軸113とで構成される。グリップ111、回転軸112、偏心軸113は、いずれも円柱状である。グリップ111と回転軸112の中心は一致している。偏心軸113の半径は、回転軸112の半径の1/2である。また、偏心軸113の中心は、回転軸112の中心に対して、偏心軸113の半径分ずれている。回転軸112は軸受け穴99に挿通され、偏心軸113は長穴92に嵌め込まれる(図16も参照)。
図16に、偏心ドライバ110を用いてレンズホルダ90を光軸OA方向に移動させる様子を示す。偏心軸113が長穴92の中心に位置し、かつレンズホルダ90とハウジング91の前面が一致する図16(A)に示す状態から、偏心ドライバ110を180°回転させると、図16(B)に示すように、偏心軸113が長穴92に沿って180°回転する。この偏心軸113の回転に伴い、偏心軸113の直径分、レンズホルダ90がハウジング91の前面から迫り出す。
両方向の矢印で示すように、レンズホルダ90は、図16(A)に示す状態と図16(B)に示す状態との間で遷移することが可能であり、光軸OA方向に関して、偏心軸113の直径分の調整代を有する。
調整機構81は、ガイド機構として機能するガイド突起93、ガイド溝97、移動機構として機能する長穴92、並びに固定機構として機能する固定具100、ネジ105、ネジ穴106により構成される。なお、調整機構82は、調整対象がコリメートレンズ75からコリメートレンズ77に代わるだけで、調整機構81と同じ構成を有するので、図示および説明を省略する。
図17において、調整機構81によりコリメートレンズ75が光軸OA方向に移動すると、集光レンズ80から出射される青色光BLの焦点位置BFPが変化する。具体的には、図17(A)に示す状態から、光軸OAに沿ってコリメートレンズ75が青色半導体光源35側に移動すると、図17(B)に示すように、集光レンズ80から出射される青色光BLの焦点距離が長くなり、焦点位置BFPは集光レンズ80から遠ざかる。反対に図17(A)に示す状態から、光軸OAに沿ってコリメートレンズ75が青色半導体光源35と反対側に移動すると、図17(C)に示すように、集光レンズ80から出射される青色光BLの焦点距離が短くなり、焦点位置BFPは集光レンズ80に近付く。本実施形態では、こうした光学的性質を利用して、調整機構81によりコリメートレンズ75を光軸OA方向に移動させることで、集光レンズ80から出射される青色光BLの焦点位置BFPを調整する。なお、図17では、煩雑を避けるためダイクロイックミラー79の図示を省略している。また、調整機構82による赤色光RLの焦点位置RFPの変化は、図17の場合と同様であるため説明を省略する。
図18において、調整機構81、82による青色光BLの焦点位置BFP、赤色光RLの焦点位置RFPの調整は、検出ユニット120を用いて光源装置13の出荷前に行われる。
検出ユニット120は、検出用ライトガイド121と、入射端スキャン装置122と、光量波形検出装置123と、光量波形モニタ124とで構成される。検出用ライトガイド121は、内視鏡11に搭載されるライトガイド55と同じ仕様である。検出用ライトガイド121の入射端125には、内視鏡11の光源用コネクタ29Bと同様のコネクタ126が設けられており、コネクタ126は、光源装置13のレセプタクルコネクタ54に接続される。
入射端スキャン装置122は、検出用ライトガイド121の入射端125を、所定のスキャン幅および時間間隔で光軸OA方向に往復移動させ、光源装置13内の集光レンズ80と入射端125との位置関係を周期的に変化させる。スキャン幅には、例えば、同一機種の複数台の内視鏡11A~11Cにおける集光レンズ80とライトガイド55の入射端61との距離の公差が設定される。
光量波形検出装置123は、検出用ライトガイド121の出射端から出射する青色光BL、緑色光GL、赤色光RLの各色光の光量を所定のタイミングで検出し、光軸OA方向に関する各色光の光量を示す光量波形を出力する。
光量波形モニタ124は、光量波形検出装置123から出力された各色光の光量波形(図18では緑色光GLの光量波形GW)を表示する。
光量波形の横軸には光軸OA上の位置、縦軸には光強度がそれぞれ割り当てられている。横軸の「0」は、入射端スキャン装置122による入射端125のスキャン幅の中心位置を示す。横軸は左側のマイナス側にいくにつれ集光レンズ80から遠ざかる位置を示す。
図18では、同一機種の複数台の内視鏡11A~11Cにおける集光レンズ80とライトガイド55の入射端61との距離の公差が例えば1.5mmで、入射端スキャン装置122による入射端125のスキャン幅が-1.5mm~1.5mmに設定された場合を示している。
以下、上記構成による作用について説明する。まず、レンズホルダ90を嵌入穴95に嵌め込む等の光源装置13の組立作業が行われる。組立作業後、集光レンズ80から出射される青色光BL、赤色光RLの焦点位置を調整して、青色光BL、緑色光GL、赤色光RLの各色光の焦点位置を一致させる色ずれ解消作業を含む出荷前の最終検査が行われる。
色ずれ解消作業では、まず、検出ユニット120の検出用ライトガイド121の入射端125に設けられたコネクタ126が、光源装置13のレセプタクルコネクタ54に接続される。
そして、検出ユニット120の入射端スキャン装置122、光量波形検出装置123、光量波形モニタ124が駆動される。これにより、検出用ライトガイド121の入射端125が、入射端スキャン装置122によって所定のスキャン幅および時間間隔で光軸OA方向に往復移動される。また、光量波形検出装置123により、検出用ライトガイド121の出射端から出射された光の光量が所定のタイミングで検出され、その検出結果である光量波形が光量波形モニタ124に表示される。
作業者は、光量波形モニタ124に表示された光量波形を観察して、緑色光GLの焦点位置GFPを示す光量波形GWのピークに、青色光BLの焦点位置BFPを示す光量波形BWのピーク、および赤色光RLの焦点位置RFPを示す光量波形RWのピークが一致するよう、調整機構81、82でコリメートレンズ75、77の光軸OA上の位置を調整する。より具体的には、偏心ドライバ110の回転軸112を軸受け穴99に挿通し、偏心軸113を長穴92に嵌め込んだ後、偏心ドライバ110を回転させて、コリメートレンズ75、77を光軸OA方向に移動させる。
ここで、「各色光の焦点位置を一致させる」とは、各色光の焦点位置を完全に一致させる場合をもちろん含むが、所定の範囲内に各色光の焦点位置が収まっている場合も含む。この所定の範囲は、図18において符号128で示す線分で表示される。作業者は、各色光の光量波形GW、BW、RWのピークが、線分128で示す所定の範囲内に少なくとも収まるよう、より好ましくは各色光の光量波形GW、BW、RWのピークが完全に一致するように調整する。
位置調整では、光量波形モニタ124に表示された光量波形を観察しつつ、光量波形BW、RWのピークを光量波形GWのピークに合せるべく偏心ドライバ110を回転させてコリメートレンズ75、77を光軸OA方向に移動させればよく、非常に簡単に青色光BL、緑色光GL、赤色光RLの各色光の焦点位置を一致させることができる。
また、調整機構81、82をコリメートレンズ75、77にのみ設け、緑色光GLの焦点位置GFPを基準として、青色光BLの焦点位置BFP、赤色光RLの焦点位置RFPを緑色光GLの焦点位置GFPとそれぞれ一致させるので、コリメートレンズ75~77の各々に調整機構を設け、3色の光の各々の焦点位置を調整する場合よりも調整の手間を省くことができる。
もちろん、コリメートレンズ76にも調整機構81、82と同じ調整機構を設けてもよい。コリメートレンズ76にも調整機構を設けた場合は、色ずれ解消作業において、最初にコリメートレンズ75~77のうちの1つ、例えばコリメートレンズ76の位置を調整し、光量波形GWのピークが最大となるコリメートレンズ76の位置を探索する。そして、探索した位置にコリメートレンズ76を固定した後、コリメートレンズ75、77の位置を調整してもよい。
調整機構81、82は、ガイド機構としてのガイド突起93、ガイド溝97、移動機構としての長穴92、並びに固定機構としての固定具100、ネジ105、ネジ穴106というシンプルな構成である。したがって、調整機構81、82を設けることによる光源装置13の大型化およびコストアップを最小限に抑えることができる。
コリメートレンズ75、77を光軸OA方向に移動させて、青色光BL、緑色光GL、赤色光RLの各色光の焦点位置を一致させた後、作業者は、ネジ105をネジ穴106に螺合して固定具100をハウジング91に締結固定し、コリメートレンズ75、77の位置を固定する。これにて色ずれ解消作業が終了する。
色ずれ解消作業を含む最終検査が終了した後、光源装置13は客先に出荷される。
医療現場で内視鏡診断を行う場合には、内視鏡11をプロセッサ装置12と光源装置13に接続し、プロセッサ装置12と光源装置13の電源を入れて、内視鏡システム10を起動する。
内視鏡11の挿入部16を生体内に挿入して、生体内の観察を開始する。光源制御部42は、各LED43~45に与える駆動電流値を設定して、各半導体光源35~37の点灯を開始する。そして、目標とする発光スペクトルを維持しつつ光量制御を行う。
各半導体光源35~37は、各LED43~45による青色光BL、緑色光GL、赤色光RLをそれぞれ発する。青色光BL、緑色光GL、赤色光RLは光学系群41のコリメートレンズ75~77にそれぞれ入射する。
青色光BLはダイクロイックミラー79で反射する。緑色光GLはダイクロイックミラー78、79を透過する。赤色光RLはダイクロイックミラー78で反射し、ダイクロイックミラー79を透過する。ダイクロイックミラー78、79によって、青色光BL、緑色光GL、赤色光RLの光路が結合される。これら青色光BL、緑色光GL、赤色光RLは、集光レンズ80に入射する。これにより、青色光BL、緑色光GL、赤色光RLの混合光で構成される白色光WLが生成される。集光レンズ80は、白色光WLを内視鏡11のライトガイド55の入射端61に集光し、白色光WLを内視鏡11に供給する。
内視鏡11において、白色光WLはライトガイド55を通じて照明窓22に導光されて、照明窓22から観察対象に照射される。観察対象で反射した白色光WLの反射光は、観察窓23から撮像センサ56に入射する。撮像センサ56はB画像信号、G画像信号、R画像信号をプロセッサ装置12のDSP66に出力する。DSP66は各画像信号を色分離して、画像処理部67に入力する。撮像センサ56による撮像動作は所定のフレームレートで繰り返される。画像処理部67は、入力された各画像信号に基づいて表示画像を生成する。表示画像は表示制御部69を通じてモニタ14に出力される。表示画像は撮像センサ56のフレームレートにしたがって更新される。
また、DSP66は、各画像信号に基づいて露出値を算出し、算出した露出値に応じた露出制御信号を光源装置13の光源制御部42に送信する。光源制御部42は、受信した露出制御信号に基づいて、各色光の光量の割合が一定となるよう(目標とする発光スペクトルが変化しないよう)各半導体光源35~37の駆動電流値を決定する。そして、決定した駆動電流値で各半導体光源35~37を駆動する。これにより、各半導体光源35~37による、白色光WLを構成する青色光BL、緑色光GL、赤色光RLの光量を、観察に適した割合に一定に保つことができる。
図19に示すように、もし色ずれ解消作業が行われず、例えば図25と同様の各焦点位置BFP、GFP、RFPのずれが生じたまま光源装置13が出荷された場合は、図25でも説明したように、表示画像の色味が変わってしまう。例えば同一機種の内視鏡11A~11Cにおいても、個体差によって集光レンズ80と入射端61との位置関係は変わる。内視鏡11Aのライトガイド55Aのように入射端61Aが赤色光RLの焦点位置RFPにあった場合は、全体が赤味を帯びた表示画像130Rが生成される。また、内視鏡11Bのライトガイド55Bのように入射端61Bが緑色光GLの焦点位置GFPにあった場合は、全体が緑味を帯びた表示画像130Gが生成され、内視鏡11Cのライトガイド55Cのように入射端61Cが青色光BLの焦点位置BFPにあった場合は、全体が青味を帯びた表示画像130Bが生成される。なお、図示は省略するが、仕様が異なる複数種類の内視鏡11D、11Eについても、集光レンズ80と入射端61との位置関係が互いに異なる場合は、内視鏡11Dと内視鏡11Eとで表示画像の色味が変わってしまう。
対して本実施形態では、図20に示すように、色ずれ解消作業によって青色光BL、緑色光GL、赤色光RLの各色光の焦点位置BFP、GFP、RFPが一致しているので、同一機種の内視鏡11A~11Cにおいて、個体差によって集光レンズ80と入射端61A、61B、61Cとの位置関係が変わっても、入射端61A、61B、61Cに入射する各色光の光量バランスは変動せず、結果として色味が変わらない表示画像130が生成される。図示は省略するが、仕様が異なる複数種類の内視鏡11D、11Eを使用する場合も同様である。したがって、内視鏡診断の度に表示画像の色味が変わってしまうという事態が起こることがなく、術者は違和感を覚えることなく、円滑に内視鏡診断を行うことができる。
半導体光源35~37を用いた場合には、矩形状の発光部を有する半導体光源35~37を用いるため、集光レンズ80から出射される各色光の集光像も矩形状となる。こうした場合、円形状の発光部を有する半導体光源を用い、各色光の集光像が円形状である場合よりも、集光像が入射端61からはみ出しやすくなる。このため、こうした矩形状の発光部を有する半導体光源35~37を有する光源装置13において、本発明の調整機構81、82は特に有用である。
上記実施形態では、コリメートレンズ75、77に調整機構81、82を設けているが、調整機構は、各半導体光源35~37から集光レンズ80に至る光路において、ダイクロイックミラー78、79よりも各半導体光源35~37側に設けられていればよい。例えば図21および図22に示すように、コリメートレンズ75、77に代えて、あるいは加えて、青色半導体光源35と赤色半導体光源37に調整機構131、132を設けてもよい。この場合、調整機構131、132は、青色半導体光源35、赤色半導体光源37を光軸OA方向に移動させる。図22のように、コリメートレンズ75、77に加えて、青色半導体光源35と赤色半導体光源37に調整機構を設けた場合は、コリメートレンズ75、77のみ、または図21の青色半導体光源35と赤色半導体光源37のみの場合よりも調整代を稼ぐことができる。
ただし、半導体光源には、コリメートレンズと異なり、光軸OA方向への移動の妨げとなりそうな配線等の部材が接続されているため、上記実施形態のように半導体光源には調整機構は設けず、コリメートレンズにのみ調整機構を設けて、コリメートレンズを光軸OA方向に移動することにより各色光の焦点位置を一致させることが好ましい。
上記実施形態では、1つのコリメートレンズ75~77で第1光学系を構成する例を記載したが、第1光学系を複数の光学部材で構成してもよい。第2光学系も同様に、上記実施形態で例示した1つの集光レンズ80ではなく、複数の光学部材で構成してもよい。第1光学系を複数の光学部材で構成した場合は、複数の光学部材のうちの少なくとも1つに調整機構を設ければよい。
上記実施形態では、緑色光GLの焦点位置GFPを基準として、青色光BLの焦点位置BFP、赤色光RLの焦点位置RFPを緑色光GLの焦点位置GFPとそれぞれ一致させているが、青色光BLの焦点位置BFP、または赤色光RLの焦点位置RFPを基準としてもよい。青色光BLの焦点位置BFPを基準とする場合は、コリメートレンズ76、77には調整機構を設けるが、コリメートレンズ75には調整機構を設けても設けなくてもよい。赤色光RLの焦点位置RFPを基準とする場合は、コリメートレンズ75、76には調整機構を設けるが、コリメートレンズ77には調整機構を設けても設けなくてもよい。
上記実施形態では、光源装置13の出荷前の最終検査時に、色ずれ解消作業を行うと説明したが、色ずれ解消作業の実施時期は特に限定されない。例えば、光源装置13の出荷後に、顧客の要請に応じて、作業者が検出ユニット120を携えて客先に出向いて色ずれ解消作業を行ってもよい。
調整機構は上記実施形態で例示した構成に限らない。例えばガイド機構は、上記実施形態のガイド突起93、ガイド溝97を設けずとも、レンズホルダ90と嵌入穴95自体で構成することが可能である。また、移動機構としては、上記実施形態の長穴92の代わりに、ボールネジ、押し引きボルト、偏心カム等、回転運動を直進運動に変換する周知の移動機構を利用してもよい。さらに、固定機構も、レンズホルダ90を両側から挟み込む一対のCリング、および一対のCリングを締結固定するネジで構成してもよい。要するに、コリメートレンズ75等の光学部材の光軸OA方向の移動をガイドし、光学部材を光軸方向に移動させ、光学部材の位置を固定することが可能であれば、如何なる機構を用いてもよい。
上記実施形態では、単色半導体光源として青色、緑色、赤色の3つの半導体光源35~37を例示しているが、図23に示すように、表層血管を強調して観察するための紫色の波長帯域の光(紫色光VL)を発する紫色半導体光源135を追加してもよい。
図23において、紫色半導体光源135は、発光素子として、紫色光VLを発する紫色LED(図示せず)を有している。紫色半導体光源135の具体的な構造は、図5および図6に示す青色半導体光源35と同じである。図24に示すように、紫色半導体光源135は、例えば紫色の波長帯域である380nm~420nm付近の波長成分を有し、中心波長405±10nm、半値幅20±10nmの紫色光VLを発光する。
光学系群136は、上記実施形態の光学系群41に、紫色光VLを透過させて略平行光化するコリメートレンズ137と、青色光BLおよび紫色光VLの光路を結合するダイクロイックミラー138とを追加した構成である。青色半導体光源35と紫色半導体光源135は、互いの光軸が直交するように配置され、これらの光軸が直交する位置に、ダイクロイックミラー138が設けられている。ダイクロイックミラー138は青色半導体光源35、紫色半導体光源135の光軸に対して45°傾けた姿勢で配置されている。
ダイクロイックミラー138のダイクロイックフィルタは、例えば約430nm未満の紫色の波長帯域の光を反射し、それ以上の青色、緑色、赤色の波長帯域の光を透過する特性を有している。ダイクロイックミラー138は、青色半導体光源35からの青色光BLを下流側に透過させ、紫色半導体光源135からの紫色光VLを反射させる。これにより青色光BLと紫色光VLの光路が結合される。ダイクロイックミラー138で反射した紫色光VLは、ダイクロイックミラー79が前述のように約480nm未満の青色の波長帯域の光を反射する特性を有するので、ダイクロイックミラー79で反射して集光レンズ80に向かう。これにより、青色光BL、緑色光GL、赤色光RL、および紫色光VLの全ての光の光路が結合される。
コリメートレンズ137には、上記実施形態のコリメートレンズ75、77と同様に、調整機構139が設けられている。調整機構139は、コリメートレンズ137を光軸OA方向に移動することで、紫色光VLの焦点位置を、青色光BL、緑色光GL、赤色光RLの焦点位置と一致させる。
表層血管の反射率は、周知のように、450nmを下回る波長帯域で大きく落ち込み、405nm付近において最も落ち込む。反射率が低い波長帯域の光を観察対象に照射すると、血管においては吸収が大きいので、血管とそれ以外の部分とのコントラストに差がある表示画像が得られる。
また、生体組織の光の散乱特性にも波長依存性があり、短波長になるほど散乱係数は大きくなる。散乱は生体組織内への光の深達度に影響する。つまり、散乱が大きいほど生体組織の粘膜表層付近で反射される光が多く、中深層に到達する光が少ない。そのため、短波長であるほど深達度は低く、長波長になるほど深達度は高い。
紫色半導体光源135が発する中心波長405±10nmの紫色光VLは、比較的短波長で深達度が低いので、表層血管による吸収が大きい。このため紫色光VLは表層血管強調用の特殊光として用いることができる。紫色光VLを用いることにより、表層血管が高コントラストで描出された表示画像を得ることができる。
表層血管を強調観察する場合は、撮像センサ56の蓄積動作のタイミングに合わせて、各半導体光源35~37に加えて紫色半導体光源135を点灯させる。各半導体光源35~37、135が点灯すると、上記実施形態の白色光WLに紫色光VLが追加されて、これらの混合光(WL+VL)が照明光として観察対象に照射される。
白色光WLに紫色光VLが追加された照明光は、撮像センサ56のマイクロカラーフィルタで分光される。B画素は、青色光BLに対応する反射光に加えて、紫色光VLに対応する反射光を受光する。G画素、R画素は、上記実施形態と同じく、緑色光GLに対応する反射光、赤色光RLに対応する反射光をそれぞれ受光する。撮像センサ56は、読み出しタイミングに合わせて、B、G、Rの各画像信号をフレームレートにしたがって順次出力する。
この場合におけるB画像信号には、白色光WLを構成する青色光BLに対応する反射光の成分に加えて、紫色光VLに対応する反射光の成分が含まれているため、表層血管が高コントラストで描出される。癌等の病変においては、正常組織と比較して表層血管の密集度が高くなる傾向がある等、表層血管のパターンに特徴があるため、紫色半導体光源135を加えれば表層血管が鮮明に描出されて病変の見極めがしやすくなるので好ましい。
上記実施形態では、プロセッサ装置12からの露出制御信号に基づいて、各LED43~45に与える駆動電流値を変化させることで各色光の光量制御を行っているが、LEDの発熱の影響や経時劣化の影響により、半導体光源は駆動電流値に対する出力光量が変動する場合がある。そこで、各色光の光量を測定する光量測定センサを光学系群内に設けて、光量測定センサが出力する光量測定信号に基づいて、各色光の光量が目標値に達しているか否かを監視してもよい。
この場合、光源制御部は、光量測定信号と目標とする光量とを比較し、この比較結果に基づいて、光量が目標値となるように、露出制御で設定した各半導体光源35~37に与える駆動電流値を微調整する。このように各色光の光量を光量測定センサで常に監視し、光量の測定結果に基づき与える駆動電流値を微調整することで、常に目標値に沿うように光量を制御することができる。このため目標とする発光スペクトルの照明光をより安定して得ることができる。
上記実施形態では、LEDのみで構成された半導体光源を挙げているが、例えば、緑色半導体光源を、紫色から青色の波長帯域の青色励起光を発する青色励起光LED、および青色励起光で励起されて緑色の波長帯域の緑色光を発する緑色蛍光体で構成された蛍光型半導体光源としてもよい。また、緑色半導体光源に代えて、あるいは加えて、赤色半導体光源を、紫色から青色の波長帯域の青色励起光を発する青色励起光LED、および青色励起光で励起されて赤色の波長帯域の赤色蛍光を発する赤色蛍光体で構成してもよい。赤色半導体光源を蛍光型半導体光源で構成する場合は、励起光LEDは紫色から青色の波長帯域の青色励起光を発する青色励起光発光素子に限らず、緑色の波長帯域の緑色励起光を発する緑色励起光発光素子であってもよい。この場合、図5および図6に示すキャビティ76に、樹脂78の代わりに蛍光体を封入して蛍光型半導体光源を構成する。
また、図5および図6に示したLEDの実装形態は1例であり、他の形態を採用してもよい。例えば、樹脂78の光出射面に発散角を調整するマイクロレンズを設けてもよいし、あるいは表面実装型でなく、マイクロレンズが形成された砲弾型のケースにLEDを収容した形態でもよい。また、緑色半導体光源や赤色半導体光源として蛍光型半導体光源を使用する場合は、蛍光型半導体光源は励起光LEDと蛍光体を一体的に設けたものに限らず、これらを別に設けたものでもよい。この場合には、励起光LEDと蛍光体の間にレンズや光ファイバ等の導光部材を追加して、導光部材を介して励起光LEDの励起光を蛍光体に導光する。
さらに、発光素子として、LEDの代わりに有機EL(Electro-Luminescence)素子を用いてもよい。
上記実施形態における光学系群の構成は1例であり、種々の変更が可能である。例えば第3光学系を構成する光学部材として、透明なガラス板にダイクロイックフィルタを形成したダイクロイックミラーを用いているが、代わりにプリズムにダイクロイックフィルタを形成したダイクロイックプリズムを用いてもよい。また、ダイクロイックミラーやダイクロイックプリズムといった、ダイクロイックフィルタを形成した光学部材の代わりに、例えば、各半導体光源に対峙する複数の入射端と、内視鏡のライトガイドの入射端に対峙する1つの出射端を有する分岐型ライトガイドを用いて光路を結合してもよい。分岐型ライトガイドは、一端において光ファイバを所定本数ずつ複数に分割して、入射端を複数に分岐させたものである。この場合には、分岐した各入射端のそれぞれに対応させて各半導体光源を配置する。
上記実施形態では、3つの単色半導体光源35~37、あるいは4つの単色半導体光源35~37、135を有する光源装置13を例示したが、青色半導体光源と緑色半導体光源、緑色半導体光源と紫色半導体光源等、単色半導体光源を2つ有する光源装置にも本発明は適用可能である。青色光BLと緑色光GLの混合光や、緑色光GLと紫色光VLの混合光を観察対象に照射し、緑色光GLベースの表示画像を取得してもよい。
上記実施形態では、撮像センサ56として、B、G、Rのマイクロカラーフィルタによって照明光を色分離するカラー撮像センサを例示し、カラー撮像センサによってB、G、Rの各画像信号を同時に取得する同時式の内視鏡システムおよびそれに用いられる光源装置を例に説明したが、モノクロ撮像センサを有し、青色、緑色、赤色の各色光を順次照射して、B、G、Rの各画像信号を面順次で取得する面順次式の内視鏡システムおよびそれに用いられる光源装置に本発明を適用してもよい。
上記実施形態では、光源装置とプロセッサ装置が別体で構成される例で説明したが、これらの装置を一体で構成してもよい。また、本発明は、照明光の観察対象の反射光をイメージガイドで導光するファイバスコープや、撮像センサと超音波トランスデューサが先端部に内蔵された超音波内視鏡を用いた内視鏡システムおよびそれに用いられる光源装置にも適用することができる。