JP2015108092A - ポリイミドの製造方法及びその製造方法により得られるポリイミド - Google Patents
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Abstract
【課題】製造時のポリイミドの着色を防止し、低温の加熱温度で、高度な光透過性と高い耐熱性と柔軟性とを有する脂環式ポリイミドを効率よく製造する方法の提供。【解決手段】式(1)で表される繰り返し単位を有する脂環式ポリアミド酸と、ハロゲン系カルボン酸無水物と、脂肪族系三級アミンとを含有する混合物を用いて、前記ポリアミド酸をイミド化するポリイミドの製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリイミドの製造方法、並びに、その製造方法により得られるポリイミドに関する。
近年、スマートフォンやタブレット端末等のモバイル機器の開発が活発に行なわれており、市場成長が期待されている。このようなスマートフォンやタブレット端末等のモバイル機器の分野においては、衝撃や落下によってディスプレイ等に利用したガラス基板が割れるといった問題があり、かかる問題はモバイル機器の普及とともに見過ごせないものとなってきている。そして、このような問題の解決のために、モバイル機器のガラス基板をより割れ難いガラスにより製造して利用することや、ガラス基板自体をより厚くして強度を上げること等といった対応が検討されている。しかしながら、これらの対応では、ガラスの加工時の歩留まりの低下や、厚み増大によるモバイル機器の重量の増加(携帯性の低下)、更には、バッテリー占有体積の狭小化による連続稼働時間(駆動時間)の短縮化、等といった問題が生じてしまう。このような状況の下、モバイル機器等のガラス基板を利用する分野においては、ガラスのように光透過性が高くかつ十分に高度な耐熱性を有し、しかも樹脂フィルムの様に軽くて柔軟な素材の出現が求められてきた。
ここで、高度な耐熱性を有し、かつ、軽くて柔軟な素材としては、ポリイミドが知られている。そして、このようなポリイミドの中でも、例えば、芳香族ポリイミド(DuPont社製の商品名「カプトン」)は、高分子材料として十分な柔軟性を有しつつ高度な耐熱性を有しており、宇宙、航空用途などの先端産業に欠かせない素材としても知られている。このような芳香族ポリイミドは、剛直で、かつ、対称性のよい芳香族テトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミンとを組み合わせて合成され、高分子材料の中でも最高クラスの耐熱性(ガラス転移温度(Tg):410℃)を示すものである(エンジニアリングプラスチック、共立出版、1987年、p88(非特許文献1)参照)。しかしながら、このような芳香族ポリイミドは、芳香環系のテトラカルボン酸二無水物ユニットと、芳香環系のジアミンユニットとの間で電荷移動(CT)が起きるため、褐色を呈し、光透過性が必要とされるガラス代替用途や光学用途等に使用できるものではなかった。そのため、十分に高度な耐熱性とともに、ガラス代替用途等に使用可能な十分な光透過性を有するポリイミドの出現が求められており、分子内CTが生じることがない脂環式ポリイミドの開発が着目されている。
このような脂環式ポリイミドを製造するための方法としては、一般的には、脂環式テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを組み合わせて溶媒中でポリアミド酸を生成し、ポリアミド酸(ポリアミック酸)の含有液(ポリアミド酸ワニス)を得た後、その含有液をそのまま基板等に製膜し、乾燥した後、比較的高温{例えば、イミド化の際の加熱温度としてはガラス転移温度以上の高温(400℃前後)を採用することが一般的である。}で加熱してイミド化してポリイミドを製造する方法(いわゆる熱イミド化法)が採用されている。しかしながら、脂環式ポリイミドは、構造的に芳香族ポリイミドよりも分解温度が低く、酸素耐性に劣るため、高温の加熱温度が着色の原因になり、一般的な脂環式ポリイミドの製造方法では着色を十分に抑制したポリイミドを必ずしも製造することができなかった。
また、脂環式ポリイミドの製造方法としては、いわゆるイミド化剤を利用する化学イミド化法も採用し得る。しかしながら、このような化学イミド化法に、耐熱性の観点から、剛直でかつ対称性のよい脂環式テトラカルボン酸二無水物をモノマーとして用いた場合においては、そのような脂環式テトラカルボン酸二無水物が分子構造に起因して溶解性が低いものであることから、通常、ポリアミド酸(ポリアミック酸)の含有液を得て、イミド化剤を添加した場合に、ポリイミドが不均一に析出してイミド化が進行し、不均一なポリイミドの含有液(ポリイミドワニス)が形成されてしまうという問題があった。そのため、脂環式ポリイミドの製造方法に、いわゆるイミド化剤を利用する化学イミド化法を採用し得る系は、脂環式テトラカルボン酸二無水物として柔軟かつ対称性が崩れた酸二無水物を用い、該酸二無水物と芳香族ジアミンとを組み合わせて用いる溶解性に優れた系に限られていた(例えば、新訂最新ポリイミド〜基礎と応用〜、NTS出版、2010年、第4章、ポリイミドのフィルム化条件と膜物性、p76(非特許文献2)参照)。このように、一般的な化学イミド化法を採用して得られる従来の脂環式ポリイミドは、利用できるモノマーが柔軟なものに限られ、耐熱性の点で必ずしも十分なものとはならなかった。
一方、高度な光透過性と耐熱性とを有する脂環式のポリイミド及びその製造方法としては、国際公開2011/099518号パンフレット(特許文献1)において、特定の一般式で記載される繰り返し単位を有するポリイミド及びその製造方法が開示されている。なお、このような特許文献1に記載の実施例の欄においては250℃程度の加熱温度でイミド化する熱イミド化の方法が採用されている。しかしながら、このような特許文献1に記載の製造方法においても、十分に高度な光透過性と十分に高度な耐熱性とを有するポリイミドを、より低温での加熱で効率よくかつ確実に製造するといった点では必ずしも十分なものではなかった。
エンジニアリングプラスチック、共立出版、1987年発行、p88
新訂最新ポリイミド〜基礎と応用〜、NTS出版、2010年、第4章、ポリイミドのフィルム化条件と膜物性、p76
本発明は、前記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、化学イミド化法を利用しながら十分に高度な耐熱性を有する脂環式のポリイミドを製造することが可能となり、比較的低温の加熱で十分な柔軟性を有するポリイミドを製造でき、製造時のポリイミドの着色をより確実に防止することが可能であり、より低温の加熱温度を採用して十分に高度な光透過性と十分に高い耐熱性と十分な柔軟性とを有するポリイミドをより効率よくかつ確実に製造することを可能とするポリイミドの製造方法、及び、その製造方法により得られるポリイミドを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、先ず、以下のような知見を得た。すなわち、一般的なポリイミドの製造方法には、上述のように、ポリアミド酸(ポリアミック酸)を熱で脱水閉環しポリイミドを得る熱イミド化法と、ポリアミド酸(ポリアミック酸)にイミド化剤を添加し、化学的に脱水閉環する化学イミド化法がある。本発明者らは、先ず、より低温域の加熱でポリイミドを製造するといった観点から、いわゆるイミド化剤を利用する化学イミド化法を利用することを検討した。しかしながら、耐熱性を得るために、剛直でかつ対称性のよい脂環式テトラカルボン酸二無水物をモノマーとして用いた場合、従来のイミド化剤(例えば、無水酢酸やピリジンなど)をそのまま利用してポリイミドの形成を試みても、基本的には、溶液中でポリイミドの析出が生じ、イミド化が進行して、不均一なポリイミドの含有液(不均一なポリイミドワニス)となってしまう。そのため、剛直でかつ対称性のよい脂環式テトラカルボン酸二無水物をモノマーとして用いる場合に用いるイミド化剤の種類等を更に検討したところ、例えば、イミド化剤として一般的に用いられる無水酢酸及び/又はピリジンを用いる系では、ポリアミド酸を含有する溶液(ポリアミド酸含有液)にイミド化剤を添加すると、場合によりポリイミドの析出が生じて不均一な溶液となったり、あるいは、均一な溶液(この場合、かかる溶液にはポリアミド酸とポリイミドが共存する場合がある。)が得られる場合においても、十分なイミド化を図るためには、比較的高温での加熱が必要となり、比較的低温の加熱条件では十分な柔軟性を有するポリイミドが得られず、得られるポリイミドは非常に脆いものとなってしまうということを本発明者らは見出した。なお、ポリアミド酸含有液が不均一な溶液である場合には、それを塗布して均一な無色透明フィルムを得ることは困難であり、他方、イミド化剤添加後のポリアミド酸含有液(ポリイミドを一部含有するもの)が均一な溶液となった場合であっても、低温の加熱ではキャスト法などにより十分な柔軟性を有するフィルムを得ることは困難であり、得られるポリイミドの工業的な利用の観点でも必ずしも十分なものとはいえない。このように、ポリイミドの耐熱性の観点から、剛直でかつ対称性のよい脂環式テトラカルボン酸二無水物をモノマーとして用いる場合において、いわゆるイミド化剤を単純に利用しても、ポリイミドの析出により均一な無色透明フィルムを得ることは基本的に困難であり、また、イミド化剤添加後のポリアミド酸含有液(ポリイミドを一部含有)が均一な溶液となる場合であっても、加熱工程によりイミド化させて十分な柔軟性を有するポリイミドを製造するためには、その加熱工程において比較的高温(例えば、300℃超程度)での加熱が必要となってしまうことが分かった。そして、そのような高温の加熱を施した場合には、その加熱温度に起因してポリイミドの着色を必ずしも十分に防止できない。このように、剛直でかつ対称性のよい脂環式テトラカルボン酸二無水物をモノマーとして用いる場合において、従来のイミド化剤を単純に利用した場合、例えイミド化剤添加後のポリアミド酸含有液(ポリイミドを一部含有)が均一な溶液となっても、比較的低温の加熱条件(モノマーによっても異なるものではあるが、例えば、300℃以下程度(より好ましくは250℃以下程度、更に好ましくは200℃以下程度)の加熱条件)では、イミド化が必ずしも十分に進行せず、得られるポリイミドが脆く、柔軟性のないものとなってしまう傾向にあり、所望の特性(十分な柔軟性、十分に高い光透過性及び十分に高い耐熱性)を有するポリイミドを必ずしも製造することはできないことが分かった。
なお、耐熱性の高い脂環式ポリイミドを得るために、イミド化剤を利用せず、熱イミド化法のみを利用した場合、加熱温度として、例えば、モノマーによっても異なるものではあるが200℃未満程度の低温を採用すると、ポリアミド酸(ポリアミック酸)が脱水閉環してポリイミドになる反応よりも、ポリアミド酸が酸二無水物とアミンに分解する平衡反応が有利になる傾向にある。そのため、熱イミド化法のみを利用した場合、透明性や耐熱性の高いポリイミドをより確実に製造するためには、従来法のように、比較的高温の加熱工程を施す必要がある。
このような知見に基づいて、本発明者らが、更に、鋭意研究を重ねたところ、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸と、ハロゲン系カルボン酸無水物と、脂肪族系三級アミンとを含有する混合物を用いて、前記ポリアミド酸をイミド化することにより、驚くべきことに、化学イミド化法を利用しながら十分に高度な耐熱性を有する脂環式のポリイミドを製造することが可能となり、比較的低温の加熱で十分な柔軟性を有するポリイミドを製造でき、製造時のポリイミドの着色をより確実に防止することが可能となり、より低温の加熱温度を採用して十分に高度な光透過性と十分に高い耐熱性と十分な柔軟性とを有するポリイミドをより効率よくかつ確実に製造することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のポリイミドの製造方法は、下記一般式(1):
[式(1)中、R1は下記一般式(I−1)〜(I−10):
で表される4価の置換基群の中から選択される基を示し、R2は下記一般式(II−1)〜(II−4):
(式中のR3はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、Qは、式:−O−、−S−、−CO−、−CONH−、−SO2−、−C(CF3)2−、−C(CH3)2−、−CH2−、−O−C6H4−C(CH3)2−C6H4−O−、−O−C6H4−SO2−C6H4−O−、−C(CH3)2−C6H4−C(CH3)2−、−O−C6H4−C6H4−O−及び−O−C6H4−O−で表される基よりなる群から選択される1種を示す。)
で表される2価の置換基群の中から選択される基を示す。]
で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸と、ハロゲン系カルボン酸無水物と、脂肪族系三級アミンとを含有する混合物を用いて、前記ポリアミド酸をイミド化することにより、下記一般式(2):
で表される2価の置換基群の中から選択される基を示す。]
で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸と、ハロゲン系カルボン酸無水物と、脂肪族系三級アミンとを含有する混合物を用いて、前記ポリアミド酸をイミド化することにより、下記一般式(2):
[式(2)中、R1及びR2はそれぞれ前記一般式(1)中のR1及びR2と同義である。]
で表される繰り返し単位を有するポリイミドを得ることを特徴とする方法である。
で表される繰り返し単位を有するポリイミドを得ることを特徴とする方法である。
上記本発明のポリイミドの製造方法においては、前記ポリアミド酸をイミド化する工程に、前記ポリイミドのガラス転移温度よりも80〜300℃低い温度で前記混合物を加熱する工程を含むことが好ましい。
また、上記本発明のポリイミドの製造方法においては、前記混合物中の前記ハロゲン系カルボン酸無水物の含有割合が、前記ポリアミド酸の繰り返し単位1モルに対して0.01〜4.0モルであることが好ましい。
さらに、上記本発明のポリイミドの製造方法においては、前記混合物中の前記脂肪族系三級アミンの含有割合が、前記ポリアミド酸の繰り返し単位1モルに対して0.01〜4.0モルであることが好ましい。
また、上記本発明のポリイミドの製造方法においては、有機溶媒中で下記一般式(3):
[式(3)中、R1は前記一般式(1)中のR1と同義である。]
で表されるテトラカルボン酸二無水物と、下記一般式(4):
で表されるテトラカルボン酸二無水物と、下記一般式(4):
[式(4)中、R2は前記一般式(1)中のR2と同義である。]
で表される芳香族ジアミンとを反応せしめることにより前記ポリアミド酸を得る工程を更に含むことが好ましい。
で表される芳香族ジアミンとを反応せしめることにより前記ポリアミド酸を得る工程を更に含むことが好ましい。
また、上記本発明のポリイミドの製造方法においては、前記ハロゲン系カルボン酸無水物が、無水トリフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水フルオロ酢酸、無水ペンタフルオロプロピオン酸、無水ヘプタフルオロ酪酸、無水トリクロロ酢酸、無水ジクロロ酢酸、無水クロロ酢酸、無水トリブロモ酢酸、無水ジブロモ酢酸、無水ブロモ酢酸、無水クロロジフルオロ酢酸、無水クロロテトラフルオロプロピオン酸、無水クロロヘキサフルオロ酪酸及びこれらの無水物を形成する酸の混合酸無水物の中から選択される少なくとも1種であることが好ましく、無水トリフルオロ酢酸、無水ペンタフルオロプロピオン酸、無水ヘプタフルオロ酪酸及びこれらの無水物を形成する酸の混合酸無水物の中から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
また、上記本発明のポリイミドの製造方法においては、前記脂肪族系三級アミンが、下記一般式(5):
[式(5)中、R3はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基を示す。]
で表される三級アミンであることが好ましい。
で表される三級アミンであることが好ましい。
本発明のポリイミドは、上記本発明のポリイミドの製造方法により得られたポリイミドであることを特徴とするものである。
本発明によれば、化学イミド化法を利用しながら十分に高度な耐熱性を有する脂環式のポリイミドを製造することが可能となり、比較的低温の加熱で十分な柔軟性を有するポリイミドを製造でき、製造時のポリイミドの着色をより確実に防止することが可能であり、より低温の加熱温度を採用して十分に高度な光透過性と十分に高い耐熱性と十分な柔軟性とを有するポリイミドをより効率よくかつ確実に製造することを可能とするポリイミドの製造方法、及び、その製造方法により得られるポリイミドを提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
[ポリイミドの製造方法]
本発明のポリイミドの製造方法について説明する。本発明のポリイミドの製造方法は、上述のように、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸と、ハロゲン系カルボン酸無水物と、脂肪族系三級アミンとを含有する混合物を用いて、前記ポリアミド酸をイミド化することにより、前記一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを得ることを特徴とする方法である。
本発明のポリイミドの製造方法について説明する。本発明のポリイミドの製造方法は、上述のように、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸と、ハロゲン系カルボン酸無水物と、脂肪族系三級アミンとを含有する混合物を用いて、前記ポリアミド酸をイミド化することにより、前記一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを得ることを特徴とする方法である。
なお、このような本発明のポリイミドの製造方法により、製造時に、より低温の温度域の加熱であっても、所望の特性(十分な柔軟性、十分に高い光透過性及び十分に高い耐熱性)を有するポリイミドを効率よく製造することが可能となる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明においては、先ず、前記ハロゲン系カルボン酸無水物と、前記脂肪族系三級アミンとを組み合わせて利用する。このように前記ハロゲン系カルボン酸無水物と、前記脂肪族系三級アミンとを組み合わせて利用することにより、混合物中において、前記ハロゲン系カルボン酸無水物が脱水剤として機能し、前記脂肪族系三級アミンが脱水促進剤として機能して、前記ポリアミド酸(ポリアミック酸)の部分的なイミド化が進行する。なお、このような部分的なイミド化が進行しても、前記混合物が溶媒を含む場合においては、形成されるポリイミドが重合反応に用いる前記溶媒に可溶となるため、ポリイミドの析出(沈殿)が生じず、均一な混合物が得られる。そして、このような均一な混合物を低温の条件で加熱した場合には、混合物中の前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンとが触媒的に機能して、前記混合物中において効率よく前記ポリアミド酸のイミド化が進行し、所望の特性(十分な柔軟性、十分に高い光透過性及び十分に高い耐熱性)を有するポリイミドを製造できる。ここで、フィルム状のポリイミドを形成する場合を例に挙げてポリイミドの製造について簡単に説明すると、前述のように前記ポリアミド酸(ポリアミック酸)が部分的にイミド化された均一な混合物が得られると、前記混合物を均一に流延(キャスト製膜)することが可能となる。そして、そのようなキャスト製膜後の塗膜を乾燥した場合には、光透過性が十分に高い均一なポリアミド酸(ポリアミック酸)とポリイミドの混合物よりなるフィルム(乾燥塗膜)を製造することが可能となる。そして、そのような乾燥塗膜においては、塗膜中に残存する前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンが触媒のように機能するため、低温で加熱してもイミド化を十分に進行せしめることが可能となる。このように、本発明においては、十分に簡便な方法で、しかも低温の加熱工程により所望の特性(十分な柔軟性、十分に高い光透過性及び十分に高い耐熱性)を有するポリイミドを製造できる。このように、本発明においては、混合物中で生じる化学イミド化法による部分的なイミド化と、それに続く加熱による熱・化学併用法によるイミド化とを利用することができるため、より低温の加熱で、ポリイミドを効率よく製造することができる。そして、本発明においては、製造時に、より低温の加熱でポリイミドを製造することが可能となるため、より簡便な工程で、かつ、より簡易な製造設備を利用してポリイミドを製造することもできる。そのため、本発明のポリイミドの製造方法は、工業化、コストの低下(経済性)の観点からも優れた方法であるといえる。また、前記混合物を用いてポリイミドを製造することにより、着色の原因となる比較的高温(例えば300℃超)での加熱工程を必ずしも施す必要(従来の熱イミド化法を採用する必要)がないことから、得られるポリイミドの着色を、より十分にかつより確実に防止することもできる。そのため、前記混合物を用いる場合には、十分に高い光透過性を有するポリイミドのフィルムを効率よく製造することができる。このような観点から、本発明のポリイミドの製造方法により、製造時に、より低温の温度域の加熱を施す場合であっても、所望の特性(十分な柔軟性、十分に高い光透過性及び十分に高い耐熱性)を有するポリイミドを効率よく製造することが可能となるものと本発明者らは推察する。
以下、先ず、本発明において用いる各成分について説明する。
(ポリアミド酸)
本発明にかかるポリアミド酸について説明する。このようなポリアミド酸は、下記一般式(1):
本発明にかかるポリアミド酸について説明する。このようなポリアミド酸は、下記一般式(1):
で表されるものである。
このような一般式(1)中、R1は下記一般式(I−1)〜(I−10):
で表される4価の置換基群の中から選択される基である。このようなR1としては、耐熱性、透明性、線膨張係数、強度の観点から、上記一般式(I−1)、(I−3)、(I−9)及び(I−10)の中から選択される基であることが好ましく、上記一般式(I−9)及び(I−10)の中から選択される基であることがより好ましい。
また、上記一般式(1)中、R2は下記一般式(II−1)〜(II−4):
で表される2価の置換基群の中から選択される基である。
このような一般式(II−3)中、R3はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種である。このようなR3としては、耐熱性の観点から、水素原子、フッ素原子、メチル基又はエチル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
また、上記一般式(II−4)において、Qは、式:−O−、−S−、−CO−、−CONH−、−SO2−、−C(CF3)2−、−C(CH3)2−、−CH2−、−O−C6H4−C(CH3)2−C6H4−O−、−O−C6H4−SO2−C6H4−O−、−C(CH3)2−C6H4−C(CH3)2−、−O−C6H4−C6H4−O−及び−O−C6H4−O−で表される基よりなる群から選択される1種である。このようなQとしては、耐熱性と溶解性のバランスという観点から、式:−O−C6H4−O−、−O−、−C(CH3)2−、−CH2−、又は−O−C6H4−C(CH3)2-C6H4−O−、で表される基が好ましく、式:−O−C6H4−O−又は−O−で表される基が特に好ましい。
また、上記一般式(1)中のR2として選択され得る一般式(II−1)〜(II−4)で表される基としては、ガラス転移温度を十分に高い温度とすることができるとともに線膨張係数を十分に低い値とすることができ、これらの特性のバランスが向上し、より高度な耐熱性が得られるという観点からは、一般式(II−3)又は(II−4)で表される基であることがより好ましい。
さらに、R2の中でも、線膨張係数をより低いものとすることができ、更に高度な耐熱性が得られるという観点から、一般式(II−3)で表される基、又は、一般式(II−4)で表され且つ前記Qが−CONH−、−COO−、−CO−、−C6H4−で表される基(より好ましくは−CONH−又は−COO−で表される基、特に好ましくは−CONH−で表される基)のうちの少なくとも1種である基であることが好ましい。
また、R2としては、得られるポリイミドに、より高度なフレキシブル性(柔軟性)を付与することができるという観点からは、一般式(II−1)で表される基、又は、一般式(II−4)で表され且つ前記Qが−O−、−S−、−CH2−、−O−C6H4−O−で表される基のうちの少なくとも1種(より好ましくは−O−、−CH2−で表される基のうちの1種、更に好ましくは−O−で表される基)である基であることが好ましい。
前記ポリアミド酸としては、得られるポリイミドに、十分に高いガラス転移温度と、十分に低い線膨張係数と、十分なフレキシブル性(柔軟性)とを、より高度な水準でバランスよく付与できるといった観点から、R2の種類が異なる一般式(1)で表される繰り返し単位を複数種(2種以上)含有することが好ましい。
このような一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸としては、固有粘度[η]が0.05〜3.0dL/gであることが好ましく、0.2〜2.0dL/gであることがより好ましく、0.4〜1.5dL/gであることが更に好ましい。このような固有粘度[η]が0.05dL/gより小さいと、これを用いてフィルム状のポリイミドを製造した際に、得られるフィルムが脆くなる傾向にあり、他方、3.0dL/gを超えると、粘度が高すぎて加工性が低下し、例えばフィルムを製造した場合に均一なフィルムを得ることが困難となる傾向にある。また、このような固有粘度[η]は、以下のようにして測定することができる。すなわち、先ず、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドを用い、そのN,N−ジメチルアセトアミド中に前記ポリアミド酸を濃度が0.5g/dLとなるようにして溶解している測定試料(溶液)を得る。次に、前記測定試料を用いて、30℃の温度条件下において(例えば30℃の恒温槽を用いて30℃の温度条件として)、動粘度計を用いて、前記測定試料の粘度を測定し、求められた値を固有粘度[η]として採用する。なお、このような動粘度計としては、離合社製の自動粘度測定装置(商品名「VMC−252」)を用いる。
また、このようなポリアミド酸を製造するための工程は特に制限されず、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を製造することが可能な工程を適宜採用することができるが、中でも、有機溶媒中で下記一般式(3):
[式(3)中、R1は前記一般式(1)中のR1と同義である。]
で表されるテトラカルボン酸二無水物と、下記一般式(4):
で表されるテトラカルボン酸二無水物と、下記一般式(4):
[式(4)中、R2は前記一般式(1)中のR2と同義である。]
で表される芳香族ジアミンとを反応せしめることにより前記ポリアミド酸を得る工程を採用することが好ましい。すなわち、本発明のポリイミドの製造方法においては、前記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、前記一般式(4)で表される芳香族ジアミンとを反応せしめることにより前記ポリアミド酸を得る工程を更に含むことが好ましい。
で表される芳香族ジアミンとを反応せしめることにより前記ポリアミド酸を得る工程を採用することが好ましい。すなわち、本発明のポリイミドの製造方法においては、前記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、前記一般式(4)で表される芳香族ジアミンとを反応せしめることにより前記ポリアミド酸を得る工程を更に含むことが好ましい。
このようなポリアミド酸を得る工程において用いるテトラカルボン酸二無水物は、上記一般式(3)で表されるものであり、かかる一般式(3)中のR1は、前記一般式(1)中のR1と同義である(式(3)中のR1の好適なものも一般式(1)中のR1と同様のものである。)
このような一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘキサノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,1]−ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、デカハイドロジメタノナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ドデカハイドロ−1,4:5,8−ジメタノアントラセン−9,10−ジオン−2,3:6,7−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
このような一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘキサノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,1]−ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、デカハイドロジメタノナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ドデカハイドロ−1,4:5,8−ジメタノアントラセン−9,10−ジオン−2,3:6,7−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、このようなテトラカルボン酸二無水物の製造方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、国際公開第2011/099518号パンフレットに記載されている方法等を適宜採用してもよい。また、このようなテトラカルボン酸二無水物としては市販のものを利用してもよい。
また、前記ポリアミド酸を得る工程において用いる芳香族ジアミンは、上記一般式(4)で表されるものであり、かかる一般式(4)中のR2は、前記一般式(1)中のR2と同義である(式(4)中のR2の好適なものも一般式(1)中のR2と同様のものである。)
このような一般式(4)で表される芳香族ジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4''-ジアミノ−p−ターフェニル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、3,3’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、p−ジアミノベンゼン(別名:p−フェニレンジアミン)、m−ジアミノベンゼン、o−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、2,6−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(別名:o−トリジン)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノフェニルベンゾエート(別名:4,4’−ジアミノジフェニルエステル)、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、o−トリジンスルホン、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2−ジメチルプロパン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、ジエチルトルエンジアミン、アミノベンジルアミン、ビスアニリンM、ビスアニリンP等が挙げられる。
このような一般式(4)で表される芳香族ジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4''-ジアミノ−p−ターフェニル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、3,3’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、p−ジアミノベンゼン(別名:p−フェニレンジアミン)、m−ジアミノベンゼン、o−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、2,6−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(別名:o−トリジン)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノフェニルベンゾエート(別名:4,4’−ジアミノジフェニルエステル)、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、o−トリジンスルホン、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2−ジメチルプロパン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、ジエチルトルエンジアミン、アミノベンジルアミン、ビスアニリンM、ビスアニリンP等が挙げられる。
また、このような芳香族ジアミンを製造するための方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。また、このような芳香族ジアミンとしては市販のものを適宜用いてもよい。
さらに、前記ポリアミド酸を得る工程において用いる有機溶媒としては、上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、上記一般式(4)で表される芳香族ジアミンとの両者を溶解することが可能な有機溶媒であることが好ましい。このような有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、ピリジンなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒;テトラハイドロフラン、ジオキサン、セロソルブ、グライムなどのエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、2−クロル−4−ヒドロキシトルエンなどの芳香族系溶媒;などが挙げられる。このような有機溶媒は、1種を単独であるいは2種以上を混合して使用してもよい。
また、前記ポリアミド酸を得る工程においては、上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、上記一般式(4)で表される芳香族ジアミンとの使用量は特に制限されないが、これらのモル比([テトラカルボン酸二無水物]:[芳香族ジアミン])が0.5:1.0〜1.0:0.5(より好ましくは0.9:1.0〜1.0:0.9)となるようにすることが好ましい。このようなテトラカルボン酸二無水物の使用量が前記下限未満では収量が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えても収量が低下する傾向にある。
また、前記ポリアミド酸を得る工程においては、上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、上記一般式(4)で表される芳香族ジアミンとの使用割合は、上記一般式(4)で表される芳香族ジアミンが有するアミノ基1当量に対して、上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基を0.2〜2当量とすることが好ましく、0.3〜1.2当量とすることがより好ましい。このような使用割合が前記下限未満では重合反応が効率よく進行せず、高分子量のポリアミド酸が得られない傾向にあり、他方、前記上限を超えると前記と同様に高分子量のポリアミド酸が得られない傾向にある。
さらに、前記ポリアミド酸を得る工程における前記有機溶媒の使用量としては、上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と上記一般式(4)で表される芳香族ジアミンの総量が、反応溶液の全量に対して0.1〜50質量%(より好ましくは10〜30質量%)になるような量であることが好ましい。このような有機溶媒の使用量が前記下限未満では効率よくポリアミド酸を得ることができなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると高粘度化により攪拌が困難となる傾向にある。
また、前記ポリアミド酸を得る工程においては、上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と上記一般式(4)で表される芳香族ジアミンとを反応させる際に、反応速度向上と高重合度のポリアミド酸を得るという観点から、前記有機溶媒中に塩基化合物を更に添加してもよい。このような塩基性化合物としては特に制限されないが、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデセン−7、ピリジン、イソキノリン、N−メチルピペリジン、α−ピコリン等が挙げられる。また、このような塩基化合物の使用量は、上記一般式(6)で表されるテトラカルボン酸二無水物1当量に対して、0.001〜10当量とすることが好ましく、0.01〜0.1当量とすることがより好ましい。このような塩基化合物の使用量が前記下限未満では添加効果が見られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると着色等の原因になる傾向にある。
また、前記ポリアミド酸を得る工程において、上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と上記一般式(4)で表される芳香族ジアミンとを反応させる際の反応温度は、これらの化合物を反応させることが可能な温度に適宜調整すればよく、特に制限されないが、80℃以下とすることが好ましく、−30〜30℃とすることが好ましい。また、このようなポリアミド酸を得る工程において採用し得る上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と上記一般式(4)で表される芳香族ジアミンとを反応させる方法としては、テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの重合反応を行うことが可能な公知の方法を適宜利用できる。例えば、大気圧中、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰囲気下において、前記芳香族ジアミンを溶媒に溶解させた後、前記反応温度において上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物を添加し、その後、10〜48時間反応させる方法を採用してもよい。このような反応温度や反応時間が前記下限未満では十分に反応させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると重合物を劣化させる物質(水蒸気等)の混入確率が高まり分子量が低下する傾向にある。
このようにして、上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と上記一般式(4)で表される芳香族ジアミンとを反応させることにより、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を少なくとも1種有するポリアミド酸を得ることができる。また、このようにして得られる上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸は、これを単離して、本発明にかかる混合物を形成するための成分として利用してもよく、あるいは、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を単離することなく、有機溶媒中において上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と上記一般式(4)で表される芳香族ジアミンとを反応させて得られた反応液(上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を含有する反応液)をそのまま利用して、該反応液中に存在する状態で、本発明にかかる混合物を形成するための成分として利用してもよい。なお、前記反応液から上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を単離して利用する場合、その単離方法としては特に制限されず、ポリアミド酸を単離することが可能な公知の方法を適宜採用することができ、例えば、再沈殿物として単離する方法などを採用してもよい。
(ハロゲン系カルボン酸無水物)
本発明にかかるハロゲン系カルボン酸無水物について説明する。本発明においては、比較的低温の加熱で十分な柔軟性を有するポリイミドを製造するために、化学イミド化時には適度な反応性(縮合性)を示し、比較的低温での加熱時(キュアリング時)にイミド閉環活性を得るという観点から、ハロゲン系カルボン酸無水物を脂肪族系三級アミンと組み合わせて利用する。このようなハロゲン系カルボン酸無水物以外の化合物を脂肪族系三級アミンと組み合わせても化学イミド化時には適度な反応性(縮合性)を示さず、比較的低温での加熱時にイミド閉環活性を得ることが出来ず、十分に柔軟でかつ光透過性の高いポリイミドを製造することができなくなる。
本発明にかかるハロゲン系カルボン酸無水物について説明する。本発明においては、比較的低温の加熱で十分な柔軟性を有するポリイミドを製造するために、化学イミド化時には適度な反応性(縮合性)を示し、比較的低温での加熱時(キュアリング時)にイミド閉環活性を得るという観点から、ハロゲン系カルボン酸無水物を脂肪族系三級アミンと組み合わせて利用する。このようなハロゲン系カルボン酸無水物以外の化合物を脂肪族系三級アミンと組み合わせても化学イミド化時には適度な反応性(縮合性)を示さず、比較的低温での加熱時にイミド閉環活性を得ることが出来ず、十分に柔軟でかつ光透過性の高いポリイミドを製造することができなくなる。
ここで、ハロゲン系カルボン酸無水物とは、カルボン酸無水物基と、少なくとも1つのハロゲン原子を含有する脂肪族基とが結合した化合物{ハロゲン置換脂肪族基(少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子に置換された脂肪族基)とカルボン酸無水物基とが結合した化合物}をいう。このように、本発明にかかるハロゲン系カルボン酸無水物としては、適度な反応性、適度なイミド閉環活性、揮発性の観点から、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子に置換された脂肪族基(ハロゲン原子置換脂肪族基)と、カルボン酸無水物基とが結合した化合物が用いられる。
また、このようなハロゲン系カルボン酸無水物中に含有されるハロゲン原子としては、適度な反応性、適度なイミド閉環活性、揮発性の観点から、フッ素原子、クロロ原子、ブロモ原子が好ましく、フッ素原子、クロロ原子がより好ましく、フッ素原子が特に好ましい。また、前記ハロゲン原子置換脂肪族基中の脂肪族基としては、炭素数が1〜5の直鎖状のアルキル基、炭素数が3〜5の分岐状のアルキル基が好ましく、炭素数が1〜3の直鎖状のアルキル基がより好ましい。
また、このようなハロゲン系カルボン酸無水物の中でも、適度な反応性、適度なイミド閉環活性、揮発性の観点から、無水トリフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水フルオロ酢酸、無水ペンタフルオロプロピオン酸、無水ヘプタフルオロ酪酸、無水トリクロロ酢酸、無水ジクロロ酢酸、無水クロロ酢酸、無水トリブロモ酢酸、無水ジブロモ酢酸、無水ブロモ酢酸、無水クロロジフルオロ酢酸、無水クロロテトラフルオロプロピオン酸、無水クロロヘキサフルオロ酪酸、及び、これらの無水物(無水トリフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水フルオロ酢酸、無水ペンタフルオロプロピオン酸、無水ヘプタフルオロ酪酸等)を形成する酸(トリフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、フルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸、ヘプタフルオロ酪酸等)の混合酸無水物の中から選択される少なくとも1種が好ましく、無水トリフルオロ酢酸、無水ペンタフルオロプロピオン酸、無水ヘプタフルオロ酪酸及びこれらの無水物を形成する酸の混合酸無水物の中から選択される少なくとも1種がより好ましく、無水トリフルオロ酢酸、無水ペンタフルオロプロピオン酸及びこれらの無水物を形成する酸の混合酸無水物の中から選択される少なくとも1種が更に好ましい。なお、ここにいう「混合酸無水物」とは、2種類のハロゲン系カルボン酸が脱水縮合することにより得られる酸無水物をいう。更に、これらのハロゲン系カルボン酸無水物の中でも、無水トリフルオロ酢酸、無水ペンタフルオロプロピオン酸、無水ヘプタフルオロ酪酸がより好ましく、無水トリフルオロ酢酸、無水ペンタフルオロプロピオン酸が特に好ましい。なお、このようなハロゲン系カルボン酸無水物は、1種を単独で利用してもよく、あるいは、2種以上を組み合わせて利用してもよい。
このようなハロゲン系カルボン酸無水物を製造するための方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。また、このようなハロゲン系カルボン酸無水物としては市販のものを適宜用いてもよい。
(脂肪族系三級アミン)
本発明にかかる脂肪族系三級アミンについて説明する。本発明においては、適度な反応性、適度なイミド閉環活性、揮発性の観点から、前記脂肪族系三級アミンを前記ハロゲン系カルボン酸無水物と組み合わせて利用する。このような脂肪族系三級アミン以外の化合物を前記ハロゲン系カルボン酸無水物と組み合わせても、適度な反応性、適度なイミド閉環活性、揮発性を示さず、十分に柔軟でかつ光透過性の高いポリイミドを製造することができなくなる。
本発明にかかる脂肪族系三級アミンについて説明する。本発明においては、適度な反応性、適度なイミド閉環活性、揮発性の観点から、前記脂肪族系三級アミンを前記ハロゲン系カルボン酸無水物と組み合わせて利用する。このような脂肪族系三級アミン以外の化合物を前記ハロゲン系カルボン酸無水物と組み合わせても、適度な反応性、適度なイミド閉環活性、揮発性を示さず、十分に柔軟でかつ光透過性の高いポリイミドを製造することができなくなる。
このような脂肪族系三級アミンとしては、下記一般式(5):
[式(5)中、R3はそれぞれ独立に脂肪族基を示す。]
で表される化合物であることが好ましい。
で表される化合物であることが好ましい。
このような一般式(5)中のR3は同一であっても異なっていてもよく、それぞれが脂肪族基であればよい。このようなR3として利用される脂肪族基としては、適度な反応性、適度なイミド閉環活性、揮発性の観点から、炭素数1から10の直鎖状の脂肪族基、炭素数1から10の分岐状の脂肪族基が好ましい。また、R3はそれぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜2のアルキル基であることが特に好ましい。なお、このようなアルキル基の炭素数が前記上限を超えると適度な反応性、適度なイミド閉環活性、揮発性を示さない傾向にある。
また、前記脂肪族系三級アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、DBU、DBN、DABCOが挙げられ、適度な反応性、適度なイミド閉環活性、揮発性の観点から、中でも、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミンがより好ましく、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンが更に好ましい。なお、このような脂肪族系三級アミンは、1種を単独で利用してもよく、あるいは、2種以上を組み合わせて利用してもよい。
このような脂肪族系三級アミンを製造するための方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。また、このような脂肪族系三級アミンとしては市販のものを適宜用いてもよい。
(混合物)
次に、本発明にかかる混合物について説明する。本発明にかかる混合物は、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸と、前記ハロゲン系カルボン酸無水物と、前記脂肪族系三級アミンとを含有する混合物である。このように、本発明にかかる混合物においては、いわゆるイミド化剤の中から、前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンとを選択して組み合わせて含有させている。このように、前記混合物が前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンと選択して組み合わせて利用するものであるため、その理由は必ずしも定かではないが、比較的低温(モノマーによっても異なるものではあるが、例えば、300℃以下程度の低温、好ましくは250℃以下程度の低温、より好ましくは230℃以下程度の低温、更に好ましくは210℃以下程度の低温)の加熱であっても、前記ポリアミド酸を効率よくイミド化することが可能となり、光透過性が十分に高い脂環式のポリイミドを効率よく製造できる。
次に、本発明にかかる混合物について説明する。本発明にかかる混合物は、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸と、前記ハロゲン系カルボン酸無水物と、前記脂肪族系三級アミンとを含有する混合物である。このように、本発明にかかる混合物においては、いわゆるイミド化剤の中から、前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンとを選択して組み合わせて含有させている。このように、前記混合物が前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンと選択して組み合わせて利用するものであるため、その理由は必ずしも定かではないが、比較的低温(モノマーによっても異なるものではあるが、例えば、300℃以下程度の低温、好ましくは250℃以下程度の低温、より好ましくは230℃以下程度の低温、更に好ましくは210℃以下程度の低温)の加熱であっても、前記ポリアミド酸を効率よくイミド化することが可能となり、光透過性が十分に高い脂環式のポリイミドを効率よく製造できる。
このような混合物は、塗布し易く、より加工性能が向上するといった観点から、有機溶媒を含むものとしてもよい。このような有機溶媒としては、前記ポリアミド酸を得る工程において用いる有機溶媒として説明したものと同様の有機溶媒を用いることが好ましい。また、このような混合物としては、特に制限されるものではないが、ポリイミドの製造効率の向上の観点から、前記ポリアミド酸を得る工程を採用して、有機溶媒中において上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と上記一般式(4)で表される芳香族ジアミンとを反応させて反応液(上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を含有する反応液)を得た後、該反応液をそのまま利用して、前記反応液中に前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンとを添加して得られるものを好適に利用できる。
また、このような混合物においては、該混合物中の前記ハロゲン系カルボン酸無水物の含有割合が、前記ポリアミド酸の繰り返し単位1モルに対して0.01〜4.0モル(より好ましくは0.1〜3.0、更に好ましくは0.2〜2.0)であることが好ましい。このようなハロゲン系カルボン酸無水物の含有割合が前記下限未満では前記ハロゲン系カルボン酸無水物を添加することにより得られる効果が不十分となる(添加効果が低下する)傾向にあり、他方、前記上限を超えると、混合物中にポリマーの沈殿が生じる原因となり、混合物が不均一なものとなる傾向にある。なお、前記混合物が不均一なものとなると均一に流延(キャスト製膜)することが不可能となる。そして、そのようなキャスト製膜後の塗膜を乾燥した場合には、均一なポリアミック酸とポリイミドの混合物よりなるフィルム(乾燥塗膜)を製造することが不可能となり、結果として透明かつ均一なフィルムを得ることができなくなる。
また、本発明にかかる混合物においては、該混合物中の前記脂肪族系三級アミンの含有割合が、前記ポリアミド酸の繰り返し単位1モルに対して0.01〜4.0モル(より好ましくは0.1〜3.0、更に好ましくは0.2〜2.0)であることが好ましい。このような脂肪族系三級アミンの含有割合が前記下限未満では前記脂肪族系三級アミンを添加することにより得られる効果が不十分となる(添加効果が低下する)傾向にあり、他方、前記上限を超えると混合物中にポリマーの沈殿が生じる原因となり、混合物が不均一なものとなる傾向にある。
また、このような混合物が有機溶媒を含有する場合には、前記混合物中の前記ポリアミド酸の含有量は、1〜50質量%とすることが好ましく、10〜30質量%とすることが好ましい。このようなポリイミド酸の含有量が前記下限未満では、混合物中において化学イミド化反応が十分に進行しなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えても、やはり化学イミド化反応が十分に進行しなくなる傾向にある。
また、このような混合物の製造方法としては特に制限されないが、前記ポリアミド酸を得る工程を採用して、有機溶媒中において上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と上記一般式(4)で表される芳香族ジアミンとを反応させて反応液(上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を含有する反応液)を得た後、該反応液をそのまま利用して、前記反応液中に前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンとを添加する方法(A)や、前記ポリアミド酸を得る工程を採用して上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を含有する反応液を得た後、前記反応液中から前記ポリアミド酸を単離し、その後、単離したポリアミド酸を有機溶媒に溶解して、ポリアミド酸を含有する溶解液を得て、その溶解液に前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンとを添加する方法(B)を採用してもよい。なお、このような方法の中でも、ポリイミドをより効率よく製造するという観点からは、上述の方法(A)を採用することが好ましい。
また、このような混合物の製造方法においては、前記ポリアミド酸を含有するポリアミド酸含有液(前記反応液又は前記溶解液)に対して前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンを添加する順序は、特に制限されるものではなく、同時に添加してもよいが、前記脂肪族系三級アミンを添加した後に、記ハロゲン系カルボン酸無水物を添加することが好ましい。このような順序で前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンを添加することにより、化学イミド化時には適度な反応性(縮合性)を示し、比較的低温での加熱時(キュアリング時)にイミド閉環活性が得られ、結果として比較的低温の加熱で十分な柔軟性を有するポリイミドを製造することが可能となる。
また、前記混合物の製造方法においては、前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンを添加する際の雰囲気条件としては、特に制限されず、窒素等の不活性ガス下で実施する等、一般的な化学イミド化条件としてもよい。また、前記混合物の製造方法においては、前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンを添加する際の温度条件としては、特に制限されるものではないが、−30℃〜80℃とすることが好ましく、0℃〜60℃とすることがより好ましい。このような温度条件が前記下限未満では粘度上昇や固化が起こり撹拌が不可能になる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとポリイミド生成による沈殿発生に伴う不均一化や、ポリアミド酸のアミド結合切断による分子量低下が起こる傾向にある。なお、このような温度条件を満たすために、例えば、前記ポリアミド酸含有液(前記反応液又は前記溶解液)を氷浴で冷却しながら、前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンとを添加してもよい。
また、上述のような混合物の製造に際しては、前記ポリアミド酸含有液(前記反応液又は前記溶解液)に、前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンとを添加することにより、化学イミド化により部分的にポリイミドを生成することが可能となる。そのため、上述のような混合物の製造に際しては、混合物中において、部分的にポリイミドを生成しながら、より均一な混合物を得るといった観点から、前記ポリアミド酸含有液(前記反応液又は前記溶解液)に対して、前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンを添加した後に、該混合物を混合(撹拌)する工程を実施することが好ましい。また、このような混合(撹拌)する工程は、80℃未満の温度条件下(より好ましくは−30〜60℃の温度条件下、特に好ましくは0℃〜40℃の温度条件下)において混合(撹拌)する工程であることがより好ましい。このような混合(撹拌)する工程を実施することにより、いわゆる化学イミド化反応によって、混合物中において部分的にポリイミドを生成しつつ均一な混合物とすることができる。なお、本発明においては、前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンを組み合わせて利用しているため、部分的にポリイミドが生成されても十分に均一性の高い混合物とすることが可能である。そのため、上記温度条件下において混合されて得られた混合物を加熱してイミド化する場合、比較的低温の加熱でポリイミドを製造することが可能となり、光透過性の十分に高いポリイミドをより効率よく製造することが可能となる傾向にある。ここにおいて、前記混合(撹拌)時の温度条件が前記下限未満では、前記混合物中において部分的な化学イミド化反応が十分に進行しなくなり、最終的なイミド化の際に高温での加熱が必要となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、イミド化が必要以上に進行することからポリマーの沈殿が析出し、前記混合物が不均一なものとなって、結果的に均一なフィルムは得られなくなる傾向にある。
また、このようにして、前記ポリアミド酸を含有する反応液又は前記ポリアミド酸を含有する溶解液に対して、前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンを添加した後に混合する場合、その混合工程を施す時間(前記混合物中において化学イミド化反応を行う反応時間)は、1時間〜50時間にすることが好ましく、12時間〜24時間とすることがより好ましい。このような混合時間(反応時間)が前記下限未満では、混合物中において、化学イミド化反応が十分に進行しなくなり、最終的な熱イミド化の際に高温で加熱する必要が生じる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、化学イミド化が進行し過ぎて、混合物が不均一なものとなり、均一なフィルムは得られなくなる傾向にある。
また、前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンを添加した後に混合する際の雰囲気条件としては、空気中の酸素による着色防止、分子量を低下させる空気中の水蒸気の混入防止という観点から、窒素などの不活性ガス条件とすることや、乾燥条件とすること(例えばドライボックス中で混合を実施すること)が好ましい。また、混合物を製造する際の圧力条件としては特に制限されるものではないが、0.01MPa〜1MPaであることが好ましく、0.1MPa〜0.3MPaであることがより好ましい。このような圧力が前記下限未満では溶媒や前記ハロゲン系カルボン酸無水物や前記脂肪族系三級アミンが気化してしまう傾向にあり、他方、前記上限を超えると、重合操作や、前記ハロゲン系カルボン酸無水物や前記脂肪族系三級アミンの添加が困難になる傾向にある。
このように、前記混合物としては、前記ポリアミド酸含有液(前記ポリアミド酸を含有する反応液又は前記ポリアミド酸を含有する溶解液)に対して、前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンを添加した後に、80℃未満の温度条件下において1時間〜50時間混合(撹拌)したものを利用することが好ましい。なお、このような撹拌後の混合物は、前述のように、混合物中において、部分的にイミド化(化学イミド化)が進行するため、後述の一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリイミドと、前記一般式(1)で表されるポリアミド酸とを含有するものとなる。
(ポリアミド酸のイミド化工程)
次に、ポリアミド酸のイミド化工程について説明する。本発明においては、前記混合物を用いて前記ポリアミド酸をイミド化することにより、下記一般式(2):
次に、ポリアミド酸のイミド化工程について説明する。本発明においては、前記混合物を用いて前記ポリアミド酸をイミド化することにより、下記一般式(2):
で表される繰り返し単位を有するポリイミドを得る。なお、上記一般式(2)中、R1及びR2は、それぞれ前記一般式(1)中のR1及びR2と同義である(好適なものも同義である。)
このようなイミド化の方法としては、前記混合物を用いて前記ポリアミド酸をイミド化し得る方法であればよく、特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができるが、前記混合物を加熱する工程を含むことが好ましい。このような加熱工程により熱イミド化反応を効率よく進行させることが可能となる。また、このような加熱工程に利用する混合物としては、前記混合物中において前記ポリアミド酸の化学イミド化反応を部分的に進行せしめたものを利用することが好ましく、かかる観点から、前記ポリアミド酸含有液(前記ポリアミド酸を含有する反応液又は前記ポリアミド酸を含有する溶解液)に対して、前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンを添加した後に混合(撹拌)したものを利用することがより好ましく、前記ポリアミド酸含有液に対して前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンを添加した後に80℃未満の温度条件下において1時間〜50時間混合(撹拌)したものを利用することが更に好ましい。すなわち、本発明においては、前記ポリアミド酸をイミド化する工程に、前記混合物を撹拌(混合)する工程(上述の混合物の製造方法において説明した混合(撹拌)する工程)と、前記混合物を加熱する工程とを含むことが好ましい。これにより、前記混合物中において前記ポリアミド酸の化学イミド化反応を部分的に進行せしめた後に、前記混合物を加熱して熱イミド化反応を進行せしめることが可能となり、より低温の加熱で、より効率よくポリイミドを製造することが可能となる。
このようなイミド化の方法としては、前記混合物を用いて前記ポリアミド酸をイミド化し得る方法であればよく、特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができるが、前記混合物を加熱する工程を含むことが好ましい。このような加熱工程により熱イミド化反応を効率よく進行させることが可能となる。また、このような加熱工程に利用する混合物としては、前記混合物中において前記ポリアミド酸の化学イミド化反応を部分的に進行せしめたものを利用することが好ましく、かかる観点から、前記ポリアミド酸含有液(前記ポリアミド酸を含有する反応液又は前記ポリアミド酸を含有する溶解液)に対して、前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンを添加した後に混合(撹拌)したものを利用することがより好ましく、前記ポリアミド酸含有液に対して前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンを添加した後に80℃未満の温度条件下において1時間〜50時間混合(撹拌)したものを利用することが更に好ましい。すなわち、本発明においては、前記ポリアミド酸をイミド化する工程に、前記混合物を撹拌(混合)する工程(上述の混合物の製造方法において説明した混合(撹拌)する工程)と、前記混合物を加熱する工程とを含むことが好ましい。これにより、前記混合物中において前記ポリアミド酸の化学イミド化反応を部分的に進行せしめた後に、前記混合物を加熱して熱イミド化反応を進行せしめることが可能となり、より低温の加熱で、より効率よくポリイミドを製造することが可能となる。
また、このような混合物を加熱する工程は、より低温で加熱してポリイミドの着色を防止するといった観点から、得られるポリイミドのガラス転移温度(Tg)よりも80〜300℃低い温度(より好ましくはTgよりも100〜200℃低い温度、更に好ましくはTgよりも120〜180℃低い温度)で前記混合物を加熱(焼成)する工程であることが好ましい。このような加熱温度が前記上限を超えるとポリイミドの着色を必ずしも十分に抑制することが困難となる傾向にあり、他方、前記下限未満では、イミド化が十分に進行しなくなる傾向にある。なお、このような加熱温度で加熱してイミド化することにより、比較的低温で加熱しながらも、NMR測定においてポリアミド酸に由来するカルボン酸(−COOH)のプロトンやアミド(NHCO)に由来するプロトンが観測されないような状態となるように、ポリアミド酸を十分にイミド化することも可能となる。また、本発明によれば、ポリイミドのガラス転移温度(Tg)よりも80〜300℃低い低温での加熱によっても、柔軟性の高いポリイミドを製造することが可能である。
また、本発明において「ポリイミドのガラス転移温度(Tg)」は、以下のようなガラス転移温度(Tg)の測定方法により求めることができる。すなわち、ガラス転移温度(Tg)の測定方法としては、フィルム形状のポリイミドを形成して、縦20mm、横5mm、厚み0.02mm(20μm)の大きさのフィルムをそれぞれ形成した後に、そのフィルムを真空乾燥(120℃、1時間(Hr))し、窒素雰囲気下、200℃で1時間(Hr)熱処理して試料(乾燥フィルム)を得た後、その試料を用い、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を利用して、窒素雰囲気下、ペネトレーションモード、昇温速度10℃/分の条件を採用して30℃〜400℃における前記試料の変化を測定して求める方法を採用することができる。
また、前記混合物を加熱して前記ポリアミド酸をイミド化する際には、工業化やコスト低下の観点から、より低温で加熱(焼成)することが望まれる。このような観点から、前記混合物を加熱する工程においては、加熱温度が300℃以下であることが好ましく、80〜250℃であることがより好ましく、100〜230℃であることが更に好ましく、100〜210℃特に好ましい。このような加熱温度が前記上限を超えると、加熱温度の上昇によりコストの低減を十分に図ることが困難となったり、非常に高度な水準で着色を抑制することは困難となる傾向にあり、他方、前記下限未満では反応の進行が遅くなり、効率よく柔軟なポリイミドを製造することが困難となる傾向にある。なお、このような低温(例えば230℃以下)での加熱による熱イミド化であっても、本発明においては、前記混合物を用いているため、十分な柔軟性等の機械的な特性を有するポリイミドを製造することもできる。
また、前記混合物を加熱する工程を実施する際の雰囲気条件としては、空気中の酸素による着色や、空気中の水蒸気による分子量低下を防止する観点から、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気や真空下とすることが好ましい。また、前記混合物を加熱する工程を実施する際の圧力条件としては特に制限されるものではないが、0.01hPa〜1MPaであることが好ましく、0.1hPa〜0.3MPaであることがより好ましい。このような圧力が前記下限未満では、溶媒や前記ハロゲン系カルボン酸無水物や前記脂肪族系三級アミンが瞬時に気化してしまい気泡やボイドが発生する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、溶媒や前記ハロゲン系カルボン酸無水物や前記脂肪族系三級アミンの除去が困難になる傾向にある。
また、前記混合物を加熱する工程を施す場合において、前記混合物が溶媒を含むものである場合(例えば、溶液状のものである場合)には、加熱処理を施す前に乾燥処理を施すことが好ましい。このような乾燥処理により、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸をフィルム状などの形態にして単離した後、加熱処理を施すことも可能となる。
このような乾燥処理における温度条件としては−20〜80℃であることが好ましく、0〜60℃であることがより好ましい。このような乾燥処理における温度条件が前記下限未満では、混合物が溶媒を含む場合に溶媒が除去できない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、溶媒などの揮発成分が沸騰し、製膜時に気泡やボイドを含むフィルムになる傾向にある。また、このような乾燥処理の方法における雰囲気としては、不活性ガス雰囲気(例えば窒素雰囲気)とすることが好ましい。また、より効率よく乾燥を行うという観点から、このような乾燥処理における圧力の条件としては、0.01hPa〜0.1MPaであることが好ましい。この場合において、例えば、フィルム状のポリイミドを製造する場合においては、前記混合物を基材上に塗布し、前記乾燥処理及び加熱処理を施せばよく、簡便な方法でフィルム状のポリイミドを製造することが可能となる。
また、フィルム状のポリイミドを製造する場合において、前記混合物を塗布するための基材としては特に制限されず、目的とするポリイミドからなるフィルムの形状等に応じて、フィルムの形成に用いることが可能な公知の材料からなる基材(例えば、ガラス板や金属板)を適宜用いることができる。
また、このように混合物を基材に塗布する場合において、その塗布方法は特に制限されず、公知の方法(キャスト法など)を適宜採用することができ、例えば、キャスト法、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、滴下法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、ダイコート法、カーテンコート法、インクジェット法等を適宜採用することもできる。
また、基材上に混合物を塗布する場合、かかる混合物の塗膜の厚みとしては、乾燥後の塗膜の厚みを1〜200μmとすることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましい。このような混合物の塗膜の厚みが前記下限未満では機械的な強度が低下し、フィルムが弱くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると成膜加工が困難となる傾向にある。
また、前記イミド化の方法としては、製造効率の観点から、前記ポリアミド酸を得る工程を実施した後に、有機溶媒中において上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と上記一般式(4)で表される芳香族ジアミンとを反応させて得られた反応液(上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を含有する反応液)をそのまま用い(上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を単離することなく用い)、前記反応液に対して前記ハロゲン系カルボン酸無水物と前記脂肪族系三級アミンとを添加して混合物を得た後、該混合物に対して乾燥処理を施して溶媒を除去した後、前記加熱処理(前記混合物を加熱する工程)を施すことが好ましい。なお、かかる混合物を得る工程においては、前述のように混合(撹拌)する工程を施すことが好ましい。
また、本発明によって得られるポリイミドは、上記一般式(2)で表される繰り返し単位以外にも他の繰り返し単位を含有するものとしてもよい。この場合には、例えば、前記ポリアミド酸を得る工程において、上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物とともに他のテトラカルボン酸二無水物を用い、これらを前記芳香族ジアミンと反応させればよい。このような上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物以外の他のテトラカルボン酸二無水物としては、公知のテトラカルボン酸二無水物を適宜利用することができる。例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。なお、このような芳香族テトラカルボン酸を使用する場合は、CTによる着色を防止するため、その使用量は得られるポリイミドが十分な透明性を有することが可能となるような範囲内で適宜変更することが好ましい。
[ポリイミド]
本発明のポリイミドは、上記本発明のポリイミドの製造方法により得られたポリイミドであることを特徴とするものである。
本発明のポリイミドは、上記本発明のポリイミドの製造方法により得られたポリイミドであることを特徴とするものである。
このようなポリイミドとしては、ガラス転移温度(Tg)が250℃以上のものが好ましく、300〜500℃のものがより好ましい。このようなガラス転移温度(Tg)が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとそのような特性を有するポリイミドを製造することが困難となる傾向にある。このようなポリイミドのガラス転移温度(Tg)は、前述のガラス転移温度(Tg)の測定方法を採用して求めることができる。
さらに、このようなポリイミドの数平均分子量(Mn)としては、ポリスチレン換算で1000〜1000000であることが好ましく、10000〜100000であることがより好ましい。このような数平均分子量が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると加工が困難となる傾向にある。
また、このようなポリイミドの重量平均分子量(Mw)としては、ポリスチレン換算で1000〜5000000であることが好ましい。また、このような重量平均分子量(Mw)の数値範囲の下限値としては、1000であることがより好ましく、5000であることが更に好ましく、10000であることが特に好ましい。また、重量平均分子量(Mw)の数値範囲の上限値としては、5000000であることがより好ましく、500000であることが更に好ましく、50000であることが特に好ましい。このような重量平均分子量が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると加工が困難となる傾向にある。
さらに、このようなポリイミドの分子量分布(Mw/Mn)は1.1〜5.0であることが好ましく、1.5〜3.0であることがより好ましい。このような分子量分布が前記下限未満では製造することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると均一なフィルムを得にくい傾向にある。なお、このようなポリイミドの分子量(Mw又はMn)や分子量の分布(Mw/Mn)は、測定装置としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、東ソー株式会社製、商品名:HLC−8020/カラム4本:東ソー株式会社製、商品名:TSK gel GMHHRなど)を用い、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等を用いて測定したデータをポリスチレンで換算して求めることができる。
また、このようなポリイミドは、線膨張係数が−10〜100ppm/℃(更に好ましくは0〜80ppm/℃)であることがより好ましい。このような線膨張係数が前記下限未満では金属、金属酸化物やガラス等の無機物質など他材料との複合化を行なう場合に歪みが発生する傾向にあり、他方、前記上限を超えると下限未満と同様に金属、金属酸化物やガラス等の無機物質など他材料との複合化を行なう場合に歪みが発生する傾向にある。
このようなポリイミドの線膨張係数は、縦20mm、横5mm、厚み0.02mm(20μm)の大きさの試料を用い、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を利用して、窒素雰囲気下、引張りモード(49mN)、昇温速度5℃/分の条件を採用して、50℃〜200℃における前記試料の縦方向の長さの変化を測定して、100℃〜200℃の温度範囲における1℃あたりの長さの変化の平均値を求めることにより得られる値を採用することができる。なお、前記ポリイミドのガラス転移温度や線膨張係数は、前記一般式(2)中のR1〜R2の種類等を適宜変更したり、前記一般式(2)で表される繰り返し単位を複数種(2種以上)含有したりすることによって前記数値範囲内のものとすることができる。
また、このようなポリイミドは、透明性が高いものが好ましく、400〜800nmの波長域の光の平均透過率が80%以上(更に好ましくは85%以上、特に好ましくは87%以上)であるものがより好ましい。このような平均透過率は、製造時の加熱温度をより低温とすることにより、十分に達成することができる。なお、このような透過率としては、測定装置として、日本分光製の商品名「紫外可視近赤外分光光度計V−570」を用いて測定した値を採用することができる。
また、このようなポリイミドとしては、熱分解温度(Td)が450℃以上のものが好ましく、480〜600℃のものがより好ましい。このような熱分解温度(Td)が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、そのような特性を有するポリイミドを製造することが困難となる傾向にある。なお、このような熱分解温度(Td)は、TG/DTA220熱重量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を使用して、窒素気流中(200mL/min)、昇温速度10℃/min.の条件で熱分解前後の分解曲線にひいた接線の交点となる温度を測定することにより求めることができる。
このようなポリイミドとしては、5%重量減少温度が400℃以上のものが好ましく、450〜550℃のものがより好ましい。このような5%重量減少温度が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、そのような特性を有するポリイミドを製造することが困難となる傾向にある。なお、このような5%重量減少温度は、窒素ガス雰囲気下、窒素ガスを流しながら室温(25℃)から徐々に加熱して、用いた試料の重量が5%減少する温度を測定することにより求めることができる。なお、このような試料としては、縦2mm、横2mm、厚み20μmのフィルムを5枚準備して用いることが好ましい。
このように、本発明のポリイミドは、上記本発明のポリイミドの製造方法を採用して得られるものであるため、着色が十分に防止され、十分に高度な水準の光透過性と十分に高度な耐熱性とを有するものとなる。また、本発明のポリイミドは、上記本発明のポリイミドの製造方法を採用して得られるものであるため、十分な柔軟性を有するものとなる。そのため、本発明のポリイミドは、ガラスの代替に用いられる樹脂素材等に好適に利用可能であり、例えば、スマートフォンやタブレット端末等のモバイル機器の基板として用いられる透明樹脂材料からなる基板を作製するための材料等に好適に利用し得る。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
先ず、各合成例、各実施例、各比較例で得られた化合物やフィルム等の特性の評価方法について説明する。
<分子構造の同定>
各実施例等で得られた化合物の分子構造の同定は、赤外分光分析装置(日本分光株式会社製、FT/IR−460、FT/IR−4100、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製、NICOLET380FT−IR)及びNMR測定機(VARIAN社製、商品名:UNITY INOVA−600及び日本電子株式会社製JNM−Lambda500)を用いて、IR及びNMRスペクトルを測定することにより行った。
各実施例等で得られた化合物の分子構造の同定は、赤外分光分析装置(日本分光株式会社製、FT/IR−460、FT/IR−4100、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製、NICOLET380FT−IR)及びNMR測定機(VARIAN社製、商品名:UNITY INOVA−600及び日本電子株式会社製JNM−Lambda500)を用いて、IR及びNMRスペクトルを測定することにより行った。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
ガラス転移温度(Tg)は、各実施例及び各比較例で得られたポリイミド(フィルム形状のポリイミド)から縦20mm、横5mm、厚み0.02mm(20μm)の大きさのフィルムをそれぞれ形成した後に、そのフィルムを真空乾燥(120℃、1時間(Hr))し、窒素雰囲気下で200℃で1時間(Hr)熱処理して得られた試料(乾燥フィルム)をそれぞれ用い、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を利用して、窒素雰囲気下、ペネトレーションモード、昇温速度10℃/分の条件を採用して、30℃〜400℃における前記試料の変化を測定した。
ガラス転移温度(Tg)は、各実施例及び各比較例で得られたポリイミド(フィルム形状のポリイミド)から縦20mm、横5mm、厚み0.02mm(20μm)の大きさのフィルムをそれぞれ形成した後に、そのフィルムを真空乾燥(120℃、1時間(Hr))し、窒素雰囲気下で200℃で1時間(Hr)熱処理して得られた試料(乾燥フィルム)をそれぞれ用い、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を利用して、窒素雰囲気下、ペネトレーションモード、昇温速度10℃/分の条件を採用して、30℃〜400℃における前記試料の変化を測定した。
<5%重量減少温度の測定>
実施例及び比較例で得られたポリイミドの5%重量減少温度は、それぞれ、縦2mm、横2mm、厚み20μmのフィルム形状の試料を5枚、アルミ製サンプルパンに入れ、測定装置としてTG/DTA7200熱重量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を使用して、窒素ガスを流しながら、室温(25℃)から600℃の範囲で10℃/分の条件で加熱して、用いた試料の重量が5%減少する温度を測定することにより求めた。
実施例及び比較例で得られたポリイミドの5%重量減少温度は、それぞれ、縦2mm、横2mm、厚み20μmのフィルム形状の試料を5枚、アルミ製サンプルパンに入れ、測定装置としてTG/DTA7200熱重量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を使用して、窒素ガスを流しながら、室温(25℃)から600℃の範囲で10℃/分の条件で加熱して、用いた試料の重量が5%減少する温度を測定することにより求めた。
<固有粘度[η]の測定>
実施例及び比較例でフィルム等を製造する際に中間体として得られたポリアミド酸の固有粘度[η]は、離合社製の自動粘度測定装置(商品名「VMC−252」)を用い、N,N−ジメチルアセトアミドを溶媒として、濃度0.5g/dLのポリアミド酸の測定試料を調製し、30℃の温度条件下において測定した。
実施例及び比較例でフィルム等を製造する際に中間体として得られたポリアミド酸の固有粘度[η]は、離合社製の自動粘度測定装置(商品名「VMC−252」)を用い、N,N−ジメチルアセトアミドを溶媒として、濃度0.5g/dLのポリアミド酸の測定試料を調製し、30℃の温度条件下において測定した。
<線膨張係数(CTE)の測定>
線膨張係数は、各実施例及び各比較例で得られたポリイミド(フィルム形状のポリイミド)から縦20mm、横5mm、厚み0.02mm(20μm)の大きさのフィルムをそれぞれ形成した後に、そのフィルムを真空乾燥(120℃、1時間(Hr))し、窒素雰囲気下で200℃で1時間(Hr)熱処理して得られた試料(乾燥フィルム)をそれぞれ用い、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を利用して、窒素雰囲気下、引張りモード(49mN)、昇温速度5℃/分の条件を採用して、50℃〜200℃における前記試料の長さの変化を測定して、100℃〜200℃の温度範囲における1℃あたりの長さの変化の平均値を求めることにより測定した。
線膨張係数は、各実施例及び各比較例で得られたポリイミド(フィルム形状のポリイミド)から縦20mm、横5mm、厚み0.02mm(20μm)の大きさのフィルムをそれぞれ形成した後に、そのフィルムを真空乾燥(120℃、1時間(Hr))し、窒素雰囲気下で200℃で1時間(Hr)熱処理して得られた試料(乾燥フィルム)をそれぞれ用い、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を利用して、窒素雰囲気下、引張りモード(49mN)、昇温速度5℃/分の条件を採用して、50℃〜200℃における前記試料の長さの変化を測定して、100℃〜200℃の温度範囲における1℃あたりの長さの変化の平均値を求めることにより測定した。
<400〜800nmの波長域の光の平均透過率の測定>
各実施例及び各比較例で得られたポリイミド(フィルム形状のポリイミド)の400〜800nmの波長域の光の平均透過率は、測定装置として日本分光製の商品名「紫外可視近赤外分光光度計V−570」を用いて透過率を測定した後、400〜800nmの波長域の光の透過率の平均値を求めることにより測定した。
各実施例及び各比較例で得られたポリイミド(フィルム形状のポリイミド)の400〜800nmの波長域の光の平均透過率は、測定装置として日本分光製の商品名「紫外可視近赤外分光光度計V−570」を用いて透過率を測定した後、400〜800nmの波長域の光の透過率の平均値を求めることにより測定した。
<フィルムのフレキシブル性及び強度の測定>
各実施例及び各比較例で得られたポリイミド(フィルム形状のポリイミド)のフレキシブル性及び強度(機械的な強度)について、縦50mm、横10mm、厚み0.02mm(20μm)の大きさのフィルムをそれぞれ形成した後に、市販の丸型鉛筆(φ[直径]:8mm)に巻き付けることを10回繰り返した際に(丸型鉛筆巻き付け試験)、フィルムが割れなかった場合には十分な強度を有するフレキシブル(柔軟)なフィルム(強度:十分、フレキシブル性:十分)であると判断し、反対に、フィルムを形成できなかった場合や、フィルムが形成できたとしても丸型鉛筆巻き付け試験でフィルムにクラックが入った場合にはフレキシブルなものではなく、脆い(ブリットル)フィルム(強度:脆い、フレキシブル性:不十分)であると判断した。
各実施例及び各比較例で得られたポリイミド(フィルム形状のポリイミド)のフレキシブル性及び強度(機械的な強度)について、縦50mm、横10mm、厚み0.02mm(20μm)の大きさのフィルムをそれぞれ形成した後に、市販の丸型鉛筆(φ[直径]:8mm)に巻き付けることを10回繰り返した際に(丸型鉛筆巻き付け試験)、フィルムが割れなかった場合には十分な強度を有するフレキシブル(柔軟)なフィルム(強度:十分、フレキシブル性:十分)であると判断し、反対に、フィルムを形成できなかった場合や、フィルムが形成できたとしても丸型鉛筆巻き付け試験でフィルムにクラックが入った場合にはフレキシブルなものではなく、脆い(ブリットル)フィルム(強度:脆い、フレキシブル性:不十分)であると判断した。
(実施例1)
<ポリアミド酸の調製>
三口フラスコに3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(0.40052g、2.000mmol、以下、場合により「3,4’−DDE」と称する。)と、N,N−ジメチルアセトアミド(2.00g、以下、場合により「DMAc」と称する。)を加えて、窒素気流下、温度:20℃、圧力0.1MPaの条件下において、メカニカルスターラーで10分ほど撹拌して溶解液を得た。次に、前記溶解液が導入されている前記三口フラスコに、下記一般式(6):
<ポリアミド酸の調製>
三口フラスコに3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(0.40052g、2.000mmol、以下、場合により「3,4’−DDE」と称する。)と、N,N−ジメチルアセトアミド(2.00g、以下、場合により「DMAc」と称する。)を加えて、窒素気流下、温度:20℃、圧力0.1MPaの条件下において、メカニカルスターラーで10分ほど撹拌して溶解液を得た。次に、前記溶解液が導入されている前記三口フラスコに、下記一般式(6):
で表されるテトラカルボン酸二無水物0.76879g(2.00mmol、以下、場合により「酸二無水物(A)」と称する。)を、ロートを用いて導入した。なお、ロートに付着した前記テトラカルボン酸二無水物はDMAc(2.00g)で流し入れて、全量(0.76879g)を前記溶解液中に導入した。
次いで、前記テトラカルボン酸二無水物が導入された前記溶解液を、窒素雰囲気、温度:20℃、圧力0.1MPaの条件下において、メカニカルスターラーで30rpmの撹拌速度で17時間撹拌を続けて、前記テトラカルボン酸二無水物と3,4’−DDEとを反応せしめてポリアミド酸を生成し、ポリアミド酸を含有する反応液を得た。なお、得られたポリアミド酸は、一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸であり、かかる繰り返し単位は、式(1)中のR1が上記一般式(I−9)で表される基であり、かつ、R2が下記一般式(II−4−1)又は(II−4−2):
で表される基である。
なお、このようにして得られたポリアミド酸の粘度を測定するために、前記反応液から一部の液体をサンプリング(ポリアミド酸を0.25g含有する量の液体をサンプリング)し、DMAcで希釈して0.5g/dLのポリアミド酸溶液を調製した。そして、前述の固有粘度[η]の測定方法を採用して固有粘度[η]を求めた。すなわち、このようにして調製したポリアミド酸溶液を用い、かつ、30℃の恒温槽中でオストワルド型粘度計(離合社製の自動粘度測定装置(商品名「VMC−252」))を用いて、ポリアミド酸溶液の粘度(対数粘度)を測定した。その結果、得られたポリアミド酸の固有粘度[η]は0.46dL/gであった。
<混合物の調製>
次に、前述のポリアミド酸の調製工程において得られたポリアミド酸を含有する反応液2.9g(ポリアミド酸の繰り返し単位のモル量(前記反応液中の前記繰り返し単位の総量):1.0mmol、前記反応液の約半量)を氷浴で冷却しながら、前記反応液にトリエチルアミン139μL(1.0mmol)を添加した。このようなトリエチルアミンの添加により前記反応液は粘度が一気に上昇し、一部が白く濁ったことから、前記反応液中では、ポリアミド酸のアミン塩が生成されたものと思われる。次いで、前記トリエチルアミンの添加後の前記反応液に対して、無水トリフルオロ酢酸86μL(0.6mmol)を添加した。なお、前記反応液は無水トリフルオロ酢酸の添加後20分ほどで粘度が下がり、均一で透明な淡黄色の溶液(混合物)になった。次いで、得られた淡黄色の溶液を、窒素雰囲気、温度:20℃、圧力0.1MPaの条件下において、30rpmの撹拌速度で12時間撹拌した。このようにして、前記ポリアミド酸とトリエチルアミンと無水トリフルオロ酢酸とを含有する混合物を得た。
次に、前述のポリアミド酸の調製工程において得られたポリアミド酸を含有する反応液2.9g(ポリアミド酸の繰り返し単位のモル量(前記反応液中の前記繰り返し単位の総量):1.0mmol、前記反応液の約半量)を氷浴で冷却しながら、前記反応液にトリエチルアミン139μL(1.0mmol)を添加した。このようなトリエチルアミンの添加により前記反応液は粘度が一気に上昇し、一部が白く濁ったことから、前記反応液中では、ポリアミド酸のアミン塩が生成されたものと思われる。次いで、前記トリエチルアミンの添加後の前記反応液に対して、無水トリフルオロ酢酸86μL(0.6mmol)を添加した。なお、前記反応液は無水トリフルオロ酢酸の添加後20分ほどで粘度が下がり、均一で透明な淡黄色の溶液(混合物)になった。次いで、得られた淡黄色の溶液を、窒素雰囲気、温度:20℃、圧力0.1MPaの条件下において、30rpmの撹拌速度で12時間撹拌した。このようにして、前記ポリアミド酸とトリエチルアミンと無水トリフルオロ酢酸とを含有する混合物を得た。
なお、このような撹拌後の混合物中の成分の構造を確認するため、撹拌後に得られた混合物の一部を取り出し、メタノールに再沈殿させて白色の固体を得た後、これを乾燥してその一部をDMSO−d6に溶解させてNMR用試料を調製した。そして、このような乾燥試料およびNMR用試料を利用し、上述の分子構造の同定の方法に記載されている方法を利用してIR及び1H−NMRスペクトルを測定した。得られた結果のうち、前記混合物中の成分(前記再沈殿物)のIRスペクトルを図1に示し、前記混合物中の成分(前記再沈殿物)の1H−NMRスペクトルを図2に示し、図2に示す1H−NMRスペクトルの6ppm〜13ppm付近の拡大図を図3に示す。このような測定の結果(図1〜図3に示す結果)から、ポリアミド酸に由来するカルボン酸(−COOH)のプロトン(12ppm付近)と、アミド(NHCO)に由来するプロトン(10ppm付近)が観測され、ポリアミド酸の積分強度より閉環率が32%であることが確認された。このような結果から、前記混合物中のポリアミド酸は部分的にイミド化していることが分かった。なお、前記混合物においてはポリイミドは析出せず、十分に均一な溶液となっていた。
<ポリイミドの調製>
次に、前記混合物の調製工程により得られた混合物0.6mLを、ガラス基板の表面(縦75mm、横25mm)上に、流延することにより塗布(キャスト法により塗布)した後に、80℃の温度条件で、1hPaの圧力下、2時間静置することで溶媒(DMAc)を除去して乾燥させて、前記混合物の乾燥塗膜(厚み20μm)を得た。次に、前記混合物の乾燥塗膜を圧力1hPa、窒素雰囲気下、200℃の温度条件で1時間加熱処理してフィルムを得た。なお、得られたフィルムは、十分な強度(機械的な強度)を有するフレキシブルな透明フィルムであった。
次に、前記混合物の調製工程により得られた混合物0.6mLを、ガラス基板の表面(縦75mm、横25mm)上に、流延することにより塗布(キャスト法により塗布)した後に、80℃の温度条件で、1hPaの圧力下、2時間静置することで溶媒(DMAc)を除去して乾燥させて、前記混合物の乾燥塗膜(厚み20μm)を得た。次に、前記混合物の乾燥塗膜を圧力1hPa、窒素雰囲気下、200℃の温度条件で1時間加熱処理してフィルムを得た。なお、得られたフィルムは、十分な強度(機械的な強度)を有するフレキシブルな透明フィルムであった。
このようして得られたフィルムを形成する成分の構造を特定するため、得られたフィルムの一部を重クロロホルムに溶解させてNMR用試料を形成し、上記フィルムの一部を取り出したフィルム状試料(IR用試料)と、前述のようにして得られたNMR用試料とを利用し、上述の分子構造の同定の方法に記載されている方法を利用してIR及び1H−NMRスペクトルを測定した。得られた結果のうち、前記フィルムの構成成分のIRスペクトルを図4に示し、前記フィルムの構成成分の1H−NMRスペクトルを図5に示し、図5に示す1H−NMRスペクトルの6ppm付近〜13ppm付近の拡大図を図6に示す。このような測定の結果(図4〜図6に示す結果)から、閉環率を測定すると、アミド酸に由来するカルボン酸(−COOH)のプロトン(12ppm付近)やアミド(NHCO)に由来するプロトン(10ppm付近)が全く観測されないことから、完全にイミド化していることが明らかとなった。このような結果から、得られたフィルムは前記一般式(2)で表される繰り返し単位(式(2)中、R1が上記一般式(I−9)で表される基であり、かつ、R2が下記一般式(II−4−1)又は(II−4−2)で表される基である。)を有するポリイミドからなるものであることが分かった。
また、このようにして得られたポリイミド(フィルム)のガラス転移温度を、上述のガラス転移温度(Tg)の測定方法を採用して測定した結果、得られたポリイミド(フィルム)のTgは333℃であった。また、得られたポリイミド(フィルム)の線膨張係数を、上述の線膨張係数(CTE)の測定方法を採用して測定した結果、得られたポリイミド(フィルム)のCTEは56ppm/Kであった。また、上述の測定方法により平均透過率及び5%重量減少温度の求めたところ、得られたポリイミド(フィルム)の400〜800nmの波長域の光の平均透過率は88%であり、5%重量減少温度は488℃であった。
(実施例2)
<ポリアミド酸の調製>
実施例1で採用している「ポリアミド酸の調製」の方法と同様の方法を採用して、ポリアミド酸を含有する反応液を得た。
<ポリアミド酸の調製>
実施例1で採用している「ポリアミド酸の調製」の方法と同様の方法を採用して、ポリアミド酸を含有する反応液を得た。
<混合物の調製>
次に、前述のポリアミド酸の調製工程において得られたポリアミド酸を含有する反応液2.9g(ポリアミド酸の繰り返し単位のモル量:1.0mmol、前記反応液の約半量)を氷浴で冷却しながら、トリエチルアミン278μL(2.0mmol)と無水トリフルオロ酢酸287μL(2.0mmol)とを順次添加した後、窒素雰囲気、温度:20℃、圧力0.1MPaの条件下で23時間、30rpmの撹拌速度で撹拌し、前記ポリアミド酸とトリエチルアミンと無水トリフルオロ酢酸とを含有する混合物を得た。なお、このような撹拌の結果、得られた混合物は、均一で透明な淡黄色の溶液となった。
次に、前述のポリアミド酸の調製工程において得られたポリアミド酸を含有する反応液2.9g(ポリアミド酸の繰り返し単位のモル量:1.0mmol、前記反応液の約半量)を氷浴で冷却しながら、トリエチルアミン278μL(2.0mmol)と無水トリフルオロ酢酸287μL(2.0mmol)とを順次添加した後、窒素雰囲気、温度:20℃、圧力0.1MPaの条件下で23時間、30rpmの撹拌速度で撹拌し、前記ポリアミド酸とトリエチルアミンと無水トリフルオロ酢酸とを含有する混合物を得た。なお、このような撹拌の結果、得られた混合物は、均一で透明な淡黄色の溶液となった。
なお、撹拌後の混合物中の成分の構造を確認するため、実施例1と同様にしてIR及び1H−NMRスペクトルを測定した。得られた結果のうち、前記混合物中の成分(前記再沈殿物)のIRスペクトルを図7に示し、前記混合物中の成分(前記再沈殿物)の1H−NMRスペクトルを図8に示し、図8に示す1H−NMRスペクトルの6ppm付近〜13ppm付近の拡大図を図9に示す。このような測定の結果(図8〜図9に示す結果)から、前記再沈殿物においては、ポリアミド酸に由来するカルボン酸(−COOH)のプロトン(12ppm付近)と、アミド(NHCO)に由来するプロトン(10ppm付近)が観測され、積分強度よりポリアミド酸の閉環率が40%であることが確認された。このような結果から、前記混合物中のポリアミド酸は部分的にイミド化していることが分かった。なお、前記混合物においてはポリイミドは析出せず、十分に均一な液体となっていた。
<ポリイミドの調製>
次いで、前記混合物として、上述の混合物の調製工程により得られた混合物を用いる以外は、実施例1で採用している「ポリイミドの調製」の方法と同様の方法を採用して、ポリイミド(フィルム)を得た。なお、得られたフィルムは、十分な強度(機械的な強度)を有するフレキシブルな透明フィルムであった。
次いで、前記混合物として、上述の混合物の調製工程により得られた混合物を用いる以外は、実施例1で採用している「ポリイミドの調製」の方法と同様の方法を採用して、ポリイミド(フィルム)を得た。なお、得られたフィルムは、十分な強度(機械的な強度)を有するフレキシブルな透明フィルムであった。
このようなフィルムを形成する成分の構造を特定するため、実施例1と同様にしてIR及び1H−NMRスペクトルを測定した。得られた結果のうち、前記フィルムの構成成分のIRスペクトルを図10に示し、前記フィルムの構成成分の1H−NMRスペクトルを図11に示し、図11に示す1H−NMRスペクトルの6ppm付近〜13ppm付近の拡大図を図12に示す。このような測定の結果(図10〜図12に示す結果)から、閉環率を測定すると、アミド酸に由来するカルボン酸(−COOH)のプロトン(12ppm付近)やアミド(NHCO)に由来するプロトン(10ppm付近)が全く観測されないことから、完全にイミド化していることが明らかとなった。このような結果から、得られたフィルムは前記一般式(2)で表される繰り返し単位(式(2)中、R1が上記一般式(I−9)で表される基であり、かつ、R2が下記一般式(II−4−1)又は(II−4−2)で表される基である。)を有するポリイミドからなるものであることが分かった。
また、実施例1と同様に、得られたポリイミド(フィルム)のガラス転移温度(Tg)、線膨張係数(CTE)、400〜800nmの波長域の光の平均透過率、5%重量減少温度を求めたところ、Tgは333℃であり、CTEは57ppm/Kであり、前記平均透過率は88%であり、5%重量減少温度は484℃であった。
(実施例3)
<ポリアミド酸の調製>
3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(0.40052g、2.000mmol)を用いる代わりに4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−DDE、0.40053g、2.000mmol)を用い、酸二無水物(A)の使用量を0.76879g(2.00mmol)から0.76878g(2.00mmol)に変更した以外は、実施例1で採用している「ポリアミド酸の調製」の方法と同様の方法を採用して、ポリアミド酸を含有する反応液を得た。
<ポリアミド酸の調製>
3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(0.40052g、2.000mmol)を用いる代わりに4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−DDE、0.40053g、2.000mmol)を用い、酸二無水物(A)の使用量を0.76879g(2.00mmol)から0.76878g(2.00mmol)に変更した以外は、実施例1で採用している「ポリアミド酸の調製」の方法と同様の方法を採用して、ポリアミド酸を含有する反応液を得た。
なお、得られたポリアミド酸は、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸であり、かかる繰り返し単位は、式(1)中のR1が上記一般式(I−9)で表される基であり、かつ、R2が下記一般式(II−4−3):
で表される基である。また、前述の固有粘度[η]の測定方法を採用して、実施例1と同様に得られたポリアミド酸の固有粘度[η]を求めたところ、固有粘度[η]は0.87dL/gであった。
<混合物の調製>
次に、上述のようにして得られたポリアミド酸を含有する反応液を用いた以外は、実施例1で採用している「混合物の調製」の方法と同様の方法を採用して、混合物を得た。なお、撹拌後の混合物中の成分の構造を実施例1と同様にして測定した結果、1H−NMRスペクトルにおいて、アミド酸に由来するカルボン酸(−COOH)のプロトンとアミド(NHCO)に由来するプロトンが観測され、積分強度より求められるポリアミド酸の閉環率が40%であることが確認された。このような結果から、前記混合物中のポリアミド酸は部分的にイミド化していることが分かった。なお、前記混合物においてはポリイミドは析出せず、十分に均一な溶液となっていた。
次に、上述のようにして得られたポリアミド酸を含有する反応液を用いた以外は、実施例1で採用している「混合物の調製」の方法と同様の方法を採用して、混合物を得た。なお、撹拌後の混合物中の成分の構造を実施例1と同様にして測定した結果、1H−NMRスペクトルにおいて、アミド酸に由来するカルボン酸(−COOH)のプロトンとアミド(NHCO)に由来するプロトンが観測され、積分強度より求められるポリアミド酸の閉環率が40%であることが確認された。このような結果から、前記混合物中のポリアミド酸は部分的にイミド化していることが分かった。なお、前記混合物においてはポリイミドは析出せず、十分に均一な溶液となっていた。
<ポリイミドの調製>
次いで、前記混合物として、上述の混合物の調製工程により得られた混合物を用いる以外は、実施例1で採用している「ポリイミドの調製」の方法と同様の方法を採用して、ポリイミド(フィルム)を得た。なお、得られたフィルムは、十分な強度(機械的な強度)を有するフレキシブルな透明フィルムであった。
次いで、前記混合物として、上述の混合物の調製工程により得られた混合物を用いる以外は、実施例1で採用している「ポリイミドの調製」の方法と同様の方法を採用して、ポリイミド(フィルム)を得た。なお、得られたフィルムは、十分な強度(機械的な強度)を有するフレキシブルな透明フィルムであった。
このようなフィルムを形成する成分の構造を特定するため、実施例1と同様にしてIR及び1H−NMRスペクトルを測定した。このようなIR及び1H−NMRスペクトルの測定結果に基づいて、得られたフィルム中のポリアミド酸の閉環率を測定すると、アミド酸に由来するカルボン酸(−COOH)のプロトンやアミド(NHCO)に由来するプロトンが全く観測されないことから、完全にイミド化していることが明らかとなった。このような結果から、得られたフィルムは前記一般式(2)で表される繰り返し単位(式(2)中、R1が上記一般式(I−9)で表される基であり、かつ、R2が上記一般式(II−4−3)で表される基である。)を有するポリイミドからなるものであることが分かった。
また、実施例1と同様に、得られたポリイミド(フィルム)のガラス転移温度(Tg)、線膨張係数(CTE)、400〜800nmの波長域の光の平均透過率、5%重量減少温度を求めたところ、Tgは354℃であり、CTEは49ppm/Kであり、前記平均透過率は87%であり、5%重量減少温度は468℃であった。
(実施例4)
<ポリアミド酸の調製>
三口フラスコに4,4’−ジアミノベンズアニリド(0.45452g、2.000mmol、以下、場合により「4,4’−DABA」と称する。)とDMAc(2.00g)を加えて、窒素気流下、温度:20℃、圧力0.1MPaの条件で、メカニカルスターラーで10分ほど撹拌して溶解液を得た。次に、前記溶解液が導入されている前記三口フラスコに、上記一般式(6)で表されるテトラカルボン酸二無水物0.76878g(2.00mmol:酸二無水物(A))を、ロートを用いて導入した。なお、ロートに付着した前記テトラカルボン酸二無水物はDMAc(2.90g)で流し入れて、全量(0.76878g)を前記溶解液中に導入した。
<ポリアミド酸の調製>
三口フラスコに4,4’−ジアミノベンズアニリド(0.45452g、2.000mmol、以下、場合により「4,4’−DABA」と称する。)とDMAc(2.00g)を加えて、窒素気流下、温度:20℃、圧力0.1MPaの条件で、メカニカルスターラーで10分ほど撹拌して溶解液を得た。次に、前記溶解液が導入されている前記三口フラスコに、上記一般式(6)で表されるテトラカルボン酸二無水物0.76878g(2.00mmol:酸二無水物(A))を、ロートを用いて導入した。なお、ロートに付着した前記テトラカルボン酸二無水物はDMAc(2.90g)で流し入れて、全量(0.76878g)を前記溶解液中に導入した。
次いで、前記テトラカルボン酸二無水物が導入された前記溶解液を、窒素雰囲気、温度:20℃、圧力0.1MPaの条件下において、メカニカルスターラーで30rpmの撹拌速度で18時間撹拌を続けて、前記テトラカルボン酸二無水物と4,4’−DABAとを反応せしめてポリアミド酸を生成し、ポリアミド酸を含有する反応液を得た。なお、得られたポリアミド酸は、一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸であり、かかる繰り返し単位は、式(1)中のR1が上記一般式(I−9)で表される基であり、かつ、R2が下記一般式(II−4−4):
で表される基である。また、前述の固有粘度[η]の測定方法を採用して、実施例1と同様に得られたポリアミド酸の固有粘度[η]を求めたところ、固有粘度[η]は0.77dL/gであった。
<混合物の調製>
次に、前述のポリアミド酸の調製工程において得られたポリアミド酸を含有する反応液3.1g(ポリアミド酸繰り返し単位の量:1.0mmol、前記反応液の約半量)を6.0gのDMAcで希釈した後、氷浴で冷却しながら、前記反応液にトリエチルアミン139μL(1.0mmol)を添加した。このようなトリエチルアミンの添加により前記反応液は粘度が一気に上昇し、一部ゲル状のものが生成したが、20℃の温度条件で3時間ほど撹拌したところ、均一な溶液が得られた。次に、前記溶液を氷浴で冷却しながら、前記溶液に無水トリフルオロ酢酸86μL(0.6mmol)を添加した。なお、前記溶液は無水トリフルオロ酢酸の添加後20分ほどで粘度が下がり、均一で透明な溶液になった。次いで、得られた透明な溶液を窒素雰囲気、温度:20℃、圧力0.1MPaの条件下において、30rpmの撹拌速度で12時間撹拌した。このようにして、前記ポリアミド酸とトリエチルアミンと無水トリフルオロ酢酸とを含有する混合物を得た。
次に、前述のポリアミド酸の調製工程において得られたポリアミド酸を含有する反応液3.1g(ポリアミド酸繰り返し単位の量:1.0mmol、前記反応液の約半量)を6.0gのDMAcで希釈した後、氷浴で冷却しながら、前記反応液にトリエチルアミン139μL(1.0mmol)を添加した。このようなトリエチルアミンの添加により前記反応液は粘度が一気に上昇し、一部ゲル状のものが生成したが、20℃の温度条件で3時間ほど撹拌したところ、均一な溶液が得られた。次に、前記溶液を氷浴で冷却しながら、前記溶液に無水トリフルオロ酢酸86μL(0.6mmol)を添加した。なお、前記溶液は無水トリフルオロ酢酸の添加後20分ほどで粘度が下がり、均一で透明な溶液になった。次いで、得られた透明な溶液を窒素雰囲気、温度:20℃、圧力0.1MPaの条件下において、30rpmの撹拌速度で12時間撹拌した。このようにして、前記ポリアミド酸とトリエチルアミンと無水トリフルオロ酢酸とを含有する混合物を得た。
なお、撹拌後の混合物中の成分の構造を実施例1と同様にして測定した結果、1H−NMRスペクトルにおいて、アミド酸に由来するカルボン酸(−COOH)のプロトンとアミド(NHCO)に由来するプロトンが観測され、積分強度より求められるポリアミド酸の閉環率が40%であることが確認された。このような結果から、前記混合物中のポリアミド酸は部分的にイミド化していることが分かった。なお、前記混合物においてはポリイミドは析出せず、十分に均一な溶液となっていた。
<ポリイミドの調製>
次いで、前記混合物として、上述の混合物の調製工程により得られた混合物を用いる以外は、実施例1で採用している「ポリイミドの調製」の方法と同様の方法を採用して、ポリイミド(フィルム)を得た。なお、得られたフィルムは、十分な強度(機械的な強度)を有するフレキシブルな透明フィルムであった。
次いで、前記混合物として、上述の混合物の調製工程により得られた混合物を用いる以外は、実施例1で採用している「ポリイミドの調製」の方法と同様の方法を採用して、ポリイミド(フィルム)を得た。なお、得られたフィルムは、十分な強度(機械的な強度)を有するフレキシブルな透明フィルムであった。
このようなフィルムを形成する成分の構造を特定するため、実施例1と同様にしてIR及び1H−NMRスペクトルを測定した。このようなIR及び1H−NMRスペクトルの測定結果に基づいて、得られたフィルム中のポリアミド酸の閉環率を測定すると、アミド酸に由来するカルボン酸(−COOH)のプロトンやアミド(NHCO)に由来するプロトンが全く観測されないことから、完全にイミド化していることが明らかとなった。このような結果から、得られたフィルムは前記一般式(2)で表される繰り返し単位(式(2)中、R1が上記一般式(I−9)で表される基であり、かつ、R2が上記一般式(II−4−4)で表される基である。)を有するポリイミドからなるものであることが分かった。
また、実施例1と同様に、得られたポリイミド(フィルム)のガラス転移温度(Tg)、線膨張係数(CTE)、400〜800nmの波長域の光の平均透過率、5%重量減少温度を求めたところ、Tgは400℃以上であり、CTEは15ppm/Kであり、前記平均透過率は87%であり、5%重量減少温度は481℃であった。
(比較例1)
混合物の調製工程を実施せず、ポリイミドの調製工程において、前記混合物を用いる代わりに、前記ポリアミド酸の調製工程において得られたポリアミド酸を含有する反応液を用い(トリエチルアミンと無水トリフルオロ酢酸とを添加していない前記反応液を用い)、かつ、ポリイミドの調製工程において、乾燥塗膜の加熱処理時の温度条件を200℃から300℃に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリイミド(フィルム)を調製した。しかしながら、フレキシブルなフィルムは得られず、得られたフィルムは脆い(ブリットル)ものとなった。
混合物の調製工程を実施せず、ポリイミドの調製工程において、前記混合物を用いる代わりに、前記ポリアミド酸の調製工程において得られたポリアミド酸を含有する反応液を用い(トリエチルアミンと無水トリフルオロ酢酸とを添加していない前記反応液を用い)、かつ、ポリイミドの調製工程において、乾燥塗膜の加熱処理時の温度条件を200℃から300℃に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリイミド(フィルム)を調製した。しかしながら、フレキシブルなフィルムは得られず、得られたフィルムは脆い(ブリットル)ものとなった。
(比較例2)
乾燥塗膜の加熱処理時の温度条件を300℃から350℃に変更した以外は、比較例1と同様にして、ポリイミド(フィルム)を得た。得られたフィルムは、フレキシブルな透明フィルムであった。なお、実施例1と同様に、得られたポリイミド(フィルム)のガラス転移温度(Tg)、線膨張係数(CTE)、400〜800nmの波長域の光の平均透過率、5%重量減少温度を求めたところ、Tgは333℃であり、CTEは57ppm/Kであり、前記平均透過率は84%であり、5%重量減少温度は484℃であった。
乾燥塗膜の加熱処理時の温度条件を300℃から350℃に変更した以外は、比較例1と同様にして、ポリイミド(フィルム)を得た。得られたフィルムは、フレキシブルな透明フィルムであった。なお、実施例1と同様に、得られたポリイミド(フィルム)のガラス転移温度(Tg)、線膨張係数(CTE)、400〜800nmの波長域の光の平均透過率、5%重量減少温度を求めたところ、Tgは333℃であり、CTEは57ppm/Kであり、前記平均透過率は84%であり、5%重量減少温度は484℃であった。
(比較例3)
<ポリアミド酸の調製>
実施例1で採用している「ポリアミド酸の調製」の方法と同様の方法を採用して、ポリアミド酸を含有する反応液を得た。
<ポリアミド酸の調製>
実施例1で採用している「ポリアミド酸の調製」の方法と同様の方法を採用して、ポリアミド酸を含有する反応液を得た。
<混合物の調製>
次に、前述のポリアミド酸の調製工程において得られたポリアミド酸を含有する反応液2.9g(ポリアミド酸の繰り返し単位のモル量:1.0mmol、前記反応液の約半量)を用い、前記反応液にトリエチルアミン139μL(1.0mmol)を添加する代わりにピリジン81μL(1.0mmol)を添加した以外は、実施例1で採用している「混合物の調製」の方法と同様の方法を採用して、ポリアミド酸2.9g(繰り返し単位の量として1.0mmol)とピリジン81μL(1.0mmol)と無水トリフルオロ酢酸86μL(0.6mmol)とを含有する混合物を得た。
次に、前述のポリアミド酸の調製工程において得られたポリアミド酸を含有する反応液2.9g(ポリアミド酸の繰り返し単位のモル量:1.0mmol、前記反応液の約半量)を用い、前記反応液にトリエチルアミン139μL(1.0mmol)を添加する代わりにピリジン81μL(1.0mmol)を添加した以外は、実施例1で採用している「混合物の調製」の方法と同様の方法を採用して、ポリアミド酸2.9g(繰り返し単位の量として1.0mmol)とピリジン81μL(1.0mmol)と無水トリフルオロ酢酸86μL(0.6mmol)とを含有する混合物を得た。
<ポリイミドの調製>
次いで、前記混合物として、上述の混合物の調製工程により得られた混合物を用いる以外は、実施例1で採用している「ポリイミドの調製」の方法と同様の方法(加熱温度:200℃)を採用して、ポリイミド(フィルム)を調製した。しかしながら、フレキシブルなフィルムは得られず、得られたフィルムは脆い(ブリットル)ものとなった。
次いで、前記混合物として、上述の混合物の調製工程により得られた混合物を用いる以外は、実施例1で採用している「ポリイミドの調製」の方法と同様の方法(加熱温度:200℃)を採用して、ポリイミド(フィルム)を調製した。しかしながら、フレキシブルなフィルムは得られず、得られたフィルムは脆い(ブリットル)ものとなった。
(比較例4)
ポリイミドの調製工程において、乾燥塗膜の加熱処理時の温度条件を200℃から350℃に変更した以外は、比較例3と同様にして、ポリイミド(フィルム)を調製した。しかしながら、フレキシブルなフィルムは得られず、得られたフィルムは脆い(ブリットル)ものとなった。
ポリイミドの調製工程において、乾燥塗膜の加熱処理時の温度条件を200℃から350℃に変更した以外は、比較例3と同様にして、ポリイミド(フィルム)を調製した。しかしながら、フレキシブルなフィルムは得られず、得られたフィルムは脆い(ブリットル)ものとなった。
(比較例5)
<ポリアミド酸の調製>
実施例1で採用している「ポリアミド酸の調製」の方法と同様の方法を採用して、ポリアミド酸を含有する反応液を得た。
<ポリアミド酸の調製>
実施例1で採用している「ポリアミド酸の調製」の方法と同様の方法を採用して、ポリアミド酸を含有する反応液を得た。
<混合物の調製>
次に、前述のポリアミド酸の調製工程において得られたポリアミド酸を含有する反応液2.9g(ポリアミド酸の繰り返し単位のモル量:1.0mmol、前記反応液の約半量)を用い、反応液中に無水トリフルオロ酢酸86μL(0.6mmol)を添加する代わりに無水酢酸57μL(0.6mmol)を添加した以外は、実施例1で採用している「混合物の調製」の方法と同様の方法を採用して、ポリアミド酸2.9g(繰り返し単位の量として1.0mmol)とトリエチルアミン139μL(1.0mmol)と無水酢酸57μL(0.6mmol)とを含有する混合物を得た。
次に、前述のポリアミド酸の調製工程において得られたポリアミド酸を含有する反応液2.9g(ポリアミド酸の繰り返し単位のモル量:1.0mmol、前記反応液の約半量)を用い、反応液中に無水トリフルオロ酢酸86μL(0.6mmol)を添加する代わりに無水酢酸57μL(0.6mmol)を添加した以外は、実施例1で採用している「混合物の調製」の方法と同様の方法を採用して、ポリアミド酸2.9g(繰り返し単位の量として1.0mmol)とトリエチルアミン139μL(1.0mmol)と無水酢酸57μL(0.6mmol)とを含有する混合物を得た。
<ポリイミドの調製>
次いで、前記混合物として、上述の混合物の調製工程により得られた混合物を用いる以外は、実施例1で採用している「ポリイミドの調製」の方法と同様の方法(加熱温度:200℃)を採用して、ポリイミド(フィルム)を調製した。しかしながら、フレキシブルなフィルムは得られず、得られたフィルムは脆い(ブリットル)ものとなった。
次いで、前記混合物として、上述の混合物の調製工程により得られた混合物を用いる以外は、実施例1で採用している「ポリイミドの調製」の方法と同様の方法(加熱温度:200℃)を採用して、ポリイミド(フィルム)を調製した。しかしながら、フレキシブルなフィルムは得られず、得られたフィルムは脆い(ブリットル)ものとなった。
(比較例6)
ポリイミドの調製工程において、乾燥塗膜の加熱処理時の温度条件を200℃から300℃に変更した以外は、比較例5と同様にして、ポリイミド(フィルム)を調製した。しかしながら、フレキシブルなフィルムは得られず、得られたフィルムは脆い(ブリットル)ものとなった。
ポリイミドの調製工程において、乾燥塗膜の加熱処理時の温度条件を200℃から300℃に変更した以外は、比較例5と同様にして、ポリイミド(フィルム)を調製した。しかしながら、フレキシブルなフィルムは得られず、得られたフィルムは脆い(ブリットル)ものとなった。
(比較例7)
ポリイミドの調製工程において、乾燥塗膜の加熱処理時の温度条件を200℃から350℃に変更した以外は、比較例5と同様にして、ポリイミド(フィルム)を調製した。得られたフィルムは、フレキシブルな透明フィルムであった。なお、実施例1と同様に、得られたポリイミド(フィルム)のガラス転移温度(Tg)、線膨張係数(CTE)、400〜800nmの波長域の光の平均透過率、5%重量減少温度を求めたところ、Tgは333℃であり、CTEは57ppm/Kであり、前記平均透過率は85%であり、5%重量減少温度は484℃であった。
ポリイミドの調製工程において、乾燥塗膜の加熱処理時の温度条件を200℃から350℃に変更した以外は、比較例5と同様にして、ポリイミド(フィルム)を調製した。得られたフィルムは、フレキシブルな透明フィルムであった。なお、実施例1と同様に、得られたポリイミド(フィルム)のガラス転移温度(Tg)、線膨張係数(CTE)、400〜800nmの波長域の光の平均透過率、5%重量減少温度を求めたところ、Tgは333℃であり、CTEは57ppm/Kであり、前記平均透過率は85%であり、5%重量減少温度は484℃であった。
(比較例8)
<ポリアミド酸の調製>
実施例1で採用している「ポリアミド酸の調製」の方法と同様の方法を採用して、ポリアミド酸を含有する反応液を得た。
<ポリアミド酸の調製>
実施例1で採用している「ポリアミド酸の調製」の方法と同様の方法を採用して、ポリアミド酸を含有する反応液を得た。
<混合物の調製>
次に、前述のポリアミド酸の調製工程において得られたポリアミド酸を含有する反応液2.9g(ポリアミド酸繰り返し単位の量:1.0mmol、前記反応液の約半量)を用い、前記反応液にトリエチルアミン139μL(1.0mmol)を添加する代わりにピリジン81μL(1.0mmol)を添加し、更に、前記反応液に無水トリフルオロ酢酸86μL(0.6mmol)を添加する代わりに無水酢酸57μL(0.6mmol)を添加した以外は、実施例1で採用している「混合物の調製」の方法と同様の方法を採用して、ポリアミド酸2.9g(1.0mmol)とピリジン81μL(1.0mmol)と無水酢酸57μL(0.6mmol)とを含有する混合物を得た。しかしながら、得られた混合物は、均一なものとはならず、かかる混合物中にDMAcに不溶なゲルが生成されたため、ガラス基板にキャストすることが出来ず、フィルムを形成することができなかった。
次に、前述のポリアミド酸の調製工程において得られたポリアミド酸を含有する反応液2.9g(ポリアミド酸繰り返し単位の量:1.0mmol、前記反応液の約半量)を用い、前記反応液にトリエチルアミン139μL(1.0mmol)を添加する代わりにピリジン81μL(1.0mmol)を添加し、更に、前記反応液に無水トリフルオロ酢酸86μL(0.6mmol)を添加する代わりに無水酢酸57μL(0.6mmol)を添加した以外は、実施例1で採用している「混合物の調製」の方法と同様の方法を採用して、ポリアミド酸2.9g(1.0mmol)とピリジン81μL(1.0mmol)と無水酢酸57μL(0.6mmol)とを含有する混合物を得た。しかしながら、得られた混合物は、均一なものとはならず、かかる混合物中にDMAcに不溶なゲルが生成されたため、ガラス基板にキャストすることが出来ず、フィルムを形成することができなかった。
以下、各実施例及び各比較例に関して、ポリアミド酸(ポリアミック酸)の調製に用いた原料化合物等を表1に示し、各実施例及び各比較例において調製した混合物の特性及び調製条件を表2に示し、各実施例及び各比較例において調製したポリイミドの特性を表3に示す。
表1〜3に示した結果から明らかなように、ハロゲン系カルボン酸無水物(無水トリフルオロ酢酸)と、脂肪族系三級アミン(トリエチルアミン)とをイミド化剤として組み合わせて利用した場合、すなわち、前記ポリアミド酸とハロゲン系カルボン酸無水物(無水トリフルオロ酢酸)と脂肪族系三級アミン(トリエチルアミン)とを含有する混合物を用いた場合(実施例1〜4)においては、その混合物を200℃という十分に低い温度で加熱(焼成)しているにもかかわらず、十分な強度(機械的な強度)を有するフレキシブルなポリイミドが製造されていることが確認された。また、前記ポリアミド酸とハロゲン系カルボン酸無水物と脂肪族系三級アミンとを含有する混合物を用いた場合(実施例1〜4)には、得られたポリイミド(フィルム)の平均透過率がいずれも87%以上となっており、製造時の着色が十分に抑制されていることが確認されるとともに、得られたポリイミド(フィルム)のTgがいずれも330℃以上になっており、更には、5%重量減少温度が460℃以上になっており、十分に高度な耐熱性を有することが確認された。このような結果から、本発明(実施例1〜4)においては、イミド化剤を用いる化学イミド化法を利用して、200℃という十分に低温の加熱で、十分な柔軟性、十分に高度な光透過性及び十分に高い耐熱性を有するポリイミドを効率よく製造することが可能であることが分かった。
これに対して、イミド化剤を何ら利用せず、300℃(Tgよりも低い温度)の温度条件で加熱して熱イミド化を図った場合(比較例1)には、得られるポリイミドは脆く、強度が十分なものではなく、フィルムとして利用できるものとはならなかった。なお、このような結果は、300℃の熱イミド化のみでは、ガラス転移温度よりも熱イミド化温度が低いため、ポリアミド酸の分子鎖が動くことができず、分子量の向上とイミド化率の向上とを達成し得ないことに起因するものと本発明者らは推察する。また、イミド化剤を何ら利用せず、350℃(Tgよりも高い温度)の温度条件で加熱して熱イミド化を図った場合(比較例2)には、十分な強度(機械的な強度)を有するフレキシブルなポリイミドは得られたものの、透過率が84%となっており、光透過性の点で必ずしも十分なものとはならなかった。このように、イミド化剤を何ら利用せず、350℃の温度条件で加熱して熱イミド化を図った場合(比較例2)には、必ずしも十分に着色を抑制することができず、十分に高度な光透過性を有するポリイミドを製造することはできないことが分かった。このような比較例1及び2の結果から、上述の比較例で採用しているようなイミド化剤を何ら利用しない系では、300℃、1時間程度の加熱では十分な柔軟性を有するポリイミドを得ることができず、十分な柔軟性を有するポリイミドを得るためには、より高温の加熱(比較例2では350℃の加熱を採用)を施す必要があり、ポリイミドの製造時の加熱温度を十分に低減することはできないことが分かった。
また、上述のような結果から、イミド化剤を用いる場合であっても、ピリジンとハロゲン系カルボン酸無水物(無水トリフルオロ酢酸)とを組み合わせて利用した場合(比較例3及び4)においては、350℃という高温で加熱した場合であっても、十分な強度を有するフレキシブルなポリイミドを形成することができないことも分かった。更に、イミド化剤を用いる場合であっても、脂肪族系三級アミン(トリエチルアミン)と無水酢酸とを組み合わせて利用した場合(比較例5〜7)においては、200℃や300℃の加熱温度(比較例5及び6)では、形成されたポリイミドが脆くなり、フレキシブルなフィルムは得られず、比較例7で採用しているような350℃という高温の加熱温度によって、はじめてフレキシブルなフィルムが得られた。なお、350℃という加熱温度は、通常の熱イミド化において採用される加熱温度と同様の温度である。また、350℃の温度条件で加熱して熱イミド化を図った場合(比較例7)に、得られたポリイミドの平均透過率が85%となっていたことから、350℃の加熱温度条件を採用した場合(比較例7)には、特に、ポリイミドの製造に同じモノマーを用いる実施例1〜2(200℃の加熱温度条件を採用)と比較して、必ずしも十分に着色を抑制することができず、十分に高度な光透過性を有するポリイミドを必ずしも製造することはできないことも分かった。また、イミド化剤を用いる場合であっても、ピリジン、無水酢酸を組み合わせて利用する系(比較例8)では、混合物を塗布することすらできず、フィルム状のポリイミドを製造することすらできなかった。
このような比較例1〜8に記載の製造例の結果を考慮すれば、イミド化剤を用いる場合であっても、ハロゲン系カルボン酸無水物と、脂肪族系三級アミンとを組み合わせて利用していない比較例1〜8の系を採用した場合においては、化学イミド化を必ずしも十分に活用することができず、十分な柔軟性を有するポリイミドを製造するためには、比較的高温(例えば300℃よりも高い温度)での加熱が必要となることが分かる。
以上説明したように、本発明によれば、化学イミド化法を利用しながら十分に高度な耐熱性を有する脂環式のポリイミドを製造することが可能となり、比較的低温の加熱で十分な柔軟性を有するポリイミドを製造でき、製造時のポリイミドの着色をより確実に防止することが可能であり、より低温の加熱温度を採用して十分に高度な光透過性と十分に高い耐熱性と十分な柔軟性とを有するポリイミドをより効率よくかつ確実に製造することを可能とするポリイミドの製造方法、及び、その製造方法により得られるポリイミドを提供することが可能となる。
このように、本発明のポリイミドの製造方法によって、従来では困難であった低温での熱イミド化が可能となり、着色を最小限に抑制できることから、極めて透明性に優れたポリイミドを付与することが可能となる。そのため、本発明のポリイミドの製造方法は、例えば、非常に高度な透明性が要求される液晶配向膜用のポリイミド;有機EL(ボトムエミッション型、トップエミッション型、シースルー型等)の透明電極基板用のポリイミド;有機EL照明用のポリイミド;タッチパネルの透明電極基板用のポリイミド;太陽電池の透明電極基板用のポリイミド;電子ペーパーの透明電極基板用のポリイミド;複写機用の透明ポリイミドベルト向けのポリイミド;各種のガスバリアフィルム基板材料;フレキシブル配線基板用のポリイミド;耐熱絶縁テープ用のポリイミド;電線エナメル用のポリイミド;半導体の保護コーティング用のポリイミド;FPC、光導波路、イメージセンサー、LED反射板、LED照明用カバー、スケルトン型FPC、カバーレイフィルム、チップオンフィルム、高延性複合体基板、液晶配向膜、ポリイミドコーティング材(DRAM、フラッシュメモリ、次世代LSIなどのバッファーコート材)、半導体向けレジスト、各種の電材等の用途に用いるフィルムの形成用の材料としてのポリイミド;リチウムイオン電池等の各種バッテリーの材料等を製造するための原料化合物(原料モノマー)としてのポリイミド等に用いる素材(ポリイミド)を製造する方法等として特に有用である。
Claims (8)
- 下記一般式(1):
で表される2価の置換基群の中から選択される基を示す。]
で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸と、ハロゲン系カルボン酸無水物と、脂肪族系三級アミンとを含有する混合物を用いて、前記ポリアミド酸をイミド化することにより、下記一般式(2):
で表される繰り返し単位を有するポリイミドを得ることを特徴とするポリイミドの製造方法。 - 前記ポリアミド酸をイミド化する工程に、前記ポリイミドのガラス転移温度よりも80〜300℃低い温度で前記混合物を加熱する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリイミドの製造方法。
- 前記混合物中の前記ハロゲン系カルボン酸無水物の含有割合が、前記ポリアミド酸の繰り返し単位1モルに対して0.01〜4.0モルであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリイミドの製造方法。
- 前記混合物中の前記脂肪族系三級アミンの含有割合が、前記ポリアミド酸の繰り返し単位1モルに対して0.01〜4.0モルであることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のポリイミドの製造方法。
- 有機溶媒中で下記一般式(3):
で表されるテトラカルボン酸二無水物と、下記一般式(4):
で表される芳香族ジアミンとを反応せしめることにより前記ポリアミド酸を得る工程を更に含むことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のポリイミドの製造方法。 - 前記ハロゲン系カルボン酸無水物が、無水トリフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水フルオロ酢酸、無水ペンタフルオロプロピオン酸、無水ヘプタフルオロ酪酸、無水トリクロロ酢酸、無水ジクロロ酢酸、無水クロロ酢酸、無水トリブロモ酢酸、無水ジブロモ酢酸、無水ブロモ酢酸、無水クロロジフルオロ酢酸、無水クロロテトラフルオロプロピオン酸、無水クロロヘキサフルオロ酪酸及びこれらの無水物を形成する酸の混合酸無水物の中から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載のポリイミドの製造方法。
- 前記脂肪族系三級アミンが、下記一般式(5):
で表される三級アミンであることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載のポリイミドの製造方法。 - 請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載のポリイミドの製造方法により得られたポリイミドであることを特徴とするポリイミド。
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