JP2015108069A - 熱分解性樹脂バインダー - Google Patents

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Abstract

【課題】無機粉末の分散安定性および熱分解性に優れ、さらにグリーンテープを製造する際に生じた裁断残などの余剰物を溶媒に溶解させる際に当該余剰物に含まれている熱分解性樹脂を効率よく溶解させる性質にも優れた熱分解性樹脂バインダーを提供する。
【解決手段】環構造含有単量体3〜95質量%および極性官能基含有単量体0.1〜5質量%を含有し、残部が前記環構造含有単量体および極性官能基含有単量体と共重合可能な単量体である単量体成分を重合させてなる熱分解性重合体を含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱分解性樹脂バインダーに関する。さらに詳しくは、本発明は、例えば、焼結シート用熱分解性樹脂バインダーなどとして好適に使用することができる熱分解性樹脂バインダーに関する。
セラミックシートまたは小型セラミック成形体を製造する際には、グリーンシート(焼結前生シート)が用いられている。グリーンシートは、例えば、セラミックスの原料である無機粉末と樹脂バインダーとを混合することによって得られたスラリーを、離形性を有する基材に塗布し、乾燥させた後、形成されたグリーンシートを基材から剥離することによって製造されている。また、セラミックシートまたは小型セラミック成形体は、このグリーンシートからバインダーを除去した後、当該グリーンシートを焼結させることによって製造されている。
ところで、近年、セラミックスの高機能化に伴い、セラミックスの前駆体である無機粉末の微細化(例えば、粒子径を1μm以下に調整)が検討されている。当該無機粉末の微細化に伴い、前記樹脂バインダーには、無機粉末の分散安定性を向上させることが求められている。樹脂バインダーにおける無機粉末の分散安定性を向上させるために、樹脂バインダーとして水酸基と水素結合し得る官能基を有する(メタ)アクリレートポリマー、水酸基を3個以上有する有機化合物および非イオン性界面活性剤を含有するバインダー組成物を用いることが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
一般に、グリーンテープを所定形状に成形した際に副生するグリーンテープの裁断残などの余剰物を有効活用するために、当該裁断残などの余剰物を溶媒に溶解させ、得られた溶液から無機粉末を分離し、無機粉末を回収するという操作が採られている。しかし、グリーンテープの裁断残などの余剰物は、溶媒に対する溶解性に劣るとともに、当該グリーンテープに使用されている樹脂バインダーの熱分解性が低いことから、焼成後に残炭物が副生する。
特開2006−249248号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、無機粉末の分散安定性および熱分解性に優れ、さらにグリーンテープを製造する際に生じた裁断残などの余剰物を溶媒に溶解させたときに当該余剰物に含まれている樹脂バインダーを効率よく溶解させる性質(以下、再溶解性という)にも優れた熱分解性樹脂バインダーを提供することを目的とする。
本発明は、環構造含有単量体3〜95質量%および極性官能基含有単量体0.1〜5質量%を含有し、残部が前記環構造含有単量体および極性官能基含有単量体と共重合可能な単量体である単量体成分を重合させてなる熱分解性重合体を含有することを特徴とする熱分解性樹脂バインダーに関する。
本発明の熱分解性樹脂バインダーは、無機粉末の分散安定性および熱分解性に優れ、さらに再溶解性にも優れるという優れた効果を奏する。
本発明の熱分解性樹脂バインダーは、前記したように、環構造含有単量体3〜95質量%および極性官能基含有単量体0.1〜5質量%を含有し、残部が前記環構造含有単量体および極性官能基含有単量体と共重合可能な単量体である単量体成分を重合させることによって得られる熱分解性重合体を含有することを特徴とする。
環構造含有単量体としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジジクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジジクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジジクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジジクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジオキソラン(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの環構造含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの環構造含有単量体のなかでは、無機粉末の分散安定性および熱分解性に優れ、さらに再溶解性にも優れる熱分解性樹脂バインダーを得る観点から、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどの酸素原子を含む環構造を有する(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートおよびイソボルニル(メタ)アクリレートが好ましく、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどの酸素原子を含む環構造を有する(メタ)アクリレートおよびイソボルニル(メタ)アクリレートがより好ましい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを意味するが、アクリレートおよびメタクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
単量体成分における環構造含有単量体の含有率は、無機粉末の分散安定性を向上させる観点から、3質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、さらに一層好ましくは20質量%以上であり、再溶解性を向上させる観点から、95質量%以下、好ましくは93質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下、さらに一層好ましくは75質量%以下である。
極性官能基含有単量体としては、例えば、酸基含有単量体、水酸基含有単量体、アミノ基含有単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの極性官能基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。本発明においては、無機粉末の分散安定性および熱分解性に優れ、さらに再溶解性にも優れた熱分解性樹脂バインダーを得る観点から、極性官能基含有単量体として、酸基含有単量体、水酸基含有単量体およびアミノ基含有単量体からなる群より選ばれた少なくとも1種を用いることが好ましい。
酸基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸;モノイソプロピルマレエート、モノイソプロピルフマレートなどの多価カルボン酸のモノエステルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの酸基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの酸基含有単量体のなかでは、無機粉末の分散安定性および熱分解性に優れ、さらに再溶解性にも優れた熱分解性樹脂バインダーを得る観点から、(メタ)アクリル酸が好ましく、メタクリル酸がより好ましい。
なお、本発明において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味するが、アクリル酸およびメタクリル酸は、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
水酸基含有単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトンの開環付加物、(メタ)アクリル酸エステルのエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸エステルのプロピレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸エステルのエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの付加物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの水酸基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの水酸基含有単量体のなかでは、無機粉末の分散安定性および熱分解性に優れ、さらに再溶解性にも優れた熱分解性樹脂バインダーを得る観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸エステルのエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸エステルのプロピレンオキサイド付加物、ならびに(メタ)アクリル酸エステルのエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの付加物が好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレートがより好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがさらに好ましく、2−ヒドロキシエチルメタクリレートがさらに一層好ましい。
アミノ基含有単量体としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアミノ基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのアミノ基含有単量体のなかでは、無機粉末の分散安定性および熱分解性に優れ、さらに再溶解性にも優れた熱分解性樹脂バインダーを得る観点から、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましく、ジメチルアミノエチルメタクリレートがより好ましい。
単量体成分における極性官能基含有単量体の含有率は、無機粉末の分散安定性を向上させる観点から、0.1質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、無機粉末の分散安定性を向上させる観点から、5質量%以下、好ましくは3質量%以下である。
前記環構造含有単量体および極性官能基含有単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの単量体のなかでは、無機粉末の分散安定性および熱分解性に優れ、さらに再溶解性にも優れた熱分解性樹脂バインダーを得る観点から、アルキル基の炭素数が1〜12であるアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、アルキル基の炭素数が1〜8であるアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。
前記環構造含有単量体および極性官能基含有単量体と共重合可能な単量体の量は、単量体成分における環構造含有単量体および極性官能基含有単量体の残部である。単量体成分における前記環構造含有単量体および極性官能基含有単量体と共重合可能な単量体の含有量を適宜調整することにより、得られる熱分解性重合体のガラス転移温度が所望の値となるように調整することができる。
単量体成分を重合させる方法としては、例えば、溶液重合法、分散重合法、懸濁重合法、乳化重合法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
単量体成分を溶液重合法によって重合させる場合、溶媒として、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒;プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコールなどのケトン系溶媒;ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒などの有機溶媒が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。溶媒の量は、重合条件、単量体成分の組成、得られる熱分解性重合体の濃度などを考慮して適宜決定すればよい。
単量体成分を重合させる際には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。単量体成分100質量部あたりの重合開始剤の量は、得られる熱分解性重合体の所望する物性などに応じて適宜設定すればよいが、通常、好ましくは0.01〜50質量部、より好ましくは0.05〜20質量部である。
単量体成分を重合させる際の重合条件は、重合方法に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。重合温度は、好ましくは室温〜200℃、より好ましくは40〜140℃である。反応時間は、単量体成分の重合反応が完結するように適宜設定すればよい。
以上のようにして単量体成分を重合させることによって熱分解性重合体が得られる。熱分解性重合体の重量平均分子量は、本発明の熱分解性樹脂組成物を用いて作製されたグリーンテープの機械的強度を高める観点から、好ましくは5000以上、より好ましくは10000以上であり、再溶解性を向上させる観点から、好ましくは500000以下、より好ましくは300000以下である。
なお、熱分解性重合体の重量平均分子量は、標準物質としてポリスチレンを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、ゲル浸透クロマトグラフィー測定装置〔東ソー(株)製、品番:HLC−8220GPC、カラム:TSKgel SuperHZM−M〕を用いてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定したときの値である。
熱分解性重合体(不揮発分)のガラス転移温度は、熱分解性重合体の耐熱性を向上させる観点から、好ましくは−20℃以上、より好ましくは−10℃以上であり、再溶解性を向上させる観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下である。
本発明において、熱分解性重合体(不揮発分)のガラス転移温度は、当該熱分解性重合体(不揮発分)の原料として用いられる単量体成分に含まれている単量体からなる単独重合体のガラス転移温度(Tg)(絶対温度:K)と単量体の質量分率から、式(I):
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+・・・+Wn/Tgn (I)
〔式中、Tgは、求めようとしている熱分解性重合体のガラス転移温度(K)、W1、W2、W3・・・・Wnは、それぞれ各単量体の質量分率、Tg1、Tg2、Tg3・・・・Tgnは、それぞれ各単量体の質量分率に対応する単量体からなる単独重合体のガラス転移温度(K)を示す〕
で表されるフォックス(Fox)の式に基づいて求めることができる。なお、熱分解性重合体(不揮発分)のガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量測定装置)、DTA(示差熱分析装置)、TMA(熱機械測定装置)によって測定することもできる。
これらの熱分解性重合体(不揮発分)のガラス転移温度の測定方法のうち、樹脂設計の利便性の観点から、熱分解性重合体(不揮発分)のガラス転移温度には、主として式(I)に基づいて求められたガラス転移温度が用いられる。
以下の実施例などにおいては、熱分解性重合体(不揮発分)のガラス転移温度は、重合させる際に用いられたすべての単量体成分における各単量体の質量分率とこれに対応する単量体の単独重合体のガラス転移温度から求められたガラス転移温度を意味する。
なお、特殊単量体、多官能単量体などのようにガラス転移温度が不明の単量体については、単量体成分における当該ガラス転移温度が不明の単量体の合計含有率が10質量%以下である場合には、ガラス転移温度が判明している単量体のみを用いてガラス転移温度が求められる。また、単量体成分におけるガラス転移温度が不明の単量体の合計含有率が10質量%を超える場合には、単量体成分を重合させることによって得られた熱分解性重合体のガラス転移温度を示差走査熱量分析(DSC)、示差熱量分析(DTA)、熱機械分析(TMA)などで測定することによって求められる。
単独重合体のガラス転移温度は、例えば、北岡協三著、「塗料用合成樹脂入門」、初版、(株)高分子刊行会、昭和49年5月;高分子学会編、「高分子データハンドブック(基礎編)」、初版、(株)培風館、昭和61年1月;「機能性化学品カタログ」、共栄社化学(株)、2004年10月などに記載されている。単独重合体のガラス転移温度は、例えば、メタクリル酸の単独重合体では130℃、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの単独重合体では55℃、ジメチルアミノエチルメタクリレートの単独重合体では18℃、n−ブチルメタクリレートの単独重合体では20℃、シクロヘキシルメタクリレートの単独重合体では83℃、イソボルニルメタクリレートの単独重合体では180℃、テトラヒドロフルフリルメタクリレートの単独重合体では60℃、2−エチルヘキシルアクリレートの単独重合体では−70℃である。
熱分解性重合体が酸基を有する場合、当該熱分解性重合体(不揮発分)の酸価は、無機粉末の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは0.7mgKOH/g以上、より好ましくは1.0mgKOH/g以上であり、再溶解性を向上させる観点から、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは25mgKOH/g以下である。
なお、熱分解性重合体の酸価は、熱分解性重合体の単位質量に含まれているCOOH基(カルボキシル基)の量を意味し、熱分解性重合体1gに含まれているカルボキシル基を中和するのに必要な水酸化カリウム(KOH)の量(mg)である。熱分解性重合体の酸価は、例えば、酸基含有単量体としてメタクリル酸を1質量%含有する単量体成分を重合させることによって調製された熱分解性重合体を例にとると、当該熱分解性重合体の酸価は、式:
〔熱分解性重合体の酸価〕
=〔0.01/86(メタクリル酸の分子量)〕×56100
=6.5mgKOH/g
に基づいて求めることができる。
熱分解性重合体が水酸基を有する場合、当該熱分解性重合体(不揮発分)の水酸基価は、無機粉末の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは0.4mgKOH/g以上、より好ましくは1mgKOH/g以上であり、再溶解性を向上させる観点から、好ましくは24mgKOH/g以下、より好ましくは15mgKOH/g以下である。
なお、熱分解性重合体の水酸基価は、熱分解性重合体1gに含まれている水酸基に相当する水酸化カリウムの量(mg)を意味し、熱分解性重合体1gに含まれている水酸基をアセチル化させるのに必要な水酸化カリウム(KOH)の量(mg)である。熱分解性重合体の水酸基価は、例えば、水酸基含有単量体として2−ヒドロキシエチルメタクリレートを1質量%含有する単量体成分を重合させることによって調製された熱分解性重合体を例にとると、当該熱分解性重合体の水酸基価は、式:
〔熱分解性重合体の水酸基価〕
=〔0.01/130(2−ヒドロキシエチルメタクリレートの分子量)〕×56100=4.3mgKOH/g
に基づいて求めることができる。
熱分解性重合体がアミノ基を有する場合、当該熱分解性重合体(不揮発分)のアミン価は、無機粉末の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは0.4mgKOH/g以上、より好ましくは1mgKOH/g以上であり、再溶解性を向上させる観点から、好ましくは18mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以下である。
なお、熱分解性重合体のアミン価は、熱分解性重合体1gに含まれているアミノ基に相当する水酸化カリウムの量(mg)である。例えば、アミノ基含有単量体としてジメチルアミノエチルメタクリレートを1質量%含有する単量体成分を重合させることによって調製された熱分解性重合体を例にとると、当該熱分解性重合体のアミン価は、式:
〔熱分解性重合体のアミン価〕
=〔0.01/157(ジメチルアミノエチルメタクリレートの分子量)〕×56100=3.6mgKOH/g
に基づいて求めることができる。
本発明の熱分解性樹脂バインダーは、前記熱分解性重合体を含有するものである。本発明の熱分解性樹脂バインダーは、前記熱分解性重合体のみで構成されていてもよく、溶媒を含有するものであってもよい。本発明の熱分解性樹脂バインダーが溶媒を含有する場合、溶媒として熱分解性重合体を溶液重合によって調製する際に用いられる溶媒を用いることができる。熱分解性樹脂バインダーにおける熱分解性重合体の含有率は、溶媒の量を調節することにより、容易に調整することができる。熱分解性樹脂バインダーにおける熱分解性重合体(不揮発分)の含有率は、特に限定されないが、通常、5〜80質量%の範囲から選ばれる。
なお、本発明の熱分解性樹脂バインダーには、本発明の目的を阻害しない範囲内で、他の樹脂成分、添加剤などが含まれていてもよい。
添加剤としては、例えば、レベリング剤;粒状物;消泡剤;タレ防止剤;シランカップリング剤;分散剤;リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤などの酸化防止剤;粘性調整剤;紫外線安定剤;金属不活性化剤;過酸化物分解剤;難燃剤;補強剤;脂肪族系可塑剤、芳香族系可塑剤などの可塑剤;潤滑剤;防錆剤;蛍光性増白剤;有機系および無機系の紫外線吸収剤、無機系熱線吸収剤;有機系および無機系の防炎剤;有機系および無機系の帯電防止剤;オルソギ酸メチルなどの脱水剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
以上のようにして得られる本発明の熱分解性樹脂バインダーは、グリーンシートの原料として好適に使用することができる。
グリーンシートは、例えば、セラミックスの原料である無機粉末と熱分解性樹脂バインダーとを混合することによってスラリーを調製し、離形性を有するシート状の基材に前記で得られたスラリーを塗布し、乾燥させた後、形成されたグリーンシートを基材から剥離することによって製造することができる。また、セラミックシートまたは小型セラミック成形体は、このグリーンシートから当該グリーンシートに含まれているバインダーを除去した後、当該グリーンシートを焼結させることによって製造することができる。
セラミックスの原料である無機粉末の原料として用いられる無機材料としては、例えば、ホウ珪酸鉛ガラス、鉛ガラス、酸化カルシウム−アルミナ−シリカ系無機ガラス、マグネシア−アルミナ−シリカ系無機ガラス、酸化リチウム−アルミナ−シリカ系無機ガラスなどの低融点ガラス;ZnS:Ag,Al、ZnS:Cu,Al、Y22S;Eu、(SrCaBaMg)5(PO43Cl:Eu、LaPO4:Ce,Tb、Y23:Eu、Ca10(PO46FCl:Sb,Mn、BaMgAl1017:Eu、Zn2SiO4:Mn、(Y,Gd)BO3:Eu、CaWO4、Gd22S:Tb、(Y,Sr)TaO4:Nbなどの蛍光体;アルミニウム、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウムなどの金属;酸化銀、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、インジウム錫オキサイド(ITO)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化鉄、酸化セリウム、酸化クロムなどの金属酸化物;炭化ケイ素などの金属炭化物;窒化アルミニウム、窒化ホウ素などの金属窒化物;ハンダなどの合金などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの無機材料は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
無機粉末のなかでは、ガラスフリット、アルミナ粉末、銀粉末、酸化銀粉末、銅粉末、インジウム錫オキサイド(ITO)粉末、金粉末およびハンダ粉末が好ましく、ガラスフリット、アルミナ粉末および銀粉末がより好ましい。これらの無機粉末は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
無機粉末の平均粒子径は、グリーンシートに気泡が発生することを抑制する観点から、好ましくは0.02μm以上、より好ましくは0.1μm以上であり、グリーンシートの表面の平滑性を向上させる観点から、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下である。なお、前記平均粒子径は、粒度分布から求められるメジアン径、すなわち50体積%径(D50)を意味する。
無機粉末と樹脂バインダーとを混合する際には、無機粉末と樹脂バインダーとを均一に分散させるとともに、離形性を有するシート状の基材に塗布するために、溶媒を適量で用いることができる。
前記溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、アセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジブチルケトン、アセチルアセトン、エチルアセチルアセテート、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、トルエン、キシレン、メシチレン、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、イソホロン、乳酸ブチル、ジオクチルアジペート、ベンジルアルコール、フェニルプロピレングリコール、クレゾール、メンテン、メンタン、メントン、ミルセン、α−ピネン、α−テルピネン、γ−テルピネン、リモネン、ペリリルアセテート、ペリリルアルコール、メンチルアセテート、カルビルアセテート、ジヒドロカルビルアセテート、ジヒドロターピネオールアセテート、ターピオールアセテート、ジヒドロターピネオール、ターピニルオキシエタノール、ジヒドロターピニルオキシエタノール、ターピニルメチルエーテル、ジヒドロターピニルメチルエーテル、ジヒドロターピニルプロピオネート、イソボルニルプロピオネート、イソボルニルアセテート、イソボルニルプロピオネート、イソボルニルブチレート、イソボルニルイソブチレート、ノビルアセテート、オクチルアセテート、ジメチルオクチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート、アセトキシ−メトキシエトキシ−シクロヘキサノールアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、ジヒドロカルベオール、2−エチルヘキシルグリコール、ベンジルグリコール、フェニルプロピレングリコール、メチルデカリン、アミルベンゼン、クメン、シメン、1,1−ジイソプロピルヘキサン、シトロネロールなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用していてもよい。
なお、前記スラリーには、例えば、可塑剤、分散剤などの添加剤が本発明の目的を阻害しない範囲内で含まれていてもよい。
以上のようにして得られるスラリーを、離形性を有する基材に塗布し、乾燥させた後、形成されたグリーンシートを基材から剥離することにより、得ることができる。基材に前記スラリーを塗布する方法としては、例えば、グラビアコート、ロールコート、バーコート、リバースコートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
グリーンシートの厚さは、特に限定されないが、通常、10〜800μm程度であることが好ましい。
前記グリーンシートは、所定形状を有するように打ち抜き装置などを用いて打ち抜いてもよい。グリーンシートの形状としては、例えば、円形、楕円形、矩形、角が丸められた矩形などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
以上説明したように、本発明の熱分解性樹脂バインダーは、無機粉末の分散安定性および熱分解性に優れ、さらに再溶解性にも優れていることから、グリーンシートに好適に使用することができるほか、例えば、低温焼成ガラスセラミックス基板、感光性ペースト、光分解触媒セラミック用樹脂バインダー、燃料電池用電解質シートなどに使用することが期待されるものである。
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
撹拌機、還流冷却器、滴下装置および温度計を備えた300mL容の反応器内にトルエン100gを仕込み、反応器の内容物の温度を70℃に調整した。次に、反応機内に窒素雰囲気下で反応器の内容物の温度を70℃に維持しながらメタクリル酸0.2g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2.8g、n−ブチルメタクリレート30g、シクロヘキシルメタクリレート57g、2−エチルヘキシルアクリレート10gおよび重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.3gの混合物を反応器内に1時間かけて滴下させた。
滴下が終了した時点から2時間経過するときに還流温度まで昇温させ、その温度で3時間維持することにより、重合反応を終了させ、生成した熱分解性重合体を含有する反応溶液を得た。
前記で得られた反応溶液における熱分解性重合体(不揮発分)の含有率は50.0質量%であり、重量平均分子量は150000であり、酸価は1.3mgKOH/gであり、水酸基価は12.1mgKOH/gであり、アミン価は0mgKOH/gであり、ガラス転移温度は39℃であった。
前記で得られた熱分解性重合体を含有する反応溶液を熱分解性樹脂バインダーとして用い、以下の方法に基づいて物性を評価した。その結果を表1に示す。
(1)熱分解性
〔熱分解残渣〕
熱分解性樹脂バインダーを乾燥させることにより、試料を作製した。試料5mgをアルミニウム製の皿にのせ、熱重量分析装置〔セイコーインスツル(株)製、品番:TG/DTA6200〕に装着し、窒素雰囲気中で4℃/minの昇温速度で室温から500℃まで昇温させた後、室温まで冷却し、式:
〔残渣率(質量%)〕=〔(残渣の量)÷5〕×100
に基づいて、残渣率を求め、以下の評価基準に基づいて熱分解性樹脂バインダーの熱分解残渣の評価を行なった。
(評価基準)
◎:残渣率が0.5質量%未満(合格)
○:残渣率が0.5質量%以上1.0質量%未満(合格)
×:残渣率が1.0質量%以上(不合格)
〔煤の発生〕
前記「(1)熱分解性」の試験を行なった後、アルミニウム製の皿の上に煤が存在するかどうかを目視によって観察し、以下の評価基準に基づいて煤の発生の評価を行なった。
(評価基準)
◎:煤の発生がない(合格)
×:煤の発生がある(不合格)
(2)分散安定性
無機粉末としてアルミナ粉末、平均粒子径:2μm)100gに、熱分解性樹脂バインダー30gを添加し、得られた混合物にトルエンを添加することにより、不揮発分の含有率を70質量%に調整した後、磁器製のボールミルで48時間分散させることにより、スラリーを得た。
前記スラリーの分散操作の終了直後のスラリーの外観、当該スラリーを7日間または14日間静置した後のスラリーの外観を目視で観察し、分散安定性を以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:スラリーにアルミナ粉末の分離が認められない(合格)。
○:スラリーにアルミナ粉末の分離がやや認められる(合格)。
×:スラリーにアルミナ粉末が分離している(不合格)。
(3)再溶解性
ドクターブレードを用い、乾燥後の厚さが180μmとなるように前記「(2)分散安定性」で得られたスラリーを離型処理が施されたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に塗布し、100℃の温度で10分間乾燥させることによって溶媒を除去した後、形成されたグリーンフィルムをPETフィルムから剥離することにより、グリーンフィルムを得た。前記で得られたグリーンフィルムを縦1cm、横1cmの大きさに切り取ることによってサンプルを作製した。得られたサンプルを内容量が50mLのサンプル瓶に入れた後、トルエン70容量%および酢酸エチル30容量%からなる混合溶媒40mLをサンプル瓶に入れ、当該混合溶媒中にサンプルを浸漬させ、室温で2時間または6時間静置させた後、グリーンフィルムを目視で観察し、以下の評価基準に基づいて再溶解性を評価した。
(評価基準)
◎:グリーンフィルムが完全に溶解している(合格)。
○:グリーンフィルムが部分的に溶解している(合格)。
×:グリーンフィルムが溶解していない(不合格)。
(4)総合評価
前記熱分解性、分散安定性および再溶解性の評価結果において、◎の評価を50点、○の評価を25点、×の評価を0点として各評価項目の点数を合計することにより(最高得点:350点、最低得点:0点)、熱分解性樹脂バインダーを総合評価した。
実施例2
撹拌機、還流冷却器、滴下装置および温度計を備えた300mL容の反応器内にトルエン100gを仕込み、反応器の内容物の温度を70℃に調整した。次に、反応機内に窒素雰囲気下で反応器の内容物の温度を70℃に維持しながらメタクリル酸0.2g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2.8g、n−ブチルメタクリレート30g、イソボルニルメタクリレート57g、2−エチルヘキシルアクリレート10gおよび重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.3gの混合物を反応器内に1時間かけて滴下させた。
滴下が終了した時点から2時間経過するときに還流温度まで昇温させ、その温度で3時間維持することにより、重合反応を終了させ、生成した熱分解性重合体を含有する反応溶液を得た。
前記で得られた反応溶液における熱分解性重合体(不揮発分)の含有率は50.1質量%であり、重量平均分子量は185000であり、酸価は1.3mgKOH/gであり、水酸基価は12.1mgKOH/gであり、アミン価は0mgKOH/gであり、ガラス転移温度は76℃であった。
前記で得られた熱分解性重合体を含有する反応溶液を熱分解性樹脂バインダーとして用い、実施例1と同様にして物性を調べた。その結果を表1に示す。
実施例3
撹拌機、還流冷却器、滴下装置および温度計を備えた300mL容の反応器内にトルエン100gを仕込み、反応器の内容物の温度を70℃に調整した。次に、反応機内に窒素雰囲気下で反応器の内容物の温度を70℃に維持しながらメタクリル酸0.2g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2.8g、n−ブチルメタクリレート30g、テトラヒドロフルフリルメタクリレート57g、2−エチルヘキシルアクリレート10gおよび重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.3gの混合物を反応器内に1時間かけて滴下させた。
滴下が終了した時点から2時間経過するときに還流温度まで昇温させ、その温度で3時間維持することにより、重合反応を終了させ、生成した熱分解性重合体を含有する反応溶液を得た。
前記で得られた反応溶液における熱分解性重合体(不揮発分)の含有率は49.9質量%であり、重量平均分子量は165000であり、酸価は1.3mgKOH/gであり、水酸基価は12.1mgKOH/gであり、アミン価は0mgKOH/gであり、ガラス転移温度は−5℃であった。
前記で得られた熱分解性重合体を含有する反応溶液を熱分解性樹脂バインダーとして用い、実施例1と同様にして物性を調べた。その結果を表1に示す。
実施例4
撹拌機、還流冷却器、滴下装置および温度計を備えた300mL容の反応器内にトルエン100gを仕込み、反応器の内容物の温度を70℃に調整した。次に、反応機内に窒素雰囲気下で反応器の内容物の温度を70℃に維持しながらメタクリル酸0.2g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.8、n−ブチルメタクリレート30g、テトラヒドロフルフリルメタクリレート60g、2−エチルヘキシルアクリレート5gおよび重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.3gの混合物を反応器内に1時間かけて滴下させた。
滴下が終了した時点から2時間経過するときに還流温度まで昇温させ、その温度で3時間維持することにより、重合反応を終了させ、生成した熱分解性重合体を含有する反応溶液を得た。
前記で得られた反応溶液における熱分解性重合体(不揮発分)の含有率は50.0質量%であり、重量平均分子量は162000であり、酸価は1.3mgKOH/gであり、水酸基価は20.7mgKOH/gであり、アミン価は0mgKOH/gであり、ガラス転移温度は8℃であった。
前記で得られた熱分解性重合体を含有する反応溶液を熱分解性樹脂バインダーとして用い、実施例1と同様にして物性を調べた。その結果を表1に示す。
実施例5
撹拌機、還流冷却器、滴下装置および温度計を備えた300mL容の反応器内にトルエン100gを仕込み、反応器の内容物の温度を70℃に調整した。次に、反応機内に窒素雰囲気下で反応器の内容物の温度を70℃に維持しながらメタクリル酸0.1g、n−ブチルメタクリレート30g、テトラヒドロフルフリルメタクリレート64.9g、2−エチルヘキシルアクリレート5gおよび重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.3gの混合物を反応器内に1時間かけて滴下させた。
滴下が終了した時点から2時間経過するときに還流温度まで昇温させ、その温度で3時間維持することにより、重合反応を終了させ、生成した熱分解性重合体を含有する反応溶液を得た。
前記で得られた反応溶液における熱分解性重合体(不揮発分)の含有率は50.1質量%であり、重量平均分子量は163000であり、酸価は0.7mgKOH/gであり、水酸基価は12.1mgKOH/gであり、アミン価は0mgKOH/gであり、ガラス転移温度は3℃であった。
前記で得られた熱分解性重合体を含有する反応溶液を熱分解性樹脂バインダーとして用い、実施例1と同様にして物性を調べた。その結果を表1に示す。
実施例6
撹拌機、還流冷却器、滴下装置および温度計を備えた300mL容の反応器内にトルエン100gを仕込み、反応器の内容物の温度を70℃に調整した。次に、反応機内に窒素雰囲気下で反応器の内容物の温度を70℃に維持しながらメタクリル酸0.2g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2g、ジメチルアミノエチルメタクリレート0.8g、n−ブチルメタクリレート30g、テトラヒドロフルフリルメタクリレート62g、2−エチルヘキシルアクリレート5gおよび重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.3gの混合物を反応器内に1時間かけて滴下させた。
滴下が終了した時点から2時間経過するときに還流温度まで昇温させ、その温度で3時間維持することにより、重合反応を終了させ、生成した熱分解性重合体を含有する反応溶液を得た。
前記で得られた反応溶液における熱分解性重合体(不揮発分)の含有率は50.0質量%であり、重量平均分子量は172000であり、酸価は1.3mgKOH/gであり、水酸基価は12.1mgKOH/gであり、アミン価は2.9mgKOH/gであり、ガラス転移温度は5℃であった。
前記で得られた熱分解性重合体を含有する反応溶液を熱分解性樹脂バインダーとして用い、実施例1と同様にして物性を調べた。その結果を表1に示す。
実施例7
撹拌機、還流冷却器、滴下装置および温度計を備えた300mL容の反応器内にトルエン100gを仕込み、反応器の内容物の温度を70℃に調整した。次に、反応機内に窒素雰囲気下で反応器の内容物の温度を70℃に維持しながらメタクリル酸0.2g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2.8g、n−ブチルメタクリレート94g、テトラヒドロフルフリルメタクリレート3gおよび重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.3gの混合物を反応器内に1時間かけて滴下させた。
滴下が終了した時点から2時間経過するときに還流温度まで昇温させ、その温度で3時間維持することにより、重合反応を終了させ、生成した熱分解性重合体を含有する反応溶液を得た。
前記で得られた反応溶液における熱分解性重合体(不揮発分)の含有率は50.1質量%であり、重量平均分子量は125000であり、酸価は1.3mgKOH/gであり、水酸基価は12.1mgKOH/gであり、アミン価は0mgKOH/gであり、ガラス転移温度は21℃であった。
前記で得られた熱分解性重合体を含有する反応溶液を熱分解性樹脂バインダーとして用い、実施例1と同様にして物性を調べた。その結果を表1に示す。
実施例8
撹拌機、還流冷却器、滴下装置および温度計を備えた300mL容の反応器内にトルエン100gを仕込み、反応器の内容物の温度を70℃に調整した。次に、反応機内に窒素雰囲気下で反応器の内容物の温度を70℃に維持しながらメタクリル酸1g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2g、n−ブチルメタクリレート2g、テトラヒドロフルフリルメタクリレート95gおよび重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.3gの混合物を反応器内に1時間かけて滴下させた。
滴下が終了した時点から2時間経過するときに還流温度まで昇温させ、その温度で3時間維持することにより、重合反応を終了させ、生成した熱分解性重合体を含有する反応溶液を得た。
前記で得られた反応溶液における熱分解性重合体(不揮発分)の含有率は50.0質量%であり、重量平均分子量は182000であり、酸価は6.5mgKOH/gであり、水酸基価は8.6mgKOH/gであり、アミン価は0mgKOH/gであり、ガラス転移温度は52℃であった。
前記で得られた熱分解性重合体を含有する反応溶液を熱分解性樹脂バインダーとして用い、実施例1と同様にして物性を調べた。その結果を表1に示す。
実施例9
撹拌機、還流冷却器、滴下装置および温度計を備えた300mL容の反応器内にトルエン100gを仕込み、反応器の内容物の温度を70℃に調整した。次に、反応機内に窒素雰囲気下で反応器の内容物の温度を70℃に維持しながらメタクリル酸1g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2g、n−ブチルメタクリレート4g、テトラヒドロフルフリルメタクリレート93gおよび重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.3gの混合物を反応器内に1時間かけて滴下させた。
滴下が終了した時点から2時間経過するときに還流温度まで昇温させ、その温度で3時間維持することにより、重合反応を終了させ、生成した熱分解性重合体を含有する反応溶液を得た。
前記で得られた反応溶液における熱分解性重合体(不揮発分)の含有率は50.0質量%であり、重量平均分子量は182000であり、酸価は6.5mgKOH/gであり、水酸基価は8.6mgKOH/gであり、アミン価は0mgKOH/gであり、ガラス転移温度は42℃であった。
前記で得られた熱分解性重合体を含有する反応溶液を熱分解性樹脂バインダーとして用い、実施例1と同様にして物性を調べた。その結果を表1に示す。
比較例1
撹拌機、還流冷却器、滴下装置および温度計を備えた300mL容の反応器内にトルエン100gを仕込み、反応器の内容物の温度を70℃に調整した。次に、反応機内に窒素雰囲気下で反応器の内容物の温度を70℃に維持しながらメタクリル酸0.2g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2.8g、n−ブチルメタクリレート87g、2−エチルヘキシルアクリレート10gおよび重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.3gの混合物を反応器内に1時間かけて滴下させた。
滴下が終了した時点から2時間経過するときに還流温度まで昇温させ、その温度で3時間維持することにより、重合反応を終了させ、生成した熱分解性重合体を含有する反応溶液を得た。
前記で得られた反応溶液における熱分解性重合体(不揮発分)の含有率は49.9質量%であり、重量平均分子量は143000であり、酸価は1.3mgKOH/gであり、水酸基価は12.1mgKOH/gであり、アミン価は0mgKOH/gであり、ガラス転移温度は9℃であった。
前記で得られた熱分解性重合体を含有する反応溶液を熱分解性樹脂バインダーとして用い、実施例1と同様にして物性を調べた。その結果を表1に示す。
Figure 2015108069
表1に示された結果から、各実施例で得られた熱分解性樹脂バインダーは、比較例1で得られた熱分解性樹脂バインダーと対比して、いずれも熱分解性、分散安定性および再溶解性に優れていることがわかる。また、実施例のなかでも実施例2、3、6および9で得られた熱分解性樹脂バインダーは、熱分解性、分散安定性および再溶解性に総合的に優れていることがわかる。
本発明の熱分解性樹脂バインダーは、熱分解性、分散安定性および再溶解性に総合的に優れているので、グリーンシートに好適に使用することができるほか、例えば、低温焼成ガラスセラミックス基板、感光性ペースト、光分解触媒セラミック用樹脂バインダー、燃料電池用電解質シートなどに使用することが期待されるものである。

Claims (1)

  1. 環構造含有単量体3〜95質量%および極性官能基含有単量体0.1〜5質量%を含有し、残部が前記環構造含有単量体および極性官能基含有単量体と共重合可能な単量体である単量体成分を重合させてなる熱分解性重合体を含有することを特徴とする熱分解性樹脂バインダー。
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