ところで、本願の出願人が先に提案した成形機は、成形条件自動設定モードを起動した後に、表示部に表示される前回の設定値をゼロクリアするか否かの選択が行えるようになっている。その理由は、「前回の設定値をゼロクリアする」を選択した場合には、表示部に表示される各設定項目の設定値が全て「0」に切り替わるので、操作者は新たな設定値の設定作業を行うに際して先の設定値をいちいち確認する必要がなく、成形条件の設定作業を能率的に行えるからである。また「前回の設定値をゼロクリアしない」を選択した場合には、表示部に前回の設定値がそのまま表示されるので、作業者は、表示部に表示された前回の設定値を参照しながら、必要な設定項目についてのみ今回の設定値を入力すればよく、成形条件の設定作業を能率的に行えるからである。どちらを選択するかは、作業者の好みや、成形品の製造計画等による。例えば、1種の成形品の製造が完了した後、類似した成形品の製造に取り掛かる場合には、「前回の設定値をゼロクリアしない」を選択する方が有利であるし、原料樹脂が異なる異種の成形品の製造に取り掛かる場合には、「前回の設定値をゼロクリアする」を選択する方が有利である。
また、本願の出願人が先に提案した成形機は、成形条件自動設定モードの実行中に、成形条件自動設定モードの終了操作(ナビ終了操作)を行えるようになっている。これは、成形条件の設定作業を必要に応じてやり直せるようにするためである。ところが、本願の出願人が先に提案した成形機は、「前回の設定値をゼロクリアする」を選択した段階で、前回の設定値が全て0に書き換えられるため、「前回の設定値をゼロクリアする」を選択した上で成形条件自動設定モードによる成形条件の設定を実行し、その実行中に操作者が成形条件自動設定モードの終了操作を行うと、今回の設定作業により入力された設定値は記憶部に保存されるが、ゼロクリア前に設定されていた前回の設定値は消失する。したがって、操作者が、再度成形条件自動設定モードを利用して次回の成形条件の設定作業を行う場合においては、今回の設定作業で入力した設定値を利用して次回の設定作業を続行することは可能であるものの、前回の設定値を参考にしながら今回の成形条件の設定作業を行うことは不可能となる。
ようするに、本願の出願人が先に提案した成形機は、成形条件自動設定モードで「前回の設定値をゼロクリアする」を選択すると、前回の設定値が失われ、前回の設定値を利用した今回の成形条件の設定作業が行えなくなるため、操作者のニーズに十分対応できず、この点に改善の余地がある。
本発明は、この点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、成形条件自動設定モードを起動後に「前回の設定値をゼロクリアする」を選択した場合にも、その後に前回の設定値を復元することができて、操作者の多様なニーズに対応可能で利便性の高い成形機を提供することにある。
本発明は、前記の課題を解決するため、成形条件自動設定モードが記憶された制御部と、前記成形条件自動設定モードによる成形条件の設定に使用する複数の画面を表示する表示部と、前記表示部の表示画面上で所要の入力操作を行う入力部とを備える成形機において、操作者が前記入力部を操作して前記成形条件自動設定モードを選択したとき、前記制御部は、前記成形条件自動設定モードを起動した後に、前回の成形条件設定値を前記制御部に備えられた記憶部の退避領域に退避し、その後における前記成形条件自動設定モードの実行中に、操作者が前記入力部を操作して前回の成形条件設定値をゼロクリアする処理を選択した場合にも、前記退避領域に退避した前回の成形条件設定値を読み出し可能に保持することを特徴とする。
かかる構成によると、成形条件自動設定モードが選択されたときに、制御部が、前回の成形条件設定値を記憶部の退避領域に退避するので、その後に操作者が前回の成形条件設定値をゼロクリアする処理を選択した場合にも、この退避領域に退避した前回の成形条件設定値を読み出すことができる。よって、操作者が前回の成形条件設定値をゼロクリアする処理を選択した後において、成形条件自動設定モードによる成形条件設定作業の途中で、成形条件自動設定モードを終了ボタンを操作した場合にも、前回の成形条件設定値を復元できるので、前回の成形条件設定値を利用して今回の成形条件設定値の入力を行いたいとの操作者のニーズに対応でき、成形条件自動設定モードによる成形条件設定作業の利便性を高めることができる。
また本発明は、前記構成の成形機において、前記表示部に表示される成形条件の設定画面に、前記成形条件自動設定モードの終了ボタンを表示し、操作者が前記入力部を操作して当該終了ボタンを選択したときには、当該終了ボタンが操作された設定画面中に、保存終了ボタン及び非保存終了ボタンを選択可能に表示し、操作者が前記入力部を操作して前記保存終了ボタンを選択したときには、今回の成形条件自動設定モードの実行中に設定された成形条件設定値を、前記記憶部に記憶された前回の成形条件設定値に上書きした後に前記成形条件自動設定モードを終了し、操作者が前記入力部を操作して前記非保存終了ボタンを選択したときには、今回の成形条件自動設定モードの実行中に設定された成形条件設定値を、前記記憶部に記憶された前回の成形条件設定値に上書きせずに、前記成形条件自動設定モードを終了することを特徴とする。
かかる構成によると、第1番目の設定画面から最終の設定画面までの各設定画面で成形条件自動設定モードの終了ボタンが操作されたとき、当該終了ボタンが操作された設定画面中に保存終了ボタン及び非保存終了ボタンを選択可能に表示するので、必要に応じて最新の設定条件を記憶部に保存したり、前回の設定値を維持できるので、成形条件設定作業の手順を多様化でき、成形条件の設定作業をより簡便なものにすることができる。
また本発明は、前記構成の成形機において、前記制御部は、操作者が前記入力部を操作して前記成形条件自動設定モードを選択したとき、前記表示部の表示画面を前記成形条件自動設定モードの第1番目の設定画面に切り替えると共に、当該第1番目の設定画面中の前記成形条件を入力すべき設定項目の表示欄を色表示し、操作者が前記入力部を操作して前記第1番目の設定画面中に表示された次表示要求欄を選択したとき、前記表示部の表示画面を前記成形条件自動設定モードの第2番目の設定画面に切り替えると共に、当該第2番目の設定画面中の前記成形条件を入力すべき設定項目の表示欄を色表示するという制御を最終の設定画面まで行うことを特徴とする。
かかる構成によると、成形条件自動設定モードを起動したとき、成形条件の設定に必要な複数の設定画面を所定の順番で表示部に表示すると共に、表示された各設定画面中の成形条件を入力すべき設定項目の表示欄を色表示(操作者が容易に視認できるように、周囲と異なる色で表示すること)するので、操作者は、成形条件の設定項目とその入力手順とを自動的に知ることができる。よって、特別な熟練を要することなく、成形機の稼働に必要な成形条件を漏れなく設定することができる。
本発明によると、成形条件自動設定モードの起動時に、前回の成形条件設定値を記憶部の退避領域に退避するので、成形条件自動設定モードの実行中に、前回の成形条件設定値をゼロクリアする選択を行った場合にも、必要に応じて前回の成形条件設定値を復元でき、成形条件自動設定モードによる成形条件設定作業の利便性を高めることができる。
以下、本発明に係る成形機の実施形態を、射出成形機を例にとり、図を用いて説明する。ダイカストマシンについても、射出成形機の例と同様に実施できる。
図1に、実施形態に係る射出成形機の構成を示す。本例の射出形機1は、機械的な動作により成形品の成形を行う成形機構部10と、成形機構部10の駆動制御を行うマイコン部20と、操作者に対する出力インターフェースである表示部30と、操作者からの入力を受ける入力インターフェースである入力部40と、外部メモリ70を接続するための入出力端子部50を備える。なお、表示部30と入力部40とを別個に備える構成に代えて、表示部30と入力部40とが一体に組み合わされたタッチパネルを備える構成とすることもできる。
成形機構部10は、射出ユニット11と型締めユニット12とから主に構成される。型締めユニット12は金型13の開閉動作を行うものであり、射出ユニット11は金型13のキャビティ内に成形材料を射出するものである。これらの各ユニット11、12には、可動部の動力源として複数の電動サーボモータ14が備えられており、各電動サーボモータ14には、その回転位置を検出するためのエンコーダ15が備えられている。各電動サーボモータ14は、マイコン部20から出力される制御信号によりフィードバック制御される。
マイコン部20には、エンコーダ15からの出力信号の取り込みと、電動サーボモータ14への制御信号の出力を司る各駆動部入出力部21と、電動サーボモータ14の駆動制御を行う各駆動部制御部22と、成形条件などが格納される記憶部23と、装置全体の制御などを行う制御部24と、表示部30の制御などを行う表示処理部25と、入力部40からの信号の判別などを行う入力処理部26と、入出力端子部50から入出力される信号の処理などを行う外部メモリ入出力処理部27を備えている。
図2に、成形機1が取り扱う各種情報を示す。この図から明らかなように、記憶部23の内部メモリ23aには、型締めユニット12に備えられている金型13(成形品の製品名や成形機の機種)に応じた複数の成形条件ファイル231(SDxxxBIN)が予め記憶されている。成形条件ファイル231とは、成形機構部10の動作条件を定める各種設定値を保存するものである。なお、成形条件ファイル231は、入出力端子部50に接続されるUSBメモリ等の外部メモリ70に記憶されるものであっても良い。射出成形機1によって製品を成形する際には、このような成形条件ファイル231の何れかを選択することで共有メモリ(例えば制御部24内のレジスタ)23bに当該成形条件ファイルに基づく成形条件が設定され、当該条件に基づいて各駆動部制御部22が成形機構部10を制御することにより、製品の成形が行われる。また、記憶部23の内部メモリ23aには、後に説明する成形条件自動設定モードで設定され、記憶部23への記憶が指示された新規の成形条件ファイル232(NVxxxBIN)が順次記憶される。さらに、当該内部メモリ23aには、成形条件自動設定モードが起動されたときに、成形条件ファイル232(NVxxxBIN)に記憶された前回の成形条件設定値を退避させるための退避領域235が備えられる。
記憶部23の不揮発性メモリ部分(共有メモリ)23bには、機種選択コード233が設定されている。本実施形態における機種選択コード233とは、装置として同一とみなせるものに対して割当てられる情報である。本実施形態では機種コードというものも存在し、これは装置の機種ごとに割当てられる情報となる。例えば、機種としては同一(即ち機種コードも同一となる)であっても、装置としては細かい部分で仕様の相違がある場合もあり、そのような仕様の相違に応じて機種選択コードが割当てられるものである。本実施形態では、機種コードを4桁の数値情報とし、機種選択コードは機種コードにさらに4桁の数値を付加した8桁の数値情報としている。
また、記憶部23の不揮発性メモリ部分23bには成形条件の設定エリア234が設けられており、この設定エリア234には複数頁に亘る成形条件の設定画面が記憶されている。成形条件の設定は、この記憶部23に記憶された複数頁分の設定画面を表示部30に順次表示し、各設定画面に表示された設定項目の欄に、入力部40を用いて所要の設定値を入力することにより行われる。実施形態に係る射出成形機は、成形条件の設定モードとして、手動設定モード、即ち、操作者が表示部30に表示する設定画面を適宜選択し、必要な設定項目について所要の設定値を入力する方式と、自動設定モード、即ち、マイコン部20からの指令により所要の設定画面を予め定められた順番で表示部30に表示し、各設定画面上に表示された設定項目への設定値の入力を操作者に促す方式(以下に説明する成形ナビゲーション)とを、任意に選択して行えるようになっている。
以下、実施形態に係る射出成形機における成形条件の設定方法について説明する。
マイコン20を起動すると、表示部30に、図3に示すメニュー画面110が表示される。本例においては、メニュー画面110が、「射出可塑化」、「型開閉・EJ(EJECTの略;製品取り出し)」、「温度設定」、「生産管理」、「グラフ」、「モニタ」、「段取り」、「点検」、「オプション動作」、「システム設定」の10項目に分けられており、各項目には、それぞれ2〜5個の選択ボタンが設けられている。「段取り」には、「成形ナビゲーション(成形条件自動設定モード)」の選択ボタンが設けられており、操作者が入力部40を操作してこの「成形ナビゲーション」を選択すると、自動設定モードによる成形条件の設定に移行する。また、操作者が他の選択ボタンを選択すると、選択したボタンの種類に応じた設定画面が表示部30に表示され、手動設定モードによる成形条件の設定が可能になる。手動設定モードによる成形条件の設定については、公知に属する事項であり、かつ本発明の要旨でもないので、説明を省略する。
図4に、「成形ナビゲーション」を用いた成形条件設定作業の全体フローを示す。細部については、後に図5から図10を用いて詳細に説明する。図4に示すように、図3のメニュー画面110から「成形ナビゲーション」を選択すると、記憶部23の内部メモリ23aに記憶された前回の成形条件ファイル232が退避領域235に退避されると共に、表示部30に図5の成形ナビゲーションの初期画面120が表示される。成形ナビゲーションの初期画面120以降の各画面には、「次へ」ボタン122及び「ナビ終了」ボタン123が表示される。また、図8のオプション一覧画面130以降の各画面には、「次へ」ボタン122及び「ナビ終了」ボタン123に加えて、「戻る」ボタン124も表示される。そして、成形ナビゲーションの初期画面120に表示された「次へ」ボタン122を選択すると、表示部30に図8のオプション一覧画面130が表示される。また、図8のオプション一覧画面130に表示された「次へ」ボタン122を選択すると、表示部30に図9の計算画面140が表示される。以下同様に、計算画面140に表示された「次へ」ボタン122を選択すると表示部30に交換画面が表示され、交換画面で「次へ」ボタン122を選択すると表示部30に温度画面が表示され、温度画面で「次へ」ボタン122を選択すると表示部30に型開閉画面が表示され、型開閉画面で「次へ」ボタン122を選択すると表示部30に射出可塑化画面が表示され、射出可塑化画面で「次へ」ボタン122を選択すると表示部30に再度交換画面が表示される。この段階に至って、成形条件の設定が完了する。
なお、型開閉画面には、型開閉オプションの選択ボタンと、エアの選択ボタンと、中子の選択ボタンが表示され、操作者がいずれかの選択ボタンを操作すると、操作した選択ボタンの種類に応じて、型開閉オプション画面、エア画面又は中子画面のいずれかが表示部30に表示される。また、射出可塑化画面には、射出可塑化オプションの選択ボタンと、可塑化補助の選択ボタンが表示され、操作者がいずれかの選択ボタンを操作すると、操作した選択ボタンの種類に応じて、射出可塑化オプション画面又は可塑化補助画面のいずれかが表示部30に表示される。なお、型開閉画面に付随して表示部30に表示されるエア画面、中子画面及び型開閉オプション画面や、射出可塑化画面に付随して表示部30に表示される可塑化補助画面及び射出可塑化オプション画面については、「次へ」ボタン122が表示されず、「ナビ終了」ボタン123及び「戻る」ボタン124が表示される。交換画面、温度画面、型開閉画面、射出可塑化画面、型開閉オプション画面、エア画面、中子画面、射出可塑化オプション画面及び可塑化補助画面については、説明の煩雑化を避けるため、図示を省略する。
上述したように、オプション一覧画面130以降の各画面には、「戻る」ボタン124が表示され、操作者が1の画面上で「戻る」ボタン124を選択することにより、表示部30の表示画面を1段階前の表示画面に戻すことができる。例えば、表示部30に図8のオプション一覧画面130が表示されている状態で、当該画面上に表示された「戻る」ボタン124を選択すると、表示部30の表示画面がオプション一覧画面130から図5の成形ナビゲーションの初期画面120に戻る。これにより、前画面で行った成形条件を随時修正できる。
また、上述したように、成形ナビゲーションの初期画面120以降の各画面には、「ナビ終了」ボタン123が表示され、操作者が1の画面上で「ナビ終了」ボタン123を選択することにより、成形条件自動設定モードによる成形条件の設定作業を中止できる。「ナビ終了」ボタン123を操作すると、表示部30の表示画面は、図3のメニュー画面110に切り替わる。これにより、成形条件自動設定モードによらない成形条件の設定作業が可能になる。
制御部24は、「ナビ終了」ボタン123が操作されたとき、成形ナビゲーションの終了手順を実行する以前に、成形ナビゲーションで設定された成形条件を保存するか否かの選択を操作者に求める。これにより、成形機の操作性を格段に良好なものにすることができる。この成形条件を保存するか否かの操作については、後に図面を用いてより詳細に説明する。
以下、「成形ナビゲーション」を用いた成形条件設定作業の詳細を、図5から図10を用いてより詳細に説明する。
図3に示すメニュー画面110から「成形ナビゲーション」を選択すると、表示部30に図5に示す成形ナビゲーションの初期画面120が表示される。初期画面120には、「成形ナビゲーションを起動します。自動モードを止めてください。『次へ』を押すと、成形ナビゲーションを開始します。『ナビ終了』を押すと成形ナビゲーションを終了し、MENU画面へ移動します。」という案内文121と、「次へ」ボタン122と、「ナビ終了」ボタン123が表示される。なお、メニュー画面110から「成形ナビゲーション」が選択されたとき、初期画面120に自動的に案内文121を表示する構成に代えて、案内文121を読み出すためのボタンを初期画面120に表示しておき、操作者がこのボタンを操作したときにのみ、初期画面120に案内文121を表示する構成とすることもできる。上述したように、メニュー画面110から「成形ナビゲーション」を選択したときには、記憶部23の内部メモリ23aに記憶された前回の成形条件ファイル232が退避領域235に退避される。
初期画面120に表示された「次へ」ボタン122を操作すると、初期画面120には、図6に示すように、「設定を0にしますか?」の問い合わせ画面125が表示される。「設定を0にする」とは、成形ナビゲーションを用いて設定値の設定を行う各項目について、前回の設定値をゼロにすることを意味する。問い合わせ画面125の「OK」を選択すると、前回の設定値が原則的にすべてゼロクリアされる。但し、本実施形態においては、型開閉・EJ画面に表示される低圧型締域の監視時間、監視トルク及びEJ回数と、温度設定画面に表示されるヒータ設定温度及びホッパ下温度については、問い合わせ画面125の「OK」が選択された場合にも、前回の設定値をゼロとしない構成になっている。このように、所定の設定項目について前回の設定値を一括してゼロクリアすると、操作者は、成形ナビゲーションに従って入力しようとする所定の設定項目について、自ら入力することが可能になるので、いちいち先の設定値を確認する必要がなく、成形条件の設定作業を能率化することができる。また、問い合わせ画面125の「CANCEL」を選択すると、前回の設定値が全て維持され、新たな設定値の設定に当たっては、先の設定値を必要に応じて利用することが可能になるので、成形条件の設定作業を能率化することができる。
一方、初期画面120に表示された「ナビ終了」ボタン123を操作すると、図7に示すように、初期画面120に「成形ナビゲーションを終了しますか?」の問い合わせ画面126が表示され、問い合わせ画面126の「OK」を選択すると、成形ナビゲーションが終了されて、図3に示すメニュー画面110が表示部30に表示される。また、問い合わせ画面126の「CANCEL」を選択した場合には、成形ナビゲーションが続行され、図8に示すオプション確認画面130が表示される。オプション確認画面130には、予め設定されているオプションの一覧131が表示される。図8の例では、オプション確認画面130から、環境設定1の「温度制御ゾーン」と「温調ボード枚数」がオプションとして設定されていることが分かる。また、このオプション確認画面130には、「次へ」ボタン122及び「ナビ終了」ボタン123に加えて、「戻る」ボタン124が表示される。
オプション確認画面130で「次へ」を選択すると、表示部30には図9に示す計算画面140が表示される。計算画面140には、タイトル欄201の下方に「型締力計算」の見出し欄202と「ストローク計算」の見出し欄203とが表示され、「型締力計算」の見出し欄202の下方には、設定項目の表示欄として、投影面積の設定欄204が表示されると共に、更にその下方には、型内平均樹脂圧のリスト選択ボタン205と、型締力の計算開始を指示する型締力計算ボタン206と、計算された型締力を表示する型締力計算値の表示欄207と、型締力計算値を交換画面に反映させるための「交換画面に連動」ボタン208とが表示される。一方、「ストローク計算」の見出し欄203の下方には、設定項目の表示欄として、製品重量の設定欄210が表示されると共に、更にその下方には、樹脂材料のリスト選択ボタン211と、必要ストロークの計算開始を指示する必要ストローク計算ボタン212と、計算された必要ストロークを表示する必要ストローク計算値の表示欄213と、必要ストローク計算値を射出可塑化画面に反映させるための「射出可塑化画面へ連動」ボタン214とが表示されている。
表示部30の表示が計算画面140に切り替わったとき、まず、「型締力計算」の見出し欄202と、投影面積の設定欄204と、型締力計算ボタン206と、交換画面に連動ボタン208と、製品重量の設定欄210と、必要ストローク計算ボタン212と、射出可塑化画面へ連動ボタン214とが、周囲と異なる色で色表示される。操作者は、この色表示を参照して、投影面積の表示欄に入力部40を用いて成形品の投影面積を設定する。成形品の投影面積を設定したとき、投影面積の設定欄204の色表示が解除され、設定値は投影面積の表示欄204に表示される。したがって、操作者は、投影面積の表示欄204への設定値の入力が完了したことを知ることができる。次に、操作者は、型内平均樹脂圧のリスト選択ボタン205を押して、型内平均樹脂圧の候補を表示画面に表示し、この表示の中から適宜のものを選択する。選択値は、型内平均樹脂圧の表示欄205に表示される。次に、計算ボタン206を選択すると、型締力が自動的に計算され、型締力計算の表示欄207に表示される。これにより、型締力計算が完了する。しかる後に、交換画面に連動ボタン208を押し、求められた型締力計算を交換画面に反映させる。
型締力計算が完了した後、計算画面140に表示された「次へ」ボタン122を押すと、「型締力計算」の見出し欄202の色表示が消え、「ストローク計算」の見出し欄203が色表示される。次に、操作者は、製品重量の表示欄210に入力部40を用いて成形品の製品重量を入力する。成形品の製品重量を入力したとき、製品重量の設定欄210の色表示が解除され、設定値は、製品重量の表示欄210に表示される。したがって、操作者は、製品重量の表示欄210への設定値の入力が完了したことを知ることができる。次に、操作者は、樹脂材料のリスト選択ボタン211を押して、樹脂材料の候補を表示画面に表示し、この表示の中から適宜のものを選択する。選択された材料名は、樹脂材料の表示欄211に表示される。次に、計算ボタン212を選択すると、必要ストロークが自動的に計算され、必要ストロークの表示欄213に表示される。これにより、ストローク計算が完了する。しかる後に、射出可塑化画面へ連動ボタン214を押し、求められたストローク計算を射出可塑化画面に反映させる。
このように、1つの画面上に入力すべき成形条件の設定欄が2つ以上存在する場合において、そのうちの1つの設定欄への成形条件の設定が完了するごとに当該設定欄の色表示を解除すると、操作者は色表示が解除された設定欄についての成形条件の設定が完了したことを知ることができるので、必要な成形条件の設定漏れを確実に防止できる。なお、計算画面140を用いた成形条件の設定が完了した後、操作者が計算画面140に表示された「戻る」ボタン124を操作すると、最初に「ストローク計算」の見出し欄203が色表示され、もう一度「戻る」ボタン124を操作すると、「型締力計算」の見出し欄202が色表示される。これにより、先に設定した成形条件の修正が容易になる。
計算画面140を用いて、型締力計算及びストローク計算に必要な成形条件を設定した後、操作者が計算画面140に表示された「ナビ終了」ボタン123を操作すると、計算画面140には、図10に示すように、「設定を登録しますか?」の問い合わせ画面127が表示される。操作者が「はい(設定を登録する)」を選択すると、成形ナビゲーションを用いて設定された今回の設定値が記憶部23に上書き保存される。これにより操作者は、次回成形ナビゲーションを用いて成形条件の設定を行う際に、記憶部23に上書き保存された今回の設定値を利用して成形条件の設定作業を行うことができるので、成形条件の設定作業を能率的に行うことができる。また、操作者が「いいえ(設定を登録しない)」を選択した場合には、成形ナビゲーションを用いて設定された今回の設定値が記憶部23に上書き保存されず、前回の設定値が記憶部23に残される。これにより操作者は、次回成形ナビゲーションを用いて成形条件の設定を行う際に、いちいち前回の設定値を確認する必要がないので、やはり成形条件の設定作業を能率的に行える。「はい」を選択するか、「いいえ」を選択するかは、作業者の好みや、成形品の製造計画等による。つまり、計算画面140に問い合わせ画面127を表示することにより、成形条件の設定方式を多様化でき、成形機の利用を便利にすることができる。
問い合わせ画面127は、計算画面140に表示されるだけでなく、交換画面、温度画面、型開閉画面、射出可塑化画面、型開閉オプション画面、エア画面、中子画面、射出可塑化オプション画面及び可塑化補助画面にも表示される。
図6に示す初期画面120で問い合わせ画面125の「OK」を選択し、計算画面、交換画面、温度画面、型開閉画面、射出可塑化画面、型開閉オプション画面、エア画面、中子画面、射出可塑化オプション画面又は可塑化補助画面のいずれかで「設定を登録しますか?」の問い合わせ画面127の「はい(設定を登録する)」を選択すると、今回の成形条件ファイル232には、それまでに入力した設定値が記憶され、他の項目については0となる。また、図6に示す初期画面120で問い合わせ画面125の「OK」を選択し、計算画面、交換画面、温度画面、型開閉画面、射出可塑化画面、型開閉オプション画面、エア画面、中子画面、射出可塑化オプション画面又は可塑化補助画面のいずれかで「設定を登録しますか?」の問い合わせ画面127の「いいえ(設定を登録しない)」を選択すると、退避領域235に退避されていた前回の成形条件設定値が読み出され、表示部30の表示画面に前回の成形条件設定値が表示される。このように、本発明の成形機は、前回の成形条件設定値をいったんゼロクリアした後においても、これを復元できるので、操作者は、前回の成形条件設定値を参照しながら今回の成形条件の設定作業を行うことができ、成形ナビゲーションを用いた成形条件設定作業の利便性を高めることができる。
なお、表示部30に表示する表示画面は、実施形態に挙げたものに限定されるわけではなく、必要に応じて適宜の表示画面を表示部30に表示させることができる。また、表示部30に表示させる表示画面の順番についても、実施形態に限定されるわけではなく、必要に応じて適宜の表示画面を適宜の順番で表示部30に表示させることができる。