JP2015098580A - 樹脂シート、及びその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】 湾曲形状を有する樹脂シートであり、光学性能や熱機械特性に優れ、軽量薄型化、安全性向上、曲面ディスプレイ、保護面用の面体などの要望に対応できる基材を提供すること。
【解決手段】 光硬化性組成物(A)を硬化して得られる厚さ0.1〜10mmの透明な樹脂シートであって、面内の少なくとも一方向に、曲率半径が0.1〜5mの範囲で湾曲していることを特徴とする樹脂シート。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光硬化性組成物を光硬化してなり、かつ、湾曲した形状を有する樹脂シートであり、光学特性、熱機械特性に優れ、ディスプレイ用の基材として有用な樹脂シート及び、ディスプレイ用の保護板、スクリーン、タッチパネル基板、保護面用の面体、等の用途に関するものである。
従来、ディスプレイ用の基材としては平坦なガラス板が多く使われてきた。例えば、ディスプレイの最前面である保護板(カバー)や、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネルなどには、平坦なガラス製の基材が使用されている。
近年、携帯電話やスマートフォンなどの携帯情報端末の進展は著しい。これら携帯用途のディスプレイは軽量薄型化が必須であり、使用されるガラス板も薄型化の傾向にある。
しかし、薄型化に伴い割れやすさが顕著になっているのが現状である。
更に、次世代ディスプレイとして、フレキシブルディスプレイ、曲面ディスプレイ、異形ディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイなどが提案されている。特に、テレビや車載用途においては、デザイン性や視認性の観点から、曲面ディスプレイが話題になっている。しかし、曲面ディスプレイにおいて、ガラス板の使用はより困難なものとなる。薄型ガラスを曲げた時の割れ易さは、製造工程においても末端商品においても安全性の点から大きな問題となる。一般的に、ガラス板は流延法やフロート法で製造されるが、そもそも曲率を持ったガラス板の製造は困難である。例えば、平坦なガラス板を加熱により湾曲させるにしても、内部に残留した応力歪により割れやすさが増大する。また、インモールド成形は高価であるため大量生産には向かず、平坦なガラス板の研磨は多大な時間を要する。
一方、軽量薄型化、安全性、フレキシブル性、曲面化、異形化などの要望に応えるべく、各種透明樹脂シートが提案されている。しかし、これらの樹脂シートでは、光線透過率や複屈折などの光学性能はもとより、耐熱性や硬度などの熱機械特性、耐溶剤性などの加工適性などが不充分であるため、高性能かつ高品位な基材としてガラスを代替するのは困難である。
これらの性能を満足するために、光硬化により得られる樹脂シートが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、化学強化により割れやすさを改善したカバーガラスが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2006−193596号公報 特開2013−125118号公報
しかしながら、特許文献1の開示技術では、確かに高性能かつ平坦な樹脂シートは得られるものの曲率を持った樹脂シートは得られない。特に、硬化が充分になされた場合は、架橋樹脂であるがために、加熱などの手法で曲げることも困難である。また、特許文献2の開示技術では、化学強化により割れやすさは改善できるものの、小サイズの部品を1品ずつ手作りで製造することとなり生産性に劣り、実用的ではない。また、一般的に、化学強化は、高温下でガラス中の金属イオンを交換することでなされるが、薄型ガラスの場合は高温の化学強化工程で変形する問題があり、一定の曲率をもつ薄型ガラスの化学強化処理はなおさら困難である。
そこで、本発明は、このような背景下において、湾曲形状を有する樹脂シートであり、光学性能や熱機械特性に優れ、軽量薄型化、安全性向上、曲面ディスプレイ、保護面用面体などの要望に対応できる基材の提供を目的とするものである。
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、光硬化性組成物(A)を用いて光硬化した樹脂シートを、面内の少なくとも一方向に曲率半径が0.1〜5mの範囲で湾曲させて硬化することにより、所定形状の湾曲を有している樹脂シートが得られることを見出し、本発明を完成した。なお、曲率半径(m)は、曲率の逆数である。
即ち、本発明の要旨は、光硬化性組成物(A)を硬化して得られる厚さ0.1〜10mmの透明な樹脂シートであって、面内の少なくとも一方向に曲率半径が0.1〜5mの範囲で湾曲している樹脂シートに関するものである。
更に本発明においては、光硬化性組成物(A)を光硬化した後、面内の少なくとも一方向に曲率半径が0.1〜5mの範囲となるように固定治具にて固定しながら熱硬化して樹脂シートを得ることが好ましい。
これは、半硬化状態に光硬化した樹脂シートを、所望の曲率半径に湾曲させて熱硬化することにより、硬化を完了すると共に湾曲形状を有する樹脂シートを得るものである。硬化による架橋樹脂の形状が、硬化(重合)の最終段階で決まることを利用したものである。かかる手法により、湾曲した成形型を用意する必要も無く、また樹脂シートを切削加工する必要も無く、所望の湾曲形状を有する樹脂シートを製造することができるのである。
本発明によれば、光学特性や熱機械特性に優れる湾曲形状を有する樹脂シートを、生産性よく製造できる。本発明の所望の湾曲形状を有する樹脂シートはディスプレイ用の保護板やスクリーン、タッチパネル基板、保護面用面体として好適である。
本発明の熱硬化で用いる固定治具の具体例の図である。 本発明の熱硬化で用いる固定治具の具体例の図である。 本発明の熱硬化で用いる固定治具の具体例の図である。
以下、本発明につき詳細に説明する。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルとメタクリロイルの総称である。また、ここでいう多官能とは、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有することを意味する。
本発明で用いられる光硬化性組成物(A)は、光照射により硬化するものであればよいが、中でも樹脂シートの生産性の点で、(メタ)アクリロイル基を含有する組成物であることが好ましい。
具体的には、例えば、光硬化性組成物(A)が、下記成分(A1)及び(A2)を含有してなるものであることが樹脂シートの耐熱性の点で好ましい。
(A1)多官能(メタ)アクリレート系化合物
(A2)光重合開始剤
上記の多官能(メタ)アクリレート系化合物(A1)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートジエステル等の脂肪族系化合物、ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,3−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス((メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス((メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサン等の脂環式系化合物、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA(2,2’−ジフェニルプロパン)型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2,2’−ジフェニルプロパン)型ジ(メタ)アクリレート等の芳香族系化合物などの2官能(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の脂肪族系化合物、1,3,5−トリス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,3,5−トリス((メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサン等の脂環式化合物などの3官能以上の(メタ)アクリレート、等が挙げられる。その他にも、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等も挙げられる。
本発明においては、多官能(メタ)アクリレート系化合物(A1)として、脂環構造を含有するものが剛性、加熱変色の少なさの点で好ましい。また、表面硬度の点で、多官能(メタ)アクリレート及びウレタン(メタ)アクリレートを含有してなることが好ましく、特には耐熱性の点で、ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート及びウレタン(メタ)アクリレートを含有してなることが好ましい。
本発明で好適に使用されるウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートを、必要に応じてジブチルチンジラウレートなどの触媒を用いて反応させて得られるものであることが好ましい。
ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、エチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族系ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)プロパン、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの3量体化合物などの脂環構造を有するポリイソシアネートや、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香環を有するポリイソシアネートなどが挙げられる。中でも低硬化収縮の点で、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートが好ましい。
水酸基含有(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。中でも樹脂シートの鉛筆硬度の点で、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましい。
ポリイソシアネートと、水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応により得られるウレタン(メタ)アクリレートは、2種以上混合して用いても良い。これらの反応物の中では、硬化速度の点からアクリレート系化合物が好ましく、特に表面硬度と曲げ弾性率の観点から2〜9官能、特には2〜6官能が好ましい。
光硬化性組成物(A)として、多官能(メタ)アクリレート及びウレタン(メタ)アクリレートを含有する場合には、その含有割合(重量比)は、樹脂シートの熱機械特性の点で、多官能(メタ)アクリレート/ウレタン(メタ)アクリレート=95/5〜50/50であることが好ましく、更には92/8〜60/40、特には90/10〜70/30であることが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートの含有割合が小さすぎると鉛筆硬度が低下する傾向があり、大きすぎると吸水率が増大する傾向がある。
また、本発明で用いられる光硬化性組成物(A)には、単官能(メタ)アクリレートを含んでいてもよく、かかる単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)クリレート、グリシジル(メタ)クリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデシルオキシメチル(メタ)アクリレート、トリシクロデシルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシメチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ノルボニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデシルオキシメチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ノルボニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなどの脂環骨格(メタ)アクリレートが、低硬化収縮の点で好ましい。
光硬化性組成物(A)として、単官能(メタ)アクリレートを含有する場合には、その含有量は、多官能(メタ)アクリレート系化合物100重量部に対して、耐熱性の点で、50重量部以下であることが好ましく、更には30重量部以下、特には10重量部以下であることが好ましい。かかる含有量が大きすぎると耐熱性が低下する傾向がある。なお、単官能(メタ)アクリレートを含有する場合の含有量の下限は通常0.001重量部である。
本発明で用いられる光重合開始剤(A2)としては、活性エネルギー線の照射によってラジカルを発生し得るものであれば特に制限されず、各種の光重合開始剤を使用することができる。例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどの光重合開始剤が特に好ましい。これらの光重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの光重合開始剤(A2)は、多官能(メタ)アクリレート系化合物(A1)(単官能(メタ)アクリレートを含有する場合は、多官能(メタ)アクリレート系化合物(A1)と単官能(メタ)アクリレートの合計)100重量部に対して、通常0.1〜10重量部の割合で使用されることが好ましく、更には0.2〜5重量部、特には0.2〜3重量部が好ましい。かかる使用量が少なすぎると重合速度が低下し、重合が充分に進行しない傾向があり、多すぎると得られる樹脂シートの光線透過率が低下(黄変)する傾向がある。
また、光重合開始剤とともに、熱重合開始剤を併用しても良い。熱重合開始剤としては、公知の化合物を用いることができ、例えば、ハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)等のパーオキシエステル、ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等のパーオキシカーボネート、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド等の過酸化物が挙げられる。
また、本発明で用いられる光硬化性組成物(A)には、上記の多官能(メタ)アクリレート系化合物(A1)及び光重合開始剤(A2)の他に、適宜、連鎖移動剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、増粘剤、帯電防止剤、難燃剤、消泡剤、着色剤、及び各種フィラーなどの補助成分を含有していても良い。
連鎖移動剤としては、多官能メルカプタン系化合物が挙げられ、例えば、ペンタエリスルトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスルトールテトラキスチオプロピオネートなどが挙げられる。これらの多官能メルカプタン系化合物は、多官能(メタ)アクリレート系化合物(A1)100重量部に対して、通常10重量部以下の割合で使用されることが好ましく、更には5重量部以下、特には3重量部以下が好ましい。かかる使用量が多すぎると、得られる樹脂シートの耐熱性や剛性が低下する傾向がある。なお、多官能メルカプタン系化合物の下限は通常0.0001重量部である。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−s−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、4,4−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、カルシウム(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)モノエチルフォスフォネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス−2[3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアネート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスファイト−ジエチルエステル等の化合物が挙げられ、これらの化合物は、単独または二種以上併用してもよい。これらの中でも、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが、樹脂シートの黄変を抑制する点から好ましい。
紫外線吸収剤としては、光硬化性組成物(A)に溶解するものであれば特に限定されず、各種紫外線吸収剤を使用することができる。具体的には、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、トリアゾール系、ヒドロキシベンゾエート系、シアノアクリレート系などが挙げられる。これらの紫外線吸収剤は複数を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、光硬化性組成物(A)との相溶性の点で、ベンゾフェノン系またはトリアゾール系、具体的には、(2−ヒドロキシ−4−オクチロキシ−フェニル)−フェニル−メタノン、2−ベンゾトリアゾール−2−イル−4−tert−オクチル−フェノール等の紫外線吸収剤が好ましい。紫外線吸収剤の含有割合は、光硬化性組成物(A)に対して、通常0.001〜1重量%であることが好ましく、特に好ましくは0.01〜0.1重量%である。かかる紫外線吸収剤が少なすぎると樹脂シートの耐光性が低下する傾向があり、多すぎると樹脂シートの光線透過率が低下する傾向がある。
本発明においては、上記で得られた光硬化性組成物(A)を硬化して透明な樹脂シートを得る。
硬化に際しては、光硬化性組成物(A)を光硬化した後、熱硬化することが好ましく、まずは、光硬化について説明する。
なお、本明細書中の硬化度とは、(メタ)アクリロイル基の反応率を意味する。
まず、光硬化性組成物(A)を、少なくとも片方が透明な2枚の平板と厚さ制御のためのスペーサーからなる成形型の空間に充填する。平板としては、とりわけガラス板が好ましい。
ガラス板は、成形型の強度の点から厚さ1〜10mmが好ましく、より好ましくは、樹脂シートの表面平滑性の点から、光硬化性組成物(A)が接する少なくとも片側のガラス表面が光学研磨されていることが好ましい。特には表面平滑性Raが50nm以下であることが好ましい。ガラス板の厚さが薄すぎると、光硬化性組成物(A)が硬化する際に生じる収縮応力に耐えられず、ガラス板に割れや反りが発生する傾向にある。ガラス板は、かかる強度の観点から化学強化されていてもよい。ガラス板の厚さが厚過ぎると、ガラスの重量が増大し、設備への負荷が大きくなる。ガラス板は、樹脂シートの脱型性を向上させるため、表面を離型剤で処理してもよい。
また、樹脂シートの表面に、レンズ機能、防眩機能、アンチニュートンリング機能などを付与するために、光硬化性組成物(A)が接する平板の表面に微細な凹凸を形成してもよい。かかる微細な凹凸が、樹脂シートに転写されることにより、レンズ機能、防眩機能、あるいはアンチニュートンリング機能をもつ樹脂シート、本発明においては湾曲形状を有する樹脂シートを得ることができる。かかる場合、平板の表面に微細な凹凸を形成するために、サンドブラストやエッチングなどの手法を用いることが可能である。
スペーサーは、樹脂シートの厚さを制御するものであるが、材料は特に限定されず、樹脂など公知の材料が使用される。樹脂の中でも、シリコン樹脂などのゴム質な材料が好ましい。
光硬化性組成物(A)を成形型の空間に充填した後、光照射を行う。使用される光源としては、一般的な紫外線ランプが使用できるが、照射装置の入手のし易さや価格などから、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、LEDランプ等が使用される。
照射光量としては、0.1〜100J/cm2が好ましく、より好ましくは、1〜50J/cm2、更に好ましくは2〜30J/cm2、特に好ましくは、3〜20J/cm2である。照射光量が少なすぎると、後段の熱硬化においてうねりが生じやすくなる傾向があり、多すぎると後段の熱硬化において湾曲形状を形成しづらくなる傾向にある。
照度としては、10〜100000mW/cm2が好ましく、より好ましくは、速光硬化の点で、50〜10000mW/cm2、更に好ましくは、樹脂シートの内部まで硬化させる点で、100〜1000mW/cm2である。
光照射は、片面もしくは両面から行うことができる。また複数回に分けて行うことも可能である。
本発明においては、光硬化による(メタ)アクリロイル基の反応率を50〜90%に制御することが好ましい。より好ましくは60〜85%、特に好ましくは70〜80%である。反応率が小さすぎると、後段の熱硬化においてうねりが生じやすく、大きすぎると後段の熱硬化において湾曲形状を形成しづらくなる傾向にある。なお、(メタ)アクリロイル基の反応率は、固体NMRやIRなどの分析手法で測定できる。
反応率を上記範囲に制御する手法としては、多官能(メタ)アクリレート系化合物(A1)、光重合開始剤(A2)の種類や量、照度や光量の制御、硬化温度を調整することが挙げられる。
上記反応率の範囲内となるように光硬化を行った後、得られた樹脂シートを成形型から脱型、及び剥離を行う。ここで得られた樹脂シートを光硬化シートという。この段階の光硬化シートは平坦であるため、容易に、印刷、コート、切断、切削、穴あけ、C面加工などの各種加工を施すことが可能である。
次に、本発明においては、光硬化後の光硬化シートを湾曲に固定し、熱硬化を行う。具体的には、光硬化シートを面内の少なくとも一方向に曲率半径が0.1〜5mになるように固定治具に固定しながら、熱硬化し、熱硬化後の(メタ)アクリロイル基の反応率が光硬化後の反応率より1〜40%、特には5〜30%、更には10〜20%高くなるように熱硬化を行うことが好ましい。熱硬化後の反応率と光硬化後の反応率の差が小さすぎると、硬化不充分となる傾向があり、大きすぎると、樹脂シートに変形が生じ易くなる傾向がある。
熱硬化に使用される加熱装置としては、通常のオーブンが使用できる。連続で硬化処理を行う場合は、赤外線ヒーターを用いることも可能である。オーブン内の雰囲気は、大気下,不活性ガス下,真空下のいずれでもよいが、硬化反応を完結させる点で、真空下が好ましい。加熱温度は通常50〜300℃、より好ましくは100〜250℃、特に好ましくは150〜200℃である。温度が低すぎると熱硬化が完結せず樹脂シートの物性が不安定となる傾向にあり、逆に高すぎると樹脂シートの色相が低下する傾向にある。加熱時間は通常10分〜20時間、より好ましくは30分〜10時間、特に好ましくは1〜7時間であり、加熱時間が短すぎると熱硬化が完結せず樹脂シートの物性が不安定となる傾向にあり、逆に長すぎると樹脂シートの色相が低下する傾向にある。
固定治具としては、特に限定されないが、例えば、図1に示されるような縦置きホルダーや、図2や図3に示されるような横置きホルダーが挙げられる。
本発明において、熱硬化後の(メタ)アクリロイル基の反応率は、物性の安定化の点で、70%以上であることが好ましい。より好ましくは70〜99%、特に好ましくは75〜95%、更に好ましくは80〜90%である。反応率が低すぎると、耐熱性や表面硬度などの熱機械特性が低下する傾向にある。なお、通常、反応率の上限値は99.9%である。
かかる熱硬化後の反応率を制御する手法としては、多官能(メタ)アクリレート系化合物(A1)、光重合開始剤(A2)の種類や量、加熱温度や加熱時間を調整することが挙げられる。
熱硬化の後、樹脂シートを固定治具からはずして、本発明の所望の湾曲形状を有する樹脂シートが得られる。なお、硬化度向上や応力歪除去のために、かかる樹脂シートを更に熱処理することも可能である。
本発明の樹脂シートの厚さは、用途により異なるが、0.1〜10mmであり、好ましくは0.2〜5mm、特に好ましくは0.2〜2mmである。厚さが薄すぎるとディスプレイ用基材としての剛性が低下する傾向にあり、厚すぎるとディスプレイの軽量薄型化が困難となる傾向がある。
本発明の樹脂シートは、通常、全光線透過率が85%以上であることが好ましく、より好ましくは88%以上、特に好ましくは90%以上であることが好ましい。全光線透過率が小さすぎるとディスプレイの輝度が低下する傾向にある。
本発明の樹脂シートは、位相差が10nm以下であることが好ましく、より好ましくは5nm以下、特に好ましくは2nm以下である。位相差が大きすぎると、ディスプレイ用に用いた際に画像の精細性が低下する傾向にある。なお、位相差の下限値は通常0.01nmである。
本発明の樹脂シートは、ガラス転移温度が150℃以上であることが、耐熱性の点から好ましい。ガラス転移温度が低すぎると、湾曲形状を有する樹脂シートの曲率が安定化しない傾向にある。ガラス転移温度の好ましい範囲は170〜400℃、より好ましくは190〜300℃、更に好ましくは200〜250℃である。かかるガラス転移温度を上記範囲に調整するに当たっては、上述した光硬化性組成物(A)の種類や成分の含有量を適宜コントロールする手法が挙げられる。例えば、多官能(メタ)アクリレート系化合物(A1)の官能基数を上げるなどの手法が挙げられる。
本発明の樹脂シートは、鉛筆硬度が3H以上であることが好ましく、より好ましくは5H以上、特に好ましくは7H以上である。鉛筆硬度が低すぎると保護板としての表面硬度が低下する傾向にある。かかる鉛筆を上記範囲に調整するに当たっては、上述した光硬化性組成物(A)の種類や成分の含有量を適宜コントロールする手法が挙げられる。例えば、多官能(メタ)アクリレート系化合物(A1)、とりわけウレタン(メタ)アクリレートとして3〜6官能等のものを使用するなどが挙げられる。
本発明の樹脂シートは、NC加工、打ち抜き加工、レーザー加工など公知の技術で所望サイズにカットすることも可能である。かかる場合、平板状の支持体に湾曲形状を有する樹脂シートを貼り付けたり、樹脂シートを押圧して、一旦平らな状態にしてから加工することが好ましい。かかる加工性の点で、樹脂シートの曲げ弾性率は、3〜5GPaであることが好ましい。更に好ましくは3.5〜4GPaである。曲げ弾性率が低すぎると、湾曲形状が安定化せず、またディスプレイ用基材としての剛性が低下する傾向にある。逆に、曲げ弾性率が高すぎると、加工時に割れが発生しやすい傾向にある。
かかる曲げ弾性率を上記範囲に調整するに当たっては、上述した光硬化性組成物(A)の種類や成分の含有量を適宜コントロールする手法が挙げられる。例えば、多官能(メタ)アクリレート系化合物(A1)、とりわけウレタン(メタ)アクリレートとして2〜6官能等のものを使用するなどが挙げられる。
以上詳述した手法により、湾曲形状を有する樹脂シートが得られるが、本発明の樹脂シートの曲率半径は、面内の少なくとも一方向に対して0.1〜5mであり、好ましい下限は0.2m、更には0.3mであり、好ましい上限は3m、更には2m、特には1m、殊には0.9m、更には0.8mである。曲率半径が、小さすぎるとディスプレイとしてのデザインが困難となる傾向があり、逆に大きすぎると湾曲ディスプレイとしての印象に欠ける傾向がある。
本発明の樹脂シートの曲率半径は、面内公差が10%以内であることが好ましい。より好ましくは7%以下、特に好ましくは5%以下である。面内公差が大きすぎると、ディスプレイとしてのデザインが困難である。面内公差の下限値としては通常0.1%である。
なお、本発明において、曲率半径は、樹脂シートから試験片を均等に9個切り出し、湾曲方向の曲率半径をノギスにより測定し、その平均値とすることとし、面内公差は、その9個の曲率半径の中の最大値と最小値から、下記式に従って算出することとする。
面内公差(%)=100×(曲率半径の最大値−曲率半径の最小値)/(曲率半径の平均値)
本発明の湾曲形状を有する樹脂シートには、種々の用途に応じて、粘着剤層、ハードコート層、印刷層、ガスバリア膜、透明導電膜を形成することができる。
透明導電膜としては、インジウムとスズの酸化物(ITO)などの無機膜や、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)などの有機膜が挙げられる。これらの中でもITO膜が導電性と透明性の点で好ましい。かかる透明導電膜の膜厚は、通常100〜5000Å、好ましくは200〜3000Å、更に好ましくは300〜2000Åである。かかる膜厚が厚すぎると基板にうねりが発生する傾向にあり、薄すぎると導電性が不充分となる傾向にある。
透明導電膜を成膜するに当たっては、成膜温度は、好ましくは50℃〜300℃、より好ましくは100〜250℃、更に好ましくは130〜200℃である。成膜温度が低すぎると導電性が不充分となる傾向にあり、逆に、高すぎると樹脂シートの光線透過率が低下する傾向にある。
得られる透明導電膜付きの湾曲形状を有する樹脂シートの導電性は、好ましくは500Ω/□以下、より好ましくは200Ω/□以下、更に好ましくは100Ω/□以下であり、高すぎるとディスプレイの表示性能が低下する傾向にある。
かくして、本発明の湾曲形状を有する樹脂シートを生産性よく製造することができ、得られた樹脂シートは、光学特性や熱機械特性に優れた効果を有し、ディスプレイ用の保護板やタッチパネル基板、更には保護面用の面体として好適である。
本発明の樹脂シートを、特に保護面用の面体として使用される場合には、耐溶剤性や耐薬品性に優れることが重要である。溶剤としては、メタノールやイソプロピルアルコールなどのアルコール類、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、γ−ブチルラクトンなどのケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンなどの塩化炭化水素類、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、エチレングリコール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ガソリン、油等が挙げられる。薬品としては、アルカリ水、塩酸などが挙げられる。一般的に、これらの溶剤や薬品に浸漬させても外観に異常が生じないことが好ましい。更に、溶剤蒸気にさらしても外観に異常が生じないことが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
(1)(メタ)アクリロイル基の反応率(%)
150mm×150mmの樹脂シートから50mm×50mmの試験片を切り出し、凍結粉砕した後、BRUKER・BIOSPIN社製「AVANCE DPX−400」で、固体NMRプローブを用いて、観測核は13C、回転数は5000Hz、室温(25℃)で測定した。重合していない(メタ)アクリロイル基中のカルボニル炭素は高磁場側(166ppm)に、重合したカルボニル炭素は低磁場側(176ppm)に検出される。これらのピーク面積比より反応率(%)を算出した。
(2)曲率半径(m)及び曲率半径の面内公差(%)
150mm×150mmの樹脂シートから50mm×50mmの試験片を均等に9個切り出し、湾曲方向の曲率半径をノギスによる測定から求めた。9個の平均値を樹脂シートの曲率半径とし、9個の中の最大値と最小値から、下記式に従って面内公差(%)を算出した。
面内公差(%)=100×(曲率半径の最大値−曲率半径の最小値)/(曲率半径の平均値)
(3)全光線透過率(%)
150mm×150mmの樹脂シートから50mm×50mmの試験片を切り出し、平坦となるよう金枠に取り付けた後、日本電色社製ヘイズメーター「NDH−2000」で、全光線透過率(%)を測定した。
(4)曲げ弾性率(GPa)
150mm×150mmの樹脂シートから長さ25mm×幅10mmの試験片を切り出し、島津製作所社製オートグラフ「AG−5kNE」(支点間距離20mm、0.5mm/分)で、凸方向から押圧して曲げ弾性率を測定した。
(5)鉛筆硬度
150mm×150mmの樹脂シートから50mm×50mmの試験片を切り出し、JIS K−5600に準じて、鉛筆硬度を測定した。
(6)ガラス転移温度(℃)
150mm×150mmの樹脂シートから長さ20mm×幅5mmの試験片を切り出し、レオロジー社製動的粘弾性装置「DVE−V4型 FTレオスペクトラー」の引っ張りモードを用いて、周波数10Hz、昇温速度3℃/分、歪0.025%で測定を行った。
得られた複素弾性率の実数部(貯蔵弾性率)に対する虚数部(損失弾性率)の比(tanδ)を求め、このtanδの最大ピーク温度をガラス転移温度(℃)とした。
(7)位相差(nm)
150mm×150mmの樹脂シートから長さ50mm×幅50mmの試験片を切り出し、大塚電子社製RETS100Aを用いて、25℃で波長550nmの位相差(nm)を測定した。
(8)耐溶剤性
150mm×150mmの樹脂シートから50mm×50mmの試験片を切り出し、N−メチルピロリドンに40℃で10分間浸漬した後、目視により外観の状態を観察した。評価基準は下記のとおりである。
○・・・外観に異常はなかった
×・・・外観に白濁などの異常が発生した
(9)表面抵抗値(Ω/□)
三菱化学社製の4端子法抵抗測定器(ロレスターMP)を用いて測定した。
<実施例1>
170mm×170mm×8mmサイズの2枚の光学研磨ガラス板を対向させ、厚さ0.7mm、幅1mmのシリコン板をスペーサーとした成形型の空間に、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジアクリレート(新中村化学社製「A−DCP」)90部、脂環構造含有の6官能ウレタンアクリレート(日本合成化学工業社製)10部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティケミカルズ社製「Irgacure184」)1部よりなる光硬化性組成物(A)を23℃で注液した。かかる成形型を水平に設置し、コンベアで搬送しながら、メタルハライドランプを用いて、光量10J/cm2で紫外線を照射した。得られた光硬化シートを脱型し、レーザーカットにより150mm×150mm×0.7mmの樹脂シート(A−1)を得た。次いで、得られた樹脂シート(A−1)を面内の一方向において曲率半径0.4mになるように固定治具(図2参照)に湾曲させて装着し、真空オーブン中で、1000Pa、200℃、5時間加熱して熱硬化を行い、湾曲形状を有する樹脂シート(B−1)を得た。得られた湾曲形状を有する樹脂シートの曲率半径の平均は0.4mであり、諸特性は表2及び表3に示される通りであった。
得られた樹脂シート(B−1)の凹面に、スパッタ法にて180℃で厚さ300ÅのITOよりなる透明導電膜を成膜し、透明導電膜付き基板を得たところ、表面抵抗値は100Ω/□であり良好であった。
<実施例2〜7>
表1の光硬化性組成物、表2の光硬化条件及び熱硬化条件であること以外は、実施例1と同様にして、光硬化シート、樹脂シート(A−1)、湾曲形状を有する樹脂シート(B−1)、及び透明導電膜付き基板を得た。諸特性は表2及び表3に示される通りであった。
<比較例1>
表1の光硬化性組成物、表2の光硬化条件及び熱硬化条件であること以外は、実施例1と同様にして、光硬化シート、及び、湾曲形状を有する樹脂シートを得た。しかし、得られた湾曲形状を有する樹脂シートはうねっており曲率半径が一定では無かった。諸特性は表2及び表3に示される通りであった。
<比較例2>
表1に示されるとおり、市販の厚さ0.7mmのポリカーボネート製シートを150mm×150mmに裁断し、実施例1と同様にして真空オーブン中で1000Pa、200℃で5時間熱処理を行ったが、変形が著しく所望の湾曲形状を有する樹脂シートは得られなかった。なお、元板の耐溶剤性試験を行ったところ、白濁した。諸特性は表2及び表3に示される通りであった。
<比較例3>
表1の光硬化性組成物を用いて、表2の光硬化条件で得られた光硬化シートを、曲率半径0.4mになるよう固定治具(図1参照)に装着し、加熱せず室温で5時間放置した以外は実施例1と同様に行った。しかし、湾曲形状を有する樹脂シートは得られなかった。かかる平坦な樹脂シートの諸特性は表2及び表3に示される通りであった。
得られた樹脂シートの片面に、スパッタ法にて180℃で厚さ300ÅのITOよりなる透明導電膜を成膜し、透明導電膜付き基板を得たところ、表面抵抗値は100Ω/□であった。
Figure 2015098580
Figure 2015098580
Figure 2015098580
上記結果の通り、実施例においては、所望の曲率半径の湾曲形状を有する樹脂シートを容易に得ることができ、得られた樹脂シートの光学特性、機械特性ともに良好であるのに対して、比較例においては、いずれも所望の湾曲形状を有する樹脂シートを得ることができず、実用に供することができなかった。
本発明により得られる湾曲形状を有する樹脂シートは、様々な光学材料、電子材料に有利に利用できる。例えば、保護シート、スクリーン、タッチパネル、液晶基板、有機/無機EL用基板、PDP用基板、電子ペーパー用基板、導光板、位相差板、光学フィルター等、各種ディスプレイ用部材、光ディスク基板を初めとする記憶・記録用途、薄膜電池基板、太陽電池基板などのエネルギー用途、光導波路などの光通信用途、更には機能性フィルム・シート、各種光学フィルム・シート用途に利用できる。また、光学材料、電子材料の他にも、例えば、保護面用の面体、保護メガネ、照明材料、自動車用材料、建材用材料、医療用材料、文房具などにも利用できる。

Claims (12)

  1. 光硬化性組成物(A)を硬化して得られる厚さ0.1〜10mmの透明な樹脂シートであって、面内の少なくとも一方向に曲率半径が0.1〜5mの範囲で湾曲していることを特徴とする樹脂シート。
  2. 光硬化性組成物(A)を光硬化した後、面内の少なくとも一方向に曲率半径が0.1〜5mの範囲となるように固定治具にて固定しながら熱硬化してなることを特徴とする請求項1記載の樹脂シート。
  3. 曲率半径の面内公差が10%以内であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂シート。
  4. 光硬化性組成物(A)が(メタ)アクリロイル基を含有する組成物であり、光硬化後の(メタ)アクリロイル基の反応率が50〜90%であり、熱硬化後の(メタ)アクリロイル基の反応率が光硬化後の反応率より1〜40%高いことを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の樹脂シート。
  5. 光硬化性組成物(A)が、下記成分(A1)及び(A2)を含有してなることを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載の樹脂シート。
    (A1)多官能(メタ)アクリレート系化合物
    (A2)光重合開始剤
  6. ガラス転移温度が150℃以上であることを特徴とする請求項1〜5いずれか一項に記載の樹脂シート。
  7. 曲げ弾性率が3〜5GPaであることを特徴とする請求項1〜6いずれか一項に記載の樹脂シート。
  8. 鉛筆硬度が3H以上であることを特徴とする請求項1〜7いずれか一項に記載の樹脂シート。
  9. ディスプレイ用の保護板に用いられることを特徴とする請求項1〜8いずれか一項に記載の樹脂シート。
  10. ディスプレイのスクリーンに用いられることを特徴とする請求項1〜8いずれか一項に記載の樹脂シート。
  11. 保護面用の面体に用いられることを特徴とする請求項1〜8いずれか一項に記載の樹脂シート。
  12. 請求項1〜8いずれか一項に記載の樹脂シートの少なくとも一面に、透明導電膜が成膜されてなることを特徴とするタッチパネル基板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019163193A1 (ja) * 2018-02-21 2019-08-29 株式会社ダイセル 積層体ならびに成形体およびその製造方法

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