JP2015098566A - 樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、及び成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】分散性良くカーボンナノファイバーを含有する樹脂組成物、この樹脂組成物の製造方法、及びこの樹脂組成物を成形してなる成形体の提供。
【解決手段】炭素六角網面で形成されたカーボンナノファイバー本体の一端に保持されるとともに、前記カーボンナノファイバー本体の軸線方向に沿った軸線を有すると共にカーボンナノファイバー本体の軸線方向においてカーボンナノファイバー本体の外側に向かう台面部と、カーボンナノファイバー本体の軸線方向に沿ってカーボンナノファイバー本体の内部に形成された中空部に向かう鋭角の錐台部とを有する形態を備える遷移金属を有するカーボンナノファイバーと、樹脂とを含有する樹脂組成物。
【選択図】 図1

Description

本発明は、樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、及び成形体に関し、更に詳しくは、分散性良くカーボンナノファイバーを含有する樹脂組成物、この樹脂組成物の製造方法、及びこの樹脂組成物を成形してなる成形体に関する。
カーボンナノファイバー(CNFと略称されることがある。)は、ナノレベルの微細な炭素繊維であり、その機械的特性を生かして機能性材料として広く用いられている。また、カーボンナノチューブ(CNTと略称されることがある。)を代表とした各種のカーボンナノ材料も開発されており、例えば、導電フィラー、熱伝導材料、発光素子、電池やキャパシターの電極材料、配線材料や配線同士の電極接合材料、補強材料、黒色材料などの各種用途において、多様な機能を有する材料として有望視されている。尚、カーボンナノチューブは中空である形態に着目して命名されることがあり、カーボンナノファイバーに含まれる用語である。
従来、種々の樹脂にカーボンナノファイバーを配合することによって、電気伝導性、強度、弾性、熱伝導性、又は磁気特性等を向上させた樹脂組成物を製造する技術が知られている。しかし、カーボンナノファイバーの凝集性が高いので、樹脂組成物においてカーボンナノファイバーが均一に分散されにくいという問題がある。
前記問題を解決する手段を記載した文献として、特許文献1が挙げられる。特許文献1におけるカーボンナノチューブ樹脂の製造方法は、「(1)非水溶性の溶剤に熱硬化性樹脂を溶解させて樹脂バインダー溶液を調製する溶解工程と、(2)カーボンナノチューブと水の混合物を、懸濁して懸濁液を得る懸濁工程と、(3)前記溶解工程で得られた樹脂バインダー溶液を前記懸濁工程で得られた懸濁液へ添加し混合して、カーボンナノチューブを水相から樹脂相へと移行させ、樹脂皮膜形成と顆粒化を行う混合工程と、(4)前記混合工程で得られた混合液を静置後、水槽と樹脂層を分離除去する分離工程と、を備えること」を特徴とする(特許文献1の請求項3)。簡単に言うと、特許文献1における発明では、樹脂とカーボンナノチューブとを混合する前に、予めカーボンナノチューブを水に分散させるによって、樹脂におけるカーボンナノチューブの分散性を高めることができる。
特許文献1に記載の発明によると、カーボンナノチューブを水に分散させる工程及び水と樹脂とを分離する工程が余分に必要であって、操作が煩雑である。また、特許文献1に記載の発明によると、懸濁液に含有される水の影響によって、樹脂自体の性能が劣化してしまうことがある。さらに、特許文献1には、カーボンナノチューブの具体的な構成、製造方法等が記載されておらず、一端に金属を含有するカーボンナノチューブを用いることが記載されていない。
また、前記問題を解決する手段を記載した他の文献として、特許文献2が挙げられる。特許文献2におけるカーボンナノチューブの分散方法は、「界面活性剤とアジピン酸エステル系可塑剤とを含む混合液にカーボンナノチューブを加えてカーボンナノチューブ分散液を調製する工程」を含むことを特徴とし(特許文献2の請求項1)、この界面活性剤はカーボンナノチューブの「分散剤」として用いられている(特許文献2の段落番号0015欄参照)。
特許文献2に記載の発明によると、適量の分散剤を添加するという工程が余分に必要であって操作が煩雑である他、用いる分散剤の種類によっては最終製品において臭いが発生することがある。また、特許文献2では、一端に金属を含有するカーボンナノチューブを用いることが記載されていない。
さらに、前記問題を解決する手段を記載した他の文献として、特許文献3が挙げられる。特許文献3における樹脂組成物は、「樹脂と、ニッケル/酸化マグネシウム触媒、又はニッケル/酸化アルミニウム触媒を用いて作製したカーボンナノチューブとを含有する」ことを特長とする(特許文献3の請求項1)。簡単に言うと、特許文献3に記載の発明においては、特殊な製法によって作成されたカーボンナノチューブを用いることによって、樹脂組成物におけるカーボンナノチューブの分散性を高めることができる。
特許文献3の段落番号0054欄における実施例1には、「33gのカーボンナノチューブ1及び967gのLPDE樹脂(低密度ポリエチレン樹脂)を、スーパーミキサーを用いて攪拌羽回転速度300rpmで3分間、攪拌及び混合した」と開示されている。特許文献3において、カーボンナノチューブとLPDE樹脂との合計に対するカーボンナノチューブの質量の割合は約3.3質量%に過ぎず、樹脂組成物におけるカーボンナノチューブの含有量が十分ではない。また、特許文献3の0051欄に、「収集器13が一杯になると、収集器13を反応炉から分離し、冷却後製品を取り出し、化学処理で触媒を除去し、水洗及び乾燥し、カーボンナノチューブ600gを得た」と開示されていることから、特許文献3に記載された樹脂組成物は、カーボンナノチューブの合成工程で用いられた触媒由来の金属を含有しない。
特開2011−42538号公報 特開2008−1866号公報 特開2010−285522号公報
Carbon Vol.35, No.10-11, pp.1495-1501,1997
本発明の課題は、分散性良くカーボンナノファイバーを含有する樹脂組成物を提供すること、このような樹脂組成物の製造方法、及びこのような樹脂組成物を成形してなる成形体を提供することである。
前記課題を解決するための手段は、
(1)炭素六角網面で形成されたカーボンナノファイバー本体の一端に保持されるとともに、前記カーボンナノファイバー本体の軸線方向に沿った軸線を有すると共にカーボンナノファイバー本体の軸線方向においてカーボンナノファイバー本体の外側に向かう台面部と、カーボンナノファイバー本体の軸線方向に沿ってカーボンナノファイバー本体の内部に形成された中空部に向かう鋭角の錐台部とを有する形態を備える遷移金属を有するカーボンナノファイバーと、樹脂とを含有する樹脂組成物であり、
(2)遷移金属は、Ni、Co、及びFeよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であることを特徴とする前記(1)に記載の樹脂組成物であり、
(3)カーボンナノファイバーの質量と樹脂の質量との合計に対する、カーボンナノファイバーの質量の割合が、70質量%以下であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の樹脂組成物であり、
(4)樹脂は、熱硬化性樹脂、汎用プラスチック、汎用エンジニアリングプラスチック、又はスーパーエンジニアリングプラスチックであることを特徴とする前記(1)から(3)までのいずれか1つに記載の樹脂組成物であり、
(5)カーボンナノファイバーの成長時にカーボンナノファイバーの成長点となる遷移金属を分散させる遷移金属含有スポンジ触媒の存在下に、炭素を含む原料ガスを450〜800℃に加熱することによってカーボンナノファイバーを得る工程と、
この工程によって得られたカーボンナノファイバーと樹脂とを混合する工程を含むことを特徴とする前記(1)に記載の樹脂組成物の製造方法であり、
(6)前記(5)に記載の遷移金属含有スポンジ触媒がNi、Co、及びFeよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、Alを含む化合物とからなることを特徴とする請求項5に記載の樹脂組成物の製造方法であり、
(7)カーボンナノファイバーの質量と樹脂の質量との合計に対する、カーボンナノファイバーの質量の割合が、70質量%以下であることを特徴とする前記(5)又は(6)に記載の樹脂組成物の製造方法であり、
(8)樹脂は、熱硬化性樹脂、汎用プラスチック、汎用エンジニアリングプラスチック、又はスーパーエンジニアリングプラスチックであることを特徴とする前記(5)から(7)までのいずれか1つに記載の樹脂組成物の製造方法であり、
(9)前記(1)から(4)までのいずれか1つに記載の樹脂組成物を成形してなる成形体である。
本発明に係る樹脂組成物は、遷移金属を保持する特殊なカーボンナノファイバーを含有する。このカーボンナノファイバーは、分散性に優れており、樹脂と混合した際に凝集しにくいという特性を有する。よって、本発明によると、分散性良くカーボンナノファイバーを含有する樹脂組成物を提供することができる。
本発明に係る樹脂組成物の製造方法においては、遷移金属含有スポンジ触媒を用いることによってカーボンナノファイバー本体の一端に遷移金属が保持されたカーボンナノファイバーを得ることができる。前述したように、このカーボンナノファイバーは優れた分散性を有するので、分散剤を添加する操作、又は水によって予めカーボンナノファイバーを懸濁させる操作をしなくとも、高濃度のカーボンナノファイバーが均一に分散した樹脂組成物を得ることができる。よって、本発明によると、簡便な操作によって、比較的高濃度のカーボンナノファイバーを分散性良く含有する樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
本発明に係る成形体においては、カーボンナノファイバー本体の一端に遷移金属が保持されたカーボンナノファイバーを含有する。このカーボンナノファイバーは超常磁性を有するとともに、優れた導電性を有する。よって、本発明によると、強磁性で高い保持力を有し、導電性に優れた成形体を提供することができる。
図1は、本発明のカーボンナノファイバーの端部を示す模式図である。 図2は、本発明の一例であるカーボンナノファイバーの端部を示すTEM図である。
本発明の樹脂組成物は、カーボンナノファイバーと樹脂とを含有する。
樹脂組成物は、その用途に応じてさまざまの形態で用いることができる。樹脂組成物の形態は特に制限されず、例えば、固体であってもよく、固体でなくてもよい。固体の樹脂組成物の形態は、例えば、粘土状であることが挙げられ、固体でない樹脂組成物の形態は、例えば、液状、スラリー状、及びインク状であることが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、カーボンナノファイバー及び樹脂以外の物質を含有してもよい。例えば、本発明の樹脂組成物は、公知の架橋剤、反応触媒、可塑剤、又は樹脂を溶解させるのに用いられる溶媒を、必要に応じて含んでいてもよい。但し、本発明の樹脂組成物は、カーボンナノファイバーを分散させる分散剤を含まないことが好ましい。このような分散剤として、例えば、アルキルエーテル系界面活性剤、アルキルエステル系界面活性剤等が挙げられる。樹脂組成物に前記分散剤が含まれると、独特の臭いを発生させることがあり好ましくない。
カーボンナノファイバー1は、図1の模式図で示される。カーボンナノファイバー1は、炭素六角網面で形成されたカーボンナノファイバー本体2と前記カーボンナノファイバー本体の一端に形成される遷移金属3とを有し、前記遷移金属3は、前記カーボンナノファイバー本体2の軸線方向に沿った軸線を有すると共に、カーボンナノファイバー本体2の軸線方向においてカーボンナノファイバー本体2の外側に向かう台面部4と、カーボンナノファイバー本体2の軸線方向に沿ってカーボンナノチューブファイバー本体の内部に形成された中空部5に向かう鋭角の錐台部6とを有する。
カーボンナノファイバー本体2は、炭素六角網面つまり炭素原子同士がsp3混成軌道で結合した網面で形成される。
カーボンナノファイバー本体の平均直径は、通常5〜150nm、特に10〜150nmであり、平均アスペクト比は、通常10以上、特に100〜10,000である。カーボンナノファイバーの平均アスペクト比は、カーボンナノファイバーの平均長さ(L)とカーボンナノファイバーの平均外形(D)との比(L/D)である。カーボンナノファイバーの平均直径は、走査型電子顕微鏡を用いて倍率10,000倍以上で観察されるカーボンナノファイバーから10本のカーボンナノファイバーを任意に選択し、選択された10本におけるそれぞれのカーボンナノファイバーの長さを測定し、それら10本のカーボンナノファイバーの長さの数平均値である。
カーボンナノファイバー本体を形成する炭素六角網面(グラフェンシートとも称される。)は一層であっても多層であってもよい。カーボンナノファイバー本体は、カーボンナノファイバー本体の先端部に存在する遷移金属が前記した特異な形状を有することにより、保磁力及び導電性が優れるといった利点がある。
カーボンナノファイバー本体は、カーボンナノファイバー本体の中心軸線に対してグラフェンシート面の各度が0度であるチューブラー型、前記中心軸線に対してグラフェンシート面の各度が0度よりも大きく90度よりも小さいヘリンボーン型、前記中心軸線に対してグラフェンシート面の各度が90度であるプレートレット型であることができる。本発明のカーボンナノファイバーにおける好適なカーボンナノファイバー本体は、ヘリンボーン型である。ヘリンボーン型をしたカーボンナノファイバー本体を有するカーボンナノファイバーは、カップ状のグラフェンシートが積み重ねられ、かつ内部に形成された中空部が不連続に複数形成されて成る構造を有する。また、本発明においては、カップスタック型のカーボンナノファイバー本体を有するカーボンナノファイバーであってもよい。カップスタック型のカーボンナノファイバー本体は、前記カーボンナノファイバー本体の中心軸線に対してグラフェンシート面の角度が0度よりも大きく90度よりも小さくて、内部に連続した中空部が形成されている。
カーボンナノファイバー本体の端部に保持される遷移金属としてはFe、Co、及びNiよりなる群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。好適な遷移金属はNiである。カーボンナノファイバー本体の端部に保持される遷移金属は、後述するカーボンナノファイバーの成長時に用いられた遷移金属含有スポンジ触媒に由来する。カーボンナノファイバー本体の端部に保持される遷移金属は、スポンジ触媒における溶出金属として用いられるアルミニウム、ケイ素、亜鉛及びマグネシウム等を、含有しないことが好ましい。
通常、NiはFeよりは弱いが強磁性体である。Niを微粒子化すると、そのNi微粒子は超常磁性になる。超常磁性は、磁化曲線内側に占められる面積が小さいことで確認できる。Ni微粒子の保磁力は通常100Oe程度と小さい。Ni以外の遷移金属微粒子についても、微粒子化によって、保磁力がNiと同様に小さい。
しかしながら、本発明に係るカーボンナノファイバーは、その先端に遷移金属、例えばNiを含む場合に、遷移金属微粒子の保磁力に比べてその保磁力は約10倍(1000Oe)となる。本発明に係るカーボンナノファイバーに含まれる遷移金属、例えばNiの微粒子の粒径が10〜500nmというナノオーダーであることから、遷移金属例えばNiの微粒子径がnmオーダーでも高い保磁力を有する。この遷移金属、例えばNiの微粒子の保磁力は磁気記録媒体としての使用可能な値である。本発明に係るカーボンナノファイバーの先端に含まれる遷移金属、例えばNi微粒子保磁力の大きさは、遷移金属例えばNi微粒子がカーボンナノファイバー本体で被覆されたことにより遷移金属例えばNi微粒子の表面が酸化されなかったこと、更にはTEM観察から発見されたように、カーボンナノファイバー本体の先端部に含まれる遷移金属例えばNi微粒子の特異的な構造を有することに起因して発現したと考えられる。
本発明の樹脂は、カーボンナノファイバーと混合できる限りにおいて特に限定されるものではなく、例えば、本発明の樹脂としては、熱硬化性樹脂、汎用プラスチック、汎用エンジニアリングプラスチック、又はスーパーエンジニアリングプラスチックが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、又はシリコーン樹脂等が挙げられる。汎用プラスチックとしては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン(PPと略称されることがある。)、又はアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABSと略称されることがある。)等が挙げられる。汎用エンジニアリングプラスチックとしては、ポリアセタール、ポリアミド、ナイロン、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレンテレフタレート等が挙げられる。スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリエステル、ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDFと略称されることがある。)又はポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。これらの樹脂のうち、PVDF、ABS、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、又はPPを用いることが特に好ましい。本発明の樹脂は液体であってもよく、固体であってもよい。
本発明の樹脂組成物においては、カーボンナノファイバーの質量と樹脂の質量との合計に対する、カーボンナノファイバーの質量の割合が70%以下であることが好ましい。カーボンナノファイバーの質量の割合が70%よりも大きいと、分散剤を用いることなくカーボンナノファイバーを系中に均一に分散させることが困難であり、カーボンナノファイバーが凝集してしまうことがあるので好ましくない。
固体でない樹脂組成物では、樹脂組成物中に溶解及び分散されてなるカーボンナノファイバーの質量と、樹脂組成物中に溶解及び分散されてなる樹脂の質量とから、前記割合が計算される。固体の樹脂組成物では、樹脂組成物に包含される固体のカーボンナノファイバーの樹脂の質量と、樹脂組成物に包含される固体の樹脂の質量とから、前記割合が計算される。
本発明の樹脂組成物においては、カーボンナノファイバーが均一に分散されてなる。
例えば、固体でない樹脂組成物では、樹脂を含有する流体中において、カーボンナノファイバーが均一に分散される。また、固体の樹脂組成物では、固体の樹脂中においてフィラーとしてカーボンナノファイバーが均一に分散する。
樹脂組成物においてカーボンナノファイバーが均一に分散されてなることは、例えば、樹脂組成物を静置した後に、カーボンナノファイバーの凝集体が沈降し始める時間を計測することにより評価することができる。また、樹脂組成物においてカーボンナノファイバーが均一に分散されてなることは、ガラス基板の上に樹脂組成物を塗布し、顕微鏡等を用いて塗布面を観察した際に、黒色のカーボンナノファイバーの凝集体が観察される程度によっても評価することができる。
次に、本発明の樹脂組成物の製造方法について説明する。
本発明のカーボンナノファイバーは、遷移金属含有スポンジ触媒の存在下に、炭素を含む原料ガスを、450〜800℃に加熱することにより、製造することができる。
遷移金属含有スポンジ触媒は、遷移金属と溶出金属と必要に応じて加えられる他の金属との合金から前記溶出金属を溶出することにより製造することのできる、多孔質の触媒である。前記遷移金属としては、Fe、Co及びNiを挙げることができる。好適な遷移金属はNiである。溶出金属は、水、アルカリ性水溶液及び酸性水溶液等の浸食剤に溶解する金属である。浸食剤としては、入手の容易さと安価であることとにより、水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。浸食剤として水酸化ナトリウム水溶液が採用される場合、水酸化ナトリウム水溶液における水酸化ナトリウムの濃度は、通常、15〜25%が好ましい。また、合金に対する水酸化ナトリウムの使用量は、合金1質量部に対して0.9〜2質量部が好ましい。水酸化ナトリウム水溶液に合金を浸漬する際のその水酸化ナトリウム水溶液における液温度は、常温であっても良いが、通常、50〜110℃である。溶出金属としては、アルミニウム、ケイ素、亜鉛及びマグネシウムなどを挙げることができる。合金を容易に製造すること、及び合金から容易に溶出させることができるという観点からすると、溶出金属としてアルミニウムが好ましい。また、触媒活性の向上を図るという必要性がある場合には、他の金属としてタングステンが好ましい。
好適な合金としては、10〜90質量部の好ましくは20〜70質量部のNiと、90〜10質量部の好ましくは80〜30質量部のAlとからなる合金を挙げることができる。
前記合金は、遷移金属と溶出金属と必要に応じて加えられる他の金属とを電気炉等の加熱手段により溶融させることにより得ることができる。
前記合金を浸食剤に浸漬すると合金中の溶出金属が浸食剤中に溶出することにより多孔質の遷移金属含有スポンジ触媒が調製される。
前記遷移金属含有スポンジ触媒は、基板表面に設置されることによって用いられる。遷移金属含有スポンジ触媒を基材表面に設置するには、例えば、遷移金属含有スポンジ触媒が分散する液を、基材の表面に塗布、乾燥すればよい。
基材の材質及び形状は特に制限されないが、基材の材質としては、石英、シリコン、又はサファイア等が挙げられ、基材の形状としては、平面形状、又は円形若しくは楕円形の底面とその底面の淵から立ち上がる環状側面とを有する形状等が挙げられる。
本発明のカーボンナノファイバーの製造方法において、原料ガスとしては、炭素を含有する化合物のガスであればよく、炭素を含有する化合物として、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、並びに、メタン、エタン、プロパン等の飽和炭化水素、エチレン及びアセチレン等の不飽和炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の飽和環状炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、ナフタレン、アントラセン等の芳香族炭化水素等を挙げることができる。好適な原料ガスとして飽和炭化水素ガス、特にメタンガスを挙げることができる。原料ガスには、炭素を含有する化合物の濃度を調整するために、不活性ガス例えば窒素ガス、希ガス等が含まれていても良い。
基材の表面に供給される原料ガスの供給量は、炭素を含有する化合物の量が5〜40モル/分となるように、好ましくは10〜20モル/分となるように調整されればよい。
基材は、カーボンナノファイバーを製造する反応器内に配置されることによって用いられる。基材が設けられた反応器内へ加熱された原料ガスを供給し、原料ガスと基材表面の遷移金属含有スポンジ触媒とを接触させると、遷移金属含有スポンジ触媒の形が崩れつつカーボンナノファイバーが形成され、カーボンナノファイバーの集合物が基板表面を覆うように成長する。やがて、加熱された原料ガスを基板表面に供給し続けるとついにはカーボンナノファイバーの集合物が基板表面全体を被覆するに至る。よって、カーボンナノファイバーの集合物は、基材の表面形状に倣う形状として形成され、例えば、基板が平面形状であると、基板の平面形状に倣ったシート状のカーボンナノファイバーの集合体が得られる。また、この方法によって得られたカーボンナノファイバーの集合物を構成するカーボンナノファイバーは、炭素六角網面で形成されたカーボンナノファイバー本体の一端に保持されるとともに、カーボンナノファイバー本体の軸線方向に沿った軸線を有すると共にカーボンナノファイバー本体の軸線方向においてカーボンナノファイバー本体の外側に向かう台面部と、カーボンナノファイバー本体の軸線方向に沿ってカーボンナノファイバー本体の内部に形成された中空部に向かう鋭角の錐台部とを有する形態を備える遷移金属を有する。
本発明における樹脂組成物の製造方法は、カーボンナノファイバーと樹脂とを混合する工程を含む。樹脂と混合するのに用いられるカーボンナノファイバーの態様は特に制限されないが、粉状であることが好ましい。例えば、基材の表面形状に倣う形状に形成されたカーボンナノファイバーの集合体を基材から剥離した後に、カーボンナノファイバーの集合体を乳鉢ですりつぶすことによって、粉状のカーボンナノファイバーを得ることができる。
固体の樹脂をカーボンナノファイバーと混合するには、例えば、固体の樹脂を溶媒に溶解させた樹脂溶液と、粉状のカーボンナノファイバーを溶媒に分散させたカーボンナノファイバー分散液とを調製し、樹脂溶液とカーボンナノファイバー分散液とを混合することによって、樹脂とカーボンナノファイバーとの混合液を得る方法を用いることができる。カーボンナノファイバー分散液を調製する際には、超音波を照射する方法等の分散方法を適宜用いてもよい。樹脂とカーボンナノファイバーとの混合液を調製するのに用いられる溶媒の量は適宜設計変更することができ、例えば、溶媒の質量が樹脂の質量の2倍以上20倍以下となるようにすることが好ましい。前記溶媒は、通常、非水溶性の有機溶媒である。有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、テトロヒドロフラン、ベンゼン、シクロヘキサン、酢酸エチル、又はN−メチル−2−ピロリドン(NMPと略称されることがある。)が挙げられる。樹脂溶液を調製するのに用いられる溶媒と、カーボンナノファイバー分散液を調製するのに用いられる溶媒とは、同じであってもよいし異なっていてもよい。
樹脂とカーボンナノファイバーとの混合液に、公知の分散方法を用いることによって、カーボンナノファイバーが均一に分散した液状、インク状、又は粘土状である樹脂組成物を得ることができる。この公知の分散方法としては、樹脂組成物の種類、状態、粘度等によって適宜選択できるが、例えば、混合液を高速振盪させる方法、及び/又は混合液を高速攪拌する方法が挙げられる。また、これらの分散方法においては、適宜減圧脱泡を行ってもよい。液状、又はインク状である樹脂組成物から溶媒を除去し、固化させることによって、カーボンナノファイバーが均一に分散した固体の樹脂組成物を得ることができる。
液体の樹脂とカーボンナノファイバーとを混合するには、液体の樹脂に粉状のカーボンナノファイバーを添加し、樹脂とカーボンナノファイバーとの混合液を得る方法を用いることができる。さらに、この混合液に硬化剤を加えることによって、樹脂とカーボンナノファイバーとを含有する固体状の混合体を得ることができる。
樹脂とカーボンナノファイバーとを含有する固体状の混合体において、例えば、押出成形機又は三本ロールミル等を用いて溶融混練することによって、カーボンナノファイバーが均一に分散した固体の樹脂組成物を得ることができる。
カーボンナノファイバーと、樹脂とを混合する際には、カーボンナノファイバーの質量と樹脂の質量との合計に対するカーボンナノファイバーの質量の割合が、70質量%以下であることが好ましい。前記割合が70質量%以下であれば、カーボンナノファイバーを分散させるための分散剤を用いることなく、また、カーボンナノファイバーを水 に分散させる処理を行うことなく、カーボンナノファイバーの分散液を得ることができる。
本発明における成形体は、前記樹脂組成物を原料として、従来公知のプラスチックの成形法を用いることにより得られ、例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形、真空成形、及びインフレーション成形によって成形体を得ることができる。
本発明の成形体は、カーボンナノファイバー本体の一端に、所定の形状にて遷移金属が保持されたカーボンナノファイバーを含有する。このカーボンナノファイバーは超常磁性を有し導電性に優れているという特性を有するので、カーボンナノファイバーを含有する本発明の成形体は、強磁性で高い保磁力を有するとともに電気抵抗が小さく、電磁波シールド効果及び導電性に優れる。
成形体の形状は、成形体の用途に応じて適宜設計変更することができ、特に制限されないが、例えば、ペレット状、タブレット状、シート状、フィルム状、及び板状であってもよい。成形体は、従来公知の用途に用いられることができるが、特に、電極を構成する材料、及び磁気記録装置を構成する材料として用いられる。
(製造例1)
(カーボンナノファイバーの製造)
遷移金属含有スポンジ触媒であるスポンジニッケル触媒(川研ファインケミカル製 NDT−90)0.5gを石英基板上にのせて電気炉内に設置し、650℃まで加熱し原料ガスであるメタンガスを流量500sccmで30分間、スポンジニッケル触媒と反応させることにより、石英基板の表面上に石英基板と同じ形状をしたシート状のカーボンファイバー集合体が形成された。このカーボンナノファイバー集合体の重量は4.5gであった。この重量は、カーボンナノファイバー本体と、カーボンナノファイバー本体の一端に存在するスポンジニッケル触媒に由来する遷移金属との総重量である。このカーボンナノファイバー集合体を乳鉢ですりつぶすことにより粉状のカーボンナノファイバーを得た。
図2に、得られたカーボンナノファイバーの先端部を観察した透過型電子顕微鏡(TEM)画像の結果を示した。観察されたカーボンナノファイバーは、カップスタック型のカーボンナノファイバーであり、六角炭素網面で筒状に形成されたカーボンナノファイバー本体と、カーボンナノファイバー本体の一端に遷移金属であるニッケル(Ni)とを有する構造であった。カーボンナノファイバーの直径は70〜100nm、Niの粒径は約50nmであった。更には、カーボンナノファイバーに内包されたNiは、カーボンナノファイバーの軸線に沿った軸線を有すると共にカーボンナノファイバー本体の軸線方向の外側に向かう台面部と、カーボンナノファイバー本体の軸線方向に沿ってカーボンナノファイバー本体の内部に形成された中空部に向かう鋭角の錐台部とを有する形態が観察された。
(実施例1)〜(実施例5)、及び(比較例1)
(樹脂としてPVDFを用いる例)
製造例1で得られたカーボンナノファイバーと溶媒であるNMPとをビーカーに入れ、20分間の超音波処理を行い、カーボンナノファイバー分散液を得た。次に、樹脂であるPVDF(shanghai 3F NewMaterials社製 FR905)をNMPに溶解させた溶液と、前記カーボンナノファイバー分散液とを混合し、PVDFとカーボンナノファイバーの混合液を得た。このとき、カーボンナノファイバー分散液を調製するのに用いられたNMPの質量とPVDFを溶解させるのに用いられたNMPの質量との合計は、使用するPVDFの質量の10倍量となるようにした。また、PVDFとカーボンナノファイバーとの混合割合が、表1で示される値となるようにした。
カーボンナノファイバーの濃度が比較的低い実施例1及び実施例2においては、得られたPVDFとカーボンナノファイバーとの混合液を、さらに250mLのPTFE製容器2本に入れ1cm球のジルコニアビーズを各40個ずつ入れ、ロッキングミル(セイワ技研 RM−05)で1時間の振盪を行った。その後得られた分散液を、自転公転式の撹拌・脱泡機(シンキー社製 あわとり練太郎)で撹拌(2000rpm、8分)及び脱泡(2200rpm、1.5〜5分)し、カーボンナノファイバーを含有する樹脂組成物を得た。
(比較例2)
カーボンナノファイバーをNi/MgO触媒から製造したものを使用すること以外は、実施例1及び実施例2と同様に、樹脂組成物を作製した。Ni/MgO触媒からカーボンナノファイバーを製造する方法は、非特許文献1に記載された方法を用いた。尚、前記Ni/MgO触媒は、合金から溶出金属を溶出させることにより得られる遷移金属含有スポンジ触媒ではなく、製造されたカーボンナノファイバーの先端部には、図2で示されるような形状の遷移金属が観察されなかった。
(樹脂組成物の状態の評価)
得られた樹脂組成物を、それぞれ試験管に入れ、試験管を90°倒した後、1秒以内に樹脂組成物の一部が試験管から流出する場合を液状、1秒以上経過してから樹脂組成物の一部が試験から流出する場合をインク状、樹脂組成物の全てが試験管内に留まって流出しない場合を粘土状とした。結果を、以下の表1に示す。尚、比較例2については、得られた樹脂組成物は液状であると評価されたものの、固液分離していた。
(樹脂組成物の分散性の評価)
得られた樹脂組成物の分散性を、次のように評価した。
(1)分散直後に、樹脂組成物を目視にて観察した。沈降が観察されなかった例を表1の「分散性」の(1)欄において「○」で示し、沈降が観察された例を「×」で示す。
(2)樹脂組成物をガラス上に塗布し、塗布面を目視にて観察した。カーボンナノファイバーの凝集及び気泡が観察されなかった例を表1の「分散性」の(2)欄において「○」で示し、カーボンナノファイバーの凝集又は気泡が観察された例を「×」で示す。
(3)樹脂組成物を4週間静置し、沈降が観察されなかった例を表1の「分散性」の(3)欄において「○」で示し、沈降が観察された例を「×」で示す。
Figure 2015098566

表中の(※1)は、カーボンナノファイバー分散液を調製するのに用いた分散方法を示す。
表中の(※2)は、PVDFとカーボンナノファイバーとの混合液から樹脂組成物を調製するのに用いた分散方法を示す。
(実施例6)
(樹脂としてABSを用いる例)
製造例1で得られたカーボンナノファイバーと、溶媒である酢酸エチルとをビーカーに入れ、20分間の超音波処理を行い、カーボンナノファイバー分散液を得た。このとき、酢酸エチルの質量が、カーボンナノファイバーの質量とABSの質量との合計の4倍となるようにした。また、ABS樹脂(ダイセルポリマー(株)、セビアンV 660SF)を酢酸エチルに溶解させた樹脂溶液を調製した。前記カーボンナノファイバー分散液と前記樹脂溶液とを混合し、得られた混合液を250mLのPTFE製容器2本に入れ、1cm球のジルコニアビーズを各40個ずつ入れ、ロッキングミル(セイワ技研 RM−05)で1時間の振盪を行った。振盪後に得られた分散液を、自転公転式の撹拌・脱泡機(シンキー社製 あわとり練太郎)で撹拌(2000rpm 5分)及び脱泡(2200rpm 5分)し、カーボンナノファイバーを含有する樹脂組成物を得た。尚、該樹脂組成物において、樹脂の混合割合が97質量%であるのに対して、カーボンナノファイバーの混合割合が3質量%となるようにした。
(実施例7)
(エポキシ樹脂を用いる例)
樹脂として、主剤と硬化剤とを2:1の割合で混合して用いられる二液性のエポキシ樹脂(日新レジン社製 クリスタルレジン)を使用した。製造例1で製造した粉状のカーボンナノファイバーと、前記主剤とを共にビーカーに入れガラス棒で撹拌、混合した後、硬化剤を入れさらに撹拌した。得られた混合体を三本ロールミルで2回処理し、カーボンナノファイバーを含有する樹脂組成物を得た。尚、該樹脂組成物において、樹脂の混合割合が97質量%であるのに対して、カーボンナノファイバーの混合割合が3質量%となるようにした。
(実施例8)
(シリコーン樹脂を用いる例)
樹脂として、主剤と硬化剤とが10:1の割合で混合して用いられる二液性のシリコーン樹脂であるポリジメチルシロキサン(東レ・ダウコーニング社 Sylgard184)を使用した。製造例1で製造した粉状のカーボンナノファイバーと、前記主剤とを共にビーカーに入れガラス棒で攪拌、混合した後、硬化剤を入れさらに攪拌した。得られた混合体を三本ロールミルで2回処理し、カーボンナノファイバーを含有する樹脂組成物を得た。尚、該樹脂組成物において、樹脂の混合割合が97質量%であるのに対して、カーボンナノファイバーの混合割合が3質量%となるようにした。
(実施例9)
(樹脂としてPPを用いる例)
製造例1で製造した粉状のカーボンナノファイバーと樹脂であるPPとを混合し、加温した単軸押出成形機(サーモプラスティックス工業(株)製)に投入し、カーボンナノファイバーを含有する樹脂組成物を得た。このとき、カーボンナノファイバーの投入量が、PPの投入量に対して0.5〜1質量%となるようにした。尚、該樹脂組成物において、樹脂の混合割合が97質量%であるのに対して、カーボンナノファイバーの混合割合が3質量%となるようにした。
実施例6〜9で得られた樹脂組成物について、実施例1で行ったのと同様の方法を用いて、樹脂組成物の状態の評価、及び樹脂組成物の分散性の評価を行った。結果を以下の表2に示す。
Figure 2015098566

表中の(※1)は、カーボンナノファイバー分散液を調製するのに用いた分散方法を示す。
表中の(※2)は、樹脂組成物を調製するのに用いた分散方法を示す。
(実施例10)
(抵抗値の評価)
実施例4で得られたインク状の樹脂組成物をPTFE製のバットに入れ、室温〜150℃にて乾燥を行い、シート状の成形体を作製し、抵抗値を測定した。シート状の成形体のシート抵抗値は1.8×102Ω/□であった。
(実施例11)
(電磁波シールド効果の評価)
実施例10と同様にして得られたシート状の成形体の電磁波シールド効果の評価を行った。電磁波(電界)シールド性の評価には、KEC法を用いた。KEC法とは、電磁波シールド性の測定方法であり、上下に分割したシールドボックスに試験片を挟み込んで、スペクトルラムアナライザーにて電磁波の減衰度として電磁波シールド性を測定するものである。実施例10で得られたシート状の成形体の電磁波シールド効果は0.3〜30MHzの範囲で約30dB以上(最高1〜8MHzで50dB)であった。
1 カーボンナノファイバー
2 カーボンナノファイバー本体
3 遷移金属
4 台面部
5 中空部
6 錐台部

Claims (9)

  1. 炭素六角網面で形成されたカーボンナノファイバー本体の一端に保持されるとともに、前記カーボンナノファイバー本体の軸線方向に沿った軸線を有すると共にカーボンナノファイバー本体の軸線方向においてカーボンナノファイバー本体の外側に向かう台面部と、カーボンナノファイバー本体の軸線方向に沿ってカーボンナノファイバー本体の内部に形成された中空部に向かう鋭角の錐台部とを有する形態を備える遷移金属を有するカーボンナノファイバーと、樹脂とを含有する樹脂組成物。
  2. 遷移金属は、Ni、Co、及びFeよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. カーボンナノファイバーの質量と樹脂の質量との合計に対する、カーボンナノファイバーの質量の割合が、70質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 樹脂は、熱硬化性樹脂、汎用プラスチック、汎用エンジニアリングプラスチック、又はスーパーエンジニアリングプラスチックであることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. カーボンナノファイバーの成長時にカーボンナノファイバーの成長点となる遷移金属を分散させる遷移金属含有スポンジ触媒の存在下に、炭素を含む原料ガスを450〜800℃に加熱することによってカーボンナノファイバーを得る工程と、
    この工程によって得られたカーボンナノファイバーと樹脂とを混合する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
  6. 前記請求項5に記載の遷移金属含有スポンジ触媒がNi、Co、及びFeよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、Alを含む化合物とからなることを特徴とする請求項5に記載の樹脂組成物の製造方法。
  7. カーボンナノファイバーの質量と樹脂の質量との合計に対する、カーボンナノファイバーの質量の割合が、70質量%以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載の樹脂組成物の製造方法。
  8. 樹脂は、熱硬化性樹脂、汎用プラスチック、汎用エンジニアリングプラスチック、又はスーパーエンジニアリングプラスチックであることを特徴とする請求項5から7までのいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  9. 請求項1から4までのいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
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