JP2015088664A - ダイシング用基体フィルム、ダイシングフィルム、及び半導体チップの製造方法 - Google Patents
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Description
本開示のダイシング用基体フィルムを構成する表面層は、一又は複数の実施形態において、ダイシングブレードによって切り込まれる切込み層である。表面層は、ポリスチレン系樹脂と、ビニル芳香族炭化水素−共役ジエン炭化水素共重合体又はその水素添加物とを含有する。
ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、一又は複数の実施形態において、汎用ポリスチレン樹脂、耐衝撃性ポリスチレン樹脂、又はこれらの混合物等が挙げられる。本開示における「汎用ポリスチレン」とは、通常、スチレンホモポリマーである。また、「耐衝撃性ポリスチレン」とは、通常、汎用ポリスチレンにブタジエン等のゴム成分を加えたものをいい、一又は複数の実施形態において、ポリスチレンのマトリックス中に微細なゴム状粒子がブレンド又はグラフト重合された構造をとっている。
本開示において、ビニル芳香族炭化水素とは、少なくとも1つのビニル基を有する芳香族炭化水素のことをいう。ビニル芳香族炭化水素としては、一又は複数の実施形態において、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を混合して使用できる。これらの中でも、スチレンが好ましい。
本開示のダイシング用基体フィルムを構成する基材層としては、一又は複数の実施形態において、従来使用され、又は今後開発され得るエキスパンド層を用いることができ、樹脂材料から構成されることが好ましい。樹脂材料としては、一又は複数の実施形態において、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のオレフィン系共重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート系樹脂;スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリビニルイソプレン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂や、これらの熱可塑性樹脂の混合物;等が挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレンとエラストマーとの混合物、又はポリエチレンとエラストマーとの混合物が好ましい。このような樹脂材料を用いることにより、優れたエキスパンド性が得られる。
中間層は、一又は複数の実施形態において、ダイシングブレードによって切り込まれない層である。
粘着剤層としては、半導体部材を貼り付け、かつ、ダイシング後に個片化された半導体部材を好適に剥がすことができるものであれば特に限定されないが、アクリル系粘着剤、紫外線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、イソシアネート系架橋剤等を含む樹脂組成物から構成されるものが好ましい。これにより、ダイシング前には半導体部材を十分に保持でき、かつ、個片化された半導体部材をピックアップする前に紫外線照射を行うことで粘着剤の保持力(粘着力)を低下させて、好適にピックアップすることができる。
保護層としては、ダイシングフィルムの使用時まで粘着剤層を保護し、ダイシングフィルムの使用時に好適に除去できるものであれば特に限定されない。保護層としては、ダイシングフィルムの使用時における作業性を向上できる観点から、一又は複数の実施形態において、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等で構成されているフィルムが好ましい。
[1] 基材層と、前記基材層の一主面上に配置された表面層と、を含むダイシング用基体フィルムであって、前記表面層は、ポリスチレン系樹脂と、ビニル芳香族炭化水素−共役ジエン炭化水素共重合体又はその水素添加物と、を含有し、前記表面層における前記ポリスチレン系樹脂の含有量は、50重量%を超える、ダイシング用基体フィルム。
[2] 前記ポリスチレン系樹脂は、汎用ポリスチレン及び耐衝撃性ポリスチレンからなる群から選択される少なくとも1つである、[1]に記載のダイシング用基体フィルム。
[3] 前記ビニル芳香族炭化水素−共役ジエン炭化水素共重合体は、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体である、[1]又は[2]に記載のダイシング用基体フィルム。
[4] 前記ビニル芳香族炭化水素−共役ジエン炭化水素共重合体中のビニル芳香族炭化水素の含有量は、10重量%以上50重量%以下である、[1]から[3]のいずれかに記載のダイシング用基体フィルム。
[5] 前記表面層における前記ポリスチレン系樹脂の含有量は、50重量%を超えて85重量%以下であり、前記表面層における前記ビニル芳香族炭化水素−共役ジエン炭化水素共重合体又はその水素添加物の含有量は、15重量%以上50重量%以下、又は15重量%以上50重量%未満である、[1]から[4]のいずれかに記載のダイシング用基体フィルム。
[6] 前記表面層は、ダイシングブレードによって切り込まれる切込み層である、[1]から[5]のいずれかに記載のダイシング用基体フィルム。
[7] 前記基材層と前記表面層との間に、さらに中間層を含む、[1]から[6]のいずれかに記載のダイシング用基体フィルム。
[8] [1]から[7]のいずれかに記載のダイシング用基体フィルムの表面層側の主面上に、粘着剤層が設けられた、ダイシングフィルム。
[9] [8]に記載のダイシングフィルムと半導体部材とを貼付する工程と、前記半導体部材をダイシングして個片化するダイシング工程と、前記ダイシングフィルムをエキスパンドし、隣り合う前記個片化された半導体部材の間を拡張するエキスパンド工程と、前記個片化された半導体部材をピックアップするピックアップ工程と、を含む、半導体チップの製造方法。
実施例及び比較例のダイシング用基体フィルムの作製に使用した原料は以下の通りである。
・スチレン−ブタジエン共重合体(HIPS):「H9152」(商品名、PSジャパン株式会社製)
・スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS、St含量:18重量%):「タフテックH1062」(商品名、旭化成ケミカルズ株式会社製)
・ポリプロピレン(PP):「FS2011DG−2」(商品名、住友化学株式会社製)
・ポリスチレン(PS):「HF77」(商品名、PSジャパン株式会社製)
HIPS:55重量%とSEBS:45重量%とをタンブラーにてドライブレンドし、表面層形成用樹脂を得た。また、PP:60重量%とSEBS:40重量%とをドライブレンドし、基材層形成用樹脂を得た。そして、得られた各層形成用樹脂を、200℃に調整されたそれぞれの押出機に供給し、表面層/基材層の順序になるように、200℃の2層ダイスから押出し、30℃に設定された冷却ロールにて冷却固化して、実質的に無延伸の状態で巻き取り、2層構造のダイシング用基体フィルムを得た。実施例1において、表面層の厚みは40μm、基材層の厚みは60μm、ダイシング用基体フィルム全体の厚みは100μmであった。
表面層を形成する樹脂成分について、HIPSの含有量を60重量%とし、SEBSの含有量を40重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、2層構造のダイシング用基体フィルムを作製した。実施例2において、表面層の厚みは40μm、基材層の厚みは60μm、ダイシング用基体フィルム全体の厚みは100μmであった。
表面層を形成する樹脂成分について、HIPSの含有量を70重量%とし、SEBSの含有量を30重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、2層構造のダイシング用基体フィルムを作製した。実施例3において、表面層の厚みは40μm、基材層の厚みは60μm、ダイシング用基体フィルム全体の厚みは100μmであった。
表面層を形成する樹脂成分について、HIPSの含有量を80重量%とし、SEBSの含有量を20重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、2層構造のダイシング用基体フィルムを作製した。実施例4において、表面層の厚みは40μm、基材層の厚みは60μm、ダイシング用基体フィルム全体の厚みは100μmであった。
表面層を形成する樹脂成分について、HIPSの含有量を85重量%とし、SEBSの含有量を15重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、2層構造のダイシング用基体フィルムを作製した。実施例5において、表面層の厚みは40μm、基材層の厚みは60μm、ダイシング用基体フィルム全体の厚みは100μmであった。
表面層を形成する樹脂成分であるHIPSの代わりに、PSを同量(60重量%)用いたこと以外、実施例2と同様にして、2層構造のダイシング用基体フィルムを作製した。実施例6において、表面層の厚みは40μm、基材層の厚みは60μm、ダイシング用基体フィルム全体の厚みは100μmであった。
表面層を形成する樹脂成分であるHIPSの代わりに、PSを同量(80重量%)用いたこと以外、実施例4と同様にして、2層構造のダイシング用基体フィルムを作製した。実施例7において、表面層の厚みは40μm、基材層の厚みは60μm、ダイシング用基体フィルム全体の厚みは100μmであった。
表面層を形成する樹脂成分について、HIPSの含有量を40重量%とし、SEBSの含有量を60重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、2層構造のダイシング用基体フィルムを作製した。比較例1において、表面層の厚みは40μm、基材層の厚みは60μm、ダイシング用基体フィルム全体の厚みは100μmであった。
表面層を形成する樹脂成分について、HIPSのみ(含有量:100重量%)に変更した以外は、実施例1と同様にして、2層構造のダイシング用基体フィルムを作製した。比較例2において、表面層の厚みは40μm、基材層の厚みは60μm、ダイシング用基体フィルム全体の厚みは100μmであった。
HIPS:80重量%とSEBS:20重量%とをタンブラーにてドライブレンドし、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、200℃に調整された押出機に供給し、200℃に調整された単層ダイスから押出し、30℃の冷却ロールにて冷却固化して、実質的に無延伸の状態で巻き取り、単層構造のダイシング用基体フィルムを得た。
切削屑特性は、次のようにして評価した。まず、ダイシングフィルムに、シリコンウエハ(厚み:0.2mm)を貼り付け、下記条件でダイシングを実施し、カットラインの観察を行い、カットラインから出てくる長さ100μm以上の切削屑の数をカウントし、切削屑特性を評価し、評価結果を表1に示した。ここでは、切削屑の数が0〜5本の場合は、切削屑特性に優れていると評価し、表1では「A」と表記した。切削屑の数が6〜10本の場合は、切削屑特性が良好であると評価し、表1では「B」と表記した。切削屑の数が11本以上の場合は、切削屑特性が良好でないと評価し、表1では「C」と表記した。
ダイシング装置:「DAD―3350」(商品名、DISCO社製)
ダイシングブレード:「ZH205O 27HEDD」(商品名、DISCO社製)
ブレード回転数:45000rpm
カット速度:50mm/sec
切込み:ダイシングフィルム表面から40μm(表面層に対する切込み量は30μm)
カットサイズ:10mm×10mm
ブレードクーラー:2L/min
エキスパンド性及び復元性については、次のようにして評価した。まず、上記切削屑特性の評価と同様して、ダイシングフィルムにシリコンウエハを貼り付け、ダイシングを実施し、ダイシングによって個片化されたウエハが貼り付けられた状態のダイシングフィルムをウエハエキスパンダー装置(商品名「HS1010」、ヒューグル社製)に設置し、引落し量6mmにてエキスパンドを行った。
11 基材層
12 表面層
13 粘着剤層
20 ダイシングフィルム
Claims (9)
- 基材層と、前記基材層の一主面上に配置された表面層と、を含むダイシング用基体フィルムであって、
前記表面層は、ポリスチレン系樹脂と、ビニル芳香族炭化水素−共役ジエン炭化水素共重合体又はその水素添加物と、を含有し、
前記表面層における前記ポリスチレン系樹脂の含有量は、50重量%を超える、ダイシング用基体フィルム。 - 前記ポリスチレン系樹脂は、汎用ポリスチレン及び耐衝撃性ポリスチレンからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載のダイシング用基体フィルム。
- 前記ビニル芳香族炭化水素−共役ジエン炭化水素共重合体は、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体である、請求項1又は2に記載のダイシング用基体フィルム。
- 前記ビニル芳香族炭化水素−共役ジエン炭化水素共重合体中のビニル芳香族炭化水素の含有量は、10重量%以上50重量%以下である、請求項1から3のいずれかに記載のダイシング用基体フィルム。
- 前記表面層における前記ポリスチレン系樹脂の含有量は、50重量%を超えて85重量%以下であり、
前記表面層における前記ビニル芳香族炭化水素−共役ジエン炭化水素共重合体又はその水素添加物の含有量は、15重量%以上50重量%以下である、請求項1から4のいずれかに記載のダイシング用基体フィルム。 - 前記表面層は、ダイシングブレードによって切り込まれる切込み層である、請求項1から5のいずれかに記載のダイシング用基体フィルム。
- 前記基材層と前記表面層との間に、さらに中間層を含む、請求項1から6のいずれかに記載のダイシング用基体フィルム。
- 請求項1から7のいずれかに記載のダイシング用基体フィルムの表面層側の主面上に、粘着剤層が設けられた、ダイシングフィルム。
- 請求項8に記載のダイシングフィルムと半導体部材とを貼付する貼付工程と、
前記半導体部材をダイシングして個片化するダイシング工程と、
前記ダイシングフィルムをエキスパンドし、隣り合う前記個片化された半導体部材の間を拡張するエキスパンド工程と、
前記個片化された半導体部材をピックアップするピックアップ工程と、を含む、半導体チップの製造方法。
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