JP2015083551A - 脂肪族ジカルボン酸含有液の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】脂肪族ジカルボン酸及び無機塩を含む水溶液から、余分な溶剤や電力を使うことなく効率的かつ安定的に脂肪族ジカルボン酸を含む液を得る脂肪族ジカルボン酸含有液の製造方法を提供する。【解決手段】電極間に、アニオン交換膜とカチオン交換膜とを交互に複数配列して、該アニオン交換膜と該カチオン交換膜との間に順次交互に形成した脱塩室および濃縮室を有する電気透析装置の、脱塩室に脂肪族ジカルボン酸及び無機塩を含む原液(A)を供給し、濃縮室に濃縮液を供給して電気透析を行い、脂肪族ジカルボン酸を含む液を得る脂肪族ジカルボン酸含有液の製造方法であって、該原液(A)に含まれる全脂肪族ジカルボン酸に対する比率が、70モル%以上である脂肪族ジカルボン酸含有液の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、脂肪族ジカルボン酸及び無機塩を含む水溶液から、電気透析法により、その無機塩を取り除くことを特徴とする脂肪族ジカルボン酸含有液の製造方法に関する。
コハク酸およびアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸は、食品、医薬品およびその他化学品の合成原料として広く用いられている。これらの脂肪族ジカルボン酸は、従来、石油由来の原料より、工業的に製造されてきた。また、近年では、微生物を用いた発酵操作により、広い生物由来原料から高い炭素収率で、種々の脂肪族ジカルボン酸を製造することができる。例えば、コハク酸およびアジピン酸などは、発酵により製造することができる。
従来脂肪族ジカルボン酸から無機塩を取り除く方法としては、有機酸を含む水溶液に溶剤を加えて有機酸を抽出する方法(例えば、特許文献1)や、水分解電気透析処理を用いる方法(例えば、特許文献2)が知られている。
特表平9−500649号公報 特開2005−333886号公報
しかし、溶剤で抽出する方法では溶剤を余分に用いたり工程が多くなるという課題があった。また水分解電気透析処理を用いる方法では、水分解に必要な特殊な膜の維持費や装置が生産規模に比例して多くなるため、工業スケールの生産であってもスケールメリットが小さくコスト高となり、さらに、水の電気分解を要するために多大なエネルギーを必要としていた。
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたもので、脂肪族ジカルボン酸及び無機塩を含む水溶液から、余分な溶剤や電力を使うことなく効率的かつ安定的に脂肪族ジカルボン酸を含む液を得る脂肪族ジカルボン酸含有液の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、以下に記載する本発明の製造方法により上記課題を解決できることを見出した。
即ち、本発明の要旨は下記[1]から[4]に存する。
[1] 電極間に、アニオン交換膜とカチオン交換膜とを交互に複数配列して、該アニオン
交換膜と該カチオン交換膜との間に順次交互に形成した脱塩室および濃縮室を有する電気透析装置の、脱塩室に脂肪族ジカルボン酸及び無機塩を含む原液(A)を供給し、濃縮室に濃縮液を供給して電気透析を行い、脂肪族ジカルボン酸を含む液を得る脂肪族ジカルボン酸含有液の製造方法であって、該原液(A)に含まれる非解離の脂肪族ジカルボン酸の、該原液(A)に含まれる全脂肪族ジカルボン酸に対する比率が、70モル%以上である脂肪族ジカルボン酸含有液の製造方法。
[2]電気透析を50℃以下で行う、[1]に記載の脂肪族ジカルボン酸含有液の製造方法。[3]脱塩室中の液の電気伝導率が、通電開始時における脱塩室中の原液(A)の電気伝導率に対して常に1%以上となるように電気透析を行う、[1]または[2]に記載の脂肪族ジ
カルボン酸含有液の製造方法。
[4]脂肪族ジカルボン酸がコハク酸である、 [1]〜[3] のいずれか1つに記載の脂肪族ジカルボン酸含有液の製造方法。
本発明の脂肪族ジカルボン酸含有液の製造方法によれば、脂肪族ジカルボン酸及び無機塩を含む原液(A)から、非解離の脂肪族ジカルボン酸の割合が大きい脂肪族ジカルボン酸含有液を、高収率で安定的に製造することができる。
本発明に係る電気透析装置の概略図である。 電圧印加開始から電圧印加終了までの、原液(A)の電気伝導率の経時変化。 電圧印加開始から電圧印加終了までの、原液(A)の電気伝導率の経時変化。 電圧印加開始から電圧印加終了までの、原液(A)の電気伝導率の経時変化。 電圧印加開始から電圧印加終了までの、原液(A)の電気伝導率の経時変化。 電圧印加開始から電圧印加終了までの、原液(A)の電気伝導率の経時変化。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。なお、本明細書において、「〜」という表現を用いた場合、その前後の数値または物理値を含む意味で用いることとする。
本発明の脂肪族ジカルボン酸含有液の製造方法は、電極間に、アニオン交換膜とカチオン交換膜とを交互に複数配列して、該アニオン交換膜と該カチオン交換膜との間に順次交互に形成した脱塩室および濃縮室を有する電気透析装置の、脱塩室に脂肪族ジカルボン酸及び無機塩を含む原液(A)を供給し、濃縮室に濃縮液を供給して電気透析を行い、脂肪族ジカルボン酸を含む液を得る脂肪族ジカルボン酸含有液の製造方法であって、原液(A)に含まれる非解離の脂肪族ジカルボン酸の、該原液(A)に含まれる全脂肪族ジカルボン酸に対する比率が、70モル%以上である脂肪族ジカルボン酸含有液の製造方法である。
1.脂肪族ジカルボン酸及び無機塩を含む原液(A)
脂肪族ジカルボン酸及び無機塩を含む原液(A)とは、少なくとも一種類の脂肪族ジカルボン酸及び無機塩を含む溶液のことである。本発明で製造する脂肪族ジカルボン酸含有液が含有する脂肪族ジカルボン酸は、特に限定はされないが、水酸基、アミノ基、カルボニル基などを有するものでもよく、また全炭素数が3〜20のものが好ましい。例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、オキサロ酢酸、2−オキソグルタル酸、およびドデカン二酸等が挙げられる。これらの中では、コハク酸、アジピン酸が好ましい。
本発明において、これらの脂肪族ジカルボン酸を誘導する原料は、特に限定はされず、石油由来原料であっても生物由来原料から誘導されるものであってもよい。生物由来原料としては、例えば、木材、稲わら、籾殻、米ぬか、古米、とうもろこし、サトウキビ、キャッサバ、サゴヤシ、おから、コーンコブ、タピオカカス、バガス、植物油カス、芋、そば、大豆、油脂、古紙、製紙残渣、水産物残渣、家畜***物、下水汚泥、および食品廃棄
物等が挙げられる。この中でも木材、稲わら、籾殻、米ぬか、古米、とうもろこし、サトウキビ、キャッサバ、サゴヤシ、おから、コーンコブ、タピオカカス、バガス、植物油カス、芋、そば、大豆、油脂、古紙、および製紙残渣等の植物資源が好ましい。
より好ましくは、木材、稲わら、籾殻、古米、とうもろこし、サトウキビ、キャッサバ、サゴヤシ、芋、油脂、古紙、および製紙残渣であり、最も好ましくはとうもろこし、サトウキビ、キャッサバ、およびサゴヤシである。これらの生物由来原料は、一般に、窒素元素やNa、K、Mg、およびCa等の多くのアルカリ金属、アルカリ土類金属を含有する。
そして、これらの生物由来原料は、特に限定はされないが、例えば、酸またはアルカリ等の化学処理、微生物を用いた生物学的処理、および物理的処理等の公知の前処理・糖化の工程を経て炭素源へ誘導される。前記工程は、特に限定はされないが、例えば、生物由来原料をチップ化する、削る、および擦り潰す等の前処理による微細化工程が含まれる。必要に応じて、更にグラインダーやミルでの粉砕工程が含まれる。こうして微細化された生物由来原料は、更に前処理・糖化の工程を経て炭素源へ誘導される。その具体的な方法としては、硫酸、硝酸、塩酸、および燐酸等の強酸での酸処理、アルカリ処理、アンモニア凍結蒸煮爆砕法、溶媒抽出、超臨界流体処理、酸化剤処理等の化学的方法や、微粉砕、蒸煮爆砕法、マイクロ波処理、および電子線照射等の物理的方法、並びに微生物または酵素処理による加水分解等の生物学的処理が挙げられる。
上記の生物由来原料から誘導される炭素源としては、通常、発酵性糖質が用いられる。たとえばヘキソース、ペントース、2糖・多糖類、脂肪酸、ポリアルコール類などであり、ヘキソースとしてはグルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、タガトース等、ペントースとしてはアラビノース、キシロース、リボース、キシルロース、およびリブロース等、2糖・多糖類としてはマルトース、スクロース、ラクトース、トレハロース、澱粉、セルロース等、脂肪酸としては酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、モノクチン酸、アラキジン酸、エイコセン酸、アラキドン酸、ベヘニン酸、エルカ酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リグノセリン酸、およびセラコレン酸等、ポリアルコール類としてはグリセリン、マンニトール、キシリトール、およびリビトール等である。この中ではグルコース、マルトース、フルクトース、スクロース、ラクトース、トレハロース、およびセルロースが好ましい。
これらの生物由来原料から誘導される炭素源から脂肪族ジカルボン酸が誘導される場合、具体的には、例えば、これらの炭素源を用いて、微生物変換による発酵法、および加水分解・脱水反応・水和反応・酸化反応・還元反応等の反応工程を含む化学変換法並びにこれらの発酵法と化学変換法の組み合わせによりジカルボン酸が合成される。これらの中でも脂肪族ジカルボン酸生産能を有する微生物を利用した微生物変換による発酵法が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸生産能を有する微生物は脂肪族ジカルボン酸生産能を有する微生物であるかぎり特に制限されないが、好気性微生物、通性嫌気性微生物または微好気性微生物を使用することが好ましく、エシェリヒア・コリ等の腸内細菌、バチルス属細菌、およびコリネ型細菌などが挙げられる。
好気性微生物としては、例えば、コリネ型細菌(Coryneform Bacterium)、バチルス(Bacillus)属細菌、リゾビウム(Rhizobium)属細菌、アースロバクター(Arthrobacter)属細菌、マイコバクテリウム(Mycobacterium)属細菌、ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌、ノカルディア(Nocardia)属細菌、およびストレプトマイセス(Strepto
myces)属細菌などが挙げられる。中でもコリネ型細菌がより好ましい。
コリネ型細菌は、これに分類されるものであれば特に制限されないが、コリネバクテリウム属に属する細菌、ブレビバクテリウム属に属する細菌又はアースロバクター属に属する細菌などが挙げられる。このうち、好ましくは、コリネバクテリウム属又はブレビバクテリウム属に属するものが挙げられ、更に好ましくは、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum)、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(Brevibacterium ammoniagenes)又はブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)に分類される細菌がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸生産菌としてコハク酸生産菌を用いる場合、ピルビン酸カルボキシラーゼ活性が増強され、ラクテートデヒドロゲナーゼ活性が低下した株を用いることが好ましい。
微生物変換における反応温度、および圧力等の反応条件は、選択される菌体、およびカビなど微生物の活性に依存することになるが、ジカルボン酸を得るための好適な条件を各々の場合に応じて選択すればよい。
微生物変換においては、pHが低くなると微生物の代謝活性が低くなったり、或いは微生物が活動を停止するようになり、製造歩留まりが悪化したり、微生物が死滅するため、中和剤を使用することが好ましい。中和剤を使用することでpHの低下を抑え、微生物の代謝活性の低下、或いは微生物の活動の停止、製造歩留まりの悪化、微生物の死滅を防ぐ。pHセンサーによって反応系内のpHを計測し、所定のpH範囲となるように中和剤の添加によりpHを調節することが好ましい。pH値は、用いる菌体、カビ等の微生物の種類に応じて、その活性が最も有効に発揮される範囲に調整することが好ましい。中和剤の添加方法については特に制限はなく、連続添加であっても間欠添加であってもよい。
微生物変換において適宜使用する中和剤としては、例えば、アンモニア、ナトリウム、カリウムなどの1族金属の塩基性化合物、カルシウム、マグネシウムなどの2族金属の塩基性化合物を含む塩基性物質が挙げられる。微生物変換後の発酵液は、その後の精製工程での操作性や効率性を考慮して適宜濃縮しても良い。濃縮方法としては、特に限定されないが、不活性ガスを流通させる方法、加熱により水を留去させる方法、および減圧で水を留去させる方法ならびにこれらを組み合わせる方法などが挙げられる。
尚、本発明の方法において発酵液を用いる場合、微生物を除去した後の発酵液を用いることが好ましい。微生物の除去方法は特に限定は無いが、沈降分離、遠心分離、およびろ過分離並びにそれらを組み合わせた方法などが用いられる。工業的には遠心分離、および膜ろ過分離などの方法で行うことが好ましい。遠心分離においては、遠心沈降、および遠心ろ過などを用いることができる。遠心分離において、その操作条件は特に限定されるものではないが、通常100G〜100,000Gの遠心力で分離される。またその操作は連続式でも、バッチ式でも使用できる。
また膜ろ過分離においては、精密ろ過および/または限外ろ過等を使用することが出来る。膜の材質は特に限定は無く、例えばポリオレフィン、ポリスルフィン、ポリアクリロニトリル、およびポリフッ化ビニリデン等の有機膜でも、セラミック等の無機材質の膜でも使用できる。また操作方法としては、デッドエンド型、クロスフロー型いずれでも用いることができる。膜ろ過分離では、微生物が膜に目詰まりすることが多いので、遠心分離などで微生物を粗取りを行ってから膜ろ過を行うなどの方法も用いられる。
1.1 無機塩
本発明における無機塩とは、塩基性物質と無機酸とから形成される塩である。石油由来原料から脂肪族ジカルボン酸を製造する場合には、その製造や精製の際の夾雑物として含有されていることがある。また微生物変換により脂肪族ジカルボン酸を製造する場合には、原液(A)のpHを下げる場合に副生する。
前述したとおり、微生物変換においては中和剤を使用することが好ましく、中和剤を使用することにより、脂肪族ジカルボン酸塩が生成する。
本発明では脂肪族ジカルボン酸をなるべく非解離の状態、すなわち低pHに調製する必要があり、その際、無機酸を用いるため無機塩が生じる。無機塩としては、脂肪族ジカルボン酸をなるべくプロトン化した状態にする必要があるので、通常は脂肪族ジカルボン酸より強い酸、すなわち酸解離定数pKaが脂肪族ジカルボン酸より小さい酸からなる塩が好ましい。例えば、塩酸、硫酸等の塩が挙げられる。具体的には、硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸水素カリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム等が挙げられる。
本発明にて効率的かつ安定的に脂肪族ジカルボン酸を含む液を得る脂肪族ジカルボン酸含有液を製造するためには、脱塩室に脂肪族ジカルボン酸がなるべく非解離の状態の原液(A)を通液することが好ましい。その為には原液(A)を低pHに調整し、脂肪族ジカルボン酸をなるべくプロトン化した状態にする必要がある。その場合、脱塩室に供給する原液(A)中の非解離の脂肪族ジカルボン酸の割合は、原液(A)に含まれる全脂肪族ジカルボン酸に対して、通常、70モル%以上である。好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、一方、好ましくは100モル%である。その割合が大きいほど、脂肪族ジカルボン酸含有液中の脂肪族ジカルボン酸の濃度が高くなり好ましい。
原液(A)中の、脂肪族ジカルボン酸の含有割合は、脂肪族ジカルボン酸の種類により異なるが、原液(A)100重量部に対して、1重量部以上が好ましく、さらに好ましくは1.5重量部以上であり、最も好ましくは2重量部以上である。一方、40重量部以下が好ましく、さらに好ましくは30重量部以下であり、最も好ましくは20重量部以下である。脂肪族ジカルボン酸の含有割合が大きすぎると、脂肪族ジカルボン酸が析出し設備不全となる傾向があり、一方、小さすぎると、通電に支障が生じる上、経済的にも好ましくない。
2.濃縮液
本発明における濃縮液は、無機塩(B)の水溶液である。無機塩(B)は、特に限定されない。濃縮液中の無機塩(B)は、電気分解のために必要な電流を通電するために必要であり、脂肪族ジカルボン酸及び無機塩を含む原液(A)中に含まれる無機塩とは異なっていても同じでも良い。濃縮液中の無機塩(B)としては、例えば、硫酸塩や塩酸塩等が挙げられる。中でも、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、および硫酸ナトリウム等が好ましい。
濃縮液を構成する無機塩(B)含有割合は、無機塩(B)の種類により異なるが、濃縮液100重量部に対して、0.5重量部以上が好ましく、さらに好ましくは1重量部以上であり、最も好ましくは2重量部以上である。一方、20重量部以下が好ましく、さらに好ましくは10重量部以下であり、最も好ましくは5重量部以下である。濃縮液中の無機塩(B)の含有割合が大きすぎると、無機塩(B)が析出し設備不全となる傾向があり、一方、小さすぎると、通電に支障が生じ脱塩不足となる傾向がある。
3.電気透析装置
電気透析装置の概略図を図1に示す。電気透析装置は、脂肪族ジカルボン酸と無機塩とを分離する機能を有すれば、特に限定されない。例えば、図1の概略図に示すように、電極である陽極(1)と陰極(2)との間に、アニオン交換膜(a)とカチオン交換膜(c)とが間隔を有して交互に複数配列される。アニオン交換膜(a)とカチオン交換膜(c)との間に順次交互に、脱塩室(3)および濃縮室(4)が設けられる。脱塩室(3)と濃縮室(4)は交互であればその順序に制限はなく、電極側に脱塩室(3)が配置されても濃縮室(4)が配置されていても構わない。脱塩室(3)には、脂肪族ジカルボン酸および無機塩を含む原液(A)が脱塩室流入管(7)から供給される。濃縮室(4)には、濃縮液が濃縮室流入管(9)から供給される。
アニオン交換膜(a)とカチオン交換膜(c)との間隔は、原液(A)の脱塩室(3)への供給量、及び/又は濃縮液の濃縮室(4)への供給量等により適宜決めることができる。最端のアニオン交換膜(a)またはカチオン交換膜(c)の隣に設けられた、陽極(1)は、陽極室(5)内に設けられる。もう一方の最端のアニオン交換膜(a)またはカチオン交換膜(c)の隣に設けられた、陰極(2)は、陰極室(6)内に設けられる。尚、ここで、陽極室(5)および陰極室(6)の隣は、脱塩室(3)または濃縮室(4)のいずれでもよいが、膜保護及び電極保護の観点から、陽極室(5)および陰極室(6)の隣は、濃縮室(4)であることが好ましい。
陽極室(5)および陰極室(6)には、電極液が充填されており、電極液としては、通電するという機能を有していれば特に限定されないが、硫酸塩や塩酸塩等の水溶液が挙げられる。中でも、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、および硫酸ナトリウム等の水溶液が好ましい。
電気透析装置に使用されるアニオン交換膜(a)とカチオン交換膜(c)は、特に限定されず、公知のアニオン交換膜およびカチオン交換膜を使用することができる。
4.電気透析
本発明における電気透析は、脂肪族ジカルボン酸及び無機塩を含む原液(A)が、予め脱塩液タンク(11)に仕込まれており、該原液(A)がポンプ(P1)により、脱塩室流入管(7)を通じて脱塩室(3)に供給された後、脱塩室流出管(8)を通じて脱塩液タンク(11)へ循環される。一方、濃縮液は、予め濃縮液タンク(12)に仕込まれており、該濃縮液がポンプ(P2)により、濃縮室流入管(9)を通じて濃縮室(4)に供給された後、濃縮室流出管(10)を通じて、濃縮液タンク(12)へ循環される。原液(A)および濃縮液が循環されている状態で、電極間に電圧の印加を行うことにより電気透析を行う。脱塩室(3)では、無機塩および余剰の酸がアニオンとカチオンに解離し、アニオンはアニオン交換膜(a)を通り抜け隣の濃縮室(4)へ移動し、カチオンはカチオン交換膜(c)を通り抜け隣の濃縮室(4)へ移動する。さらに濃縮室(4)では、脱塩室(3)から移動してきたアニオンとカチオンとが結合し無機塩および酸となり、濃縮室(4)から濃縮室流出管(10)を通して排出される。脱塩室(3)からは、通常、脂肪族ジカルボン酸を含む液が脱塩室流出管(8)から排出される。脱塩液タンク(11)に供給する脂肪族ジカルボン酸及び無機塩を含む原液(A)に含まれる非解離の脂肪族ジカルボン酸の、該原液(A)に含まれる全脂肪族ジカルボン酸に対する比率は、通常、70モル%以上である。非解離の脂肪族ジカルボン酸の比率は、大きいほど好ましく、好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、一方、好ましくは100モル%である。
4.1非解離の脂肪族ジカルボン酸の比率
本発明における、脱塩室(3)に供給される脂肪族ジカルボン酸及び無機塩を含む原液(A)に含まれる非解離の脂肪族ジカルボン酸の、該原液(A)に含まれる全脂肪族ジカルボン酸に対する比率とは、原液(A)中において、脂肪族ジカルボン酸の2個のカルボ
キシル基中の水素原子のうち、少なくとも1個の水素原子が解離した時の、原液(A)中の全ての解離および非解離の脂肪族ジカルボキシル基成分の濃度に対する、原液(A)中の非解離の脂肪族ジカルボキシル基成分の濃度である。
本発明における、脱塩室(3)に供給される脂肪族ジカルボン酸及び無機塩を含む原液(A)に含まれる非解離の脂肪族ジカルボン酸の、原液(A)に含まれる全脂肪族ジカルボン酸に対する比率は、原液(A)中の脂肪族ジカルボン酸の酸解離定数pKaとpHから求めることができる。第一の酸解離定数をpKa、第二の酸解離定数をpKaとし、以下の式(1)で表される。
[脱塩室(3)に供給される脂肪族ジカルボン酸及び無機塩を含む原液(A)に含まれる非解離の脂肪族ジカルボン酸の、該原液(A)に含まれる全脂肪族ジカルボン酸に対する比率] =(10−pH/{(10−pH+(10−pH)・(10pKa1)+(10pKa1)・(10pKa2)} (1)
4.2 電気透析を行う温度
電気透析を行う温度は、好ましくは50℃以下であり、さらに好ましくは45℃以下、一方好ましくは25℃以上、さらに好ましくは30℃以上である。温度が上記範囲内であれば、設備保全上好ましい。
4.3 原液(A)の供給速度
電気透析を行う際の原液(A)の供給速度は、原液(A)の供給流量[L/h]を全ての脱塩室(3)の断面積[cm]で割った線速が、好ましくは5cm/s以上、さらに好ましくは8cm/s以上であり、一方上限は特に制限がない。線速が小さすぎると余分な電圧が必要となり経済性が低下する。
4.4 脱塩室(3)の液の電気伝導率
電気透析は、脱塩室(3)中の液の電気伝導率が、通電開始時における脱塩室(3)中の液の電気伝導率に対して常に1%以上となるように運転することが好ましい。さらに好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上、一方、好ましくは30%以下、さらに好ましくは15%以下である。電気透析を行う際に脱塩室中の液の電気伝導率が小さすぎると、理由は定かではないが、脱塩室(3)の脂肪族ジカルボン酸が濃縮室(4)へ移動し、脂肪族ジカルボン酸および無機塩を含む原液(A)中の脂肪族ジカルボン酸の割合が低下する場合がある。その結果、脱塩室(3)から排出される原液(A)中の脂肪族ジカルボン酸の濃度が低下する場合があるため、好ましくない。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。また本実施例及び比較例では、脂肪族ジカルボン酸のアルカリ塩を一般に市販されている試薬を用いて調製することで実施した。発酵により脂肪族ジカルボン酸のアルカリ塩を生成する方法は、例えば特表平9−500649号公報に代表されるように広く知られているため、本発明は、本実施例および比較例のように一般に市販されている試薬を用いて調製することで実施しても、工業的に製造されている石油由来のジカルボン酸を用いた場合や、発酵液由来のジカルボン酸を用いた場合と、同じ効果が得られる。
電気透析装置には、AGCエンジニアリング(株)製CH−0型に、図1に示すような脱塩室9室、濃縮室10室よりなるものを用いた。陽イオン交換膜としてAGCエンジニアリング(株)製セレミオン(登録商標)CMV、陰イオン交換膜としてAGCエンジニアリング(株)製セレミオン(登録商標)ASV、もしくはAGCエンジニアリング(株)製セレミオン(登録商標)AMVを用い、その外形寸法は縦28cm、横16cm、有
効膜面積は1対につき2.09dmであった。
[実施例1]
コハク酸5.3wt%、アンモニア0.7wt%、硫酸2.6wt%水溶液3.0Lを予め脱塩液タンクに仕込み脱塩室流入管(7)を通して脱塩室(3)へ、塩化ナトリウム2wt%水溶液3.0Lを予め濃縮液タンクに仕込み濃縮室流入管(9)を通して濃縮室(4)へ、硫酸ナトリウム2wt%水溶液を陽極室(5)および陰極室(6)へそれぞれ40℃にて160L/hで送液し、電極間に9Vの電圧を100分間印加し処理した。印加前の原液(A)のコハク酸の酸解離定数はpKa=4.00、pKa=5.24、pHは2.0であり、それらから求められる脱塩室(3)に供給される脂肪族ジカルボン酸及び無機塩を含む原液(A)に含まれる非解離の脂肪族ジカルボン酸の、該原液(A)に含まれる全脂肪族ジカルボン酸に対する比率は99%であった。陰イオン交換膜にはAGCエンジニアリング(株)製セレミオン(登録商標)AMVを用いた。電圧印加開始時の原液(A)の電気伝導率は41.8mS/cm、pHは2.0、コハク酸濃度は5.3wt%、アンモニア濃度は0.7wt%、硫酸濃度は2.6wt%、電圧印加終了時の原液(A)の電気伝導率は1.7mS/cm、pHは2.7、コハク酸濃度は4.9wt%、アンモニア濃度は0.05wt%、硫酸濃度は0.01wt%となった。
図2に、電圧印加開始から電圧印加終了までの、原液(A)の電気伝導率の経時変化を示す。
電気透析中を通じて、脱塩室中の液の電気伝導度は、電圧印加開始時における脱塩室中の原液(A)の電気伝導率に対して、常に1%以上であった。
[比較例1]
コハク酸5.3wt%、アンモニア0.7wt%水溶液3.0Lを予め脱塩液タンクに仕込み脱塩室流入管(7)を通して脱塩室(3)へ送液した以外は実施例1と同様に行った。電気伝導率は電圧印加前後で変化がなかった。
[実施例2]
コハク酸5.2wt%、アンモニア0.7wt%、塩酸1.6wt%水溶液3.0Lを予め脱塩液タンクに仕込み脱塩室流入管(7)を通して脱塩室(3)へ、塩化ナトリウム2wt%水溶液を3.0Lを予め濃縮液タンクに仕込み濃縮室流入管(9)を通して濃縮室(4)へ、硫酸ナトリウム2wt%水溶液を陽極室(5)および陰極室(6)へ、それぞれ40℃にて160L/hで送液し、電極間に9Vの電圧を60分間印加し処理した。印加前の原液(A)のコハク酸の酸解離定数はpKa=4.00、pKa=5.24、pHは1.9であり、それらから求められる脱塩室(3)に供給される脂肪族ジカルボン酸及び無機塩を含む原液(A)に含まれる非解離の脂肪族ジカルボン酸の、該原液(A)に含まれる全脂肪族ジカルボン酸に対する比率は99%であった。陰イオン交換膜にはAGCエンジニアリング(株)製セレミオン(登録商標)ASVを用いた。電圧印加開始時の原液(A)の電気伝導率は50.2mS/cm、pHは1.9、コハク酸濃度は5.2wt%、アンモニア濃度は0.7wt%、塩酸濃度は1.6wt%、電圧印加終了時の原液(A)の電気伝導率は1.8mS/cm、pHは2.7、コハク酸濃度は4.9wt%、アンモニア濃度は0.05wt%、塩酸濃度は0.01wt%となった。
図3に、電圧印加開始から電圧印加終了までの、原液(A)の電気伝導率の経時変化を示す。
電気透析中を通じて、脱塩室中の液の電気伝導度は、電圧印加開始時における脱塩室中の原液(A)の電気伝導率に対して、常に1%以上であった。
[実施例3]
コハク酸10.5wt%、アンモニア1.5wt%、硫酸4.7wt%水溶液3.0Lを予め脱塩液タンクに仕込み脱塩室流入管(7)を通して脱塩室(3)へ、塩化ナトリウム2wt%水溶液3.0Lを予め濃縮液タンクに仕込み濃縮室流入管(9)を通して濃縮室(4)へ、硫酸ナトリウム2wt%水溶液を陽極室(5)および陰極室(6)へ、それぞれ40℃にて160L/hで送液し、電極間に9Vの電圧を印加し100分間処理した。印加前の原液(A)のコハク酸の酸解離定数はpKa=4.00、pKa=5.24、pHは2.1であり、それらから求められる脱塩室(3)に供給される脂肪族ジカルボン酸及び無機塩を含む原液(A)に含まれる非解離の脂肪族ジカルボン酸の、該原液(A)に含まれる全脂肪族ジカルボン酸に対する比率は99%であった。陰イオン交換膜にはAGCエンジニアリング(株)製セレミオン(登録商標)AMVを用いた。電圧印加開始時の原液(A)の電気伝導率は62.5mS/cm、pHは2.1、コハク酸濃度は10.5wt%、アンモニア濃度は1.5wt%、硫酸濃度は4.7wt%、電圧印加終了時の原液(A)の電気伝導率は5.6mS/cm、pHは2.4、コハク酸濃度は9.9wt%、アンモニア濃度は0.1wt%、硫酸濃度は0.1wt%となった。
図4に、電圧印加開始から電圧印加終了までの、原液(A)の電気伝導率の経時変化を示す。
電気透析中を通じて、脱塩室中の液の電気伝導度は、電圧印加開始時における脱塩室中の原液(A)の電気伝導率に対して、常に1%以上であった。
[実施例4]
コハク酸10.4wt%、アンモニア1.5wt%、塩酸3.2wt%水溶液3.0Lを予め脱塩液タンクに仕込み脱塩室流入管(7)を通して脱塩室(3)へ、硫酸ナトリウム2wt%水溶液3.0Lを予め濃縮液タンクに仕込み濃縮室流入管(9)を通して濃縮室(4)へ、硫酸ナトリウム2wt%水溶液を陽極室(5)および陰極室(6)へ、それぞれ40℃にて160L/hで送液し、電極間に9Vの電圧を50分間印加し処理した。印加前の原液(A)のコハク酸の酸解離定数はpKa=4.00、pKa=5.24、pHは2.0であり、それらから求められる脱塩室(3)に供給される脂肪族ジカルボン酸及び無機塩を含む原液(A)に含まれる非解離の脂肪族ジカルボン酸の、該原液(A)に含まれる全脂肪族ジカルボン酸に対する比率は99%であった。陰イオン交換膜にはAGCエンジニアリング(株)製セレミオン(登録商標)ASVを用いた。電圧印加開始時の原液(A)の電気伝導率は85.1mS/cm、pHは2.0、コハク酸濃度は10.4wt%、アンモニア濃度は1.5wt%、塩酸濃度は3.2wt%、電圧印加終了時の原液(A)の電気伝導率は9.4mS/cm、pHは2.6、コハク酸濃度は10.2wt%、アンモニア濃度は0.1wt%、塩酸濃度は0.2wt%となった。
図5に、電圧印加開始から電圧印加終了までの、原液(A)の電気伝導率の経時変化を示す。
電気透析中を通じて、脱塩室中の液の電気伝導度は、電圧印加開始時における脱塩室中の原液(A)の電気伝導率に対して、常に1%以上であった。
[実施例5]
コハク酸10.8wt%、アンモニア1.7wt%、塩酸3.3wt%水溶液3.0Lを予め脱塩液タンクに仕込み脱塩室流入管(7)を通して脱塩室(3)へ、塩化アンモニウム11wt%水溶液2.0Lを予め濃縮液タンクに仕込み濃縮室流入管(9)を通して濃縮室(4)へ、硫酸ナトリウム2wt%水溶液を陽極室(5)および陰極室(6)へ、それぞれ40℃にて160L/hで送液し、電極間に9Vの電圧を55分間印加し処理した。印加前の原液(A)のコハク酸の酸解離定数はpKa=4.00、pKa=5.24、pHは2.0であり、それらから求められる脱塩室(3)に供給される脂肪族ジカルボン酸及び無機塩を含む原液(A)に含まれる非解離の脂肪族ジカルボン酸の、該原液
(A)に含まれる全脂肪族ジカルボン酸に対する比率は99%であった。陰イオン交換膜にはAGCエンジニアリング(株)製セレミオン(登録商標)ASVを用いた。電圧印加開始時の原液(A)の電気伝導率は84.9mS/cm、pHは2.0、コハク酸濃度は10.8wt%、アンモニア濃度は1.5wt%、塩酸濃度は3.3wt%、電圧印加終了時の原液(A)の電気伝導率は8.7mS/cm、pHは2.6、コハク酸濃度は10.5wt%、アンモニア濃度は0.1wt%、塩酸濃度は0.1wt%となった。
図6に、電圧印加開始から電圧印加終了までの、原液(A)の電気伝導率の経時変化を示す。
電気透析中を通じて、脱塩室中の液の電気伝導度は、電圧印加開始時における脱塩室中の原液(A)の電気伝導率に対して、常に1%以上であった。
本発明の脂肪族ジカルボン酸含有液の製造方法により、有機溶剤の使用やそれに伴う余分な工程が必要なく、非解離状態の高い脂肪族ジカルボン酸含有液を効率よく得ることができた。また水分解電気透析と異なり、水分解に必要な余分な電力、特殊な膜の使用、およびそれに伴う維持費も必要ない。
本発明に係る脂肪族ジカルボン酸含有液の製造方法は、電気透析法により、余分な溶剤や電力を使うことなく効率的かつ安定的に脂肪族ジカルボン酸含有液の製造方法を提供することができる。
1 陽極
2 陰極
3 脱塩室
4 濃縮室
5 陽極室
6 陰極室
7 脱塩室流入管
8 脱塩室流出管
9 濃縮室流入管
10 濃縮室流出管
11 脱塩液タンク
12 濃縮液タンク
P1、P2 ポンプ
a アニオン交換膜
b カチオン交換膜

Claims (4)

  1. 電極間に、アニオン交換膜とカチオン交換膜とを交互に複数配列して、該アニオン交換膜と該カチオン交換膜との間に順次交互に形成した脱塩室および濃縮室を有する電気透析装置の、脱塩室に脂肪族ジカルボン酸及び無機塩を含む原液(A)を供給し、濃縮室に濃縮液を供給して電気透析を行い、脂肪族ジカルボン酸を含む液を得る脂肪族ジカルボン酸含有液の製造方法であって、該原液(A)に含まれる非解離の脂肪族ジカルボン酸の、該原液(A)に含まれる全脂肪族ジカルボン酸に対する比率が、70モル%以上である脂肪族ジカルボン酸含有液の製造方法。
  2. 前記電気透析を50℃以下で行う、請求項1に記載の脂肪族ジカルボン酸含有液の製造方法。
  3. 前記脱塩室中の液の電気伝導率が、通電開始時における該脱塩室中の原液(A)の電気伝導率に対して常に1%以上となるように電気透析を行う、請求項1または2に記載の脂肪族ジカルボン酸含有液の製造方法。
  4. 前記脂肪族ジカルボン酸がコハク酸である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の脂肪族ジカルボン酸含有液の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111592456A (zh) * 2019-02-21 2020-08-28 上海凯赛生物技术股份有限公司 一种混合长链二元酸的提取方法及混合长链二元酸

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JPH11178534A (ja) * 1997-12-22 1999-07-06 Yukio Nakano 梅果汁中のナトリウム濃度の低減方法、および梅果汁飲料の製造方法

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