JP2015081317A - コーティング剤、コーティング膜、および、コーティング剤の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】汎用材料であるメチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシランとを用いて、アルミニウム合金に耐蝕性の高いコートを施すことができるコーティング剤を提供する。【解決手段】メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシランとを加水分解縮合して得られるポリシラノール組成物と加熱系硬化触媒を含み、得られるコーティング膜がアルミニウム合金に対する耐蝕性が高いことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、アルミニウム合金上に高い耐蝕性を有するコートを施すコーティング剤、コーティング膜、およびその製造方法に関する。
アルミニウム合金の表面には、シラン化合物の加水分解縮合を利用したコートが施されることが知られている。そのコーティングには密着性、耐候性、耐熱性、耐水性、耐透水性、耐薬品性、耐酸性、耐アルカリ性、耐摩耗性、耐蝕性などに優れ、硬度の高いコーティング組成物が求められている。
また、これまでに、メチルトリメトキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシランとを用いたコート組成物は数多く存在する(例えば、特許文献1〜6)が、メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシランとからなるコーティング組成物をアルミ合金耐蝕性コーティング剤として適用したものは見当たらない。
特開昭56−099668号公報 特開昭63−048363号公報 特開平03−287627号公報 特開平04−161435号公報 特開平08−295736号公報 特開2004−256609号公報
本発明の目的は、メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシランとを用いて、高い耐蝕性を有するコーティング膜を施すことができるコーティング剤、および、その製造方法を提供することにある。
本発明のコーティング剤は、メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシランとを加水分解縮合して得られるポリシラノール組成物と加熱硬化触媒とを含む。特に、加熱硬化触媒はアルミニウム系加熱硬化触媒であり、ポリシラノール組成物がエポキシ基を有している。さらに、当該コーティング剤をアルミニウム合金の表面に形成することによりアルミニウム合金に高い耐蝕性を付与できる。
本発明のコーティング剤の製造方法は、メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシランとを、酸触媒として無機酸またはルイス酸を用いて加水分解縮合を行い、ポリシラノール組成物を得る工程、および、上記工程で得られたポリシラノール組成物に加熱硬化触媒を加える工程を含んでいる。
本発明のコーティング膜は、上述のコーティング剤から得られるものである。
本発明のコーティング剤は、アルミニウム合金との密着性が良好で耐蝕性のコート(コーティング膜)を得ることができる。これは、耐蝕性の高い材料であるメチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランと密着性を向上させるグリシドキシアルキルトリアルコキシシランとを加水分解縮合させ、さらに硬化触媒としてアルミニウム系硬化触媒を用いたことによるものである。
また、本発明のコーティング剤は、エポキシ基を有している場合に低温の加熱で強固な膜を形成することができる。これは、メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランから得られたシラノール基が活性であること、および、グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン由来のエポキシ基が、アルミニウム系硬化触媒の存在によって、シラノール基と付加反応しているためであると考えられる。
本発明のコーティング剤は、メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシランとを加水分解縮合して得られるポリシラノール組成物とアルミニウム系硬化触媒(加熱硬化触媒)とを含んでいる。
ポリシラノール組成物
本発明のコーティング剤の一成分であるポリシラノール組成物は、上記メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシランとを加水分解縮合することによって得られる。なお、本明細書では、上記3種、またはそれぞれについて「原料アルコキシシラン」ということがある。なお、上記メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシラン以外のアルコキシシラン化合物は通常使用しなくてもよいが、本発明のコーティング剤およびそれから得られるコーティング膜の特性に悪影響を及ぼさない量であれば、加水分解縮合の際に併用しても構わない。
上記メチルトリメトキシシランは、メチルトリメトキシシランそのものであり、コーティング膜に耐蝕性と硬化性を付与するために用いられる。また、上記フェニルトリメトキシシランは、フェニルトリメトキシシランそのものであり、コーティング膜に耐蝕性と耐透水性を付与するために用いられる。
一方、上記グリシドキシアルキルトリアルコキシシランは、コーティング膜のアルミニウム合金への密着性付与および硬化性を高める目的で用いられる。グリシドキシアルキルトリアルコキシシランとしては、グリシドキシエチルトリメトキシシラン、グリシドキシエチルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。反応性および材料入手性の点から、グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
上記メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシランの加水分解縮合は、同時に、または別々に行うことができる。
上記原料アルコキシシランの加水分解縮合は、原料アルコキシシランを極性有機溶媒に溶解し、水および酸触媒を加えて行うことができる。
上記極性有機溶媒としては、上記原料アルコキシシラン、水およびその加水分解縮合体を溶解することができるものを用いることが好ましい。上記極性有機溶媒として、親水性有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としてはアルコール、グリコール、グリコールのエーテルまたはエステル、ケトン等が挙げられる。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、R−O−(CHCH(R)O)−H(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、RはHまたはCHであり、mは1〜3の整数である。)、CH−O−(CHCH(R)O)−CH(式中、RはHまたはCHであり、lは1または2である。)、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等が好ましく用いられ得る。上記親水性有機溶媒に対して、親水性有機溶媒でない有機溶媒を併用して、溶解性を制御することができる。上記親水性有機溶媒でない有機溶媒としては、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ジエチレングリコールジブチルエーテル等が挙げられる。なお、上記親水性有機溶媒の水への溶解度(20℃)としては、好ましくは5g/100gHO以上、より好ましくは20g/100gHO以上、さらに好ましくは100g/100gHO以上である。
上記極性有機溶媒の量は、原料アルコキシシランの質量に対して、0.5〜5倍の量であることが好ましく、上限の量が2倍であることがさらに好ましい。
上記原料アルコキシシランの加水分解縮合に用いられる水の量は、原料アルコキシシランが有するアルコキシシリル基のモル量の半分〜同量とすることが好ましい。
上記原料アルコキシシランの加水分解縮合には、酸触媒が用いられる。酸触媒は、触媒作用が適度であるので、生成したポリヒドロキシシロキサンの縮合が適切な度合いで進行するためである。酸触媒としては、アルコキシシリル基の加水分解反応に対して触媒作用を有するプロトン酸類やルイス酸類であれば、任意の適切なものを使用することができる。具体的には、プロトン酸として、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸や酢酸、乳酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸が、ルイス酸として、例えば、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等の金属アルコキシドまたはキレート化合物等が挙げられる。
上記加水分解縮合において、エポキシ基を残存させるためには、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸を用いることが好ましい。エポキシ基が残存することで密着性および硬化性の向上が期待される。
上記酸触媒の使用量としては、原料アルコキシシランが有するアルコキシシリル基の加水分解反応に対して触媒作用を発現する量以上であればよい。具体的には、上記原料アルコキシシランの質量に対して、0.1ppm〜10%であることが好ましい。より好ましい上限値は5%である。
上記原料アルコキシシランの加水分解縮合の温度は、室温〜約150℃の範囲で行うことが好ましい。室温で加水分解反応を先に進めた後に加温して、縮合反応を進めたり、最初から加熱して加水分解反応と縮合反応とを同時に進めたりすることが可能である。また、必要に応じて、加水分解および縮合で生じたアルコールや水を系外に留去することも可能である。
上記原料アルコキシシランの加水分解縮合は、赤外スペクトル(IR)または核磁気共鳴分析(H−NMR)で、アルコキシシリル基に基づくピークが観察されなくなるまで行われることが好ましい。時間はその条件によって異なり、特に限定されるものではないが、約1〜10時間で行うことが可能である。
メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシランの加水分解縮合を同時に行う場合には、得られる加水分解縮合体が本発明のコーティング剤の一成分であるポリシラノール組成物となる。この場合、ポリシラノール組成物は、メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシランとが種々の割合で縮合し、アルコキシシリル基を有さない、混合物からなる。
また、メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシランの加水分解縮合をそれぞれ別々に行った場合、得られた3種の加水分解縮合体を混合することによって、本発明のコーティング剤の一成分であるポリシラノール組成物が得られる。この混合による方法では、上記混合によって得られる混合物におけるグリシドキシアルキルトリアルコキシシランの加水分解縮合体の比率が高くなると、混合物に濁りが発生するおそれがある。このため、上記混合して得られるポリシラノール組成物中の、グリシドキシアルキルトリアルコキシシランの加水分解縮合体由来の質量の比率は50%以下であることが好ましい。
なお、メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシランの加水分解縮合を同時に行う場合には、得られる加水分解縮合体に濁りは認められない。このような特徴を考慮すると、コーティング剤の耐蝕性を重視する場合、すなわち、メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランを多量に使用する場合には、メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシランの加水分解縮合をそれぞれ別々に行い、混合を行う方法をとることが好ましい。一方、硬化性を重視する場合、すなわち、原料アルコキシシラン中のグリシドキシアルキルトリアルコキシシランの量が50%以上である場合には、メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシランの加水分解縮合を同時に行って、ポリシラノール組成物を得ることが好ましい。
また、上記ポリシラノール組成物はエポキシ基を有していることが密着性および硬化性の点から好ましい。上記ポリシラノール化合物中のエポキシ基の存在およびその含有量の確認は、H−NMRで行うことができる。
アルミニウム系硬化触媒(加熱硬化触媒)
本発明のもう一つの成分であるアルミニウム系硬化触媒(加熱硬化触媒)は、コーティング膜の硬化を促進するために用いられる。アルミニウム系硬化触媒を使用することで、シラノール基同士の縮合およびエポキシ基同士の縮合に加えて、シラノール基とエポキシ基との付加反応が進行し、より強固なコーティング膜が得られることが期待される。
なお、上記アルミニウム系触媒としては、例えば、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムイソプロピレートビス(オレイルアセトアセテート)等が挙げられる。
コーティング剤
本発明のコーティング剤は、先のポリシラノール組成物およびアルミニウム系硬化触媒を含んでいる。アルミニウム系硬化触媒の含有量は、ポリシラノール組成物の固形分に対して、0.1〜10%であることが好ましい。0.1%未満であると、硬化が不十分となり、期待されるコーティング膜の物性が得られないおそれがある。また、10%を超えても、それに見合うだけのさらなる効果が期待できない。
本発明のコーティング剤中におけるポリシラノール組成物の固形分は、1質量%以上であることが好ましい。1質量%未満では、得られるコーティング膜の厚みが不十分となる場合がある。
コーティング剤の製造方法
本発明のコーティング剤は、上記方法によって得られるものであるが、本発明のコーティング剤の製造方法は、メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシランを、酸触媒として無機酸またはルイス酸を用いて加水分解縮合を行い、ポリシラノール組成物を得る工程、および、前記工程で得られたポリシラノール組成物にアルミニウム系硬化触媒、および、必要に応じてその他の成分を加える工程を含む。詳細については、すでに説明した内容がそれぞれ適用される。この製造方法によって得られたコーティング剤は、エポキシ基が残存しているので、優れた密着性および硬化性を有することが期待できる。
コート(コーティング膜)
本発明のコート(コーティング膜)は、先のコーティング剤から得られるものである。
コート形成は、先のコーティング剤をアルミニウム合金上に乾燥膜厚1〜30μmになるように塗装を行い、60〜150℃で10〜120分間加熱することで行われる。塗装には、スピンコーター、スリットコーター、スプレー、ディップコーター等が使用される。
実施例
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、特に明記しない限り、実施例における部および%は質量基準である。
製造例1 メチルトリメトキシシランの加水分解縮合体の製造
メチルトリメトキシシラン408部をイソプロピルアルコール450部に溶解した。ここに、メトキシシリル基のモル数と同じモル数となる水162部と酸触媒として塩酸1部とを添加して、40℃で1時間攪拌し、さらに75℃で1時間攪拌を行った後、濃縮してメチルトリメトキシシランの加水分解縮合体を得た。IRによる分析で、メトキシシリル基に基づくC−Hの吸収は確認されなかった。
製造例2 フェニルトリメトキシシランの加水分解縮合体の製造
フェニルトリメトキシシラン595部をイソプロピルアルコール200部とトルエン400部の混合液に溶解した。ここに、メトキシシリル基のモル数と同じモル数となる水162部と酸触媒として塩酸1部とを添加して、40℃で1時間攪拌し、さらに75℃で1時間攪拌を行った後、濃縮してフェニルトリメトキシシランの加水分解縮合体を得た。IRによる分析で、メトキシシリル基に基づくC−Hの吸収は確認されなかった。
製造例3 グリシドキシアルキルトリアルコキシシランの加水分解縮合体の製造
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン460部をイソプロピルアルコール390部に溶解した。ここに、メトキシシリル基のモル数と同じモル数となる水105部と酸触媒として塩酸1部とを添加して、40℃で1時間攪拌し、さらに75℃で1時間攪拌を行った後、濃縮してグリシドキシプロピルトリメトキシシランの加水分解縮合体を得た。IRによる分析で、メトキシシリル基に基づくC−Hの吸収は確認されなかった。
実施例1
メチルトリメトキシシラン47.7部、フェニルトリメトキシシラン69.4部、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン79.8部をイソプロピルアルコールとメチルイソブチルケトンとの2/1(質量比)混合物154部に溶解した。ここに、系内のメトキシシリル基のモル数と同じモル数となる水56.7部と酸触媒として塩酸1部とを添加して、40℃で2時間攪拌し、さらに80℃で3時間攪拌を行った後、濃縮してポリシラノール組成物を得た。IRによる分析で、メトキシシリル基に基づくC−Hの吸収は確認されなかった。H−NMRによる分析で、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン由来のエポキシ基が残存していることを確認した。
得られたポリシラノール組成物100部をテトラヒドロフランとエトキシエタノールとの1/4(質量比)混合物50部に加えて溶解後、さらにアルミニウム系硬化触媒としてアルミニウムトリスアセチルアセトネート5部を添加して、コーティング剤を得た。
実施例2
実施例1において、メチルトリメトキシシランの量を143.1部に、水の量を94.5部に、および、塩酸の量を2部にそれぞれ変更すること以外は同様にして、ポリシラノール組成物を得た。IRによる分析で、メトキシシリル基に基づくC−Hの吸収は確認されなかった。H−NMRによる分析で、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン由来のエポキシ基が残存していることを確認した。
得られたポリシラノール組成物100部をテトラヒドロフランとエトキシエタノールとの1/4(質量比)混合物50部に加えて溶解後、さらにアルミニウム系硬化触媒としてアルミニウムトリスアセチルアセトネート5部を添加して、コーティング剤を得た。
実施例3
製造例1で得られたメチルトリメトキシシランの加水分解縮合体19部、製造例2で得られたフェニルトリメトキシシランの加水分解縮合体37部、製造例3で得られたグリシドキシプロピルトリメトキシシランの加水分解縮合体47部を、テトラヒドロフランとエトキシエタノールとの1/4(質量比)混合物50部に加えて溶解後、さらにアルミニウム系硬化触媒としてアルミニウムトリスアセチルアセトネート5部を添加して、コーティング剤を得た。
比較例1
製造例1で得られたメチルトリメトキシシランの加水分解縮合体100部をテトラヒドロフランとエトキシエタノールとの1/4(質量比)混合物50部に加えて溶解後、さらにアルミニウム系硬化触媒としてアルミニウムトリスアセチルアセトネート5部を添加して、比較用のコーティング剤を得た。
比較例2
製造例2で得られたフェニルトリメトキシシランの加水分解縮合体100部をテトラヒドロフランとエトキシエタノールとの1/4(質量比)混合物50部に加えて溶解後、さらにアルミニウム系硬化触媒としてアルミニウムトリスアセチルアセトネート5部を添加して、比較用のコーティング剤を得た。
比較例3
製造例1で得られたメチルトリメトキシシランの加水分解縮合体34部と製造例2で得られたフェニルトリメトキシシランの加水分解縮合体66部をテトラヒドロフランとエトキシエタノールとの1/4(質量比)混合物50部に加えて溶解後、さらにアルミニウム系硬化触媒としてアルミニウムトリスアセチルアセトネート5部を添加して、比較用のコーティング剤を得た。
比較例4
製造例1で得られたメチルトリメトキシシランの加水分解縮合体29部と製造例3で得られたグリシドキシプロピルトリメトキシシランの加水分解縮合体71部をテトラヒドロフランとエトキシエタノールとの1/4(質量比)混合物50部に加えて溶解後、さらにアルミニウム系硬化触媒としてアルミニウムトリスアセチルアセトネート5部を添加して、比較用のコーティング剤を得た。
実施例4〜6および比較例5〜8
実施例で得られたコーティング剤および比較例で得られた比較用のコーティング剤を#22バーコーターを用いて、サンディング、トルエン脱脂した厚さ5mmのアルミニウム板材(6063系(JIS))の片面に皮膜厚が5μm以下になるよう塗布、150℃で2時間加熱乾燥を行い、透明なコート(コーティング膜)をそれぞれ得た。
得られたコート(コーティング膜)は、下記の項目について評価を行った。結果を表1に表す。
Figure 2015081317
<鉛筆硬度>
JIS K 5600−5−4に準じて、斜め45度の角度に固定した鉛筆に真上から750gの荷重をかけ引っかき試験を行った。
<密着性>
JIS K 5600−5−6に準じて、調製した試験片にカッターにより1mm間隔の縦横6本ずつの切れ目を入れ、その上にセロハンテープを貼付してはがし、25個のます目のうち、残存したます目の数をカウントした(碁盤目試験、残ったます目数/全ます目数(25))。下記の耐蝕性試験前において、全てのます目が残る場合を合格とする。
<耐水性>
試験片を電導度が1.0μs/cmのイオン交換水(40℃)に240時間浸漬し、試験後の密着性を測定した。試験後の碁盤目試験において、密着性の保持率が90%以上の場合を合格とする。表1においては、縦5横5の碁盤目に配置した25試験片中における密着性の保持率が90%以上の試験片数Xを、X/25と表示した。以下、耐塩水性試験、体水性塗料性試験においても同様である。
<耐塩水性>
試験片を5%塩水(25℃)に240時間浸漬し、試験後の密着性を測定した。試験後の碁盤目試験において、密着性の保持率が90%以上の場合を合格とする。
<耐水性塗料性>
試験片を水性塗料(例えば、水70%程度、有機溶剤20%程度、残りは顔料等)(45℃)に240時間浸漬し、試験後の密着性を測定した。試験後の碁盤目試験において、密着性の保持率が90%以上の場合を合格とする。また、コートの変化の程度を目視で判定した。コートの状態に変化が見られない場合を合格とする。水性塗料は、水だけでなく親水性の有機溶剤をも含むが、このような水性塗料に対しても密着性が確保されている。例えば、印刷装置本体のアルミニウム合金を本発明のコーティング剤によりコーティングすることで、印刷装置本体が水性塗料から十分に保護されるようになる
本発明の実施例のコーティング剤から得られたコート(コーティング膜)は、いずれも3H以上の鉛筆硬度を有しており、アルミニウム基材との密着性は良好であり、耐水性、耐塩水性、耐水性塗料性も良好であった。
これに対して、比較用コーティング剤から得られたコート(コーティング膜)では、それぞれ問題点を有していた。すなわち、グリシドキシアルキルトリアルコキシシランを原料アルコキシシランとして用いない比較例5、6、7では、アルミニウム基材との密着性の低下がみられた。また、メチルトリメトキシシランとグリシドキシプロピルトリメトキシシランの各加水分解縮合物の混合物を成分とする比較例8では、耐水性塗料性での低下がみられた。
つまり、本発明のメチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとグリシドキシプロピルトリアルコキシシラン(グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン)を含むコーティング剤は、比較例のようなメチルトリメトキシシランとグリシドキシプロピルトリメトキシシラン(グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン)とを含むものよりも密着性、耐水性、耐塩水性、耐水性塗料性の点で有利であることが分かる。
本発明のコーティング剤は、水、塩水、水性塗料に関わるディスプレイ材料や塗装及び印刷装置材料分野等で好適に用いられる。

Claims (5)

  1. メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシランとを加水分解縮合して得られるポリシラノール組成物と加熱硬化触媒とを含むコーティング剤。
  2. 前記ポリシラノール組成物がエポキシ基を有している請求項1記載のコーティング剤。
  3. 前記加熱硬化触媒は、アルミニウム系硬化触媒である請求項1または2に記載のコーティング剤。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のコーティング剤によって、アルミニウム合金の表面に形成されるコーティング膜。
  5. メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシランとを、酸触媒として無機酸またはルイス酸を用いて加水分解縮合を行い、ポリシラノール組成物を得る工程、および、前記工程で得られたポリシラノール組成物に加熱硬化触媒を加える工程を含む、コーティング剤の製造方法。
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