JP2015080489A - 歯ブラシ装置 - Google Patents

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今田 勝巳
Katsumi Imada
勝巳 今田
今井 伸一
Shinichi Imai
伸一 今井
英之 神崎
Hideyuki Kanzaki
英之 神崎
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Abstract

【課題】プラズマにより処理した液体で歯をブラッシング可能な歯ブラシ装置を提供する。
【解決手段】本開示の歯ブラシ装置は、ヘッド部と、液体処理部と、流路管を備え、液体処理部は、液体を入れる液体槽と、前記液体槽内に配置された第1の金属電極および第2の金属電極と、前記第1の金属電極の周囲に空間を形成するように配置された開口部を有する絶縁体と、前記第1の金属電極と前記第2の金属電極との間に電圧を印加する電源と、を備える。
【選択図】図1

Description

本開示は、歯ブラシ装置に関する。
ユーザは虫歯又は歯周病を引き起こす原因となる歯垢などを除去するため、歯ブラシで歯を磨いている。ユーザは歯を磨く際に、水を用いることが通常であり、歯を磨くときの水が除菌などの処理がされていることはユーザにとって有益である。
特許第4784624号明細書
本開示は、プラズマにより処理された液体で歯をブラッシング可能な歯ブラシ装置を提供することを目的とする。
本開示の一態様である歯ブラシ装置は、
ブラシを備えるヘッド部と、
液体を処理する液体処理部であって、
前記液体を入れる液体槽と、
前記液体槽内に少なくとも一部が配置された第1の金属電極と、
前記液体槽内に少なくとも一部が配置された第2の金属電極と、
前記第1の金属電極の周囲に空間を形成するように配置された絶縁体であって、前記液体槽内部と前記空間を連通するように設けられた開口部を有する絶縁体と、
前記第1の金属電極と前記第2の金属電極との間に電圧を印加する電源と、
を備える、液体処理部と、
前記液体処理部の前記液体槽と前記ヘッド部の前記ブラシとを接続する流路管と、
を備える。
本開示に係る歯ブラシ装置によれば、プラズマにより処理された液体で歯をブラッシングすることができる。
本開示の実施の形態1に係る歯ブラシ装置の全体構成を示す概略図である。 本開示の実施の形態1の液体処理部の構成を示す概略図である。 本開示の実施の形態1の液体処理部における第1の電極の周辺の電極構成を示す断面図である。 本開示の実施の形態1の液体処理部と比較例における処理時間に対するインディゴカーミン水溶液の分解量を比較した図である。 本開示の実施の形態1の液体処理部における絶縁体の開口部の直径とインディゴカーミン水溶液の規格化分解速度との関係を示す図である。 本開示の実施の形態1の液体処理部で処理した液体中のOHラジカル濃度の測定結果を示す図である。 図6のAの時点における液体中のDMPO−OHの信号を示す図である。 図6のBの時点における液体中のDMPO−OHの信号を示す図である。 図6のCの時点における液体中のDMPO−OHの信号を示す図である。 従来の高電圧パルス放電を用いた殺菌装置の全体構成を示す概略図である。
本開示の第1の態様に係る歯ブラシ装置は、
ブラシを備えるヘッド部と、
液体を処理する液体処理部であって、
前記液体を入れる液体槽と、
前記液体槽内に少なくとも一部が配置された第1の金属電極と、
前記液体槽内に少なくとも一部が配置された第2の金属電極と、
前記第1の金属電極の周囲に空間を形成するように配置された絶縁体であって、前記液体槽内部と前記空間を連通するように設けられた開口部を有する絶縁体と、
前記第1の金属電極と前記第2の金属電極との間に電圧を印加する電源と、
を備える、液体処理部と、
前記液体処理部の前記液体槽と前記ヘッド部の前記ブラシとを接続する流路管と、
を備える。
このような構成により、プラズマで処理した液体で歯をブラッシング可能な歯ブラシ装置を提供することができる。また、液体処理部では効率良くプラズマを発生させることにより短時間で液体の処理をすることができるため、ユーザにとって使い勝手のよい歯ブラシ装置を提供することができる。
また、プラズマ処理後の液体(プラズマ処理水)には、比較的長い時間OHラジカルが存在する。そのため、このプラズマ処理水で歯をブラッシングすることにより、プラズマ処理水中のOHラジカルにより口内の細菌を除菌することや有機物を分解することができる。このような除菌作用により、口臭予防、歯垢除去、ホワイトニング、歯周病予防、又は虫歯予防などの効果を有する可能性がある。
本開示の第2の態様に係る歯ブラシ装置においては、前記第1の態様における前記液体処理部は、前記電源によって前記第1の金属電極と前記第2の金属電極との間に電圧を印加して、前記第1の金属電極と前記絶縁体との間に形成される前記空間内の液体を気化して気体を発生させ、前記気体が前記開口部から前記液体槽内の前記液体中に放出されるときに放電することにより、プラズマを発生させて、前記液体を処理する。
このように、液体処理部は、第1の金属電極と絶縁体との間に形成される空間内の液体を気化することによって気体を生成して、その気体内にプラズマを発生させることにより、より純粋なOHラジカルを生成することができる。その結果、短時間で液体を処理することができる。
本開示の第3の態様に係る歯ブラシ装置においては、前記第1又は2の態様における前記液体処理部の前記電源の動作を制御する制御部と、
ユーザからの動作指令を入力する第1の入力部と、
をさらに備え、
前記第1の入力部は、入力されたユーザからの前記動作指令を前記制御部に送り、
前記制御部は、前記第1の入力部からの前記動作指令を受け、前記電源によって前記第1の金属電極と前記第2の金属電極との間に電圧を印加する。
このような構成により、ユーザが液体処理部での液体処理を任意のタイミングで行うことができる。
本開示の第4の態様に係る歯ブラシ装置においては、前記第3の態様における当該歯ブラシ装置を使用する前のユーザの準備動作によって、液体の処理を開始する指令を入力する第2の入力部をさらに備え、
前記第2の入力部は、入力された前記指令を前記制御部に送り、
前記制御部は、前記第2の入力部からの前記指令を受け、前記電源によって前記第1の金属電極と前記第2の金属電極との間に電圧を印加する。
このような構成により、ユーザが液体処理の動作指令を入力せずとも、自動的に液体処理を開始させることができる。そのため、ユーザが本開示の歯ブラシ装置を使用するときには、液体処理が完了しているなどの利点がある。即ち、ユーザにとって使い勝手のよい歯ブラシ装置を提供することができる。
本開示の第5の態様に係る歯ブラシ装置においては、前記第3又は4の態様における前記液体処理部の前記液体槽内の液体を、前記流路管を介して前記ヘッド部の前記ブラシへ供給するポンプと、
前記ヘッド部を運動させるアクチュエータと、
をさらに備え、
前記第1の入力部は、入力されたユーザからの動作指令を前記制御部に送り、
前記制御部は、前記第1の入力部からの前記動作指令を受け、前記ポンプおよび/または前記アクチュエータへの電力の供給を開始する。
このような構成により、ユーザは第1の入力部に動作指令を入力することで、ヘッド部のブラシを高速運動させて歯を磨く、及び/又はプラズマにより処理された液体をブラシに供給することができる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の全ての図において、同一又は相当部分には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(本開示に係る一形態を得るに至った経緯)
液体内に存在する細菌などを除菌するための装置として、高電圧パルス放電を用いた液体処理装置(殺菌装置)がある(例えば、特許第4784624号明細書)。図10は、従来の液体処理装置である。図10に示す殺菌装置1は、直径0.05〜0.5mmの棒状の高電圧電極2と板状の接地電極3とを対とする放電電極6で構成されている。高電圧電極2は、先端部2aの端面を除いて絶縁体4で被覆されて、高電圧電極部5を形成している。また、高電圧電極2の先端部2aと接地電極3とは、所定の電極間隔を設けて、処理槽7内で被処理水8に浸漬された状態で対向配置されている。さらに、高電圧電極2と接地電極3とは、高電圧パルスを発生する電源9に接続されている。両方の電極間に2〜50kV、100Hz〜20kHzの負極性の高電圧パルスを印加し放電を行う。そのエネルギーによる水の蒸発、および衝撃波に伴う気化により、水蒸気からなる気泡10が発生する。また、高電圧電極2付近で生成されるプラズマによりOHラジカル等の活性種を発生させ、微生物や細菌を殺菌する。
しかしながら、上記の殺菌装置1のような従来の装置では、発生するOHラジカルが液中で存在する時間が短い。このため、上記の殺菌装置1を歯ブラシ装置に使用しても、プラズマによって処理された液体がユーザの口内に入るまでに、当該液体中のOHラジカルの大部分が消滅してしまうため、口内の除菌などの効果が不十分である。
そこで、本発明者らは、第1の金属電極と絶縁体との間に液体で満たされた空間を設け、空間内の液体を気化して気体を生成し、絶縁体の開口部から気体が放出される際に放電してプラズマを発生させることにより、液体を処理する液体処理部を見出した。そして、本発明者らは、この液体処理部を備えた歯ブラシ装置を開示するに至った。
(実施の形態1)
[全体構成]
本開示の実施の形態1に係る歯ブラシ装置100の全体構成について説明する。
図1は、本開示の実施の形態1に係る歯ブラシ装置100の全体構成を示す概略図である。図1に示すように、実施の形態1に係る歯ブラシ装置100は、歯を磨くためのヘッド部101と、液体を処理する液体処理部102と、液体処理部102からヘッド部101への流路を形成する流路管103を備える。このように、実施の形態1に係る歯ブラシ装置100は、液体処理部102で処理した液体を、流路管103を介してヘッド部101に供給する構成を有している。
実施の形態1に係る歯ブラシ装置100は、液体処理部102からヘッド部101に液体を供給するポンプ104と、ヘッド部101を駆動するアクチュエータ105を備えてもよい。また、液体処理部102、ポンプ104、又はアクチュエータ105を制御する制御部106を備えてもよい。ユーザからの動作指令を入力する第1の入力部107及び/又はユーザの準備動作により液体処理を開始する指令を入力する第2の入力部108を備えてもよい。さらに、実施の形態1の歯ブラシ装置100は、電源109として乾電池又は蓄電池を備えてもよい。実施の形態1の歯ブラシ装置100においては、液体処理部102に液体を注入するための注入口110を備えてもよい。
実施の形態1に係る歯ブラシ装置100の各構成部品について説明する。
<ヘッド部>
ヘッド部101は、ブラシ111とヘッド本体112を備える。ヘッド本体112の内部には、流路管103が配設されており、液体処理部102で処理された液体が流路管103を通ってブラシ111に供給される。
<液体処理部>
図2は、実施の形態1における液体処理部102の構成を示す概略図である。図2に示すように、液体処理部102は、第1の金属電極113と、絶縁体114と、第2の金属電極115と、液体槽116と、電源109を備える。液体槽116の壁面には、第1の金属電極113と第2の金属電極115が配置されており、第1の金属電極113と第2の金属電極115のそれぞれの一部は、液体槽116内に位置している。第1の金属電極113の周囲には、空間117が形成されるように、開口部118を有する絶縁体114が配置されている。第1の金属電極113と第2の金属電極115との間には、電圧を印加するための電源109が配置されている。液体槽116は、流路管103によってヘッド部101のブラシ111と接続されている。そして、ポンプ104により液体槽116内の液体119をヘッド部101のブラシ111に供給する。また、第1の金属電極113は、液体槽116の壁面に保持するための保持ブロック120を備えてもよい。さらに、液体槽116は、液体119を注入する注入口110に接続されることにより、液体槽116内に液体119が注入される。
<流路管>
流路管103は、液体処理部102で処理された液体119が通る流路を形成する。流路管103は、ヘッド部101の内部に設けられ、液体処理部102で処理した液体119がヘッド部101のブラシ111に流れるように構成されている。
<ポンプ>
ポンプ104は、流路管103に配置されている。ポンプ104は、液体処理部102で処理した液体119を、流路管103を介してヘッド部101のブラシ111に供給している。また、ポンプ104は、制御部106と接続されており、制御部106によって駆動制御される。
<アクチュエータ>
アクチュエータ105は、ヘッド部101を高速運動させる部品である。アクチュエータ105は、ヘッド部101を電動で駆動する場合に備えてもよい。ヘッド部101が高速運動することで、ブラシ111が往復又は回動などの運動をすることで、歯をブラッシングすることができる。なお、アクチュエータ105は、制御部106と接続されており、制御部106によって駆動制御される。
<制御部>
制御部106は、液体処理部102、ポンプ104、又はアクチュエータ105の動作を制御する。制御部106は、例えば、液体処理部102で液体119の処理を開始するために、第1の金属電極113と第2の金属電極115との間に電圧を印加するように電源109を制御する。液体119の処理は、ユーザが歯ブラシ装置100を使用する前に行ってもよいし、ユーザが歯を使用しているときに行ってもよい。また、制御部106は、第1の入力部107又は第2の入力部108からの動作指令に応じて、液体処理部102、ポンプ104、又はアクチュエータ105の動作を制御してもよい。例えば、制御部106は、ユーザが第1の入力部107で液体処理をする指令を送り続けている間、液体処理を行うように制御してもよい。同様に、制御部106は、ユーザが第1の入力部107で、液体を供給する指令又はヘッド部101を運動させる指令を送ることにより、ポンプ104又はアクチュエータ105が駆動するように制御してもよい。さらに、制御部106は、所定の時間毎に自動で液体処理を行うように制御されてもよい。
<第1の入力部>
第1の入力部107は、ユーザからの動作指令が入力される。第1の入力部107は、実施の形態1に係る歯ブラシ装置100の外装に配置されるスイッチなどであってもよい。例えば、液体119をヘッド部101に供給するためにポンプ104を駆動させるスイッチ、及び/又はヘッド部101を高速運動させるアクチュエータ105を駆動させるスイッチなどがある。また、液体処理部102で液体の処理を開始するため、第1の金属電極113と第2の金属電極115との間に電圧を印加するスイッチを備えてもよい。ユーザが上記のスイッチ(第1の入力部107)を押すことによって、ユーザの動作指令が制御部106に送られ、制御部106によって液体処理部102、ポンプ104、又はアクチュエータ105の動作が開始される。なお、第1の入力部107は、液体処理部102、ポンプ104、又はアクチュエータ105の動作を停止させる動作指令を入力できる構成であってもよい。
<第2の入力部>
第2の入力部108は、ユーザが実施の形態1に係る歯ブラシ装置100を使用する前の準備動作によって、液体処理部102で液体処理を開始する指令が自動的に入力される。例えば、ユーザの準備動作として、液体槽116に処理する前の液体119を入れる動作がある。一例として、歯ブラシ装置100の外装に設けられた注入口110が蓋体によって閉じられる構成を有している場合について説明する。この場合、注入口110の蓋体を閉じたときに、蓋体と第2の入力部108が接触するように第2の入力部108を配置する。第2の入力部109は、例えば、スイッチなどの構成とすることができる。このような構成により、液体119を液体槽116に注入した後、ユーザが注入口110の蓋体を閉じることによって、スイッチ(第2の入力部108)が押される。このように、ユーザが歯ブラシ装置100を使用する前の準備動作によって第2の入力部108に指令を入力することで、ユーザが指令を入力せずとも、制御部106に液体処理を開始する指令が送られてもよい。なお、第2の入力部108に指令が入力されて一定時間経過すると、液体処理部102での液体処理が自動的に停止する構成であってもよい。
<電源>
電源109は、第1の金属電極113と第2の金属電極115との間を接続するように配置される。また、液体処理部102の電源109は、ポンプ104、アクチュエータ105、制御部106などの各構成部品に電力を供給するために使用されてもよい。電源109としては、例えば、乾電池又は充電器で充電可能な蓄電池などが用いられる。第1の金属電極113と第2の金属電極115との間に印加される電圧は、周波数1〜100kHz、数100V〜10kVの適宜選択しうる信号であり、電圧波形は、パルス状、正弦半波形、又は正弦波状のいずれであってもよい。電流値は、大きいほどよいが、あまり大きくしすぎると、空間117内の液体119のみならず、液体槽116内全体の液体119を加熱するように電力が使用され、かえってプラズマ生成の効率が低下する。上記理由から、実施の形態1では、電流値を3A以下としている。また、電流値が1mAより小さいと、空間117内の液体119を気化するのに時間を必要とするため、電流値は1mA〜3Aの範囲が好ましい。なお、実施の形態1に係る歯ブラシ装置100では、プラズマを発生させるために所望の電圧及び電流が得られるように、パルス変換回路、及び/又は昇圧回路などの回路を備えてもよい。また、ポンプ104、アクチュエータ105を駆動するために必要な回路を備えてもよい。
次に、実施の形態1に係る液体処理部102の電極構成について説明する。
[電極構成]
実施の形態1における電極構成は、第1の金属電極113と、絶縁体114と、第2の金属電極115と、保持ブロック120を備える。
図3は、実施の形態1における第1の金属電極113の周辺の電極構成の断面図である。図3に示すように、第1の金属電極113の周囲に空間117を形成するように絶縁体114が配置されている。絶縁体114は、液体槽116内部と空間117を連通するように少なくとも1つの開口部118を有している。この開口部118から液体槽116内の液体119が浸入し、空間117が液体119満たされる構成となっている。第1の金属電極113と絶縁体114のそれぞれの一方の端部は、保持ブロック120に固定されている。なお、第1の金属電極113と第2の金属電極115は、液体槽116の壁面に任意の位置で配置すればよく、配置する位置に制限はない。第1の金属電極113と第2の金属電極115間に電圧が印加される際に両電極共に、液体119中に存在する確率が高くなるように両電極の設置位置を決定してもよい。例えば、実施の形態1の歯ブラシ装置100は、使用中に液体槽116内部に空気溜まりが発生した状態で第1の金属電極113と第2の金属電極115との間に電圧を印加する場合がある。このような場合でも、両電極が液体119中に配置できるように、例えば、空気溜まりが存在する領域とは異なる領域である、液体119が溜まる領域に両電極を配置する。
次に、実施の形態1における液体処理部102の各構成部品について説明する。
<第1の金属電極>
第1の金属電極113は、液体119で満たされた液体槽116内に少なくとも一部が配置されている。第1の金属電極113と第2の金属電極115間に電圧が印加される際に両電極共に、液体119中に存在する確率が高くなるように両電極の設置位置を決定してもよい。また、第1の金属電極113の一端は、保持ブロック120に固定されている。図2及び図3に示す実施の形態1における第1の金属電極113は、直径2mmの円柱形状を有している。これは第1の金属電極113の一例としての直径及び形状であって、第1の金属電極113の直径は、プラズマ121が発生する直径であれば、特に制限はない。また、第1の金属電極113の形状は、円柱形状に限定されず、例えば、直方体又は面状の形状などの任意の形状としてもよい。第1の金属電極113は、例えば、鉄、タングステン、銅、アルミニウム、白金、又はそれらの金属から選ばれる1又は複数の金属を含む合金などの材料から形成されてもよい。
<絶縁体>
絶縁体114は、第1の金属電極113の周囲に空間117を形成するように配置されている。また、絶縁体114には、液体槽116内部と空間117を連通する開口部118が設けられている。図2及び図3に示す実施の形態1における絶縁体114は、内径3mmで外径5mmの円筒形状を有し、直径0.7mmの開口部118が1つ設けられている。絶縁体114は、上記した大きさ又は形状に限定されず、第1の金属電極113の周囲に空間117を形成できるのであれば、任意の大きさ又は形状にしてもよい。例えば、実施の形態1における開口部118の直径は、0.7mmとしているが、これに限定されるものではなく、2mm以下で任意の大きさにしてもよい。また、開口部118は、複数あってもよい。開口部118の位置についても、特に制限はない。例えば、絶縁体114に、複数の開口部を設けることにより、実施の形態1に係る歯ブラシ装置100の方向をどのように傾けても開口部118において気泡の泡詰まりを防止することができる。絶縁体114は、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、絶縁性のプラスチック、ガラス、及び石英などの材料から形成されてもよい。
<第2の金属電極>
第2の金属電極115もまた、液体119で満たされた液体槽116内に少なくとも一部が配置されている。第2の金属電極115もまた、前述したように配置される位置に制限はなく、液体槽116のいずれかの位置に配置されればよい。さらに、第1の金属電極113と第2の金属電極115間に電圧が印加される際に両電極共に、液体119中に存在する確率が高くなるように両電極の設置位置を決定してもよい。第2の金属電極115は、導電性の金属材料から形成されていればよい。例えば、第1の金属電極113と同様に、鉄、タングステン、銅、アルミニウム、白金、又はそれらの金属から選ばれる1又は複数の金属を含む合金などの材料から形成されてもよい。
<保持ブロック>
保持ブロック120は、第1の金属電極113と絶縁体114のそれぞれの一方の端部と接続されている。保持ブロック120は、第1の金属電極113及び絶縁体114との接続部分において、液体119が漏れないように、シールする構造を有していてもよい。例えば、保持ブロック120に、第1の金属電極113と絶縁体114をネジ止めする構造としてもよい。シール構造は、これに限定されるものではなく、任意の構造とすることができる。
実施の形態1に係る歯ブラシ装置100の動作について説明する。
[動作]
実施の形態1に係る歯ブラシ装置100を使用する前に、液体槽116に処理する前の液体119を注入口110から注入する。液体槽116が液体119で満たされると、第1の金属電極113と絶縁体114との間に形成された空間117は、液体119で満たされた状態となると考えられる。なお、このとき微量の気泡が混じる場合もあると考えられるが、ほぼ液体119で満たされた状態となる。
次に、第1の入力部107又は第2の入力部108から液体処理を開始する指令が制御部106に送られる。制御部106が液体処理を開始する指令を受けると、電源114によって第1の金属電極113と第2の金属電極115との間に電圧が印加される。
第1の金属電極113と絶縁体114との間に形成される空間117内の液体119は、第1の金属電極113から投入された電力により、加熱され、温度が上昇する。この温度上昇により、空間117内の液体119が気化し、気体が発生する。この気体は、空間117内で集合しながら塊となる。そして、この気体の塊は、空間117内部の圧力と液体槽116の圧力との圧力差によって絶縁体114に設けられた開口部118から液体槽116内の液体119中へ放出される。
この気体の塊が絶縁体114の開口部118を通るとき、気体の塊によって開口部分の液体が気体に置き換わり、液体によって導通していた第1の金属電極113と第2の金属電極115が絶縁される。このとき、開口部118に存在する気体の塊に電源107からの電圧が印加されて、電界集中により放電が生じる。その結果、気体の塊内でプラズマ121が発生する。一度プラズマ121が発生すると、継続的かつ連続的にプラズマ121が生成され、プラズマ121を内包した気体の塊が絶縁体114の開口部118から液体槽116内の液体119に向かって放出される。このプラズマ121は、絶縁体114の開口部118から液体槽116の液体119中に張り出した状態となる。
さらに、張り出したプラズマ121を内包する気体の塊から一部が分離し、複数の気泡122が形成され、この気泡122が液体槽116内の液体119中に拡散される。複数の気泡122は、マイクロメーター以下の直径のものを含んでおり、実施の形態1における液体処理部102は、マイクロバブルを発生させる機能も有している。この気泡122は、通常のマイクロバブルとは異なり、気泡122内部にプラズマ121で生成した電子、イオン、又はラジカルを含んでいる。実施の形態1における液体処理部102は、これらの気泡122によって、液体119を除菌する及び/又は液体119中に含まれる化学物質を分解している。
液体処理部102で液体119を処理した後、ユーザはヘッド部101の先端を口の中へ入れて、ブラシ111部分で歯をブラッシングする。ブラッシング時に、ユーザは第1の入力部107に、液体処理部102、ポンプ104、又はアクチュエータ105を駆動するように動作指令を入力する。第1の入力部107に入力された動作指令は、制御部106に送られ、制御部106によって液体処理部102、ポンプ104、又はアクチュエータ105の動作が開始される。例えば、ユーザがポンプ104を駆動する指令を第1の入力部107に入力した場合、液体処理部102からヘッド部101のブラシ111に処理された液体119が供給される。そのため、ユーザはプラズマ121により処理された液体119で歯をブラッシングすることができる。また、ユーザがアクチュエータ105を駆動する指令を第1の入力部107に入力した場合、ヘッド部101が高速運動するため、ユーザは自動で歯をブラッシングすることができる。さらに、ユーザは第1の入力部107に液体処理を開始する指令を入力することにより、ユーザは液体処理部102でプラズマ121を発生させて液体119を処理しながら、歯を磨くことができる。
歯を磨き終わると、ユーザは第1の入力部107に、液体処理部102、ポンプ104、又はアクチュエータ105の動作を停止する指令を入力する。第1の入力部107に入力された停止の指令は、制御部106に送られる。そして、制御部106によって液体処理部102、ポンプ104、又はアクチュエータ105の動作が停止させられる。
[効果(気泡について)]
実施の形態1に係る歯ブラシ装置100の液体処理部102から発生する気泡122の効果について説明する。気泡122は、前述したように、マイクロメーター以下の直径のものを含んでいる。この気泡122は、通常のマイクロバブルと異なり、気泡122内部にプラズマ121で生成した電子、イオン、又はラジカルなどの反応種を含んでいる。このため、通常のマイクロバブルよりも除菌能力や化学物質を分解する能力が高いという効果を有している。したがって、実施の形態1に係る歯ブラシ装置100によれば、通常のマイクロバブルでは分解することが難しい、例えば、アンモニア又は酢酸などの難分解性物質をも分解する能力を持った液体119で歯をブラッシングすることが可能である。
[効果(第1の金属電極と絶縁体との間の空間について)]
次に、第1の金属電極113と絶縁体114の間に形成された空間117の効果について説明する。空間117は、液体119を気化して気体を生成する機能を有する。実施の形態1の液体処理部102では、第1の金属電極113から流れる電流によって、空間117内の液体119を加熱して、空間117内で液体119を気化して、気体を生成していると考えられる。
図10に示す従来の液体処理装置の構成、即ち、第1の金属電極113と絶縁体114が接触して配置されている構成(空間117がない構成)について説明する。この場合、第1の金属電極113は、絶縁体114の開口部118を介して液体槽116内の液体119に直接接触することになる。その結果、電源109によって第1の金属電極113と第2の金属電極115との間に電圧を印加しても、第1の金属電極113から液体槽116内の液体119に直接電流が流れて発散してしまい、液体119を気化することができない。このような空間117がない構成で、第1の金属電極113近傍に局所的な気化状態を形成しようとすると、第1の金属電極113と第2の金属電極115との電極間の距離が所定の距離(数mm)となるように第1の金属電極113及び第2の金属電極115を配置する必要がある。また、プラズマ121を発生させるために、電界強度を高くする必要があり、第1の金属電極113の直径を小さくする必要がある。このような構成にすることにより、図10に示す従来の装置において、第1の金属電極113近傍の液体119を気化することができ、プラズマ121を発生させることができる。しかし、この構成では、第1の金属電極113及び第2の金属電極115の位置が制限されるデメリットがある。また、液体槽116内全体、即ち、液体119全体に電流が流れて発散してしまうというデメリットもある。そのため、従来の構成では、第1の金属電極113近傍の液体119を気化させて気泡を生成し、その気泡内でプラズマ121を発生させるためには、250W以上の高電力を必要とする。発明者の知見によると印加電力を大きくするとプラズマ121に注入されるエネルギーよりも液体119を加熱することにエネルギーが消費される傾向にあり、効率は低くなる傾向にある。したがって、図10に示す従来の構成(空間117がない構成)では、効率良くプラズマ121を発生させることができないという欠点がある。また、第1の金属電極113及び第2の金属電極115の位置が制限されることから、歯ブラシ装置に組み込んだ場合、装置の大きさを小さくすることが難しいという欠点がある。
実施の形態1の液体処理部102によれば、第1の金属電極113と絶縁体114との間に空間117を有する構成とすることで、空間117内の液体119を気化して気体を生成し、低消費電力で効率良くプラズマ121を発生させることができる。例えば、絶縁体114の長さを5mmと仮定すると、水を20℃から100℃まで1分で上昇させるのに必要な電力は、約0.1Wである。また、1秒で上昇させる場合でも約7Wであり、前述した図10に示す従来の装置の構成(空間117がない構成)の必要な電力(250W以上)と比べて、格段に少ない電力でプラズマ121を生成できる。
また、実施の形態1の液体処理部102によれば、第1の金属電極113と第2の金属電極115との間の距離が制限されない。そのため、実施の形態1に係る歯ブラシ装置100では、第1の金属電極113と第2の金属電極115を任意の位置に配置することが可能であり、装置の小型化を実現できる。
さらに、実施の形態1の液体処理部102によれば、絶縁体114の開口部118に到達する気体部分に印加する電界強度を開口部118の直径によって制御することができるので、第1の金属電極113の幾何学的な寸法は、プラズマ121の生成効率に関与しないという大きなメリットがある。したがって、第1の金属電極113の直径を大きくすることができるため、第1の金属電極113の耐久性を向上させることができる。
[効果(分解速度)]
実施の形態1における液体処理部102の効果(分解速度)について説明する。実施の形態1に係る液体処理装置100の分解速度を測定するため、被処理液体として、濃度10mg/Lのインディゴカーミン(メチレンブルー)水溶液を用いた。
実施の形態1における液体処理部102では、液体119中にプラズマ121を内包した気泡122を拡散することによってOHラジカルが生成される。OHラジカルは、インディゴカーミンに作用し、分子内の結合を切ることによって、インディゴカーミン分子を分解する。OHラジカルの酸化ポテンシャルは、一般的に知られているように、2.81eVであり、オゾン、過酸化水素及び塩素の酸化ポテンシャルよりも大きい。よって、OHラジカルは、インディゴカーミンに限らず、多くの有機物を分解することができる。
インディゴカーミン分子の分解速度は、水溶液中の吸光度によって評価することができる。インディゴカーミン分子が分解されると、インディゴカーミン水溶液の青色が消色し、完全に分解されると透明になることが一般的に知られている。これは、インディゴカーミン分子中に存在する炭素の二重結合(C=C)による吸収波長が608.2nmであり、インディゴカーミン分子が分解することによってC=Cの結合が開裂し、608.2nmの光の吸収がなくなるためである。よって、インディゴカーミン分子の分解速度は、紫外可視光分光光度計を用いて608.2nmの波長の光の吸光度を測定することにより行った。なお、測定は、実施例として実施の形態1に係る歯ブラシ装置100の液体処理部102と、比較例として図10に示す従来の殺菌装置を用いて行った。
実施例について説明する。実施例は、実施の形態1における液体処理部102で液体処理を行っている。なお、第1の金属電極113は、直径2mmの円柱形状である。絶縁体114は、内径3mmで外径5mmの円筒形状である。絶縁体114に設けられた開口部118は、直径0.7mmである。電源109は、ピーク電圧5kV、パルス幅1μs、周波数30kHzのパルス電圧を印加する。液体槽116の容積は、600ミリリットルである。なお、上記の電源109の条件は、比較例との差異を明確にするために設定されたものである。本開示の歯ブラシ装置100に実際に設定される条件は、これに限定されない。
図4は、実施例と比較例における処理時間に対するインディゴカーミン水溶液の分解濃度を比較した図である。図4に示す黒丸は実施例であり、白丸は比較例である。図4に示すように、実施例によれば、約10mg/Lのインディゴカーミンが完全に分解されるまでの時間は、約32分程度である。一方、比較例によれば、約10mg/Lのインディゴカーミンが完全に分解されるまでの時間は、約401分程度である。したがって、本開示の実施の形態1の液体処理部102では、従来の液体処理装置と比べて、10倍以上速い分解速度を有している。このことから、実施の形態1に係る歯ブラシ装置100によれば、液体処理部102で効率よくプラズマ121を発生させることができ、液体119の処理時間を大幅に短縮することが可能である。
[効果(開口部の直径)]
本開示の実施の形態1における絶縁体114の開口部118の直径とインディゴカーミン水溶液の分解速度との関係について説明する。
図5は、本開示の実施の形態1における絶縁体114の開口部118に対する分解速度を示す。分解速度の測定は、前述したインディゴカーミン水溶液を用いて行った。図5に示す黒菱形は、絶縁体114の開口部118の直径に対する分解速度の測定結果を示す。図5に示すように、開口部118の直径が0.3〜2mmの範囲では、インディゴカーミン水溶液の分解速度が速くなり、0.5mm〜0.7mmの範囲で分解速度が最大となる領域を有する。これは、開口部118の直径の2乗に反比例して電界強度が大きくなることから、開口部118の直径が小さくなるほど、電界強度が大きくなるためである。即ち、開口部118の直径を小さくするほど、放電しやすくなり、効率良くプラズマ121を発生させることができる。その結果、インディゴカーミンの分解速度が速くなる。一方、分解速度の最大値(0.5mm〜0.7mmの範囲)を境にさらに開口部118の直径を小さくすると、分解速度が遅くなる。これは、プラズマ体積が分解速度を決定する因子となるからである。つまり、開口部118の直径が小さくなると液体槽116内に張り出したプラズマ121の体積が小さくなり、プラズマ121中で生成されるラジカルの数密度が小さくなる。そのため、インディゴカーミンの分解速度が遅くなると考えられる。プラズマ121の体積は、開口部118の直径の3乗に比例する。即ち、開口部118の直径が小さくなると、プラズマ121の体積も小さくなるので、最大値を境に急峻にインディゴカーミンの分解速度が遅くなる様相を呈する。
したがって、絶縁体114の開口部118の直径は、0.3〜2mmの範囲であるのが好ましく、より好ましくは0.5mm〜0.7mmの範囲である。本開示の実施の形態1に係る液体処理部102において、開口部118の直径が上記範囲内であれば、効率良くプラズマ121を発生させることができる。
[効果(OHラジカル発生)]
実施の形態1の液体処理部102の効果(OHラジカル発生)について説明する。
OHラジカルの寿命は、一般的に数μs〜数msと言われている。このことから、OHラジカルを生成しても、すぐに消滅してしまい、OHラジカルを測定することは、通常困難である。
実施の形態1の液体処理部102では、OHラジカルをESR(Electron Spin Resonance)法を用いて測定している。OHラジカルをESR法によって測定する場合に、OHラジカルをDMPOと呼ばれるスピントラップ剤に結合させて測定する方法がある。この方法によれば、OHラジカルを定量的に測定することができる。
DMPOを添加する測定方法には、2つの方法がある。一つは、被処理水中にDMPOを予め添加しておき、OHラジカルが生成すると直ちにDMPOがOHを捕らえるようにして、OHラジカルの信号を測定する方法である。この方法は、DMPOが被処理水中に予め含まれているので、ある一定量OHラジカルが生成されると、OHラジカルの寿命が短くても、OHラジカルを測定できる大きな利点がある。しかし、実施の形態1のような場合、DMPO自体がプラズマで分解されるため正確なOHラジカル量を測定することができないことと、液体の量を増やすとそれに応じてDMPOの添加量も増やさなければならないという欠点がある。
もう一つは、液体処理装置によって被処理水を一定時間処理した後に、プラズマの発生を停止する。プラズマを停止した時間を原点として、一定時間毎に一定量の被処理水を取り出して、DMPOを添加した後に測定する方法である。この方法では、OHラジカルの寿命が短い場合には、特別なサンプリング装置を用意しない限り、OHラジカルが測定できないという致命的な欠点がある。ただし、DMPO自体の分解や添加量の問題については、懸念する必要がないことが利点である。
今回の測定では、上記したうち、後者の方法で、OHラジカルの測定を行った。
図6は、本開示の実施の形態1の液体処理部102で処理した液体119中のOHラジカルの測定結果を示す図である。図6に示すように、プラズマ121を停止(0min)してもOHが発生しており、10min程度経過すれば、最大のOHラジカル濃度に達する。その後、OHラジカルは、発生と消滅を繰り返しながら、少なくとも300min程度まで液体119中にOHラジカルが存在することを確認した。図中の実線は、レート方程式でフィッティングしたものである。下記に、レート方程式を示す。
Figure 2015080489
Figure 2015080489
ここで、NOHはOHラジカル濃度(μM)、Gは1minあたりに生成されるOHラジカルの量(μM/min)、τはOHラジカル単体の寿命(min)である。なお、Gは、0.2μM/minである。
上記式から、OHラジカルの単体の寿命τは、約5minであることが計算できる。
前述したように、OHラジカルの寿命は一般的に短い(数μs〜数ms)が、実施の形態1の液体処理部102によれば、従来の液体処理装置では成し得なかったOHラジカルの長寿命化を実現することができる。その結果、インディゴカーミン水溶液の分解速度を飛躍的に向上させることができる。
このように、実施の形態1の液体処理部102で処理した液体(以下、プラズマ処理水)は、液体に通電(放電)することによって生成した液体中のOHラジカルが通電停止後も存在し続けることができる。
次に、プラズマ121(放電)停止後における図6のA〜Cの時点における具体的なDMPO−OHの信号について図7〜9を用いて説明する。図7は、図6のAの時点における液体119中のDMPO−OHの信号を示す。図8は、図6のBの時点における液体119中のDMPO−OHの信号を示す。図9は、図6のCの時点における液体119中のDMPO−OHの信号を示す。なお、Aは放電停止直後、Bは放電停止から120min後、Cは放電停止から310min後である。図7〜9に示すように、A〜Cのすべての時点において、超微細構造によって別れた***幅を示す超微細結合定数a(N)とa(H)が共に1.49mTで1:2:2:1の4本のESRスペクトルが観測されている。超微細結合定数とは、ESR法で測定できるパラメータの1つであり、測定されたESRスペクトルと超微細結合定数からラジカルの存在を知ることができる。即ち、観測されたESRスペクトルから、DMPOとOHラジカルがスピントラップ反応をして生成される物質であるDMPO−OHアダクトの存在を知ることができる。
図7に示すように、放電停止直後からDMPO−OHアダクトが観測されている。また、図8に示すように、放電停止後120minでは、放電停止直後よりもDMPO−OHアダクトの信号強度が大きくなっている。さらに、図9に示すように、放電停止後310minにおいても、DMPO−OHアダクトの信号を確認できる。このように、実施の形態1の液体処理部102では、長時間にわたってDMPO−OHアダクトの信号を確認できている。即ち、液体119中に長寿命のOHラジカルが生成されていることがわかる。
したがって、実施の形態1の液体処理部102によれば、液体119中に長寿命のOHラジカルを生成することができるため、従来の液体処理装置に比べて、短時間で液体119の処理をすることができる。
本開示の実施の形態1に係る歯ブラシ装置100は、効率良くプラズマ121を生成することができるとともに、長寿命のOHラジカルを生成できる液体処理部102を備えている。液体処理部102は、液体119を気化して気体を生成し、その気体内にプラズマ121を発生させることにより、より純粋なOHラジカルを生成することができる。したがって、実施の形態1に係る歯ブラシ装置100は、短時間で液体119の処理をすることができる。また、OHラジカルの寿命および存在時間が長いために、通電(放電)停止後、長時間にわたり液体を処理する能力を有する活性なプラズマ処理水を得ることができる。
このように、実施の形態1に係る歯ブラシ装置100は、歯を磨くのに必要なプラズマ処理水を短時間で得ることができるため、ユーザにとって使い勝手がよいというメリットがある。
また、実施の形態1の液体処理部102で液体処理されることによって得られる液体(プラズマ処理水)には、通電後も比較的長い時間OHラジカルが存在する。そのため、ユーザがこのプラズマ処理水で歯をブラッシングすると、プラズマ処理水中のOHラジカルが口内の健康を害する細菌を除菌することができる。
虫歯菌によって歯(エナメル質や象牙質など)に穴があいた状態で食べ物のカスがつまると、細菌が繁殖して細菌の集合体である歯垢となって臭いを発し、それが口臭となる。また、歯周ポケットに歯垢がたまると、細菌によって歯肉が炎症を起こしやすくなり(歯肉炎の状態)、細菌の増殖でガスが発生し、それも口臭の原因となる。
実施の形態1に係る歯ブラシ装置100によれば、これらの口臭の原因となる細菌や歯垢を除去することにより、口臭予防の効果を有する可能性がある。
また、実施の形態1に係る歯ブラシ装置100によれば、プラズマ処理水で歯をブラッシングすることで、歯に付着した歯垢の主成分である有機物と細菌を分解し、歯垢を容易に除去できる可能性がある。このように、歯に付着した歯垢を除去することで、歯垢が歯表面から剥離しやすくなり、歯の本来の色を再生することや、虫歯を抑制する効果を有する可能性がある。さらに、プラズマ処理水は、インディゴカーミンを脱色する優れた脱色能力で、歯の表面の着色を除去するホワイトニングの効果を実現する可能性もある。
さらに、実施の形態1に係る歯ブラシ装置100によれば、プラズマ処理水で歯をブラッシングすることで、虫歯を引き起こす虫歯菌、又は歯周病を引き起こす歯周病菌などを除菌し、虫歯又は歯周病を防止する効果を有する可能性がある。特に歯周病菌については、プラズマ処理水で歯周ポケット内をブラッシングすることにより、プラズマ処理水と歯周病菌との接触確率が著しく高くなり、プラズマ処理水の殺菌力により、歯周病を効果的に防止する可能性がある。
なお、実施の形態1に係る歯ブラシ装置100は、任意の実施の形態で実施し得るものである。
本開示は、プラズマにより処理した液体で歯をブラッシングすることが可能な歯ブラシ装置を提供する。
100 液体処理装置
101 ヘッド部
102 液体処理部
103 流路管
104 ポンプ
105 アクチュエータ
106 制御部
107 第1の入力部
108 第2の入力部
109 電源
110 注入口
111 ブラシ
112 ヘッド本体
113 第1の金属電極
114 絶縁体
115 第2の金属電極
116 液体槽
117 空間
118 開口部
119 液体
120 保持ブロック
121 プラズマ
122 気泡

Claims (5)

  1. ブラシを備えるヘッド部と、
    液体を処理する液体処理部であって、
    前記液体を入れる液体槽と、
    前記液体槽内に少なくとも一部が配置された第1の金属電極と、
    前記液体槽内に少なくとも一部が配置された第2の金属電極と、
    前記第1の金属電極の周囲に空間を形成するように配置された絶縁体であって、前記液体槽内部と前記空間を連通するように設けられた開口部を有する絶縁体と、
    前記第1の金属電極と前記第2の金属電極との間に電圧を印加する電源と、
    を備える、液体処理部と、
    前記液体処理部の前記液体槽と前記ヘッド部の前記ブラシとを接続する流路管と、
    を備える、歯ブラシ装置。
  2. 前記液体処理部は、前記電源によって前記第1の金属電極と前記第2の金属電極との間に電圧を印加して、前記第1の金属電極と前記絶縁体との間に形成される前記空間内の液体を気化して気体を発生させ、前記気体が前記開口部から前記液体槽内の前記液体中に放出されるときに放電することにより、プラズマを発生させて、前記液体を処理する、請求項1に記載の歯ブラシ装置。
  3. 前記液体処理部の前記電源の動作を制御する制御部と、
    ユーザからの動作指令を入力する第1の入力部と、
    をさらに備え、
    前記第1の入力部は、入力されたユーザからの前記動作指令を前記制御部に送り、
    前記制御部は、前記第1の入力部からの前記動作指令を受け、前記電源によって前記第1の金属電極と前記第2の金属電極との間に電圧を印加する、請求項1または2に記載の歯ブラシ装置。
  4. 当該歯ブラシ装置を使用する前のユーザの準備動作によって、液体の処理を開始する指令を入力する第2の入力部をさらに備え、
    前記第2の入力部は、入力された前記指令を前記制御部に送り、
    前記制御部は、前記第2の入力部からの前記指令を受け、前記電源によって前記第1の金属電極と前記第2の金属電極との間に電圧を印加する、請求項3に記載の歯ブラシ装置。
  5. 前記液体処理部の前記液体槽内の液体を、前記流路管を介して前記ヘッド部の前記ブラシへ供給するポンプと、
    前記ヘッド部を運動させるアクチュエータと、
    をさらに備え、
    前記第1の入力部は、入力されたユーザからの動作指令を前記制御部に送り、
    前記制御部は、前記第1の入力部からの前記動作指令を受け、前記ポンプおよび/または前記アクチュエータへの電力の供給を開始する、請求項3または4に記載の歯ブラシ装置。
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