JP2015076246A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池内のアノードガス流路における排水性を確保する。【解決手段】アノードガス及びカソードガスを燃料電池に供給して発電させる燃料電池システムであって、燃料電池のアノード側の排水要求に応じて設定された脈動幅と昇圧変化率で、燃料電池に供給するアノードガスの圧力を脈動させる脈動運転手段と、燃料電池システムの運転状態に応じて、脈動幅を小さく制限する制限手段と、制限手段によって脈動幅が小さく制限されたときは、昇圧変化率を増大補正する補正手段と、を備えることを特徴とする。【選択図】図6
Description
本発明は燃料電池システムに関する。
従来の燃料電池システムとして、アノードガスの圧力を脈動させる脈動運転を実施するものがある(特許文献1参照)。
脈動運転を実施する燃料電池システムにおいて、燃料電池内のアノードガス流路における排水性を確保するには、脈動運転時の脈動幅と、脈動運転時にアノードガスの圧力を昇圧させるときの昇圧変化率とを、適切に設定する必要がある。
そこで、現在開発中の燃料電池システムでは、脈動幅を、基本的に燃料電池の要求発電量に応じて設定していた。また、昇圧変化率を、この燃料電池の要求発電量に応じて設定された脈動幅でアノードガスを昇圧させたときに、生成水を排出するために必要なガス流速を確保できる変化率に設定していた。
しかしながら、燃料電池システムの運転状態によっては、脈動幅が制限されて、燃料電池の要求発電量に応じて設定された脈動幅より狭くしなければならないことがある。
そうすると、脈動幅が制限されたにもかかわらず、燃料電池の要求発電量に応じて設定された脈動幅に応じた昇圧変化率でアノードガスを昇圧させていたのでは、十分な排水性を確保できなくなるおそれがある。
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、燃料電池システムの運転状態に応じて脈動幅が制限された場合であっても、燃料電池内のアノード側における排水性を確保することができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明のある態様によれば、燃料電池のアノード側の排水要求に応じて設定された脈動幅と昇圧変化率で、燃料電池に供給するアノードガスの圧力を脈動させる脈動運転手段と、燃料電池システムの運転状態に応じて、脈動幅を小さく制限する制限手段と、制限手段によって脈動幅が小さく制限されたときは、昇圧変化率を増大補正する補正手段と、を備える燃料電池システムが提供される。
この態様によれば、燃料電池のアノード側の排水要求に応じて設定された脈動幅が、燃料電池システムの運転状態に応じて小さく制限されたときは、昇圧変化率が増大補正されるので、制限された脈動幅に応じた適切な昇圧変化率でアノードガスの圧力を昇圧させることができる。したがって、燃料電池内のアノード側における排水性を確保することができる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
燃料電池は電解質膜をアノード電極(燃料極)とカソード電極(酸化剤極)とによって挟み、アノード電極に水素を含有するアノードガス(燃料ガス)、カソード電極に酸素を含有するカソードガス(酸化剤ガス)を供給することによって発電する。アノード電極及びカソード電極の両電極において進行する電極反応は以下の通りである。
アノード電極 : 2H2 →4H+ +4e- …(1)
カソード電極 : 4H+ +4e- +O2 →2H2O …(2)
カソード電極 : 4H+ +4e- +O2 →2H2O …(2)
この(1)(2)の電極反応によって燃料電池は1ボルト程度の起電力を生じる。
図1及び図2は、本発明の一実施形態による燃料電池10の構成について説明する図である。図1は、燃料電池10の概略斜視図である。図2は、図1の燃料電池10のII−II断面図である。
燃料電池10は、MEA11の表裏両面に、アノードセパレータ12とカソードセパレータ13とが配置されて構成される。
MEA11は、電解質膜111と、アノード電極112と、カソード電極113と、を備える。MEA11は、電解質膜111の一方の面にアノード電極112を有し、他方の面にカソード電極113を有する。
電解質膜111は、フッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜である。電解質膜111は、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。
アノード電極112は、触媒層112aとガス拡散層112bとを備える。触媒層112aは、電解質膜111と接する。触媒層112aは、白金又は白金等が担持されたカーボンブラック粒子から形成される。ガス拡散層112bは、触媒層112aの外側(電解質膜111の反対側)に設けられ、アノードセパレータ12と接する。ガス拡散層112bは、充分なガス拡散性および導電性を有する部材によって形成され、例えば、炭素繊維からなる糸で織成したカーボンクロスで形成される。
カソード電極113もアノード電極112と同様に、触媒層113aとガス拡散層113bとを備える。
アノードセパレータ12は、ガス拡散層112bと接する。アノードセパレータ12は、アノード電極112にアノードガスを供給するための複数の溝状のアノードガス流路121を有する。
カソードセパレータ13は、ガス拡散層113bと接する。カソードセパレータ13は、カソード電極113にカソードガスを供給するための複数の溝状のカソードガス流路131を有する。
アノードガス流路121を流れるアノードガスと、カソードガス流路131を流れるカソードガスとは、互いに平行に逆方向に流れる。互いに平行に同一方向に流れるようにしても良い。
このような燃料電池を自動車用動力源として使用する場合には、要求される電力が大きいため、数百枚の燃料電池を積層した燃料電池スタック1として使用する。そして、燃料電池スタック1にアノードガス及びカソードガスを供給する燃料電池システム100を構成して、車両駆動用の電力を取り出す。
図3は、本発明の第1実施形態による燃料電池システム100の概略図である。
燃料電池システム100は、燃料電池スタック1と、カソードガス給排装置2と、アノードガス給排装置3と、スタック冷却装置4と、電力系5と、コントローラ6と、を備える。
燃料電池スタック1は、複数枚の燃料電池10を積層したものであり、アノードガス及びカソードガスの供給を受けて、車両の駆動に必要な電力を発電する。燃料電池スタック1は、電力を取り出す端子として、アノード電極側出力端子1aと、カソード電極側出力端子1bと、を備える。
カソードガス給排装置2は、カソードガス供給通路21と、カソードガス排出通路22と、フィルタ23と、エアフローセンサ24と、カソードコンプレッサ25と、カソード圧力センサ26と、水分回収装置(Water Recovery Device;以下「WRD」という。)27と、カソード調圧弁28と、を備える。カソードガス給排装置2は、燃料電池スタック1にカソードガスを供給するとともに、燃料電池スタック1から排出されるカソードオフガスを外気に排出する。
カソードガス供給通路21は、燃料電池スタック1に供給するカソードガスが流れる通路である。カソードガス供給通路21は、一端がフィルタ23に接続され、他端が燃料電池スタック1のカソードガス入口孔に接続される。
カソードガス排出通路22は、燃料電池スタック1から排出されるカソードオフガスが流れる通路である。カソードガス排出通路22は、一端が燃料電池スタック1のカソードガス出口孔に接続され、他端が開口端となっている。カソードオフガスは、カソードガスと、電極反応によって生じた水蒸気と、の混合ガスである。
フィルタ23は、カソードガス供給通路21に取り込むカソードガス中の異物を取り除く。
エアフローセンサ24は、カソードコンプレッサ25よりも上流のカソードガス供給通路21に設けられる。エアフローセンサ24は、カソードコンプレッサ25に供給されて、最終的に燃料電池スタック1に供給されるカソードガスの流量を検出する。
カソードコンプレッサ25は、カソードガス供給通路21に設けられる。カソードコンプレッサ25は、フィルタ23を介してカソードガスとしての空気(外気)をカソードガス供給通路21に取り込み、燃料電池スタック1に供給する。
カソード圧力センサ26は、カソードコンプレッサ25とWRD27との間のカソードガス供給通路21に設けられる。カソード圧力センサ26は、WRD27のカソードガス入口部近傍のカソードガスの圧力を検出する。以下では、このカソード圧力センサ26の検出値を検出カソード圧という。
WRD27は、カソードガス供給通路21及びカソードガス排出通路22のそれぞれに接続されて、カソードガス排出通路22を流れるカソードオフガス中の水分を回収し、その回収した水分でカソードガス供給通路21を流れるカソードガスを加湿する。
カソード調圧弁28は、WRD27よりも下流のカソードガス排出通路22に設けられる。カソード調圧弁28は、コントローラ6によって開閉制御されて、燃料電池スタック1に供給されるカソードガスの圧力を所望の圧力に調節する。なお、カソード調圧弁28を設けずに、オリフィス等の絞りを設けるようにしても良い。
アノードガス給排装置3は、燃料電池スタック1にアノードガスを供給するとともに、燃料電池スタック1から排出されるアノードオフガスを、カソードガス排出通路22に排出する。アノードガス給排装置3は、高圧タンク31と、アノードガス供給通路32と、アノード調圧弁33と、アノード圧力センサ34と、アノードガス排出通路35と、バッファタンク36と、パージ通路37と、パージ弁38と、を備える。
高圧タンク31は、燃料電池スタック1に供給するアノードガスを高圧状態に保って貯蔵する。
アノードガス供給通路32は、高圧タンク31から排出されるアノードガスを燃料電池スタック1に供給するための通路である。アノードガス供給通路32は、一端が高圧タンク31に接続され、他端が燃料電池スタック1のアノードガス入口孔に接続される。
アノード調圧弁33は、アノードガス供給通路32に設けられる。アノード調圧弁33は、コントローラ6によって開閉制御されて、燃料電池スタック1に供給されるアノードガスの圧力を所望の圧力に調節する。
アノード圧力センサ34は、アノード調圧弁33よりも下流のアノードガス供給通路32に設けられ、燃料電池スタック1に供給されるアノードガスの圧力(以下「アノード圧力」という。)を検出する。以下では、このアノード圧力センサ34の検出値を「検出アノード圧力」という。
アノードガス排出通路35は、一端が燃料電池スタック1のアノードガス出口孔に接続され、他端がバッファタンク36に接続される。アノードガス排出通路35には、電極反応で使用されなかった余剰のアノードガスと、カソード電極側からアノード電極側へと透過してきた窒素や水分(生成水や水蒸気)などを含む不活性ガスと、の混合ガス(以下「アノードオフガス」という。)が排出される。
バッファタンク36は、アノードガス排出通路35を流れてきたアノードオフガスを一旦蓄える。バッファタンク36に溜められたアノードオフガスは、パージ弁38が開かれているときに、パージ通路37を通ってカソードガス排出通路22に排出される。
パージ通路37は、一端が第1アノードガス排出通路35に接続され、他端がカソードガス排出通路22に接続される。
パージ弁38は、パージ通路37に設けられる。パージ弁38は、コントローラ6によって開閉制御され、アノードガス排出通路35からカソードガス排出通路22に排出するアノードオフガスの流量を制御する。
アノードガス排出通路35を介してカソードガス排出通路22に排出されたアノードオフガスは、カソードガス排出通路22内でカソードオフガスと混合されて燃料電池システム100の外部に排出される。アノードオフガスには、電極反応に使用されなかった余剰の水素が含まれているので、カソードオフガスと混合させて燃料電池システム100の外部に排出することで、その排出ガス中の水素濃度が予め定められた所定濃度以下となるようにしている。
スタック冷却装置4は、燃料電池スタック1を冷却し、燃料電池スタック1を発電に適した温度に保つ装置である。スタック冷却装置4は、冷却水循環通路41と、ラジエータ42と、バイパス通路43と、三方弁44と、循環ポンプ45と、PTCヒータ46と、入口水温センサ47と、出口水温センサ48と、を備える。
冷却水循環通路41は、燃料電池スタック1を冷却するための冷却水が循環する通路であって、一端が燃料電池スタック1の冷却水入口孔に接続され、他端が燃料電池スタック1の冷却水出口孔に接続される。
ラジエータ42は、冷却水循環通路41に設けられる。ラジエータ42は、燃料電池スタック1から排出された冷却水を冷却する。
バイパス通路43は、ラジエータ42をバイパスさせて冷却水を循環させることができるように、一端が冷却水循環通路41に接続され、他端が三方弁44に接続される。
三方弁44は、ラジエータ42よりも下流側の冷却水循環通路41に設けられる。三方弁44は、冷却水の温度に応じて冷却水の循環経路を切り替える。具体的には、冷却水の温度が所定温度よりも高いときは、燃料電池スタック1から排出された冷却水が、ラジエータ42を介して再び燃料電池スタック1に供給されるように冷却水の循環経路を切り替える。逆に、冷却水の温度が所定温度よりも低いときは、燃料電池スタック1から排出された冷却水から排出された冷却水が、ラジエータ42を介さずにバイパス通路43を流れて再び燃料電池スタック1に供給されるように冷却水の循環経路を切り替える。
循環ポンプ45は、三方弁44よりも下流側の冷却水循環通路41に設けられて、冷却水を循環させる。
PTCヒータ46は、バイパス通路43に設けられる。PTCヒータ46は、燃料電池スタック1の暖機時に通電されて、冷却水の温度を上昇させる。
入口水温センサ47は、燃料電池スタック1の冷却水入口孔近傍の冷却水循環通路に設けられる。入口水温センサ47は、燃料電池スタック1に流入する冷却水の温度(以下「入口水温」という。)を検出する。
出口水温センサ48は、燃料電池スタック1の冷却水出口孔近傍の冷却水循環通路に設けられる。出口水温センサ48は、燃料電池スタック1から排出された冷却水の温度(以下「出口水温」という。)を検出する。
電力系5は、電流センサ51と、電圧センサ52と、走行モータ53と、インバータ54と、バッテリ55と、DC/DCコンバータ56と、を備える。
電流センサ51は、燃料電池スタック1から取り出される電流(以下「出力電流」という。)を検出する。
電圧センサ52は、アノード電極側出力端子1aとカソード電極側出力端子1bの間の端子間電圧(以下「出力電圧」という。)を検出する。また、燃料電池スタック1を構成する燃料電池10の1枚ごとの電圧を検出できるようにすると尚良い。さらに、複数枚おきに電圧を検出できるようにしても良い。
走行モータ53は、ロータに永久磁石を埋設し、ステータにステータコイルを巻き付けた三相交流同期モータである。走行モータ53は、燃料電池スタック1及びバッテリ55から電力の供給を受けて回転駆動する電動機としての機能と、ロータが外力によって回転させられる車両の減速時にステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機としての機能と、を有する。
インバータ54は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの複数の半導体スイッチから構成される。インバータ54の半導体スイッチは、コントローラ6によって開閉制御され、これにより直流電力が交流電力に、又は、交流電力が直流電力に変換される。インバータ54は、走行モータ53を電動機として機能させるときは、燃料電池スタック1の発電電力とバッテリ55の出力電力との合成直流電力を三相交流電力に変換して走行モータ53に供給する。一方で、走行モータ53を発電機として機能させるときは、走行モータ53の回生電力(三相交流電力)を直流電力に変換してバッテリ55に供給する。
バッテリ55は、燃料電池スタック1の発電電力(出力電流×出力電圧)の余剰分及び走行モータ53の回生電力を充電する。バッテリ55に充電された電力は、必要に応じてカソードコンプレッサ25などの補機類及び走行モータ53に供給される。
DC/DCコンバータ56は、燃料電池スタック1の出力電圧を昇降圧させる双方向性の電圧変換機である。DC/DCコンバータ56によって燃料電池スタック1の出力電圧を制御することで、燃料電池スタック1の出力電流、ひいては発電電力が制御される。
コントローラ6は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。
コントローラ6には、前述したエアフローセンサ24等の他にも、アクセルペダルの踏み込み量(以下「アクセル操作量」という。)を検出するアクセルストロークセンサ61や、外気温を検出する外気温センサ62などの燃料電池システム100の運転状態を検出するための各種センサからの信号が入力される。
コントローラ6は、燃料電池システム100の運転状態に基づいて、燃料電池スタック1の目標出力電流を算出する。具体的には、走行モータ53の要求電力やカソードコンプレッサ25等の補機類の要求電力、バッテリ55の充放電要求に基づいて、燃料電池スタック1の目標出力電流を算出する。
そしてコントローラ6は、燃料電池スタック1の出力電流が目標出力電流となるように、DC/DCコンバータ56によって燃料電池スタック1の出力電圧を制御し、走行モータ53や補機類に必要な電力を供給する。またコントローラ6は、目標出力電流に応じて燃料電池スタック1に供給するカソードガスの流量及び圧力を制御する。具体的には、目標出力電流が高くなるほど、燃料電池スタック1に供給するカソードガスの流量及び圧力を大きくする。
また、コントローラ6は、燃料電池システムの100の起動時の外気温と、起動からの燃料電池システムの運転状態(例えば出口水温等)と、に基づいて、バッファタンク36内の温度(以下「バッファタンク温度」という。)を推定することで検出する。なお、バッファタンク36に直接温度センサを設けてバッファタンク温度を検出しても良い。
また、コントローラ6は、電解質膜111の湿潤度(含水率)が発電に適した湿潤度になるように、カソードコンプレッサ25や循環ポンプ45などを制御する。具体的には、電解質膜111の湿潤度と相関関係にある燃料電池スタック1の内部インピーダンス(HFR;High Frequency Resistance)を、例えば交流インピーダンス法等によって算出し、HFRが目標値となるように、カソードコンプレッサ25や循環ポンプ45などを制御する。
また、コントローラ6は、燃料電池システム100の運転状態に基づいて、アノード圧力を周期的に昇降圧させる脈動運転を行う。脈動運転では、基本的に燃料電池スタック1の目標出力電流に応じて設定される脈動上限圧力及び脈動下限圧力の範囲内でアノード圧力を周期的に昇降圧させて、アノード圧力を脈動させる。このような脈動運転を行うことで、アノード圧力の昇圧時にアノードガス流路121の液水をアノードガス排出通路35へ排出し、アノードガス流路121における排水性を確保している。
ここで、脈動運転によって排水性を確保するためには、脈動運転時の脈動幅とアノード圧力の昇圧変化率(昇圧速度)とを適切に設定する必要がある。
アノードガス流路121内の液水量は、燃料電池スタック1の目標出力電流が高くなるほど多くなる傾向にある。そのため、基本的に燃料電池スタック1の目標出力電流が高くなるほど脈動幅が大きくなるように設定していた。そして、アノード圧力の昇圧変化率を、目標出力電流に応じて設定した脈動幅でアノード圧力を昇圧させたときに、アノードガス流路121の液水を排出するために必要なガス流速を確保できる変化率に設定していた。
しかしながら、燃料電池システム100の運転状態によっては、種々の制限によって、目標出力電流に応じて設定される脈動上限圧力や脈動下限圧力までアノード圧力を上げることや下げることができない場合がある。つまり、目標出力電流に応じて設定される脈動幅よりも、実際の脈動幅が小さく制限される場合がある。
脈動幅が小さく制限されたにもかかわらず、アノード圧力の昇圧変化率を、目標出力電流に応じて設定した脈動幅で排水性を確保できる昇圧変化率のままに設定していては、排水性を確保できなくなるおそれがある。
そこで本実施形態では、脈動幅が、目標出力電流に応じて設定される脈動幅よりも小さく制限されたときは、昇圧変化率を増大する方向に補正してアノード圧力の昇圧速度を速めることとした。これにより、脈動幅が小さく制限された場合であっても、アノードガス流路121の排水性を確保することした。
図4は、本実施形態によるアノード圧力制御部7の詳細構成を示すブロック図である。
アノード圧力制御部7は、脈動下限圧力演算部71と、脈動上限圧力演算部72と、昇圧変化率演算部73と、脈動制御部74と、を備える。
脈動下限圧力演算部71には、検出カソード圧力、大気圧、HFR、入口水温及び出口水温が入力される。脈動下限圧力演算部71は、これらの入力値に基づいて、脈動運転時における下限側のアノード圧力の目標値(以下「脈動下限圧力」という。)を算出する。以下、脈動下限圧力演算部71について詳しく説明する。
脈動下限圧力演算部71は、水素分圧下限値演算部711と、脈動下限圧力設定部712と、を備える。
水素分圧下限値演算部711は、アノードガス流路121内の水素分圧を確保するために必要なアノード圧力の下限値(以下「水素分圧下限値」という。)を演算する。
アノードガス流路121には、MEA11を介してカソードガス流路131から窒素や水分(液水や水蒸気)等の不純物が透過してくる。この不純物の透過量は、燃料電池スタック1の温度が高くなるほど多くなる。また、燃料電池スタック1の温度が高くなるほど飽和水蒸気量も多くなる。そのため、燃料電池スタック1の温度が高くなるほど、アノードガス流路121内における不純物ガスの分圧が相対的に高くなり、水素分圧が相対的に低くなってしまう。水素分圧が低くなりすぎると、アノード電極112の発電領域における水素濃度が低下してしまう。この状態で発電が継続されると、燃料電池10が劣化するおそれがある。
そこで本実施形態では、アノードガス流路121内の水素分圧を確保するために必要なアノード圧力の下限値として、水素分圧下限値を演算し、水素分圧下限値よりもアノード圧力が低下しないようにしている。
図5は、水素分圧下限値演算部711の詳細構成を示すブロック図である。
水素分圧下限値演算部711は、基本下限値演算部7111と、補正係数演算部7112と、水素分圧下限値算出部7113と、を備える。
基本下限値演算部7111には、入口水温と出口水温とが入力される。基本下限値演算部7111は、図5に示したマップを参照し、入口水温と出口水温とに基づいて、基本下限値を演算する。図5のマップ示すように、基本下限値は、入口水温が高くなるほど、また出口水温が高くなるほど大きくなる。つまり、基本下限値は、燃料電池スタック1の温度が高くなるほど大きくなる。これは前述した通り、燃料電池スタック1の温度が高くなるほど、アノードガス流路121内の水素分圧が相対的に低下するためである。
補正係数演算部7112には、HFRが入力される。補正係数演算部7112は、図5のテーブルを参照し、HFRに基づいて、補正係数を演算する。図5のテーブルに示すように、補正係数は、HFRが小さいときのほうが大きくなる。これは、HFRが小さいときほど、電解質膜111の含水率が高く、アノードガス121流路内の水分量が多いと考えられるからである。
水素分圧下限値算出部7113は、基本下限値に補正係数を掛けたゲージ水素分圧下限値に、大気圧を足して絶対圧に変換したものを、水素分圧下限値として算出する。
再び図4に戻って脈動下限圧力演算部71の脈動下限圧力設定部712について説明する。
脈動下限圧力設定部712には、検出カソード圧力と、水素分圧下限値と、が入力される。脈動下限圧力設定部712は、これら2つの入力値のうち、大きい方を脈動下限圧力として設定する。脈動下限圧力設定部712は、通常は検出カソード圧力を脈動下限圧力として設定する。そして、燃料電池システム100の運転状態に応じて水素分圧下限値が増加し、検出カソード圧力よりも大きくなったときは、水素分圧下限値を脈動下限圧力として設定し、水素分圧を確保する。
脈動上限圧力演算部72には、大気圧と、検出カソード圧力と、目標出力電流と、HFRと、が入力される。脈動上限圧力演算部72は、これらの入力値に基づいて、脈動運転時における上限側のアノード圧力の目標値(以下「脈動上限圧力」という。)を演算する。以下、脈動上限圧力演算部72について詳しく説明する。
脈動上限圧力演算部72は、システム上限値算出部721と、膜保護上限値算出部722と、脈動幅演算部723と、基本脈動上限圧力演算部724と、脈動上限圧力設定部725と、を備える。
システム上限値算出部721には、大気圧が入力される。システム上限値算出部721は、大気圧に所定のシステム耐圧を足したものを、燃料電池システム100の耐久性を確保するために必要なアノード圧力の上限値(以下「システム上限値」という。)として算出する。システム耐圧は、燃料電池スタック1やアノードガス供給通路32等の耐圧性能に応じて定まる所定値である。つまりシステム上限値は、燃料電池スタック1やアノードガス供給通路32等に耐圧性能を超える圧力がかからないようにするための、アノード圧力の上限側の制限値である。
膜保護上限値算出部722には、検出カソード圧力が入力される。膜保護上限値算出部722は、検出カソード圧力に所定の許容膜間差圧を足したものを、電解質膜111の耐久性を確保するために必要なアノード圧力の上限値(以下「膜保護上限値」という。)として算出する。膜保護上限値は、燃料電池スタック1内におけるアノード側とカソード側との差圧が、電解質膜111を劣化させるような過大な値とならないようにするための、アノード圧力の上限側の制限値である。
脈動幅演算部723には、目標出力電流と、HFRと、が入力される。脈動幅演算部723は、図4に示したマップを参照し、目標出力電流とHFRとに基づいて、脈動幅を演算する。図4のマップに示すように、脈動幅は、目標出力電流が高くなるほど、また、HFRが小さくなるほど大きくなる。つまり、燃料電池スタック1内の水分量が多くなるほど、大きくなる。
基本脈動上限圧力演算部724には、脈動幅と、脈動下限圧力と、が入力される。基本脈動上限圧力演算部724は、脈動幅に脈動下限圧力を足したものを、基本脈動上限圧力として算出する。
脈動上限圧力設定部725には、システム上限値、膜保護上限値及び基本脈動上限圧力が入力される。脈動上限圧力設定部725は、これら3つの入力値のうち、最も小さいものを脈動上限圧力として設定する。脈動上限圧力設定部725は、通常は基本脈動上限圧力を脈動上限圧力として設定する。そして、基本脈動上限圧力がシステム上限値又は膜保護上限値よりも大きくなったときは、システム上限値又は膜保護上限値を脈動上限圧力として設定する。
このように、システム上限値又は膜保護上限値が脈動上限圧力として設定されたときは、目標出力電流に応じて設定される脈動幅よりも、実際の脈動幅が小さく制限されることになる。
昇圧変化率演算部73には、脈動上限圧力、脈動下限圧力、バッファタンク温度、入口水温及び出口水温が入力される。昇圧変化率演算部73は、これらの入力値に基づいて、脈動運転時にアノード圧力を昇圧させるときの昇圧変化率(昇圧速度)を演算する。以下、図6を参照して、昇圧変化率演算部73について詳しく説明する。
図6は、昇圧変化率演算部73の詳細構成を示すブロック図である。
昇圧変化率演算部73は、基準昇圧変化率演算部731と、補正値演算部732と、温度補正係数演算部733と、昇圧変化率算出部734と、を備える。
基準昇圧変化率演算部731には、脈動上限圧力が入力される。基準昇圧変化率演算部731では、まず所定の排水要求体積流量に所定の変換係数を掛けて、大気圧下においてアノードガスの供給流量を排水要求体積流量にするために必要な昇圧変化率を算出する。
排水要求体積流量は、目標出力電流に応じて設定される脈動幅で脈動運転を実施した場合において、アノードガス流路121の排水性確保に必要なガス流速を得るために燃料電池スタック1に最低限供給しなければならないアノードガスの供給流量である。本実施形態で、この排水要求体積流量を、予め実験等によって定めた所定値としているが、目標出力電流が高くなるほど大きくなるようにしても良い。また変換係数も、予め実験等に予め定めた所定値としている。
この排水要求体積流量に変換係数を掛けて求まる昇圧変化率は、大気圧下において、燃料電池スタック1に供給されるアノードガスの流量が排水要求体積流量となるガス流速を得るための変化率である。ガス流速は、アノード圧力が高くなるほど低下するため、排水要求体積流量となるガス流速を得るためには、圧力が高くなるほど昇圧変化率も高くする必要がある。そのため、本実施形態では、排水要求体積流量に変換係数を掛けて求まる昇圧変化率に、脈動上限圧力を基準圧力(大気圧)で割った圧力補正係数を掛けたものを、基準昇圧変化率とする。
補正値演算部732には、脈動上限圧力と、脈動下限圧力と、脈動幅と、が入力される。補正値演算部732は、目標出力電流に応じて設定される脈動幅よりも、実際の脈動幅が小さく制限されることになったときに、基準昇圧変化率を増大させるための補正値(以下「昇圧変化率補正値」という。)を演算する。
そのために、補正値演算部732ではまず、脈動上限圧力から脈動下限圧力を引いて、脈動運転時の実際の脈動幅を算出する。そして、目標出力電流に応じて設定される脈動幅(=脈動幅演算部723で演算された脈動幅)から実際の脈動幅を引いて、脈動幅不足代を算出する。そして、図6のテーブルを参照し、この脈動幅不足代に基づいて、昇圧変化率補正値を算出する。図6のテーブルに示すように、脈動幅不足代が大きくなるほど、排水性が厳しくなるので、昇圧変化率補正値は大きくなる。
温度補正係数演算部733には、バッファタンク温度と、入口水温と、出口水温と、が入力される。脈動運転時の昇圧時には、アノードガス流路121に新しいアノードガスを供給し、アノードガス流路121内に残留するアノードオフガスをバッファタンク36に押し込むことになる。
このとき、バッファタンク温度が高いほどバッファタンク36内のアノードオフガスの体積が増加するので、燃料電池スタック1の温度と比較してバッファタンク温度が高いときは、アノードガス流路121内に残留するアノードオフガスをバッファタンク36に押し込み難くなる。逆に、燃料電池スタック1の温度と比較してバッファタンク温度が低いときは、アノードガス流路121内に残留するアノードオフガスをバッファタンク36に押し込み易くなる。
そのため、本実施形態では、バッファタンク温度を、平均水温算出部7331で算出した入口水温と出口水温との平均水温で除算した値(以下「温度比」という。)に予め実験等で定めた所定の定数を掛けたものを、温度補正係数として演算する。
昇圧変化率算出部734には、基準昇圧変化率と、昇圧変化率補正値と、温度補正係数と、が入力される。昇圧変化率算出部734は、基準昇圧変化率に昇圧変化率補正値を足したものに、温度補正係数を掛けて、昇圧変化率を算出する。
再び図4に戻って脈動制御部74について説明する。
脈動制御部74には、検出アノード圧力と、脈動上限圧力と、脈動下限圧力と、昇圧変化率と、が入力される。脈動制御部74は、これらの入力値に基づいて、図7のフローチャートに従ってアノード調圧弁33を制御し、アノード圧力を脈動させる。
図7は、脈動制御部74の詳細構成を示すフローチャートである。
ステップS1において、コントローラ6は、アノード圧力が脈動上限圧力以上か否かを判定する。コントローラ6は、アノード圧力が脈動上限圧力以上であれば、アノード圧を降圧させるためにステップS2の処理を行う。一方で、アノード圧力が脈動上限圧力未満であれば、ステップS3の処理を行う。
ステップS2において、コントローラ6は、目標アノード圧力を脈動下限圧力に設定する。
ステップS3において、コントローラ6は、アノード圧力が脈動下限圧力以下か否かを判定する。コントローラ6は、アノード圧力が脈動下限圧力以下であれば、アノード圧を昇圧させるためにステップS4の処理を行う。一方で、アノード圧力が脈動下限圧力よりも高ければ、ステップS5の処理を行う。
ステップS4において、コントローラ6は、目標アノード圧力を脈動上限圧力に設定する。
ステップS5において、コントローラ6は、目標アノード圧力を前回と同じ目標アノード圧力に設定する。
ステップS6において、コントローラ6は、脈動下限圧力が目標アノード圧力として設定されているときは、アノード圧力が脈動下限圧力となるように、アノード調圧弁33をフィードバック制御する。このフィードバック制御の結果、通常はアノード調圧弁33の開度は全閉となり、高圧タンク31から燃料電池スタック1へのアノードガスの供給が停止される。その結果、発電による燃料電池スタック1内でのアノードガスの消費によって、アノード圧力が低下していく。
一方、コントローラ6は、脈動上限圧力が目標アノード圧力として設定されているときは、アノード圧力が、設定した昇圧変化率で脈動上限圧力まで昇圧するように、アノード調圧弁33をフィードバック制御する。このフィードバック制御の結果、アノード調圧弁33が所望の開度まで開かれて、高圧タンク31から燃料電池スタック1へアノードガスが供給され、設定された昇圧変化率でアノード圧力が上昇する。
図8は、本実施形態によるアノード圧力制御部7の動作について説明するタイムチャートである。
時刻t1で燃料電池システム100が起動されると、入口水温と出口水温の平均水温が暖機完了温度(例えば60℃)になる時刻t2まで暖機運転が実施される。
時刻t2で暖機運転が終了し、例えばアクセル操作量が増加して目標出力電流が増加すると、目標出力電流に応じて設定される脈動幅も増加する。そして、目標出力電流に応じて設定された脈動幅で脈動運転が実施される。
時刻t3で、目標出力電流の増加による燃料電池スタック1の発熱量に対し、ラジエータ42の冷却性能が不足して平均水温が増加すると、水素分圧下限値が増加する。これにより、水素分圧下限値が検出カソード圧力よりも大きくなり、脈動下限圧力が通常時(検出カソード圧力が脈動下限圧力として設定されているとき)よりも高くなる。
脈動上限圧力が通常時よりも高くなった結果、脈動下限圧力に脈動幅を足した基本脈動上限圧力も高くなるが、システム上限値及び膜保護上限値よりもまだ小さいので、引き続き目標出力電流に応じて設定された脈動幅で脈動運転が実施される。
時刻t4で、脈動下限圧力に脈動幅を足した基本脈動上限圧力が膜保護上限値に達すると、膜保護上限値が脈動上限圧力として設定される。その結果、脈動幅が、目標出力電流に応じて設定される脈動幅よりも小さく制限された状態で脈動運転が実施される。
そのため、時刻t4以降は、昇圧変化率が脈動幅不足代に応じて増大補正される。そのため、脈動幅が小さく制限された場合であっても、アノードガス流路121の排水性を確保することができる。
時刻t5で目標出力電流が低下すると、再び通常通り、目標出力電流に応じて設定された脈動幅で脈動運転が実施される。
以上説明した本実施形態による燃料電池システム100は、アノードガス流路121の排水要求に応じて設定された脈動幅と昇圧変化率で、燃料電池スタック1に供給するアノードガスの圧力を脈動させ、燃料電池システム100の運転状態に応じて、脈動幅を小さく制限する。そして、脈動幅が小さく制限されたときは、昇圧変化率を増大補正することとした。
このように、アノードガス流路121の排水要求に応じて設定された脈動幅が、燃料電池システム100の運転状態に応じて小さく制限されたときは、昇圧変化率が増大補正されるので、制限された脈動幅に応じた適切な昇圧変化率でアノードガスの圧力を昇圧させることができる。したがって、アノードガス流路121における排水性を確保することができる。
そして本実施形態による燃料電池システム100は、アノードガス流路121の排水性確保に必要なガス流速を得るために燃料電池スタック1に最低限供給しなければならないアノードガスの供給流量に基づいて昇圧変化率を設定する。
アノードガス流路121の排水性を確保するには、単純に昇圧変化率を高くすれば良いとも考えられる。しかしながら、昇圧変化率を高くすると、単位時間当たりの脈動回数が増える。単位時間当たりの脈動回数が増えると、アノード調圧弁33の開閉回数も増加するため、アノード調圧弁33の劣化が早くなる。また、アノード側とカソード側との間に差圧がつく回数も増加するため、電解質膜111の劣化も早くなる。
したがって、本実施形態のように、アノードガス流路121の排水性確保に必要なガス流速を得るために燃料電池スタック1に最低限供給しなければならないアノードガスの供給流量に基づいて昇圧変化率を設定することで、昇圧変化率を最小限に抑えつつ、脈動幅が小さく制限された場合であっても、アノードガス流路121における排水性を確保することができる。そのため、アノード調圧弁33や電解質膜111の耐久性の悪化を抑制でき、ひいては燃料電池システム100の耐久性や信頼性を確保することができる。
また、本実施形態による燃料電池システム100は、脈動上限圧力と脈動下限圧力との差分、すなわち実際の脈動幅が、アノードガス流路121の排水要求に応じて設定された脈動幅よりも小さくなったときに、その差分(脈動幅不足代)に基づいて昇圧変化率を増大補正する。
このように、アノードガス流路121の排水要求に応じて設定された脈動幅に対する不足分の脈動幅(脈動幅不足代)に基づいて昇圧変化率を補正することで、確実にアノードガス流路121における排水性を確保することができる。
また、本実施形態による燃料電池システム100は、脈動幅不足代(差分)に基づいて増大補正した昇圧変化率を、さらにバッファタンク温度と燃料電池スタック1の温度との温度比に応じて補正する。具体的には、バッファタンク温度が高くなるほど、また、燃料電池スタック1の温度が低くなるほど、昇圧変化率が大きくなるように補正する。
バッファタンク温度が高いほどバッファタンク36内のアノードオフガスの体積が増加するので、燃料電池スタック1の温度と比較してバッファタンク温度が高いときは、アノードガス流路121内に残留するアノードオフガスをバッファタンク36に押し込み難くなる。逆に、燃料電池スタック1の温度と比較してバッファタンク温度が低いときは、アノードガス流路121内に残留するアノードオフガスをバッファタンク36に押し込み易くなる。
したがって、本実施形態のように、バッファタンク温度と燃料電池スタック1の温度との温度比に応じて昇圧変化率をさらに補正することで、より確実にアノードガス流路121における排水性を確保することができる。
また、本実施形態による燃料電池システム100は、アノードガスの圧力が、燃料電池スタック1に供給されるカソードガスの圧力に電解質膜111を保護するための所定の許容膜間差圧を加えた膜保護上限値、及び、燃料電池システム100の耐圧保護を図るためのシステム上限値を超えないようにしている。
そのため、燃料電池システム100の耐久性を確保することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
上記実施形態では、燃料電池スタック1の目標出力電流に応じて脈動幅を変動させていたが、一定としても良い。
また、上記実施形態では、アノードオフガスを蓄える空間としてのバッファタンク36を設けていた。しかしながら、このようなバッファタンク36を設けずに、例えば、燃料電池スタック1の内部マニホールドをバッファタンク36の代わりの空間としても良い。ここでいう内部マニホールドとは、アノードガス流路121を流れ終わったアノードオフガスがまとめられる燃料電池スタック1の内部の空間であり、アノードオフガスはマニホールドを介してアノードガス排出通路35へと排出される。
1 燃料電池スタック(燃料電池)
6 コントローラ(脈動運転手段、補正手段、バッファ部の温度を推定する手段
)
36 バッファタンク(バッファ部)
47 入口水温センサ(燃料電池の温度を検出する手段)
48 出口水温センサ(燃料電池の温度を検出する手段)
100 燃料電池システム
111 電解質膜
6 コントローラ(脈動運転手段、補正手段、バッファ部の温度を推定する手段
)
36 バッファタンク(バッファ部)
47 入口水温センサ(燃料電池の温度を検出する手段)
48 出口水温センサ(燃料電池の温度を検出する手段)
100 燃料電池システム
111 電解質膜
Claims (6)
- アノードガス及びカソードガスを燃料電池に供給して発電させる燃料電池システムであって、
前記燃料電池のアノード側の排水要求に応じて設定された脈動幅と昇圧変化率で、前記燃料電池に供給するアノードガスの圧力を脈動させる脈動運転手段と、
前記燃料電池システムの運転状態に応じて、前記脈動幅を小さく制限する制限手段と、
前記制限手段によって前記脈動幅が小さく制限されたときは、前記昇圧変化率を増大補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする燃料電池システム。 - 前記脈動運転手段は、
前記燃料電池の負荷に基づいて、前記脈動幅を設定し、
前記燃料電池のアノード側の排水性確保に必要なガス流速を得るために前記燃料電池スタックに最低限供給しなければならないアノードガスの供給流量に基づいて、前記昇圧変化率を設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記制限手段は、
前記燃料電池内の水素分圧を確保するためのアノードガスの圧力下限値と、前記燃料電池に供給されるカソードガスの圧力と、の大きいほうを脈動下限圧力として設定し、
前記脈動幅と前記脈動下限圧力と基づいて算出される基本脈動上限圧力と、燃料電池システムの運転状態に応じて算出されるアノードガスの圧力上限値と、の小さいほうを脈動上限圧力として設定する手段であり、
前記補正手段は、
前記脈動上限圧力と前記脈動下限圧力との差分が前記脈動幅よりも小さくなったときに、その差分に基づいて前記昇圧変化率を増大補正する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池システム。 - 前記燃料電池から排出されるアノードオフガスを蓄えるバッファ部と、
前記バッファ部の温度を検出するバッファ温度検出手段と、
前記燃料電池の温度を検出する燃料電池温度検出手段と、
を備え、
前記補正手段は、
前記差分に基づいて増大補正した前記昇圧変化率を、さらに前記バッファ部の温度と前記燃料電池の温度との温度比に応じて補正する、
ことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。 - 前記補正手段は、
前記バッファ部の温度が高くなるほど、また、前記燃料電池の温度が低くなるほど、前記昇圧変化率が大きくなるように前記昇圧変化率を補正する、
ことを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。 - 前記アノードガスの圧力上限値は、
前記燃料電池に供給されるカソードガスの圧力に前記燃料電池の電解質膜を保護するための所定値を加えた圧力と、前記燃料電池の耐圧保護を図るための所定圧力と、の小さいほうである、
ことを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれか1つに記載の燃料電池システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013211318A JP2015076246A (ja) | 2013-10-08 | 2013-10-08 | 燃料電池システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013211318A JP2015076246A (ja) | 2013-10-08 | 2013-10-08 | 燃料電池システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015076246A true JP2015076246A (ja) | 2015-04-20 |
Family
ID=53000950
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013211318A Pending JP2015076246A (ja) | 2013-10-08 | 2013-10-08 | 燃料電池システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015076246A (ja) |
-
2013
- 2013-10-08 JP JP2013211318A patent/JP2015076246A/ja active Pending
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