本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
更に、本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
<エポキシ樹脂組成物>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、下記一般式(1)で示されるエポキシ樹脂(以下、「特定エポキシ樹脂」ともいう)を含むエポキシ樹脂と、ビフェニレン型フェノールアラルキル樹脂、フェノールアラルキル樹脂、及びトリフェニルメタン型フェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む硬化剤(以下「特定の硬化剤」ともいう)と、を含有する。
Gはグリシジル基を示し、R1は各々独立に水素原子又は炭素数1〜6の一価の炭化水素基を示し、R2は式(a)で示される置換基を示し、nは1〜20の数を示し、pは0.8〜1.4を示し、R3は各々独立に水素原子又は炭素数1〜6の一価の炭化水素基を示す。
このような構成とすることにより、Cu、Ag、Au、Pd等の金属との接着性が良好であることから耐リフロー性に優れ、且つ流動性を低下させずに難燃性が良好なエポキシ樹脂組成物となる。この理由は明らかではないが、以下のように考えることができる。
ノボラック型フェノール樹脂のエポキシ化物であるエポキシ樹脂に、スチレン化合物由来の骨格を特定量導入することにより、芳香族性が高くなって難燃性が向上する。また、耐湿性が向上し、吸湿水分に起因するリードフレーム等のインサートに対する剥離の発生が抑えられ、高温の熱に曝されるリフローにおいても接着性が維持されて、耐リフロー性が向上するものと考えられる。特に、特定の硬化剤を組み合わせることにより、リードフレームの材質として用いられ得るAgとの接着性が高くなるため、相乗効果的に耐リフロー性が向上する。また、溶融粘度が低くなることにより流動性が高くなって成形性に優れると考えられる。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂は、下記一般式(1)で示されるエポキシ樹脂を含む。
一般式(1)中、Gはグリシジル基を示し、R1は各々独立に水素原子又は炭素数1〜6の一価の炭化水素基を示し、R2は式(a)で示される置換基を示し、nは1〜20の数を示す。また、pは0.8〜1.4を示す。R3は各々独立に水素原子又は炭素数1〜6の一価の炭化水素基を示す。
一般式(1)において、R2は上記式(a)で表される置換基(以下「スチレニル基」ともいう)を示す。pは0.8〜1.4の数を示し、これは1個のベンゼン環に置換するスチレニル基の平均の数(数平均)を意味する。pは0.8〜1.4であり、0.9〜1.1がより好ましく、0.95〜1.1が更に好ましい。pが0.8以上であると難燃性及び耐リフロー性が良好となり、pが1.4以下であると、硬化性が良好になる。
ここで、pについて説明する。一般式(1)における両末端のベンゼン環には最大3個のスチレニル基が置換できることから、nが1の場合、pの最大値は3となる。中間のベンゼン環には最大2個のスチレニル基が置換できることから、nが2の場合にはスチレニル基の最大総数は8個となり、この場合のpの最大値は、2.7となる(8/3=2.7)。しかしながら、本発明では、一般式(1)におけるpは0.8〜1.4である。
式(a)において、R3は各々独立に水素原子又は炭素数1〜6の一価の炭化水素基を示し、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
一般式(1)において、R1は各々独立に水素原子又は炭素数1〜6の一価の炭化水素基を示し、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましい。
一般式(1)において、nは1〜20の数を示し、好ましくは、数平均として1.5〜5.0の範囲である。
特定エポキシ樹脂の150℃における溶融粘度は、0.01Pa・s〜0.2Pa・sであることが好ましく、0.01Pa・s〜0.16Pa・sであることがより好ましい。作業性の面から、溶融粘度は上記範囲において低い程好ましい。
溶融粘度は、回転型粘弾性測定装置(例えば、株式会社島津製作所、CFD−100D)を用いて、次の方法により測定される。
(1)温度レンジを150℃に設定して、(2)試料0.15g〜0.25gをプレート上で溶融し、コーンを降ろし、温度コントロールランプの点滅を5回繰り返すまで放置する。(3)コーンの上下攪拌を約20秒行い、その後温度コントロールランプの点滅が5回繰り返されるまで放置する。(4)コーン回転後、約15秒後の値を読む。(5)値が同一になるまで(3)〜(4)の操作を繰り返し、その値を記録する。(6)同一ロットで3回以上(2)〜(5)の操作を繰り返し、その平均値を粘度とする。
特定エポキシ樹脂のエポキシ当量は、246g/eq〜288g/eqであることが好ましく、258g/eq〜288g/eqであることがより好ましく、270g/eq〜288g/eqであることが更に好ましい。
エポキシ当量は、以下の方法により測定される。
100mLのフラスコに特定エポキシ樹脂を固形分が3g〜4gになるよう量り、酢酸20mL、臭化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液(臭化テトラエチルアンモニウム100gと酢酸400mLの混合液)を10mL、クリスタルバイオレットを4滴〜5滴加える。この溶液を0.1mol/Lの過塩素酸酢酸溶液で滴定する。同様にブランクを滴定する。エポキシ当量は以下の式により算出する。
エポキシ当量=1,000×実際に量りとった特定エポキシ樹脂の質量[g]×特定エポキシ樹脂の固形分濃度[質量%]/((滴定量[mL]−ブランク滴定量[mL])×0.1mol/L×過塩素酸酢酸溶液のファクターf)
特定エポキシ樹脂は、一般式(1)に対応するフェノールノボラック樹脂(以下、「原料フェノールノボラック樹脂」ともいう)に、式(a)に対応するスチレン化合物(以下、「原料スチレン化合物」ともいう)を、酸触媒の存在下で反応させて、特定のフェノールノボラック樹脂を得て、この特定のフェノールノボラック樹脂をエポキシ化させることにより得ることができる。
原料フェノールノボラック樹脂と原料スチレン化合物との配合割合は、一般式(1)におけるpの所望の数値に応じて調整する。したがって、原料フェノールノボラック樹脂のベンゼン環1個に対して原料スチレン化合物が、0.8個〜1.4個付加することが好ましく、0.9個〜1.1個付加することがより好ましく、0.95個〜1.1個付加することが更に好ましい。ここで、原料フェノールノボラック樹脂のベンゼン環は1個の水酸基を有することから、原料フェノールノボラック樹脂における水酸基1モルに対して、原料スチレン化合物の配合割合は、0.8モル〜1.4モルであることが好ましく、0.9モル〜1.1モルがより好ましく、0.95モル〜1.1モルが更に好ましい。
この反応では、原料スチレン化合物が原料フェノールノボラック樹脂のベンゼン環に付加してスチレニル基が水素原子と置換する。スチレン化合物の付加位置は、ベンゼン環の水酸基に対して空位のオルト位及びパラ位の少なくとも一方であり、主としてパラ位である。
原料フェノールノボラック樹脂は、R1(水素原子又は炭素数1〜6の一価の炭化水素基)を有するフェノール化合物をメチレンで連結した構造を有する。フェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、イソプロピルフェノール、n−プロピルフェノール、イソブチルフェノール、t−ブチルフェノール、n−ペンチルフェノール、n−ヘキシルフェノール等が挙げられる。これらの中でも、フェノール化合物としては、o−クレゾール又はo−クレゾールを主成分とするクレゾールであることが好ましい。o−クレゾールを主成分とする場合、クレゾール全体に対するo−クレゾールの含有率は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。m−クレゾール及びp−クレゾールを含んでもよい。
フェノール化合物は他のフェノール成分を1種以上含んでもよい。他のフェノール成分としては、例えば、アリルフェノール、フェニルフェノール、2,6−キシレノール、2,6−ジエチルフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、1−ナフトール、2−ナフトール、1,5−ナフタレンジオール、1,6−ナフタレンジオール、1,7−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール等が挙げられる。
原料スチレン化合物は、R3(水素原子又は炭素数1〜6の一価の炭化水素基)を有するスチレンである。スチレン化合物としては、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2−n−プロピルスチレン、3−n−プロピルスチレン、4−n−プロピルスチレン、2−イソプロピルスチレン、3−イソプロピルスチレン、4−イソプロピルスチレン、2−n−ブチルスチレン、3−n−ブチルスチレン、4−n−ブチルスチレン、2−イソブチルスチレン、3−イソブチルスチレン、4−イソブチルスチレン、2−t−ブチルスチレン、3−t−ブチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2−n−ペンチルスチレン、3−n−ペンチルスチレン、4−n−ペンチルスチレン、2−n−ヘキシルスチレン、3−n−ヘキシルスチレン等が挙げられる。
原料スチレン化合物は、他の反応成分を含んでもよい。他の反応成分として、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、インデン、クマロン、ベンゾチオフェン、インドール、ビニルナフタレン等を挙げることができる。
酸触媒としては、周知の無機酸、有機酸より適宜選択することができる。具体的には、塩酸、硫酸、燐酸等の鉱酸;ギ酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等の有機酸;塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄、三フッ化ホウ素等のルイス酸;イオン交換樹脂、活性白土、シリカ−アルミナ、ゼオライト等の固体酸などが挙げられる。
特定のフェノールノボラック樹脂を合成する反応は、通常、10℃〜250℃で1時間〜20時間行われる。更に、反応の際には、溶媒を用いてもよい。溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のアルコール溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル溶剤;ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族化合物などを挙げることができる。
この反応は、原料フェノールノボラック樹脂及び原料スチレン化合物の全原料を一括投入し、そのまま所定の温度で反応させる方法、及び原料フェノールノボラック樹脂及び触媒を投入し、所定の温度に保ちつつ、原料スチレン化合物を滴下させながら反応させる方法が挙げられる。この際、滴下時間は、通常、1時間〜10時間であり、5時間以下が好ましい。反応後、溶媒を使用した場合は、必要により、触媒を取り除いた後、溶媒を留去して、特定のフェノールノボラック樹脂を得る。
特定のフェノールノボラック樹脂をエポキシ化する方法は、特定のフェノールノボラック樹脂とエピクロルヒドリンを反応させる方法、及び特定のフェノールノボラック樹脂とハロゲン化アリルを反応させアリルエーテル化合物とした後、過酸化物と反応させる方法が挙げられる。
例えば、特定のフェノールノボラック樹脂を過剰のエピクロルヒドリンに溶解した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の存在下で、20℃〜150℃、好ましくは30℃〜80℃の範囲で、1時間〜10時間反応させる方法が挙げられる。この際のアルカリ金属水酸化物の使用量は、特定のフェノールノボラック樹脂の水酸基1モルに対して、0.8モル〜1.5モルが好ましく、0.9モル〜1.2モルがより好ましい。また、エピクロルヒドリンは特定のフェノールノボラック樹脂の水酸基1モルに対して過剰に用いられ、通常、特定のフェノールノボラック樹脂の水酸基1モルに対して、1.5モル〜30モルが好ましく、2モル〜15モルがより好ましい。反応終了後、過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物をトルエン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解し、濾過し、水洗して無機塩を除去し、次いで溶剤を留去することにより目的の特定エポキシ樹脂を得ることができる。
エポキシ樹脂組成物は、特定エポキシ樹脂以外に、更に従来公知のエポキシ樹脂を併用することができる。併用可能なエポキシ樹脂としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール化合物及びα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物から選択される少なくとも1種とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したノボラック型エポキシ樹脂〔例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(一般式(1)を除く)、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(一般式(1)を除く)及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂〕、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、アルキル置換又は非置換のビフェノール等のジグリシジルエーテル、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンとフェノール類との共縮合樹脂のエポキシ化物であるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン環を有するナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル樹脂のエポキシ化物であるフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を含有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂(ビフェニレン型エポキシ樹脂等)、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物であるアラルキル型エポキシ樹脂(ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等)、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、テルペン変性エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂などが挙げられる。併用可能なエポキシ樹脂は、これら1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて併用して用いてもよい。
なかでも、併用可能なエポキシ樹脂としては、流動性及び耐リフロー性の観点からは、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂及びフェノールアラルキル型エポキシ樹脂が好ましく、硬化性の観点からはノボラック型エポキシ樹脂(一般式(1)を除く)が好ましく、低吸湿性の観点からはジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましく、耐熱性及び低反り性の観点からはナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂が好ましく、難燃性の観点からはビフェニレン型エポキシ樹脂及びナフトールアラルキル型エポキシ樹脂が好ましい。難燃性の良好なエポキシ樹脂を併用して、ノンハロゲン、ノンアンチモン等のエポキシ樹脂組成物とすることが高温放置特性の向上の観点から好ましい。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(III)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられ、硫黄原子含有エポキシ樹脂としては例えば、下記一般式(IV)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられ、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂としては例えば、下記一般式(V)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
一般式(III)中、R1〜R8は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数7〜10のアラルキル基を示す。nは0〜3の整数を示す。R1〜R8で表されるアルキル基、アルコキシ基、アリール基及びアラルキル基は、各々独立に、置換基を有していても、有していなくてもよい。
一般式(IV)中、R1〜R8は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示す。nは0〜3の整数を示す。R1〜R8で表されるアルキル基及びアルコキシ基は、各々独立に、置換基を有していても、有していなくてもよい。
一般式(V)中、R1〜R5は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を示す。R1〜R5で表されるアルキル基及びアルコキシ基は、各々独立に、置換基を有していても、有していなくてもよい。
上記一般式(III)で示されるビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、例えば、R1、R3、R6及びR8がメチル基で、R2、R4、R5及びR7が水素原子であり、n=0を主成分とするYSLV−80XY(新日鉄住金化学株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
上記一般式(IV)で示される硫黄原子含有エポキシ樹脂のなかでも、R2、R3、R6及びR7が水素原子で、R1、R4、R5及びR8がアルキル基であるエポキシ樹脂が好ましく、R2、R3、R6及びR7が水素原子で、R1及びR8がt−ブチル基で、R4及びR5がメチル基であるエポキシ樹脂がより好ましい。このような化合物としては、YSLV−120TE(新日鉄住金化学株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
上記一般式(V)で示されるエポキシ樹脂としては、例えばR1〜R5が水素原子であるNC−2000L(日本化薬株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。これらのエポキシ樹脂はいずれか1種を単独で併用に用いても、2種以上を組み合わせて併用に用いてもよい。
ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(VI)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
一般式(VI)中、Rは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基(但し、上記の式(a)で示される置換基ではない)を示し、nは0〜10の整数を示す。Rで表される炭化水素基は、各々独立に、置換基を有していても、有していなくてもよい。
上記一般式(VI)で示されるノボラック型エポキシ樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂にエピクロルヒドリンを反応させることによって容易に得られる。なかでも、一般式(VI)中のRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、又はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。nは0〜3の整数が好ましい。
上記一般式(VI)で示されるノボラック型エポキシ樹脂のなかでも、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。このような化合物としてはEOCN−1020(日本化薬株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(VII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
一般式(VII)中、R1及びR2は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を示し、nは0〜10の整数を示し、mは0〜6の整数を示す。R1及びR2で表される炭化水素基は、各々独立に、置換基を有していても、有していなくてもよい。
一般式(VII)中のR1としては、例えば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基;又はハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基等の置換基を有する炭素数1〜5の一価の炭化水素基が挙げられ、なかでもメチル基、エチル基等のアルキル基又は水素原子が好ましく、メチル基又は水素原子がより好ましい。
一般式(VII)中のR2としては、例えば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基;ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基等の置換基を有する炭素数1〜5の一価の炭化水素基が挙げられ、なかでも水素原子が好ましい。このような化合物としてはHP−7200(DIC株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
ナフタレン型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(VIII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。トリフェニルメタン型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(IX)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
一般式(VIII)中、R1〜R3は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜12の一価の炭化水素基を示す。pは2、1又は0を示し、l及びmは、各々独立に0〜11の整数を示し、(l+m)が1〜11の整数で且つ(l+p)が1〜12の整数となるよう選ばれる。iは0〜3の整数を示し、jは0〜2の整数を示し、kは0〜4の整数を示す。R1〜R3で表される炭化水素基は、各々独立に、置換基を有していても、有していなくてもよい。
一般式(VIII)で示されるナフタレン型エポキシ樹脂としては、l個の構成単位及びm個の構成単位をランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロック共重合体が挙げられ、これらのいずれか1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。R1及びR2が水素原子で、R3がメチル基である上記化合物としては、NC−7000(日本化薬株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
一般式(IX)中、Rは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を示し、nは1〜10の整数を示す。Rで表される炭化水素基は、各々独立に、置換基を有していても、有していなくてもよい。Rが水素原子である上記化合物としてはE−1032(三菱化学株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
ビフェニレン型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(X)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(XI)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
一般式(X)中、R1〜R9は、各々独立に、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリール基;又はベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜10のアラルキル基を示し、なかでも水素原子又はメチル基が好ましい。nは0〜10の整数を示す。R1〜R9で表されるアルキル基、アルコキシ基、アリール基及びアラルキル基は、各々独立に、置換基を有していても、有していなくてもよい。
一般式(XI)中、R1及びR2は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜12の一価の炭化水素基を示し、nは1〜10の整数を示す。R1及びR2で表される炭化水素基は、各々独立に、置換基を有していても、有していなくてもよい。
ビフェニレン型エポキシ樹脂としては、NC−3000(日本化薬株式会社、商品名)が市販品として入手可能である。またナフトールアラルキル型エポキシ樹脂としては、ESN−175(新日鉄住金化学株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
またエポキシ樹脂として、下記構造式(XII)のエポキシ樹脂も使用することができる。
一般式(XII)中のR1は、各々独立に、炭素数1〜12の炭化水素基、又は炭素数1〜12のアルコキシ基を示し、nは0〜4の整数を示す。また、R2は、各々独立に、炭素数1〜12の炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を示し、mは0〜2の整数を示す。R1及びR2で表される炭化水素基及びアルコキシ基は、各々独立に、置換基を有していても、有していなくてもよい。なかでも、難燃性及び成形性の観点からはn及びmが0であるエポキシ樹脂が好ましい。このような化合物としてはYX−8800(三菱化学株式会社、商品名)等が入手可能である。
エポキシ樹脂の総量に対する特定エポキシ樹脂の含有率は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。
(硬化剤)
エポキシ樹脂組成物は硬化剤を含有する。硬化剤は、ビフェニレン型フェノールアラルキル樹脂、フェノールアラルキル樹脂、及びトリフェニルメタン型フェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む。
ビフェニレン型フェノールアラルキル樹脂としては、例えば、下記一般式(XVII)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
ここで、R1〜R9は、各々独立に、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリール基;又はベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜10のアラルキル基を示し、なかでも水素原子又はメチル基が好ましい。nは0〜10の整数を示す。R1〜R9で表されるアルキル基、アルコキシ基、アリール基又はアラルキル基は、各々独立に、置換基を有していても、有していなくてもよい。
上記一般式(XVII)で示されるビフェニレン型フェノールアラルキル樹脂としては、例えば、R1〜R9が全て水素原子である化合物等が挙げられ、なかでも溶融粘度の観点から、nが1以上の縮合体を50質量%以上含む縮合体の混合物が好ましい。このような化合物としては、MEH−7851(明和化成株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
耐リフロー性、難燃性及び成形性の観点からは、下記一般式(XIII)で示されるフェノールアラルキル樹脂が好ましい。
式(XIII)中、Rは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を示し、nは0〜10の整数を示す。Rで表される炭化水素基は、各々独立に、置換基を有していても、有していなくてもよい。
一般式(XIII)で示される化合物の中でも、Rが水素原子で、nの平均値が0〜8であるフェノールアラルキル樹脂がより好ましい。具体例としては、p−キシリレン型フェノールアラルキル樹脂、m−キシリレン型フェノールアラルキル樹脂等が挙げられる。このような化合物としてはXLC(三井化学株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。これらのアラルキル型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上がより好ましい。
反りの低減の観点からは、トリフェニルメタン型フェノール樹脂が好ましい。トリフェニルメタン型フェノール樹脂としては、例えば、下記一般式(XVI)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
式(XVI)中、Rは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を示し、nは1〜10の整数を示す。Rで表される炭化水素は、各々独立に、置換基を有していても、有していなくてもよい。Rが水素原子である上記化合物としては、MEH−7500(明和化成株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
特定の硬化剤は、いずれか1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
硬化剤は、更に特定の硬化剤以外に他の硬化剤を併用してもよい、全硬化剤中の特定の硬化剤の含有率は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。
他の硬化剤としては、ノボラック型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂、メタキシリレン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、これら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂等が挙げられる。
ノボラック型フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等が挙げられ、なかでもフェノールノボラック樹脂が好ましい。
ナフトールアラルキル樹脂としては、例えば、下記一般式(XIV)で示されるフェノール樹脂が挙げられる。
式(XIV)中、R1及びR2は、各々独立に、水素原子及び炭素数1〜10の一価の炭化水素を示し、nは0〜10の整数を示す。R1及びR2で表される炭化水素基は、各々独立に、置換基を有していても、有していなくてもよい。
上記一般式(XIV)で示されるナフトールアラルキル樹脂としては、例えば、R1及びR2が全て水素原子である化合物等が挙げられ、このような化合物としては、SN−170(新日鉄住金化学株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂としては、例えば、下記一般式(XV)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
式(XV)中、R1及びR2は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を示し、nは0〜10の整数を示し、mは0〜6の整数を示す。R1及びR2で表される炭化水素基は、各々独立に、置換基を有していても、有していなくてもよい。R1及びR2が水素原子である上記化合物としては、DPP(新日本石油化学株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
他の硬化剤は、これら1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。併用する他の硬化剤の中では、ノボラック型フェノール樹脂が硬化性の観点から好ましい。
硬化剤の水酸基当量は、100g/eq〜199g/eqであることが好ましく、130g/eq〜199g/eqであることがより好ましく、175g/eq〜199g/eqであることが更に好ましい。
硬化剤における水酸基当量の測定方法は、以下の通りである。
ピリジン−塩化アセチル法を用い、硬化剤の水酸基をピリジン溶液中で塩化アセチル化した後にその過剰の試薬を水で分解し、生成した酢酸を水酸化カリウム及びエタノールを含む溶液で滴定して、水酸基当量を求める。
エポキシ樹脂と硬化剤との当量比、すなわち、エポキシ樹脂中のエポキシ基数に対する硬化剤中の水酸基数の比(硬化剤中の水酸基数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)は、特に制限はないが、それぞれの未反応分を少なく抑えるために0.5〜2の範囲に設定されることが好ましく、0.6〜1.3がより好ましい。成形性及び耐リフロー性に優れるエポキシ樹脂組成物を得るためには0.8〜1.2の範囲に設定されることが更に好ましい。
(硬化促進剤)
エポキシ樹脂組成物には、エポキシ樹脂と硬化剤の反応を促進させる観点から、必要に応じて硬化促進剤を用いることができる。
硬化促進剤は、エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているものを特に制限なく用いることができる。具体的に硬化促進剤としては、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザ−ビシクロ[4.3.0]ノネン、5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のシクロアミジン化合物、シクロアミジン化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン化合物、3級アミン化合物の誘導体、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、イミダゾール化合物の誘導体、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等のホスフィン化合物、これらのホスフィン化合物に無水マレイン酸、上記キノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有するリン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、N−メチルモルホリンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩、テトラフェニルボロン塩の誘導体などが挙げられる。硬化促進剤は、これら1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、難燃性、硬化性、流動性及び離型性の観点からは、硬化促進剤としては、第三ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物が好ましい。
第三ホスフィン化合物としては、特に限定するものではないが、トリシクロヘキシルホスフィン、トリブチルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4−ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメチル−4−エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−エトキシフェニル)ホスフィン等のアルキル基又はアリール基を有する第三ホスフィン化合物が好ましい。
キノン化合物としては、o−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン、ジフェノキノン、1,4−ナフトキノン、アントラキノン等が挙げられる。なかでも、キノン化合物としては、耐湿性及び保存安定性の観点から、p−ベンゾキノンが好ましい。
硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィンとp−ベンゾキノンとの付加物が耐リフロー性の観点から好ましく、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィンとp−ベンゾキノンとの付加物が離型性の観点からより好ましい。
硬化促進剤の含有量は、硬化促進効果が達成される量であれば特に制限されるものではない。エポキシ樹脂組成物が硬化促進剤を含有する場合、硬化促進剤の含有率は、エポキシ樹脂組成物中、0.005質量%〜2質量%が好ましく、0.01質量%〜0.5質量%がより好ましい。0.005質量%以上では硬化性が向上する傾向があり、2質量%以下ではポットライフが向上する傾向がある。
(無機充填剤)
エポキシ樹脂組成物は、無機充填剤を含有することができる。無機充填剤を含有すると、吸湿性の低減、線膨張係数の低減、熱伝導性の向上及び強度の向上の傾向がある。無機充填剤としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粉体、又はこれらを球形化したビーズ、ガラス繊維などが挙げられる。更に、難燃効果のある無機充填剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、複合金属水酸化物、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛等が挙げられる。ここで、ホウ酸亜鉛としては、FB−290、FB−500(U.S.Borax社)、FRZ−500C(水澤化学工業株式会社)等が、モリブデン酸亜鉛としては、KEMGARD911B、911C、1100(Sherwin−Williams社)等が各々市販品として入手可能である。
これらの無機充填剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、充填性及び線膨張係数の低減の観点からは溶融シリカが好ましく、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましい。無機充填剤の形状は、充填性及び金型摩耗性の点から球形が好ましい。
エポキシ樹脂組成物が無機充填剤を含有する場合、無機充填剤の含有率は、流動性、難燃性、成形性、吸湿性の低減、線膨張係数の低減、強度の向上及び耐リフロー性の観点から、エポキシ樹脂組成物中、50質量%以上が好ましく、60質量%〜95質量%が難燃性の観点からより好ましく、70質量%〜90質量%が更に好ましい。無機充填剤の含有率が50質量%以上であると流動性が向上する傾向にあり、95質量%以下であると難燃性及び耐リフロー性が向上する傾向にある。
(カップリング剤)
エポキシ樹脂組成物は、カップリング剤を更に含有することができる。エポキシ樹脂組成物に無機充填剤を用いる場合、カップリング剤は樹脂成分と無機充項剤との接着性を高める傾向にある。カップリング剤としては、エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているものを特に制限なく用いることができる。カップリング剤としては、1級、2級又は3級アミノ基を有するシラン化合物、エポキシシラン、メルカプトシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン化合物、チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウム及びジルコニウム含有化合物等が挙げられる。
カップリング剤を例示すると、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジメチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジブチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−メチル)アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−エチル)アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジメチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジブチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−メチル)アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−エチル)アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジメチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N,N−ジエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N,N−ジブチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−メチル)アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−エチル)アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネートカップリング剤などが挙げられる。カップリング剤としては、これら1種を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも流動性、金線変形の低減及び難燃性の観点からは、カップリング剤としては、2級アミノ基を有するシランカップリング剤が好ましい。2級アミノ基を有するシランカップリング剤は、分子内に2級アミノ基を有するシラン化合物であれば特に制限はない。
2級アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アニリノプロピルエチルジエトキシシラン、γ−アニリノプロピルエチルジメトキシシラン、γ−アニリノメチルトリメトキシシラン、γ−アニリノメチルトリエトキシシラン、γ−アニリノメチルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノメチルメチルジエトキシシラン、γ−アニリノメチルエチルジエトキシシラン、γ−アニリノメチルエチルジメトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、γ−(N−メチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−エチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−ブチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−ベンジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−メチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−エチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−ブチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−ベンジル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−メチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−エチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−ブチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−ベンジル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
エポキシ樹脂組成物がカップリング剤を含有する場合、カップリング剤の含有率は、エポキシ樹脂組成物中、0.037質量%〜5質量%であることが好ましく、0.05質量%〜4.75質量%であることがより好ましく、0.1質量%〜2.5質量%であることが更に好ましい。0.037質量%以上ではフレームとの接着性が向上し、4.75質量%以下であると硬化性が向上する。
(難燃剤)
エポキシ樹脂組成物は、難燃性の向上の観点から、更に、従来公知の難燃剤、特に環境対応、信頼性の観点からはノンハロゲン及びノンアンチモンの難燃剤を必要に応じて含有することができる。例えば、難燃剤としては、赤リン、リン酸エステル、酸化亜鉛等の無機化合物、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂で被覆された赤リン、ホスフィンオキサイド等の樹脂被覆リン化合物、メラミン、メラミン誘導体、メラミン変性フェノール樹脂、トリアジン環を有する化合物、シアヌル酸誘導体、イソシアヌル酸誘導体等の窒素含有化合物、シクロホスファゼン等のリン及び窒素含有化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、複合金属水酸化物、酸化亜鉛、錫酸亜鉛、硼酸亜鉛、酸化鉄、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛、ジシクロペンタジエニル鉄等の金属元素を含む化合物などが挙げられる。難燃剤は、これらの1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(ケイ素含有重合物)
エポキシ樹脂組成物は、反り低減の観点から、ケイ素含有重合物を含有してもよい。ケイ素含有重合物としては、下記の結合(c)及び(d)を有し、末端がR1、水酸基及びアルコキシ基からなる群より選択される基であり、エポキシ当量が500g/eq〜4000g/eqである化合物が好ましい。ケイ素含有重合物として、例えば、シリコーンレジンと呼ばれる分岐状ポリシロキサンが挙げられる。
ここで、R1は、各々独立に、炭素数1〜12の1価の炭化水素基を示す。Xはエポキシ基を含む1価の有機基を示す。R1で表される炭化水素基は、置換基を有していてもよい。Xに含まれるエポキシ基が開環反応し、Xが2価の基となっていてもよい。
上記一般式(c)及び(d)中のR1としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられ、なかでもメチル基又はフェニル基が好ましい。
また、上記一般式(d)中のXは、エポキシ基を含む1価の有機基である。有機基におけるエポキシ基の結合位置は特に限定されないが、エポキシ基は有機基の末端に結合することが好ましい。
具体的にXとしては、2,3−エポキシプロピル基、3,4−エポキシブチル基、4,5−エポキシペンチル基、2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、4−グリシドキシブチル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基等が挙げられ、中でも3−グリシドキシプロピル基が好ましい。
また、ケイ素含有重合物の末端は、重合物の保存安定性の点から、各々独立に、R1は、水酸基又はアルコキシ基であることが好ましい。末端としてのアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
ケイ素含有重合物がエポキシ基を有する場合、エポキシ当量は500g/eq〜4000g/eqの範囲であることが好ましく、より好ましくは1000g/eq〜2500g/eqである。ケイ素含有重合物のエポキシ当量が500g/eq以上の場合、エポキシ樹脂組成物の流動性が向上する傾向にあり、4000g/eq以下の場合、硬化物の表面への染み出しを抑え、成形不良の発生が低下する傾向にある。
エポキシ樹脂組成物がケイ素含有重合物を含有する場合、ケイ素含有重合物の含有率はエポキシ樹脂組成物中、0.2質量%〜1.5質量%が好ましく、0.3質量%〜1.3質量%がより好ましい。0.2質量%以上であるとパッケージの反り量低減効果が向上する傾向にあり、1.5質量%以下であると硬化性が向上する傾向にある。
(その他の成分)
エポキシ樹脂組成物は、IC等の半導体素子の耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から、必要に応じて下記組成式(XXXIII)で表される化合物及び下記組成式(XXXIV)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有することができる。
(0<X≦0.5、mは正の数)
(0.9≦x≦1.1、0.6≦y≦0.8、0.2≦z≦0.4)
なお、上記式(XXXIII)の化合物は市販品として協和化学工業株式会社の商品名DHT−4Aとして入手可能である。また、上記式(XXXIV)の化合物は市販品として東亜合成株式会社の商品名IXE500として入手可能である。また必要に応じてその他の陰イオン交換体を添加することもできる。陰イオン交換体としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができ、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン等の元素の含水酸化物などが挙げられる。陰イオン交換体としては、これら1種を単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
更に、エポキシ樹脂組成物には、その他の添加剤として、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、エステルワックス、ポリオレフィンワックス、ポリエチレン、酸化ポリエチレン等の離型剤、カーボンブラック等の着色剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム粉末等の応力緩和剤などを必要に応じて含有することができる。
<エポキシ樹脂組成物の調製方法>
エポキシ樹脂組成物は、各種原材料を均一に分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いて調製してもよい。一般的な調製方法として、所定の配合量の原材料をミキサー等によって充分混合した後、ミキシングロール、押出機、らいかい機、プラネタリミキサ等によって混合又は溶融混練した後、冷却し、必要に応じて脱泡し、粉砕する方法等を挙げることができる。また、エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて成形条件に合うような寸法及び質量でタブレット化してもよい。
<電子部品装置>
本発明の電子部品装置は、素子と、前記素子を封止する前述のエポキシ樹脂組成物の硬化物と、を備える。本発明のエポキシ樹脂組成物を封止材として用いて、半導体装置等の電子部品装置を封止する方法としては、低圧トランスファ成形法が一般的であるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等も挙げられる。封止方法として、ディスペンス方式、注型方式、印刷方式等を用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物により封止された素子を備える本発明の電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材、実装基板等に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子等の素子を搭載し、必要な部分を本発明のエポキシ樹脂組成物で封止した電子部品装置などが挙げられる。
ここで、実装基板としては特に制限するものではなく、有機基板、有機フィルム、セラミック基板、ガラス基板等のインターポーザ基板、液晶用ガラス基板、MCM(Multi Chip Module)用基板、ハイブリットIC用基板などが挙げられる。
このような素子を備えた電子部品装置としては、例えば、半導体装置が挙げられ、具体的には、リードフレーム(アイランド、タブ)上に半導体チップ等の素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部をワイヤボンディングやバンプで接続した後、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いてトランスファ成形などにより封止してなる、DIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J-lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の樹脂封止型IC、テープキャリアにリードボンディングした半導体チップを、本発明のエポキシ樹脂組成物で封止したTCP(Tape Carrier Package)、配線板やガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップを、本発明のエポキシ樹脂組成物で封止したCOB(Chip On Board)、COG(Chip On Glass)等のベアチップ実装した半導体装置、配線板やガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子を、本発明のエポキシ樹脂組成物で封止したハイブリッドIC、MCMマザーボード接続用の端子を形成したインターポーザ基板に半導体チップを搭載し、バンプ又はワイヤボンディングにより半導体チップとインターポーザ基板に形成された配線を接続した後、本発明のエポキシ樹脂組成物で半導体チップ搭載側を封止したBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、MCP(Multi Chip Package)などが挙げられる。また、これらの半導体装置は、実装基板上に素子が2個以上重なった形で搭載されたスタックド(積層)型パッケージであっても、2個以上の素子を一度にエポキシ樹脂組成物で封止した一括モールド型パッケージであってもよい。
次に合成例、実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔合成例1〜4〕
スチレン変性エポキシ樹脂は以下のように合成できる。
フェノールノボラック樹脂を酸触媒であるp−トルエンスルホン酸を用いてスチレンと反応させ、まずスチレン変性フェノールノボラックを得る。この時、水酸基当量を測定し、この値から芳香族変性率(一般式(1)におけるpの値)を求める。次に上記で得られたスチレン変性フェノールノボラック樹脂をエピクロルヒドリンにてエポキシ化する。得られた樹脂のエポキシ当量、軟化点及び150℃の溶融粘度を以下の表1に示す。
〔実施例1〜3、比較例1〜9〕
下記成分をそれぞれ表2及び3に示す質量部で配合し、混練温度80℃、混練時間10分の条件でロール混練を行い、実施例1〜3、比較例1〜9を作製した。
(エポキシ樹脂)
・エポキシ樹脂1:エポキシ当量245g/eq、軟化点57℃、一般式(1)で示されるエポキシ樹脂であり、p=0.7(新日鉄住金化学株式会社、商品名GK−5855−70)
・エポキシ樹脂2:エポキシ当量266g/eq、軟化点61℃、一般式(1)で示されるエポキシ樹脂であり、p=0.9(新日鉄住金化学株式会社、商品名GK−5855−90)
・エポキシ樹脂3:エポキシ当量280g/eq、軟化点60℃、一般式(1)で示されるエポキシ樹脂であり、p=0.9(新日鉄住金化学株式会社、商品名GK−5855−90L)
・エポキシ樹脂4:エポキシ当量282g/eq、軟化点60℃、一般式(1)で示されるエポキシ樹脂であり、p=1.0モルのエポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社、商品名GK−5855−100)
・エポキシ樹脂5:エポキシ当量251g/eq、軟化点60℃、2−メトキシナフタレンとオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の共重合物(DIC株式会社、商品名HP−5000)
・エポキシ樹脂6:エポキシ当量190g/eq、融点59℃、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社、商品名N−500P−1)
(硬化剤)
・硬化剤1:水酸基当量175g/eq、軟化点70℃のフェノールアラルキル樹脂(明和化成株式会社、商品名MEH−7800SS)
・硬化剤2:水酸基当量106g/eq、軟化点82℃のノボラック型フェノール樹脂(日立化成株式会社、商品名HP−850N)
(硬化促進剤)
・硬化促進剤1:トリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加物
(カップリング剤)
・エポキシシラン:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(無機充填剤)
・球状溶融シリカ:平均粒径14.5μm、比表面積2.8m2/g
(その他の添加剤)
・カルナバワックス(クラリアント社)
・カーボンブラック(三菱化学株式会社、商品名MA−600)
作製した実施例1〜3、比較例1〜9のエポキシ樹脂組成物の特性を、次の各試験により求めた。結果を表4及び5に示す。
(1)スパイラルフロー
EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、エポキシ樹脂組成物をトランスファ成形機により、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で成形し、流動距離(cm)を求めた。
(2)熱時硬度
エポキシ樹脂組成物を上記(1)の成形条件で直径50mm×厚さ3mmの円板に成形し、成形後直ちにショアD型硬度計を用いて測定した。
(3)難燃性
厚さ1/32インチ(0.8mm)の試験片を成形する金型を用いて、エポキシ樹脂組成物を上記(1)の成形条件で成形して、更に180℃で5時間後硬化を行い、UL−94試験法に従って難燃性を評価した。
(4)耐リフロー性
(4.1)Cuリードフレーム
8mm×10mm×0.4mmのシリコンチップを搭載した外形寸法20mm×14mm×2mmの80ピンフラットパッケージ(QFP)(リードフレーム材質:銅合金、ダイパッド部上面及びリード先端銀メッキ処理品)を、エポキシ樹脂組成物を用いて上記(3)の条件で成形、後硬化して作製し、85℃、85%RHの条件で加湿して所定時間毎に240℃、10秒の条件でリフロー処理を行い、クラックの有無を観察し、試験パッケージ数(5個)に対するクラック発生パッケージ数で評価した。
(4.2)PPFリードフレーム
リードフレームにPPF(コア材質:銅合金、三層(Ni/Pd/Au)メッキ処理品)を用いた以外は(4.1)と同様にして評価を実施した。
(5)耐湿性
5μm厚の酸化ケイ素膜上に線幅10μm、厚さ1μmのアルミ配線を施した6mm×6mm×0.4mmのテスト用シリコンチップを搭載した外形寸法20mm×14mm×2.7mmの80ピンフラットパッケージ(QFP)を、エポキシ樹脂組成物を用いて上記(3)の条件で成形後、硬化して作製し、前処理を行った後、加湿して所定時間毎にアルミ配線腐食による断線不良を調べ、試験パッケージ数(10個)に対する不良パッケージ数で評価した。
なお、前処理は85℃、85%RH、72時間の条件でフラットパッケージを加湿後、215℃、90秒間のベーパーフェーズリフロー処理を行った。その後の加湿は0.2MPa、121℃の条件で行った。
(6)高温放置特性
5μm厚の酸化ケイ素膜上に線幅10μm、厚さ1μmのアルミ配線を施した5mm×9mm×0.4mmのテスト用シリコンチップを、部分銀メッキを施した42アロイのリードフレーム上に銀ペーストを用いて搭載し、サーモニック型ワイヤボンダにより、200℃でチップのボンディングパッドとインナリードをAu線にて接続した16ピン型DIPを、エポキシ樹脂組成物を用いて上記(3)の条件で成形後、硬化して作製して、200℃の高温槽中に保管し、所定時間毎に取り出して導通試験を行い、試験パッケージ数(10個)に対する導通不良パッケージ数で、高温放置特性を評価した。
一般式(1)で示されるエポキシ樹脂を含有していない比較例6、8は熱時硬度が低いため成型性が劣っている。比較例7、9は耐リフロー性に劣っており、且つ難燃性がV−0を達成していない。
一般式(1)で示されるエポキシ樹脂においてpが0.8未満である比較例1では、実施例1〜3に比べてスパイラルフローが小さく成型性に劣り、且つCuリードフレームにおける耐リフロー性にも劣っていた。
特定の硬化剤を用いない比較例2〜5では、実施例1〜3に比べてスパイラルフローが小さく、成型性に劣っていた。また、比較例2〜5では、実施例1〜3に比べてCuリードフレームにおける耐リフロー性も若干劣っていた。
これに対し、本願発明の一般式(1)で示されるエポキシ樹脂を含有している実施例1〜3は流動性及び耐リフロー性が良好で、全てUL−94 V−0を達成し、難燃性が良好で、また成形性も良好である。