以下、本発明の一実施形態にかかる表示装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる表示装置は、スクリーンの第1電極および第2電極群に印加するための第1電圧と、第1電圧よりも低い電圧である第2電圧と、を生成する電源部と、第1電圧と第2電圧との差の電圧と、基準電位を示す電圧と、が第2電極群の分割数に基づく周期で交互に変化する第1共通電圧波形を生成する第1共通電圧波形生成部と、第1電圧と、第2電圧と、が第2電極群の分割数に基づく周期で交互に変化する第2共通電圧波形を生成する第2共通電圧波形生成部と、第1電圧と、基準電位を示す電圧と、が光学層の光学状態を変化させる周期の整数倍の周期で交互に変化する第3共通電圧波形を生成する第3共通電圧波形生成部と、を有している。そして、制御部が、第1電極に、光学層の光学状態を変化させる周期の整数倍の周期で、第1共通電圧波形または第2共通電圧波形のいずれかを交互に印加し、第2の電極に、当該第2電極に対応する光学層の領域の光学状態を変化させるタイミングで第1共通電圧波形、第2共通電圧波形、第3共通電圧波形のいずれかを印加する。このようにすることにより、オーバードライブをする期間に第3共通電圧波形を選択し、それ以外は、第1共通電圧波形と第2共通電圧波形を必要なタイミングで選択して第1電極または第2電極に印加すればよいので、フレーム反転駆動とオーバードライブを行う場合に回路規模を小さくすることができ、コストアップを抑えることができる。
また、第1共通電圧波形は、光学層の光学状態を変化させる周期で、第2電極群の分割数に基づく周期における、第1電圧と第2電圧との差の電圧と、基準電位を示す電圧と、のデューティ比が逆転され、第2共通電圧波形が、光学層の光学状態を変化させる周期で、第2電極群の分割数に基づく周期における、第1電圧と、第2電圧と、のデューティ比が逆転されていてもよい。このようにすることにより、フレーム反転駆動の際に極性が反転しても第1電極と第2電極に散乱状態となる電位差を与えることができる。
また、制御部が、光学層の光学状態を変化させるタイミングを生成するタイミング生成部を有し、タイミング生成部が、第2電極群の配置されている順序で、順次タイミングを生成してもよい。このようにすることにより、第2電極群の配置順を例えば、プロジェクタ等の走査順とすれば、スクリーンの走査される領域のみを散乱状態にすることができる。したがって、スクリーン越しの背景物体を認識することが可能なシースルー性と、表示される映像の高い視認性とを両立することが可能となる。
また、タイミング生成部に、光学層の光学状態を散乱状態に変化させる期間を定める散乱期間設定値が設定され、散乱期間設定値に基づいてタイミングを生成してもよい。このようにすることにより、散乱状態の期間に応じて、第1共通電圧波形や第2共通電圧波形を印加するタイミングを決定することができる。
また、第2電極群それぞれに対応して、散乱期間設定値が複数設定され、タイミング生成部が、複数の散乱期間設定値に基づいて、第2電極群の電極ごとにタイミングを生成してもよい。このようにすることにより、複数の第2電極に対応する光学層の領域ごとに異なる散乱状態の期間を設定することができる。
また、本発明の他の実施形態にかかる表示装置は、制御部が、第1電極に、光学層の光学状態を変化させる周期の整数倍の周期の第1矩形波電圧を印加し、第2電極群に第1矩形波電圧と同じ周期かつ位相が同じまたは半周期ずれている第2矩形波電圧を印加し、第2電極群の各々の電極に対応する光学層の領域の光学状態を変化させるタイミングで光学状態が変化する電極間電位差となる第1パルス電圧を第2電極群の各々の電極に順次重畳させて印加し、第2電極群の各々の電極に、第1パルス電圧の所定の期間に電極間電位差がより大きくなるように第2パルス電圧を重畳させて印加し、第2電極群の各々の電極に印加された各々の第2パルス電圧を合わせた第3パルス電圧を第1矩形波電圧の半周期ごとに第3パルス電圧の中央値に関して反転した第4パルス電圧を、第1電極及び第2電極群にそれぞれ重畳させて印加している。このようにすることにより、フレーム反転駆動、かつ、オーバードライブを行う際は、第1矩形波電圧と、第2矩形波電圧と、第1パルス電圧と、第4パルス電圧をそれぞれ生成して重畳すればよい。したがって、回路規模を小さくすることができ、コストアップを抑えることができる。
また、本発明の一実施形態にかかる表示装置の駆動方法は、第1共通電圧波形生成工程で、第1電圧と前記第2電圧との差の電圧と、基準電位を示す電圧と、が第2電極群の分割数に基づく周期で交互に変化する第1共通電圧波形を生成し、第2共通電圧波形生成工程で、第1電圧と、第2電圧と、が第2電極群の分割数に基づく周期で交互に変化する第2共通電圧波形を生成し、第3共通電圧波形生成工程で、第1電圧と、基準電位を示す電圧と、が光学層の光学状態を変化させる周期の整数倍の周期で交互に変化する第3共通電圧波形を生成する。そして、電圧印加工程で、第1電極に、光学層の光学状態を変化させる周期の整数倍の周期で、第1共通電圧波形または第2共通電圧波形のいずれかを交互に印加し、前記第2の電極に、当該第2電極に対応する前記光学層の領域の前記光学状態を変化させるタイミングで前記第1共通電圧波形、前記第2共通電圧波形および第3共通電極波形のいずれかを印加する。このようにすることにより、オーバードライブをする期間に第3共通電圧波形を選択し、それ以外は、第1共通電圧波形と第2共通電圧波形を必要なタイミングで選択して第1電極または第2電極に印加すればよいので、フレーム反転駆動とオーバードライブを行う場合に回路規模を小さくすることができ、コストアップを抑えることができる。
また、本発明の他の実施形態にかかる表示装置の駆動方法は、第1矩形波電圧印加工程で、第1電極に、光学層の光学状態を変化させる周期の整数倍の周期の第1矩形波電圧を印加し、第2矩形波電圧印加工程で、第2電極群に第1矩形波電圧と同じ周期かつ位相が同じまたは半周期ずれている第2矩形波電圧を印加し、第1パルス電圧印加工程で、第2電極群の各々の電極に対応する光学層の領域の光学状態を変化させるタイミングで光学状態が変化する電極間電位差となる第1パルス電圧を、第2電極群の各々の電極に順次重畳させて印加し、第2パルス電圧工程で、第2電極群の各々の電極に、第1パルス電圧の所定の期間に電極間電位差がより大きくなるように第2パルス電圧を重畳させて印加する。そして、第4パルス電圧印加工程で、第2電極群の各々の電極に印加された各々の第2パルス電圧を合わせた第3パルス電圧を第1矩形波電圧の半周期ごとに第3パルス電圧の中央値に関して反転した第4パルス電圧を、第1電極及び第2電極群にそれぞれ重畳させて印加する。このようにすることにより、フレーム反転駆動、かつ、オーバードライブを行う際は、第1矩形波電圧と、第2矩形波電圧と、第1パルス電圧と、第4パルス電圧をそれぞれ生成して重畳すればよい。したがって、回路規模を小さくすることができ、コストアップを抑えることができる。
本発明の第1の実施例にかかる表示装置1を図1乃至図19を参照して説明する。表示装置1は図1に示すように、スクリーン21と、同期制御部31と、を備え、プロジェクタ11が接続されている。表示装置1は、プロジェクタ11の映像光をスクリーン21で透過散乱する透過型プロジェクション装置である。
プロジェクタ11は、走査周期中にスクリーン21上で黒状態(投射光が出ない状態)を順次シフトさせる透過型あるいは反射型液晶ライトバルブなどを使用できるが、これ以外の素子を用いてもよい。また、プロジェクタ11は、映像の走査周期においてラスター走査し、スクリーン21の表示面に映像光を点順次で投影するものでもよい。このプロジェクタ11では、強度変調された光ビームの照射方向を可動ミラーで反射して振るような、例えばレーザプロジェクタなどを用いることができる。このプロジェクタ11は、映像光の照射位置がスクリーン21上の一方向に順次走査されているものと同様に考えることができる。
プロジェクタ11は、スクリーン21へ映像情報(画像情報)により変調された映像光を投影できるものであればよい。なお、映像情報は、プロジェクタ11に入力される映像信号から得られる。映像信号には、たとえば、NTSC(National Television Standards Committee)方式、PAL(Phase Alternation by Line)方式のようなアナログ方式の映像信号、MPEG−TS(Moving Picture Experts Group − Transport Stream)フォーマット、HDV(High-Definition Video)フォーマットのようなデジタルフォーマットの映像信号がある。プロジェクタ11には、動画の映像信号だけでなく、たとえばJPEG(Joint Photographic Experts Group)のような静止画の映像信号が入力されてもよい。この場合、プロジェクタ11は、静止画を表示するための同じ映像光で、スクリーン21を繰り返し走査すればよい。
スクリーン21は、電圧の印加により光学状態を変化できるものであればよい。スクリーン21の光学状態は、散乱する状態が映像状態であり、それよりも入射光の散乱が小さく且つ平行光線透過率が高い透明な透過状態が非映像状態である。即ち、光に対し透過状態と散乱状態とを切り替え可能となっている。
スクリーン21は、例えば、液晶材料を用い、散乱状態と入射光の散乱が小さい透明な透過状態を変化させる調光スクリーンなどでよい。調光スクリーンには、たとえば、高分子分散液晶などの液晶素子を用いたもの、透明セル内の白色粉体を移動させることで散乱状態と入射光の散乱が小さい透明な透過状態を制御する素子などを用いたものなどがある。
図2に、分割領域毎に光学状態を制御可能なスクリーン21の模式的な断面図を示し、図3に、図2に示したスクリーン21での、複数の制御電極の配置を示すスクリーンの模式的な正面図を示す。図2に示したスクリーン21は、一対の透明なガラス板23,24の間に液晶を含む複合材料を挟み込んだ光学層25を有する。一方のガラス板24の光学層25側には、全面に第1電極としての対向電極26が形成される。他方のガラス板23の光学層25側には、複数の制御電極27が並べて配置される。即ち、複数に分割された第2電極群が配置されている。なお、電極26、27と光学層25との間に、絶縁体からなる中間層を形成してもよい。
また、対向電極26および制御電極27は、たとえばITO(酸化インジウム・スズ)により、透明電極として形成される。光学層25は、制御電極27と対向電極26との間に配置される。また、対向電極26および制御電極27は、少なくともいずれか一方が、入射光の一部を透過させるハーフミラーとなるような電極として構成されていてもよい。
複数の制御電極27は、スクリーン21の映像光が照射される領域を、一方向(たとえば走査方向)で短冊状に分割する(図3参照)。複数の制御電極27は、同期制御部31に個別に接続され、個別に電圧を印加することができる。隣接する制御電極27は、互いに離間して配列される。なお、図3では短冊状の領域が縦に配置されているが、横方向にも分割して、マトリクス状に領域が分割されていてもよい。
また、本実施形態の光学層25は、分割領域毎に、入射光の散乱が小さい透明な透過状態と、入射光を散乱する散乱状態との間で調整できる。
なお、制御電極27の間の、制御電極27が形成されていない領域に対応した光学層25内のギャップ領域の幅は、5から100マイクロメートル程度であり、可能な限り狭いことが望ましい。光学層25の厚さは、数から数十マイクロメートルであり、光学特性と駆動電圧を考慮して決定される。
スクリーン21は、対向電極26と制御電極27との間に電位差を生じるように電圧が印加される。光学層25内の光学状態は、対向電極26と制御電極27の印加電圧により変化する。
スクリーン21は、電位差を生じるように電圧が印加された際の状態によりリバースモードとノーマルモードに分類される。リバースモードで動作するスクリーン21は、電圧を印加していない通常状態において、スクリーン21が透明な透過状態となる。電圧を印加すると、印加電圧に応じた平行光線の散乱率の散乱状態となる。ノーマルモードで動作するスクリーンでは、電圧を印加していない通常状態において、スクリーンが散乱状態となる。電圧を印加すると、印加電圧に応じた平行光線透過率の透明な透過状態となる。そして、スクリーン21の光学状態は、所定の散乱状態が映像状態に対応し、それよりも平行光線透過率が高い透明な透過状態が非映像状態に対応する。なお、本実施例では、リバースモードで説明するが、ノーマルモードでも適用できる。
制御部としての同期制御部31は、映像が投影されるスクリーン21を、投影された映像光を散乱する状態に制御し、投影されていない場合に透過状態に制御する。同期制御部31は、図1に示したように、プロジェクタ11とスクリーン21とに接続される。同期制御部31は、プロジェクタ11の映像光の投影に同期させて、スクリーン21の光学状態を制御する。即ち、スクリーン21の光学状態を映像光を散乱する散乱状態と透過する透過状態とに切り替える。
次に、上述した構成の表示装置1の基本的な動作原理を説明する。図4は、スクリーン21の走査と駆動との同期制御の説明図である。プロジェクタ11は、映像情報で変調された映像光で、スクリーン21を上から下へ縦に走査する。プロジェクタ11は、走査の繰り返し期間(以下、走査周期ともいう。)毎に、スクリーン21を上から下へ縦に走査する。
図4(A)から(E)は、1回の走査周期中の各時点での走査状態を、走査順で示すものである。図4のスクリーン21は、5つの分割領域22を有する。5つの分割領域22は、映像光の走査方向に沿って縦に配列される。
同期制御部31は、プロジェクタ11によるスクリーン21の一次元の縦方向の走査に同期させて、5つの分割領域22の光学状態を個別に制御する。各分割領域22は、映像光が投影されていない場合、非映像状態、すなわち入射光の散乱が小さい透明な透過状態に制御される。
映像光の走査が開始されると、プロジェクタ11の走査光は、まず、図4(A)のように、スクリーン21の最上部の分割領域22に照射される。以下、この説明において、走査光が照射される分割領域22について、走査されていない他の分割領域22から区別するために、符号221を使用する。同期制御部31は、プロジェクタからの同期信号に基づいて、走査周期中での、この最上部の分割領域221が走査される期間を特定し、最上部の分割領域221を映像状態に制御する。最上部の分割領域221を走査する映像光は、散乱状態の分割領域221により散乱され、スクリーン21を透過する。
映像光の走査は、次に、図4(B)のように、スクリーン21の上から2番目の分割領域221に移動する。同期制御部31は、走査周期中での、この上から2番目の分割領域221が走査される期間を特定し、上から2番目の分割領域221を映像状態に制御する。上から2番目の分割領域221を走査する映像光は、散乱状態の分割領域221により散乱され、スクリーン21を透過する。また、同期制御部31は、上から2番目の分割領域221を映像状態に制御した後、最上部の分割領域22を非映像状態に制御する。その後も、図4(C)から(E)に示すように、同期制御部31は、走査光により走査される分割領域221を映像状態に制御し、それ以外の分割領域22を非映像状態に制御する。
以上の同期制御により、スクリーン21についての走査光が照射される部位は、映像状態に維持される。これにより、スクリーン21を走査する映像光は、散乱状態のスクリーン21で散乱される。また、スクリーン21についての走査光が照射されない部位は、非映像状態に制御される。各分割領域22は、走査光により走査されていない殆どの期間において、非映像状態の透明な透過状態に制御される。映像光の投影期間中に、映像の視認性を保ちつつ、スクリーン21のシースルー特性が得られる。
図5に、本実施例にかかるプロジェクタ11の投影方式の説明を示す。図5は、スクリーン21を走査するプロジェクタ11の説明図である。図5(A)は、プロジェクタ11がスクリーン21を走査する投影方式の説明図である。この場合、スクリーン21には、走査周期において常に映像光が投影される。しかしながら、スクリーン21の各部に注目すると、図5(B)に示すように走査周期の一部において映像光が投影されている。このため、図5(C)に示すように、スクリーンの各部は、各々が走査される部分走査期間TPにおいて散乱状態になればよい。また、スクリーン21の各部分は、該部分走査期間TP以外の期間において平行光線透過率を高くするように制御すれば、走査周期において、映像の輝度低下を招くことなく、スクリーン21のシースルー特性が得られる。
図3に示したスクリーン21のように一方向に短冊状に分割されている場合、プロジェクタ11の投影光は、スクリーン21の分割方向に順次走査される。同期制御部31は、プロジェクタ11からの同期信号に基づいて、プロジェクタ11の投影光が照射される部位が映像状態(本実施例では散乱状態)に維持されるように、複数の分割領域22を、走査順で、透明な透過状態から散乱状態に制御する。この同期制御により、スクリーン21の各分割領域22は、当該領域に投影光が照射される映像期間を含む期間Ton(図6参照)において、映像状態としての散乱状態になる。また、投影光が照射されない非映像期間Toff(図6参照)においては、非映像状態としての透明な透過状態となる。
したがって、スクリーン21は、その背面の物体を認識しうる透明さを有しつつ、常時散乱状態とした場合と同等の明るさで映像光を散乱して透過できる。つまり、背景物体を認識することが可能なシースルー性と、映像の高い視認性とを両立することが可能となる。
図6は、スクリーン21の走査と駆動との模式的なタイミングチャートである。横軸は、時間である。縦軸は、スクリーンの縦方向の位置を示し、スクリーン21での複数の分割領域22に対応する。
スクリーン21の各分割領域22は、各々の領域を映像光が走査し始めるタイミングより前に、透明な透過状態から散乱状態に制御される。また、散乱状態の分割領域22は、当該領域についての走査が終了した後に、散乱状態から透明な透過状態に制御される。
複数の分割領域22は、各々の領域に映像光が走査により照射される部分走査期間TPに同期して映像状態(散乱状態)に制御されることにより、走査順で、時間をずらして、順次映像状態へ切り替えられる。スクリーン21を走査する映像光は、映像状態に維持された部分により、効率よく散乱され、明るく高い視認性を得ることができる。なお、図6中映像光走査が3本の矢印で表示されているが、これは赤緑青の光の3原色それぞれに対応する映像光を示している。
この同期制御のための切り替えタイミングの情報は、同期信号としてプロジェクタ11から同期制御部31に送出される。同期制御部31は、好ましくは、各分割領域22の光学状態が所定の散乱状態に安定している期間に投影光が照射されるように、対向電極26と各制御電極27へ印加する電圧を制御する。各分割領域22の光学状態は、制御電極27へ印加する電圧の信号波形により切り替わる。特に、プロジェクタ11が同期制御部31へ出力する切り替えタイミングの情報には、プロジェクタ11の各フレームの走査を開始するタイミングの情報と、走査速度(走査の遅延/シフト)とを含めるとよい。これにより、フレーム周波数が変化した場合にも、映像を乱すことなく、良好なシースルー表示を実現できる。なお、プロジェクタ11および同期制御部31をマイクロ波、赤外線などの電磁波を用いたワイヤレス通信可能とし、これらの同期を得るための情報を無線信号により授受してもよい。
以上の同期制御により、本実施形態の同期制御部31は、映像光の走査周期(フレーム周期)Tにおける複数の分割領域22の光学状態を、プロジェクタ11による映像光の走査に同期させて切り替えて、スクリーン21についての、映像光が投影される部位の光学状態を映像状態とする。
よって、スクリーン21は、映像光が照射されるタイミングを含む期間Tonにおいて、映像光が照射される部位が散乱状態に維持されるため、映像を表示できる。
しかも、スクリーン21は、映像光の投影期間中に、各部位が期間Ton以外の時間では透明な透過状態に制御されるので、スクリーン21を透視することができる。人間の目にはスクリーン21の透過光が平均(積分)化されて見えるので、十分短い走査周期の場合、フリッカを感じることのないシースルー特性が得られる。
表示装置1では、例えば図1の設置環境下では、図7に示したように画像を視認できる。図7は、映像光による映像とスクリーン21の背景とが重なる表示状態の説明図である。図7では、スクリーン21の右側に映像光による人物41の像が映り、左側に、スクリーン21の向こう側にある背景としての樹木42を見ることができる。
次に、図8に同期制御部31の機能的構成を示す。同期制御部31は、タイミング制御回路311と、立ち上げ選択回路312と、駆動電源回路313と、共通駆動回路314と、選択駆動回路315と、を備えている。
タイミング制御回路311は、共通制御信号発生回路311aと、選択同期信号発生回路311bと、立ち上げ調整信号発生回路311cと、立ち上げ同期信号発生回路311dと、ヘイズ調整信号発生回路311eと、ヘイズ同期信号発生回路311fと、を備えている。
共通制御信号発生回路311aは、共通制御信号を発生する。共通制御信号は、プロジェクタ11から取得する映像投影の同期信号に基づいて発生(生成)される信号であり、同期制御部31内で発生(生成)される各種制御信号の基準となる信号である。本実施例では、後述するように光学層25の光学状態を変化させる周期の2倍の周期(フレーム周期Tの2倍である2T)の矩形波となっている。なお、この共通制御信号は、同期制御部31内部で発生してもよく、この場合は、プロジェクタ周期を外部から設定し、設定されたプロジェクタ周期に基づいて共通制御信号を発生する。そして、同期制御部31内部で生成された共通制御信号は、プロジェクタ11に出力され、プロジェクタ11は、その共通制御信号に基づいて映像を投影する。
選択同期信号発生回路311bは、共通制御信号発生回路311aで発生した共通制御信号と、プロジェクタ11の走査位置に合わせて制御するスクリーン21の各領域の制御開始タイミングを決めるための周期である次領域移行周期と、に基づいて選択同期信号を発生する。次領域移行周期は、外部から設定される値である。次領域移行周期は、例えば、1フレーム周期Tをスクリーン21の分割数で割った値とすることができる。
立ち上げ調整信号発生回路311cは、共通制御信号発生回路311aで発生した共通制御信号と、散乱状態に立ち上げる期間(オーバードライブ電圧を印加する期間)を定めた立ち上げ調整量と、に基づいて立ち上げ調整信号を発生する。立ち上げ調整量は、外部から設定される値である。
立ち上げ同期信号発生回路311dは、次領域移行周期と、立ち上げ調整信号発生回路で発生した立ち上げ調整信号に基づいて立ち上げ同期信号を発生する。
ヘイズ調整信号発生回路311eは、共通制御信号発生回路311aで発生した共通制御信号と、次領域移行周期と、立ち上げ調整信号発生回路311cで発生した立ち上げ調整信号と、散乱期間を定めたヘイズ調整量と、に基づいてヘイズ調整信号を発生する。
ヘイズ同期信号発生回路311fは、次領域移行周期と、ヘイズ調整信号発生回路311eで発生したヘイズ調整信号に基づいてヘイズ調整信号を発生する。
立ち上げ選択回路312は、図9に示したように、立ち上げ終了信号生成回路312aと、立ち上げ信号生成回路312bと、を備えている。
立ち上げ終了信号生成回路312aは、立ち上げ調整信号発生回路311cで発生した立ち上げ調整信号と、立ち上げ同期信号発生回路311dで発生した立ち上げ同期信号と、に基づいて立ち上げ終了信号を生成する。
立ち上げ終了信号生成回路312aの回路例を図10に示す。図10に示したように、立ち上げ終了信号生成回路312aは、立ち上げ調整信号を複数のD型フリップフロップDFFを直列に接続したシフトレジスタによってシフトしている。
複数のD型フリップフロップDFFは、立ち上げ同期信号がクロックに接続されている。そして、立ち上げ調整信号を選択A立ち上げ終了信号として出力し、シフトレジスタの1段目の出力を選択B立ち上げ終了信号として出力し、シフトレジスタの2段目の出力を選択C立ち上げ終了信号として出力し、シフトレジスタの3段目の出力を選択D立ち上げ終了信号として出力し、シフトレジスタの4段目の出力を選択E立ち上げ終了信号として出力する。ここで、A〜Eは、スクリーン21の複数に分割された領域の1つ(複数の制御電極27のうちの1つ)を示し、A〜Eの順に配置されてその順序で散乱状態に遷移させるものとする(以降領域A〜Eとする)。また、シフトレジスタの段数はスクリーン21の分割数(制御電極27の数)により設定され、分割数をnとするとn−1段となる。
立ち上げ信号生成回路312bは、立ち上げ終了信号生成回路312aが生成した立ち上げ終了信号(選択A立ち上げ終了信号〜選択E立ち上げ終了信号)と、後述する選択開始信号生成回路315aが生成した選択開始信号(選択A開始信号〜選択E開始信号)と、に基づいて立ち上げ信号を生成する。
立ち上げ信号生成回路312bの回路例を図11に示す。図11に示したように、立ち上げ信号生成回路312bは、立ち上げ終了信号と選択開始信号との排他的論理和演算を行って生成される。例えば、選択A立ち上げ終了信号と選択A開始信号を2入力排他的論理和演算回路XORに入力し、その出力が選択A立ち上げ信号となる。領域B、C、D、Eも同様である。
電源部、第1共通電圧波形生成部、第2共通電圧波形生成部、第3共通電圧波形生成部としての駆動電源回路313は、共通制御信号発生回路311aで発生した共通制御信号と、立ち上げ選択回路312で生成された選択A立ち上げ信号〜選択E立ち上げ信号に基づいて、後述するゲートドライバ314bと、ゲートドライバ315dと、に図12に示すオフ時共通電圧と、オン時共通電圧と、立ち上げ選択電圧を生成し出力する。なお、駆動電源回路313に入力される選択A立ち上げ信号〜選択E立ち上げ信号はそれぞれ個別に入力せずに各選択立ち上げ信号の論理和を取って合成した信号を立ち上げ信号として入力してもよい。
駆動電源回路313は上述したオフ時共通電圧と、オン時共通電圧と、立ち上げ選択電圧を生成するために、オーバードライブ時に印加する電圧である電圧V1と散乱状態を安定させるために印加する電圧であって電圧V1よりも低い電圧V2を生成する。即ち、電圧V1が第1電圧、電圧V2が第2電圧に相当し、駆動電源回路313は、これらの電圧を生成する。
オフ時共通電圧は、図12に示したように、オーバードライブ時に印加する電圧である電圧V1から散乱状態を安定させるために印加する電圧である電圧V2を減算した電圧(V1−V2)と基準電位としての0ボルトとが交互に変化する電圧である。即ち、オフ時共通電圧が、第1共通電圧波形となる。オフ時共通電圧の2つの電位間の変化周期は次領域移行周期と同じである。つまり、オフ時共通電圧の2つの電位間の変化周期は、制御電極27(第2電極群)の分割数に基づく周期となっている。そして、オフ時共通電圧は、共通制御信号の変化に合わせてデューティ比が逆転する。つまり、最初のフレーム期間Tのときは、0ボルトとV1−V2の変化の1周期当たりの0ボルトの期間をt1、V1−V2の期間をt2とすると、次のフレーム期間Tでは、0ボルトとV1−V2の変化の1周期あたりのV1−V2の期間がt1、0ボルトの期間がt2となる。即ち、光学層の光学状態を変化させる周期でデューティ比が逆転している。なお、図12のt1の期間は、立ち上げ信号がHighレベルになる期間と一致する。
オン時共通電圧は、図12に示したように、前記した電圧V1と前記した電圧V2とが交互に変化する電圧である。即ち、オン時共通電圧が、第2共通電圧波形となる。オン時共通電圧の2つの電位間の変化周期は次領域移行周期と同じである。つまり、オン時共通電圧の2つの電位間の変化周期は、制御電極27(第2電極群)の分割数に基づく周期となっている。そして、オン時共通電圧は、共通制御信号の変化に合わせてデューティ比が反転する。つまり、最初のフレーム期間Tのときは、V2とV1の変化の1周期当たりのV2の期間をt1、V1の期間をt2とすると、次のフレーム期間Tでは、V2とV1の変化の1周期あたりのV1の期間がt1、V2の期間がt2となる。即ち、光学層の光学状態を変化させる周期でデューティ比が反転している。
立ち上げ選択時電圧は、図12に示したように、前記した電圧V1と0ボルトが共通制御信号と同じ周期で交互に変化する。即ち、立ち上げ選択時電圧が、第3共通電圧波形となる。なお、本実施例では基準電位として0ボルト(グランドレベル)で説明するが、電圧V1と電圧V2の基準となる電位であれば、0ボルトに限らない。
タイミング生成部としての共通駆動回路314は、図9に示したように、共通電極制御信号生成回路314aと、ゲートドライバ314bと、を備えている。
共通電極制御信号生成回路314aは、共通制御信号発生回路311aで発生した共通制御信号に基づいて共通電極となる対向電極26の制御信号(共通電極制御信号)を生成する。共通電極制御信号生成回路314aの回路例を図15に示す。なお、図15は後述する選択電極制御信号生成回路315cにかかる部分も含まれるため、説明は後述する。
ゲートドライバ314bは、共通電極(対向電極26)に電圧を印加する。ゲートドライバ314bは、共通電極制御信号生成回路314aで生成した共通電極制御信号に基づいて駆動電源回路313から入力されるオフ時共通電圧とオン時共通電圧とを選択して共通電極に印加する。
タイミング生成部としての選択駆動回路315は、図9に示したように、選択開始信号生成回路315aと、選択終了信号生成回路315bと、選択電極制御信号生成回路315cと、ゲートドライバ315dと、を備えている。
選択開始信号生成回路315aは、共通制御信号発生回路311aで発生した共通制御信号と、選択同期信号発生回路311bで発生した選択同期信号に基づいて選択開始信号を生成する。
選択開始信号生成回路315aの回路例を図13に示す。図13に示したように、選択開始信号生成回路315aは、共通制御信号を複数のD型フリップフロップDFFを直列に接続したシフトレジスタによってシフトしている。
複数のD型フリップフロップDFFは、選択同期信号がクロックに接続されている。そして、選択同期信号を選択A開始信号として出力し、シフトレジスタの1段目の出力を選択B開始信号として出力し、シフトレジスタの2段目の出力を選択C開始信号として出力し、シフトレジスタの3段目の出力を選択D開始信号として出力し、シフトレジスタの4段目の出力を選択E開始信号として出力する。また、シフトレジスタの段数はスクリーン21の分割数(制御電極27の数)により設定され、分割数をnとするとn−1段となる。
選択終了信号生成回路315bは、ヘイズ調整信号発生回路311eで発生したヘイズ調整信号と、ヘイズ同期信号発生回路311fで発生したヘイズ同期信号と、に基づいて選択終了信号を生成する。
選択終了信号生成回路315bの回路例を図14に示す。図14に示したように、選択終了信号生成回路315bは、ヘイズ調整信号を複数のD型フリップフロップDFFを直列に接続したシフトレジスタによってシフトしている。
複数のD型フリップフロップDFFは、ヘイズ同期信号がクロックに接続されている。そして、ヘイズ同期信号を選択A終了信号として出力し、シフトレジスタの1段目の出力を選択B終了信号として出力し、シフトレジスタの2段目の出力を選択C終了信号として出力し、シフトレジスタの3段目の出力を選択D終了信号として出力し、シフトレジスタの4段目の出力を選択E終了信号として出力する。また、シフトレジスタの段数はスクリーン21の分割数(制御電極27の数)により設定され、分割数をnとするとn−1段となる。
選択電極制御信号生成回路315cは、選択開始信号(選択A開始信号〜選択E開始信号)と、選択終了信号(選択A終了信号〜選択E終了信号)と、に基づいて選択電極となる制御電極27の制御信号(選択電極制御信号)を複数の制御電極27毎に生成する。
選択電極制御信号生成回路315cの回路例を図15に示す。図15に示したように、選択電極制御信号生成回路315cは、選択開始信号と選択終了信号との排他的論理和演算を行い、その結果と共通制御信号の反転信号との排他的論理和演算を行って生成される。例えば、選択A開始信号と選択A終了信号を2入力排他的論理和演算回路XOR1に入力し、その出力と共通制御信号が入力される論理否定回路INVの出力を2入力排他的論理和演算回路XOR2に入力して、その出力が選択電極A制御信号となる。領域B、C、D、Eも同様である。共通電極制御信号は、共通制御信号を論理否定回路INVで反転した信号である。
ゲートドライバ315dは、複数の選択電極(制御電極27)にそれぞれ個別に電圧を印加する。ゲートドライバ315dは、選択電極制御信号生成回路315cで生成した選択電極制御信号(選択電極A制御信号〜選択電極E制御信号)に基づいて駆動電源回路313から入力されるオフ時共通電圧とオン時共通電圧と立ち上げ選択時電圧とを選択して複数の選択電極にそれぞれ個別に印加する。
次に、上述した構成の表示装置1の動作を図16および図17のタイミングチャートを参照して説明する。プロジェクタ同期信号は、プロジェクタ11から取得する映像投影の同期信号であり、フレーム周期Tごとに入力される。共通制御信号は、プロジェクタ同期信号に基づいて生成されている。本実施例では、映像投影の同期信号の周期(フレーム周期)Tの2倍である2Tの周期の矩形波(パルス信号)となっている。共通制御信号は、プロジェクタ同期信号を受けたαpj後にリセットがかかるように調整される。これは、領域が十分散乱状態となったときにプロジェクタの走査光が照射されるようにスクリーンを散乱させるために同期を合わせる必要があるためである。αpjは外部から調整することができ、プロジェクタとスクリーンとの固定位置によってその値は異なる。選択同期信号は、次領域移行周期によって定まる周期PWの矩形波である。そして、共通制御信号に同期しており、選択同期信号は共通制御信号の変化点(フレーム周期Tごと)でリセットされる。
立ち上げ調整信号は、立ち上げ調整量によって定まる立ち上げ期間αupだけ共通制御信号を遅延させた信号である。立ち上げ同期信号は、次領域移行周期によって定まる周期PWの矩形波である。そして、立ち上げ同期信号は立ち上げ調整信号に同期して生成される。つまり、立ち上げ調整信号の変化点(フレーム周期Tごと)でリセットされ、立ち上げ期間αupだけ選択同期信号から遅延されている。
ヘイズ調整信号は、立ち上げ調整量によって定まる立ち上げ期間αupと、次領域移行周期によって定まる周期PWと、散乱期間を定めたヘイズ調整量によって定まるヘイズ調整期間αhazeを、加算した時間だけ共通制御信号を遅延させた信号である。つまり、立ち上げ調整信号からPW+αhaze分遅延した信号である。ヘイズ同期信号は、次領域移行周期によって定まる周期PWの矩形波である。そして、ヘイズ同期信号はヘイズ調整信号に同期して生成される。つまり、ヘイズ調整信号の変化点(周期Tごと)でリセットされ、立ち上げ期間αupと、周期PWと、ヘイズ調整期間αhazeの加算時間だけ選択同期信号から遅延されている。
選択A開始信号は、図13に示したように共通制御信号である。選択B開始信号は、選択A開始信号を選択同期信号1周期分遅延させた(D型フリップフロップ1段分遅延させた)信号である。選択C開始信号は、選択B開始信号を選択同期信号1周期分遅延させた信号である。選択D開始信号は、選択C開始信号を選択同期信号1周期分遅延させた信号である。選択E開始信号は、選択D開始信号を選択同期信号1周期分遅延させた信号である。
選択A立ち上げ終了信号は、図10に示したように立ち上げ制御信号である。選択B立ち上げ終了信号は、選択A立ち上げ終了信号を立ち上げ同期信号1周期分遅延させた(D型フリップフロップ1段分遅延させた)信号である。選択C立ち上げ終了信号は、選択B立ち上げ終了信号を立ち上げ同期信号1周期分遅延させた信号である。選択D立ち上げ終了信号は、選択C立ち上げ終了信号を立ち上げ同期信号1周期分遅延させた信号である。選択E立ち上げ終了信号は、選択D立ち上げ終了信号を立ち上げ同期信号1周期分遅延させた信号である。
選択A終了信号は、図14に示したようにヘイズ調整信号である。選択B終了信号は、選択A終了信号をヘイズ同期信号1周期分遅延させた(D型フリップフロップ1段分遅延させた)信号である。選択C終了信号は、選択B終了信号をヘイズ同期信号1周期分遅延させた信号である。選択D終了信号は、選択C終了信号をヘイズ同期信号1周期分遅延させた信号である。選択E終了信号は、選択D終了信号をヘイズ同期信号1周期分遅延させた信号である。
図17の共通電極制御信号は、図15に示したように、共通制御信号を反転した信号である。選択電極A制御信号は、図15に示したように、選択A開始信号と選択A終了信号との排他的論理和の結果に、共通制御信号の反転信号(共通電極制御信号)とさらに排他的論理和を演算した結果である。選択電極B制御信号は、選択B開始信号と選択B終了信号との排他的論理和の結果に、共通制御信号の反転信号とさらに排他的論理和を演算した結果である。選択電極C制御信号は、選択C開始信号と選択C終了信号との排他的論理和の結果に、共通制御信号の反転信号とさらに排他的論理和を演算した結果である。選択電極D制御信号は、選択D開始信号と選択D終了信号との排他的論理和の結果に、共通制御信号の反転信号とさらに排他的論理和を演算した結果である。選択電極E制御信号は、選択E開始信号と選択E終了信号との排他的論理和の結果に、共通制御信号の反転信号とさらに排他的論理和を演算した結果である。選択電極A制御信号〜選択電極E制御信号に示したように、スクリーン21は、領域A〜Eの順で順次散乱状態に遷移するタイミングが生成されている。
選択A立ち上げ信号は、図11に示したように、選択A開始信号と選択A立ち上げ終了信号との排他的論理和である。選択B立ち上げ信号は、選択B開始信号と選択B立ち上げ終了信号との排他的論理和である。選択C立ち上げ信号は、選択C開始信号と選択C立ち上げ終了信号との排他的論理和である。選択D立ち上げ信号は、選択D開始信号と選択D立ち上げ終了信号との排他的論理和である。選択E立ち上げ信号は、選択E開始信号と選択E立ち上げ終了信号との排他的論理和である。
立ち上げ信号は、選択A立ち上げ信号〜選択E立ち上げ信号までの論理和を取った(あるいは合成した)信号である。
共通電極は、共通電極である対向電極26に印加される電圧を示している。共通電極には、共通電極制御信号生成回路314aで生成された共通電極制御信号に基づいて駆動電源回路313から入力されるオフ時共通電圧とオン時共通電圧が選択されて印加される。つまり、図17に示したように、共通電極制御信号がOFFの場合は、オフ時共通電圧が選択され、ONの場合はオン時共通電圧が選択される。即ち、光学層25の光学状態を変化させる周期の整数倍の周期で、第1共通電圧波形または第2共通電圧波形のいずれかを交互に印加している。
選択電極A電圧は、選択電極である制御電極27のうちの領域Aに印加される電圧を示している。選択電極には、選択電極制御信号生成回路315cで生成された選択電極A制御信号に基づいて駆動電源回路313から入力されるオフ時共通電圧とオン時共通電圧と立ち上げ選択時電圧とが選択されて印加される。つまり、図17に示したように、選択電極A制御信号がOFFの場合は、オフ時共通電圧が選択され、ONの場合はオン時共通電圧が選択される。そして、選択A立ち上げ信号がONの期間は、立ち上げ選択時電圧が選択される(図17の網掛け部分)。選択電極B電圧〜選択電極E電圧も同じ要領でオフ時共通電圧とオン時共通電圧と立ち上げ選択時電圧とが選択されて印加される。即ち、当該第2電極に対応する光学層25の領域の光学状態を変化させるタイミングで第1共通電圧波形、第2共通電圧波形および第3共通電極波形のいずれかを印加している。
このように共通電極と選択電極(選択電極A〜選択電極E)に電圧が印加されることで、図17に示したように領域A〜領域Eに印加される電圧がシフトするように印加される。即ち、タイミング生成部である共通駆動回路314と選択駆動回路315が、制御電極27の配置されている順序で、順次光学層25の光学状態を変化させるタイミングを生成している。したがって、スクリーン21の散乱状態も領域A〜領域Eの順にシフトするように変化する。また、各領域の散乱状態に変化する先頭で電圧V1が印加されてオーバードライブを行い、その後電圧V2を印加して散乱状態を安定させている。
また、領域A〜Eが散乱状態となる期間は、立ち上げ期間αupと周期PWとヘイズ調整期間αhazeとの和であるが、立ち上げ期間αupは、光学層25の特性により定まり、周期PWは実質的に映像光を投影する期間であるので、これらの期間は予め定まる固定値とすることができる。したがって、散乱状態となる期間は実質的にヘイズ調整期間αhazeにより調整することができ、ヘイズ調整期間αhazeを設定するヘイズ調整量が散乱期間設定値に相当する。
本実施例によれば、表示装置1の同期制御部31は、スクリーン21の選択電極である複数の制御電極27に印加するオーバードライブの電圧V1と、電圧V1よりも低い電圧であり散乱を安定させる電圧V2を生成し、電圧V1と電圧V2との差の電圧と、0ボルトを示す電圧と、が複数の制御電極27の数に基づく周期PWで交互に変化するオフ時共通電圧を生成し、電圧V1と、電圧V2と、が複数の制御電極27の数に基づく周期PWで交互に変化するオン時共通電圧を生成し、さらに、電圧V1と、0ボルトを示す電圧と、が光学層25を散乱状態に変化させる周期Tの2倍の周期で交互に変化する立ち上げ選択時電圧を生成する駆動電源回路313を有している。そして、ゲートドライバ314bが、対向電極26に、光学層25を散乱状態に変化させる周期の2倍の周期で、オフ時共通電圧またはオン時共通電圧のいずれかを交互に印加し、制御電極27に、当該制御電極27に対応する光学層25を散乱状態に変化させるタイミングでオフ時共通電圧、オン時共通電圧、立ち上げ選択時電圧のいずれかを印加する。このようにすることにより、オーバードライブをする期間に立ち上げ選択時電圧を選択し、それ以外は、オフ時共通電圧とオン時共通電圧を必要なタイミングで選択して制御電極27に印加すればよいので、3つから選択するようにでき、フレーム反転駆動とオーバードライブを行う場合に回路規模を小さくすることができ、コストアップを抑えることができる。
また、フレーム反転駆動を行うための制御信号は、ゲートドライバ314b、315dの前段までに生成されており、ゲートドライバ314b、315dでは、その制御信号に基づいてオフ時共通電圧、オン時共通電圧、立ち上げ選択時電圧のいずれかを印加すればよいので回路構成をシンプルにすることができる。
また、オフ時共通電圧が、フレーム周期Tで、複数の制御電極27の数に基づく周期PWにおける、電圧V1と電圧V2との差の電圧と、0ボルトを示す電圧と、のデューティ比を逆転させ、オン時共通電圧が、フレーム周期Tで、複数の制御電極27の数に基づく周期PWにおける、電圧V1と、電圧V2と、のデューティ比を逆転させていている。このようにすることにより、フレーム反転駆動の際に極性が反転しても対向電極26と制御電極27に散乱状態となる電位差を与えることができる。
また、同期制御部31が、光学層25を散乱状態に変化させるタイミングである選択電極制御信号を生成する共通駆動回路314と選択駆動回路315を有し、選択駆動回路315が、複数の制御電極27の配置されている順序で、順次選択電極制御信号を生成している。このようにすることにより、複数の制御電極27の配置順を例えば、プロジェクタ11の走査順とすれば、スクリーン21の走査される領域のみを散乱状態にすることができる。したがって、スクリーン21越しの背景物体を認識することが可能なシースルー性と、表示される映像の高い視認性とを両立することが可能となる。
また、選択駆動回路315に、光学層25を散乱状態に変化させる期間を定めるヘイズ調整量に基づいて発生したヘイズ調整信号が入力され、ヘイズ調整信号に基づいて選択電極制御信号が生成されるので、散乱状態の期間に応じて、オフ時共通電圧やオン時共通電圧を印加するタイミングを決定することができる。
また、図17の領域Eのように、共通電極の電圧が変化するタイミング(共通電極制御信号が変化するタイミング)を跨いで散乱状態にする場合、対応する選択電極E制御信号が反転することで、選択電極E電圧の波形も共通電極との電位差を維持するようにしている。このようにすることにより、複数の領域に分割された電極のうち、散乱期間が共通電極の電圧値変化タイミングにかかってしまう選択電極も設定した期間分の散乱期間を維持させることができ、領域によって散乱期間維持時間が異なることによる表示のムラなど表示の劣化を防止することができる。
また、上述した同期制御部31にCPUを内蔵し、そのCPUで動作するプログラムによって同期制御部31のタイミング制御回路311、立ち上げ選択回路312、共通駆動回路314、選択駆動回路315の各回路の機能を実現してもよい。そして、駆動電源回路313に対しては、当該CPUがオフ時共通電圧、オン時共通電圧、立ち上げ選択時電圧を生成させて(第1共通電圧波形生成工程、第2共通電圧波形生成工程、第3共通電圧波形生成工程)、ゲートドライバ314b、315dに対して共通電圧制御信号と選択電極制御信号を生成してオフ時共通電圧、オン時共通電圧、立ち上げ選択時電圧を選択させる(電圧印加工程)ようにしてもよい。
なお、図17に示したタイミングチャートは、選択A立ち上げ信号〜選択E立ち上げ信号の全てを合成した立ち上げ信号は間欠状に出力されていた。ここで、例えば、映像期間を60Hzで、ヘイズ感なく透視性を高めるために20領域以上に分割したときは、1領域の期間は単純に分割すると約800μs以下となるが、比較的高速な液晶ディスプレイの応答速度でも現状では1ms程なので、実際の立ち上げ期間αupは、1領域の期間以上必要となる可能性がある。したがって、αupを1領域の期間以上(次領域移行周期PW以上)としたときには、すべて合成した立ち上げ信号は間欠状だったものが連結したものとなる(図18参照)。立ち上げ信号がオフとなっている残りの期間をオン状態とみなすと、共通電極電圧は電圧V1か0ボルト(グランドレベル)の矩形波に、立ち上げ信号に依存しないオフ時共通電圧は2T期間にて電圧V1−電圧V2およびGNDの矩形波に、オン時共通電圧も電圧V1または電圧V2の矩形波になる(図19参照)。このような条件の場合は駆動電源回路313を制御するための立ち上げ信号は不要となる。
また、上述した実施例では、図8乃至図15に示した構成で図17に示した共通電圧と、選択電極A電圧〜選択電極E電圧を生成していたが、これらの電圧は以下のような各波形を重畳したものとも言える。共通電圧は、共通制御信号に示したような矩形波(第1矩形波電圧)と、オフ時共通電圧に分解することができる。また、選択電極A電圧〜選択電極E電圧も、同様に、選択電極A制御信号〜選択電極E制御信号に示したような波形と、オフ時共通電圧と、オーバードライブをしている期間は、対向電極26と制御電極27との間の電位差がより大きくなるパルス電圧波形(第2パルス電圧)と、に分解することができる。
そして、選択電極A制御信号〜選択電極E制御信号は、共通制御信号と同じ周期の矩形波(第2矩形波電圧)と、それぞれの電極に対応する光学層25を散乱状態にするタイミングで対向電極26と制御電極27との間に電位差を与えることができるパルス波形(第1パルス電圧)と、に分解することができる。
ここで、各選択電極のオーバードライブ時に印加されるパルス電圧波形を合成した波形(図17網掛け部分を合成した波形;第3パルス電圧)をその中央値に対して反転すると、オフ時共通電圧(第4パルス電圧)と同じ波形となる。
したがって、第1矩形波電圧に第4パルス電圧を重畳すれば共通電極の波形となる。また、第2矩形波電圧に第1パルス電圧と第2パルス電圧と第4パルス電圧を重畳すれば選択電極A電圧〜選択電極E電圧と同じ波形となる。
このような、第1矩形波電圧に第4パルス電圧を重畳して共通電極の波形を生成したり、第2矩形波電圧に第1パルス電圧と第2パルス電圧と第4パルス電圧を重畳して選択電極の波形を生成したりする方法も論理回路やCPU等の制御により各矩形波やパルス波形と生成して、順次重畳することで生成することができる。