JP2015067514A - 活性炭原料組成物、活性炭、活性炭素繊維およびそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】容易な条件で活性炭を得ることができる活性炭原料組成物、その活性炭原料組成物を用いて得られる活性炭、活性炭素繊維およびそれらの製造方法を提供すること。
【解決手段】活性炭原料組成物にマレイン酸変性リグニンと無水マレイン酸とを含有させる。また、リグニンと無水マレイン酸とを混合し、マレイン酸変性リグニンと無水マレイン酸とを含む活性炭原料組成物を得て、得られた活性炭原料組成物を水洗し、不溶融化させ、不溶融化させた活性炭原料組成物を焼成させることにより活性炭を得る。また、不溶融化の前に、活性炭原料組成物を加熱して溶融させ、溶融した活性炭原料組成物を紡糸することにより活性炭素繊維を得る。
【選択図】なし
【解決手段】活性炭原料組成物にマレイン酸変性リグニンと無水マレイン酸とを含有させる。また、リグニンと無水マレイン酸とを混合し、マレイン酸変性リグニンと無水マレイン酸とを含む活性炭原料組成物を得て、得られた活性炭原料組成物を水洗し、不溶融化させ、不溶融化させた活性炭原料組成物を焼成させることにより活性炭を得る。また、不溶融化の前に、活性炭原料組成物を加熱して溶融させ、溶融した活性炭原料組成物を紡糸することにより活性炭素繊維を得る。
【選択図】なし
Description
本発明は、活性炭原料組成物、活性炭、活性炭素繊維およびそれらの製造方法に関し、詳しくは、リグニンを用いて得られる活性炭原料組成物、その活性炭原料組成物を用いて得られる活性炭、活性炭素繊維およびそれらの製造方法に関する。
従来より、活性炭は、吸着剤や触媒担体、電極材料などとして、広く用いられている。とりわけ、活性炭素繊維は、表面積が大きく、吸着性に優れ、また、織布状などに容易に加工できることから、種々の分野で使用されている。
このような活性炭(活性炭素繊維を含む)の製造原料としては、木材や、石油コークス、石炭コークスなどが知られているが、近年では、パルプの製造などにおいて副生物として得られるリグニンを用いることが検討されている。
具体的には、例えば、木材とポリエチレングリコール(PEG)とを混合して、パルプを製造するとともに、PEG変性リグニンを製造し、次いで、得られたPEG変性リグニンを145〜172℃に加熱して溶融および紡糸した後、1〜6Mの塩酸水溶液に100℃で2〜6時間浸漬して不溶融化処理し、その後、加熱により炭化させることによる活性炭素繊維製造方法が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
Jian Lin,Satoshi Kubo,Tatsuhiko Yamada,Keiichi Koda,and Yasumitsu Uraki、CHEMICAL THERMOSTABILUZATION FOR THE PREPARATION OF CARBON FIBERS FROM SOFTWOOD LIGNIN、Bio Resource 7(4)、5634−5646
上記非特許文献1の技術は、リグニンを用いて活性炭素繊維を得る技術として一般的に認められているものである。
しかしながら、上記の方法では、不溶融化処理において、PEG変性リグニンを、1〜6M塩酸水溶液に100℃で2〜6時間浸漬するという厳しい条件下で処理する必要があり、より容易に活性炭素繊維を得ることができる方法が求められている。
本発明の目的は、容易な条件で活性炭、とりわけ、活性炭素繊維を得ることができる活性炭原料組成物、その活性炭原料組成物を用いて得られる活性炭、活性炭素繊維およびそれらの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の活性炭原料組成物は、マレイン酸変性リグニンと、無水マレイン酸とを含むことを特徴としている。
また、本発明の活性炭原料組成物では、前記マレイン酸変性リグニンおよび前記無水マレイン酸の総量100質量部に対して、前記無水マレイン酸の含有割合は、10質量部以上100質量部未満であることが好適である。
また、本発明の活性炭は、上記活性炭原料組成物を用いて得られることを特徴としている。
また、本発明の活性炭は、活性炭素繊維であることが好適である。
また、本発明の活性炭原料組成物の製造方法は、リグニンと無水マレイン酸とを混合して混合物を得る工程と、前記混合物を反応させる工程とを含むことを特徴としている。
また、本発明の活性炭原料組成物の製造方法では、前記リグニンは、草本系リグニンであることが好適である。
また、本発明の活性炭原料組成物の製造方法では、前記リグニンは、粉末状であることが好適である。
また、本発明の活性炭原料組成物の製造方法では、前記無水マレイン酸の混合割合は、前記リグニン100質量部に対して、50質量部以上500質量部以下であることが好適である。
また、本発明の活性炭の製造方法は、リグニンと無水マレイン酸とを混合し、マレイン酸変性リグニンと無水マレイン酸とを含む活性炭原料組成物を得る調製工程と、前記活性炭原料組成物を水洗し、不溶融化させる不溶融化工程と、前記不溶融化させた前記活性炭原料組成物を焼成させる焼成工程とを含むことを特徴としている。
また、本発明の活性炭の製造方法では、前記不溶融化工程の前に、前記活性炭原料組成物を加熱して溶融させる加熱溶融工程と、前記溶融した前記活性炭原料組成物を紡糸する紡糸工程とを備え、活性炭素繊維を得ることが好適である。
本発明の活性炭原料組成物は、マレイン酸変性リグニンと、無水マレイン酸とを含むため、容易な条件で紡糸し、かつ、容易な条件で不溶融化させることができる。そのため、活性炭、とりわけ、活性炭素繊維をより容易に得ることができる。
また、本発明の活性炭および活性炭素繊維は、原料として、本発明の活性炭原料組成物が用いられるので、容易に得ることができる。
また、本発明の活性炭原料組成物の製造方法では、リグニンと無水マレイン酸とを混合して混合物を得て、その混合物を反応させるため、容易な条件で紡糸し、かつ、容易な条件で不溶融化させることができる活性炭原料組成物を得ることができる。そのため、活性炭、とりわけ、活性炭素繊維をより容易に得ることができる。
また、本発明の活性炭の製造方法は、マレイン酸変性リグニンと、無水マレイン酸とを含む活性炭原料組成物を水洗いすることで、不溶融化させるため、活性炭、とりわけ、活性炭素繊維を容易に得ることができる。
本発明の活性炭原料組成物は、マレイン酸変性リグニンと無水マレイン酸とを含有する。
活性炭原料組成物は、以下の製造方法に従って得ることができる。
すなわち、この方法では、例えば、まず、リグニンと無水マレイン酸とを、リグニンに対して無水マレイン酸が過剰となる割合(後述)で混合し、混合物を得る。
リグニンは、例えば、グアイアシルリグニン(G型)、シリンギルリグニン(S型)、p−ヒドロキシフェニルリグニン(H型)などの基本骨格からなる高分子フェノール性化合物であって、例えば、ソーダ法によるパルプ製造など、パルプから紙を製造する際に排出される廃液(黒液)中に含まれる。
リグニンとして、具体的には、例えば、木本系植物由来リグニン、草本系植物由来リグニンなどが挙げられる。
木本系植物由来リグニンとしては、例えば、針葉樹のパルプ廃液から得られる針葉樹系リグニン、例えば、広葉樹のパルプ廃液から得られる広葉樹系リグニンなどが挙げられる。このような木本系植物由来リグニンは、H型を基本骨格とするリグニンを含まず、例えば、針葉樹系リグニンはG型を基本骨格とし、広葉樹系リグニンは、G型およびS型を基本骨格としている。
草本系植物由来リグニンとしては、例えば、イネ科植物から得られるイネ系リグニンなどが挙げられる。このような草本系植物由来リグニンは、H型、G型およびS型の全てを基本骨格としている。
なお、これらリグニンは、特に制限されず、公知の方法で得ることができ、また、市販品を用いることもできる。
また、これらのリグニンは、単独使用または2種類以上併用することができる。
リグニンとして、好ましくは、草本系植物由来リグニンが挙げられる。
また、リグニンとして、好ましくは、粉末状のリグニンが挙げられる。
粉末状のリグニンの平均粒子径は、例えば、1000μm以下、好ましくは、250μm以下である。
粉末状のリグニンの平均粒子径が上記上限値以下であれば、リグニンと無水マレイン酸との反応効率を良好とすることができ、優れた効率でマレイン酸変性リグニンを得ることができる。
無水マレイン酸は、特に制限されず、また、公知の方法で製造することができ、また、市販品を用いることもできる。
リグニンと無水マレイン酸との混合において、それらの混合割合は、リグニンの水酸基に対する無水マレイン酸の当量比(無水マレイン酸のモル数/リグニン中の水酸基のモル数)が、例えば、1を超過、好ましくは、1.2以上、通常、5以下である。
また、質量基準では、リグニン100質量部に対して、無水マレイン酸が、例えば、50質量部以上、好ましくは、70質量部以上、より好ましくは、90質量部以上であり、また、例えば、500質量部以下、好ましくは、300質量部以下、より好ましくは、150質量部以下である。
また、この方法では、必要に応じて、リグニンと無水マレイン酸とを溶媒存在下で混合することもできる。
溶媒としては、リグニン、無水マレイン酸およびマレイン酸変性リグニンに対して不活性であれば、特に制限されないが、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられる。
これら溶媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
溶媒として、好ましくは、芳香族炭化水素類、より好ましくは、トルエンが挙げられる。
溶媒の混合割合は、リグニンおよび無水マレイン酸の総量100質量部に対して、例えば、5質量部以上、好ましくは、20質量部以上、より好ましくは、50質量部以上であり、また、例えば、500質量部以下、好ましくは、300質量部以下、より好ましくは、150質量部以下である。
さらに、この方法では、必要に応じて、触媒(エステル化触媒)を配合することもできる。
触媒としては、例えば、トリエチルアミンなどのアミン類、例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロライドなどの第四級アンモニウム塩、例えば、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類、例えば、テトラフェニルホスホニウムブロマイドなどのホスホニウム塩などが挙げられ、好ましくは、アミン類、より好ましくは、トリエチルアミンが挙げられる。
これら触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
触媒の配合割合は、リグニンおよび無水マレイン酸の総量100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.05質量部以上、より好ましくは、0.1質量部以上であり、また、例えば、50質量部以下、好ましくは、20質量部以下、より好ましくは、5質量部以下である。
次いで、この方法では、上記により得られた混合物を、例えば、常圧(大気圧)下において加熱して反応させ、リグニンを無水マレイン酸により変性させる。
加熱条件としては、加熱温度は、例えば、55℃以上、好ましくは、70℃以上であり、また、例えば、200℃以下、好ましくは、150℃以下である。
また、加熱時間は、例えば、5分以上、好ましくは、10分以上、より好ましくは、1時間以上であり、また、例えば、5時間以下、好ましくは、2時間以下である。
また、例えば、上記の触媒を配合する場合などには、加熱することなく、常温下で、例えば、3〜10日間静置または攪拌し、リグニンを無水マレイン酸により変性させることもできる。
なお、変性反応の終了は、以下の方法により判定される。
すなわち、反応液の一部を過剰の水中に懸濁することで、マレイン酸変性リグニンを沈殿させ、濾過などによって回収した後に、1H−NMRスペクトルを測定し、原料であるリグニンに由来するピークに対するマレイン酸骨格に起因するピーク(6ppm近辺)の強度比の時間変化がなくなった時点で反応終了と判断する。なお、リグニンに由来するピークは、定量性のあるものであればいずれのピークを用いてもよいが、例えば、イソオイゲノール構造の末端メチル基に起因する1.8ppm前後のピークを用いる。このピークは、反応に寄与しない末端メチル基に由来し、かつ、シャープに現れるため、定量に好適である。
また、溶媒が配合される場合には、必要に応じて、公知の方法により、溶媒を除去することができる。
そして、これにより、マレイン酸変性リグニンを得るとともに、そのマレイン酸変性リグニンと、無水マレイン酸(過剰分)とを含む活性炭原料組成物を得ることができる。
活性炭原料組成物において、マレイン酸変性リグニンと無水マレイン酸との含有割合は、マレイン酸変性リグニンおよび無水マレイン酸の総量100質量部に対して、無水マレイン酸が、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上、より好ましくは、30質量部以上であり、また、例えば、100質量部未満、好ましくは、70質量部以下、より好ましくは、50質量部以下である。
活性炭原料組成物において、マレイン酸変性リグニンと無水マレイン酸との含有割合が上記数値の範囲内にあれば、活性炭原料組成物を、容易に溶融紡糸することができ、また、容易に不溶融化させることもできる。
なお、活性炭原料組成物の製造方法は、上記に限定されず、例えば、マレイン酸変性リグニンと無水マレイン酸とを別々に用意し、それらを上記含有割合で配合することもできる。
そして、このような活性炭原料組成物は、マレイン酸変性リグニンと、無水マレイン酸とを含むため、容易な条件で溶融紡糸させることができ、また、容易に不溶融化させることもできる。そのため、活性炭、とりわけ、活性炭素繊維をより容易に得ることができる。
次いで、上記の活性炭原料組成物を用いた活性炭の製造方法について、詳述する。
この方法では、まず、上記のようにリグニンと無水マレイン酸とを混合し、マレイン酸変性リグニンと無水マレイン酸とを含む活性炭原料組成物を得る(調製工程)。
次いで、この方法では、得られた活性炭原料組成物を水洗し、不溶融化させる(不溶融化工程)。
水洗方法は特に制限されず、例えば、上記の活性炭原料組成物に対して水を滴下する方法や、例えば、上記の活性炭原料組成物を水中に浸漬させる方法などが挙げられる。
なお、水温は、例えば、50℃以下、好ましくは、30℃以下である。
また、活性炭原料組成物を水中に浸漬させる場合は、その浸漬時間は、例えば、5分以上、好ましくは、10分以上であり、また、例えば、30分以下、好ましくは、20分以下である。
これにより、マレイン酸変性リグニンが不溶融化されるとともに、上記活性炭原料組成物に含まれる無水マレイン酸が水と反応して、マレイン酸となり、そのマレイン酸は、水に溶けて除去される。
つまり、無水マレイン酸が水洗されることにより除去される。
なお、無水マレイン酸の除去は、以下の方法により確認される。
すなわち、上記活性炭原料組成物の水洗後、さらに、別の水に接触させて、その水(洗液)のpHを測定する。無水マレイン酸が、上記活性炭原料組成物に残留している場合には、マレイン酸となり、洗液とともに溶出されるため、洗液のpHは、3以下になる一方、無水マレイン酸が除去されている場合には、マレイン酸の溶出はなく、洗液のpHは5以上になる。
また、別の確認方法として、上記活性炭原料組成物を水洗後、100℃程度まで加熱しても溶融しないことにより、無水マレイン酸が除去されていることを確認することもできる。
次いで、この方法では、不溶融化させた活性炭原料組成物を焼成する(焼成工程)。
焼成条件としては、焼成温度は、例えば、500℃以上、好ましくは、750℃以上であり、また、例えば、1300℃以下、好ましくは、850℃以下である。
また、焼成時間は、例えば、3分以上、好ましくは、4分以上であり、また、例えば、10分以下、好ましくは、8分以下である。
これにより、活性炭原料組成物を炭化させることができ、活性炭を得ることができる。
また、必要に応じて、得られた活性炭を、例えば、ガス賦活法、薬品賦活法などの公知の方法により、賦活化させることもできる。
ガス賦活法では、例えば、活性炭を水蒸気、二酸化炭素などの賦活ガスと、例えば、750〜1100℃において、適宜の時間、反応させる。
薬品賦活法では、活性炭に塩化亜鉛、リン酸などの薬品、および、過マンガン酸カリウムなどの酸化性を持つ薬品を含浸させ、不活性雰囲気下、400〜1000℃で適宜の時間加熱する。
なお、活性炭を賦活化させるタイミングは、特に制限されず、活性炭を製造した後、賦活させてもよく、また、焼成工程と同時に賦活させてもよい。
そして、このような活性炭の製造方法は、マレイン酸変性リグニンと、無水マレイン酸とを含む活性炭原料組成物を水洗し、不溶融化させるため、活性炭を容易に得ることができる。
また、このような活性炭は、原料として、上記活性炭原料組成物が用いられるので、容易に得ることができる。
また、本発明の活性炭の製造方法は、マレイン酸変性リグニンと、無水マレイン酸とを含む活性炭原料組成物を水洗することにより、不溶融化させるため、活性炭を容易に得ることができる。
また、例えば、上記の活性炭原料組成物を用いて、活性炭素繊維を得ることもできる。
活性炭素繊維を得るには、例えば、まず、上記の不溶融化工程の前に、活性炭原料組成物を、例えば、常圧(大気圧)下で、加熱して溶融させる(加熱溶融工程)。
溶融条件としては、溶融させる温度は、例えば、55℃以上、好ましくは、70℃以上であり、また、例えば、150℃以下、好ましくは、100℃以下である。
なお、活性炭原料組成物が溶融していれば、溶融に要した時間は紡糸工程には影響しない。
次いで、この方法では、溶融された活性炭原料組成物を紡糸する(紡糸工程)。
溶融された活性炭原料組成物を紡糸する方法としては、特に制限されず、例えば、押し出し紡糸装置などの公知の紡糸装置を用いることができる。
なお、紡糸口金としては、通常のものが使用可能であり、孔径は、例えば、0.15mm以上、好ましくは、0.17mm以上であり、また、例えば、0.25mm以下、好ましくは、0.23mm以下である。
また、キャピラー部のL/D(長さ/直径)は、例えば、1.5以上、好ましくは、1.7以上であり、また、例えば、2.5以下、好ましくは、2.3以下である。
紡糸条件としては、紡糸温度は、例えば、210℃以上、好ましくは、230℃以上であり、また、例えば、300℃以下、好ましくは、280℃以下である。
また、紡糸速度は、例えば、200m/分以上、好ましくは、250m/分以上であり、また、例えば、400m/分以下、好ましくは、350m/分以下である。
その後、この方法では、紡糸された活性炭原料組成物を、上記した条件で不溶融化し(不溶融化工程)、その後、上記した条件で焼成する(焼成工程)。
これにより、紡糸された活性炭原料組成物を炭化することができ、活性炭素繊維を得ることができる。
また、必要に応じて、得られた活性炭素繊維を、上記した公知の方法で賦活化させることもできる。
このようにして得られる活性炭原料組成物、および、このような活性炭の製造方法は、溶融紡糸および不溶融化が容易に可能となるため、活性炭、とりわけ、活性炭素繊維をより容易に得ることができる。
さらに、このようにして得られる活性炭原料組成物、および、このような活性炭の製造方法は、比表面積の大きい活性炭および活性炭素繊維を得ることができる。
そのため、吸着剤、触媒担体、電極材料など、公知の活性炭の用途において、好適に使用される。
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。また、以下の説明において特に言及がない限り、「部」および「%」は質量基準である。なお、以下に示す実施例の数値は、実施形態において記載される対応する数値(すなわち、上限値または下限値)に代替することができる。
<活性炭原料組成物の調製、および、活性炭の製造>
(実施例1)
平均粒子径200μmの粉末状のリグニン(草本系リグニン)1質量部と、無水マレイン酸1質量部とを混合し、70℃に昇温させ、無水マレイン酸を溶融させた。次いで、攪拌しながら1時間反応させ、活性炭原料組成物(A)を得た。
<活性炭原料組成物の調製、および、活性炭の製造>
(実施例1)
平均粒子径200μmの粉末状のリグニン(草本系リグニン)1質量部と、無水マレイン酸1質量部とを混合し、70℃に昇温させ、無水マレイン酸を溶融させた。次いで、攪拌しながら1時間反応させ、活性炭原料組成物(A)を得た。
なお、上記した1H−NMR法により、リグニンがマレイン酸変性していることを確認した。
また、得られた活性炭原料組成物(A)における、マレイン酸変性リグニンと無水マレイン酸との含有割合は、マレイン酸変性リグニンおよび無水マレイン酸の総量100質量部に対して、マレイン酸変性リグニンが70質量部であり、無水マレイン酸が30質量部であった。
次いで、得られた活性炭原料組成物(A)1質量部に、空気雰囲気下において、25℃の水を10質量部滴下し、不溶融化した。なお、不溶融化工程において、無水マレイン酸が除去されていることを洗液のpHにより確認した。
その後、活性炭原料組成物(A)の温度を100℃に昇温しても、変化は見られなかったことから、不溶融化されていることを確認した。
そして、窒素雰囲気下、800℃で5分間焼成し、活性炭(A)を得た。
(実施例2)
平均粒子径200μmの粉末状のリグニン(草本系リグニン)1質量部と、無水マレイン酸1質量部と、溶媒としてトルエン2質量部とを混合し、110℃に昇温し、攪拌しながら還流下で1時間反応させた。反応終了後、エバポレーターを用いて溶媒を除去し、活性炭原料組成物(B)を得た。
(実施例2)
平均粒子径200μmの粉末状のリグニン(草本系リグニン)1質量部と、無水マレイン酸1質量部と、溶媒としてトルエン2質量部とを混合し、110℃に昇温し、攪拌しながら還流下で1時間反応させた。反応終了後、エバポレーターを用いて溶媒を除去し、活性炭原料組成物(B)を得た。
なお、実施例1と同様にして、リグニンがマレイン酸変性していることを確認した。
また、得られた活性炭原料組成物(B)における、マレイン酸変性リグニンと無水マレイン酸との含有割合は、マレイン酸変性リグニンおよび無水マレイン酸の総量100質量部に対して、マレイン酸変性リグニンが65質量部であり、無水マレイン酸が35質量部であった。
また、得られた活性炭原料組成物(B)における、マレイン酸変性リグニンと無水マレイン酸との含有割合は、マレイン酸変性リグニンおよび無水マレイン酸の総量100質量部に対して、マレイン酸変性リグニンが65質量部であり、無水マレイン酸が35質量部であった。
次いで、エバポレーターを用いて溶媒を除去した後、得られた活性炭原料組成物(B)1質量部に、空気雰囲気下において、25℃の水を10質量部滴下し、不溶融化した。なお、不溶融化工程において、無水マレイン酸が除去されていることを洗液のpHにより確認した。
その後、活性炭原料組成物(B)の温度を100℃に昇温しても、変化は見られなかったことから、不溶融化されていることを確認した。
そして、窒素雰囲気下、800℃で5分間焼成し、活性炭(B)を得た。
(実施例3)
平均粒子径200μmの粉末状のリグニン(草本系リグニン)1質量部と、無水マレイン酸1質量部と、トリエチルアミン0.02質量部と、溶媒としてトルエン2質量部とを混合し、室温で10日間放置した。その後、トルエンに生成物が溶解しているのを確認して、エバポレーターを用いて溶媒を除去し、活性炭原料組成物(C)を得た。
(実施例3)
平均粒子径200μmの粉末状のリグニン(草本系リグニン)1質量部と、無水マレイン酸1質量部と、トリエチルアミン0.02質量部と、溶媒としてトルエン2質量部とを混合し、室温で10日間放置した。その後、トルエンに生成物が溶解しているのを確認して、エバポレーターを用いて溶媒を除去し、活性炭原料組成物(C)を得た。
なお、実施例1と同様にして、リグニンがマレイン酸変性していることを確認した。
また、得られた活性炭原料組成物(C)における、マレイン酸変性リグニンと無水マレイン酸との含有割合は、マレイン酸変性リグニンおよび無水マレイン酸の総量100質量部に対して、マレイン酸変性リグニンが60質量部であり、無水マレイン酸が40質量部であった。
次いで、エバポレーターを用いて溶媒を除去した後、得られた活性炭原料組成物(C)1質量部に、空気雰囲気下において、25℃の水を10質量部滴下し、不溶融化した。なお、不溶融化工程において、無水マレイン酸が除去されていることを洗液のpHにより確認した。
その後、活性炭原料組成物(C)の温度を100℃に昇温しても、変化は見られなかったことから、不溶融化されていることを確認した。
そして、窒素雰囲気下、800℃、で5分間焼成し、活性炭(C)を得た。
<活性炭素繊維の製造>
(実施例4)
実施例1で得られた活性炭原料組成物(A)を、100℃で溶融させ、押し出し紡糸装置(L/D:2、孔径:0.2mm)を用いて、紡糸速度300m/分および紡糸温度250℃で紡糸した。
<活性炭素繊維の製造>
(実施例4)
実施例1で得られた活性炭原料組成物(A)を、100℃で溶融させ、押し出し紡糸装置(L/D:2、孔径:0.2mm)を用いて、紡糸速度300m/分および紡糸温度250℃で紡糸した。
上記溶融および紡糸した活性炭原料組成物(A)に、空気雰囲気下において、25℃の水を10質量部滴下し、不溶融化した。なお、不溶融化工程において、無水マレイン酸が除去されていることを洗液のpHにより確認した。
その後、活性炭原料組成物(A)の温度を100℃に昇温しても、変化は見られなかったことから、不溶融化されていることを確認した。
そして、窒素雰囲気下、800℃で5分間焼成し、活性炭素繊維(A)を得た。
Claims (10)
- マレイン酸変性リグニンと、無水マレイン酸とを含むことを特徴とする、活性炭原料組成物。
- 前記マレイン酸変性リグニンおよび前記無水マレイン酸の総量100質量部に対して、
前記無水マレイン酸の含有割合は、10質量部以上100質量部未満である、請求項1に記載の活性炭原料組成物。 - 請求項1または2に記載の活性炭原料組成物を用いて得られることを特徴とする、活性炭。
- 活性炭素繊維である、請求項3に記載の活性炭。
- リグニンと無水マレイン酸とを混合して混合物を得る工程と、
前記混合物を反応させる工程とを含むことを特徴とする、活性炭原料組成物の製造方法。 - 前記リグニンは、草本系リグニンである、請求項5に記載の活性炭原料組成物の製造方法。
- 前記リグニンは、粉末状である、請求項5または6に記載の活性炭原料組成物の製造方法。
- 前記無水マレイン酸の混合割合は、前記リグニン100質量部に対して、50質量部以上500質量部以下である、請求項5〜7のいずれか一項に記載の活性炭原料組成物の製造方法。
- リグニンと無水マレイン酸とを混合し、マレイン酸変性リグニンと無水マレイン酸とを含む活性炭原料組成物を得る調製工程と、
前記活性炭原料組成物を水洗し、不溶融化させる不溶融化工程と、
前記不溶融化させた前記活性炭原料組成物を焼成させる焼成工程と
を含むことを特徴とする、活性炭の製造方法。 - 前記不溶融化工程の前に、
前記活性炭原料組成物を加熱して溶融させる加熱溶融工程と、
前記溶融した前記活性炭原料組成物を紡糸する紡糸工程とを備え、
活性炭素繊維を得る、請求項9に記載の活性炭の製造方法。
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