JP2015066732A - 加飾シート及び加飾樹脂成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
項1. 少なくとも、基材層と、第1の表面層と、前記第1の表面層の一部の上に設けられた第2の表面層とをこの順に有し、
前記第2の表面層が、樹脂及び合成樹脂粒子を含む樹脂組成物により形成されており、
前記第2の表面層において、前記合成樹脂粒子が、前記樹脂100質量部に対して、50質量部以上含まれる、加飾シート。
項2. 前記第2の表面層を形成する樹脂組成物において、前記樹脂が、電離放射線硬化性樹脂を含む、項1に記載の加飾シート。
項3. 前記第2の表面層を形成する樹脂組成物において、前記樹脂が、ポリカーボネート(メタ)アクリレートを含む、項2に記載の加飾シート。
項4. 前記第2の表面層を形成する樹脂組成物において、前記樹脂が、多官能(メタ)アクリレートをさらに含む、項3に記載の加飾シート。
項5. 前記ポリカーボネート(メタ)アクリレートと、前記多官能(メタ)アクリレートとの質量比が、98:2〜60:40である、項4に記載の加飾シート。
項6. 前記第1の表面層が、電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物により形成されている、項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
項7. 前記合成樹脂粒子の粒子径が、2〜15μmである、項1〜6のいずれかに記載の加飾シート。
項8. 前記第2の表面層の厚みが、0.1〜15μmである、項1〜7のいずれかに記載の加飾シート。
項9. 前記合成樹脂粒子が、ウレタンビーズ、ナイロンビーズ、アクリルビーズ、シリコーンビーズ、スチレンビーズ、メラミンビーズ、ウレタンアクリルビーズ、ポリエステルビーズ、及びポリエチレンビーズからなる群から選択された少なくとも1種である、項1〜8のいずれかに記載の加飾シート。
項10. 前記基材層と前記第1の表面層との間に、絵柄層をさらに有する、項1〜9のいずれかに記載の加飾シート。
項11. 少なくとも、成形樹脂層と、第1の表面層と、前記第1の表面層の一部の上に設けられた第2の表面層とがこの順に積層された積層体からなり、
前記第2の表面層が、樹脂及び合成樹脂粒子を含む樹脂組成物により形成されており、
前記第2の表面層において、前記合成樹脂粒子が、前記樹脂100質量部に対して、50質量部以上含まれる、加飾樹脂成形品。
本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層と、第1の表面層と、第1の表面層の一部の上に設けられた第2の表面層とをこの順に有し、第2の表面層が、樹脂及び合成樹脂粒子を含む樹脂組成物により形成されており、第2の表面層において、合成樹脂粒子が、樹脂100質量部に対して、50質量部以上含まれることを特徴とする。本発明の加飾シートにおいては、第1の表面層の一部の上に設けられた第2の表面層において、合成樹脂粒子が、樹脂100質量部に対して、50質量部以上含まれることにより、成形性及び耐擦傷性に優れ、さらに、外観だけでなく、実際に手で触った際にも立体感を感じ取れる優れた触感を有する加飾シートとすることができる。より具体的には、第1の表面層の一部の上に設けられた第2の表面層において、樹脂100質量部に対して、50質量部以上という多量の合成樹脂粒子が含まれることにより、部分的に形成された第2の表面層の艶が大きく低下するため、第1の表面層と第2の表面層との艶差によって、加飾シートの外観に立体感を付与することができる。さらに、このような多量の樹脂粒子を含む第2の表面層の表面は、第1の層よりも滑りやすくなっている。これにより、第1の表面層上において、第2の表面層が形成されている部分と第2の表面層が形成されていない部分との間に滑りやすさに大きな差を設け、加飾シートの表面を実際に手で触った際に、滑りやすい第2の表面層の形成部分が、滑りにくい第2の表面層の非形成部分よりも突出しているように知覚され、大きな立体感を感じ取ることが可能となる。さらに、本発明の加飾シートにおいては、加飾樹脂成形品として加工した後においても、手で触った際の立体感が維持されている。以下、本発明の加飾シートについて詳述する。
本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層1と、第1の表面層と、第1の表面層の一部の上に設けられた第2の表面層とがこの順に積層された積層構造を有する。本発明の加飾シートにおいて、第1の表面層2の延伸部に微細な割れや白化を生じにくくすることなどを目的として、第1の表面層2の下にプライマー層4を設けてもよい。また、樹脂成形品に装飾性を付与することなどを目的として、必要に応じて、絵柄層5を設けてもよい。基材層1の色の変化やバラツキを抑制する目的で、基材層1と第1の表面層2との間、絵柄層5を設ける場合であれば基材層1と絵柄層5との間などに、必要に応じて、隠蔽層6を設けてもよい。さらに、加飾シートの成形性を高めることなどを目的として、基材層1と第1の表面層2との間、絵柄層5を設ける場合であれば絵柄層5と第1の表面層2との間などに、必要に応じて、透明フィルム層7などを設けてもよい。さらに、基材層1の下に、接着層8などを設けてもよい。
[基材層1]
基材層1は、本発明の加飾シートにおいて支持体としての役割を果たす樹脂シート(樹脂フィルム)により形成されている。基材層1に使用される樹脂成分については、特に制限されず、三次元成形性や成形樹脂層との相性等に応じて適宜選定すればよいが、好ましくは、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、具体的には、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」と表記することもある);アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂;アクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ABS樹脂が三次元成形性の観点から好ましい。基材層1を形成する樹脂成分としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。また、基材層1は、これら樹脂の単層シートで形成されていてもよく、また同種又は異種樹脂による複層シートで形成されていてもよい。
第1の表面層2は、加飾シートの耐擦傷性などを高め、さらに後述の第2の表面層3と共に加飾シートに高い立体感を付与するために設けられる層である。第1の表面層2は、樹脂を含む樹脂組成物により形成されている。具体的には、第1の表面層2は、当該樹脂組成物の硬化物により構成されている。第1の表面層2を形成する樹脂組成物に含まれる樹脂としては、特に制限されず、例えば、後述の第2の表面層3で例示した電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。第1の表面層2は、加飾シートの三次元成形性及び耐擦傷性などの観点からは、第2の表面層3と同様にして、後述の多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化性樹脂組成物により形成されていることが好ましい。また、第1の表面層2においては、第2の表面層3と同様にして、後述の(メタ)アクリレートを併用してもよい。
第2の表面層3は、本発明の加飾シートにおいて、第1の表面層2の一部の上に設けられている。第2の表面層3は、樹脂及び合成樹脂粒子を含む樹脂組成物により形成されている。具体的には、第2の表面層3は、当該樹脂組成物の硬化物により構成されている。第2の表面層3において、合成樹脂粒子が、樹脂100質量部に対して、50質量部以上含まれることにより、成形性及び耐擦傷性に優れ、さらに、外観だけでなく、実際に手で触った際にも立体感を感じ取れる優れた触感が加飾シートに付与される。すなわち、第1の表面層2の一部の上に設けられた第2の表面層3において、合成樹脂粒子が、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、50質量部以上という多量に含まれることにより、部分的に形成された第2の表面層3の艶が大きく低下するため、第1の表面層2と第2の表面層3との艶差によって、加飾シートの外観に立体感を付与することができる。さらに、このような多量の樹脂粒子を含む第2の表面層3の表面は、第1の層2よりも滑りやすくなっている。これにより、第1の表面層2上において、第2の表面層3が形成されている部分と第2の表面層3が形成されていない部分との間に滑りやすさに大きな差を設け、加飾シートの表面を実際に手で触った際に大きな立体感を感じ取ることが可能となる。
電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜混合したものが挙げられる。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、第2の表面層3の形成において好適に使用される。
本発明の第2の表面層3において、樹脂組成物に含まれるポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを1個以上有するものであれば、特に制限されない。また、当該(メタ)アクリレートは、架橋、硬化を良好にするという観点から、1分子当たりの官能基の数として、好ましくは2〜6個が挙げられる。ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明に用いられるアクリルシリコーン(メタ)アクリレートは、特に限定されず、1分子中に、アクリル樹脂の構造の一部がシロキサン結合(Si−O)に置換しており、かつ官能基としてアクリル樹脂の側鎖及び/又は主鎖末端に(メタ)アクリロイルオキシ基(アクリロイルオキシ基又はメタアクリロイルオキシ基)を2個以上、好ましくは3〜8個有しているものであればよい。このアクリルシリコーン(メタ)アクリレートの例としては、例えば、特開2007−070544号公報に開示されるような側鎖にシロキサン結合を有するアクリル樹脂の構造が好ましく挙げられる。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で又は2種を組み合わせて用いられる。
上述のアクリルシリコーン(メタ)アクリレートは、1種を単独で又は2種を組み合わせて用いられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物において、ポリカーボネート(メタ)アクリレートとアクリルシリコーン(メタ)アクリレートは各々単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の加飾シートは、第1の表面層2の延伸部に微細な割れや白化を生じにくくすることなどを目的として、所望により、基材層1と第1の表面層2との間、絵柄層5を設ける場合には絵柄層5と第1の表面層2との間などに、プライマー層4を設けてもよい。プライマー層4の厚みは、0.1μm以上であることが好ましい。0.1μm以上であると、第1の表面層2の割れ、破断、白化等を防ぐ効果を有する。一方、プライマー層4の厚みが10μm以下であれば、プライマー層を塗布した際、塗膜の乾燥、硬化が安定であるので三次元成形性が変動することがなく好ましい。この観点からプライマー層4の厚みは1〜10μmであることが好ましい。
JIS K7127:1999に準拠し、プライマー層4を構成するプライマー組成物を硬化(50℃72時間加熱)して製膜した幅25mm×長さ(チャック間距離)50mm×厚み40±10μmのサンプルを120℃のオーブン投入後、120秒放置した後、引張速度:50mm/minで破断伸度を測定する。
プライマー層4は、意匠性を向上させる観点から、無機粒子及び/又は合成樹脂粒子を含むことが好ましい。プライマー層4に無機粒子及び/又は合成樹脂粒子を含有させることにより、表面の艶消し性効果、及び耐傷付き性を格段に向上させることが可能になる。また、無機粒子及び/又は合成樹脂粒子によってプライマー層4の表面に凹凸を形成させた場合には、接面する他の層との密着性を更に向上させることもできる。
絵柄層5は、樹脂成形品に装飾性を与える層であり、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。絵柄層5によって形成される模様は、特に制限されず、例えば、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様など挙げられ、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様も挙げられる。これらの模様は、通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
隠蔽層6は、基材層1の色の変化やバラツキを抑制する目的で、基材層1と第1の表面層2との間、絵柄層5を設ける場合であれば基材層1と絵柄層5との間などに、必要に応じて設けられる層である。
透明フィルム層7は、本発明の加飾シートの耐擦傷性や耐候性を高めると共に、成形性を高める支持体としての役割を果たし、必要に応じて、基材層1や絵柄層5などの上に設けられる。透明フィルム層7は、樹脂フィルムにより形成される。透明フィルム層7を備えることで成形性が高まり、加飾シートを三次元成形した際に第1の表面層2や第2の表面層3にクラックが生じ難くなる。透明フィルム層7を形成する樹脂フィルムとしては、加飾シートの成形性を高められると共に、絵柄層5の上に設けられる場合において絵柄層5による意匠を隠蔽しないものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、またはアクリル樹脂などのフィルムが挙げられる。透明フィルム層7の厚みは、特に限定されないが、通常10〜200μm程度、好ましくは15〜150μm程度である。透明フィルム層7を形成する方法は、特に制限されないが、例えば、基材層1や絵柄層5など、隣接する層の表面上に上記の樹脂フィルムを熱ラミネート、ドライラミネートなどにより積層する方法などが挙げられる。
接着層8は、加飾シートと成形樹脂との接着性や密着性を向上させることなどを目的として、基材層1の裏面に必要に応じて設けられる層である。接着層8を形成する樹脂としては、加飾シートと成形樹脂との接着性や密着性を向上させることができるものであれば、特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の加飾樹脂成形品は、本発明の加飾シートに成形樹脂を一体化させることにより成形されてなるものである。即ち、本発明の加飾樹脂成形品は、少なくとも、成形樹脂層と、第1の表面層と、第1の表面層の一部の上に設けられた第2の表面層とがこの順に積層された積層体からなり、第2の表面層が、樹脂及び合成樹脂粒子を含む樹脂組成物により形成されており、第2の表面層において、合成樹脂粒子が、樹脂100質量部に対して、50質量部以上含まれることを特徴とする。本発明の加飾樹脂成形品では、必要に応じて、加飾シートに上述のプライマー層4、絵柄層5、隠蔽層6、透明フィルム層7、接着層8などの少なくとも1層がさらに設けられていてもよい。
本発明の加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程、
真空成形された加飾シートの余分な部分をトリミングして成形シートを得るトリミング工程、及び
成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を射出成形型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する一体化工程。
この時の加熱温度は、特に限定されず、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、例えば基材層としてABS樹脂フィルムを使用する場合であれば、通常120〜200℃程度とすることができる。また、一体化工程において、流動状態の樹脂の温度は、特に限定されないが、通常180〜320℃程度とすることができる。
本発明の加飾シートを、所定形状の成形面を有する可動金型の当該成形面に対し、加飾シートの基材層の表面が対面するように設置した後、当該加飾シートを加熱、軟化させると共に、可動金型側から真空吸引して、軟化した加飾シートを当該可動金型の成形面に沿って密着させることにより、加飾シートを予備成形する予備成形工程、
成形面に沿って密着された加飾シートを有する可動金型と固定金型とを型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の樹脂を射出、充填して固化させることにより樹脂成形体を形成し、樹脂成形体と加飾シートを積層一体化させる一体化工程、及び
可動金型を固定金型から離間させて、加飾シート全層が積層されてなる樹脂成形体を取り出す取出工程。
これらの熱硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(加飾シートの作製)
基材層としてのABS樹脂フィルム(厚さ400μmm)上に、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル系共重合体樹脂を含むインキを用いて、グラビア印刷により絵柄層(厚み10μm)を形成した。次に、絵柄層の上に、後述のプライマー組成物を用いてグラビア印刷によりプライマー層(厚み2μm)を形成した。次に、プライマー層の上に表1に記載の樹脂を、硬化後の厚みが2μmとなるようにして、グラビア印刷により塗工した(第1の表面層となる)。次に、幅2mm、厚み2μm、間隔2mmの格子模様となるように、表1に記載の樹脂及びフィラーを含む樹脂組成物をグラビア印刷により塗工した(第2の表面層となる)。次に、第2の表面層側から、電子線を照射(加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad))して、電離放射線硬化性樹脂を硬化して第1の表面層及び第2の表面層を形成した。以上のようにして、表1に示されるような構成を有する、基材層/絵柄層/プライマー層/第1の表面層/第2の表面層がこの順に積層された加飾シートを得た。
実施例1〜5及び比較例1〜4の各加飾シートを、それぞれ、ヒーター熱盤温度170℃で加熱して射出成形の金型内形状(最大延伸倍率100%)に沿うように成形して、第2の表面層側を金型内面に密着させた。一方、射出樹脂としてABS樹脂を用いて、これを230℃にて溶融状態にしてから、キャビティ内に射出した。金型温度が30℃になった時点で、金型から加飾樹脂成形品を取り出し、加飾樹脂成形品を得た。
実施例1〜5及び比較例1〜4の加飾シートを、それぞれ赤外線ヒーターで160℃に加熱し、軟化させた。次に、真空成形用型を用い、最大延伸倍率が300%になる条件で真空成形し、真空成形用型の内部形状となるように加飾シートを成形した。次に、加飾シートを冷却後、真空成形用型から離型した。離型した各加飾シートについて、以下の評価基準に従い成形性を評価した。結果を表1に示す。
○:表面層の3次元成形部及び最大延伸部(300%)に塗膜割れ及び白化が見られなかった。
△:表面層の3次元成形部及び最大延伸部(300%)の一部に塗膜割れ又は白化が見られたが、実用上問題がない
×:表面層に塗膜割れ又は白化が見られた
実施例1〜5及び比較例1〜4の加飾シートから得られた上記の加飾樹脂成形品の表面に対して、JIS L0849(摩耗試験機II型(学振型))に準拠して、耐擦傷性評価試験を行った。試験に用いた装置は、テスター産業株式会社製「学振型摩耗試験機」であり、摩擦用白綿布としてカナキン3号を用い500g荷重で100往復後の試験片で評価した。評価基準は、以下の通りである。結果を表1に示す。
○:表面に傷つきがなかった
△:表面における傷つきまたは艶変化が、1/4以上1/2以下の部分で発生した
×:表面における傷つきまたは艶変化が、1/2を超える部分で発生した
実施例1〜5及び比較例1〜4の加飾シートから得られた上記の加飾樹脂成形品の表面を手の指で触り、以下の基準に従い触感を評価した。結果を表1に示す。
○:大きな凹凸感を感じた
△:わずかに凹凸を感じた
×:凹凸を感じなかった
(電離放射線硬化性樹脂)
EB−1:2官能ポリカーボネートアクリレート(重量平均分子量1万)/6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量6千)の混合樹脂(質量比80/20)
(プライマー組成物)
アクリルポリオール及びヘキサメチレンジイソシアネートの混合物。ヘキサメチレンジイソシアネートは、アクリルポリオールのOH当量と同量のNCO当量となるように配合した。
2…第1の表面層
3…第2の表面層
4…プライマー層
5…絵柄層
6…隠蔽層
7…透明フィルム層
8…接着層
9…合成樹脂粒子
Claims (11)
- 少なくとも、基材層と、第1の表面層と、前記第1の表面層の一部の上に設けられた第2の表面層とをこの順に有し、
前記第2の表面層が、樹脂及び合成樹脂粒子を含む樹脂組成物により形成されており、
前記第2の表面層において、前記合成樹脂粒子が、前記樹脂100質量部に対して、50質量部以上含まれる、加飾シート。 - 前記第2の表面層を形成する樹脂組成物において、前記樹脂が、電離放射線硬化性樹脂を含む、請求項1に記載の加飾シート。
- 前記第2の表面層を形成する樹脂組成物において、前記樹脂が、ポリカーボネート(メタ)アクリレートを含む、請求項2に記載の加飾シート。
- 前記第2の表面層を形成する樹脂組成物において、前記樹脂が、多官能(メタ)アクリレートをさらに含む、請求項3に記載の加飾シート。
- 前記ポリカーボネート(メタ)アクリレートと、前記多官能(メタ)アクリレートとの質量比が、98:2〜60:40である、請求項4に記載の加飾シート。
- 前記第1の表面層が、電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物により形成されている、請求項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記合成樹脂粒子の粒子径が、2〜15μmである、請求項1〜6のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記第2の表面層の厚みが、0.1〜15μmである、請求項1〜7のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記合成樹脂粒子が、ウレタンビーズ、ナイロンビーズ、アクリルビーズ、シリコーンビーズ、スチレンビーズ、メラミンビーズ、ウレタンアクリルビーズ、ポリエステルビーズ、及びポリエチレンビーズからなる群から選択された少なくとも1種である、請求項1〜8のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記基材層と前記第1の表面層との間に、絵柄層をさらに有する、請求項1〜9のいずれかに記載の加飾シート。
- 少なくとも、成形樹脂層と、第1の表面層と、前記第1の表面層の一部の上に設けられた第2の表面層とがこの順に積層された積層体からなり、
前記第2の表面層が、樹脂及び合成樹脂粒子を含む樹脂組成物により形成されており、
前記第2の表面層において、前記合成樹脂粒子が、前記樹脂100質量部に対して、50質量部以上含まれる、加飾樹脂成形品。
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