JP2015065225A - 有機エレクトロルミネッセンス素子及びこれを用いた表示装置、照明装置 - Google Patents
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Abstract
Description
従来の有機EL素子においては、外部量子効率を向上させるとともに、寿命を長くすることが要求されている。
ホスト材料のT1は、ホスト材料の励起状態の75%を占める。したがって、有機EL素子の発光効率を向上させるためには、ホスト材料のT1からゲスト材料のS1又はT1に効率よくエネルギー移動させることが重要である。
すなわち、上記のエネルギー移動において、(1)及び(4)はホスト側の遷移とゲスト側の遷移とが共に許容であるため、非常に効率的にエネルギー移動が起きる。これに対して、(3)はゲスト材料が燐光性化合物であるために起きるが、ホスト側の遷移は禁制であるため、(1)、(4)に比べてエネルギー移動の効率は低い。また、(2)では、フェルスターエネルギー移動は生じない。
ここで、本発明者は、ホスト材料として、一重項励起状態(S1)と三重項励起状態(T1)とのエネルギーの差が小さい熱活性型の遅延蛍光材料を採用することにより、熱的な遷移によってホスト材料のT1からS1に逆エネルギー移動(エネルギー準位の低いT1から高いS1への移動)を起こさせ、その一重項励起状態(S1)をゲスト材料にエネルギー移動させるというメカニズムを想到した。すなわち、ホスト材料の三重項励起状態(T1)を、エネルギー移動効率が高い一重項励起状態(S1)に遷移させ、その一重項励起状態(S1)をゲスト材料にエネルギー移動させるというメカニズムにより、ホスト材料の三重項励起状態(T1)をも有効に燐光発光に利用することに想到した。
また、ホスト材料として、室温においてもT1からS1への熱的な遷移が生じる材料を採用することにより、ホスト材料の励起寿命が短くなるので、不安定で分解しやすい励起状態が短時間となる。したがって、ホスト材料の分解による劣化を抑制でき、有機EL素子の寿命を長くすることができる。
(1)対向配置された電極間に発光層が備えられた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記発光層が、燐光性化合物からなるゲスト材料と、ホスト材料とを含み、前記ホスト材料が、一重項励起状態のエネルギーと三重項励起状態のエネルギーとの差が0.25eV以下の発光性化合物からなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
(3)前記発光性化合物が、前記発光性化合物の分子間の相互作用による一重項励起状態及び三重項励起状態のエネルギー***により、一重項励起状態のエネルギーと三重項励起状態のエネルギーとの差が小さくなるように薄膜化されていることを特徴とする(1)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(4)前記発光性化合物が、有機金属錯体であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(5)前記発光層中における前記ゲスト材料の混合比率が、1質量%以上10質量%未満であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(7)(1)〜(5)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた発光部と、前記発光部を制御する制御部とを有することを特徴とする照明装置。
また、本発明の表示装置および照明装置は、本発明の有機EL素子を備えたものであり、有機EL素子の外部量子効率が高く、寿命が長いため優れた性能を有する。
本実施形態の有機EL素子は、対向配置された電極間に発光層が備えられたものである。はじめに、本実施形態の有機EL素子に備えられた発光層について説明する。
ここで、本実施形態の有機EL素子を説明しやすくするために、燐光性化合物からなるゲスト材料と、ホスト材料とを含む発光層を備える有機EL素子における一般的な発光の素過程を説明する。
(1)電極から注入された電子及びホール(正孔)がゲスト材料において再結合し、ゲスト材料が励起状態となる場合(直接再結合過程)。
(1−1)ゲスト材料の励起状態が三重項励起状態(T1)のとき、ゲスト材料は燐光を発する。
(1−2)ゲスト材料の励起状態が一重項励起状態(S1)のとき、一重項励起状態(S1)のゲスト材料は三重項励起状態(T1)に項間交差(ISC)し、燐光を発する。
(2−1)ホスト材料の励起状態が三重項励起状態(T1)のとき
ホスト材料の三重項励起エネルギーの準位(T1準位)がゲスト材料のT1準位よりも高い場合、ホスト材料のT1からゲスト材料に励起エネルギーが移動(デクスター機構によるエネルギー移動)し、ゲスト材料が三重項励起状態(T1)となる。三重項励起状態(T1)となったゲスト材料は、燐光を発する。
ホスト材料のS1準位がゲスト材料のS1準位およびT1準位よりも高い場合、ホスト材料のS1からゲスト材料に励起エネルギーが移動(フェルスター機構によるエネルギー移動)し、ゲスト材料が一重項励起状態(S1)又は三重項励起状態(T1)となる。三重項励起状態(T1)となったゲスト材料は燐光を発する。また、一重項励起状態(S1)となったゲスト材料は、三重項励起状態(T1)に項間交差し、燐光を発する。
次に、本実施形態の有機EL素子を説明しやすくするために、燐光性化合物からなるゲスト材料と、ホスト材料との分子間のエネルギー移動過程について説明する。
分子間のエネルギー移動の機構としては、以下の2つの機構が提唱されている。ここで、励起エネルギーを与える側の分子をホスト分子、励起エネルギーを受け取る側の分子をゲスト分子と記す。
フェルスター機構では、エネルギー移動に、分子間の直接的接触を必要としない。フェルスター機構では、ホスト分子及びゲスト分子間の双極子振動の共鳴現象を通じてエネルギー移動が起こる。このエネルギー移動の有効距離は1〜10nmとされており、比較的長い距離でもエネルギー移動が起こる。双極子振動の共鳴現象によって、ホスト分子がゲスト分子にエネルギーを受け渡し、ホスト分子が基底状態になり、ゲスト分子が励起状態になる。フェルスター機構の速度定数kh*→gを数式(1)に示す。
デクスター機構では、ホスト分子とゲスト分子が軌道の重なりを生じる接触有効距離に近づき、励起状態のホスト分子の電子と基底状態のゲスト分子の電子とが交換されることを通じてエネルギー移動が起こる。このため、エネルギー移動が可能である有効半径は0.3〜1nm程度であり、非常に短い距離でしかエネルギー移動が起こらない。デクスター機構の速度定数kh*→gを数式(2)に示す。
(1)S1(ホスト)+S0(ゲスト)→S0(ホスト)+S1(ゲスト):フェルスター
(2)T1(ホスト)+S0(ゲスト)→S0(ホスト)+T1(ゲスト):デクスター
(3)T1(ホスト)+S0(ゲスト)→S0(ホスト)+S1(ゲスト):フェルスター
(4)S1(ホスト)+S0(ゲスト)→S0(ホスト)+T1(ゲスト):フェルスター
本発明者等は、エネルギー移動可能であるホスト分子とゲスト分子との距離が非常に短いデクスター機構によるエネルギー移動を利用せず、フェルスター機構を利用するようにすれば、効率よくエネルギー移動できると考えた。
また、ホスト分子の励起状態の寿命は、一般にT1よりもS1の方が1000000倍近く短い。数式(1)から分かるように、励起状態の寿命が短いほど、エネルギー移動の速度定数kh*→gは大きくなる。ホスト分子のS1とT1との励起状態の寿命の差は、10の数乗の桁で異なる。したがって、ホスト分子のS1からゲスト分子にエネルギー移動させる過程(1)、(4)では、ホスト分子のT1からゲスト分子にエネルギー移動させる過程(3)と比較して、フェルスター機構のエネルギー移動の速度が非常に速くなり、効率よくエネルギー移動できる。
したがって、上記(1)〜(4)の4つの過程のうち、過程(1)、(4)を利用する有機EL素子とすることで、有機EL素子の外部量子効率を高くすることができる。
ホスト材料のT1からのエネルギー移動においては、ホスト材料の燐光スペクトルと、ゲスト材料の最も長波長側の吸収スペクトルとの重なりが大きくなればよい。そして、ホスト材料のS1から、ホスト材料のS1の発光スペクトルと吸収スペクトルの重なりがあるゲスト材料の励起状態(S1またはT1)にエネルギー移動する。
本実施形態において、ホスト材料として使用するS1のエネルギーとT1のエネルギーとの差が0.25eV以下の発光性化合物としては、例えば、ドナー型置換基とアクセプター型置換基とを単一分子に含むものが挙げられる。
S1のエネルギーとT1のエネルギーとの差は、BPICbPTRZでは0.14eVであり、PIC−TRZでは0.11eVである。
このような発光性化合物としては、BetBubq2などの有機金属錯体が挙げられる。
本実施形態では、フェルスター機構を利用するので、エネルギー移動可能であるホスト分子とゲスト分子との距離が非常に短いデクスター機構によるエネルギー移動を利用する場合と比較して、ホスト分子とゲスト分子との距離を離すことができる。したがって、デクスター機構によるエネルギー移動を利用する場合と比較して、発光層中におけるゲスト材料の混合比率を少なくして、高価な材料であるゲスト材料の使用量を減らすことができる。
X’、X’’は、水素原子、又は、環構造の置換基となる1価の置換基を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。X’、X’’は、結合して点線の円弧で表される2つの環構造の一部とともに新たな環構造を形成してもよい。X’、X’’は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(1)中、窒素原子と3つの炭素原子とで構成された骨格部分における点線は、点線で結ばれる2つの原子が単結合又は二重結合で結合していることを表す。
式(1)中、M’は、金属原子を表す。窒素原子からM’への矢印は、窒素原子がM’原子へ配位していることを表す。nは、金属原子M’の価数を表す。
X’、X’’は、水素原子、又は、環構造の置換基となる1価の置換基を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。X’、X’’は、結合して点線の円弧で表される2つの環構造の一部とともに新たな環構造を形成してもよい。X’、X’’は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(2)中、M’は、金属原子を表す。窒素原子からM’への矢印は、窒素原子がM’原子へ配位していることを表す。nは、金属原子M’の価数を表す。
式(2)中、XaとXbとを結ぶ実線の円弧は、XaとXbとが少なくとも1つの他の原子を介して結合していることを表し、XaとXbとともに環構造を形成していてもよい。Xa、Xbは、酸素原子、窒素原子、炭素原子のいずれかを表す。Xa、Xbは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。XbからM’への矢印は、XbがM’原子へ配位していることを表す。m’は、1〜3の数である。
式(4−2)において、R1〜R3が1価の置換基の場合、環構造が複数の1価の置換基を有していてもよい。
式(4−1)、(4−2)中、窒素原子からM’への矢印は、窒素原子がM’原子へ配位していることを表す。式(4−1)中、酸素原子からM’への矢印は、酸素原子がM’原子へ配位していることを表す。
本実施形態においてゲスト材料として使用される燐光性化合物としては、Pt錯体である上記式(7−8)に示されるTLEC025を用いてもよい。
また、本実施形態においてゲスト材料として使用される燐光性化合物は、常温で燐光発光する材料であることが好ましい。
図1は、本実施形態に係る有機EL素子の一例を示した断面模式図である。図1に示す有機EL素子は、基板10上に、ITO(Indium Tin Oxide、酸化インジウム錫)からなるITO電極20と、正孔注入層30と、正孔輸送層40と、電子阻止層50と、発光層60と、電子輸送層70と、電極層80とがこの順で積層されたものである。
図1に示す有機EL素子では、発光層60として、上述した実施形態の発光層が設けられている。
また、本実施形態においては、基板10と発光層60との間に、陽極として機能するITO電極20が配置された順構造のものを例に挙げて説明したが、本発明の有機EL素子は、基板と発光層との間に陰極が配置された逆構造のものであってもよい。
また、本発明の有機EL素子は、無機化合物を用いて有機EL素子を構成する層の一部を形成した有機無機ハイブリッド型の有機電界発光素子(HOILED素子)であってもよい。
本実施形態の表示装置は、上記の有機EL素子を用いた表示パネルと、該表示パネルを駆動する駆動回路とを有するものである。
本実施形態の表示装置は、本実施形態の有機EL素子を用いたものであり、有機EL素子の外部量子効率が高く、寿命が長いため優れた性能が得られる。
本実施形態の表示装置は、上記の有機EL素子を用いた発光部と、前記発光部を制御する制御部とを有するものである。
本実施形態の照明装置は、本実施形態の有機EL素子を用いたものであり、有機EL素子の外部量子効率が高く、寿命が長いため優れた性能が得られる。
透明基板上に、以下に示す材料を用いて以下に示す膜厚で各層を形成し、図1に示す有機EL素子を製造した。
「ITO電極20」ITO、膜厚:150nm
「正孔注入層30」PEDOT:PSS、膜厚:35nm
「正孔輸送層40」α−NPD、膜厚:10nm
「電子阻止層50」DBTPB、膜厚:10nm
「発光層60」ホスト材料:下記の式(12)に示すBPICbPTRZ、ゲスト材料:上記式(7−7)で表されるIr(mppy)3(緑色燐光性化合物)、発光層中におけるゲスト材料の混合比率({ゲスト材料/(ホスト材料+ゲスト材料)}×100)6質量%、膜厚:35nm
「電子輸送層70」TPBI、膜厚:40nm
「電極層80」アルミニウム、膜厚:100nm
ホスト材料として、下記の式(13)に示すCBPを用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を製造した。
図2(a)は、実施例1および比較例1の有機EL素子の発光スペクトルを示したグラフであり、図2(b)は、実施例1および比較例1の有機EL素子の外部量子効率と電流密度との関係を示したグラフである。
図3は、実施例1および比較例1の有機EL素子の輝度と経過時間との関係を示したグラフである。
図3に示すように、実施例1では比較例1と比較して、寿命が長いことが確認できた。
ゲスト材料として、赤色の燐光性化合物である上記式(6−6)に示されるIr(piq)3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を製造した。
そして、実施例2の有機EL素子について、実施例1と同様にして、発光スペクトルと、外部量子効率と電流密度との関係とを測定し、評価した。
ホスト材料として、CBPを用いたこと以外は、実施例2と同様にして有機EL素子を製造した。
そして、比較例2の有機EL素子について、実施例1と同様にして、発光スペクトルと、外部量子効率と電流密度との関係とを測定し、評価した。
図4(b)に示すように、実施例2においても高い外部量子効率が得られることが分かった。また、実施例2では比較例2と比較して高い外部量子効率が得られた。特に、電流密度の高い領域では、実施例2と比較例2との外部量子効率の差が顕著であった。
発光層中におけるゲスト材料の混合比率を1質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を製造した。
図5(a)は、実施例1および実施例3の有機EL素子の発光スペクトルを示したグラフであり、図5(b)は、実施例1および実施例3の有機EL素子の外部量子効率と電流密度との関係を示したグラフである。
図5(b)に示すように、ゲスト材料の混合比率を1質量%とした実施例3でも、実施例1と同様に、高い外部量子効率が得られた。
BPICbPTRZおよびCBPが遅延発光を示す材料(T1からS1に遷移が起こる材料)であるかどうかを調べるために、以下に示す方法により、時間に依存した発光過程を調べた。
時間分解発光現象の測定には、ストリークカメラ(浜松ホトニクス、C4334)を用いた。時間分解発光現象の測定を行う際には、まず、サンプルとして、BPICbPTRZ薄膜およびCBP薄膜を作成した。次いで、YAGレーザー(励起波長355nm)から、パルスジェネレータ−を用いてストリークカメラと同期させて、一定周期で各サンプルにレーザー(パルスレーザー)を照射した。そして、各サンプルから放出されるフォトンを観測し、画像として検出した。観測結果の画像では、横軸を波長とし、縦軸を時間として、観測されたフォトンを点で示した。
図6および図7に示す観測結果より、窒素雰囲気下で測定したBPICbPTRZ薄膜から観測された遅延蛍光は、三重項励起状態から一重項励起状態への遷移による遅延蛍光であると結論付けられる。
図8に示すように、窒素雰囲気下で測定したCBP薄膜からは、遅延蛍光発光に由来するフォトンが観測されず、一般的な発光現象のみが観測されている。
図9(a)は、窒素雰囲気下で測定したBetBubq2薄膜の時間分解発光現象の観測結果を示したグラフである。また、図9(b)は、大気下で測定したBetBubq2薄膜の時間分解発光現象の観測結果を示したグラフである。
図9(c)に示すように、溶液中にBetBubq2を分散させた場合には、遅延蛍光が観測されなかった。このことから、BetBubq2は、薄膜状態である場合に遅延蛍光が観測される材料であると考えられる。
図10に示すように、BetBubq2を溶液中に分散した場合には、矢印Aの位置に蛍光が観測されている。これに対し、BetBubq2薄膜では、BetBubq2を溶液中に分散した場合よりも、発光スペクトル(蛍光)が短波長側と長波長側の両方にブロードになっている。この違いが生じた原因は、薄膜において隣接する分子間の相互作用により、エネルギーの異なる複数の電子状態が生成したことによるものと考えられる(例えば、非特許文献7参照)。
T1からS1に遷移したことに起因する遅延蛍光が起こる条件として、S1のエネルギーとT1のエネルギーとの差が0.25eV以下であることが挙げられる。上述したように、BetBubq2薄膜では、分子間の相互作用により、エネルギーの異なる複数の電子状態が生成する。その結果、図10に示すように、S1とT1が近くなる電子状態が生成されて、S1のエネルギーとT1のエネルギーとの差が0.25eV以下となり、S1からT1への積極的な遷移が起こり、遅延蛍光が生じると考えられる。
図11は、窒素雰囲気下で測定したBe(4TMP)2薄膜の時間分解発光現象の観測結果を示したグラフである。
透明基板10上に、以下に示す材料を用いて以下に示す膜厚で各層を形成し、図12に示す有機EL素子を製造した。
「ITO電極20」ITO、膜厚:150nm
「正孔注入層30」PEDOT:PSS、膜厚:35nm
「正孔輸送層40」α−NPD、膜厚:40nm
「発光層60」ホスト材料:BetBubq2、ゲスト材料:上記式(7−8)で表されるTLEC025(赤色燐光性化合物)、発光層中におけるゲスト材料の混合比率({ゲスト材料/(ホスト材料+ゲスト材料)}×100)6質量%、膜厚:35nm
「電子輸送層70」TPBI、膜厚:40nm
「電極層80」アルミニウム、膜厚:100nm
ホスト材料として、CBPを用いたこと以外は、実施例4と同様にして有機EL素子を製造した。
図13(a)は、実施例4および比較例3の有機EL素子の発光スペクトルを示したグラフであり、図13(b)は、実施例4および比較例3の有機EL素子の外部量子効率と電流密度との関係を示したグラフである。
また、図13(b)に示すように、実施例4では比較例3よりも外部量子効率が高かった。その理由は、実施例4では、ホスト材料の三重項励起状態(T1)から一重項励起状態(S1)に遷移が起こり、ホスト材料のT1からS1を経由してフェルスター機構によるエネルギー移動を利用して、ゲスト材料に効率よくエネルギー移動できたためと推定される。
ホスト材料としてBe(4TMP)2を用い、ゲスト材料としてIr(mppy)3(緑色燐光性化合物)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして有機EL素子を製造した。
図14(a)は、比較例4の有機EL素子の発光スペクトルを示したグラフであり、図14(b)は、比較例4の有機EL素子の外部量子効率と電流密度との関係を示したグラフである。
図15は、比較例4の有機EL素子の輝度と経過時間との関係を示したグラフである。
図15に示すように、比較例4では、寿命が短かった。
20 ITO電極
30 正孔注入層
40 正孔輸送層
50 電子阻止層
60 発光層
70 電子輸送層
80 電極層
Claims (7)
- 対向配置された電極間に発光層が備えられた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記発光層が、燐光性化合物からなるゲスト材料と、ホスト材料とを含み、前記ホスト材料が、一重項励起状態のエネルギーと三重項励起状態のエネルギーとの差が0.25eV以下の発光性化合物からなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 - 前記発光性化合物が、ドナー型置換基とアクセプター型置換基とを単一分子に含むものであることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記発光性化合物が、前記発光性化合物の分子間の相互作用による一重項励起状態及び三重項励起状態のエネルギー***により、一重項励起状態のエネルギーと三重項励起状態のエネルギーとの差が小さくなるように薄膜化されていることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記発光性化合物が、有機金属錯体であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記発光層中における前記ゲスト材料の混合比率が、1質量%以上10質量%未満であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示パネルと、該表示パネルを駆動する駆動回路とを有することを特徴とする表示装置。
- 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた発光部と、前記発光部を制御する制御部とを有することを特徴とする照明装置。
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