JP2015063522A - Ebd及びhkd含有融合ペプチド及び当該ペプチドを発現する形質転換体 - Google Patents

Ebd及びhkd含有融合ペプチド及び当該ペプチドを発現する形質転換体 Download PDF

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Abstract

【課題】エチレンガスによる遺伝子発現の制御が可能な微生物の提供。【解決手段】植物由来のエチレンセンサードメイン及び糸状菌又は酵母由来のヒスチジンキナーゼドメインを含む融合ペプチドであり、当該融合ペプチドをコードする核酸分子、当該核酸分子を含むベクター、当該ベクターを用いて形質転換されてなる形質転換体、及び、形質転換体を培養し、エチレン処理をして前記形質転換体に物質を生産させる工程、及び得られた物質を回収する工程を含む物質生産方法。【選択図】なし

Description

本発明は、糸状菌又は酵母を用いた物質生産、当該物質生産に用いる糸状菌、酵母の形質転換体に関する。
糸状菌とは、菌糸と呼ばれる管状の細胞から構成されているものの総称であり、有機酸、色素、農薬原体等の化成品、ペニシリン、スタチン類等の医薬品等の低分子化合物;アミラーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼの産業用酵素等の発酵生産に使用されている。
例えば、特許文献1には、グルコース含有溶液に好熱性菌由来β−グルコシダーゼを添加し、縮合反応により2糖類含有溶液を製造する工程、および2糖類含有溶液を含む培地を使用して糸状菌培養によりセルラーゼを製造する工程を含む、セルラーゼの製造方法が記載されている。
また、特許文献2には、真菌ペプチドをプロセシングしてC-末端からペプチドおよび/またはN-末端からペプチドを切除して、ホスホリパーゼ活性をもつ特定のアミノ酸配列からなるコアペプチドを生成せしめる工程を含むホスホリパーゼの製造方法が記載されている。
また、特許文献3〜7には、糸状菌による物質生産の効率化を目的に、糸状菌を宿主として機能するように構築された発現ベクター、また該発現ベクターに同種または異種タンパク質をコードする遺伝子が機能的に連結されてなるプラスミドを糸状菌へ導入し形質転換体を作成する方法、さらに該形質転換体の利用がアミラーゼ、セルラーゼ等の酵素や、ペニシリン等の低分子化合物の増産に資すること、が記載されている。
上記のように、糸状菌は、多種多様な有用物質を生産できるという利点を有する。また、酵母も種々の発酵生産に用いられており、またバイオエタノール、バイオブタノール等のバイオエネルギー製造用途も研究されている。
ここで、酵母の工業培養には液体培養が用いられ、糸状菌の工業培養には固体培養及び液体培養が用いられる。しかし、固体工業培養においては固体基質を利用するために、液体工業培養で利用される拡散性の高い遺伝子誘導基質(単糖およびその誘導体、金属イオンなど)、温度(低温、高温)を遺伝子発現誘導に利用することが出来ず、これ迄、培養の任意時点での遺伝子発現誘導は不可能である。
一方、液体培養においても、上記の拡散性の高い遺伝子誘導基質は、コストが高いという問題がある。従って、液体培養においても、これらの従来のもの以外の基質を用いて、遺伝子誘導をし、工業的に物質生産をすることが所望されている。
特開2010−227032 特開2010−172343 特開2001−46078 特開2005−52116 特開2009−118783 特表平11−506025 特表2007−508022
本発明が解決しようとする課題は、エチレンガスによる遺伝子発現の制御が可能な微生物を提供することである。エチレンガスであれば、固体基質を利用する固体工業培養であっても誘導基質として用いることができ、また液体工業培養においても、工業規模で用いられ得る従来の遺伝子誘導物質よりも非常に廉価であるため有用である。
上記のような状況の下、本発明者らは、鋭意研究した結果、植物由来のエチレンセンサードメイン及び糸状菌又は酵母由来のヒスチジンキナーゼドメインとを融合させた新規ペプチドの作製に成功した。そしてかかる新規融合ペプチドを用いることにより上記課題を解決できることを見出した。
従って、本発明は、以下の項を提供する:
項1.植物由来のエチレンセンサードメイン及び糸状菌又は酵母由来のヒスチジンキナーゼドメインを含む融合ペプチド。
項2.前記ヒスチジンキナーゼドメインが、アスペルギルス属、ペニシリウム属、トリコデルマ属、セファロスポリウム属、もしくはアクレモニウム属に属する糸状菌由来又はサッカロマイセス属、カンジダ属、トルロプシス属、ジゴサッカロマイセス属、シゾサッカロマイセス属、ピチア属、ヤロウィア属、ハンセヌラ属、クルイウェロマイセス属、デバリオマイセス属、ゲオトリクム属、ウィッケルハミア属もしくはフェロマイセス属に属する酵母由来である、項1に記載の融合ペプチド。
項3.前記ヒスチジンキナーゼドメインがアスペルギルス ニドランス、アスペルギルス オリゼ、アスペルギルス ソーヤ、アスペルギルス ニガー、アスペルギルス フミガタス又はサッカロマイセス・セレビシエ由来である、項2に記載の融合ペプチド。
項4.植物由来のエチレンセンサードメインが、シロイヌナズナ、トマト、ペチュニア、イネ、タバコ、キュウリ、バナナ又はリンゴ由来である、項1〜3のいずれか1項に記載の融合ペプチド。
項5.項1〜4のいずれか1項に記載の融合ペプチドをコードする核酸分子。
項6.項5に記載の核酸分子を含むベクター。
項7.宿主の糸状菌又は酵母を項6に記載のベクター、又は植物由来のエチレンセンサードメイン及び植物由来のヒスチジンキナーゼドメインを含むペプチドをコードする核酸分子を含むベクターを用いて形質転換されてなる形質転換体。
項8.項7に記載の糸状菌又は酵母の形質転換体を培養する工程、
当該形質転換体にエチレン処理をして、前記形質転換体に物質を生産させる工程、及び得られた物質を回収する工程、
を含む、物質生産方法。
植物由来のエチレンセンサードメイン及び糸状菌又は酵母由来のヒスチジンキナーゼドメインを含む本発明の融合ペプチドで形質転換した微生物は、エチレン応答性を示す。従って、本発明によれば、廉価かつ常温で気体のエチレンを用いて遺伝子発現を制御することができる。植物由来のエチレン受容体タンパク質の一部又は全部を含むキメラタンパク質としては、シロイヌナズナ由来のETR1と蛍光タンパク質とのキメラタンパク質が知られているが(The Journal of Biological Chemistry vol 285, No. 52, ppp40706 -40713, Dec, 24, 2010等)、これはETR1の細胞(組織)内での局在性を調べたり、有無や量、現象のアッセイのために使うためのものにすぎない。また、種々のシロイヌナズナエチレン受容体と藍藻ヒスチジンキナーゼとを繋げたキメラタンパク質が研究されているが(Tsukuba Journal of Biology (2013) 12, 29)、いずれの種類のエチレン受容体を用いた場合もエチレン応答性は得られない。これに対し、本発明においては、驚くべきことに、植物由来のエチレンセンサードメインを糸状菌又は酵母由来のヒスチジンキナーゼドメインに組合わせることによって、エチレン応答型の転写制御を示す。従って、本発明のかかる効果は、従来技術からは予想しえないものである。
シロイヌナズナエチレンセンサーAtETR1と酵母浸透圧センサーScSln1p、糸状菌浸透圧センサーAnTcsBの構造比較を示す。各センサーはN−末側に膜貫通領域から成る。C−末側に典型的なニ成分シグナル伝達系のHitidine kinase domain、Receiver domainを有している。 本発明における融合ペプチドの概略を示す。 本願試験例1での出芽酵母SLN1遺伝子条件発現株におけるHK機能相補性の確認とエチレン応答の確認のモデルの概略を示す。出芽酵母SLN1遺伝子条件発現株では酵母において唯一のHKであるSln1pが37℃において失活し、致死性を示す。HK機能相補は37℃でガラクトース誘導時に正常生育することで確認する。エチレン応答性は37℃でガラクトース誘導時に相補したHK機能がエチレン処理により不活性型となり生育が悪化することで確認する。 試験例1の機能相補試験の結果を示す。 試験例1のエチレン応答性試験の結果を示す。 試験例1の遺伝子発現試験の結果を示す。 試験例2での出芽酵母SLN1遺伝子条件発現株における融合NikAのFludioxonil感受性のモデルの概略を示す。出芽酵母SLN1遺伝子条件発現株では酵母において唯一のHKであるSln1pが37℃において失活し、致死性を示す。融合NikAは37℃でガラクトース誘導時に正常生育する。FludioxonilはHAMPdomainに作用することが知られており、HKが不活性となる。37℃でガラクトース誘導時に相補したHK機能がFludioxonil処理によってHAMPdomainを持つ融合NikAのみに作用することを確認する。 試験例2の結果を示す。 試験例3での糸状菌におけるHK機能相補性の確認とエチレン応答の確認のモデルを示す。糸状菌(野生型)にFludioxonilを処理するとAnNikAのHAMP domainに作用しNikAのHK機能が不活性となり、致死性を示す。融合NikAのHK機能相補はFludioxonil処理時に正常生育することを確認する。エチレン応答性はFludioxonil処理時に相補したHK機能がエチレン処理により不活性型となり生育が悪化することを確認する。 試験例3の結果を示す。 実施例におけるプラスミド設計の概略を示す。 AtETR1(1−738)のアミノ酸配列(配列番号1)を示す。 AtETR1(1−2217)の塩基配列(配列番号2)を示す。 AtETR1(1−156)のアミノ酸配列(配列番号3)を示す。 AtETR1(1−468)の塩基配列(配列番号4)を示す。 AtETR1(1−325)のアミノ酸配列(配列番号5)を示す。 AtETR1(1−975)の塩基配列(配列番号6)を示す。 ScSln1p(519−1220)のアミノ酸配列(配列番号7)を示す。 ScSLN1(1555−3663)の塩基配列(配列番号8)を示す。 AtETR1(1−156)+ScSln1p(519−1220)のアミノ酸配列(配列番号9)を示す。 AtETR1(1−468)+ScSLN1(1555−3663)の塩基配列(配列番号10)を示す。 AtETR1(1−325)+ScSln1p(519−1220)のアミノ酸配列(配列番号11)を示す。 AtETR1(1−975)+ScSLN1(1555−3663)の塩基配列(配列番号12)を示す。 AnTcsB(495-1070)のアミノ酸配列(配列番号13)を示す。 AntcsB(1483-3213)の塩基配列(配列番号14)を示す。 AtETR1(1−156)+AntcsB(495−1070)AtETR1(1−468)+AnTcsB(1483−3213)の塩基配列(配列番号16)を示す。 AtETR1(1−468)+AntcsB(1483−3213)の塩基配列(配列番号16)を示す。 AtETR1(1−325)+AnTcsB(495−1070)のアミノ酸配列(配列番号17)を示す。 AtETR1(1−975)+AntcsB(1483−3213)の塩基配列(配列番号18)を示す。 実施例におけるプラスミド設計(HAMP有、無)の概略を示す。 AnNikA(708−1297)のアミノ酸配列(配列番号19)を示す。 AnnikA(2122−3894)の塩基配列(配列番号20)を示す。 AtETR1(1−156)+AnNikA(708−1297)のアミノ酸配列(配列番号21)を示す。 AtETR1(1−468)+AnnikA(2122−3894)の塩基配列(配列番号22)を示す。 AtETR1(1−325)+AnNikA(708−1297)のアミノ酸配列(配列番号23)を示す。 AtETR1(1−975)+AnnikA(2122−3894)の塩基配列(配列番号24)を示す。 AnNikA(152−1297)のアミノ酸配列(配列番号25)を示す。 AnnikA(454−3894)の塩基配列(配列番号26)を示す。 AtETR1(1−156)+AnNikA(152−1297)のアミノ酸配列(配列番号27)を示す。 AtETR1(1−468)+AnnikA(454−3894) の塩基配列(配列番号28)を示す。 AtETR1(1−325)+AnNikA(152−1297) のアミノ酸配列(配列番号29)を示す。 AtETR1(1−975)+AnnikA(454−3894) の塩基配列(配列番号30)を示す。
融合ペプチド
本発明は、植物由来のエチレンセンサードメイン及び糸状菌又は酵母由来のヒスチジンキナーゼドメインを含む融合ペプチドを提供する。
エチレンセンサードメインとしては、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来のもの、トマト(Lycopersicun esculentum)由来のもの、ペチュニア(Petunia hybrida)由来のもの、イネ(Oryza sativa)由来のもの、タバコ(Nicotiana tabacum)由来のもの、キュウリ(Cucumis sativus)由来のもの、バナナ(Musa acuminata)由来のもの、リンゴ(Malus domestica)由来のもの等が挙げられ、好ましくは、シロイヌナズナ由来のもの、トマト由来のもの、ペチュニア由来のもの等が挙げられ、より好ましくはシロイヌナズナ由来のものが挙げられる。本発明において、エチレンセンサードメインをEBDと示すこともある。
エチレンセンサードメインとしては、種々のものを広く用いることができ、例えば、シロイヌナズナ由来のものとしては、ETR1、ETR2、ERS1、ERS2、EIN4等が挙げられる(Schaller (2011) Curr Biol. 21, R320-30)。本発明において、エチレンセンサードメインETR1には、例えば、Genbank accession No.NM_105305で示されるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドが含まれる。また、本発明の効果が得られるかぎりにおいて、エチレンセンサードメインETR1には、配列番号3で表されるアミノ酸配列において1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなるペプチド又はその一部も包含される。
本発明において、ヒスチジンキナーゼドメイン(HKD)とは、ヒスチジンキナーゼタンパク質におけるキナーゼ反応の触媒ドメインを意味する。本発明において、ヒスチジンキナーゼドメインとしては、糸状菌由来のもの又は酵母由来のものを用いる。
糸状菌としては、例えば、アスペルギルス属、ペニシリウム属、トリコデルマ属、セファロスポリウム属、又はアクレモニウム属に属する糸状菌等が挙げられる。より具体的には、糸状菌としては、例えば、アスペルギルス ニドランス、アスペルギルス オリゼ、アスペルギルス ソーヤ、アスペルギルス ニガー、又はアスペルギルス フミガタス等が挙げられる。
糸状菌が有するヒスチジンキナーゼドメインとしては、例えば、アスペルギルス ニドランスが有するヒスチジンキナーゼ、より具体的には、例えば、TcsB(HK1)、HK2、NikA(HK3)、TcsA(HK4)、PhkA(HK5)、PhkB(HK6)、FphA(HK7)、HysA(HK8-2)、HK8(HK1,HK3-7)、HK9(Kanamaru (2011) Biosci. Biotechnol. Biochem. 75, 1-6)等が挙げられ、酵母における機能相補の点からTcsBが好ましく、糸状菌におけるヒスチジンキナーゼ活性の点からNikAが好ましい。ヒスチジンキナーゼドメインTcsBとしては、例えば、Genbank Accession No. AB_036054で示されるペプチド、配列番号13で表されるアミノ酸配列からなるペプチド等が挙げられる。また、本発明の効果が得られるかぎりにおいて、ヒスチジンキナーゼドメインTcsBには、配列番号13で表されるアミノ酸配列において1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなるペプチド又はその一部も包含される。本発明において、ヒスチジンキナーゼドメインは、図1で示すような狭義のヒスチジンキナーゼドメインに加えてレシーバードメインを含んでいてもよい。
NikAとしては、例えば、Genbank accession No. AN_4479.3で示されるペプチド、配列番号19で表されるアミノ酸配列からなるペプチド等が挙げられる。また、本発明の効果が得られるかぎりにおいて、ヒスチジンキナーゼドメインNikAには、配列番号19で表されるアミノ酸配列において1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなるペプチド又はその一部も包含される。
酵母としては、例えば、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、カンジダ(Candida)属、トルロプシス(Torulopsis)属、ジゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属、ピチア(Pichia)属、ヤロウィア(Yarrowia)属、ハンセヌラ(Hansenula)属、クルイウェロマイセス(Kluyveromyces)属、デバリオマイセス(Debaryomyces)属、ゲオトリクム(Geotrichum)属、ウィッケルハミア(Wickerhamia)属、フェロマイセス(Fellomyces)属等に属する酵母が挙げられ、好ましくはサッカロマイセス属、カンジダ属、トルロプシス属、ジゴサッカロマイセス属、シゾサッカロマイセス属、ピチア属、ヤロウィア属、ハンセヌラ属、クルイウェロマイセス属、デバリオマイセス属等に属する酵母が挙げられる。より具体的には、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ、シゾサッカロマイセス・ポンベ、ピチア・パストリス、ピチア・メタノリカ、ハンセヌラ・アノマーラ、クリウェロマイセス・ラクティス等が挙げられる。中でも、サッカロマイセス・セレビシエが好ましい。
酵母が有するヒスチジンキナーゼドメインとしては、例えば、サッカロミセス・セレビシエが有する唯一のヒスチジンキナーゼ、より具体的には、例えばSln1p、シゾサッカロマシセス・ポンベが有するMar1、Mar2、Mar3、カンジダ・アルビカンスが有するChk1p、Nik1p(Santos and Shinozaki (2001) Sci STKE.) 等が挙げられ、Sln1pが好ましい。ヒスチジンキナーゼSln1pとしては、例えば、Genbank accession No. NM_001179495で示されるペプチド、配列番号7で表されるアミノ酸配列からなるペプチド等が挙げられる。また、本発明の効果が得られるかぎりにおいて、ヒスチジンキナーゼドメインNikAには、配列番号19で表されるアミノ酸配列において1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなるペプチド又はその一部も包含される。
本発明の融合ペプチドは、エチレンセンサードメインとヒスチジンキナーゼドメインとの間にGAF(cyclic GMP, Adenylyl cyclase, FhlA)ドメインを有していてもよい。GAFドメインとしては、植物由来のものが挙げられ、例えば、配列番号1で表されるアミノ酸配列において、158〜307番目のアミノ酸配列からなるペプチド等が挙げられる。本発明の効果が得られるかぎりにおいて、GAFドメインには、配列番号1の158〜307番目のアミノ酸配列において1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなるペプチド又はその一部も包含される。
本発明の融合ペプチドは、エチレンセンサードメインとヒスチジンキナーゼドメインとの間に、1個又は複数(例えば、6個以下)のHAMP(signal transduction domain in Histidine kinases, Adenyl cyclases, Methyl-accepting proteins and Phosphatases)ドメインを有していてもよい。HAMPドメインとしては、糸状菌又は酵母由来のものが挙げられ、例えば、配列番号25で表されるアミノ酸配列において、193〜708番目のアミノ酸配列からなるペプチド等が挙げられる。本発明の効果が得られるかぎりにおいて、HAMPドメインには、配列番号25の193〜708番目のアミノ酸配列において1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなるペプチド又はその一部も包含される。本発明の融合ペプチドがGAFドメインとHAMPドメインとの両方を有する場合、エチレンセンサードメイン、GAFドメイン、HAMPドメイン、ヒスチジンキナーゼドメインの順に配置されていることが好ましい。HAMPドメインを配置することによって、フルジオキソニルに対する応答性を宿主に付与することができる。
本発明の融合ペプチドとしては、例えば、配列番号9、11、15、17、21、23、27、29で表されるアミノ酸配列からなるもの等が挙げられる。また、本発明の効果が得られるかぎりにおいて、配列番号9、11、15、17、21、23、27、29で表されるアミノ酸配列において1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなるペプチド、または当該ペプチドの一部も包含される。
本発明の融合ペプチドは、ヒスチジンキナーゼドメインとして糸状菌又は酵母由来のものを使用しているため、かかる融合ペプチドの遺伝子を微生物に導入した場合、宿主中に存在するタンパク質との連携がよりスムーズに行われることが予想されるため好ましい。
核酸分子
本発明は、上記融合ペプチドをコードする核酸分子を提供する。
本明細書中において、「ヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」は、核酸分子と同義であって、DNAおよびRNAの両方を含むものとする。また、これらは2本鎖であっても1本鎖であってもよく、ある配列を有する「ヌクレオチド」(または「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド」)といった場合、特に言及しない限り、これに相補的な配列を有する「ヌクレオチド」(または「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」)も包括的に意味するものとする。さらに、「ヌクレオチド」(または「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」)がRNAである場合、配列表に示される塩基記号「T」は「U」と読み替えられるものとする。
また、本発明において「遺伝子」とは、特に言及しない限り、2本鎖DNA、1本鎖DNA(センス鎖又はアンチセンス鎖)、及びそれらの断片が含まれる。また、本発明において「遺伝子」とは、特に言及しない限り、調節領域、コード領域、エクソン、及びイントロンを区別することなく示すものとする。
本発明の核酸分子は、エチレンセンサードメインをコードする塩基配列及びヒスチジンキナーゼドメインをコードする塩基配列を有する。エチレンセンサードメインの一例として、エチレンセンサードメインETR1をコードする塩基配列を、配列番号2に示す。また、ヒスチジンキナーゼドメインTcsBをコードする塩基配列を、配列番号14に示す。ヒスチジンキナーゼドメインNikAをコードする塩基配列を、配列番号19に示す。ヒスチジンキナーゼSLN1をコードする塩基配列を、配列番号8に示す。本発明の核酸分子には、これらの配列を有するものだけでなく、これらの塩基配列にこれらの配列のうち、イントロンの部位の変異又はエキソンにおける変異であってもコードするアミノ酸配列が変化しない変異である、サイレント変異を加えたものを有する核酸分子も含まれる。
また本発明の核酸分子としては、例えば、配列番号10、12、16、18、22、24、28、30で表される塩基配列からなるもの等が挙げられる。本発明の核酸分子には、上記配列番号で表されるものだけでなく、これらの塩基配列にサイレント変異を加えた塩基配列からなる核酸分子も含まれる。
また、本発明の核酸分子には、本発明の効果が得られるかぎりにおいて、配列番号10、12、16、18、22、24、28、30で表される塩基配列において1個又は数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなるペプチド又はその一部も包含される。
ベクター
本発明は、上記本発明の融合ペプチドをコードする核酸分子を含むベクターも提供する。
ベクターとしては、種々のプラスミドべクター、ファージベクターなどが使用可能であるが、微生物菌体内で複製可能であり、適当な薬剤耐性マーカーと特定の制限酵素切断部位を有し、菌体内のコピー数の高いプラスミドベクターを使用するのが望ましい。具体的に酵母を宿主とする場合には、pYES2(Invitrogen)、pRS(Sikorski and Hieter.(1989)) Genetics 122, 19-27)などを例示することができる。具体的に糸状菌を宿主とする場合には、pUC、pNGA142、pNAN8142、pNEN142(Minetoki(2003)J. Biol Macromol. 3, 89-96)などを例示することができる。
当該ベクターに本発明の融合ペプチドをコードする核酸分子を含む塩基配列をクローニングする方法としては、自体公知の方法を用いて行うことができ、例えば、発現制御シグナル(転写開始及び翻訳開始シグナル)等をコード領域の上流に配置する等して、宿主微生物に応じて該遺伝子が微生物菌体中で自発現可能となるよう設計することができる。
形質転換体
本発明は、宿主である糸状菌又は酵母を上記ベクターを用いて形質転換されてなる形質転換体を提供する。
宿主となる微生物としては前述した糸状菌又は酵母を使用することができる。
微生物を形質転換する方法はすでに多くの方法が報告されており、宿主として使用する微生物に応じて適宜選択すればよい。
かかる変異株の作製方法としては、自体公知の方法(例えば、非特許文献2〜5に記載の方法)を適宜用いて、例えば、融合ペプチドをコードする遺伝子カセットの構築及びゲノム遺伝子への当該カセットの導入等により行うことができる。
また、本発明は、別の実施形態において、宿主である糸状菌又は酵母を、植物由来のエチレンセンサードメイン及び植物由来のヒスチジンキナーゼドメインを含むペプチドをコードする核酸分子を含むベクターを用いて形質転換されてなる形質転換体も提供する。植物由来のエチレンセンサードメインとしては、融合ペプチドの説明において前述したものを同様に使用することができる。また植物由来のヒスチジンキナーゼドメインとしては、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来のもの、イネ(Oryza sativa)由来のもの、タバコ(Nicotiana tabacum)由来のもの、トマト(Solanum lycopersicum)由来のもの等が挙げられ、好ましくは、シロイヌナズナ由来のものが挙げられる。本発明において、植物由来のヒスチジンキナーゼドメインは、例えば、シロイヌナズナ由来のものとしては、ETR1、ETR2、ERS1、ERS2、EIN4等が挙げられる。本発明において、ヒスチジンキナーゼドメインETR1には、例えば、Genbank accession No. NM_105305で示されるペプチド、配列番号1で表されるアミノ酸配列のうち350〜585番目(レシーバードメインを含む場合は350〜729番目)のアミノ酸からなるペプチドが含まれる。また、本発明の効果が得られるかぎりにおいて、ヒスチジンキナーゼドメインETR1には、配列番号1で表されるアミノ酸配列のうち350〜585番目(レシーバードメインを含む場合は350〜729番目)のアミノ酸配列において1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなるペプチド又はその一部も包含される。本発明において、植物由来のエチレンセンサードメイン及び植物由来のヒスチジンキナーゼドメインを含むペプチドが導入されることにより、宿主である糸状菌又は酵母は、エチレン応答性が付与される。シロイヌナズナ等の植物においては、エチレン刺激に起因するシグナル伝達はヒスチジンキナーゼでは行っておらず、セリンスレオニンキナーゼが当該シグナル伝達をしていることが報告されている(Schaller (2011) Curr Biol. 21, R320-30)。従って、本発明の形質転換体の効果は予想外のものである。植物由来のエチレンセンサードメイン及び植物由来のヒスチジンキナーゼドメインを含むペプチドとしては、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド等が挙げられる。また、本発明の効果を奏する限りにおいて、発明の形質転換体の効果は予想外のものである。植物由来のエチレンセンサードメイン及び植物由来のヒスチジンキナーゼドメインを含むペプチドには、配列番号1で表されるアミノ酸配列において1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなるペプチド又はその一部も包含される。
物質生産方法
本発明は、糸状菌又は酵母の形質転換体を培養する工程、
当該形質転換体にエチレン処理をして、前記形質転換体に物質を生産させる工程、及び得られた物質を回収する工程、
を含む、物質生産方法を提供する。
本発明により製造することができる有用物質としては、特に限定されず、例えば、ペニシリン、スタチン類、セファロスポリン、麹酸、クエン酸、リンゴ酸等の低分子化合物;アミラーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ペプチターゼ、エステラーゼ、酸化酵素等の高分子化合物等が挙げられる。また有用物質としては、上記以外にも、有機酸、色素、農薬原体等の化成品、医薬品として用いられる各種物質が挙げられる。本発明において、ヒスチジンキナーゼ活性の制御に連動して形質転換体に有用物質を発現させるための設計としては、自体公知の方法を広く採用することができるが、例えば、ヒスチジンキナーゼ情報伝達経路のリン酸基転移中間因子又はHOG経路下流の適当な転写因子の制御下にあるプロモーターに有用物質誘導用の転写因子を連結する方法等が挙げられる。また、本発明の方法は、バイオマスの分解によるバイオエタノールの生産(セルラーゼ等を高生産するよう遺伝子組換えをしたカビを使用するもの等)等にも応用が可能である。
培養工程
本発明の方法は、上記糸状菌又は酵母の形質転換体を培養して、当該糸状菌又は酵母に物質を生成させる工程を含む。当該工程で用いる培地としては、特に限定されず、糸状菌又は酵母の培養に用いることができるものを広く使用することができる。例えば、CD最小培地、YPD培地、TSB培地、モルト培地、PDA培地等が挙げられる。また、当該工程には、上記培地に代えて、固体培養に用いる基質を用いることもできる。かかる基質としては、特に限定されないが、小麦フスマ、小麦、大豆、米などの固体の穀類、その類縁物等が挙げられる。これらの基質は、通常、加熱処理物が用いられる。これらの基質には糸状菌を固体培養する場合に好適である。上記培地又は基質には、炭素源として、グルコース、でんぷん、可溶性でんぷん等を添加してもよい。かかる炭素源の添加量としては特に限定されないが、例えば、0.5〜10%、より好ましくは1〜4%の範囲で適宜設定できる。培養温度は特に限定されず、20〜45℃、より好ましくは25〜37℃の範囲で適宜設定できる。培養時間も特に限定されないが、例えば、12〜72時間、より好ましくは24〜48時間の範囲で適宜設定できる。
回収工程
培養培地からの有用物質の回収方法としては、特に限定されず、自体公知の方法(遠心分離、再結晶、蒸留法、溶媒抽出法、クロマトグラフィー等)を適宜用いることができる。
以下に、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されない。
実施例1
AtETR1 gene
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana ecotype Columbia)の芽生えからRNeasy Plant Mini Kit (Qiagen)を用いてRNAを抽出し、ReverTra Ace kit (TOYOBO)を用いてcomplementary DNA(cDNA)を合成した。このcDNAを鋳型とし、以下の制限酵素サイトを付加したプライマーセットを用いて、エチレンレセプター遺伝子AtETR1(At1g66340)を増幅した。AtETR1 BamHI F; 5'−CGGGATCCTAATGGAAGTCTGCAATTG−3' (added BamH I)(配列番号31) と AtETR1 NotI R; 5'−TTTTCCTTTTGCGGCCGCTTACATGCCCTCGTACAGTAC−3'(added Not I) (配列番号32)。増幅したフラグメントはpZErOTM−2 vector (Invitrogen)にサブクローニングした(pZErO−AtETR1)。
pYES−AtETR1
pZErO−AtETR1からAtETR1をBamH IとNot Iで切り出し酵母発現ベクターpYES2 vector (Invitrogen)に導入した(pYES−AtETR1)。
エチレン結合領域
pZErO−AtETR1を鋳型として、エチレン結合ドメインとその下流のGAFドメインを含む領域(EBD+GAF)を以下のプライマーセットを用いて増幅した。AtETR1 BamHI F1; 5'−CGGGATCCTAATGGAAGTCTGCAATTG−3' (added BamH I) (配列番号31) と AtETR1 R2;5'−CTTTACATGCCCTCGTACAGTACCCGG−3'(配列番号33)。増幅したフラグメントは pZErOTM−2 vector (Invitrogen)にサブクローニングした(pYES−AtETR1(EBD+GAF))。
pYES−AtETR1(EBD)+ScSLN1p(HKD)およびpYES−AtETR1(EBD+GAF)+ScSLN1(HKD) EBD融合ScSLN1p発現系を構築するため、連結部分を重複した以下のプライマーを設計し、EBDフラグメントはpZErO−AtETR1(EBD+GAF)を鋳型にAtETR1(EBD)とAtETR1(EBD+GAF)の2種類、ScSLN1(HKD)フラグメントはpRS−ScSLN1(Maeda et al.(1994) Nature 369, 242-245)を鋳型にEBDとの連結に合わせて2種類増幅した。
AtETR1 BamHI F1; 5'−CGGGATCCTAATGGAAGTCTGCAATTG−3'(配列番号31)(added BamH I)とAtETR1−ScSLN1 R1;
5'−TGTTAAATCGGAAAGTTCATCAGTGCTTCTAATCTCATGAGT−3'(配列番号34)AtETR1 BamHI F1; 5'−CGGGATCCTAATGGAAGTCTGCAATTG−3' (added BamH I) (配列番号31)とAtETR1−ScSLN1 R2;
5’−TGTTAAATCGGAAAGTTCATCCTCCATGAGAAGGTCCCTAGC−3’ (配列番号35)AtETR1−ScSLN1 F1; 5'−ACTCATGAGATTAGAAGCACTGATGAACTTTCCGATTTAACA−3'(配列番号36)とScSLN1 NotI R;
5'−TTTTCCTTTTGCGGCCGCTCATTTGTTATTTTTCTTTCC−3' (added Not I) (配列番号37)AtETR1−ScSLN1 F2; 5'−GCTAGGGACCTTCTCATGGAGGATGAACTTTCCGATTTAACA−3'(配列番号38)とScSLN1 NotI R;
5'−TTTTCCTTTTGCGGCCGCTCATTTGTTATTTTTCTTTCC−3' (added Not I)(配列番号37)
増幅したフラグメントを精製し、これらを鋳型として以下の制限酵素を付加したプライマーを用いて Fusion PCRを行い、融合したフラグメントをpZErOTM−2 vector (Invitrogen)にサブクローニングした (pZErO−AtETR1(EBD)+ScSLN1(HKD))。
AtETR1 BamHI F1; 5'−CGGGATCCTAATGGAAGTCTGCAATTG−3' (added BamH I) (配列番号31)とScSLN1 NotI R;
5'−TTTTCCTTTTGCGGCCGCTCATTTGTTATTTTTCTTTCC−3' (added Not I)(配列番号37)
pZErO−AtETR1(EBD)+ScSLN1(HKD)およびpZErO−AtETR1(EBD+GAF)+ScSLN1(HKD)から融合HKフラグメントをBamH IとNot Iで切り出し、酵母発現ベクターpYES2 vector (Invitrogen)に導入した(pYES−AtETR1(EBD)+ScSLN1(HKD)およびpYES−AtETR1(EBD+GAF)+ScSLN1(HKD))。AtETR1(EBD)+ScSLN1(HKD)の塩基配列を図21(配列番号10)に、AtETR1(EBD+GAF)+ScSLN1(HKD)の塩基配列を図23(配列番号12)に示す。上記融合フラグメントがベクターに導入されたことはDNAシークエンシングにより確認した。
実施例2
pYES−AtETR1(EBD)+AntcsB(HKD)およびpYES−AtETR1(EBD+GAF)+ AntcsB (HKD)EBD融合AnTcsB発現系を構築するため、連結部分を重複した以下のプライマーを設計し、EBDフラグメントはpZErO−AtETR1(EBD)およびpZErO−AtETR1(EBD+GAF)を鋳型に、AntcsB (HKD)フラグメントはpYES−AntcsB(Furukawa et al, 2002)を鋳型に増幅した。AtETR1 HindIII F2; 5'−CCCAAGCTTTAATGGAAGTCTGCAATTG−3' (added Hind III) (配列番号39)とAtETR1−AntcsB R1;
5'−CGTCAGGTCGGTTAGTTCATCAGTGCTTCTAATCTCATGAGT−3'(配列番号40)AtETR1 HindIII F2; 5'−CCCAAGCTTTAATGGAAGTCTGCAATTG−3' (added Hind III) (配列番号39)とAtETR1−AntcsB R2;
5’−CGTCAGGTCGGTTAGTTCATCCTCCATGAGAAGGTCCCTAGC−3’ (配列番号41)AtETR1−AntcsB F1;5'−ACTCATGAGATTAGAAGCACTGATGAACTAACCGACCTGACG−3'(配列番号42)とAntcsB NotI R; 5'−TTTTCCTTTTGCGGCCGCTTACAGAGCAAAATTCACATC−3'(added Not I) (配列番号43)
AtETR1−AntcsB F2; 5'−GCTAGGGACCTTCTCATGGAGGATGAACTAACCGACCTGACG−3'(配列番号44)とAntcsB NotI R;
5'−TTTTCCTTTTGCGGCCGCTTACAGAGCAAAATTCACATC−3'(added Not I)(配列番号43) 増幅したフラグメントを精製し、これらを鋳型として以下の制限酵素を付加したプライマーを用いてFusion PCRを行い、融合したフラグメントをpZErOTM−2 vector (Invitrogen)にサブクローニングした(pZErO−AtETR1(EBD)+ AntcsB (HKD)およびpZErO−AtETR1(EBD+GAF)+ AntcsB (HKD))。
AtETR1 HindIII F2; 5'−CCCAAGCTTTAATGGAAGTCTGCAATTG−3' (added Hind
III) (配列番号39)とAntcsB NotI R; 5'−TTTTCCTTTTGCGGCCGCTTACAGAGCAAAATTCACATC−3'(added Not I) (配列番号43)
pZErO−AtETR1(EBD)+ AntcsB (HKD)およびpZErO−AtETR1(EBD+GAF)+ AntcsB (HKD)から融合HKフラグメン トをHind IIIとNot Iで切り出し、酵母発現ベクターpYES2 vector (Invitrogen)に導入した (pYES−AtETR1(EBD)+ AntcsB (HKD)およびpYES−AtETR1(EBD+GAF)+ AntcsB (HKD))。AtETR1(EBD)+ AntcsBの塩基配列を図27(配列番号16)に、AtETR1(EBD+GAF)+ AntcsB(HKD)の塩基配列を図29(配列番号18)に示す。上記融合フラグメントがベクターに導入されたことはDNAシークエンシングにより確認した。
実施例3
AnnikA
糸状菌(Aspergills nidulans)genomic DNA は DNeasy Plant Mini Kit (QIAGEN)を用いて抽出した。 HAMPドメインとヒスチジンキナーゼドメインを含むAnnikA (AN4479.3) 配列はA. nidulans genomic DNA をテンプレートとして次のプライマーセットで増幅した。
AnnikA F; 5'−GTATTCAACGAAACACGGCCGCCAGGGAA−3'(配列番号45)と AnnikA NotI R1;
5'−TTTTCCTTTTGCGGCCGCTCATGGTCTTACCCTATCTATG−3’ (配列番号46)増幅したフラグメントはpZErOTM−2 vector (Invitrogen)にサブクローニングした(pZErO−AnnikA(HAMP+HKD))。
pYES−AtETR1(EBD)+AnnikA(HKD)およびpYES−AtETR1(EBD+GAF)+ AnnikA (HKD) EBD融合AnNikA発現系を構築するため、連結部分を重複した以下のプライマーを設計し、EBDフラグメントはpZErO−AtETR1(EBD)およびpZErO−AtETR1(EBD+GAF)を鋳型に、AnnikA (HKD)フラグメントは pZErO−AnnikA(HAMP+HKD) (前記)を鋳型に増幅した。
AtETR1 HindIII F2; 5'−CCCAAGCTTTAATGGAAGTCTGCAATTG−3' (added Hind III) (配列番号39)とAtETR1−AnnikA R1; 5'−TTCCCTGGCGGCCGTGTTTCGAGTGCTTCTAATCTCATGAGT−3' (配列番号47)
AtETR1 HindIII F2; 5'−CCCAAGCTTTAATGGAAGTCTGCAATTG−3' (added Hind III) (配列番号39)とAtETR1−AnnikA R2; 5’−TTCCCTGGCGGCCGTGTTTCGCTCCATGAGAAGGTCCCTAGC−3’ (配列番号48)
AtETR1−AnnikA F1; 5'−ACTCATGAGATTAGAAGCACTCGAAACACGGCCGCCAGGGAA−3'(配列番号49)とAnnikA NotI R; 5'−TTTTCCTTTTGCGGCCGCTCATGGTCTTACCCTATCTATG−3' (added Not I) (配列番号46)
AtETR1−AnnikA F2; 5'−GCTAGGGACCTTCTCATGGAGCGAAACACGGCCGCCAGGGAA−3'(配列番号50)とAnnikA NotI R; 5'−TTTTCCTTTTGCGGCCGCTCATGGTCTTACCCTATCTATG−3' (added Not I)(配列番号46)
増幅したフラグメントを精製し、これらを鋳型として以下の制限酵素を付加したプライマーを用いて Fusion PCRを行い、融合したフラグメントをpZErOTM−2 vector (Invitrogen)にサブクローニングした (pZErO−AtETR1(EBD)+ AnnikA (HKD)およびpZErO−AtETR1(EBD+GAF)+ AnnikA (HKD))。
AtETR1 HindIII F2; 5'−CCCAAGCTTTAATGGAAGTCTGCAATTG−3' (added Hind III) (配列番号39)とAnnikA NotI R; 5'−TTTTCCTTTTGCGGCCGCTCATGGTCTTACCCTATCTATG−3' (added Not I)(配列番号46)
pZErO−AtETR1(EBD)+ AnnikA (HKD)およびpZErO−AtETR1(EBD+GAF)+ AnnikA (HKD)から融合HKフラグメン トをHind IIIとNot Iで切り出し、酵母発現ベクターpYES2 vector (Invitrogen)に導入した (pYES−AtETR1(EBD)+ AnnikA (HKD)およびpYES−AtETR1(EBD+GAF)+ AnnikA (HKD))。
AtETR1(EBD)+ AnnikA (HKD)の塩基配列を図34(配列番号22)に、AtETR1(EBD+GAF)+ AnnikA (HKD)の塩基配列を図36(配列番号24)に示す。上記融合フラグメントがベクターに導入されたことはDNAシークエンシングにより確認した。
実施例4
pYES−AtETR1(EBD)+AnnikA(HKD)およびpYES−AtETR1(EBD+GAF)+ AnnikA (HKD)(HAMPドメイン含有)
HAMPドメインを含むEBD融合AnNikA発現系を構築するため、連結部分を重複した以下のプライマーを 設計し、EBDフラグメントはpZErO−AtETR1(EBD)およびpZErO−AtETR1(EBD+GAF)を鋳型に、AnnikA (HKD) フラグメントはpZErO−AnnikA(HAMP+HKD) (前記)を鋳型に増幅した。
AtETR1 HindIII F2; 5'−CCCAAGCTTTAATGGAAGTCTGCAATTG−3' (added Hind III) (配列番号39)とAtETR1−AnnikA R3;
5'−TAGCTCTTCACGGACCTGGGTAGTGCTTCTAATCTCATGAGT−3'(配列番号51)
AtETR1 HindIII F2; 5'−CCCAAGCTTTAATGGAAGTCTGCAATTG−3' (added Hind III) (配列番号39)とAtETR1−AnnikA R4;
5’−TAGCTCTTCACGGACCTGGGTCTCCATGAGAAGGTCCCTAGC−3’ (配列番号52)
AtETR1−AnnikA F3; 5'−ACTCATGAGATTAGAAGCACTACCCAGGTCCGTGAAGAGCTA−3'(配列番号53)とAnnikA R2;
5’−CATTACGCACGACCAACGGTTC−3'(配列番号54)
AtETR1−AnnikA F4; 5'−GCTAGGGACCTTCTCATGGAGACCCAGGTCCGTGAAGAGCTA−3'(配列番号55)とAnnikA R2;
5’−CATTACGCACGACCAACGGTTC−3'(配列番号54)
増幅したフラグメントを精製し、pZErOTM−2 vector (Invitrogen)にサブクローニングした (pZErO−AtETR1(EBD)+ AnnikA (HAMP+HKD)およびpZErO−AtETR1(EBD+GAF)+ AnnikA (HAMP+HKD))。
pZErO−AtETR1(EBD)+ AnnikA (HAMP+HKD)およびpZErO−AtETR1(EBD+GAF)+ AnnikA (HAMP+HKD)から融合HKフラグメントをHind IIIとEcoR Iで切り出し、前述のpYES−AtETR1(EBD)+ AnnikA (HKD)(Hind IIIおよびEcoR I処理)に導入した (pYES−AtETR1(EBD)+ AnnikA (HAMP+HKD)およびpYES−AtETR1(EBD+GAF)+ AnnikA (HAMP+HKD))。AtETR1(EBD)+ AnnikA (HAMP+HKD)の塩基配列を図40(配列番号28)に、AtETR1(EBD+GAF)+ AnnikA (HAMP+HKD)の塩基配列を図42(配列番号30)に示す。上記融合フラグメントがベクターに導入されたことはDNAシークエンシングにより確認した。
試験例1
酵母Sln1p温度感受性変異株を用いたAtETR1と融合HKの機能相補試験 酵母 (S. cerevisiae) strain YHS−13 (MATa ura3 leu2 trp1 sln1−ts4) with a temperature−sensitive SLN1 allele (Maeda et al.(1994) Nature 369, 242-245) を機能相補解析に使用した。発現プラスミドはガラクトース誘導の GAL1 promoter を用いて発現調節可能なpYES2 vectorを用いた(Jonston (1987) Microbiol. Rev. 51, 458-476.) 。
pRS−ScSLN1は 酵母のSLN1を構成的に発現するポジティブコントロールとして使用した (Maeda et al.(1994) Nature 369, 242-245、Urao et al. (1999) Plant Cell 11, 1743-1754) 。 pYES−AntcsB は37℃(restrictive conditions)において、A. nidulans tcsBをガラクトース誘導で発現するポジティブコントロールとして使用した (Furukawa et al. (2002) Appl Environ Microbiol. 68, 5304−5310)。
各種HK cDNAを導入したプラスミドを用いて酢酸リチウム法 (Ito et al. (1983) J. Bacteriol. 153, 163-168.)によって酵母を形質転換 し、形質転換体を下記組成のYPDプレートまたはYPGプレート(YPDプレートのグルコースを2% ガラクトースに置き換えたもの)において37°C (restrictive conditions)または30°Cで2日間培養することで機能相補試験を行った。
YPDプレート組成
1% w/v Yeast extract
2% w/v Peptone
2% w/v Glucose
2% w/v Agar
結果を図4に示す。図4に示すように、融合ヒスチジンキナーゼ導入株において37℃でガラクトース誘導時に酵母の生育が認められ、ヒスチジンキナーゼ機能の相補を確認した。
エチレン処理
エチレン処理は容量が12 Lのアクリルチャンバー内を用いてエチレン濃度が50 μl/ Lとなるように設定した。SD培地に2%のガラクトースを添加したプレートに、上記の酵母形質転換体を、各試験区について1×10cell(左端)、1×10cell(左から2番目)、1×10cell(左から3番目)、1×10cell(右端)となるようにスポットし、エチレン処理無(−)又はエチレン処理有(+)の条件で、37°C(restrictive conditions)で3日間培養した。結果を図5に示す。37℃でガラクトース誘導時にHK機能相補を確認した融合HK導入株においてエチレン処理によって生育阻害が認められ、エチレン応答性を確認した。
エチレン応答性確認のためのHOG下流遺伝子ScGPD1の解析
Ctrl.は30℃で培養,相補酵母株はYP+Galプレートにおいて37℃で2days培養の後,上記と同様の条件で10分間エチレン処理し、定量PCRを行った。具体的には酵母のRNAはRNeasy Plant Mini Kit (Qiagen)を用いて抽出した。抽出したRNAはDNase処理の後、 iScriptTM One−Step RT−PCR Kit with SYBR Green(Bio−Rad)を用いて以下のプライマーセットでリアルタイム PCR解析を行った。18S rRNA ローデイングコントロールとして使用した。 5'−GGTTGGAAACATGTGGCTCT−3'(配列番号56)と 5'−GGCAGGTTCTTCATTGGGTA−3' (ScGPD1)(配列番号57)、 5'−TCACTACCTCCCTGAATTAGGATTG−3'(配列番号58)と 5'−AGAAACGGCTACCACATCCAA−3'(配列番号59)(18S rRNA)。
結果を図6に示す。グラフはそれぞれの相補株ごとに発現量を18S rRNAでnormalizationの後,エチレン処理後の遺伝子発現量を無処理のもので割った値である。図6に示すように、AtETR1(EBD)+ScSln1p(HKD)(AtEBD-ScHKD)及びAtETR1(EBD)+AnTcsB(HKD)(AtEBD-AnHKD)は、HOG下流遺伝子ScGPD1のエチレン刺激により発現量が、コントロール、AtETR1等と比較して顕著に増大した。
試験例2
出芽酵母SLN1遺伝子条件発現株におけるFludioxonil感受性の確認 本試験においても酵母 (S. cerevisiae) strain YHS−13 (MATa ura3 leu2 trp1 sln1−ts4) with a temperature−sensitive SLN1 allele (Maeda et al.(1994) Nature 369, 242-245) を使用した(実施例3で作製したプラスミド(pYES−AtETR1(EBD+GAF)+ AnnikA (HKD))及び実施例4で作製したプラスミド(pYES−AtETR1(EBD+GAF)+ AnnikA (HKD)(HAMPドメイン含有))を用い、またpRS−ScSLN1をポジティブコントロールとして使用した。上記プラスミドを用いること以外、試験例1と同様にして酵母を形質転換した。
得られた形質転換体を、試験例1で用いたYPDプレート(+Glc)及びYGPプレート(+Gal)、ならびにYGPプレートにFludioxonilを50μg/ ml添加したもの(+Gal +Flu)を用いて、30℃又は37℃で、2日間培養した。結果を図8に示す。出芽酵母SLN1遺伝子条件発現株では酵母において唯一のHKであるSln1pが37℃において失活し、致死性を示した(図8)。融合NikAは37℃でガラクトース誘導時に正常生育することは確認できた(図8)。FludioxonilはHAMP domainに作用することが知られており、HKが不活性となる。37℃でガラクトース誘導時に相補したHK機能がFludioxonil処理によってHAMP domainを持つ融合NikAのみに作用することを確認する試験を行った。37℃でガラクトース誘導時には、HK機能相補を確認した融合HK導入株において、HAMPドメインを有する融合NikAはFludioxonil感受性を示した(図8)。
実施例5
AnnikA(5’−UTR(promoter領域)および3’−UTR)
糸状菌(Aspergills nidulans)genomic DNA をテンプレートとしてAnnikAの上流および下流の配列を次の プライマーセットで増幅した。
5’−UTR
AnnikA pro HindIII F; 5'−CCCAAGCTTTATCGTGCAGCAGCAGTCGCCCATC−3'(added Hind III) (配列番号60)と AnnikA pro R; 5'−TCAATACAATTGCAGACTTCCATTTTGCCCTGGGATACTCAGTTAA−3’ (配列番号61)
3’−UTR
AnnikA 3’UTR F; 5'−CATAGATAGGGTAAGACCATGATAC−3'(配列番号62)と AnnikA 3’UTR R; 5'− ACATGCATGCCACGTACTCTTAAAGGTTGGG−3’ (added Sph I site) (配列番号63)
増幅したフラグメントはpZErOTM−2 vector (Invitrogen)にサブクローニングした(pZErO−AnnikAproおよびpZErO−AnnikA3’−UTR)。
pUC−pyroA−EBD+NikA
糸状菌でのEBD融合AnNikA発現系を構築するため、酵母の系で使用した融合NikAフラグメントの上流にNikAの5’−UTR連結部分を重複した以下のプライマーを設計し、pYES−AtETR1(EBD)+AnnikA(HKD)、pYES−AtETR1(EBD+GAF)+AnnikA (HKD)、pYES−AtETR1(EBD)+AnnikA(HAMP+HKD)およびpYES−AtETR1(EBD+GAF)+ AnnikA (HAMP+HKD)をテンプレートとして以下のプライマーセットで増幅した。
AnnikA pro−AtETR1 F; 5'−TTAACTGAGTATCCCAGGGCAAAATGGAAGTCTGCAATTGTATTGA−3'(配列番号64)とAnnikA R2; 5'− CATTACGCACGACCAACGGTTC−3'(配列番号54) 増幅したフラグメントを精製し、それぞれのフラグメントと前記のAnnikAproフラグメントを鋳型として以下の制限酵素を付加したプライマーを用いてFusion PCRを行い、融合したフラグメントをpZErOTM−2 vector (Invitrogen)にサブクローニングした(pZErO−nikpro+AtETR1(EBD)+ AnnikA (HKD)、 pZErO−nikpro+AtETR1(EBD+GAF)+ AnnikA (HKD)、pZErO−nikpro+AtETR1(EBD)+ AnnikA (HAMP+HKD)およびpZErO−nikpro+AtETR1(EBD+GAF)+ AnnikA (HAMP+HKD))。
AnnikA pro HindIII F; 5'−CCCAAGCTTTATCGTGCAGCAGCAGTCGCCCATC−3' (added Hind III) (配列番号60) と AnnikA R2; 5'− CATTACGCACGACCAACGGTTC−3'(配列番号54) 酵母の系で使用した融合NikAフラグメントの下流にNikAの3’−UTR連結部分を重複した以下のプライマーを設計し、pYES−AtETR1(EBD)+AnnikA(HKD)をテンプレートとして以下のプライマーセットで増幅した。
AtETR1 HindIII F2; 5'−CCCAAGCTTTAATGGAAGTCTGCAATTG−3'(added Hind III) (配列番号39)とAnnikA R3; 5'− TCATGGTCTTACCCTATCTATG−3'(配列番号65)増幅したフラグメントを精製し、そのフラグメントと前記のAnnikA3’−UTRフラグメントを鋳型として以下の制限酵素を付加したプライマーを用いてFusion PCRを行い、融合したフラグメントをpZErOTM−2 vector (Invitrogen)にサブクローニングした(pZErO−AtETR1(EBD)+ AnnikA (HKD)+nik3’UTR)。
AtETR1 HindIII F2; 5'−CCCAAGCTTTAATGGAAGTCTGCAATTG−3' (added Hind III) (配列番号39)とAnnikA 3’UTR R; 5'− ACATGCATGCCACGTACTCTTAAAGGTTGGG−3’(added Sph I site) (配列番号63)
さらに、pZErO−nikpro+AtETR1(EBD)+ AnnikA (HKD)、pZErO−nikpro+AtETR1(EBD+GAF)+ AnnikA (HKD)、 pZErO−nikpro+AtETR1(EBD)+ AnnikA (HAMP+HKD)およびpZErO−nikpro+AtETR1(EBD+GAF)+ AnnikA (HAMP+HKD)からnikpro+融合HKフラグメントをHind IIIとEcoR Iで切り出し、pZErO−AtETR1(EBD)+ AnnikA (HKD)+nik3’UTR(Hind IIIおよびEcoR I処理)に導入した。(pZErO−nikpro+AtETR1(EBD)+ AnnikA (HKD) +nik3’UTR、pZErO−nikpro+AtETR1(EBD+GAF)+ AnnikA (HKD) +nik3’UTR、pZErO−nikpro+AtETR1(EBD)+ AnnikA (HAMP+HKD) +nik3’UTRおよびpZErO−nikpro+AtETR1(EBD+GAF)+ AnnikA (HAMP+HKD) +nik3’UTR)。
pZErO−nikpro+AtETR1(EBD)+ AnnikA (HKD) +nik3’UTR、pZErO−nikpro+AtETR1(EBD+GAF)+ AnnikA (HKD) +nik3’UTR、pZErO−nikpro+AtETR1(EBD)+ AnnikA (HAMP+HKD) +nik3’UTRおよびpZErO−nikpro+AtETR1(EBD+GAF)+ AnnikA (HAMP+HKD) +nik3’UTRから融合HKをHind IIIおよびSph Iで切り出し、 pUC−pyroA2(Hind IIIおよびSph I処理) に導入した。(pUCpyroA−nikpro+AtETR1(EBD)+ AnnikA (HKD) +nik3’UTR、pUCpyroA−nikpro+AtETR1(EBD+GAF)+ AnnikA (HKD) +nik3’UTR、pUCpyroA−nikpro+AtETR1(EBD)+ AnnikA (HAMP+HKD) +nik3’UTRおよびpUCpyroA−nikpro+AtETR1(EBD+GAF)+ AnnikA (HAMP+HKD) +nik3’UTR)。上記融合フラグメントがベクターに導入されたことはDNAシークエンシングにより確認した。
試験例3
糸状菌における融合NIkAのHK機能相補試験
糸状菌(Aspergillus nidulans)ABPU1 ΔligD::ptrA(ビオチン(biA1)、アルギニン(argB2)、ウリジン (pyrG89)、ピリドキシン(pyroA4)要求性株を機能相補解析に使用した。上記のpUCpyroAシリーズのプラスミドを制限酵素処理により直線化し、プロトプラスト−PEG法によって 糸状菌を形質転換後、ピリドキシンを除く0.02μg/mlのビオチン、0.2mg/mlのアルギニン、5mMのウリジンおよび10mMのウラシルを添加したCzapek−Dox(CD)培地で分生子を形成するまで培養した。上記配合の形質 転換体の選抜は以下のプライマーセットで確認した。
AtETR1 HindIII F2; 5'−CCCAAGCTTTAATGGAAGTCTGCAATTG−3' (added Hind III) (配列番号39)とAtETR1−AnnikA R3; 5'−TAGCTCTTCACGGACCTGGGTAGTGCTTCTAATCTCATGAGT−3'(配列番号51)
選抜した形質転換体を、0.02μg/mlのビオチン、0.2mg/mlのアルギニン、0.5μg/mlのピリドキシン、5mMのウリジンおよび10mMのウラシルを添加したCzapek−Dox(CD)培地(コントロール)、当該コントロール培地にさらに1 μg/ ml又は2μg/ mlのFludioxonilを添加した培地で、37℃で培養して、HK機能相補性を試験した。野生株、ΔnikA株(Hagiwara et al.(2007)Biosci. Biotechnol. Biochem. 71, 844-847)、及び選抜した形質転換体は1 μg/ ml Fludioxonilを添加した培地において37℃で2日間培養し、 正常に生育することを確認した。上記試験のうち、野生株、pUCpyroA−nikpro+AtETR1(EBD)+ AnnikA (HKD) +nik3’UTRで形質転換した株(融合NikA(HAMPなし)導入株)及びΔNikA株についての結果を図10に示す。図10に記載のように、融合NikA導入株においてFludioxonil処理時に生育が認められ、HK機能の相補を確認した。ΔnikA株は、HAMPdomainを有するNikAを欠損しているためFludioxonilに耐性を示す。
糸状菌のエチレン処理
プレート培養での応答試験
エチレン処理は容量が12 Lのアクリルチャンバー内を用いてエチレン濃度が100 μl/ Lとなるように設定し、上記の糸状菌形質転換体をCDプレートにおいて37°Cで2日間培養する。(エチレン濃度、50μl〜100ml/L)
エチレン応答性確認のためのHOG下流遺伝子の解析
上記の糸状菌形質転換体をCDプレートにおいて37°Cで2日間培養の後、容量が12 Lのアクリルチャン バー内(エチレン濃度が100 μl/ Lとなるように設定)に移し、10分〜24時間後糸状菌のRNAはRNeasy Plant Mini Kit (Qiagen)を用いて抽出する。抽出したRNAはDNase処理の後、iScriptTM One−Step RT−PCR Kit with SYBR Green(Bio−Rad)を用いて以下のプライマーセットでリアルタイムPCR解析を行う。(エチレン濃度50μl〜100ml/L)ヒストンをローディングコントロールとして用いる。
AncatA 5'−GCTACTAGGTATCACCGCCGG−3'(配列番号66)及び 5'−GCTGCTCCTGGTCTGTGTGG−3'(配列番号67)
AngfdB 5'−CAGGTCTCCGTCATCGGCTC−3'(配列番号68)及び 5'−CTGGAGTTTCGAAGGTGTCG−3'(配列番号69)
Anhiston 5’−CACCCGGACACTGGTATCTC−3’ (配列番号70)及び5’-GAATACTTCGTAACGGCCTTGG−3’ (配列番号71)
配列番号9 融合ペプチド
配列番号10 融合ペプチド
配列番号11 融合ペプチド
配列番号12 融合ペプチド
配列番号15 融合ペプチド
配列番号16 融合ペプチド
配列番号17 融合ペプチド
配列番号18 融合ペプチド
配列番号21 融合ペプチド
配列番号22 融合ペプチド
配列番号23 融合ペプチド
配列番号24 融合ペプチド
配列番号27 融合ペプチド
配列番号28 融合ペプチド
配列番号29 融合ペプチド
配列番号30 融合ペプチド
配列番号31 プライマー
配列番号32 プライマー
配列番号33 プライマー
配列番号34 プライマー
配列番号35 プライマー
配列番号36 プライマー
配列番号37 プライマー
配列番号38 プライマー
配列番号39 プライマー
配列番号40 プライマー
配列番号41 プライマー
配列番号42 プライマー
配列番号43 プライマー
配列番号44 プライマー
配列番号45 プライマー
配列番号46 プライマー
配列番号47 プライマー
配列番号48 プライマー
配列番号49 プライマー
配列番号50 プライマー
配列番号51 プライマー
配列番号52 プライマー
配列番号53 プライマー
配列番号54 プライマー
配列番号55 プライマー
配列番号56 プライマー
配列番号57 プライマー
配列番号58 プライマー
配列番号59 プライマー
配列番号60 プライマー
配列番号61 プライマー
配列番号62 プライマー
配列番号63 プライマー
配列番号64 プライマー
配列番号65 プライマー
配列番号66 プライマー
配列番号67 プライマー
配列番号68 プライマー
配列番号69 プライマー
配列番号70 プライマー
配列番号71 プライマー

Claims (8)

  1. 植物由来のエチレンセンサードメイン及び糸状菌又は酵母由来のヒスチジンキナーゼドメインを含む融合ペプチド。
  2. 前記ヒスチジンキナーゼドメインが、アスペルギルス属、ペニシリウム属、トリコデルマ属、セファロスポリウム属、もしくはアクレモニウム属に属する糸状菌由来又はサッカロマイセス属、カンジダ属、トルロプシス属、ジゴサッカロマイセス属、シゾサッカロマイセス属、ピチア属、ヤロウィア属、ハンセヌラ属、クルイウェロマイセス属、デバリオマイセス属、ゲオトリクム属、ウィッケルハミア属もしくはフェロマイセス属に属する酵母由来である、請求項1に記載の融合ペプチド。
  3. 前記ヒスチジンキナーゼドメインがアスペルギルス ニドランス、アスペルギルス オリゼ、アスペルギルス ソーヤ、アスペルギルス ニガー、アスペルギルス フミガタス又はサッカロマイセス・セレビシエ由来である、請求項2に記載の融合ペプチド。
  4. 植物由来のエチレンセンサードメインが、シロイヌナズナ、トマト、ペチュニア、イネ、タバコ、キュウリ、バナナ又はリンゴ由来である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の融合ペプチド。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の融合ペプチドをコードする核酸分子。
  6. 請求項5に記載の核酸分子を含むベクター。
  7. 宿主の糸状菌又は酵母を請求項6に記載のベクター、又は植物由来のエチレンセンサードメイン及び植物由来のヒスチジンキナーゼドメインを含むペプチドをコードする核酸分子を含むベクターを用いて形質転換されてなる形質転換体。
  8. 請求項7に記載の糸状菌又は酵母の形質転換体を培養する工程、
    当該形質転換体にエチレン処理をして、前記形質転換体に物質を生産させる工程、及び得られた物質を回収する工程、
    を含む、物質生産方法。
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