JP2015063436A - ガラス流出装置、ガラス流出方法、ガラス成形品の製造方法、及び、光学素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガラス流出装置1は、熔融ガラスを流出するガラス流出装置であって、上下方向に延び、熔融ガラスを流出する流出パイプ4と、流出パイプ4の外周側に設けられた誘導加熱コイル6と、水平視において流出パイプ4の外側を囲むように設けられ、誘導加熱コイル6により誘導加熱可能な閉ループ状の導電体からなるループ部材14と、を備える。
【選択図】図1
Description
特許文献2に記載の装置では、特許文献2の図2に図示されているように、熔融ガラスを流出するノズルの周りにノズルカバーを設け、ノズルとノズルカバーの間に下向きにガスを流し、ノズル先端に出現する熔融ガラスに下向きの風圧を加え、自然に滴下する重量よりも軽量の熔融ガラス滴を滴下可能にしている。
特許文献3に記載の装置では、流出パイプ外周への熔融ガラスの濡れ上がりを抑制するために、特許文献3の図2に図示されているように、乾燥ガスを流出パイプの外周に流す構造になっている。
特許文献4に記載の装置では、流出する熔融ガラスからの揮発を抑制するため、熔融ガラス表面の冷却を促進するためにガスを吹き付ける構造を有している。
また、本発明のガラス流出方法によれば、熔融ガラスから高品質のガラス成形品を安定して作製するためのガラス流出方法を提供することができる。
また、本発明のガラス成形品の製造方法によれば、熔融ガラスから高品質のガラス成形品を安定して製造可能なガラス成形品の製造方法を提供することができる。
さらに、本発明の光学素子の製造方法によれば、熔融ガラスからプリフォームを経て、高品質な光学素子を安定して製造可能な光学素子の製造方法を提供することができる。
図1は、本実施形態のガラス流出装置の構成を示す鉛直断面図である。本実施形態のガラス流出装置1は、熔解炉において加熱されて熔解した熔融ガラスが供給され、供給された熔融ガラスを滴下することにより、ガラス成形品であるプリフォームを製造する装置である。
成形型16は、昇降装置22に支持されており、この昇降装置22により上下方向に昇降可能である。
プリフォームを製造する際には、まず、ガラス熔融装置20によりガラス材料を熔融させる。ガラス材料としては、本実施形態では、例えば、フツリン酸ガラス、ホウ酸含有ガラス、又はアルカリ金属含有ガラス等の高揮発性のガラス材料である。熔融されたガラス材料は、流出パイプ4へ供給される。
また、これと並行して、誘導加熱コイル6に高周波の交流電流を供給する。これにより、誘導加熱コイル6による電磁誘導により、流出パイプ4及びループ部材14が加熱される。
ここで、発明者らは、図1を参照して説明した第1実施形態のループ部材を備えたガラス流出装置(以下、試験例という)と、ループ部材を備えていないガラス流出装置(以下、比較例という)とを用いて、フツリン酸ガラス製、ホウ酸含有ガラス製、及び、アルカリ含有ガラス製のプリフォームを作成する試験を行ったので、以下説明する。
(試験例1‐1:フツリン酸ガラス製プリフォームの製造)
最初に、リン酸塩、フッ化物などを使用し、カチオン成分としてP5+を26カチオン%、Al3+を20カチオン%、Mg2+を10カチオン%、Ca2+を14カチオン%、Sr2+を15カチオン%、Ba2+を10カチオン%、Li+を4カチオン%、Y3+を1カチオン%含み、アニオン成分としてF-を64アニオン%、O2-を36アニオン%含み、屈折率ndが1.501、アッベ数νdが81.2であるフツリン酸ガラスが得られるようにガラス原料を調合した。
なお、成形したプリフォームの質量を測定したところ、すべてのプリフォームの質量は300mg±5mgの範囲内であった。
さらに、熔融ガラスの流出、成形を終えた後、成形型側ケーシング18を取り外して流出パイプ4の外周部を目視で観察したところ、熔融ガラスからの揮発物の付着は無かった。
本試験例1−2では、白金坩堝中のガラスをホウ酸含有ガラスに変えるとともに、成形型側ケーシング18を取り外し、ガラスの成形は大気雰囲気中で行うようにした。それ以外は試験例1−1と同様にして、熔融ガラスを流出し、次々にホウ酸含有ガラスからなるプリフォームを成形した。
さらに、熔融ガラスの流出、成形を終えた後、流出パイプ4の外周部を目視で観察したところ、熔融ガラスからの揮発物の付着は無かった。
白金坩堝中のガラスをアルカリ金属含有ガラスに変えた以外は、試験例1−2と同様にして熔融ガラスを流出し、次々にアルカリ金属含有ガラスからなるプリフォームを成形した。
さらに、熔融ガラスの流出、成形を終えた後、流出パイプ4の外周部を目視で観察したところ、熔融ガラスからの揮発物の付着は無かった。
(比較例1-1:フツリン酸ガラス製プリフォームの製造)
ループ部材14を取り外した以外は、試験例1−1と同様にしてフツリン酸ガラスからなるプリフォームを連続して成形した。
ループ部材14を取り外した以外は、試験例1−2と同様にしてホウ酸含有ガラスからなるプリフォームを連続して成形した。フツリン酸ガラスの流出、成形ほどの頻度ではないが、突発的に脈理が発生し、光学的に均質なプリフォームが得られなくなった。
ループ部材14を取り外した以外は、試験例1−3と同様にしてアルカリ金属含有ガラスからなるプリフォームを連続して成形した。フツリン酸ガラスの流出、成形ほどの頻度ではないが、突発的に脈理が発生し、光学的に均質なプリフォームが得られなくなった。
(試験例2−1:ホウ酸含有ガラス製プリフォームの製造)
試験例1−2で使用したホウ酸ガラスを用い、図2に示すガラス流出装置から熔融ガラス(ガラス材料)を流出、流出パイプ4の下端のガラス流出口から熔融ガラスを滴下し、その熔融ガラス滴を図示されていない成形型で受けて球状のプリフォームに成形した。
さらに、熔融ガラスの流出、成形を終えた後、流出パイプ4の外周部を目視で観察したところ、熔融ガラスからの揮発物の付着は無かった。
試験例1−3で使用したアルカリ金属含有ガラスを用い、図2に示すガラス流出装置から熔融ガラス(ガラス材料)を流出、流出パイプ4の下端のガラス流出口から熔融ガラスを滴下し、その熔融ガラス滴を図示されていない成形型で受けて球状のプリフォームに成形した。
なお、成形したプリフォームの質量を測定したところ、すべてのプリフォームの質量は25mg±0.15mgの範囲内であった。
さらに、熔融ガラスの流出、成形を終えた後、流出パイプ4の外周部を目視で観察したところ、熔融ガラスからの揮発物の付着は無かった。
(比較例2-1:ホウ酸含有ガラス製プリフォームの製造)
ループ部材34を取り外した以外は、試験例2−1と同様にしてホウ酸含有ガラスからなるプリフォームを連続して成形した。
プリフォームの重量は15mg±0.3mgの範囲内であり重量バラツキが大きかった。
ループ部材34を取り外した以外は、試験例2−2と同様にしてアルカリ金属含有ガラスからなるプリフォームを連続して成形した。
プリフォームの重量は25mg±0.4mgの範囲内であり重量バラツキが大きかった。
(試験例3−1:フツリン酸ガラス製プリフォームの製造)
次に、図3に示すガラス流出装置を用いてプリフォームを作製した。
使用するガラスは試験例1−1と同じガラスである。図3に示すガラス流出装置は試験例1−1で使用したものとほぼ同じであるが、大型のプリフォームを作製するために、流出パイプ4の径が試験例1−1における流出パイプの径よりも太く、ループ部材44が円環状で流出パイプ4の周りを覆うケーシングも下端に図示しない固定具により固定されている。また大型のプリフォームを成形するため、成形型16の凹面の直径が図1の場合よりも大きい。
さらに、熔融ガラスの流出、成形を終えた後、成形型側ケーシング18を取り外して流出パイプ4の外周部を目視で観察したところ、熔融ガラスからの揮発物の付着は無かった。
白金坩堝中のガラスをホウ酸含有ガラスに変えるとともに、成形型側ケーシング18を取り外し、ガラスの成形は大気雰囲気中で行うようにした以外は、試験例3−1と同様にして熔融ガラスを流出し、次々にホウ酸含有ガラスからなるプリフォームを成形した。
さらに、熔融ガラスの流出、成形を終えた後、流出パイプ4の外周部を目視で観察したところ、熔融ガラスからの揮発物の付着は無かった。
白金坩堝中のガラスをアルカリ金属含有ガラスに変えた以外は、試験例3−2と同様にして熔融ガラスを流出し、次々にアルカリ金属含有ガラスからなるプリフォームを成形した。
さらに、熔融ガラスの流出、成形を終えた後、流出パイプ4の外周部を目視で観察したところ、熔融ガラスからの揮発物の付着は無かった。
(比較例3-1:フツリン酸ガラス製プリフォームの製造)
ループ部材44を取り外した以外は、試験例3−1と同様にしてフツリン酸ガラスからなるプリフォームを連続して成形した。
ループ部材44を取り外した以外は、試験例3−2と同様にしてホウ酸含有ガラスからなるプリフォームを連続して成形した。フツリン酸ガラスの流出、成形ほどの頻度ではないが、時間とともに脈理が発生した。さらにプリフォームの形状が変形、イビツとなり、光学的に均質なプリフォームが得られなくなった。
ループ部材44を取り外した以外は、試験例3−3と同様にしてアルカリ金属含有ガラスからなるプリフォームを連続して成形した。フツリン酸ガラスの流出、成形ほどの頻度ではないが、時間の経過とともに脈理が発生した。さらにプリフォームの形状が変形、イビツとなり、光学的に均質なプリフォームが得られなくなった。
(試験例4)
試験例3−1において、試験例1−1のように上下方向に振れる波形状を呈する白金製のループ部材を取り付け、ループ部材44とともに高周波誘導加熱により、流出パイプ4および流出した熔融ガラスを補助的に加熱した。
図1に示すように、第1実施形態のガラス流出装置1は、熔融ガラスを流出するガラス流出装置であって、上下方向に延び、熔融ガラスを流出する流出パイプ4と、流出パイプ4の外周側に設けられた誘導加熱コイル6と、水平視において流出パイプ4の外側を囲むように設けられ、誘導加熱コイル6により誘導加熱可能な閉ループ状の導電体からなるループ部材14と、を備える。
2 ケーシング
4 流出パイプ
6 誘導加熱コイル
8、30 外側流路部材
10 内側流路部材
12 ガス流路
14、34、44ループ部材
16 成形型
18 成形型側ケーシング
20 ガラス熔融装置
22 昇降装置
Claims (12)
- 熔融ガラスを流出するガラス流出装置であって、
上下方向に延び、前記熔融ガラスを流出するパイプと、
前記パイプの外周側に設けられた誘導加熱コイルと、
水平視において前記パイプの外側を囲むように設けられ、前記誘導加熱コイルにより誘導加熱可能な閉ループ状の導電体からなるループ部材と、を備える、ガラス流出装置。 - 前記ループ部材は、前記パイプの外周側、かつ、前記誘導加熱コイルの内周側に設けられている、請求項1記載のガラス流出装置。
- 前記ループ部材は前記パイプの外周側を包囲するように設けられている、請求項1又は2記載のガラス流出装置。
- 前記ループ部材は、上下方向に振れる波形状を呈している、請求項1から3の何れか1項に記載のガラス流出装置。
- 前記パイプを包囲するように形成され、前記パイプの先端近傍に不活性ガスを吹き付けるためのガス流路を備え、前記ループ部材は、前記ガス流路内に設けられている、請求項1から4の何れか1項に記載のガラス流出装置。
- 請求項1から5の何れか1項に記載のガラス流出装置と、
前記ガラス流出装置により熔融ガラスを流出して成形する成形装置と、を備える、ガラス成形品製造装置。 - 熔融ガラスを流出する方法であって、
前記熔融ガラスを流出するパイプの外周側に、誘導加熱コイルが設けられ、
前記誘導加熱コイルにより誘導加熱可能な閉ループ状の導電体からなるループ部材が水平視において前記パイプの外側を囲むように設けられ、
前記誘導加熱コイルにより前記ループ部材を誘導加熱しながら、前記パイプから前記熔融ガラスを流出する、ガラス流出方法。 - 前記パイプの先端近傍に、前記パイプの外周面に沿って不活性ガスを流すためのガス流路が前記パイプを包囲するように形成されており、
前記ガス流路に下方に向かって前記不活性ガスを流す、請求項7に記載されたガラス流出方法。 - 前記ループ部材は、前記ガス流路内に設けられている、請求項7又は8に記載のガラス流出方法。
- 請求項7から9の何れか1項に記載のガラス流出方法により熔融ガラスを流出し、成形するガラス成形品の製造方法。
- 熔融ガラスをプレス成形用プリフォームに成形する請求項10に記載のガラス成形品の製造方法。
- 請求項11に記載のガラス流出方法により熔融ガラスを流出してプレス成形用プリフォームを製造するステップと、
前記プリフォームを加熱するステップと、
前記加熱されたプリフォームをプレス成形するステップと、
を備える、光学素子の製造方法。
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