JP2015054585A - 車両の側部車体構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ルーフ1の左右方向の両端部に車体前後方向に延びる閉断面状の左右1対のルーフサイドレール2と、これら1対のルーフサイドレール2の途中部から下方へ夫々延びる1対のセンタピラー4とを備え、左右1対のルーフサイドレール2の車幅方向内側の接合部B間に架設された中央ルーフレイン34と、ルーフサイドレール2の内部を車幅方向に仕切ると共に車体前後方向に延びるルーフレールレイン23とを設け、ルーフレールレイン23が、車体前後方向に直交する鉛直断面にて接合部Bからの半径r1〜r3が異なる円周C1〜C3上に夫々位置する複数の特定部位S1〜S3であって、円周方向の両端部に稜線部E1〜E6が設けられた複数の特定部位S1〜S3を備えた。
【選択図】 図5
Description
そこで、ルーフサイドレールに作用する捩りモーメントのエネルギをルーフサイドレールの構造変更によって吸収する技術が提案されている。
即ち、特許文献1の車両の側部車体構造では、側突荷重に起因した捩りモーメントのエネルギをルーフサイドレールに形成した脆弱部の圧潰変形によって吸収するため、ルーフサイドレールの下壁の板厚が部分的に薄く形成されている。
これにより、脆弱部を備えたルーフサイドレールは、板厚を部分的に薄く形成していないルーフサイドレールに比べて捩り剛性が低下し、側突荷重によってルーフサイドレール自体が座屈する虞がある。
請求項3の発明によれば、半径最大のところ、つまり、捩りモーメントの応力が最大の部位が最も捩り抑制に寄与するため、円周のうち最も半径が大きな円周上の特定部位の円周方向長さが異なる半径のその他の円周上の特定部位の円周方向長さよりも長く設定することによって、ルーフレールレインフォースメントの座屈耐力を能率的に増加することができ、ルーフサイドレールの捩り剛性を一層増加することができる。
図1に示すように、車両Vは、ルーフ1の左右両端部において前後方向に延びる1対のルーフサイドレール2と、車体の左右両側部の下部において前後方向に延びる1対のサイドシル3と、車体の左右両側部の前後方向中間部において上下方向に延びる1対のセンタピラー4等を備えている。尚、車両Vの側部車体構造は、左右対称の構造であるため、以下、主に左側の構造について説明する。
センタピラーアウタ11の上端部はルーフサイドレールアウタ21の下端部に連なり、センタピラーインナ12の上端部はルーフサイドレールインナ22の下端部に接合されている。センタピラー4は、その閉断面部を車幅方向に仕切るセンタピラーレイン13を備えている。
図3に示すように、上側部分14は、車体側面に沿って延びる側壁部14aと、この側壁部14aの前後方向両端部から車幅方向内側に略直交状に延びる1対の縦壁部14bと、各縦壁部14bの両先端部から前後方向に延びる1対のフランジ部14cとを備え、断面略ハット状に形成されている。この上側部分14には、ヒンジ取付部(図示略)が接合されている。
側壁部15aには、比較的大きな範囲に亙って開口部15dが形成されている。
1対の縦壁部15bは、両者の間隔が車幅方向内側程徐々に拡大するように傾斜状に形成され、上側部分14の縦壁部14bの傾斜角度よりも大きな傾斜角度に設定されている。
図5に示すように、ルーフサイドレール2は、ルーフサイドレールアウタ21と、ルーフサイドレールインナ22とを有し、両パネルが協働して前後に延びる閉断面部を構成している。図1に示すように、左側ルーフサイドレール2の前端部は、ルーフ1の前端部において車幅方向に延びるフロントヘッダ31の左側端部に接合され、後端部はルーフ1の後端部において車幅方向に延びるリヤヘッダ32の左側端部に接合されている。1対のルーフサイドレール2間に架設されたルーフパネル30の前端部がフロントヘッダ31の上面に接合され、後端部がリヤヘッダ32の上面に接合されている。
図2,図5に示すように、中央ルーフレイン34は、側面視にてセンタピラー4の上端部と略同じ位置に配設され、その車幅方向端部はルーフサイドレールインナ22に接合部Bで接合されている。前側ルーフレイン33と後側ルーフレイン35についても、中央ルーフレイン34と同様に、車幅方向端部がルーフサイドレールインナ22に接合されている。
ルーフレールレイン23は、前端部がフロントヘッダ31に接合され、後端部がリヤヘッダ32に接合されている。このルーフレールレイン23は、上側フランジ部23aがルーフパネル30とルーフサイドレールアウタ21とルーフサイドレールインナ22と4重接合され、下側フランジ部23bがルーフサイドレールインナ22と接合されることにより、ルーフサイドレールインナ22と協働して前後方向に延びる閉断面部を構成している。
図5,図6に示すように、特定部位S1は、前後方向に直交する鉛直断面にて接合部Bからの距離が半径r1に設定された円周C1に位置するように設けられている。この特定部位S1には、センタピラーレイン13の上端部がスポット溶接にて接合され、側突時、センタピラー4を介して入力した側突荷重に起因して面上に生じる応力F1とこれに伴う捩りモーメントが発生する。
特定部位S1と、稜線部E1,E2とを挟んで隣り合う隣接部位N1,N2とは、夫々が形成する公差角度が130°〜160°の範囲に設定され、特定部位S2と、稜線部E3,E4とを挟んで隣り合う隣接部位N3,N4とは、夫々が形成する公差角度が130°〜160°の範囲に設定され、特定部位S3と、稜線部E5,E6とを挟んで隣り合う隣接部位N5,N6とは、夫々が形成する公差角度が130°〜160°の範囲に設定されている。
図7(a)に示すように、センタピラー4に側突荷重が作用したとき、センタピラー4を介してルーフサイドレール2とサイドシル3とに側突荷重が伝達分散される。
以下、検証実験について説明する。
図8に示すように、ルーフサイドレールのモデルMは、アウタパネル51と、インナパネル52とを備え、それらの上下方向の両端部が接合されて長手方向に延びる閉断面部を構成している。アウタパネル51の中段部には、インナパネル52方向に屈曲して長手方向に延びる屈曲部53が形成されている。屈曲部53の角度θを変化させたモデルMの長手方向の両端部に上下反対向きの荷重を夫々させて、モデルMが座屈するときの屈曲部53の公差角度θと座屈耐力比との相関関係を作成した。尚、アウタパネル51とインナパネル52は、板厚1.2mmの高張力鋼板の性質を有している。
(1)板厚の変更や補強部材の追加がなくとも、ルーフサイドレールの形状変更により座屈耐力比を増すことができる。
(2)屈曲部53が存在しない場合に比べて屈曲部53が存在する場合の方が、座屈耐力比が高くなるため、ルーフサイドレールの稜線部は座屈変形抑制に有効に寄与する。
(3)稜線部を挟んで隣り合う面部の形成する角度が130°〜160°のとき、座屈耐力比が飛躍的に高くなるため、稜線部を挟んで隣り合う面部の形成する角度の調節により座屈変形を抑制できる。
以上の検証結果から、ルーフサイドレール自身に形成された稜線部と稜線部を挟んだ面部の交差角度とによりルーフサイドレールの座屈変形を抑制できることが知見された。
1〕前記実施例においては、円周上に位置する特定部位を3ヶ所形成した例を説明したが、特定部位は2ヶ所でも良く、また、4ヶ所以上形成することも可能である。また、中央ルーフレインとルーフサイドレールインナとの接合部を捩りモーメントの中心とした例を説明したが、ルーフサイドレールの構成によって捩りモーメントの中心が変更されるため、ルーフサイドレールの構成に応じて適宜捩りモーメントの中心を設定することが好ましい。
2 ルーフサイドレール
4 センタピラー
13 センタピラーレインフォースメント
23 ルーフレールレインフォースメント
S1〜S3 特定部位
N1〜N6 隣接部位
E1〜E6 稜線部
V 車両
Claims (5)
- ルーフの左右方向の両端部に車体前後方向に延びる閉断面状の左右1対のルーフサイドレールと、これら1対のルーフサイドレールの途中部から下方へ夫々延びる1対のセンタピラーとを備えた車両の側部車体構造において、
前記ルーフサイドレールの内部を車幅方向に仕切ると共に車体前後方向に延びるルーフレールレインフォースメントを設け、
前記ルーフレールレインフォースメントが、側突時に生じる捩りモーメントによる応力方向に平行又は略平行な面を有する複数の特定部位であって、前記応力方向の両端部に稜線部が設けられた複数の特定部位を備えたことを特徴とする車両の側部車体構造。 - ルーフの左右方向の両端部に車体前後方向に延びる閉断面状の左右1対のルーフサイドレールと、これら1対のルーフサイドレールの途中部から下方へ夫々延びる1対のセンタピラーとを備えた車両の側部車体構造において、
前記左右1対のルーフサイドレールの車幅方向内側の接合部間に架設されたルーフレインフォースメントと、
前記ルーフサイドレールの内部を車幅方向に仕切ると共に車体前後方向に延びるルーフレールレインフォースメントとを設け、
前記ルーフレールレインフォースメントが、車体前後方向に直交する鉛直断面にて前記接合部からの半径が異なる円周上に夫々位置する複数の特定部位であって、前記円周方向の両端部に稜線部が設けられた複数の特定部位を備えたことを特徴とする車両の側部車体構造。 - 前記円周のうち最も半径が大きな円周上の特定部位の円周方向長さが、異なる半径のその他の円周上の特定部位の円周方向長さよりも長く設定されたことを特徴とする請求項2に記載の車両の側部車体構造。
- 前記複数の特定部位のうち少なくとも1の特定部位に前記センタピラーの内部を車幅方向に仕切るセンタピラーレインフォースメントが連結されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の側部車体構造。
- 前記複数の特定部位と前記稜線部を挟んで隣り合う複数の隣接部位とが夫々形成する角度が130°〜160°に設定されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両の側部車体構造。
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