一般的に、FPD産業において、強化ガラスは、既存の一般ガラス等とは異なり、表面に強化層が形成されている。
したがって、既存のガラスカッティング方法でスクライビングホイールを用いて強化ガラスをカッティングする場合には、初期カッティング位置からカッティングされずスクライビングホイールが滑る問題があった。
すなわち、強化ガラスの表面には強化層が形成されているので、スクライビングホイールが厚さ方向に突っ込むことができず、強化層面に沿って滑りながら走行することになり、初期開始位置からカッティングされない状態で一定区間を通り過ぎてから、強化層の厚さ方向に突っ込みながらカッティングされる問題があった。
そして、このような問題で、カッティングされる強化ガラスで不規則的な亀裂による不良発生が増加して生産の採算性が合わない問題点があった。
また、強化ガラスの強化層でスクライビングホイールが滑りながら移動するため、カッティング時にスクライビングホイールに直進性を与えることができなくなり、これによりカッティング面が粗くなるか、方向性を失うか、又はカッティング面がきれいにカッティングされない問題点も発生している。
それだけではなく、強化ガラス面に沿って走行するスクライビングホイールに直進性を与えにくく、スクライビングホイールが強化ガラス面で不規則的に走行するので、スクライビングホイールの摩耗を顕著に増加させる問題があり、これにより、スクライビングホイールの寿命を短縮させる結果をもたらしている実情である。
かかる問題を発生させる原因を図1を参照して更に詳しく見ると、従来のガラスカッティング方法では、強化ガラス(6)の表面に形成された強化層(5)のA部分の位置からスクライビングホイール(2)のカッティング作業が実施される。
すなわち、スクライビングホイール(2)を強化ガラス(6)の表面に形成された強化層(5)に下降して初期カッティング位置に接触させた後、スクライビングホイール(2)を走行させることにより、カッティング作業が実施される。
ところで、強化ガラス(6)に形成された強化層(5)によって強化ガラス(6)の強度が一般ガラスより非常に強いため、強化ガラス(6)の強化層(5)の表面に沿って走行されるスクライビングホイール(2)は、滑り現象が発生する。
したがって、スクライビングホイール(2)が強化層(5)の面に沿って走行し始めるようになると、初期カッティング時点では強化ガラス(6)の厚さ方向に入り込むことができずに進行してしまい、一定区間以後から強化ガラス(6)の厚さ方向に入り込みながらカッティングを実施することになる。
前記のように、初期カッティング時点で強化ガラス(6)の強化層(5)に入り込めなかった状態で走行したスクライビングホイール(2)は、強化ガラス(6)の強化層(5)の面で滑りながら強化ガラスをカッティングできなかった状態で走行するので、結局スクライビングホイール(2)の初期カッティング時に誤りが発生し、これにより、均一なカッティング面が得られず多量の不良品を量産することになる。
また、かかる問題点を解決するために、図2に図示されたように、強化ガラス(6)の側端面側で強化ガラス(6)の厚さ方向に入り込むべき深さまでスクライビングホイール(6)を下降させた上でカッティング作業を進行させる方法も用いられている。
しかし、このような方法も、スクライビングホイール(2)が走行し始める際に強化ガラス(2)の側端面にぶつかりながら走行するため、強化ガラス(6)に大きな衝撃を発生させ、初期カッティング部位で直進性のない不規則的な亀裂が発生し不良率が更に増加する問題点があった。
本発明の一実施形態に係る強化ガラスカッティング方法を添付された図面を参照して下記のように説明する。
図3を参照すると、本発明の一実施形態に係る強化ガラスカッティング方法は、大型の強化ガラスを格子形態に割って多数個の基板等に分割するために、先ず強化ガラス(6)が安着されている位置にスクライビングホイール(20)を移動させ、その後、強化ガラス(6)の厚さ方向に形成された強化層(5)の表面上にスクライビングホイール(20)を下降させる。
そして、下降されたスクライビングホイール(20)は、強化ガラス(6)の強化層(5)の表面で強化ガラス(6)の厚さ方向に強化層(5)を一定圧力で加圧させる。
前述のように、スクライビングホイール(20)が強化ガラス(6)の強化層(5)の表面に一定圧力をかけながら下降するようになると、強化ガラス(6)の面(具体的には、強化層(5)の表面)がスクライビングホイール(20)によって押され強化ガラス(6)面上に刻み目が形成される。
そして、強化層(5)の表面に刻み目が形成された後、スクライビングホイール(20)は、強化層(5)の刻み目に当接されている状態で、強化層(5)を加圧する状態で一定区間を走行移動する。
すなわち、本発明の実施形態に係る強化ガラスカッティング方法は、強化ガラス(6)の初期カッティング時にスクライビングホイール(20)が強化ガラス(6)の強化層(5)の面で滑らずに安着することができるように、強化層(5)の表面に短く刻み目を予め形成させる。
具体的には、スクライビングホイール(20)を強化ガラス(6)の強化層(5)の面に下降させながら強化ガラス(6)の厚さ方向に強化層(5)の表面を押すようになると、強化ガラス(6)の表面には点(spot)のように刻み目が形成される。
前述のように、強化層(5)の表面に短く刻み目を形成する方法として、例えばスクライビングホイール(20)を強化ガラス(6)の強化層(5)の表面に下降させる時、ドリルで孔を形成させる時と同様の方法で下降させて点(spot)を付けるように加圧しながら刻み目を形成することもでき、またはスクライビングホイール(20)に点を付けて刻み目を形成した後、形成された刻み目を起点として強化ガラス(6)のカッティングの進行方向に沿ってスクライビングホイール(20)を一定区間移動させて一定区間のみにスクライブラインを形成することもできる。
そして、前記のように、スクライビングホイール(20)を用いて強化ガラス(6)の強化層(5)の表面に1次として点を付けるように刻み目を形成するか、又は一定区間で刻み目を形成した後、スクライビングホイール(20)を昇降させ元の位置(初期のスクライブ開始位置)に復帰させる。
スクライビングホイール(20)が元の位置に復帰されると、次いで後期カッティング段階である強化ガラス(6)の全体カッティングのために、スクライビングホイール(20)を強化ガラス(6)の強化層(5)の表面上に予め形成された刻み目の位置に再度下降させ、図4に図示されたように、強化ガラス(6)の強化層(5)の表面上に沿って全体をカッティングするように走行させる。
すなわち、図5を参照して説明すると、初期カッティング段階で、スクライビングホイール(20)を用いて強化ガラス(6)のA位置(具体的には、スクライブ開始位置)に予め刻み目を形成し、その後、後期カッティング段階で、スクライビングホイール(20)を強化ガラス(6)面上で予め刻み目が形成されているA位置に再度下降させた後、A位置からまた強化ガラス(6)面上の残りの端部分であるA'の位置までスクライビングホイール(20)を走行させて強化ガラス(6)の全体のカッティングが完了するようになる。
前記のように、初期カッティング段階及び後期カッティング段階を経て強化ガラスをカッティングするようになると、スクライブ開始時にスクライビングホイール(20)は強化ガラス(6)の強化層(5)に予め形成されている刻み目(亀裂)部位に沿って移動されるため、強化ガラス(6)の表面上で滑ることなく走行できるようになる。
したがって、本実施形態に係る強化ガラスカッティング方法によると、スクライビングホイール(20)が滑らずに走行することができるので、スクライビングホイール(20)の直進性に優れる。
また、本実施形態に他の強化ガラスカッティング方法は、強化ガラス(6)上にスクライビングホイール(20)を用いて予め初期の一定区間に刻み目(亀裂)を形成しておくため、その亀裂を介して強化ガラス(6)上を走行するスクライビングホイール(20)は滑らずスクライブしながら円滑にカッティング作業を行うことができる。
特に、本実施形態に係る強化ガラスカッティング方法は、強化ガラス(6)面上の一定区間に予め刻み目等を形成させる時、他のカッティング装置等を使用せずスクライビングホイール(20)を用いて強化ガラス(6)面上に予め刻み目を形成させるので、刻み目を形成させるための別途の装置を設けなくても良く、作業効率性を向上させることができる。
以下、図6を参照して本発明の他の実施形態について説明する。
図6は、本発明の他の実施形態に係る強化ガラスカッティング方法を概略的に示す図である。
本発明の他の実施形態におけるスクライビングホイールの走行動作は、前述の本発明の一実施形態と同一であるため、それに対する詳細な説明は省略する。
本発明の一実施形態では、強化ガラス上にスクライビングホイールを主に一直線に走行させる場合について説明したが、本発明の他の実施形態では、スクライビングホイールを相互交差する方向に走行させて強化ガラスをクロスカッティングする時、生産性を向上させることができる強化ガラスカッティング方法に関する。
具体的に、従来には、ガラスを格子形態に分割するために、スクライビングホイールを用いてガラスの一面上に相互交差するスクライブラインを形成してクロスカッティングする方法を採用していた。
ところで、かかる従来のクロスカッティング方法では、強化ガラス(6)の一面にスクライビングホイール(20)を2台装着してクロスカッティングすると、装置の走行干渉が起こる問題点が発生することがあり、また1台のスクライビングホイール(20)で強化ガラス(6)の一面上で横と縦に走行方向を交互にカッティングが行われる際にも、スクライビングホイールによって形成されるスクライブラインの交差点でスクライビングホイール(20)のはじかれる現象や強化ガラスへの突っ込み不良が発生する問題点があった。
これに対して、図6に図示されたように、本発明の他の実施形態に係る強化ガラスカッティング方法によると、強化ガラス(6)の上面にスクライビングホイール(20)を位置させ、強化ガラス(6)の下面にも同一のスクライビングホイール(20)を位置させている。
そして、このような状態で、強化ガラス(6)の上面でスクライビングホイール(20)を一方向に走行させ、強化ガラス(6)の下面側に位置されているスクライビングホイール(20)は、前記方向と交差する方向に走行させる。
例えば、図6に図示されたように、強化ガラス(6)の上面に装着されたスクライビングホイール(20)を横方向にカッティングするように走行させ、強化ガラス(6)の下面に装着されたスクラビングホイール(20)は、縦方向にカッティングするように走行させると強化ガラス(6)の上下面が同時にカッティングされる。
したがって、本発明の他の実施形態は、特に強化ガラス(6)のクロスカッティング時にカッティングされるライン線上で交点部が形成されないので、スクライビングホイール同士で走行時に交点部で干渉する問題と、スクライビングホイール(20)の走行中に交点の周りでスクライビングホイール(20)のはじかれる現象等を防止することができる効果がある。