JP2015050968A - 核酸増幅システム - Google Patents

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JP2015050968A JP2013186008A JP2013186008A JP2015050968A JP 2015050968 A JP2015050968 A JP 2015050968A JP 2013186008 A JP2013186008 A JP 2013186008A JP 2013186008 A JP2013186008 A JP 2013186008A JP 2015050968 A JP2015050968 A JP 2015050968A
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大島 敦
Atsushi Oshima
敦 大島
寿郎 村山
Toshiro Murayama
寿郎 村山
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Abstract

【課題】新規な核酸増幅システムを提供する。【解決手段】本発明の核酸検出制御装置は、核酸が結合した核酸結合性固相担体から前記核酸が溶出する反応液を含むプラグを有するチューブと、前記チューブと連通し、前記反応液と相分離するオイルを含む核酸増幅反応容器と、を備えるカートリッジを装着可能な装着部を有する回転体と、前記核酸増幅反応容器の内部に温度勾配を形成するヒーターと、前記核酸増幅反応容器内の反応液に含まれる蛍光物質から放射され、核酸増幅反応の指標となる蛍光を検出する蛍光測定器と、を備える核酸増幅装置と、前記蛍光測定器を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記蛍光測定器にピーク波長が異なる3つの蛍光を測定させるとき、前記3つの蛍光をピーク波長が短い方から第1の蛍光、第2の蛍光、第3の蛍光とする場合に、前記第1の蛍光を測定する時間と前記第3の蛍光を測定する時間の少なくとも一部を重ねさせることを特徴とする核酸検出制御装置と、を備える核酸増幅システム。【選択図】なし

Description

本発明は、核酸増幅システムに関する。
特許文献1、2には、反応液と、反応液と相分離する反応液よりも比重の小さいオイル
とが充填されたバイオチップを回転させることで、バイオチップの内部において反応液を
移動させて熱サイクルを施す装置が開示されている。
特開2009−136250号公報 特開2012−115208号公報
本発明は、新規な核酸増幅システムを提供することを目的とする。
本発明の一実施態様である核酸増幅システムは、下記(1)核酸増幅装置及び(2)核
酸検出制御装置を備える核酸増幅システムである。
(1)核酸が結合した核酸結合性固相担体から前記核酸が溶出する溶出液を含むプラグを
有するチューブと、前記チューブと連通し、前記溶出液と相分離するオイルを含む核酸増
幅反応容器と、を備えるカートリッジを装着可能な装着部を有する回転体と、前記核酸増
幅反応容器の内部に温度勾配を形成するヒーターと、前記核酸増幅反応容器内の反応液に
含まれる蛍光物質から放射され、核酸増幅反応の指標となる蛍光を検出する蛍光測定器と
、を備える核酸増幅装置、
(2)前記蛍光測定器を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記蛍光測定器にピーク
波長が異なる3つの蛍光を測定させるとき、前記3つの蛍光をピーク波長が短い方から第
1の蛍光、第2の蛍光、第3の蛍光とする場合に、前記第1の蛍光を測定する時間と前記
第3の蛍光を測定する時間の少なくとも一部を重ねさせることを特徴とする、核酸検出制
御装置。ここで、前記制御部は、前記蛍光測定器に、前記第1の蛍光と前記第3の蛍光を
測定させ、その後で前記第2の蛍光を測定させてもよい。
本発明の他の実施態様である核酸検出方法は、核酸が結合した核酸結合性固相担体から
前記核酸が溶出する溶出液を含むプラグを有するチューブと、前記チューブと連通し、前
記溶出液と相分離するオイルを含む核酸増幅反応容器と、を備えるカートリッジを装着可
能な装着部を有する回転体と、前記核酸増幅反応容器の内部に温度勾配を形成するヒータ
ーと、前記核酸増幅反応容器内の反応液に含まれる蛍光物質から放射され、核酸増幅反応
の指標となる蛍光を検出する蛍光測定器と、を備える核酸増幅装置において、前記核酸増
幅反応容器内の反応液に含まれるピーク波長が異なる3つの蛍光物質から放射され、核酸
増幅反応の指標となる3つの蛍光を検出する工程を含む核酸検出方法であって、前記3つ
の蛍光をピーク波長が短い方から第1の蛍光、第2の蛍光、第3の蛍光とする場合に、前
記第1の蛍光を測定する時間と前記第3の蛍光を測定する時間の少なくとも一部を重ねる
ことを特徴とする核酸検出方法である。ここで、前記第1の蛍光と前記第3の蛍光を測定
し、その後で前記第2の蛍光を測定してもよい。
本発明のさらなる実施態様である核酸増幅システムは、核酸が結合した核酸結合性固相
担体から前記核酸が溶出する溶出液を含むプラグを有するチューブと、前記チューブと連
通し、前記溶出液と相分離するオイルを含む核酸増幅反応容器と、を備えるカートリッジ
を装着可能な装着部と、前記核酸増幅反応容器内の反応液に含まれる蛍光物質から放射さ
れ、核酸増幅反応の指標となる蛍光を検出する蛍光測定器と、前記蛍光測定器を制御する
制御部と、を備え、前記制御部は、蛍光測定器にピーク波長が異なる3つの蛍光を測定さ
せるとき、前記3つの蛍光をピーク波長が短い方から第1の蛍光、第2の蛍光、第3の蛍
光とする場合に、前記第1の蛍光を測定する時間と前記第3の蛍光を測定する時間の少な
くとも一部を重ねさせることを特徴とする、核酸増幅システムである。ここで、前記制御
部は、前記蛍光測定器に、前記第1の蛍光と前記第3の蛍光を測定させ、その後で前記第
2の蛍光を測定させてもよい。
図1A及び図1Bは、カートリッジ1の説明図である。 図2A〜図2Cは、カートリッジ1の動作説明図である。 図3A〜図3Dは、タンク3の説明図である。 図4は、固定爪25及びガイド板26と装着部62の説明図である。 図5A及び図5Bは、PCR容器30の周辺の説明図である。 図6Aは、PCR装置50の内部構成の斜視図である。図6Bは、PCR装置50の主要構成の側面図である。 図7は、PCR装置50のブロック図である。 図8Aは、回転体61の説明図である。図8Bは、回転体61の装着部62にカートリッジ1を装着した状態の説明図である。 図9A〜図9Dは、カートリッジ1の装着時のPCR装置50の状態の説明図である。 図10は、磁石71を下方向に移動させたときの磁気ビーズ7の挙動の概念図である。 図11A〜図11Cは、核酸溶出処理の説明図である。 図12は、磁石71を揺動させたときの磁気ビーズ7の挙動の概念図である。 図13は、磁石71の揺動の有無を示す表である。 図14A〜図14Cは、液滴形成処理の説明図である。 図15A及び図15Bは、熱サイクル処理の説明図である。 図16A及び図16Bは、第2実施形態のカートリッジ1の説明図である。 図17Aは、第2実施形態のカートリッジ1の初期状態の説明図である。図17Bは、図17Aの状態からプランジャー10を押して、シール12Aが下シリンジ22に接触したときの側面図である。図17Cは、プランジャー10を押した後の第2実施形態のカートリッジ1の説明図である。 図18A及び図18Bは、第2実施形態のPCR容器30の周辺の説明図である。 一実施例において用いた核酸抽出用キット及びその組み立て後の装置を示す図である。 一実施例におけるリアルタイムPCRの結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を、詳細に説明する。なお、本発明の目的、特徴、利点、お
よび、そのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記
載から、当業者であれば容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態
は、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているの
であって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の
意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、
当業者にとって明らかである。
===第1実施形態===
まず、PCR装置50(核酸増幅反応装置)に装着されるカートリッジについて説明し
た後、本実施形態のPCR装置50の構成・動作について説明する。
<カートリッジ1>
図1A及び図1Bは、カートリッジ1の説明図である。図2A〜図2Cは、カートリッ
ジ1の動作説明図である。図2Aは、カートリッジ1の初期状態の説明図である。図2B
は、図2Aの状態からプランジャー10を押して、シール12Aが下シリンジ22に接触
したときの側面図である。図2Cは、プランジャー10を押した後のカートリッジ1の説
明図である。
カートリッジ1は、核酸の結合した磁気ビーズ7から核酸を溶出させる核酸溶出処理を
行う容器であるとともに、PCR溶液となる反応液47に対し、ポリメラーゼ反応のため
の熱サイクル処理を行う容器である。
核酸抽出処理は、タンク3で行われ、チューブ20を通る間に精製される。チューブ2
0の材質は、特に限定されないが、例えば、ガラス、プラスティックなどの樹脂、金属な
どとすることができる。特に、チューブ20の材質として透明なガラスや樹脂を選択する
と、チューブ20の外部から内部を観察することができるので、より好ましい。また、チ
ューブ20の材質に、磁力を透過する物質や非磁性体を選択すると、チューブ20に磁性
粒子を通過させる場合などに、チューブ20の外部から磁力を与えることによって、磁性
粒子を移動させることが容易化されるため好ましい。また、チューブの材質は、付近にヒ
ーター(後述する溶出用ヒーター65Aや高温側ヒーター65B)が配置されるため、少
なくとも100℃以上の耐熱性を有することが好ましい。なお、チューブ20の材質は、
タンクの材質と同じにしても構わない。
チューブ20は、洗浄液プラグ45、反応液プラグ47及びオイルプラグを有している
。核酸の結合した磁気ビーズ7が外部の磁石に引き寄せられるので、チューブ20に沿っ
て外部で磁石を移動させることにより、磁気ビーズ7がチューブ20内を移動し、洗浄液
プラグ45を通って、反応液プラグ47に到達する。磁気ビーズ7に結合した核酸は、洗
浄液プラグ45で洗浄液により洗浄され、反応液プラグ47で溶出する。ここで、「プラ
グ」とは、チューブ20内において、特定の液体が一区画を占める場合の液体を意味する
。例えば、図2A〜図2Cにおいてキャピラリー23内で柱状に保持されている液体を「
プラグ」と呼ぶ。なお、オイルは、その他の溶液とは相分離し(その他の溶液とは混和せ
ず)、従って、オイルからなるプラグは、その両側の水溶性のプラグが互いに混合するこ
とを防止する機能を有する。プラグの中やプラグの間には、気泡や他の液体がないことが
好ましいが、磁気ビーズ7がプラグを通過できる限りにおいて、気泡や他の液体が存在し
ても良い。
オイルの種類は、特に限定されず、ミネラルオイル、シリコーンオイル(2CSシリコ
ーンオイルなど)、植物油などを用いることができるが、より高粘度なオイルにすること
によって、上側のプラグとの界面で、核酸結合性固相担体を移動させる場合に、オイルに
よる「ぬぐい効果」を高めることができる。これにより、上側のプラグから、オイルから
なるプラグに核酸結合性固相担体を移動させた場合に、核酸結合性固相担体に付着した水
溶性の成分をオイル内に、より持ち込まれにくくすることができる。
熱サイクル処理は、カートリッジ1のPCR容器30で行われる。PCR容器30は、
オイルで満たされており、反応液47は、そのオイルと相分離するので、チューブ20か
ら反応液プラグ47がPCR容器30中に押し出されると液滴状になり、また、オイルよ
りも比重が大きいため、液滴状になった反応液47は沈降する。外部のヒーターによって
PCR容器30に高温領域36Aと低温領域36Bが形成され、カートリッジ1全体をヒ
ーターとともに上下反転させることを繰り返すと、高温領域36Aと低温領域36Bとの
間で液滴状の反応液47が交互に移動して、PCR溶液である反応液47に2段階の温度
処理が施される。
PCR容器30の材質は特に限定されないが、例えば、ガラス、プラスティックなどの
樹脂、金属などとすることができる。また、PCR容器30の材質は、付近に高温側ヒー
ター65Bがあるため、少なくとも100℃以上の耐熱性を有することが好ましい。PC
R容器30の材質は透明又は半透明な材質を選択すると、蛍光測定(蛍光強度測定)が容
易になるので好ましい。但し、PCR容器30の全ての領域で透明又は半透明である必要
はなく、少なくとも蛍光測定器55と対向する部位(例えばPCR容器30の底35A)
が透明又は半透明であればよい。なお、PCR容器30の材質は、タンク3やプランジャ
ー10の材質と同じにしても構わない
カートリッジ1は、タンク3と、カートリッジ本体9とから構成される。カートリッジ
1を構成するキットには、タンク3及びカートリッジ本体9とともにアダプター5が予め
用意されている。アダプター5を介してタンク3とカートリッジ本体9とが接続されるこ
とによって、カートリッジ1が組み立てられる。但し、タンク3をカートリッジ本体9に
直接取り付けるように構成することも可能である。
以下のカートリッジ1の構成要素の説明では、図2Aに示すように、長尺のカートリッ
ジ1に沿った方向を「長手方向」とし、タンク3側を「上流側」とし、PCR容器30側
を「下流側」とする。なお、上流側のことを単に「上」、下流側のことを「下」と表現す
ることもある。
(1)タンク
図3A〜図3Dは、タンク3の説明図である。
キットに予め用意されているタンク3には、溶解液41と磁気ビーズ7が収容されてい
る。タンク3の開口には、取り外し可能な蓋3Aが取り付けられている(図3A参照)。
溶解液41としては、5Mグアニジンチオシアン酸塩、2%Triton X−100、
50mM Tris−HCl(pH7.2)を用いる。作業者は、蓋3Aを外してタンク
3の開口を開放し(図3B参照)、ウイルスの付着した綿棒をタンク3内の溶解液41に
浸し、ウイルスを溶解液41に採取する(図3C参照)。タンク3内の液体を攪拌すると
き、図3Cの状態でタンク3を振とうしてもよいが、これでは溶解液41が溢れやすいの
で、図3Dに示すように、蓋5Aの付いたアダプター5をタンク3の開口に取り付けてか
らタンク3を振とうするのが好ましい。これによりタンク3内の物質が攪拌され、溶解液
41によりウイルス粒子が溶解し、核酸が遊離するとともに、磁気ビーズ7にコーティン
グされたシリカが核酸を吸着する。磁気ビーズ7は、核酸結合性固相担体に相当する。そ
の後、作業者は、タンク3の開口に取り付けたアダプター5の蓋5Aを外し、アダプター
5を介してタンク3をカートリッジ本体9に取り付ける(図2A参照)。
タンク3は、可撓性のある樹脂で構成されており、タンク3が膨張可能である。プラン
ジャー10がスライドして図2Aの状態から図2Bの状態になるとき、タンク3が膨張す
ることによって、チューブ20内の液体の圧力が上昇し過ぎることが抑制され、チューブ
20内の液体が下流側に押し出されることが抑制される。タンク3が膨張しやすいように
、タンク3に変形部3Bを形成することが望ましい。
なお、核酸を抽出・増幅する試料はウイルスに限らず、細胞であってもよい。細胞の由
来も、特に限定されず、微生物であってもよく、高等生物の組織片や血液などであっても
構わない。
また、溶解液41は、カオトロピック物質を含有すれば特に限定されないが、細胞膜の
破壊あるいは細胞中に含まれるタンパク質を変性させる目的で界面活性剤を含有させても
よい。この界面活性剤としては、一般に細胞等からの核酸抽出に使用されるものであれば
特に限定されないが、具体的には、Triton−Xなどのトリトン系界面活性剤やTw
een20などのツイーン系界面活性剤のような非イオン性界面活性剤、N‐ラウロイル
サルコシンナトリウム(SDS)等の陰イオン性界面活性剤が挙げられるが、特に非イオ
ン性界面活性剤を、0.1〜2%の範囲となるように使用するのが好ましい。さらに、溶
解液には、2−メルカプトエタノールあるいはジチオスレイトール等の還元剤を含有させ
ることが好ましい。溶解液は、緩衝液であってもよいが、pH6〜8の中性であることが
好ましい。これらのことを考慮し、具体的には、3〜7Mのグアニジン塩、0〜5%の非
イオン性界面活性剤、0〜0.2mMのEDTA、0〜0.2Mの還元剤などを含有する
ことが好ましい。
カオトロピック物質は、水溶液中でカオトロピックイオン(イオン半径の大きな1価の
陰イオン)を生じ、疎水性分子の水溶性を増加させる作用を有しており、核酸の固相担体
への吸着に寄与するものであれば、特に限定されない。具体的には、グアニジンチオシア
ン酸塩、グアニジン塩酸塩、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、過塩素酸ナトリウム等
が挙げられるが、これらのうち、タンパク質変成作用の強いグアニジンチオシアン酸塩ま
たはグアニジン塩酸塩が好ましい。これらのカオトロピック物質の使用濃度は、各物質に
より異なり、例えば、グアニジンチオシアン酸塩を使用する場合には、3〜5.5Mの範
囲で、グアニジン塩酸塩を使用する場合は、5M以上で使用するのが好ましい。
また、試料を採取する器具は特に限定されず、綿棒の代わりに、スパチュラ、棒、スク
レイパーなど、用途に合わせて選択すればよい。
タンク3の内容積は、特に限定されないが、例えば、0.1mL以上100mL以下と
することができる。タンク3の材質は、特に限定されないが、例えば、ガラス、プラステ
ィックなどの樹脂、金属などとすることができる。特に、タンクの材質として透明なガラ
スや樹脂を選択すると、タンク3の外部から内部を観察することができるので、より好ま
しい。なお、タンク3と各チューブ20は、一体成形されていても、着脱可能になってい
ても構わない。タンク3の材質にゴム、エラストマー、高分子等の可とう性を有するもの
を利用すると、タンク3に蓋を装着した状態で、タンク3を変形させることにより、タン
ク3の内部を加圧することができる。それにより、チューブの内部から外部へと、チュー
ブの先端側からチューブ20の内容物を押し出すことができる。
(2)カートリッジ本体
カートリッジ本体9は、プランジャー10と、チューブ20と、PCR容器30とを有
する。
(2−1)プランジャー
以下、図2A〜図2Cを参照しながら、プランジャー10について説明する。
プランジャー10は、シリンジとして機能するチューブ20の下流側から液体を押し出
す可動式の押子である。プランジャー10は、チューブ20内の所定量の液体をチューブ
20の末端からPCR容器30へ押し出す機能を有する。また、プランジャー10は、ア
ダプター5を介してタンク3を取り付ける機能も有する。
プランジャー10は、筒状部11及び棒状部12を有する。筒状部11はタンク3側(
上流側)に設けられ、棒状部12はチューブ20側(下流側)に設けられている。棒状部
12は、筒状部11の下流側の内壁から板状の2つのリブ13によって支持されている。
棒状部12の下流側は、筒状部11から下流側に突出している。
筒状部11は上流側及び下流側に開口しており、筒状部11の内壁は液体の通路となる
。筒状部11の上流側(タンク3側)の開口にはアダプター5が嵌合する。キットに予め
用意されているカートリッジ本体9のプランジャー10には、筒状部11の上流側の開口
に取り外し可能な蓋が取り付けられていても良い。筒状部11の下流側の開口は、チュー
ブ20の上シリンジ21の内部に位置する。筒状部11の上流側の開口から導入される磁
気ビーズ7は、筒状部11の内部を通り、リブ13の表裏を抜けて筒状部11の下流側の
開口から出て、チューブ20の上シリンジ21に導入されることになる。
筒状部11の下流側は、チューブ20の上シリンジ21の内壁に嵌合している。筒状部
11はチューブ20の上シリンジ21に内接しながら、上シリンジ21に対して長手方向
にスライドできる。
筒状部11の上流側の開口の周囲には、アダプター5を取り付ける取付台11Aが形成
されている。また、取付台11Aは、プランジャー10を押すときに押される部位でもあ
る。取付台11Aが押されることによって、プランジャー10がチューブ20に対してス
ライドし、図2Aの状態から図2Cの状態になる。プランジャー10が下流側に移動する
と、取付台11Aがチューブ20の上縁に接触する(図2C参照)。つまり、プランジャ
ー10の取付台11Aとチューブ20の上縁との間隔が、プランジャー10のスライド長
になる。
棒状部12は、初期状態では、チューブ20の上シリンジ21の内部に位置し、下シリ
ンジ22から離れている(図2A参照)。プランジャー10がチューブ20に対してスラ
イドすると、棒状部12がチューブ20の下シリンジ22に挿入され、棒状部12が下シ
リンジ22に内接しながら、下シリンジ22に対して下流方向にスライドする(図2B及
び図2C参照)。
棒状部12の長手方向に直交する断面の形状は、円形状である。但し、棒状部12の断
面形状は、チューブ20の下シリンジ22の内壁に嵌合できるかぎり、円、楕円、多角形
とすることができ、特に限定されない。
棒状部12の下流側の端部には、シール12Aが形成されている。シール12Aが下シ
リンジ22に嵌合すると、下流側のチューブ20内の液体が上シリンジ21へ逆流するこ
とが防止される。そして、図2Bの状態から図2Cの状態までプランジャー10が押され
ると、その間にシール12Aが下シリンジ22内でスライドした体積相当分だけ、チュー
ブ20内の液体が下流側から押し出されることになる。
なお、シール12Aが下シリンジ22内でスライドする体積(チューブ20内の液体が
下流側から押し出される量)は、チューブ20内の反応液プラグ47及び第3オイルプラ
グ48の合計よりも多い。これにより、チューブ20に反応液47が残らないように、チ
ューブ20内の液体を押し出すことができる。
プランジャー10の材質は特に限定されないが、例えば、ガラス、プラスティックなど
の樹脂、金属などとすることができる。また、プランジャー10の筒状部11及び棒状部
12は、同じ材質で一体的に形成されても良いし、別の材質で形成されても良い。ここで
は、筒状部11及び棒状部12を樹脂で別々に成型し、リブ13を介して筒状部11と棒
状部12を接合することによって、プランジャー10が形成されている。
プランジャー10の内部には、オイル42と第1洗浄液43とが予め収容されている。
プランジャー10内のオイル42は第1洗浄液43よりも比重が小さいため、カートリッ
ジ本体9にタンク3を取り付けるときにプランジャー10の取付台11Aを上にしてカー
トリッジ本体9を立てると、図2Aに示すように、タンク3内の液体とカートリッジ本体
9の第1洗浄液43との間にオイル42が配置されることになる。なお、オイル42とし
ては、2CSシリコーンオイルを用い、第1洗浄液43としては、8Mグアニジン塩酸塩
、0.7%Triton X−100を用いる。
なお、第1洗浄液43は、オイル42及びオイル44のいずれとも、混ぜた時に相分離
する液体であればよい。第1洗浄液43は、水または低塩濃度水溶液であることが好まし
く、低塩濃度水溶液の場合、緩衝液であることが好ましい。低塩濃度水溶液の塩濃度は、
100mM以下が好ましく、50mM以下がより好ましく、10mM以下が最も好ましい
。また、低塩濃度水溶液の下限は特に無いが、0.1mM以上であることが好ましく、0
.5mM以上であることがさらに好ましく、1mM以上であることが最も好ましい。また
、この溶液はTriton、Tween、SDSなどの界面活性剤を含有しても良く、p
Hは特に限定されない。緩衝液にするための塩は特に限定されないが、トリス、ヘペス、
ピペス、リン酸などの塩が好ましく用いられる。さらに、この洗浄液は、アルコールを、
核酸の担体への吸着、逆転写反応、PCR反応などを阻害しない量だけ含むことが好まし
い。この場合、アルコール濃度は、特に限定されないが、70%以下であってもよく、6
0%以下であってもよく、50%以下であってもよく、40%以下であってもよく、30
%以下であってもよく、20%以下であってもよく、10%以下であってもよいが、5%
以下または2%以下であることが好ましく、1%以下または0.5%以下であることがさ
らに好ましく、0.2%以下または0.1%以下であることが最も好ましい。
なお、第1洗浄液43にカオトロピック剤を含有させてもよい。例えば、第1洗浄液4
3にグアニジン塩酸塩を含有させると、粒子等に吸着した核酸の吸着を維持又は強化しつ
つ粒子等を洗浄することができる。グアニジン塩酸塩を含有させる場合の濃度としては、
例えば、3mol/L以上10mol/L以下、好ましくは5mol/L以上8mol/
L以下とすることができる。グアニジン塩酸塩の濃度がこの範囲であれば、粒子等に吸着
された核酸をより安定に吸着させつつ、他の夾雑物等を洗浄することができる。
(2−2)チューブ
以下、図2A〜図2Cを参照しながら、チューブ20について説明する。
チューブ20は、液体を長手方向に流通させることのできる筒状の形状である。チュー
ブ20は、上シリンジ21、下シリンジ22及びキャピラリー23を有しており、各部の
内径が段階的に異なっている。
上シリンジ21は、液体を長手方向に流通させることのできる筒状の形状である。上シ
リンジ21の内壁には、プランジャー10の筒状部11がスライド可能に内接しており、
上シリンジ21は、プランジャー10の筒状部11に対するシリンジとして機能する。
下シリンジ22は、液体を長手方向に流通させることのできる筒状の形状である。下シ
リンジ22の内壁は、プランジャー10の棒状部12のシール12Aがスライド可能に嵌
合でき、下シリンジ22は、プランジャー10の棒状部12に対するシリンジとして機能
する。
キャピラリー23は、液体を長手方向に流通させることのできる細管状の形状である。
キャピラリー23の内径は、液体がプラグの形状を維持できる大きさであり、ここでは1
.0mmである。キャピラリー23の末端(チューブ20の下流側の端)では、これより
内径が小さくなっており、ここでは0.5mmである。キャピラリー23の末端の内径は
、後述する液滴状の反応液の直径(1.5〜2.0mm)よりも小さく設定されている。
これにより、反応液プラグ47がキャピラリー23の末端から押し出されたときに、液滴
状の反応液がキャピラリー23の末端に付着したり、キャピラリー23内に逆入したりす
ることを回避できる。
なお、キャピラリー23は、内部に空洞を有し、液体を長手方向に流通させることので
きる筒状の形状を有するものであればよく、長手方向に、屈曲してもよいが、直線状であ
るのが好ましい。チューブの内部の空洞は、液体がチューブ内でプラグの形状を維持でき
れば、大きさ、形状ともに特に限定されない。また、チューブ内の空洞の大きさや、長手
方向に対して垂直な断面の形状は、チューブの長手方向に沿って変化してもよい。
チューブの外形の長手方向に垂直な断面の形状も限定されない。さらにチューブの肉厚
(内部の空洞の側面から外部の表面までの寸法)も特に限定されない。チューブが円筒状
の場合、その内径(内部の空洞の長手方向に垂直な断面における円の直径)は、例えば、
0.5mm以上2mm以下とすることができる。チューブの内径がこの範囲であると、チ
ューブの材質、液体の種類において広範な範囲で液体のプラグを形成しやすい。先端はよ
りテーパー状に細くなっていることが好ましく、0.2mm以上1mm以下とすることが
できる。そして、キャピラリー23の末端の内径(キャピラリー23の開口径)を小さく
することによって、PCR容器30内で液滴化した反応液47がキャピラリー23の開口
に吸着して離れなくなることを抑制できる。但し、キャピラリー23の末端の内径を小さ
くし過ぎると、多数の小さな液滴の反応液47が形成されてしまう。なお、キャピラリー
23の末端以外の部分まで末端と同様に細径化すると、各プラグの体積を確保する必要性
からカートリッジ1が長くなってしまい、望ましくない。
キャピラリー23は、上流側から順に、第1オイルプラグ44、洗浄液プラグ45、第
2オイルプラグ46、反応液プラグ47、第3オイルプラグ48を内部に備えている。つ
まり、水溶性のプラグ(洗浄液プラグ45又は反応液プラグ47)の両側にオイルプラグ
が配置されている。
なお、第1オイルプラグ44よりも上流側の上シリンジ21及び下シリンジ22には、
オイル42及び洗浄液43が予め収容されている(図2A参照)。上シリンジ21及び下
シリンジ22の内径はキャピラリー23の内径よりも大きく、上シリンジ21及び下シリ
ンジ22では液体(オイル42及び洗浄液43)をプラグのような柱状に維持できないが
、第1オイルプラグ44はキャピラリー23によってプラグの形状で保持されているため
、第1オイルプラグ44を構成するオイルが上流側に移動することが抑制されている。
洗浄液プラグ45は、第2洗浄液である5mMトリス塩酸緩衝液からなってもよいが、
第2洗浄液は、基本的に第1洗浄液で述べたのと、同じ構成であってよく、第1洗浄液と
同じでも異なっていても構わないが、カオトロピック物質を事実上含まない溶液であるほ
うが好ましい。後の溶液に、カオトロピック物質の持込みを無くするためである。上述し
たように、この洗浄液も、アルコールを、核酸の担体への吸着、逆転写反応、PCR反応
などを阻害しない量だけ含むことが好ましい。この場合、アルコール濃度は、特に限定さ
れないが、70%以下であってもよく、60%以下であってもよく、50%以下であって
もよく、40%以下であってもよく、30%以下であってもよく、20%以下であっても
よく、10%以下であってもよいが、5%以下または2%以下であることが好ましく、1
%以下または0.5%以下であることがさらに好ましく、0.2%以下または0.1%以
下であることが最も好ましい。
洗浄液プラグ45は、オイルのプラグによって分断された複数のプラグから構成されて
もよい。洗浄液プラグ45が複数のプラグからなる場合、各プラグの液体は、同じであっ
ても異なっていても構わない。その中に、少なくとも1つの洗浄液のプラグがあれば、他
のプラグの液体は特に限定されないが、全てのプラグが洗浄液であることが好ましい。洗
浄液プラグ45が分割される数は、例えば、チューブ20の長さや洗浄の対象等を考慮し
て適宜設定すれることができる。
反応液プラグ47は、例えば以下の反応液からなる。
0.2u/μL AMV逆転写酵素(日本ジーン)
0.125u/μL Gene Taq NT PCR酵素(日本ジーン)
0.5mM dNTP
1.0μM プライマー(forward)
1.0μM プライマー(reverse)
0.5μM プローブ(Taq man)
4.0mg/mL BSA
x1 バッファー(MgCl2 7mM; Tris pH9.0 25mM; KCl 50mM)
反応液47とは、核酸結合性固相担体に吸着した核酸を、担体から液中に溶出させ、逆
転写反応およびポリメラーゼ反応を行う液体のことをいう。そのため、核酸の溶出後の反
応液47がそのまま逆転写反応およびポリメラーゼ反応に用いられるバッファー溶液とな
るように、予め調製されている。反応液47には、核酸を溶出させる溶出液が含まれてい
ることになる。
反応液47は、逆転写反応のために、逆転写酵素、dNTP、及び3種類以上の逆転写
酵素用プライマー(オリゴヌクレオチド)を含み、さらに、ポリメラーゼ反応のために、
DNAポリメラーゼ及びDNAポリメラーゼ用プライマー(オリゴヌクレオチド)を含み
、マルチプレックスPCRのための3種類以上の蛍光物質を含んだ、TaqManプロー
ブや、Molecular Beacon、サイクリングプローブなどのリアルタイムP
CR用プローブやSYBRグリーンなどのインターカレーター用蛍光物質を含んでいても
良い。さらに、反応阻害防止剤として、BSA(ウシ血清アルブミン)またはゼラチンを
含有することが好ましい。溶媒は、水であることが好ましく、エタノールやイソプロピル
アルコール等の有機溶媒およびカオトロピック物質を事実上含まないものがより好ましい
。また、逆転写酵素用緩衝液及び/又はDNAポリメラーゼ用緩衝液となるように、塩を
含有することが好ましい。緩衝液にするための塩は、酵素反応を阻害しない限り、特に限
定されないが、トリス、ヘペス、ピペス、リン酸などの塩が好ましく用いられる。逆転写
酵素は特に限定されず、例えば、アビアンミエロブラストウイルス(Avian Mye
loblast Virus)、ラスアソシエーテッドウイルス2型(Ras Assoc
iated Virus2型)、マウスモロニーミュリーンリューケミアウイルス(Mo
use Molony Murine Leukemia Virus)、ヒト免疫不全ウイ
ルス1型(Human Immunodefficiency Virus1型)由来の逆
転写酵素などが使用できるが、耐熱性の酵素が好ましい。DNAポリメラーゼも特に限定
されないが、耐熱性の酵素やPCR用酵素が好ましく、例えば、Taqポリメラーゼ、T
fiポリメラーゼ、Tthポリメラーゼ、あるいはそれらの改良型など、非常に多数の市
販品があるが、ホットスタートを行えるDNAポリメラーゼが好ましい。
マルチプレックスPCRのためのDNAポリメラーゼ用プライマーは、検出する3種類
以上のそれぞれのDNAに対し、容易に適切な配列を決めることができる。通常、各1種
類のDNAを増幅するために、5’側のプライマーと3’側のプライマーのプライマーペ
アを含めばよい。
反応液に含まれるdNTPや塩の濃度は、用いる酵素について適した濃度にすれば良い
が、通常、dNTPを10〜1000μM、好ましくは100〜500μM、Mg2+を
1〜100mM、好ましくは5〜10mM、Cl−を1〜2000mM、好ましくは20
0〜700mM、とすれば良く、総イオン濃度は、特に限定されないが、50mMより高
い濃度であってもよく、100mMより高い濃度が好ましく、120mMより高い濃度が
より好ましく、150mMより高い濃度がさらに好ましく、200mMより高い濃度がさ
らに好ましい。上限は、500mM以下が好ましく、300mM以下がより好ましく、2
00mM以下がさらに好ましい。プライマー用オリゴヌクレオチドは、それぞれ0.1〜
10μM、好ましくは0.1〜1μMが用いられる。BSAまたはゼラチンの濃度は、1
mg/mL以下では、反応阻害防止効果が少なく、10mg/mL以上だと、逆転写反応
やその後の酵素反応を阻害する可能性があるため、1〜10mg/mLが好ましい。ゼラ
チンを用いる場合、その由来は、牛皮、豚皮、牛骨が例示できるが、特に限定されない。
ゼラチンが溶解にしくいときは、加温して溶解させても良い。
反応液プラグ47の体積は、特に限定されず、核酸を吸着させた粒子等の量などを指標
として適宜設定することができる。例えば、粒子等の体積が、0.5μLである場合には
、反応液プラグ47の体積は、0.5μL以上であれば十分であり、0.8μL以上5μ
L以下とすることが好ましく、1μL以上3μL以下とすることがさらに好ましい。反応
液プラグ47の体積がこれらの範囲であれば、例えば、核酸結合性固相担体の体積を0.
5μLにしても、担体から核酸を十分溶出することができる。
キャピラリー23の下流部は、PCR容器30に挿入されている。これにより、チュー
ブ20内の反応液プラグ47をチューブ20から押し出すことによって、反応液47をP
CR容器30に導入することができる。
キャピラリー23の外壁の環状の凸部がPCR容器30の内壁と接触することによって
、上シール部が形成される。また、上シール部よりも下流側のキャピラリー23の外壁が
PCR容器30の内壁と接触することによって、下シール部が形成される。上シール部と
下シール部については、後述する。
チューブ20は、更に、固定爪25及びガイド板26を有する。図4は、固定爪25及
びガイド板26と装着部62の説明図である。
固定爪25は、装着部62にカートリッジ1を固定する部材である。固定爪25が引っ
掛かるまでカートリッジ1が装着部62に挿入されると、カートリッジ1が装着部62に
対して正常な位置に固定されることになる。言い換えると、カートリッジ1が装着部62
に対して異常な位置にあるときには、固定爪25は装着部62に引っ掛からない。
ガイド板26は、カートリッジ1をPCR装置50の装着部62に装着するときにカー
トリッジ1を案内する部材である。PCR装置50の装着部62にガイドレール63Aが
形成されており、チューブ20のガイド板26がガイドレール63Aに沿って案内しなが
ら、カートリッジ1が装着部62に挿入されて固定される。カートリッジ1は長尺の形状
であるが、ガイド板26で案内しながらカートリッジ1が装着部62に挿入されるので、
カートリッジ1を装着部62に対して正常な位置に固定することが容易になる。
固定爪25及びガイド板26は、キャピラリー23の左右から突出した板状の部材であ
る。チューブ20内の磁気ビーズ7を磁石で移動させるとき、板状の固定爪25やガイド
板26の垂直な方向から磁石を近接させる。これにより、磁石とチューブ20内の磁気ビ
ーズ7との距離を近接させることができる。但し、磁石とチューブ20内の磁気ビーズ7
との距離を近接させられるのであれば、固定爪25及びガイド板26は他の形状でも良い
(2−3)PCR容器
図5A及び図5Bは、PCR容器30の周辺の説明図である。図5Aは、初期状態の説
明図である。図5Bは、プランジャー10が押された後の状態の説明図である。以下、図
2A〜図2Cも参照しながら、PCR容器30について説明する。
PCR容器30は、チューブ20から押し出される液体を受け入れる容器であるととも
に、熱サイクル処理時に反応液47を収容する容器である。PCR容器は、核酸増幅反応
容器に相当する。
PCR容器30は、シール形成部31及び流路形成部35を有する。シール形成部31
は、チューブ20が挿入されている部分であり、流路形成部35から溢れるオイルが外部
に漏洩することを抑制する部位である。流路形成部35は、シール形成部31よりも下流
側の部分であり、液滴状の反応液47の移動する流路を形成する部位である。PCR容器
30は、シール形成部31の上シール部34Aと下シール部34Bの2箇所でチューブ2
0に対して固定される。
シール形成部31は、オイル受容部32及び段差部33を有する。
オイル受容部32は、筒状の部位であり、流路形成部35から溢れ出るオイルを受容す
るリザーバーとして機能する。オイル受容部32の内壁と、チューブ20のキャピラリー
23の外壁との間には隙間があり、この隙間が、流路形成部35から溢れるオイルを受容
するオイル受容空間32Aとなる。オイル受容空間32Aの体積は、プランジャー10の
シール12Aがチューブ20の下シリンジ22でスライドする体積よりも大きい。
オイル受容部32の上流側の内壁がチューブ20の環状の凸部と接触することによって
、上シール部34Aが形成される。上シール部34Aは、空気の通過は許容しつつ、オイ
ル受容空間32Aのオイルが外部に漏洩することを抑制するシールである。上シール部3
4Aは、オイルの表面張力によってオイルが漏洩しない程度に、通気口が形成されている
。上シール部34Aの通気口は、チューブ20の凸部とオイル受容部32の内壁との間の
隙間でも良いし、チューブ20の凸部に形成した穴、溝又は切欠でも良い。また、オイル
を吸収するオイル吸収材によって上シール部34Aを形成しても良い。
段差部33は、オイル受容部32の下流側に設けられた段差のある部位である。段差部
33の下流部の内径は、オイル受容部32の内径よりも小さい。段差部33の内壁は、チ
ューブ20のキャピラリー23の下流側の外壁と接触している。段差部33の内壁とチュ
ーブ20の外壁が接触することによって、下シール部34Bが形成される。下シール部3
4Bは、流路形成部35のオイルがオイル受容空間32Aへ流れることを許容しつつ、そ
の流れに抵抗するシールである。下シール部34Bでの圧力損失によって、流路形成部3
5の圧力が外気圧よりも高くなるので、熱サイクル処理時に流路形成部35の液体が加熱
されても、流路形成部35の液体に気泡が発生しにくい。
流路形成部35は、管状の部位であり、液滴状の反応液47の移動する流路を形成する
容器となる。流路形成部35にはオイルが充填されている。流路形成部35の上流側はチ
ューブ20の末端によって閉じられており、流路形成部35に向かってチューブ20の末
端が開口している。流路形成部35の内径は、チューブ20のキャピラリー23の内径よ
りも大きく、反応液プラグ47の容量の液体が球状になったときの外径よりも大きい。流
路形成部35の内壁は、水溶性の反応液47が付着しない程度の撥水性を有することが望
ましい。
なお、流路形成部35の上流側は、外部の高温側ヒーター65Bによって相対的に高温
(例えば約95℃)に加熱され、高温領域36Aを形成することになる。流路形成部35
の下流側は、外部の低温側ヒーター65Cによって相対的に低温(例えば約60℃)に加
熱され、低温領域36Bを形成することになる。PCR容器30の底35A(下流側の端
部)は、低温領域36Bに含まれる。これにより、流路形成部35内の液体に温度勾配が
形成されることになる。
図5Aに示すように、初期状態では、PCR容器30の流路形成部35にオイルが充填
されている。オイルの界面は、オイル受容空間32Aの比較的下流側に位置している。オ
イル受容空間32Aにおけるオイルの界面よりも上流側の体積は、プランジャー10のシ
ール12Aがチューブ20の下シリンジ22でスライドする体積よりも大きい。
図5Bに示すように、プランジャー10が押されると、チューブ20内の液体が流路形
成部35に押し出されることになる。流路形成部35には予めオイルが充填されており、
その中にチューブ20内の液体が押し出されるので、流路形成部35に気体は流入しない
プランジャー10が押されると、まず、チューブ20の第3オイルプラグ48が流路形
成部35に流入し、流入分のオイルが流路形成部35からオイル受容空間32Aに流れ込
み、オイル受容空間32Aのオイル界面が上昇する。このとき、下シール部34Bの圧力
損失によって、流路形成部35の液体の圧力が高くなる。第3オイルプラグ48がチュー
ブ20から押し出された後、反応液プラグ47がチューブ20から流路形成部35に流入
する。流路形成部35の内径がキャピラリー23の内径よりも大きいため、チューブ20
内でプラグ状(柱状)だった反応液47は、流路形成部35のオイル中で液滴状になる。
なお、オイル受容空間32Aにおける初期状態でのオイルの界面よりも上流側の体積は、
プランジャー10のシール12Aがチューブ20の下シリンジ22でスライドする体積よ
りも大きいので、オイル受容空間32Aからオイルが溢れずに済む。
<PCR装置50>
図6Aは、PCR装置50の内部構成の斜視図である。図6Bは、PCR装置50の主
要構成の側面図である。図7は、PCR装置50のブロック図である。PCR装置50は
、カートリッジ1を用いて、核酸溶出処理及び熱サイクル処理を行うものである。
以下のPCR装置50の説明では、図に示すように、上下、前後、左右を定義する。す
なわち、PCR装置50のベース51を水平に設置したときの鉛直方向を「上下方向」と
し、重力方向に従って「上」と「下」とを定義する。また、カートリッジ1の回転軸の軸
方向を「左右方向」とし、上下方向及び左右方向に垂直な方向を「前後方向」とする。カ
ートリッジ1の回転軸からみてカートリッジ挿入口53Aの側を「後」とし、逆側を「前
」とする。前側からみたときの左右方向の右側を「右」、左側を「左」とする。
PCR装置50は、回転機構60と、磁石移動機構70と、押圧機構80と、蛍光測定
器55と、コントローラー90とを有する。
(1)回転機構60
回転機構60は、カートリッジ1及びヒーターを回転させる機構である。回転機構60
がカートリッジ1及びヒーターを上下反転させることによって、PCR容器30の流路形
成部35内において液滴状の反応液47が移動し、熱サイクル処理が行われることになる
回転機構60は、回転体61と、回転用モーター66とを有する。図8Aは、回転体6
1の説明図である。図8Bは、回転体61の装着部62にカートリッジ1を装着した状態
の説明図である。
回転体61は、回転軸を中心に回転可能な部材である。回転体61の回転軸は、ベース
51に固定された支持台52に支持されている。回転体61には、カートリッジ1を装着
する装着部62と、ヒーター(溶出用ヒーター65A、高温側ヒーター65B及び低温側
ヒーター65C)が設けられている。回転体61が回転すると、カートリッジ1とヒータ
ーとの位置関係を維持したまま、カートリッジ1を上下反転させることができる。回転用
モーター66は、回転体61を回転させる動力源である。回転用モーター66は、コント
ローラー90からの指示に従って、所定の位置に回転体61を回転させる。回転用モータ
ー66と回転体61との間にギヤなどの伝達機構が介在しても良い。
なお、回転体61の回転軸は、カートリッジ1のPCR容器30よりもチューブ20の
近くに位置している。言い換えると、回転体61の回転軸の高さは、装着部62に装着さ
れたカートリッジ1のチューブ20の高さに位置している。チューブ20がPCR容器3
0よりも長いため、仮にPCR容器30の中心を回転軸にすると(仮に回転体61の回転
軸の高さがPCR容器の高さに位置していると)、回転体61が大型化してしまうからで
ある。
装着部62は、カートリッジ1を装着する部位である。装着部62は、ノッチの形成さ
れた固定部63を有する。また、ヒーター(溶出用ヒーター65A、高温側ヒーター65
B及び低温側ヒーター65C)に形成された挿入穴64Aも装着部62として機能する。
挿入穴64AにPCR容器30が挿入された状態で固定部63のノッチにカートリッジ1
の固定爪25が引っ掛かることによって、カートリッジ1が回転体61に装着される(図
4参照)。ここでは、ヒーターの一部が装着部62を兼ねていることになるが、装着部6
2とヒーターが別々であっても良い。また、装着部62は、溶出用ヒーター65Aを介し
て回転体61に間接的に固定されているが、回転体61に直接設けられても良い。また、
装着部62が装着可能なカートリッジ1の数は、1つに限られず、複数でも良い。
なお、装着部62の固定部63は、カートリッジ1のチューブ20を固定するチューブ
固定部として機能し、挿入穴64Aは、PCR容器30を固定するPCR容器固定部とし
て機能する。これにより、チューブ20及びPCR容器30からなる長尺なカートリッジ
1が、装着部62に安定して固定される。
固定部63には、上下方向に沿ってガイドレール63Aが形成されている(図4参照)
。ガイドレール63Aは、カートリッジ1のガイド板26を前後方向に拘束しながら挿入
方向に案内する。ガイドレール63Aによってガイド板26が案内されながらカートリッ
ジ1が装着部62に挿入されるため、カートリッジ1のPCR容器30が挿入穴64Aに
誘導され、カートリッジ1が装着部62に対して正常な位置に固定される。
PCR装置50は、溶出用ヒーター65Aと、PCR用ヒーターとして高温側ヒーター
65B及び低温側ヒーター65Cとを備えている。各ヒーターは、不図示の発熱源と、ヒ
ートブロックとから構成されている。発熱源は、例えばカートリッジヒーターであり、ヒ
ートブロックに挿入されている。ヒートブロックは、例えば熱伝導率の高いアルミニウム
などの金属であり、熱ムラを抑制して発熱源からの熱でカートリッジ1内の液体を加熱す
る。また、ヒートブロックは、磁気ビーズ7を移動させる磁石71が吸着しないように、
非磁性体であることが望ましい。
溶出用ヒーター65Aは、カートリッジ1の反応液プラグ47を加熱するヒーターであ
る。溶出用ヒーター65Aは、カートリッジ1が正常な位置に固定されると、チューブ2
0の反応液プラグ47と対向する。例えば、溶出用ヒーター65Aが反応液プラグ47を
約50℃に加熱することによって、核酸の磁気ビーズからの遊離が促進される。
高温側ヒーター65Bは、PCR容器30の流路形成部35の上流側を加熱するヒータ
ーである。高温側ヒーター65Bは、カートリッジ1が正常な位置に固定されると、PC
R容器30の流路形成部35の上流側(高温領域36A)と対向する。例えば、高温側ヒ
ーター65Bは、PCR容器30の流路形成部35の上流側の液体を約90〜100℃に
加熱する。
低温側ヒーター65Cは、PCR容器30の流路形成部35の底35Aを加熱するヒー
ターである。低温側ヒーター65Cは、カートリッジ1が正常な位置に固定されると、P
CR容器30の流路形成部35の下流側(低温領域36B)と対向する。例えば、低温側
ヒーター65Cは、PCR容器30の低温領域36Bの液体を約50〜75℃に加熱する
高温側ヒーター65Bと低温側ヒーター65Cとの間にはスペーサー65Dが配置され
ている。スペーサー65Dは、高温側ヒーター65Bと低温側ヒーター65Cとの間の熱
伝導を抑制する。また、スペーサー65Dは、高温側ヒーター65Bと低温側ヒーター6
5Cとの間の距離を正確に定めるのにも用いられている。これにより、高温側ヒーター6
5Bと低温側ヒーター65Cによって、PCR容器30の流路形成部35内の液体に温度
勾配が形成される。
溶出用ヒーター65A、高温側ヒーター65B及び低温側ヒーター65Cをそれぞれ構
成するヒートブロックには、挿入穴64Aを構成する貫通穴がそれぞれ形成されている。
低温側ヒーター65Cの挿入穴64Aの下側開口からPCR容器30の底35Aの外壁が
露出する。蛍光測定器55は、挿入穴64Aの下側の開口から反応液47の輝度を測定す
ることになる。
なお、高温側ヒーター65B及び低温側ヒーター65Cには、それぞれ温度制御装置が
設けられ、それぞれのポリメラーゼ反応に適した温度に設定できる。
(2)磁石移動機構70
磁石移動機構70は、磁石71を移動させる機構である。磁石移動機構70は、カート
リッジ1内の磁気ビーズ7を磁石71に引き寄せるとともに、磁石71を移動させること
によって磁気ビーズ7をカートリッジ1内で移動させる。磁石移動機構70は、一対の磁
石71と、昇降機構73と、揺動機構75とを有する。
磁石71は、磁気ビーズ7を引き寄せる部材である。磁石71として永久磁石、電磁石
などを用いることができるが、ここでは発熱等を生じない永久磁石を用いている。一対の
磁石71は、前後方向に対向するように、上下方向の位置がほぼ同じになるように、アー
ム72に保持されている。各磁石71は、装着部62に装着されたカートリッジ1の前側
又は後側から対向することができる。一対の磁石71は、装着部62に装着されたカート
リッジ1を前後方向から挟むことができる。カートリッジ1の固定爪25又はガイド板2
6の設けられた方向(ここでは左右方向)と直交する方向(ここでは前後方向)から磁石
71を対向させることによって、カートリッジ1内の磁気ビーズ7と磁石71との距離を
近接させることができる。
昇降機構73は、磁石71を上下方向に移動させる機構である。磁石71が磁気ビーズ
7を引き寄せるため、磁気ビーズ7の移動に合わせて磁石71を上下方向に移動させれば
、カートリッジ1内の磁気ビーズ7を上下方向に誘引することができる。
昇降機構73は、上下方向に移動するキャリッジ73Aと、昇降用モーター73Bとを
有する。キャリッジ73Aは、上下方向に移動可能な部材であり、カートリッジ挿入口5
3Aのある側壁53に設けられたキャリッジガイド73Cによって上下方向に移動可能に
案内されている。キャリッジ73Aには、一対の磁石71を保持するアーム72が取り付
けられているので、キャリッジ73Aが上下方向に移動すると、磁石71が上下方向に移
動することになる。昇降用モーター73Bは、キャリッジ73Aを上下方向に移動させる
動力源である。昇降用モーター73Bは、コントローラー90からの指示に従って、上下
方向の所定の位置にキャリッジ73Aを移動させる。昇降用モーター73Bは、ベルト7
3D及びプーリー73Eを用いてキャリッジ73Aを上下方向に移動させているが、他の
伝達機構によってキャリッジ73Aを上下方向に移動させても良い。
キャリッジ73Aが一番上の位置(退避位置)にあるとき、磁石71はカートリッジ1
よりも上側に位置する。キャリッジ73Aが退避位置にあるときには、カートリッジ1が
回転しても、昇降機構73はカートリッジ1と接触しない。また、昇降機構73は、磁石
71が反応プラグと対向する位置までキャリッジ73Aの位置を下げることができる。こ
れにより、昇降機構73は、タンク3内の磁気ビーズ7を反応プラグの位置まで移動させ
るように、磁石71を移動させることが可能になる。
揺動機構75は、一対の磁石71を前後方向に揺動させる機構である。一対の磁石71
を前後方向に揺動させると、各磁石71とカートリッジ1との間隔が互い違いに変化する
。距離の近い磁石71の方に磁気ビーズ7が引き寄せられるため、一対の磁石71を前後
方向に揺動させることによって、カートリッジ1内の磁気ビーズ7が前後方向に移動する
揺動機構75は、揺動用モーター75A及びギヤを有する。揺動用モーター75A及び
ギヤは、キャリッジ73Aに設けられており、キャリッジ73Aとともに上下方向に移動
可能である。揺動用モーター75Aの動力がギヤを介してアーム72に伝達されることに
よって、磁石71を保持するアーム72が、キャリッジ73Aに対して、揺動回転軸75
Bを中心に回転する。揺動機構75は、磁石71がカートリッジ1に接触してカートリッ
ジ1を損傷させることを防止するため、磁石71とカートリッジ1が接触しない範囲で磁
石71を揺動させる。
揺動回転軸75Bは、アーム72の回転軸である。揺動回転軸75Bは、磁石71を前
後方向に揺動できるように、左右方向に平行である。揺動回転軸75Bを右又は左から見
たとき、揺動回転軸75Bは、カートリッジ1よりも前側又は後側にずれて配置されてい
る。これにより、キャリッジ73Aが下に移動したときに、カートリッジ1とアーム72
との接触を回避できる。なお、磁石71を前後方向に揺動できるのであれば、揺動回転軸
75Bが上下方向に平行な軸でも良い。
(3)押圧機構80
押圧機構80は、カートリッジ1のプランジャー10を押す機構である。プランジャー
10が押圧機構80によって押されることによって、カートリッジ1の反応液プラグ47
及びオイルプラグがPCR容器30に押し出され、PCR容器30のオイル中に液滴状の
反応液47が形成される。
押圧機構80は、プランジャー用モーター81と、ロッド82とを有する。プランジャ
ー用モーター81は、ロッド82を移動させる動力源である。ロッド82は、カートリッ
ジ1のプランジャー10の取付台11Aを押す部材である。カートリッジ1のタンク3で
はなく取付台11Aを押す理由は、タンク3が膨張可能に可撓性のある樹脂で構成されて
いるためである。タンク3が変形しない場合には、押圧機構80がタンク3を押すことに
よってプランジャー10を押しても良い。
ロッド82がプランジャー10を押す方向は、上下方向ではなく、上下方向に対して4
5度傾いている。このため、押圧機構80によってプランジャー10を押すとき、PCR
装置50は、回転体61を45度回転させて、カートリッジ1の長手方向をロッド82の
移動方向に合わせてから、ロッド82を移動させることになる。ロッド82がプランジャ
ー10を押す方向が上下方向に対して45度傾いているため、昇降機構73と干渉しない
ように押圧機構80を配置することが容易になる。また、ロッド82がプランジャー10
を押す方向が上下方向に対して45度傾いているため、PCR装置50の上下方向の寸法
を小さくできる。
(4)蛍光測定器55
蛍光測定器55は、PCR容器30の反応液47に励起光を照射する励起光源と、反応
液47から放出される蛍光の強度を測定する蛍光光度計を有する。蛍光測定器55は、カ
ートリッジ1のPCR容器30の底35Aと対向するように、回転体61よりも下側に配
置されている。蛍光測定器55は、低温側ヒーター65Cの挿入穴64Aの下側開口から
、PCR容器30の底35Aにある反応液47から放出される蛍光の強度を測定すること
になる。
蛍光測定器55は、3種類以上の核酸増幅反応を独立に検出できるように構成されてい
る。例えば、蛍光を励起するための励起光源は、反応液47に含まれる各蛍光物質の励起
波長ごとに準備してもよいが、特定の波長の光のみを透過し、それ以外の光を通さないよ
うなバンドパスフィルターを必要な波長域ごとに準備し、水銀ランプなどの励起光源から
、必要な波長の光を抽出してもよい。
蛍光測定においても、分光蛍光光度計などを用い、反応液47から放射される特定の波
長の蛍光を検出するために、各蛍光物質が放射する蛍光の波長ごとに、それぞれに適した
バンドパスフィルターを用いて蛍光測定することが好ましい。
なお、当業者であれば、これらのバンドパスフィルターの種類は、用いる蛍光物質によ
って、容易に選択することが可能である。
(5)コントローラー90
コントローラー90は、PCR装置50の制御を行う制御装置である。コントローラー
90は、例えばCPUなどのプロセッサーと、ROMやRAMなどの記憶装置とを有する
。記憶装置には各種プログラム及びデータが記憶されている。また、記憶装置は、プログ
ラムを展開する領域を提供する。プロセッサーが記憶装置に記憶されたプログラムを実行
することによって、各種の処理が実現される。
例えば、コントローラー90は、回転用モーター66を制御して、回転体61を所定の
回転位置まで回転させる。回転機構60には不図示の回転位置センサーが設けられており
、コントローラー90は、回転位置センサーの検出結果に応じて回転用モーター66を駆
動・停止させる。
また、コントローラー90は、ヒーター(溶出用ヒーター65A、高温側ヒーター65
B及び低温側ヒーター65C)を制御して、各ヒーターを発熱させる。ヒーターを構成す
るヒートブロックには不図示の温度センサーが設けられており、コントローラー90は、
温度センサーの検出結果に応じて、カートリッジヒーターのオン・オフを制御する。
また、コントローラー90は、昇降用モーター73Bを制御して、磁石71を上下方向
に移動させる。PCR装置50にはキャリッジ73Aの位置を検出する不図示の位置セン
サーが設けられており、コントローラー90は、位置センサーの検出結果に応じて昇降用
モーター73Bを駆動・停止させる。
また、コントローラー90は、揺動用モーター75Aを制御して、磁石71を前後方向
に揺動させる。PCR装置50には、磁石71を保持するアーム72の位置を検出する位
置センサーが設けられており、コントローラー90は、位置センサーの検出結果に応じて
揺動用モーター75Aを駆動・停止させる。
また、コントローラー90は、蛍光測定器55を制御して、PCR容器30の反応液4
7の蛍光強度を測定する。コントローラー90は、蛍光測定器55がカートリッジ1のP
CR容器30の底35Aと対向しているときに、蛍光測定器55に測定を行わせる。測定
結果は、記憶装置に保存される。
さらに、コントローラー90は、核酸検出制御装置であって、核酸検出制御部を含む。
この核酸検出制御部は、蛍光測定器55がマルチプレックスPCRにおいて波長が異なる
3種類以上の蛍光を測定するとき、ピーク波長が小さい蛍光を測定する時間とピーク波長
が大きい蛍光を測定する時間の少なくとも一部を重ね、その後でピーク波長が中間の蛍光
を測定するように、蛍光測定器55を制御する。
なお、この核酸検出制御装置を、以上に記載したいずれかの核酸増幅装置とともに、核
酸増幅システムとして、システム化してもよい。
<動作説明>
(1)カートリッジ1の装着動作
図9A〜図9Dは、カートリッジ1の装着時のPCR装置50の状態の説明図である。
図9Aは、カートリッジ1の装着前の初期状態の説明図である。図9Bは、待機状態の説
明図である。図9Cは、カートリッジ1の装着直後の説明図である。図9Dは、カートリ
ッジ1の装着状態での初期状態の説明図である。
図9Aに示すように、カートリッジ1の装着前の初期状態では、装着部62の装着方向
が上下方向になっている。以下の説明では、この状態の回転体61の回転位置を基準(0
度)とし、右から見て反時計回りを正の方向として回転体61の回転位置を示すものとす
る。
図9Bに示すように、コントローラー90は、回転用モーター66を駆動して、回転体
61を−30度に回転させる。この状態で、作業者は、カートリッジ1をカートリッジ挿
入口53Aから装着部62に挿入する。このとき、ガイドレール63Aによってガイド板
26が案内されながらカートリッジ1が装着部62に挿入されるため、カートリッジ1の
PCR容器30が装着部62の挿入穴64Aに誘導される。作業者は、カートリッジ1の
固定爪25が固定部63のノッチに引っ掛かるまで、カートリッジ1を挿入する。これに
より、カートリッジ1が装着部62に対して正常な位置に固定される。仮にPCR容器3
0が挿入穴64Aに挿入されず、カートリッジ1が装着部62に対して異常な位置にある
場合には、カートリッジ1の固定爪25が固定部63のノッチに引っ掛からないため、カ
ートリッジ1が異常な位置にあることを作業者が認識できる。
図9Cに示すように、カートリッジ1が装着部62に対して正常な位置に固定されると
、チューブ20の反応液プラグ47が溶出用ヒーター65Aと対向し、PCR容器30の
流路形成部35の上流側(高温領域36A)が高温側ヒーター65Bと対向し、PCR容
器30の流路形成部35の下流側(低温領域36B)が低温側ヒーター65Cと対向する
。回転体61に装着部62及びヒーターが設けられているので、回転体61が回転しても
、カートリッジ1とヒーターとの位置関係はこのまま維持されることになる。
カートリッジ1が装着部62に装着された後、図9Dに示すように、コントローラー9
0は、回転体61を30度回転させて、回転体61の位置を基準に戻す。なお、コントロ
ーラー90は、カートリッジ1が装着部62に装着されたことを、不図示のセンサーによ
って検出しても良いし、作業者からの入力操作によって検出しても良い。
(2)核酸溶出処理
・磁石71の上下動
図10は、磁石71を下方向に移動させたときの磁気ビーズ7の挙動の概念図である。
カートリッジ1内の磁気ビーズ7は、磁石71に引き寄せられる。このため、カートリッ
ジ1の外部で磁石71が移動すると、カートリッジ1内の磁気ビーズ7が磁石71ととも
に移動する。
図11A〜図11Cは、核酸溶出処理の説明図である。図11Aは、核酸溶出処理前の
PCR装置50の状態の説明図である。図11Bは、磁石71を反応液プラグ47まで移
動させたときのPCR装置50の状態の説明図である。図11Cは、磁石71を引き上げ
たときのPCR装置50の状態の説明図である。
図11Aに示すように、初期状態のカートリッジ1は、タンク3を上側にして、長手方
向が鉛直方向と平行になる。この状態では、図2Aに示すように、カートリッジ1は、上
から順に、磁気ビーズ7を含む溶解液41(タンク3)、オイル42(プランジャー10
)、洗浄液43(チューブ20の上流側)、第1オイルプラグ44(キャピラリー23)
、洗浄液プラグ45(キャピラリー23)、第2オイルプラグ46(キャピラリー23)
、反応液プラグ47(キャピラリー23)、第3オイルプラグ48(キャピラリー23)
、オイル(PCR容器30)を備えている。
図11Aに示すように、初期状態では、キャリッジ73Aが一番上の位置(退避位置)
にあり、磁石71がカートリッジ1よりも上側に位置している。この状態から、コントロ
ーラー90は、昇降用モーター73Bを駆動させて、キャリッジ73Aを徐々に下方向に
移動させ、磁石71を徐々に下方向に移動させる。なお、カートリッジ1の長手方向が鉛
直方向と平行なので、磁石71はカートリッジ1に沿って移動することになる。
磁石71が下方向に移動すると、磁石71がタンク3と対向するようになり、タンク3
内の磁気ビーズ7が磁石71に引き寄せられる。コントローラー90は、磁気ビーズ7が
磁石71とともに移動できる程度の速度で、キャリッジ73Aを下方向に移動させる。
磁石71がタンク3と対向する位置(タンク3の高さ)からプランジャー10と対向す
る位置(プランジャー10の高さ)まで移動すると、磁気ビーズ7が、プランジャー10
の筒状部11の上流側の開口を通過し、タンク3内の溶解液41とカートリッジ本体9の
上流側のオイル42との界面を通過する。これにより、核酸の結合した磁気ビーズ7がカ
ートリッジ本体9に導入される。磁気ビーズ7がオイル42との界面を通過するとき、オ
イル42によって溶解液41がぬぐわれるため、溶解液41の成分はオイル42に持ち込
まれにくい。これにより、溶解液41の成分が洗浄液や反応液47に混入することを抑制
できる。
磁石71がプランジャー10に対向した状態で下方向に移動すると、磁気ビーズ7は、
筒状部11の内部を通り、リブ13の表裏を抜けて筒状部11の下流側の開口から出て、
チューブ20の上シリンジ21に導入される。この間に、磁気ビーズ7は、プランジャー
10内でオイル42と洗浄液43との界面を通過する。磁気ビーズ7が洗浄液43に導入
されると、磁気ビーズ7に結合した核酸が洗浄液43によって洗浄される。
この段階ではプランジャー10の棒状部12がチューブ20の下シリンジ22に挿入さ
れていないため、磁石71が上シリンジ21と対向する位置(上シリンジ21の高さ)か
らキャピラリー23と対向する位置(キャピラリー23の高さ)まで移動すると、磁気ビ
ーズ7が上シリンジ21から下シリンジ22へ移動し、下シリンジ22からキャピラリー
23に移動する。キャピラリー23の上流側には第1オイルプラグ44があり、磁気ビー
ズ7が下シリンジ22からキャピラリー23に移動するときに、磁気ビーズ7が洗浄液4
3とオイルとの界面を通過する。このとき、オイルによって洗浄液43がぬぐわれるため
、洗浄液43の成分はオイルに持ち込まれにくい。これにより、洗浄液43の成分が、洗
浄液プラグ45や反応液プラグ47に混入することを抑制できる。
磁石71が第1オイルプラグ44と対向する位置(第1オイルプラグ44の高さ)から
洗浄液プラグ45と対向する位置(洗浄液プラグ45の高さ)まで移動すると、磁気ビー
ズ7が、オイルと洗浄液との界面を通過する。磁気ビーズ7が洗浄液プラグ45に導入さ
れると、磁気ビーズ7に結合している核酸が洗浄液によって洗浄される。
磁石71が洗浄液プラグ45と対向する位置(洗浄液プラグ45の高さ)から第2オイ
ルプラグ46と対向する位置(第2オイルプラグ46の高さ)まで移動すると、磁気ビー
ズ7が、洗浄液と磁気ビーズ7が洗浄液とオイルとの界面を通過する。このとき、オイル
によって洗浄液がぬぐわれるため、洗浄液の成分はオイルに持ち込まれにくい。これによ
り、洗浄液の成分が、反応液プラグ47に混入することを抑制できる。
磁石71が第2オイルプラグ46と対向する位置(第2オイルプラグ46の高さ)から
反応液プラグ47と対向する位置(反応液プラグ47の高さ)まで移動すると、磁気ビー
ズ7が、オイルと反応液47との界面を通過する。
コントローラー90は、磁気ビーズ7が反応液プラグ47に導入される前に、溶出用ヒ
ーター65Aを制御して反応液プラグ47を約50℃に加熱しておく。また、磁気ビーズ
7が導入される前に反応液47を加熱しておくことで、磁気ビーズ7が反応液47に導入
されてから核酸の溶出が終了するまでの時間を短縮できる。
図11Bに示すように、磁石71が反応液プラグ47と対向する位置(反応液プラグ4
7の高さ)まで移動した後、コントローラー90は、昇降用モーター73Bを停止させて
、磁石71の上下方向の移動を停止させ、30秒間、50℃で処理すると、磁気ビーズ7
に結合した核酸が反応液プラグ47の液中に遊離し、逆転写反応が進行する。反応液47
を加熱することによって、磁気ビーズ7からの核酸の溶出及び逆転写反応が促進される。
反応液プラグ47で核酸を溶出させた後、コントローラー90は、昇降用モーター73
Bをこれまでとは逆方向に駆動させて、キャリッジ73Aを徐々に上方向に移動させ、磁
石71を徐々に上方向に移動させる。コントローラー90は、磁気ビーズ7が磁石71と
ともに移動できる程度の速度で、キャリッジ73Aを上方向に移動させる。
図11Bに示す状態から磁石71が上方向に移動すると、磁気ビーズ7が反応液プラグ
47から第2オイルプラグ46に移動し、反応液プラグ47から磁気ビーズ7が除去され
る。
磁石71が上シリンジ21と対向する位置まで徐々に移動すると、磁気ビーズ7も上シ
リンジ21まで移動し、磁気ビーズ7が下シリンジ22よりも上側になる。この位置まで
磁気ビーズ7を移動させれば、プランジャー10を押したときに磁気ビーズ7がPCR容
器30に導入されることはない。このため、コントローラー90は、この状態から図11
Cに示す状態までの間、磁気ビーズ7が磁石71の移動に追従できない程度の速度でキャ
リッジ73Aを上方向に移動させても良い。なお、プランジャー10を押したときに磁気
ビーズ7がPCR容器30に導入されないのであれば、もっと早い段階でキャリッジ73
Aの移動速度を速くしても良い。
コントローラー90の記憶装置には、磁石71の移動速度に関する情報が記憶されてお
り、コントローラー90は、この情報に従って、上記の動作(磁石71を上下移動させる
動作)を実行する。
・磁石71の揺動
磁石71を上下方向に移動させている間、コントローラー90は、揺動用モーター75
Aを駆動させて、カートリッジ1を挟む一対の磁石71を前後方向に揺動させても良い。
図12は、磁石71を揺動させたときの磁気ビーズ7の挙動の概念図である。
磁石71が上下方向に移動する間、チューブ20は、前後方向から一対の磁石71に挟
まれている。一対の磁石71はアーム72に保持されているため、一対の磁石71の前後
方向の距離はほぼ一定である。このため、一対の磁石71のうちの一方がチューブ20に
接近すると、他方はチューブ20から離間する。
磁気ビーズ7は、距離の近い磁石71の方に引き寄せられるため、一方の磁石71がチ
ューブ20に近接していると、その磁石71の側に磁気ビーズ7が引き寄せられる。その
後、その磁石71がチューブ20から離れ、逆側の磁石71がチューブ20に近接すると
、今度は逆側の磁石71に磁気ビーズ7が引き寄せられる。これにより、磁気ビーズ7が
前後方向に移動する。一対の磁石71を前後方向に揺動させると、磁気ビーズ7が前後方
向に往復移動することになる。
磁気ビーズ7が前後方向に往復移動すると、磁気ビーズ7に液体が接しやすくなる。特
に、キャピラリー23内の液体は流動性をほとんど有していないので、キャピラリー23
内の液体を磁気ビーズ7にできるだけ接しさせたい場合には、磁気ビーズ7が前後方向に
往復移動することは有効となる。
図13は、磁石71の揺動の有無を示す表である。
磁気ビーズ7がオイルプラグ(第1オイルプラグ44又は第2オイルプラグ46)を下
方向に移動するとき、コントローラー90は、揺動モーターを停止させて、磁石71を揺
動させない。このとき、コントローラー90は、一対の磁石71のうちの一方をチューブ
20に接近させた状態で、磁石71を下方向に移動させる。これは、各磁石71とチュー
ブ20との距離を均等にした場合と比べて、磁気ビーズ7が磁石71の移動に追従しやす
いからである。
磁気ビーズ7が洗浄液プラグ45を下方向に移動するとき、コントローラー90は、揺
動モーターを駆動させて、磁石71を前後方向に揺動させる。これにより、磁気ビーズ7
が洗浄液プラグ45内を前後方向に揺動しながら下方向に移動するため、磁気ビーズ7の
洗浄効率を高めることができる。また、洗浄効率が高められるので、洗浄液プラグ45の
量を抑制でき、カートリッジ1の小型化を図ることができる。
磁気ビーズ7が洗浄液とオイル(第2オイルプラグ46)の界面を通過するとき、コン
トローラー90は、揺動モーターを停止させて、磁石71を揺動させない。これにより、
磁気ビーズ7が揺動せずに界面を通過するので、洗浄液の成分がオイルに持ち込まれにく
くなる。なお、コントローラー90は、一対の磁石71のうちの一方をチューブ20に接
近させた状態で、磁石71を下方向に移動させる。これにより、距離の近い磁石71に磁
気ビーズ7が引き寄せられて凝集し、磁気ビーズ7に付着した洗浄液が絞られるため、洗
浄液の成分がオイルに持ち込まれにくくなる。
磁気ビーズ7が反応液プラグ47にあるとき、コントローラー90は、揺動モーターを
駆動させて、磁石71を前後方向に揺動させる。これにより、磁気ビーズ7が反応液プラ
グ47内を前後方向に揺動するため、磁気ビーズ7に結合した核酸の溶出効率を高めるこ
とができる。また、溶出効率が高められるので、磁気ビーズ7が反応液47に導入されて
から核酸の溶出を終了させるまでの時間を短縮できる。
なお、反応液プラグ47で核酸を溶出させた後、磁石71を上方向に移動させて磁気ビ
ーズ7を引き上げるとき、コントローラー90は、揺動モーターを停止させて、磁石71
を揺動させない。このとき、コントローラー90は、一対の磁石71のうちの一方をチュ
ーブ20に接近させた状態で、磁石71を下方向に移動させる。これにより、磁気ビーズ
7が磁石71の移動に追従しやすくなり、磁石71の移動速度を速くすることができる。
コントローラー90の記憶装置には、キャピラリー23の各プラグの位置に関する情報
と、図13に示すような揺動情報とが記憶されており、コントローラー90は、この情報
に従って、上記の動作(磁石71を揺動させる動作)を実行する。
(3)液滴形成処理
図14A〜図14Cは、液滴形成処理の説明図である。図14Aは、磁石71を引き上
げたときのPCR装置50の状態の説明図である。図14Bは、回転体61を45度回転
させた状態の説明図である。図14Cは、押圧機構80のロッド82がプランジャー10
を押した状態の説明図である。
図14Aに示すように、キャリッジ73Aが退避位置にあるときには、カートリッジ1
が回転しても、昇降機構73はカートリッジ1と接触しない。このような状態にしてから
、コントローラー90は、回転体61を45度回転させる。
図14Bに示すように、回転体61が45度回転すると、カートリッジ1の長手方向が
、押圧機構80のロッド82の移動方向と平行になる。コントローラー90は、プランジ
ャー用モーター81を駆動し、ロッド82を移動させる。ロッド82がカートリッジ1の
プランジャー10の取付台11Aに接触してから更にロッド82が移動すると、プランジ
ャー10がチューブ20側に押し込まれる。コントローラー90は、図14Cに示す状態
までロッド82を移動させ、プランジャー10の取付台11Aがチューブ20の上縁に接
触するまでプランジャー10を押す。
プランジャー10がチューブ20側に押し込まれると、プランジャー10の棒状部12
のシール12Aがチューブ20の下シリンジ22に嵌合する(図2B参照)。そして、更
にプランジャー10が押し込まれると、シール12Aが下シリンジ22内をスライドする
。これにより、シール12Aが下シリンジ22内でスライドした体積相当分だけ、チュー
ブ20の下流側の液体(第3オイルプラグ48、反応液プラグ47など)がPCR容器3
0の流路形成部35に押し出される。
まず、チューブ20の第3オイルプラグ48が流路形成部35に流入する。流路形成部
35にはオイルが充填されているため、流入分のオイルが流路形成部35からオイル受容
空間32Aに流れ込み、オイル受容空間32Aのオイル界面が上昇する。このとき、下シ
ール部34Bでの圧力損失によって、流路形成部35の液体の圧力は、外気圧(オイル受
容空間32Aの圧力)よりも高くなる。第3オイルプラグ48がチューブ20から押し出
された後、反応液プラグ47がチューブ20から流路形成部35に流入する。流路形成部
35の内径がキャピラリー23の内径よりも大きいため、チューブ20内でプラグ状だっ
た反応液47は、流路形成部35のオイル中で液滴状になる。
シール12Aが下シリンジ22内でスライドする体積(チューブ20内の液体が下流側
から押し出される量)は、チューブ20内の反応液プラグ47及び第3オイルプラグ48
の合計よりも多いので、反応液プラグ47がチューブ20から押し出された後に第2オイ
ルプラグ46の一部も流路形成部35に押し出される。これにより、チューブ20には反
応液47は残らずに、反応液プラグ47の液量の全てが液滴状になる。また、第2オイル
プラグ46の一部がチューブ20の下流側から押し出されることによって、液滴状の反応
液47がチューブ20から離れやすくなる(液滴状の反応液47がキャピラリー23の開
口に吸着しにくくなる)。
キャピラリー23の末端の内径(キャピラリー23の開口径)は比較的小さく設計され
ているため、PCR容器30内で液滴化した反応液47がキャピラリー23の開口に吸着
しにくくなっている。また、反応液47は、PCR容器30のオイルよりも比重が大きい
。このため、液滴状の反応液47は、キャピラリー23の末端から離れて、流路形成部3
5を流路にして底35Aに向かって沈降する。但し、この段階では、流路形成部35の流
路が45度に傾いているため、液滴状の反応液47が流路形成部35の内壁に付着しやす
い。このため、流路形成部35の流路を鉛直方向に戻す必要がある。
液滴状の反応液47が形成された後(プランジャー10が押された後)、コントローラ
ー90は、プランジャー用モーター81をそれまでとは逆方向に駆動し、ロッド82を元
の位置に戻す。この状態では、カートリッジ1が回転しても、押圧機構80のロッド82
がカートリッジ1と接触しない。このような状態にしてから、コントローラー90は、回
転体61を基準位置に戻す。回転体61が基準位置になると、流路形成部35の流路が鉛
直方向になるため、液滴状の反応液47が流路形成部35の内壁に付着しにくくなる。
(4)熱サイクル処理
図15A及び図15Bは、熱サイクル処理の説明図である。図15Aは、反応液47に
低温側の温度処理を施す状態の説明図である。図15Bは、反応液47に高温側の温度処
理を施す状態の説明図である。各図の左側にはPCR装置50の状態が示されており、各
図の右側にはPCR容器30の流路形成部35の内部の状態が示されている。
カートリッジ1が装着部62に対して正常な位置に固定されると、PCR容器30の流
路形成部35の上流側(高温領域36A)が高温側ヒーター65Bと対向し、PCR容器
30の流路形成部35の下流側(低温領域36B)が低温側ヒーター65Cと対向する。
熱サイクル処理の間、コントローラー90は、回転体61に設けられた高温側ヒーター6
5Bにより、PCR容器30の流路形成部35の上流側の高温領域36Aの液体を約90
〜100℃に加熱する。また、コントローラー90は、回転体61に設けられた低温側ヒ
ーター65Cにより、流路形成部35の下流側の低温領域36Bの液体を約50〜75℃
に加熱する。これにより、熱サイクル処理の間、PCR容器30の流路形成部35内の液
体に温度勾配が形成される。回転体61に装着部62及びヒーターが設けられているので
、回転体61が回転しても、カートリッジ1とヒーターとの位置関係はこのまま維持され
る。
熱サイクル処理の間、PCR容器30内の液体が加熱されることになる。仮にPCR容
器30の液体が加熱されることによって気泡が発生すると、流路形成部35内の液体の温
度にばらつきが生じたり、流路形成部35における液滴状の反応液47の移動(沈降)が
阻害されたりするおそれがある。但し、本実施形態では、下シール部34Bでの圧力損失
によって流路形成部35の液体の圧力が外気圧よりも高いため、PCR容器30の液体に
気泡が発生しにくくなっている。
図15Aに示すように、回転体61が基準位置にあるとき、低温側ヒーター65Cが高
温側ヒーター65Bの下側に位置し、カートリッジ1のPCR容器30の底35Aが下に
なる。液滴状の反応液47はオイルよりも比重が大きいため、液滴状の反応液47が流路
形成部35内を沈降する。液滴状の反応液47は、流路形成部35内を沈降すると、PC
R容器30の底35Aに到達し、そこで沈降を終えて低温領域36Bに留まる。これによ
り、液滴状の反応液47が低温領域36Bに移動する。コントローラー90は、図15A
の状態を所定時間にて保持し、液滴状の反応液47を低温領域36Bで約50〜75℃に
加熱する(低温側の温度処理が施される)。この間に、ポリメラーゼ反応の伸張反応が起
きる。
図15Aの状態からコントローラー90が回転用モーター66を駆動して回転体61を
180度回転させると、図15Bに示す状態になる。回転体61が基準位置から180度
回転すると、カートリッジ1が上下反転するとともに、高温側ヒーター65B及び低温側
ヒーター65Cも上下反転する。つまり、高温側ヒーター65Bが低温側ヒーター65C
の下側に位置し、カートリッジ1のPCR容器30の底35Aが上になる。液滴状の反応
液47は、流路形成部35内を沈降すると、チューブ20の末端(キャピラリー23の末
端)に到達し、そこで沈降を終えて高温領域36Aに留まる。これにより、液滴状の反応
液47が高温領域36Aに移動する。コントローラー90は、図15Bの状態を所定時間
にて保持し、液滴状の反応液47を高温領域36Aで約90〜100℃に加熱する(高温
側の温度処理が施される)。この間に、ポリメラーゼ反応の変性反応が起きる。
図15Bの状態からコントローラー90が回転用モーター66を駆動して回転体61を
−180度回転させると、図15Aの状態に戻る。この状態では、液滴状の反応液47が
流路形成部35内を沈降すると、液滴状の反応液47は、低温領域36Bに移動し、低温
領域36Bで再び約50〜75℃に加熱される(低温側の温度処理が施される)。なお、
キャピラリー23の末端の内径(キャピラリー23の開口径)は比較的小さく設計されて
いるため、反応液47がキャピラリー23の開口に吸着しにくくなっているので、図15
Bの状態から回転体61が−180度回転すると、液滴状の反応液47は、キャピラリー
23の開口に吸着することなく、チューブ20を離れてPCR容器30の底35Aに向か
って沈降する。
コントローラー90は、回転用モーター66を駆動して、回転体61の回転位置を図1
5Aの状態にすることと図15Bの状態にすることを、所定サイクル数にて繰り返す。こ
れにより、PCR装置50が、反応液47に対してPCRの熱サイクル処理を施すことが
できる。
コントローラー90の記憶装置には、高温側ヒーター65Bの温度、低温側ヒーター6
5Cの温度、図15Aの状態で保持する時間、図15Bの状態で保持する時間、サイクル
数(図15Aの状態と図15Bの状態の繰り返し回数)の熱サイクル情報が記憶されてお
り、コントローラー90は、この熱サイクル情報に従って、上記の処理を実行する。
(5)リアルタイムPCRにおける蛍光測定
図15Aに示すように、回転体61が基準位置にあるとき、蛍光測定器55がカートリ
ッジ1のPCR容器30の底35Aと対向する。そのため、反応液47の蛍光測定時には
、コントローラー90は、回転体61を基準位置にした状態で、低温側ヒーター65Cの
挿入穴64Aの下側開口からPCR容器30の底35Aにある反応液47の蛍光強度を蛍
光測定器55に測定させる。
回転体61が180度回転して基準位置になった直後では、液滴状の反応液47がPC
R容器30の流路形成部35を沈降しており、液滴状の反応液47がPCR容器30の底
35Aに到達していないことがある。このため、コントローラー90は、回転体61の回
転位置が図15Aの状態になってから所定時間経過した後(図15Aの状態から回転体6
1を回転させる直前)に、蛍光強度を測定するのが望ましい。若しくは、コントローラー
90は、回転体61を基準位置にしたときから所定時間の間、蛍光測定器55に蛍光強度
を測定させて、蛍光強度の時間履歴を記憶するようにしても良い。
マルチプレックスPCRの場合、複数の蛍光物質が用いられるが、吸収する励起スペク
トルや放射する蛍光スペクトルなどの特性によっては、他の蛍光物質からの干渉が観察さ
れる。特に、二つの蛍光物質について、励起スペクトルや蛍光スペクトルに重なりがある
場合、互いに干渉が生じ、正確な蛍光強度が測定できない。そこで、特定波長の励起光を
照射し、特定の波長の蛍光を測定するということを、各蛍光物質に対して繰りかえすこと
になる。しかしながら、3つ以上の蛍光物質を一つずつ検出すると、時間がかかり、本核
酸増幅装置の長所の一つである高速PCRの実現が困難になる場合がある。特許文献1、
2では、バイオチップの内部に反応液を封入(分注)し、核酸増幅反応のモニタリングに
おける蛍光検出、の全ての過程の迅速化という課題に対して、十分な考察がなされている
とはいえない。
そこで、3つ以上の蛍光物質からの放射蛍光を検出する場合、任意の3つの蛍光物質に
ついて、ピーク波長が小さい蛍光を測定する時間とピーク波長が大きい蛍光を測定する時
間の少なくとも一部を重ね、その後でピーク波長が中間の蛍光を測定するのが好ましい。
例えば、まず、ピーク波長が小さい蛍光物質とピーク波長が大きい蛍光物質を同時に励起
して、放出される蛍光を測定した後、ピーク波長が中間の蛍光物質を励起して、放出され
る蛍光を測定する。それによって、干渉を最小限とし、かつ検出時間の短縮を図ることが
できる。
マルチプレックスPCRのためのリアルタイムPCRとしては、増幅したDNA量の指
標として蛍光を利用するものであれば、消光型であっても発光型であっても、どのような
方式のものであっても良く、例えば、インターカレーター法、TaqMan法、Molecular Beac
on法、サイクリングプローブ法などが挙げられる。用いる蛍光物質も、特に限定されず、
Alexa(登録商標)、FAM(登録商標)、VIC(登録商標)、SYBR gre
en(登録商標)、EvaGreen(登録商標)、TexRed(登録商標)、LCR
ed(登録商標)、Cy3(登録商標)、Cy5(登録商標)などが挙げられる。
例えば、蛍光物質として、ATTO 655(ATTO-TEC社)、bodipy FL(Invitrogen社)、Pci
fic blue(Invitrogen社)を用いた場合、赤色フィルター(透過波長600-650nm)及び青
色フィルター(透過波長380-420nm)を用いて励起光を照射して、それぞれATTO 655及びP
cific blueを励起させ、赤色フィルター(透過波長655-730nm)及び青色フィルター(透
過波長440-530nm)を用いて蛍光を測定する。その後に、緑色フィルター(透過波長450-4
90nm)を用いて、励起光を照射してbodipy FLを励起させ、緑色フィルター(透過波長440
-530)を用いて蛍光を測定する。
マルチプレックスPCRで4つ以上の蛍光物質からの放射蛍光を検出する場合、そのう
ちの任意の3つについて、本発明の方法を行うだけで時間短縮効果が得られるが、他の蛍
光物質についても、励起スペクトルや蛍光スペクトルの重なりが少なければ、同時に蛍光
測定を行なってもよい。
===第2実施形態===
第2実施形態は、第1実施形態とは異なる構成のカートリッジ1をPCR装置50に装
着している。
<カートリッジ1>
図16A及び図16Bは、第2実施形態のカートリッジ1の説明図である。図17Aは
、第2実施形態のカートリッジ1の初期状態の説明図である。図17Bは、図17Aの状
態からプランジャー10を押して、シール12Aが下シリンジ22に接触したときの側面
図である。図17Cは、プランジャー10を押した後の第2実施形態のカートリッジ1の
説明図である。なお、第2実施形態のカートリッジ1のチューブ20は、第1実施形態の
反応液プラグ47の代わりに、溶出液プラグ47A、オイルプラグ47B、及び核酸増幅
反応液プラグ47Cを備えている。オイルプラグ47Bは、その両側の水溶性のプラグで
ある溶出液プラグ47Aと核酸増幅反応液プラグ47Cが互いに混和することを防止する
カートリッジ1は、核酸の結合した磁気ビーズ7から核酸を溶出させる核酸溶出処理を
行う容器であるとともに、溶出液47Aと核酸増幅反応液47Cとの混合液であるPCR
溶液に対し、ポリメラーゼ反応のための熱サイクル処理を行う容器である。
カートリッジ1のタンク3及びカートリッジ本体9の形状は、第1実施形態と同様であ
る。また、カートリッジ1のタンク3の溶解液41も、第1実施形態と同様である。また
、カートリッジ本体9のオイル42、第1洗浄液43、第1オイルプラグ44、洗浄液プ
ラグ45(第2洗浄液)及び第2オイルプラグ46も第1実施形態と同様である。このた
め、これらの説明は省略する。
溶出液プラグ47A及び核酸増幅反応液プラグ47Cは、例えば以下の反応液からなる

溶出液とは、核酸結合性固相担体に吸着した核酸を、担体から液中に溶出させ、逆転写
反応を行う液体のことをいう。そのため、核酸の溶出後の溶出液47Aがそのまま逆転写
反応に用いられるバッファー溶液となるように、予め調製されている。また、核酸増幅反
応液とは、ポリメラーゼ反応を行う液体のことをいう。
キャピラリー23の下流部は、PCR容器30に挿入されている。これにより、チュー
ブ20内の核酸増幅反応液プラグ47C及び溶出液プラグ47Aをチューブ20から押し
出すことによって、核酸増幅反応液47C及び溶出液47AをPCR容器30に導入する
ことができる。
図18A及び図18Bは、第2実施形態のPCR容器30の周辺の説明図である。図1
8Aは、初期状態の説明図である。図18Bは、プランジャー10が押された後の状態の
説明図である。以下、図17A〜図17Cも参照しながら説明する。
PCR容器30は、チューブ20から押し出される液体を受け入れる容器であるととも
に、熱サイクル処理時に核酸増幅反応液47Cと溶出液47Aの混合液であるPCR溶液
を収容する容器である。
プランジャー10が押されると、まず、チューブ20の第3オイルプラグ48が流路形
成部35に流入し、流入分のオイルが流路形成部35からオイル受容空間32Aに流れ込
み、オイル受容空間32Aのオイル界面が上昇する。このとき、下シール部34Bの圧力
損失によって、流路形成部35の液体の圧力が高くなる。
第3オイルプラグ48がチューブ20から押し出された後、核酸増幅反応液プラグ47
Cがチューブから流路形成部35に流入する。流路形成部35の内径がキャピラリー23
の内径よりも大きいため、チューブ20内でプラグ状(柱状)だった核酸増幅反応液47
Cは、流路形成部35の中で液滴状になる。また、核酸増幅反応液47Cはオイルよりも
比重が大きいため、液滴状になった核酸増幅反応液47Cは沈降する。
核酸増幅反応液プラグ47Cがチューブ20から押し出された後、オイルプラグ47B
が流路形成部35に流入する。オイルプラグ47Bがチューブ20から押し出された後、
溶出液プラグ47Aがチューブ20から流路形成部35に流入する。流路形成部35の内
径がキャピラリー23の内径よりも大きいため、チューブ20内でプラグ状(柱状)だっ
た溶出液47Aは、流路形成部35の中で液滴状になる。また、溶出液47Aはオイルよ
りも比重が大きいため、液滴状になった溶出液47Aは沈降する。液滴状になった溶出液
47Aが沈降すると、既に流路形成部35の底に沈降している液滴状の核酸増幅反応液4
7Cとオイル中で合体し、液滴状のPCR溶液47になる。
<PCR装置50の動作説明>
第2実施形態のPCR装置50の構造は、第1実施形態と同様である。このため、PC
R装置50の構造(回転機構60、磁石移動機構70、押圧機構80、蛍光測定器55、
コントローラー90等)については説明を省略し、ここでは、第2実施形態のカートリッ
ジ1を装着したときのPCR装置50の動作について説明する。
(1)カートリッジ1の装着動作
第2実施形態のカートリッジ1の装着時の状態は、第1実施形態の図9A〜図9Dと同
様である。第2実施形態では、図9Cに示すように、カートリッジ1が装着部62に対し
て正常な位置に固定されると、チューブ20の溶出液プラグ47Aが溶出用ヒーター65
Aと対向することになる(これに対し、第1実施形態では、チューブ20の反応液プラグ
47が溶出用ヒーター65Aと対向している)。
(2)核酸溶出処理
第2実施形態の核酸溶出処理時の状態は、第1実施形態の図11A〜図11Cと同様で
ある。
第2実施形態では、図11Bに示すように、磁石71が溶出液プラグ47Aと対向する
位置(溶出液プラグ47Aの高さ)まで移動した後、コントローラー90は、昇降用モー
ター73Bを停止させて、磁石71の上下方向の移動を停止させ、30秒間、50℃で処
理すると、磁気ビーズ7に結合した核酸が溶出液プラグ47の液中に遊離し、逆転写反応
が進行する。溶出液47を加熱することによって、磁気ビーズ7からの核酸の溶出及び逆
転写が促進される。
溶出液プラグ47Aで核酸を溶出させた後、コントローラー90は、昇降用モーター7
3Bをこれまでとは逆方向に駆動させて、キャリッジ73を徐々に上方向に移動させ、磁
石71を徐々に上方向に移動させる。図11Bに示す状態から磁石71が上方向に移動す
ると、磁気ビーズ7が溶出液プラグ47Aから第2オイルプラグ46に移動し、溶出液プ
ラグ47Aから磁気ビーズ7が除去される。
第2実施形態では、磁気ビーズ7が核酸増幅反応液47Cに接触しない。このため、核
酸増幅反応液47Cの酵素が磁気ビーズ7に吸着するおそれがなく、反応阻害のおそれが
ない。したがって、第2実施形態では、第1実施形態よりも、高効率な条件(高温化、揺
動の高周波数化、磁気ビーズの増量など)での核酸溶出処理が可能になる。
(3)液滴形成処理
第2実施形態の液滴形成処理時の状態は、第1実施形態の図14A〜図14Cと同様で
ある。
プランジャー10が押されると、まず、チューブ20の第3オイルプラグ48が流路形
成部35に流入し、流入分のオイルが流路形成部35からオイル受容空間32Aに流れ込
み、オイル受容空間32Aのオイル界面が上昇する。このとき、下シール部34Bの圧力
損失によって、流路形成部35の液体の圧力が高くなる。
第3オイルプラグ48がチューブ20から押し出された後、核酸増幅反応液プラグ47
Cがチューブから流路形成部35に流入する。流路形成部35の内径がキャピラリー23
の内径よりも大きいため、チューブ20内でプラグ状(柱状)だった核酸増幅反応液47
Cは、流路形成部35の中で液滴状になる。また、核酸増幅反応液47Cはオイルよりも
比重が大きいため、液滴状になった核酸増幅反応液47Cは沈降する。
核酸増幅反応液プラグ47Cがチューブ20から押し出された後、オイルプラグ47B
が流路形成部35に流入する。オイルプラグ47Bがチューブ20から押し出された後、
溶出液プラグ47Aがチューブ20から流路形成部35に流入する。流路形成部35の内
径がキャピラリー23の内径よりも大きいため、チューブ20内でプラグ状(柱状)だっ
た溶出液47Aは、流路形成部35の中で液滴状になる。また、溶出液47Aはオイルよ
りも比重が大きいため、液滴状になった溶出液47Aは沈降する。液滴状になった溶出液
47Aが沈降すると、既に流路形成部35の底に沈降している液滴状の核酸増幅反応液4
7Cとオイル中で合体し、液滴状のPCR溶液47になる。
液滴状の溶出液47A及び核酸増幅反応液47Cは共に小さいため、2つの液滴が流路
形成部35の底で合体せずに、分離したままになることがある。そこで、液滴状の溶出液
47Aが流路形成部35の底に沈降した後、コントローラー90は、回転機構60を小刻
みに駆動させて、回転体61を振動させる。これにより、仮に2つの液滴が流路形成部3
5の底で分離した状態であっても、カートリッジ1が振動することによって、2つの液滴
が合体し、液滴状のPCR溶液47になる。また、高温側ヒーター65B又は低温側ヒー
ター65Cによって液滴を加熱することによって、液滴の粘度を小さくさせて、2つの液
滴を合体しやすくしても良い。
なお、液滴形成処理の後、熱サイクル処理や蛍光測定が行われる。第2実施形態の熱サ
イクル処理及び蛍光測定は、第1実施形態と同様なので、ここでは説明を省略する。
第2実施形態においても、PCR装置50は、カートリッジ1を装着する装着部(固定
部63及び挿入穴64A)を有する回転体61と、核酸増幅反応容器であるPCR容器3
0の内部に温度勾配を形成するPCR用ヒーター(高温側ヒーター65B及び低温側ヒー
ター65C)とを備え、回転体61が回転してカートリッジ1の姿勢が変化することによ
って、PCR容器30の内部において、チューブ20から導入された液滴状の反応液47
が移動する。これにより、核酸溶出処理が行われるチューブ20と一緒にPCR容器20
の姿勢が変化してポリメラーゼ反応を行うことができるので、処理時間の短縮化が可能に
なる。
===その他===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解
釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得
ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
<PCR装置について>
前述のPCR装置50は、熱サイクル処理として所定サイクル数にてカートリッジ1の
姿勢を変化させて、PCR容器30を上下反転させていた。但し、カートリッジ1の姿勢
を変化させる回数は、複数回に限られるものではなく、1回でも良い。
前述のPCR装置では、回転体の回転軸がPCR容器よりもチューブの近くに位置して
いるが、回転体を回転させてカートリッジの姿勢が変化したときにPCR容器の内部にお
いて液滴が移動できるのであれば、回転体の回転軸の位置は、これに限られるものではな
い。
前述のPCR装置では、ノッチの形成された固定部63と、挿入穴64Aをカートリッ
ジの装着部としているが、カートリッジを回転体に装着できれば、この構成に限られるも
のではない。また、装着部が、チューブ側のみを固定することによってカートリッジを回
転体に固定する構造であっても良いし、PCR容器側のみを固定することによってカート
リッジを回転体に固定する構造であっても良い。但し、装着部は、回転体が回転してカー
トリッジの姿勢が変化しても、カートリッジが回転体に安定して固定される構造である必
要がある。
前述のPCR装置50は、PCR用ヒーターとして高温側ヒーター65B及び低温側ヒ
ーター65Cを備えているが、核酸増幅反応容器であるPCR容器の内部に温度勾配を形
成できるのであれば、この構成に限られるものではない。例えば、高温側のみにヒーター
を設けても良い。若しくは、高温側にヒーターを設け、低温側に冷却器を設けても良い。
また、前述のPCR装置50は、回転体にPCR用ヒーター(高温側ヒーター65B及
び低温側ヒーター65C)が設けられているが、核酸増幅反応容器であるPCR容器の内
部に温度勾配を形成できるのであれば、回転体の外部にPCR用ヒーターを設けても良い
。例えば、PCR装置が、図15Aに示すように回転体61が基準位置にあるときにPC
R容器と対向する第1のPCR用ヒーターと、図15Bに示すように回転体を180度回
転させたときにPCR容器と対向する第2のPCR用ヒーターとを、回転体の外部に備え
ていても良い。このようにしても、核酸増幅反応容器であるPCR容器の内部に温度勾配
を形成可能である。但し、PCR用ヒーターが回転体に設けられていれば、回転体の回転
位置に関わらず、カートリッジのPCR容器とヒーターとの位置関係を維持されるので、
望ましい。
PCR装置50は、溶出用ヒーター65Aを備えずに、PCR用ヒーター(例えば高温
側ヒーター65B及び低温側ヒーター65C)を備えるだけでも良い。但し、PCR装置
50が溶出用ヒーター65Aを備えていれば、核酸の磁気ビーズからの遊離が促進される
ので望ましい。
PCR装置50は、チューブに沿って磁石を移動させる磁石移動機構を備えていなくて
も良い。この場合、例えば、作業者が磁石を持ち、チューブに沿って磁石を移動させると
良い。但し、作業者によって核酸結合性固相担体である磁気ビーズの移動速度等が異なる
おそれがあるため、PCR装置50が磁石移動機構を備えることが望ましい。
また、PCR装置50の磁石移動機構70が揺動機構75を備えていなくても良い。こ
の場合、磁石を揺動させることはできないものの、チューブに沿って磁石を移動させるこ
とはできるので、核酸の結合した磁気ビーズを、溶出液を含むプラグまで移動させること
ができる。
PCR装置50は、押圧機構80を備えていなくても良い。この場合、例えば、作業者
がカートリッジのプランジャーを手で押すと良い。カートリッジにプランジャーが設けら
れていない場合には、作業者がタンクを変形させることにより、タンクの内部を加圧して
、チューブからPCR容器に液体を押し出しても良い。
<溶出液プラグ47Aについて>
溶出液プラグ47Aを逆転写反応液プラグと溶出液プラグに分けても良い。この場合、
洗浄液で洗浄された核酸結合性固相担体を逆転写反応液プラグに移動させて、逆転写反応
液プラグ中で逆転写反応をさせる。この反応は、用いられる逆転写酵素に適した条件で行
うことができる。例えば、逆転写反応液を、30〜50℃、好ましくは42〜45℃に加
熱し、その中で核酸結合性固相担体を一定時間保持することで、RNAを担体に結合させ
たままで、逆転写反応を起こさせることができる。加熱方法としては、特に限定されない
が、例えば、チューブの逆転写反応液プラグに対応する位置に、ヒートブロック等の熱媒
体を接触させる方法や、ヒーター等の熱源を用いる方法、電磁加熱による方法などを例示
することができる。保持時間も、実施者が適時選択できるが、10秒〜5分、好ましくは
30秒から1分、保持すればよい。この段階で合成されたcDNAは、RNAと結合した
ままの状態で、固相担体に結合している。
その後、核酸結合性固相担体を溶出液プラグに移動させる。ここで、核酸結合性固相担
体から核酸、特にcDNAを効率よく遊離させるために、溶出液プラグを加熱するのが好
ましい。加熱方法としては、特に限定されないが、逆転写反応液プラグの加熱で用いるの
と同様の方法を用いることができる。加熱温度は、40℃より高ければ良く、50℃以上
が好ましく、60℃以上がより好ましい。加熱温度の上限は特に限定されないが、70℃
以下であることが好ましく、65℃以下であることがより好ましく、60℃以下であるこ
とがさらに好ましく、60℃であることが最も好ましい。
核酸結合性固相担体から核酸を遊離させた後、磁石を用いて、核酸結合性固相担体を溶
出液プラグから上方に移動させる。核酸結合性固相担体が溶出液プラグに混入していなけ
れば、どこに移動させても構わない。
このように逆転写反応液プラグと溶出液プラグを分けることによって、逆転写反応と核
酸溶出をそれぞれ高効率な条件で行うことが可能になる。
[実験例]
本実験例では、図19に示すように、上述の核酸抽出用キットのうち、チューブ200
の内部に、第1プラグ210ないし第7プラグ270を有する構成を使用した。
まず、容量3mLのポリエチレン製容器130に、375μLの吸着液、及び1μLの
磁性ビーズ分散液を収容した。吸着液は、76質量%のグアニジン塩酸塩、1.7質量%
のエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物、及び10質量%のポリオキシエ
チレンソルビタンモノラウレートの水溶液(東洋紡製、MagExtractor−Ge
nome−、NPK−1)を用いた。また、磁性ビーズ原液としては、50体積%の磁性
シリカ粒子及び20質量%の塩化リチウムが含有されたものを用いた。
ヒトから採取した血液を、ピペットを用いて容器130の口121から50μL入れ、
容器130に蓋122をして手で30秒間振って撹拌した。その後、容器130の蓋12
2を外してチューブ200に接続した。なお、チューブ200には両端に栓110が為さ
れており、第1プラグ210側の栓110を外してチューブ200に容器130を接続し
た。
ここで、第1プラグ210、第3プラグ230、第7プラグ270、第5プラグ250
は、シリコンオイルとした。第2プラグ220の第1洗浄液は、76質量%のグアニジン
塩酸塩の水溶液とした。また、第4プラグ240の第2洗浄液は、pHが8.0のトリス
−塩酸緩衝液(溶質濃度5mM)とした。第6プラグ260の溶出液は、滅菌水とした。
そして、永久磁石410を動かして、容器130内の磁性ビーズ125をチューブ20
0内に導入した。そして、磁性ビーズ125を第6プラグ260まで移動させた。磁性ビ
ーズ125がチューブ200内の各プラグに存在した時間はおよそ以下の通りであった。
第1、3、7プラグ:各3秒、第2プラグ:20秒、第4プラグ:20秒、第6プラグ:
30秒。なお、第2プラグ220及び第4プラグ240においては、磁性ビーズを振動さ
せる等の操作は行わなかった。また、第2プラグ220、第4プラグ240、及び第6プ
ラグ260の体積は、それぞれ、25μL、25μL、及び1μLとした。
次いで、チューブの第7プラグ側の栓110を取り外し、容器120を手で変形させて
、第7プラグ270及び第6プラグ260をPCRの反応容器に吐出させた。この操作は
、磁性ビーズを永久磁石によって動かして、第2プラグ220まで退避させた上でおこな
った。
そして、その抽出液に19μLのPCRの反応試薬を加え、リアルタイムPCRを定法
に従って行った。PCRの反応試薬の内訳は、ライトサイクラー480ジェノタイピング
マスター(ロシュ・ダイアグノスティックス社製4 707 524)4μL、滅菌水で
1000倍希釈したSYBR Green I(ライフテクノロジーズ社製S7563)
0.4μL、100μMのβアクチン検出用プライマー(F/R)各0.06μL、滅菌
水14.48μLである。実験例1のPCRの増幅曲線を図20に示す。なお、図20の
縦軸は、蛍光強度であり、横軸はPCRのサイクル数である。
[実験例2]
実験例2では、一般的な核酸抽出法により核酸の抽出を行った。
まず、容量1.5mLのポリエチレン製容器(エッペンドルフチューブ)に、375μ
Lの吸着液、及び20μLの磁性ビーズ分散液を収容した。吸着液、磁性ビーズ分散液の
組成としては、上記実験例と同様である。
次にヒトから採取した血液を容器の口からピペットを用いて50μL導入し、容器に蓋
をして、ボルテックスミキサーで10分間撹拌し、磁気スタンド及びピペットを操作して
B/F分離操作を行った。この状態では、容器内には磁性ビーズ及び少量の吸着液が残存
していた。
次いで容器に実験例1と同じ組成の第1洗浄液を450μL導入し、蓋をして5秒間ボ
ルテックスミキサーにより撹拌し、磁気スタンド及びピペットを操作して第1洗浄液を除
去した。この操作を2回繰り返した。この状態では、容器内には磁性ビーズ及び少量の第
1洗浄液が残存していた。
次いで容器に実験例1と同じ組成の第2洗浄液を450μL導入し、蓋をして5秒間ボ
ルテックスミキサーにより撹拌し、磁気スタンド及びピペットを操作して第1洗浄液を除
去した。この操作を2回繰り返した。この状態では、容器内には磁性ビーズ及び少量の第
2洗浄液が残存していた。
そして、滅菌水(溶出液)50μLを容器に加え、蓋をして10分間ボルテックスミキ
サーにより撹拌し、磁気スタンド及びピペットを操作して上澄み液を回収した。この上澄
み液が標的核酸を含んでいる。
そしてその抽出液から1μLを分注し、さらに19μLのPCRの反応試薬を加え、リ
アルタイムPCRを定法に従って行った。PCRの反応試薬の内訳は、ライトサイクラー
480ジェノタイピングマスター(ロシュ・ダイアグノスティックス社製4 707 5
24)4μL、滅菌水で1000倍希釈したSYBR Green I(ライフテクノロ
ジーズ社製S7563)0.4μL、100μMのβアクチン検出用プライマー(F/R
)各0.06μL、滅菌水14.48μLである。このときの増幅曲線を図20に示す。
[実験結果]
上記実験例から、以下のことが理解できる。
(1)PCRの前処理である核酸の抽出処理に要した時間を比較すると、検体を容器に挿
入してから、PCRの反応容器に標的核酸を導入するまでの時間は、実験例1ではおよそ
2分であった。実験例2ではおよそ30分であった。これにより実験例1の核酸抽出方法
は、実験例2の核酸抽出方法よりも、核酸抽出に要する時間が大幅に短い。
(2)各洗浄液は、実験例1では実験例2の約18分の1の量であった。さらに、溶出液
の量も実験例1は実験例2の約50分の1であった。従って、実験例1では、洗浄液と溶
出液の量が実験例2に対して非常に少量で十分である。
(3)溶出液における標的核酸の濃度を、吸着液及び溶出液の量において比較すると、理
想的には実験例1のほうが、実験例2よりも50倍の濃度となると考えられる。但し、今
回の実験例では、血液サンプルに含まれる核酸量が多く、1μLの磁性ビーズの吸着可能
量を超えており、血液サンプルに含まれる核酸を全量回収することができないため、実験
例1では実験例2の50倍濃度が得られていない。核酸含有量が少なく1μLの磁性ビー
ズの吸着可能量を超えない検体の場合には、実験例1では実験例2の50倍濃度が得られ
る。
(4)図20のグラフをみると、核酸の含有量が多い全血サンプルにおいても、核酸の増
幅率の立ち上がりが、実験例1のほうが実験例2よりも約0.6サイクル早い。すなわち
、実験例1で用いたPCRの反応液は、実験例2で用いたPCRの反応液よりも、標的核
酸の濃度が高い。すなわち、溶出液における標的核酸の濃度は、実験例1のほうが、実験
例2よりも高い。
1 カートリッジ、
3 タンク、3A 蓋、3B 変形部、
5 アダプター、5A蓋、7 磁気ビーズ、
9 カートリッジ本体、
10 プランジャー、11 筒状部、11A 取付台、
12 棒状部、12A シール、13 リブ、
20 チューブ、21 上シリンジ、22 下シリンジ、
23 キャピラリー、25 固定爪、26 ガイド板、
30 PCR容器、31 シール形成部、
32 オイル受容部、32A オイル受容空間、
33 段差部、34A 上シール部、34B 下シール部、
35 流路形成部、35A 底、
36A 高温領域、36B 低温領域、
41 溶解液、42 オイル、43 洗浄液、
44 第1オイルプラグ、45 洗浄液プラグ、46 第2オイルプラグ、
47 反応液(PCR溶液)、
47A 溶解液、47B オイルプラグ、47C 核酸増幅反応液、
48 第3オイルプラグ、
50 PCR装置、51 ベース、52 支持台、53 側壁、
53A カートリッジ挿入口、55 蛍光測定器、
60 回転機構、61 回転体、
62 装着部、63 固定部、
63A ガイドレール、64A 挿入穴、
65 ヒーター、65A 溶出用ヒーター、
65B 高温側ヒーター、65C 低温側ヒーター、
65D スペーサー、66 回転用モーター、
70 磁石移動機構、71 磁石、72 アーム、
73 昇降機構、73A キャリッジ、
73B 昇降用モーター、73C キャリッジガイド、
73D ベルト、73E プーリー、
75 揺動機構、75A 揺動用モーター、75B 揺動回転軸、
80 押圧機構、81 プランジャー用モーター、82 ロッド、
90 コントローラー

Claims (6)

  1. 核酸が結合した核酸結合性固相担体から前記核酸が溶出する溶出液を含むプラグを有す
    るチューブと、前記チューブと連通し、前記溶出液と相分離するオイルを含む核酸増幅反
    応容器と、を備えるカートリッジを装着可能な装着部を有する回転体と、
    前記核酸増幅反応容器の内部に温度勾配を形成するヒーターと、
    前記核酸増幅反応容器内の反応液に含まれる蛍光物質から放射され、核酸増幅反応の指
    標となる蛍光を検出する蛍光測定器と、を備える核酸増幅装置と、
    前記蛍光測定器を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記蛍光測定器にピーク波長
    が異なる3つの蛍光を測定させるとき、前記3つの蛍光をピーク波長が短い方から第1の
    蛍光、第2の蛍光、第3の蛍光とする場合に、前記第1の蛍光を測定する時間と前記第3
    の蛍光を測定する時間の少なくとも一部を重ねさせることを特徴とする、核酸検出制御装
    置と、
    を備える核酸増幅システム。
  2. 請求項1に記載の核酸増幅システムにおいて、
    前記制御部は、前記蛍光測定器に、前記第1の蛍光と前記第3の蛍光を測定させ、その
    後で前記第2の蛍光を測定させることを特徴とする、核酸増幅システム。
  3. 核酸が結合した核酸結合性固相担体から前記核酸が溶出する溶出液を含むプラグを有す
    るチューブと、前記チューブと連通し、前記溶出液と相分離するオイルを含む核酸増幅反
    応容器と、を備えるカートリッジを装着可能な装着部を有する回転体と、
    前記核酸増幅反応容器の内部に温度勾配を形成するヒーターと、
    前記核酸増幅反応容器内の反応液に含まれる蛍光物質から放射され、核酸増幅反応の指
    標となる蛍光を検出する蛍光測定器と、を備える核酸増幅装置において、前記核酸増幅反
    応容器内の反応液に含まれるピーク波長が異なる3つの蛍光物質から放射され、核酸増幅
    反応の指標となる3つの蛍光を検出する工程を含む核酸検出方法であって、
    前記3つの蛍光をピーク波長が短い方から第1の蛍光、第2の蛍光、第3の蛍光とする
    場合に、前記第1の蛍光を測定する時間と前記第3の蛍光を測定する時間の少なくとも一
    部を重ねることを特徴とする、核酸検出方法。
  4. 請求項3に記載の核酸検出方法において、
    前記第1の蛍光と前記第3の蛍光を測定し、その後で前記第2の蛍光を測定することを
    特徴とする、核酸検出方法。
  5. 核酸が結合した核酸結合性固相担体から前記核酸が溶出する溶出液を含むプラグを有す
    るチューブと、前記チューブと連通し、前記溶出液と相分離するオイルを含む核酸増幅反
    応容器と、を備えるカートリッジを装着可能な装着部と、
    前記核酸増幅反応容器内の反応液に含まれる蛍光物質から放射され、核酸増幅反応の指
    標となる蛍光を検出する蛍光測定器と、
    前記蛍光測定器を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、蛍光測定器にピーク波長が異なる3つの蛍光を測定させるとき、前記3
    つの蛍光をピーク波長が短い方から第1の蛍光、第2の蛍光、第3の蛍光とする場合に、
    前記第1の蛍光を測定する時間と前記第3の蛍光を測定する時間の少なくとも一部を重ね
    させることを特徴とする、核酸増幅システム。
  6. 請求項5に記載の核酸増幅システムにおいて、
    前記制御部は、前記蛍光測定器に、前記第1の蛍光と前記第3の蛍光を測定させ、その
    後で前記第2の蛍光を測定させることを特徴とする、核酸増幅システム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111534429A (zh) * 2020-05-22 2020-08-14 中国科学院上海技术物理研究所 基于等温扩增的一体化核酸提取和扩增检测***
CN111534428A (zh) * 2020-05-22 2020-08-14 中国科学院上海技术物理研究所 一种基于pcr扩增的一体化核酸提取和扩增检测***
CN111575176A (zh) * 2020-05-22 2020-08-25 中国科学院上海技术物理研究所 基于crispr技术的封闭式全自动核酸提取检测***

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