JP2015045536A - 小口径配管点検装置及びその点検方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】小口径配管を効率的にかつ精確に点検することが可能な点検装置を提供する。【解決手段】小口径配管の点検を行う小口径配管点検装置であって、配管の外周面に周方向に渡って配設される複数の振動子7を有し、各振動子7から配管の軸方向へ超音波を発し、その反射波を受信して配管に欠陥が存在する範囲を特定する第1の超音波探傷装置と、一列又は複数列に配設された複数の振動子を有し、前記第1の超音波探傷装置で特定した範囲において、配管の外側から厚さ方向に発せられる各振動子の超音波送信タイミングを制御して、超音波を任意の位置に収束させると共に、その反射波を受信して配管の探傷を行う第2の超音波探傷装置とを備える。【選択図】図1
Description
本発明は、超音波探触子を用いて小口径配管を点検する点検装置、及びその方法に関する。
化学工場や製造工場、発電プラント等の各種設備では、外径750mm以下の小口径配管が多く設置されているが、設置後に配管が部分的に腐食して配管の板厚が薄くなる減肉部が発生する場合がある。そこで、配管の健全性を確認するために、例えば、目視やファイバースコープなどを用いて配管の内面点検が行われている(特許文献1参照)。
しかしながら、目視やファイバースコープを用いて行う点検方法では、欠陥位置や欠陥状況を精確に把握することが困難なうえ、配管のフランジ部(連結部)を取り外さなければならず、その取り外し作業及び点検後の取り付け作業、さらにはフランジ部におけるシール性の確認作業等に時間がかかるといった問題がある。また、フランジ部の取り外し作業及び取り付け作業を行うことで、配管内面を覆っている耐食材としてのライニングやシール部材としてのパッキンなどに新たな欠陥が生じる虞もある。
これに対し、フランジ部を取り外さなくてもよい方法として、超音波を用いた方法がある。例えば、特許文献2では、配管の外側から厚さ方向に超音波を発し、その反射波を受信することで、ライニングの剥離等を検査する方法が提案されている。
しかし、特許文献2に記載の超音波探傷装置は一度に検査できる範囲がそれほど広くないため、軸方向に長く設置された小口径配管を効率的にかつ精確に点検するには、長時間の作業が必要になり、点検費用が高額になるといった問題があった。
そこで、本発明は前述の問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、小口径配管を効率的にかつ精確に点検することが可能な点検装置及びその方法を提供することにある。
請求項1の発明は、小口径配管の点検を行う小口径配管点検装置であって、配管の外周面に周方向に渡って配設される複数の振動子を有し、各振動子から配管の軸方向へ超音波を発し、その反射波を受信して配管に欠陥が存在する範囲を特定する第1の超音波探傷装置と、一列又は複数列に配設された複数の振動子を有し、前記第1の超音波探傷装置で特定した範囲において、配管の外側から厚さ方向に発せられる各振動子の超音波送信タイミングを制御して、超音波を任意の位置に収束させると共に、その反射波を受信して配管の探傷を行う第2の超音波探傷装置とを備えるものである。
第1の超音波探傷装置を用い、配管の軸方向へ超音波を発し、その反射波を受信することで、配管に欠陥が存在する範囲を大まかに特定することができる。そして、第1の超音波探傷装置で特定した範囲において、第2の超音波探傷装置を用いて超音波を配管の任意の位置に収束させると共に、その反射波を受信することで、配管に存在する欠陥の大きさや位置を精確に特定することが可能である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の小口径配管点検装置において、前記第2の超音波探傷装置が有する振動子を、超音波の送信のみを行う振動子と、超音波の受信のみを行う振動子とに分けて構成したものである。
第2の超音波探傷装置が有する振動子を、超音波の送信のみを行う振動子と、超音波の受信のみを行う振動子とに分けて構成することにより、小口径の配管における点検を精度良く行うことができる。すなわち、振動子の位置から欠陥などの反射対象までの距離が非常に短く、反射波が帰ってくるタイミングが早い場合であっても、送信される超音波に邪魔されることなく、受信側の振動子によって反射波を良好に受信することができる。
請求項3の発明は、請求項2に記載の小口径配管点検装置において、前記超音波の送信のみを行う振動子の超音波送信方向と、前記超音波の受信のみを行う振動子の超音波受信方向とが、互いに斜めになるようにしたものである。
超音波の送信のみを行う振動子の超音波送信方向と、超音波の受信のみを行う振動子の超音波受信方向とが、互いに斜めになるようにすることで、短焦点化を実現することができ、特に浅い位置にある欠陥を検知することが可能となる。
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の小口径配管点検装置において、前記第2の超音波探傷装置の配管の外周面に対する当接面を、前記超音波収束ビームの入射角変更方向に対して平行を成す方向に、凹曲面状に形成したものである。
このように当接面を形成することで、第2の超音波探傷装置を、配管の軸方向に対し超音波収束ビームの入射角変更方向が直交するように配置した場合に、当接面を配管外周面に対して安定して当接させることができ、検知精度が向上する。
請求項5の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の小口径配管点検装置において、前記第2の超音波探傷装置の配管の外周面に対する当接面を、前記超音波収束ビームの入射角変更方向に対して直交する方向に、凹曲面状に形成したものである。
このように当接面を形成することで、第2の超音波探傷装置を、配管の周方向に対し超音波収束ビームの入射角変更方向が直交するように配置した場合に、当接面を配管外周面に対して安定して当接させることができ、検知精度が向上する。
請求項6の発明は、小口径配管の点検を行う小口径配管点検方法であって、配管の外周面に周方向に渡って複数の振動子を配置し、各振動子から配管の軸方向へ超音波を発し、その反射波を受信して配管に欠陥が存在する範囲を特定する第1の超音波探傷工程と、前記第1の超音波探傷工程で特定した範囲において、一列又は複数列に配設された複数の振動子の、配管の外側から厚さ方向に発せられる超音波送信タイミングを制御して、超音波収束ビームを任意の位置に収束させると共に、その反射波を受信して配管の探傷を行う第2の超音波探傷工程とを有する方法である。
第1の超音波探傷工程により、配管の軸方向へ超音波を発し、その反射波を受信することで、配管に欠陥が存在する範囲を大まかに特定することができる。そして、第2の超音波探傷工程で、第1の超音波探傷装置で特定した範囲において、超音波を配管の任意の位置に収束させると共に、その反射波を受信することで、配管に存在する欠陥の大きさや位置を精確に特定することができる。
本発明によれば、第1の超音波探傷装置(第1の超音波探傷工程)によって、配管の欠陥が存在する範囲を大まかに特定し、次に、第2の超音波探傷装置(第2の超音波探傷工程)によって、第1の超音波探傷装置で特定した範囲において、欠陥の大きさや位置を精確に特定することができるので、効率的にかつ精確に点検を行うことが可能である。
以下、本発明に係る小口径配管点検装置及びその方法について説明する。
なお、本発明に係る点検装置及び点検方法を適用する小口径配管とは、外径が750mm以下のものをいう。
なお、本発明に係る点検装置及び点検方法を適用する小口径配管とは、外径が750mm以下のものをいう。
図1は、本発明に係る点検装置が備える第1の超音波探傷装置の構成図である。
図1に示すように、第1の超音波探傷装置1は、半円状に形成された一対の分割リング探傷センサ2A,2Bと、送受信部3と、演算処理部4と、記憶部5と、表示部6とを備えている。
図1に示すように、第1の超音波探傷装置1は、半円状に形成された一対の分割リング探傷センサ2A,2Bと、送受信部3と、演算処理部4と、記憶部5と、表示部6とを備えている。
各分割リング探傷センサ2A,ABの内周面には、複数の振動子7が周方向に渡って配列されている。また、一方の分割リング探傷センサ2Bには、他方の分割リング探傷センサ2Aと組み付けて固定するための固定具8が設けられている。固定具8は、一方の分割リング探傷センサ2Bの両端部に回動可能に取り付けられた枠体9と、枠体9に取り付けられた押えねじ10とを有する。
図2に示すように、一対の分割リング探傷センサ2A,2Bを小口径の配管11に取付固定するには、まず、配管11を外周から挟むようにして一対の分割リング探傷センサ2A,2Bを配置する。次いで、枠体9を回転させて、押えねじ10を他方の分割リング探傷センサ2Aの端部上に移動させ、押えねじ10を回転させることで両分割リング探傷センサ2A,2Bが配管の外周面に押し当てられて固定される。
各分割リング探傷センサ2A,2Bは、ケーブルなどで送受信部3に接続されており、両分割リング探傷センサ2A,2Bが配管11に固定された状態で、送受信部3から電流が印加されると、複数の振動子7が振動して配管11の全周において超音波を発生させる。ここで発生させる超音波は、配管11の軸方向に伝播する、いわゆるガイド波である。そして、このガイド波の反射波を各振動子7が検知して送受信部3に出力する。
演算処理部4は、送受信部3で受信した反射波の信号を処理して、その処理データを記憶部5と表示部6に送信する。記憶部5では処理データが記憶され、表示部6では処理データを画像として出力表示することが可能である。演算処理部4、記憶部5及び表示部6は、例えば、パーソナルコンピュータである。
図3に、第1の超音波探傷装置を用いて点検を行った場合に表示される反射波信号の一例を示す。
ここでは、図3(A)に示すように、(a)〜(f)の箇所において減肉部が存在する配管11に一対の分割リング探傷センサ2A,2Bをセットし、分割リング探傷センサ2A,2Bから配管11の両端側のフランジ部11a,11bに向かってガイド波を伝播させた。その結果、図3(B)(C)に示すような反射波の信号が得られた。図3(B)では、配管の軸方向と周方向に渡る反射波信号の分布及び信号強度を示し、図3(C)では、配管の軸方向に渡る反射波信号の強度を示している。なお、図3(B)(C)の中の(a)〜(f)は、図3(A)中の減肉部(a)〜(f)に対応している。このように、第1の超音波探傷装置によれば、反射波の信号強度が高くなる箇所を確認することで、減肉部の周方向位置及び軸方向位置を特定することが可能である。
ここでは、図3(A)に示すように、(a)〜(f)の箇所において減肉部が存在する配管11に一対の分割リング探傷センサ2A,2Bをセットし、分割リング探傷センサ2A,2Bから配管11の両端側のフランジ部11a,11bに向かってガイド波を伝播させた。その結果、図3(B)(C)に示すような反射波の信号が得られた。図3(B)では、配管の軸方向と周方向に渡る反射波信号の分布及び信号強度を示し、図3(C)では、配管の軸方向に渡る反射波信号の強度を示している。なお、図3(B)(C)の中の(a)〜(f)は、図3(A)中の減肉部(a)〜(f)に対応している。このように、第1の超音波探傷装置によれば、反射波の信号強度が高くなる箇所を確認することで、減肉部の周方向位置及び軸方向位置を特定することが可能である。
図4は、本発明に係る点検装置が備える第2の超音波探傷装置の構成図である。
図4に示すように、第2の超音波探傷装置12は、フェーズドアレイ探傷センサ13と、送受信部14と、演算処理部15と、記憶部16と、表示部17とを備えている。
図4に示すように、第2の超音波探傷装置12は、フェーズドアレイ探傷センサ13と、送受信部14と、演算処理部15と、記憶部16と、表示部17とを備えている。
フェーズドアレイ探傷センサ13は、超音波の送信のみを行う送信側探触子18と、超音波(反射波)の受信のみを行う受信側探触子19と、送信側探触子18と受信側探触子19とを上面20a,21aに保持する一対のウェッジ20,21とで構成されている。送信側探触子18と受信側探触子19は、それぞれ、複数の振動子22,23を有する。一般に、探触子には、振動子が一列に並んだ構造のリニアアレイ探触子と、振動子が二列以上に並んだ構造のマトリクスアレイ探触子とがあるが、本実施形態では、マトリクスアレイ探触子を採用している。ただし、本発明は、リニアアレイ探触子の適用を除外するものではない。
具体的に、各探触子18,19が有する振動子22,23は、図4に示す左又は右方向から見て2列に配置され、図5に示す前又は後方向から見て16個並んで配置されている。すなわち、図6の平面図のように、送信側探触子18と受信側探触子19に設けられた振動子22,23は、それぞれ、横2列×縦16行の合計32個の振動子群を形成している。本実施形態で用いている振動子22,23のサイズは、図6において、縦0.5mm、横1.9mmであり、縦方向と横方向に0.1mmピッチで配置されている。
上記のような振動子22,23の配置によって、各振動子22,23の超音波送信タイミングを制御することにより、超音波を配管の厚さ方向の任意の位置で収束させることができると共に、その超音波収束ビームの焦点を左右方向の任意の位置に変更することが可能となっている。本実施形態では、図7に示すように、超音波収束ビームを左右両方向にそれぞれ1°ピッチで45°まで変更できるようになっている。また、本実施形態では、各ウェッジ20,21の上面20a,21aを前後方向(図4の横方向)に渡って傾斜する傾斜面とすることで、送信側探触子18の超音波送信方向と、受信側探触子19の超音波受信方向とが、互いに斜めになるようにしている。これにより、図8に示すように、配管11の外周面から深さ3mmの短焦点距離であっても、超音波を収束できるようになっている。
上記第2の超音波探傷装置が備える送受信部14は、送信側探触子18及び受信側探触子19にそれぞれ接続されており、送受信部14から送信側探触子18に電流が印加されると、振動子22が振動して超音波を発する。超音波を発する際は、ウェッジ20,21の下面を配管11の外周面に当接させ、その状態で、配管11の厚さ方向(径方向)に超音波を発する。そして、その反射波を受信側探触子19の振動子23が検知して送受信部14に出力する。
演算処理部15は、送受信部14で受信した反射波の信号を処理して、その処理データを記憶部16と表示部17に送信する。記憶部16では処理データが記憶され、表示部17では処理データを画像として出力表示することが可能である。演算処理部15、記憶部16及び表示部17としては、上記第1の超音波探傷装置と同様、パーソナルコンピュータを用いることができる。
図9に、第2の超音波探傷装置を用いて点検を行った場合に表示される反射信号の一例を示す。
ここでは、図9(A)に示すように、内周面にφ2の円錐状の孔部24を形成した配管11に対して、上述のフェーズドアレイ探傷センサ13を孔部24の直上位置から周方向に3mmずれた位置に配置し、超音波を発生させた。その結果を図9(B)に示す。
ここでは、図9(A)に示すように、内周面にφ2の円錐状の孔部24を形成した配管11に対して、上述のフェーズドアレイ探傷センサ13を孔部24の直上位置から周方向に3mmずれた位置に配置し、超音波を発生させた。その結果を図9(B)に示す。
図9(B)中、矢印Dで示す範囲が配管の厚さに相当する。この厚さに相当する範囲Dでは、基本的に反射波の信号強度が低く(色が薄く)表示されている。しかしながら、同図中の点線Eで囲む箇所では、反射波の信号強度が高く(色が濃く)表示されており、これが、円錐状の孔部24に相当する。このように、第2の超音波探傷装置によれば、反射波の信号強度が高くなる箇所を確認することで、孔部(減肉部)の有無を確認することができると共に、その信号強度によって孔部の大きさ(減肉度合い)の把握も可能である。
また、本実施形態のフェーズドアレイ探傷センサは、超音波収束ビームの焦点を左右方向に変化させることができるので、幅広い領域での検知が可能である。他の探触子としては、例えば、図10(A)に示すような複数の振動子から発せられる超音波を収束して超音波収束ビームを形成できる焦点型垂直探触子130Aや、図10(B)に示すような送信専用の振動子と受信専用の振動子を有する分割型垂直探触子130B、図10(C)に示すような送信と受信を兼ねる振動子を有する汎用型探触子130Cがあるが、これらは、超音波送信方向を左右方向に変更することができないので、一度に検知できる範囲が限られる。これに対し、本実施形態のフェーズドアレイ探傷センサは、幅広い領域での検知が可能であり、点検時間の短縮を図れる利点がある。
しかも、本実施形態のフェーズドアレイ探傷センサは、超音波収束ビームを左右方向に変更できることで、図10(C)に示す汎用型探触子130Cでは検知しにくい円錐状の孔部であっても検知が可能である。すなわち、図10(C)に示す汎用型探触子130Cのように、配管の径方向(外周面に対して垂直方向)にのみ超音波を発するタイプは、超音波送信方向と直交する面を有する平底孔などの検知性は良いが、錘状の孔に対しては反射波を受信しにくく検知性が劣る傾向がある。これに対し、本実施形態のフェーズドアレイ探傷センサでは、超音波収束ビームを左右方向に変更することができるので、錘状の面に対して直交する方向に超音波収束ビームを発することができ、その反射波を感度良く受信することが可能である。このように、本実施形態の場合は、検知精度にも優れる。
また、本発明者は、本実施形態と図10に示す探触子を用いて、それぞれの検知可能な範囲を調べる実験を行った。その結果を、図11に示す。
本実験では、φ2の平底孔、φ5の平底孔、φ2の円錐孔、φ5の円錐孔を、それぞれ配管の内周面に形成し、各孔の直上から探触子を配管周方向にずらしながら検知し、どの位置まで孔を検知可能かを調べた。検知可能か否かの判定は、反射波の信号強度が孔の直上位置で超音波を発した際の信号ピーク値の2分の1となるまでを検知可能と判断するようにした。なお、図11の縦軸に示す孔からのずれ距離は、孔の直上から周方向両側へずらした距離の合計であり、片側だけのずれ距離は図11でプロットされた値の2分の1となる。図11に示すように、各種孔のいずれに対しても、本実施形態のセンサが、他の探触子に比べて最も離れた位置まで検知可能との結果になった。
本実験では、φ2の平底孔、φ5の平底孔、φ2の円錐孔、φ5の円錐孔を、それぞれ配管の内周面に形成し、各孔の直上から探触子を配管周方向にずらしながら検知し、どの位置まで孔を検知可能かを調べた。検知可能か否かの判定は、反射波の信号強度が孔の直上位置で超音波を発した際の信号ピーク値の2分の1となるまでを検知可能と判断するようにした。なお、図11の縦軸に示す孔からのずれ距離は、孔の直上から周方向両側へずらした距離の合計であり、片側だけのずれ距離は図11でプロットされた値の2分の1となる。図11に示すように、各種孔のいずれに対しても、本実施形態のセンサが、他の探触子に比べて最も離れた位置まで検知可能との結果になった。
以上、本発明で用いる点検装置について説明したが、第1の超音波探傷装置と第2の超音波探傷装置とでは、それぞれ異なる長所と短所がある。第1の超音波探傷装置は、配管の軸方向にガイド波を送ることで、第2の超音波探傷装置に比べて、配管軸方向への長距離探傷が可能であるが、局所範囲での傷の位置や大きさを検知する精度は劣る。一方、第2の超音波探傷装置は、反対に、第1の超音波探傷装置に比べて、局所範囲での検知精度には優れるが、配管軸方向への長距離探傷はできない。そこで、本発明では、それぞれの短所をそれぞれの長所で補完し、効率的かつ精確な小口径配管の点検を実現するようにしている。
本発明に係る点検方法では、まず、第1の超音波探傷装置を用いて配管の探傷を行う。これにより、配管に欠陥(減肉部)が存在する場合、その存在する範囲を大まかに特定する。次に、第1の超音波探傷装置で特定した範囲において、第2の超音波探傷装置を用いて精確な探傷を行う。例えば、4B配管の場合、第1の超音波探傷装置では軸方向200mm、周方向60mmの範囲内に欠陥があることを特定できるので、この範囲内で第2の超音波探傷装置を用いて探傷を行うことになる。
図12に示すように、第1の超音波探傷装置によって特定された範囲Fが、配管の軸方向に長く周方向に短い場合は、第2の超音波探傷装置のフェーズドアレイ探傷センサ13を、配管の軸方向に対し超音波収束ビームの入射角変更方向Gが直交するように配置し、配管軸方向へ移動させる。これにより、フェーズドアレイ探傷センサ13を周方向へシフトさせる回数を少なくすることができ、効率的である。具体的に、本実施形態では、図11に示す実験結果によれば、2φの平底孔と円錐孔に対して、孔直上から両側へ合計9.5mmずれても検知可能であるので、確実に検知できるように、その約2分の1の4.7mmのピッチPで周方向にシフトさせるようにしている。
反対に、図13に示すように、第1の超音波探傷装置によって特定された範囲Fが、配管の軸方向に短く周方向に長い場合は、フェーズドアレイ探傷センサ13を、配管の周方向に対し超音波収束ビームの入射角変更方向Gが直交するように配置し、配管周方向へ移動させる。この場合は、フェーズドアレイ探傷センサ13を軸方向へシフトさせる回数を少なくすることができ、効率的である。
また、第1の超音波探傷装置によって特定される範囲(1つの欠陥に対して特定される範囲)が、性能的に配管軸方向に長く周方向に短くなるものであっても、図14に示すように、複数の欠陥Hが周方向に近接して並んでいる場合は、それらが存在する特定範囲F全体が周方向に長くなる場合もある。この場合は、図13に示すように、フェーズドアレイ探傷センサ13を配管周方向へ移動させ、軸方向へシフトする操作が効率的である。
また、図12に示すように、フェーズドアレイ探傷センサ13を配管軸方向へ移動させ、周方向へシフトさせる場合は、図15に示すように、ウェッジ20,21の配管の外周面に対する当接面20b,21bを、超音波収束ビームの入射角変更方向Gに対して平行を成す方向に、凹曲面状に形成してもよい。より好ましくは、当接面20b,21bの曲率を配管外周面の曲率と同等にするのがよい。これにより、フェーズドアレイ探傷センサ13を配管外周面に安定して当接させることができるようになり、検知精度が向上する。
一方、図13に示すように、フェーズドアレイ探傷センサ13を配管周方向へ移動させ、軸方向へシフトさせる場合は、図16に示すように、ウェッジ20,21の配管の外周面に対する当接面20b,21bを、超音波収束ビームの入射角変更方向Gに対して直交する方向に、凹曲面状に形成するのがよい。この場合も、より好ましくは、当接面20b,21bの曲率を配管外周面の曲率と同等にするのがよい。これにより、フェーズドアレイ探傷センサ13を配管外周面に安定して当接させることができるようになり、検知精度が向上する。
また、図15に示すウェッジ20,21と、図16に示すウェッジ20,21を両方用意し、第1の超音波探傷装置による特定範囲に応じてウェッジ20,21を付替え可能とすることで、フェーズドアレイ探傷センサ13を主に軸方向に移動させる場合(図12の場合)と主に周方向に移動させる場合(図13の場合)の両方に対応することが可能である。
以上のように、本発明によれば、第1の超音波探傷装置による配管軸方向への長距離探傷機能を用いて、配管の欠陥が存在する範囲を大まかに特定する第1の超音波探傷工程を行い、次に、第1の超音波探傷装置で特定した範囲において、第2の超音波探傷装置を用いて欠陥の大きさや位置を精確に特定する第2の超音波探傷工程を行うので、効率的にかつ精確に点検することが可能である。これにより、例えば、図10(C)に示すような汎用型探触子のみを用いて検査する場合に比べて、検査時間を大幅に短縮することが可能となる。
図17に、本発明に係る点検方法と、汎用型探触子のみを用いて点検を行った場合との、それぞれの点検に要した時間の一例を示す。
この場合、3B配管と4B配管(いずれも配管長5.5m)の点検作業を行った。本発明に係る点検方法で3B配管の点検を行った場合は、第1の超音波探傷工程で110分、第2の超音波工程で79分、合計189分の点検時間を要した。これに対し、汎用型探触子のみを用いて3B配管の点検を行った場合は、1123分もの点検時間を要した。これは、汎用型探触子では、配管軸方向への長距離探傷を行うことができないので、欠陥範囲を大まかに特定することができず、点検時間が多くかかったからである。一方、本発明に係る点検方法では、第1の超音波探傷工程で、欠陥範囲の大まかな特定が行えるので、点検時間が短くて済み、結果として、点検時間が汎用型探触子のみを用いた場合の約5.9分の1となった。また、同様に、4B配管の点検を行った場合も、本発明に係る点検方法を用いることで、汎用型探触子のみを用いた場合の約6.8分の1の点検時間となった。
この場合、3B配管と4B配管(いずれも配管長5.5m)の点検作業を行った。本発明に係る点検方法で3B配管の点検を行った場合は、第1の超音波探傷工程で110分、第2の超音波工程で79分、合計189分の点検時間を要した。これに対し、汎用型探触子のみを用いて3B配管の点検を行った場合は、1123分もの点検時間を要した。これは、汎用型探触子では、配管軸方向への長距離探傷を行うことができないので、欠陥範囲を大まかに特定することができず、点検時間が多くかかったからである。一方、本発明に係る点検方法では、第1の超音波探傷工程で、欠陥範囲の大まかな特定が行えるので、点検時間が短くて済み、結果として、点検時間が汎用型探触子のみを用いた場合の約5.9分の1となった。また、同様に、4B配管の点検を行った場合も、本発明に係る点検方法を用いることで、汎用型探触子のみを用いた場合の約6.8分の1の点検時間となった。
また、上記本発明の実施形態では、小口径の配管における点検を精度良く行うために、第2の超音波探傷装置が有する振動子を、超音波の送信のみを行う振動子(送信側探触子18)と、超音波の受信のみを行う振動子(受信側探触子19)とに分けて構成している。小口径配管では、振動子の位置から欠陥などの反射対象までの距離が非常に短い場合があり、その場合反射波が帰ってくるタイミングが早く、送信と受信を兼ねる振動子を用いると、発信中に反射波が帰ってきて、反射波をうまく受信できない可能性がある。そこで、上述の実施形態のように、送信側の振動子と受信側の振動子を別個の振動子とすることで、反射波が早いタイミングで帰ってきても、受信側の振動子で良好に受信することができるようになる。
また、上述の実施形態では、送信側探触子18の超音波送信方向と受信側探触子19の超音波受信方向とが互いに斜めになるようにして、深さ3mmの短焦点化を実現しているので、特に浅い位置に欠陥がある場合の点検に好適である。
なお、本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論である。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、及び範囲内のすべての変更を含む。
1 第1の超音波探傷装置
7 振動子
11 配管
12 第2の超音波探傷装置
18 送信側探触子
19 受信側探触子
20 ウェッジ
20b 当接面
21 ウェッジ
21b 当接面
22 振動子
23 振動子
G 超音波収束ビームの入射角変更方向
7 振動子
11 配管
12 第2の超音波探傷装置
18 送信側探触子
19 受信側探触子
20 ウェッジ
20b 当接面
21 ウェッジ
21b 当接面
22 振動子
23 振動子
G 超音波収束ビームの入射角変更方向
Claims (6)
- 小口径配管の点検を行う小口径配管点検装置であって、
配管の外周面に周方向に渡って配設される複数の振動子を有し、各振動子から配管の軸方向へ超音波を発し、その反射波を受信して配管に欠陥が存在する範囲を特定する第1の超音波探傷装置と、
一列又は複数列に配設された複数の振動子を有し、前記第1の超音波探傷装置で特定した範囲において、配管の外側から厚さ方向に発せられる各振動子の超音波送信タイミングを制御して、超音波を任意の位置に収束させると共に、その反射波を受信して配管の探傷を行う第2の超音波探傷装置とを備えることを特徴とする小口径配管点検装置。 - 前記第2の超音波探傷装置が有する振動子を、超音波の送信のみを行う振動子と、超音波の受信のみを行う振動子とに分けて構成した請求項1に記載の小口径配管点検装置。
- 前記超音波の送信のみを行う振動子の超音波送信方向と、前記超音波の受信のみを行う振動子の超音波受信方向とが、互いに斜めになるようにした請求項2に記載の小口径配管点検装置。
- 前記第2の超音波探傷装置の配管の外周面に対する当接面を、前記超音波収束ビームの入射角変更方向に対して平行を成す方向に、凹曲面状に形成した請求項1から3のいずれか1項に記載の小口径配管点検装置。
- 前記第2の超音波探傷装置の配管の外周面に対する当接面を、前記超音波収束ビームの入射角変更方向に対して直交する方向に、凹曲面状に形成した請求項1から3のいずれか1項に記載の小口径配管点検装置。
- 小口径配管の点検を行う小口径配管点検方法であって、
配管の外周面に周方向に渡って複数の振動子を配置し、各振動子から配管の軸方向へ超音波を発し、その反射波を受信して配管に欠陥が存在する範囲を特定する第1の超音波探傷工程と、
前記第1の超音波探傷工程で特定した範囲において、一列又は複数列に配設された複数の振動子の、配管の外側から厚さ方向に発せられる超音波送信タイミングを制御して、超音波収束ビームを任意の位置に収束させると共に、その反射波を受信して配管の探傷を行う第2の超音波探傷工程とを有することを特徴とする小口径配管点検方法。
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JP2013176010A JP2015045536A (ja) | 2013-08-27 | 2013-08-27 | 小口径配管点検装置及びその点検方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20220000179A (ko) * | 2020-06-25 | 2022-01-03 | 한국전력공사 | 유도 초음파를 이용한 전주 진단 장치 |
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-
2013
- 2013-08-27 JP JP2013176010A patent/JP2015045536A/ja active Pending
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