JP2015028135A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリカーボネート樹脂(A)60〜90質量%と、芳香族ビニル単量体成分(b1)40〜80質量%、シアン化ビニル単量体成分(b2)10〜30質量%、ジエン系ゴム質重合体成分(b3)10〜30質量%及びその他の単量体成分(b4)0〜30質量%からなるABS樹脂(B)5〜20質量部、並びに式(1)で示されるリン酸エステル化合物(C)5〜20質量%からなる基体樹脂100質量部に対して、
フルオロポリマー(D)0.01〜1質量部、ジエン系ゴムに芳香族ビニル化合物及び/又は(メタ)アクリル酸エステル化合物をグラフト重合したグラフト共重合体(E)1〜3.5質量部、平均粒径が5〜15μmのタルク(F)0.5〜3質量部を含有し、
ABS樹脂(B)中の、ジエン系ゴム質重合体成分(b3)の数平均粒径が100〜350nmであり、かつグラフト共重合体(E)の数平均粒径が100〜350nmであることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、以下の熱可塑性樹脂組成物およびその成形体を提供する。
フルオロポリマー(D)0.01〜1質量部、ジエン系ゴムに芳香族ビニル化合物及び/又は(メタ)アクリル酸エステル化合物をグラフト重合したグラフト共重合体(E)1〜3.5質量部、平均粒径が5〜15μmのタルク(F)0.5〜3質量部を含有し、
ABS樹脂(B)中の、ジエン系ゴム質重合体成分(b3)の数平均粒径が100〜350nmであり、かつグラフト共重合体(E)の数平均粒径が100〜350nmであることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
[3]グラフト共重合体(E)の数平均粒径が130〜280nmである上記[1]または[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4]ABS樹脂(B)は、粒径1000nm以上のジエン系ゴム質重合体成分(b3)の割合が2%以下である上記[1]〜[3]の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5]タルク(F)の平均粒径が7〜14μmである上記[1]〜[4]の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6]グラフト共重合体(E)に対するABS樹脂(B)の質量比((B)/(E))が4〜25である上記[1]〜[5]の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[7]タルク(F)に対するグラフト共重合体(E)の質量比((E)/(F))が1.4〜5である上記[1]〜[6]の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[8]1.5mm厚におけるUL94による難燃性が5VAまたは5VBである上記[1]〜[7]の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[9]1.2mm厚におけるUL94による難燃性がV−0である上記[1]〜[8]の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[10]上記[1]〜[9]の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
[11]プリンター、複写機、プロジェクター、モデム及びルーターから選ばれる少なくとも1種のOA機器の筐体である上記[10]に記載の成形体。
なお、本明細書において、「〜」とは、特に断りのない限り、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。また、「部」とは、特に断りのない限り、質量基準に基づく質量部を表す。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)60〜90質量%と、芳香族ビニル単量体成分(b1)40〜80質量%、シアン化ビニル単量体成分(b2)10〜30質量%、ジエン系ゴム質重合体成分(b3)10〜30質量%及びその他の単量体成分(b4)0〜30質量%からなるABS樹脂(B)5〜20質量部、並びに前記式(1)で示されるリン酸エステル化合物(C)5〜20質量%からなる基体樹脂100質量部に対して、
フルオロポリマー(D)0.01〜1質量部、ジエン系ゴムに芳香族ビニル化合物及び/又は(メタ)アクリル酸エステル化合物をグラフト重合したグラフト共重合体(E)1〜3.5質量部、平均粒径が5〜15μmのタルク(F)0.5〜3質量部を含有し、
ABS樹脂(B)中の、ジエン系ゴム質重合体成分(b3)の数平均粒径が100〜350nmであり、かつグラフト共重合体(E)の数平均粒径が100〜350nmであることを特徴とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂(A)の種類に制限はない。また、ポリカーボネート樹脂(A)は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用してもよい。
またポリカーボネート樹脂(A)は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、ポリカーボネート樹脂(A)は1種の繰り返し単位からなる単重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。このとき共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。なお、通常、このようなポリカーボネート重合体は、熱可塑性の樹脂となる。
1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、
1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂(A)の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。以下、これらの方法のうち特に好適なものについて具体的に説明する。
まず、ポリカーボネート樹脂を界面重合法で製造する場合について説明する。界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
なお、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
次に、ポリカーボネート樹脂を溶融エステル交換法で製造する場合について説明する。溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。中でも、ジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートがより好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
ポリカーボネート樹脂(A)の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]は、通常10,000以上、好ましくは16,000以上、より好ましくは17,000以上であり、また、通常40,000以下、好ましくは30,000以下、より好ましくは24,000以下である。粘度平均分子量を前記範囲の下限値以上とすることにより本発明の熱可塑性樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、粘度平均分子量を前記範囲の上限値以下とすることにより本発明の熱可塑性樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて成形加工を容易に行えるようになる。なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
ただし、再生されたポリカーボネート樹脂は、本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂のうち、80質量%以下であることが好ましく、中でも50質量%以下であることがより好ましい。再生されたポリカーボネート樹脂は、熱劣化や経年劣化等の劣化を受けている可能性が高いため、このようなポリカーボネート樹脂を前記の範囲よりも多く用いた場合、色相や機械的物性を低下させる可能性があるためである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物が含有するABS樹脂(B)は、芳香族ビニル単量体成分(b1)40〜80質量%、シアン化ビニル単量体成分(b2)10〜30質量%、ジエン系ゴム質重合体成分(b3)10〜30質量%及びその他の単量体成分(b4)0〜30質量%からなるABS樹脂(B)である。
芳香族ビニル単量体成分(b1)のABS樹脂(B)中の割合は、ABS樹脂(B)100質量%中、40〜80質量%の範囲であり、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは55質量%以上であり、好ましくは75質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは65質量%以下である。
シアン化ビニル単量体成分(b2)のABS樹脂(B)中の割合は、ABS樹脂(B)100質量%中、10〜30質量%の範囲であり、好ましくは12質量%以上、より好ましくは14質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、好ましくは28質量%以下、より好ましくは26質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。
その他の単量体成分(b4)のABS樹脂(B)中の割合は、ABS樹脂(B)100質量%中、0〜30質量%の範囲であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
ここで、ABS樹脂(B)中の、ジエン系ゴム質重合体成分(b3)の数平均粒径は、走査電子顕微鏡(SEM)により測定される。具体的には、本発明の熱可塑性樹脂組成物(ペレット)を株式会社日立ハイテクノロジー製走査電子顕微鏡「SU8020」を用い、印加電圧2.0kV、倍率10,000倍で観察される画像から300個の粒子の数平均粒径として定義される。
ABS樹脂(B)中の、ジエン系ゴム質重合体成分(b3)の数平均粒径は、130〜280nmであるものが好ましい。さらに、ABS樹脂(B)は、粒径1000nm以上のジエン系ゴム質重合体成分(b3)の割合が2%以下であることが好ましい。
なお、このようなABS樹脂(B)は、市販されているものの中から、適宜選択して使用することも可能である。
このように組み合わせる場合は、事前に溶融混練して得られたものを本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造時に用いてもよく、一括で本発明の樹脂組成物製造時に用いても良い。
上述のように組み合わせる場合は、得られる熱可塑性樹脂組成物中のABS樹脂が、芳香族ビニル単量体成分(b1)40〜80質量%、シアン化ビニル単量体成分(b2)10〜30質量%、ジエン系ゴム質重合体成分(b3)10〜30質量%及びその他の単量体成分(b4)0〜30質量%の範囲を満たせばよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、下記式(1)で表されるリン酸エステル化合物(C)を含有する。
トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート(EHDP)、tert−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス−(tert−ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス−(tert−ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ビス−(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート、トリス−(イソプロピルフェニル)ホスフェート等の芳香族リン酸エステル類;
レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェート(RDP)、レゾルシノールビス−ジキシレニルホスフェート(RDX)、ビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェート(BDP)、ビフェニルビス−ジフェニルホスフェート等の縮合リン酸エステル類;
等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、ポリカーボネート樹脂(A)、ABS樹脂(B)、リン酸エステル化合物(C)の含有割合は、ポリカーボネート樹脂(A)とABS樹脂(B)とリン酸エステル化合物(C)の合計100質量%基準で、ポリカーボネート樹脂(A)が60〜90質量%、ABS樹脂(B)が5〜20質量部、リン酸エステル化合物(C)は5〜20質量%である。
ポリカーボネート樹脂(A)が上記範囲を超えてABS樹脂(B)が少な過ぎると、熱可塑性樹脂組成物の成形加工性が低下し、ポリカーボネート樹脂(A)が60質量%より少なくABS樹脂(B)が多過ぎると、熱可塑性樹脂組成物の機械的強度、耐熱性、難燃性等が劣ることとなる。
好ましい含有割合は、ポリカーボネート樹脂(A)が63質量%以上、より好ましくは65質量%以上であり、85質量%以下、より好ましくは80質量%以下であり、ABS樹脂(B)は好ましくは8質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、好ましくは19質量%以下、より好ましくは18質量%以下である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、フルオロポリマー(D)を、ポリカーボネート樹脂(A)とABS樹脂(B)とリン酸エステル化合物(C)の合計100質量部に対し、0.01〜1質量部含有する。フルオロポリマー(D)は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ジエン系ゴムに芳香族ビニル化合物及び/又は(メタ)アクリル酸エステル化合物をグラフト重合したグラフト共重合体(E)を含有する。
これらの中でも、機械的特性や表面外観の面から、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
グラフト重合する(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸フェニル等を好ましく挙げることができる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物は、1種を単独で用いてもよく、または2種以上を混合して用いてもよい。
芳香族ビニル化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができ、また、(メタ)アクリル酸エステル化合物を併用することもできる。
なお、グラフト共重合体(E)は、前述のABS樹脂(B)とは異なるものが使用される。
このようなコア/シェル型グラフト共重合体において、ゴム成分を40質量%以上含有するものが好ましく、60質量%以上含有するものがさらに好ましい。また、芳香族ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸は、10質量%以上含有するものが好ましい。
共重合の方式は一段グラフトでも多段グラフトであってもよいが、多段グラフト共重合が好ましい。
ここで、グラフト共重合体(E)の数平均粒径は、走査電子顕微鏡(SEM)により測定され、具体的には、本発明の熱可塑性樹脂組成物(ペレット)を株式会社日立ハイテクノロジー製走査電子顕微鏡「SU8020」を用い、印加電圧2.0kV、倍率10,000倍で観察される画像から300個の粒子の数平均粒径として定義される。
グラフト共重合体(E)の数平均粒径は、130〜280nmであることが好ましく、150〜250nmであることがさらに好ましい。
なお、このようなグラフト共重合体(E)は、市販されているものの中から、適宜選択して使用することも可能である。
本発明において、グラフト共重合体(E)は、1種のみを含む態様に限定されず、例えば、モノマー組成や分子量が互いに異なる複数種のグラフト共重合体(E)を組み合わせて含む態様でもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、平均粒径が5〜15μmのタルク(F)を含有する。
平均粒径が5μm未満であると難燃性が悪くなり、平均粒径が15μmを超えると成形品の耐衝撃性が低下する。このようなタルク(F)としては、市販されているタルクから選択して使用可能である。タルク(F)の平均粒径は、6μm以上であることが好ましく、7μm以上であることがより好ましく、14μm以下であることがより好ましい。
ここでタルク(F)の平均粒径は、レーザー回折による粒度分布測定されたD50をいう。このような測定ができる装置としては、島津製作所社製「SALD−200V ER」型レーザー回折式粒度分布測定装置等が挙げられる。
タルク(F)の含有量は、好ましくは、ポリカーボネート樹脂(A)とABS樹脂(B)とリン酸エステル化合物(C)の合計100質量部に対し、0.6質量部以上、より好ましくは0.7質量部以上であり、また、好ましくは2.5質量部以下、より好ましくは2質量部以下である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、カーボンブラックを含有することが成形品の高級感の向上効果の点で好ましい。使用するカーボンブラックの製造方法、原料種等に制限はなく、従来公知の任意のもの、例えばオイルファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のいずれをも使用することができる。これらの中でも、着色性とコストの点から、オイルファーネスブラックが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、リン系安定剤を含有することが好ましい。リン系安定剤としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第2B族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられるが、有機ホスファイト化合物が特に好ましい。
このような、有機ホスファイト化合物としては、具体的には、例えば、ADEKA社製「アデカスタブ1178」、「アデカスタブ2112」、「アデカスタブHP−10」、城北化学工業社製「JP−351」、「JP−360」、「JP−3CP」、BASF社製「イルガフォス168」等が挙げられる。
なお、リン系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、フェノール系安定剤を含有することも好ましい。フェノール系安定剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
なお、フェノール系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
また、離型剤を含有することも好ましい。離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが好ましく挙げられる。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
なお、脂肪族炭化水素は、単一物質であってもよいが、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であれば使用できる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上述したもの以外にその他の成分を含有していてもよい。その他の成分の例を挙げると、ポリカーボネート樹脂(A)、ABS樹脂(B)及びグラフト共重合体(E)以外の樹脂、各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
その他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂等が挙げられる。
なお、その他の樹脂は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
樹脂添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、染顔料、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。なお、樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物に好適な添加剤の例について具体的に説明する。
紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化合物、シアノアクリレート化合物、トリアジン化合物、オギザニリド化合物、マロン酸エステル化合物、ヒンダードアミン化合物などの有機紫外線吸収剤などが挙げられる。これらの中では有機紫外線吸収剤が好ましく、ベンゾトリアゾール化合物がより好ましい。有機紫外線吸収剤を選択することで、本発明の熱可塑性樹脂組成物の透明性や機械物性が良好なものになる。
このようなベンゾトリアゾール化合物としては、具体的には例えば、シプロ化成社製「シーソーブ701」、「シーソーブ705」、「シーソーブ703」、「シーソーブ702」、「シーソーブ704」、「シーソーブ709」、共同薬品社製「バイオソーブ520」、「バイオソーブ582」、「バイオソーブ580」、「バイオソーブ583」、ケミプロ化成社製「ケミソーブ71」、「ケミソーブ72」、サイテックインダストリーズ社製「サイアソーブUV5411」、ADEKA社製「LA−32」、「LA−38」、「LA−36」、「LA−34」、「LA−31」、BASF社製「チヌビンP」、「チヌビン234」、「チヌビン326」、「チヌビン327」、「チヌビン328」等が挙げられる。
染顔料としては、例えば、無機顔料、有機顔料、有機染料などが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カドミウムレッド、カドミウムイエロー等の硫化物系顔料;群青などの珪酸塩系顔料;酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青などのフェロシアン系顔料などが挙げられる。
なお、染顔料は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する製造方法には制限はなく、公知の熱可塑性樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。
具体例を挙げると、ポリカーボネート樹脂(A)、ABS樹脂(B)、リン酸エステル化合物(C)、フルオロポリマー(D)及びグラフト共重合体(E)、並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。
また、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによって本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、分散し難い成分を混合する際には、その分散し難い成分を予め水や有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散させ、その溶液又は分散液と混練するようにすることで、分散性を高めることもできる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、UL94試験において、1.2mm厚さにおけるUL94試験による難燃性が、好ましくはV−0という極めて高い難燃性を有する。
さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、UL94試験において、1.5mm厚さにおける難燃性が5VAまたは5VBであって、かつ1.2mm厚さにおける難燃性がV−0であることも好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、通常、任意の形状に成形して成形体(樹脂組成物成形体)として用いる。この成形体の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形体の用途に応じて任意に設定すればよい。
得られた本発明の成形体は、難燃性、耐衝撃性及び外観に優れる。
[樹脂ペレット製造]
表1に記した各成分のうちC以外を、表4〜7に記した割合(質量比)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30α)に上流のフィーダーより供給し、さらにC成分をバレルの途中より供給しながら、回転数250rpm、吐出量45kg/時間、バレル温度260℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、樹脂組成物のペレットを得た。
上述の製造方法で得られたペレットを80℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業社製のSE100DU型射出成形機を用いて、シリンダー温度240℃、金型温度40℃の条件で射出成形し、長さ125mm、幅13mm、厚さ1.5mm及び1.2mmのUL試験用試験片を成形した。
同様に上述の製造方法で得られたペレットを80℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業社製の射出成型機サイキャップM−2(型締め力75T)を用いて、シリンダー温度240℃、金型温度60℃の条件で射出成形し、ISO多目的試験片(4mm)及び、240℃成形ISO多目的試験片(3mm)を成形した。
またシリンダー温度260℃、金型温度60℃の条件で射出成形し、260℃成形ISO多目的試験片(3mm)を成形した。
各樹脂組成物の難燃性の評価は、上記で得られたUL試験用試験片(1.5mm厚及び1.2mm厚)を、温度23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間調湿し、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)が定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)の94−5V規格、並びに94−V規格に準拠して行った。
94−5V試験では、1.5mm厚のUL試験用試験片(棒状と板状の2種)を用いて、5秒間×5回接炎した後の棒状試験片の残炎時間、ドリップ性、板状試験片の貫通孔の有無から難燃性を評価する方法で、判定基準は表2に従う。5VA、5VBのいずれの判定基準も満たさないものはNRと表記した。
表4〜7中、「1.5mmUL難燃性」と表記する。
上述の方法で得られた240℃成形ISO多目的試験片(3mm)及び260℃成形ISO多目的試験片(3mm)を用い、ISO179に準拠してノッチ付シャルピーを測定し評価した。なお、表4〜7中、それぞれ「240℃耐衝撃性(単位:kJ/m2)」、「260℃耐衝撃性(単位:kJ/m2)」と表記する。
また「240℃耐衝撃性」の値を100としたときの、「260℃耐衝撃性」の割合(%)を、「耐衝撃性保持率(単位:%)」として求めた。この値が、大きい方が、高温成形でも物性低下が少なく、大型、薄型の成形品を成形する場合に、物性低下が小さく、設計しやすいことを意味し、好ましい。
図1は外観評価のために成形した平板状成形体の形状を示す上面図(表側の意匠面から見た図)である。平板状成形体は、長さ200mm×幅150mm×厚さ2mmの長方形状の平板である。成形は平板状成形体の右側端部に設けたゲートから樹脂を注入して行う。平板状成形体の裏面側には、樹脂の流動方向に長さ30mm、厚さ1.1mmで高さ5mmのリブが、図1に示す位置(図中の数値はmm)に、3つ互いに平行に設けられ、さらに樹脂流動方向に直交する方向に、長さ100mm、厚さ1.1mmで高さ5mmのリブが平板状成形体の裏面側に1つ設けられている。
上述の製造方法で得られたペレットを80℃で5時間乾燥させた後、東芝機械社製のEC160型射出成形機を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度40℃の条件で射出成形し、上記平板状成形体を成形し、樹脂の流動方向に直行するリブを通過し、さらに流動方向に設けた3つのリブ通過後の意匠面(図1の3つの流動方向リブの左側部)に発生した筋状の外観不良の数を目視で観察し、筋状外観不良の数が、0〜3つのものを「合格」とし、4つ以上のものを「不合格」と評価した。
また、グラフト共重合体(E)の含有量が少ない比較例3は耐衝撃性が悪く、含有量が多すぎる比較例4では外観が悪化している。タルク(F)の含有量が少な過ぎる比較例5では、1.2mmUL難燃性はV−1であり難燃性が悪化している。
さらに、比較例6は、タルク(F)の含有量が大きいため耐衝撃性が悪く、タルクの粒径が小さいものを含有する比較例7〜8では、難燃性が悪くなり、タルクの粒径が大きすぎるものを含有する比較例9では、耐衝撃性が悪化することが分かる。
したがって、上記の実施例及び比較例から、難燃性、耐衝撃性及び外観に優れるという効果は、本発明の構成によりはじめて得られるものであることが確認された。
Claims (11)
- ポリカーボネート樹脂(A)60〜90質量%と、芳香族ビニル単量体成分(b1)40〜80質量%、シアン化ビニル単量体成分(b2)10〜30質量%、ジエン系ゴム質重合体成分(b3)10〜30質量%及びその他の単量体成分(b4)0〜30質量%からなるABS樹脂(B)5〜20質量部、並びに下記式(1)で示されるリン酸エステル化合物(C)5〜20質量%からなる基体樹脂100質量部に対して、
フルオロポリマー(D)0.01〜1質量部、ジエン系ゴムに芳香族ビニル化合物及び/又は(メタ)アクリル酸エステル化合物をグラフト重合したグラフト共重合体(E)1〜3.5質量部、平均粒径が5〜15μmのタルク(F)0.5〜3質量部を含有し、
ABS樹脂(B)中の、ジエン系ゴム質重合体成分(b3)の数平均粒径が100〜350nmであり、かつグラフト共重合体(E)の数平均粒径が100〜350nmであることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
- ABS樹脂(B)中の、ジエン系ゴム質重合体成分(b3)の数平均粒径が130〜280nmである請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- グラフト共重合体(E)の数平均粒径が130〜280nmである請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ABS樹脂(B)は、粒径1000nm以上のジエン系ゴム質重合体成分(b3)の割合が2%以下である請求項1〜3の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- タルク(F)の平均粒径が7〜14μmである請求項1〜4の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- グラフト共重合体(E)に対するABS樹脂(B)の質量比((B)/(E))が4〜25である請求項1〜5の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- タルク(F)に対するグラフト共重合体(E)の質量比((E)/(F))が1.4〜5である請求項1〜6の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 1.5mm厚におけるUL94による難燃性が5VAまたは5VBである請求項1〜7の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 1.2mm厚におけるUL94による難燃性がV−0である請求項1〜8の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜9の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
- プリンター、複写機、プロジェクター、モデム及びルーターから選ばれる少なくとも1種のOA機器の筐体である請求項10に記載の成形体。
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