JP2015020088A - 石炭粉末の分級方法及び分級システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、石炭粉末を落下させる工程、石炭粉末の落下途中において風を吹き当てる工程、及び石炭粉末を落下位置に応じて回収する工程を備え、粒子径が75μm以下の粉末の割合が落下前の石炭粉末よりも低い石炭粗粉を回収する石炭粉末の分級方法である。落下工程において、石炭粉末が落下開始時に水平方向の速度成分を有し、風吹き当て工程において、風の向きが石炭粉末の落下開始時における水平方向の速度成分の向きと対向するとよい。上記風の速度から石炭粉末の落下開始時における水平方向の速度を引いた相対速度としては0.5m/s以上10m/s以下が好ましい。石炭粉末の落下開始位置と石炭粉末への風の吹き当て位置との高低差としては10mm以上350mm以下が好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明に用いる石炭粉末としては、特に限定されず、例えば粒子径が10mm以下の粒子からなる石炭粉末を用いることができる。また、石炭の種類も特に限定されないが、褐炭や亜瀝青炭等の低品位炭を乾燥し高品質化した改質低品位炭に対し、本発明はその効果を好適に発揮できる。つまり、改質低品位炭は、通常の石炭に比べ脆い性質を有しているため発塵の抑制がより重要であり、当該石炭粉末の分級方法を用いて分級することでより効果的に発塵を低減させることができる。
落下工程において、石炭粉末を傾斜板1から自然落下させる。このとき、傾斜板1の傾斜角度によって石炭粉末には落下開始時に水平方向の速度が付与される。上記傾斜板1は、傾斜して配置した板のほかに、石炭粉末に水平方向の速度を与えるコンベア等を用いることができる。コンベアを用いる場合は傾斜配置する必要はないが、傾斜して配置してもよい。なお、石炭粉末に鉛直方向の速度を付与して落下させてもよいが、石炭粉末が回収パン3に到達するまでの時間が短くなることで分級効果が不十分となるおそれがあるため、自然落下させることが好ましい。
風吹き当て工程において、上記落下工程で落下させた石炭粉末の落下途中において送風機2によって風を吹き当てる。この風の向きは特に限定されないが、分級効果を高める観点から水平方向と平行な向きが好ましい。また、上記風の水平面内での向きは、上記石炭粉末の落下開始時における水平方向の速度成分の向きと同一の向き又は対向する向きが好ましく、上記石炭粉末の落下開始時における水平方向の速度成分の向きと対向する向きがより好ましい。このような向きで落下途中の石炭粉末に上記風を当てることで、石炭粉末の粒子径ごとの落下位置の差異を大きくすることができ、より確実に発塵性の低い石炭粗粉を回収することができる。
回収工程において、上記落下工程及び風吹き当て工程を経た石炭粉末を落下位置に応じて回収する。具体的には、図1に示すように石炭粉末の落下開始位置の下方でかつ落下開始位置よりも送風機2側の領域に回収パン3を敷設し、この回収パン3に落下した石炭粉末を回収することで、粒子径が75μm以下の粉末の割合が小さく発塵性の低い石炭粗粉を容易かつ確実に回収できる。
当該石炭粉末の分級方法においては、落下途中の石炭粉末に風を吹き当てることで石炭粉末がその粒子径ごとに異なる位置に落下する。つまり、発塵を発生させやすい粒子径が75μm以下の微細な石炭粉末は、風によって飛翔し風の供給点から遠方に落下するため、風の供給点に近い落下位置で石炭粉末を選別回収することで、この粒子径が75μm以下の粉末の割合を低減した石炭粗粉を容易に回収することができる。その結果、当該石炭粉末の分級方法は、石炭粉末の発熱量を低減することなく、簡易な設備で発塵性の低い石炭粉末である石炭粗粉を得ることができる。
本発明の石炭粉末の分級方法及び分級システムは、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、石炭粉末が落下開始時に水平方向の速度成分を有するように石炭粉末を落下させたが、石炭粉末が落下開始時に水平方向の速度成分を実質的に有さないように落下させてもよい。つまり、石炭粉末を略鉛直方向、すなわち鉛直方向に対する角度が−5度以上5度以下の方向に自然落下させてもよい。ただし、分級効果向上の観点からは、石炭粉末が落下開始時に水平方向の速度成分を有するように石炭粉末を落下させることが好ましい。
図1に示す装置を用いて、石炭粉末の分級を行った。以下、用いた石炭粉末及び各工程を詳説する。
落下させる石炭粉末としては改質褐炭(UBC)を用いた。改質褐炭とは、改質低品位炭の1つであり、褐炭を乾燥(脱水)したもののことをいい、本実施では水分が7.0質量%含まれる改質褐炭を使用した。
上記石炭粉末2kgを表面にガイドを有する傾斜板上から10秒で自然落下させた。石炭粉末の落下開始位置となる傾斜板表面の下端の回収パン接地面からの高さが1000mmとなる位置に上記傾斜板を設置し、傾斜板の水平面に対する傾斜角は25°とした。落下開始位置における上記石炭粉末の水平方向の速度は約0.3m/sである。
出力24W、送風口が高さ350mm、幅850mmの矩形状である送風機を用い、落下開始位置における石炭粉末の水平方向の速度成分の向きと対向する向きで風を落下途中の石炭粉末に吹き当てた。送風機の風力切り替えスイッチと送風機の位置で各実施例において風の速度を調整した。なお、風の速度は風速計(株式会社カスタムの「CUSTOM WS−01)を用いて測定した。各実施例において、石炭粉末の落下開始位置(傾斜板表面の下端)と石炭粉末への上記風の吹き当て位置との高低差h2及び風の速度は、それぞれ表1に示す値とした。
図1に示すように石炭粉末の落下開始位置の下方でかつ落下開始位置よりも送風機側の領域に回収パンを敷設し、回収パンに落下した石炭粉末を石炭粗粉として回収した。また、石炭粗粉用の回収パンより風下側に落下した石炭粉末(石炭微粉)も同じ大きさの石炭微粉用の回収パンにより回収した。なお、石炭粗粉用の回収パンは、その一端が石炭粉末の落下開始位置の略真下に位置するように敷設した。また、石炭粗粉用の回収パンの石炭粉末に当てる風の方向(図中左右方向)の幅は550mmとした。
実施例1〜14で用いた石炭粉末を分級することなく、そのまま石炭粗粉として回収した。
実施例1〜14及び比較例1で回収した上記石炭粗粉及び石炭微粉についてそれぞれ質量を測定した後、JIS Z8801−1(2006)に準拠した目開き75μmの金属製篩を用いて、それぞれ篩い分けを行った。篩を通過した石炭粉末を粒子径75μm以下の石炭粉末として、上記石炭粗粉における粒子径75μm以下の石炭粉末の割合、及び上記石炭微粉における粒子径75μm以下の石炭粉末の割合を質量%にて求めた。また、上記石炭粗粉の分級前の石炭粉末に対する質量割合(回収率)をW1、上記石炭粗粉中の粒子径75μm以下の石炭粉末の質量割合をw1、上記石炭微粉中の粒子径75μm以下の石炭粉末の質量割合をw2とした場合、{(100−W1)×w2}/{(100−W1)×w2+W1×w1}で得られる値を、石炭粗粉に対する粒子径75μm以下の石炭粉末の除去率として求めた。これらの結果を表1に示す。なお、上記回収率は、利用可能な石炭粉末を有効に回収できているかどうかの指標となる。
上記実施例5〜7及び比較例1について、回収した石炭粗粉の粒度分布を求めた。粒度分布は、目開きがそれぞれ2.00mm、1.00mm、500μm、250μm、150μm、75μmのJIS Z8801−1(2006)に準拠した金属製篩を用いることで篩い分けし、篩い分けられた石炭粉末の質量をそれぞれ測定することで求めた。これらの結果を表2に示す。
実施例15〜19は、石炭粉末の落下開始位置(傾斜板表面の下端)と石炭粉末への上記風の吹き当て位置との高低差h2及び風の速度をそれぞれ表3に示す値とした以外は実施例1〜14と同様の条件で、落下工程、風吹き当て工程及び回収工程を表3に記載の回数繰り返し、石炭粗粉を回収した。例えば実施例15では、実施例1で回収した石炭粗粉を用いて同じ条件で落下工程、風吹き当て工程及び回収工程を再度行った。回収した石炭粗粉に対し、上記評価1と同様の評価を行った。これらの結果を表3に示す。
上記実施例1〜14で用いた装置を用いて、表4に示す風の向き及び速度で石炭粉末を分級し、石炭粉末の落下開始位置よりも風下に設置した回収パンにて回収した石炭微粉中の粒径が0.5mm以下の粉末の質量割合を求めた。石炭粉末の落下開始位置(傾斜板表面の下端)と石炭粉末への上記風の吹き当て位置との高低差h2は225mmとした。この結果を表4に示す。なお、表中の「向かい風」とは、実施例1〜14と同様に落下開始位置における石炭粉末の水平方向の速度成分の向きと対向する向きに風を吹き当てたことを意味し、「追い風」とは、上記速度成分の向きと同一の向きに風を吹き当てたことを意味し、「横風」とは、上記速度成分の向きと同一水平面内で直角な向きに風を吹き当てたことを意味する。
2 送風機
3 回収パン
4 微粉回収手段
11、13 ベルトコンベア
Claims (7)
- 石炭粉末を落下させる工程、
上記石炭粉末の落下途中において風を吹き当てる工程、及び
上記石炭粉末を落下位置に応じて回収する工程
を備え、粒子径が75μm以下の粉末の割合が落下前の上記石炭粉末よりも低い石炭粗粉を回収する石炭粉末の分級方法。 - 上記落下工程において、石炭粉末が落下開始時に水平方向の速度成分を有し、
上記風吹き当て工程において、上記風の向きが上記石炭粉末の落下開始時における水平方向の速度成分の向きと対向する請求項1に記載の石炭粉末の分級方法。 - 上記風の速度から上記石炭粉末の落下開始時における水平方向の速度を引いた相対速度が0.5m/s以上10m/s以下である請求項2に記載の石炭粉末の分級方法。
- 上記石炭粉末の落下開始位置と石炭粉末への上記風の吹き当て位置との高低差が10mm以上350mm以下である請求項2又は請求項3に記載の石炭粉末の分級方法。
- 上記落下工程、風吹き当て工程及び回収工程を複数回繰り返す請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の石炭粉末の分級方法。
- 上記石炭粉末が改質低品位炭粉末である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の石炭粉末の分級方法。
- 石炭粉末を落下させる装置、
落下途中の上記石炭粉末に風を吹き当てる装置、及び
上記石炭粉末を落下位置に応じて回収する装置
を備え、粒子径が75μm以下の粉末の割合が落下前の上記石炭粉末よりも低い石炭粗粉を回収する石炭粉末の分級システム。
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