JP2015016195A - トレーニングツール - Google Patents
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Abstract
Description
A:膝が曲がった状態で着地すること
B:「もも前の筋肉」である大腿四頭筋を無駄に使用すること
C:体幹が後に残ってしまい、腰がスムーズに運ばれないこと
D:腰の位置が上下動すること
大腿四頭筋は、いわゆる「脚のばね」としての筋力を生み出すものであるが、図8(a)に示すように、左脚の膝関節を屈曲させた状態で着地し、大腿四頭筋を、体重を支えるためのばねとして使用すると、これがスピードを鈍らせるブレーキとなってしまう。
図8(b)に示すように、左脚の大腿四頭筋を使って、股関節及び膝関節を伸展させ、これと同時に、右脚の大腿四頭筋を使って、股関節を屈曲させて太腿を上げている。両脚の大腿四頭筋を同時に無駄に使用するため、スピードと切れが鈍ってしまう。
図8(c)に示すように、体幹が後ろに残ってしまうのは、右脚の股関節及び膝関節を屈曲させた状態で着地しようとするからであり、同図(a)の着地の際に、大腿四頭筋で体重を支えようとすることが原因である。
図8(a)〜(c)に示すように、走行中の腰の位置が上下するのも、着地及び前進の際に、大腿四頭筋のばねを使って、股関節や膝関節を屈曲及び伸展させることが原因である。
後に、図7(a)〜(c)を参照しつつ説明するが、同書「ワールドクラスになるためのサッカートレーニング」では、「もも前の筋肉」である大腿四頭筋を無駄に使用せず、「もも裏の筋肉」であるハムストリングスを利かせた「もも裏走り」が、最も効率の良い走り方であると記載している。
まず、本発明の第1実施形態として、バンド形態のトレーニングツールについて、図1〜図5を参照しつつ説明する。
図1において、本実施形態のトレーニングツール1は、一本のバンド部材10の両端部をバックル20で連結して一つの大きな環状とするとともに、この大きな環状としたバンド部材10の左右2箇所を交差させて全体を大小三つの環状とし、左右2箇所の交差部を一対の止めゴム30、30で固定した構成としてある。
図1において、バンド部材10は、伸縮性を有する1本の帯状体であり、例えば、長さ方向の縦糸(経糸)及び糸ゴムに、横糸を織り込んだ構成の平織りゴムを使用する。バンド部材10の横幅は、特に限定されるものではないが、横幅を広くするほど身体に密着したときの圧力を分散させることができ、本トレーニングツール1の装着感を向上させることが可能となる。
図2(a)は、トレーニングツール1の第1環状部11の拡大図である。同図(a)に示すように、1本のバンド部材10の両端部は、第1環状部11の背面側に取り回され、これら両端部のそれぞれに、合成樹脂製の雄バックル21及び雌バックル22が取り付けてある。
図2(a)に示すように、本実施形態の止めゴム30、30は、円形のゴム板に複数のスリットを放射状に設けた構成となっている。各止めゴム30のスリットには、1本のバンド部材10の中央部及び両端部が交差して挿通される。各止めゴム30は、ゴムの収縮性と摩擦力とによって、スリットに挿通されたバンド部材10を固定している。
図2(a)に示すように、第1環状部11の正面側には、軟質の衣類用反射材からなる帯状のリフレクターライン40が縫着してある。リフレクターライン40として用いる衣類反射材としては、例えば、反射膜の表面に球状のレンズを装着した露出レンズ型、球状レンズの上部に保護膜を被せた封入レンズ型、球状レンズと保護膜との間に空気層を設けたカプセルレンズ型、プリズム素子を用いたプリズムレンズ型、フルキューブ素子を用いたカプセルプリズム型など、種々タイプの軟質の衣類用反射材を適用することができる。このようなリフレクターライン40を、第1環状部11の正面側に設けることにより、夜間のジョギング、ウォーキング、その他、本トレーニングツール1を用いた路上でのトレーニングを安全に行うことが可能となる。
図2(b)に示すように、各足掛けストラップ50、50は、第2及び第3環状部12、13に鎖状に連結してあり、第2及び第3環状部12、13に対して自由に動くことができる。このような足掛けストラップ50、50は、第2及び第3環状部12、13を使用者の両脚にそれぞれ巻着した後、足裏に掛けることで、第2及び第3環状部12、13の下端部における固定点となる。
次に、上述した本トレーニングツール1の装着手順について、図3(a)、(b)、図4(a)、(b)及び図5(a)〜(c)を参照しつつ説明する。
図3(a)において、既に述べたとおり、本トレーニングツール1を装着する際に、まず、使用者は、第1環状部11を腰周りに宛がい、雄バックル21及び雌バックル22を係合させ、後ろ手でバンド部材10の両端部を引っ張る。これにより、第1環状部11の長さが使用者の腰周りのサイズに適合し、第1環状部11の装着が完了する。
次いで、第2及び第3環状部12、13を、使用者の脚の長さに適合した長さに調整する。第2及び第3環状部12、13の最適な長さの目安として、例えば、図3(a)に示すように、第1環状部11を装着した状態において、足掛けストラップ50、50が床面の上で真横になるような長さにするとよい。このような方法によれば、第2及び第3環状部12、13を、使用者の脚の長さとほぼ同じ長さに簡単に調整することができ、第2及び第3環状部12、13を使用者の脚に巻着したときに、脚を屈曲させるための適度な収縮力を得ることができる。
次いで、第2及び第3環状部12、13を使用者の両脚にそれぞれ巻着する。例えば、図3(b)に示すように、まず、第2及び第3環状部12、13を骨盤の表側及び裏側で襷掛けにする(骨盤の裏側については、図5(c)を参照)。すなわち、第2環状部12を、図中の右側から上半身を潜らせて左側へ回動させる。これと同様に、第3環状部13を、図中の左側から上半身を潜らせて右側へ回動させる。これにより、第2及び第3環状部12、13を骨盤の前で襷掛けにすることができる。
次に、本トレーニングツール1が使用者の下半身に及ぼす収縮力について、図5(a)〜(c)を参照しつつ説明する。
図5(a)に示す骨盤交差部CR1は、腰周りに装着した第1環状部11の左右両側から骨盤の前方へ延びており、その収縮力が、使用者の骨盤を前方(厳密には前傾方向)へ付勢して中間位(床に対して垂直なニュートラルポジション)に位置させる。このような骨盤交差部CR1の収縮力により、使用者の体幹が脚に乗り、運動中の腰の運びがスムーズになるという効果を奏する。また、使用者の骨盤を前方へ付勢することで、体幹の深層筋(インナーマッスル)である複横筋、多列筋、横隔膜、骨盤底筋群の働きが促進される効果も奏する。
図5(a)、(b)に示す太腿交差部CR2は、骨盤交差部CR1と相俟って、使用者の股関節を屈曲させる収縮力を働かせる。このような太腿交差部CR2の収縮力により、無駄な力を使わずに股関節を屈曲させることができるようになり、大腿四頭筋を無駄に使用せずに脚を屈曲させるトレーニングを行うことが可能となる。また、股関節を屈曲させる収縮力が、股関節を伸展させる筋肉であるハムストリングスに負荷を与え、ハムストリングスを刺激するので、歩行やランニングなどの下半身の運動をする際はもちろん、単に、脚を伸ばして直立しているだけでも、ハムストリングスを意識しながら鍛えることが可能となる。また、ハムストリングスと共同して体幹の筋肉が働く効果も奏する。
図5(b)、(c)に示す膝裏交差部CR3は、太腿交差部CR2と相俟って、使用者の膝関節を屈曲させる収縮力を働かせる。このような膝裏交差部CR3の収縮力により、無駄な力を使わずに膝関節を屈曲させることができるようになり、大腿四頭筋を無駄に使用せずに脚を屈曲させるトレーニングを行うことが可能となる。
図5(b)に示すように、足掛けストラップ50には、常に、膝裏交差部CR3の収縮力が作用しており、この足掛けストラップ50が掛けられた足裏の土踏まず付近に位置する立方骨及び舟状骨を引き上げる。この結果、足裏アーチを引き上げる後脛骨筋、長腓骨筋の働きが促進される効果を奏する。
以上、本発明の第1実施形態として、バンド形態のトレーニングツール1について説明したが、本発明はバンド形態に限定されるものではない。例えば、図6に示すように、本発明のトレーニングツール2は、ウェア形態であってもよい。
次に、本トレーニングツールを下半身の運動に適用した場合の作用効果について、図7(a)〜(c)を参照しつつ説明する。
図7(a)〜(c)の実線矢印に示すように、走行中の使用者の下半身には、常に、本トレーニングツールによる関節を屈曲させる方向の収縮力が及ぶ。このため、股関節及び膝関節を曲げるときには、本トレーニングツールの収縮力に任せればよいので、無駄な力を使わずに股関節を屈曲させることができ、大腿四頭筋を無駄に使用せずに脚を屈曲させるトレーニングを行うことが可能となる。その一方で、本トレーニングツールの収縮力は、常に、股関節を伸展させるハムストリングスに負荷を掛け、ハムストリングスを刺激するので、使用者は、ハムストリングスを意識しながら走ることが可能となる。これに加えて、本トレーニングツールの収縮力が、常に、使用者の骨盤を前方へ付勢して中間位(床に対して垂直なニュートラルポジション)に位置させるので、使用者の体幹が脚に乗り、運動中の腰の運びがスムーズになる。
まず、図7(a)に示すように、使用者は、本トレーニングツールの収縮力に逆らってハムストリングスを利かせ、左足の膝を伸ばして着地する。これにより、使用者の体幹が脚に乗り、腰の運びがスムーズになる。このとき、本トレーニングツールの収縮力が、使用者の骨盤を前方へ付勢して、使用者の体幹が脚に乗るのをサポートする。一方、使用者は、右脚に無駄な力を入れず、腸腰筋と本トレーニングツールの収縮力とを使って、右脚を前方へ強くスイングさせる。
次いで、図7(b)に示すように、使用者は、図7(a)の走行ステップにおいて、ハムストリングスを利かせて伸ばした左脚で地面からの反発力を受け、この反発力を前方への推進力として利用する。一方、使用者は、右脚に無駄な力を入れず、腸腰筋と本トレーニングツールの収縮力とを使って、右脚を更に前方へ運ぶ。このように、本トレーニングツールを用いることで、ハムストリングスを積極的に使用し、大腿四頭筋の無駄な使用をなくすことができるので、走りのスピードと切れが保たれる。
最後に、図7(c)に示すように、使用者の左脚は後方へ、右脚は前方へ、それぞれ強くスイングされ、両脚の足裏が共に地面から離れた状態になる。図7(a)、(b)の両ステップにおいて、使用者は、膝を曲げて着地したり、膝を伸ばして地面を押したりしていないので、図7(a)〜(c)を通じて、腰の位置が安定し高重心が保たれる。
以上のように、本トレーニングツールを用いれば、大腿四頭筋の無駄な使用をなくし、ハムストリングスを利かせた効率の良い下半身の運動を身体に教示することができる。すなわち、本トレーニングツールを装着して、毎日の歩行やランニングを行い、又は単に日常生活を営むことで、ハムストリングスを鍛えることができるとともに、大腿四頭筋の無駄な使用を意識して抑えることができ、効率の良い下半身の運動を身体に覚えさせることが可能となる。そして、効率の良い下半身の運動を身体に覚えさせれば、本トレーニングツールの非装着時において、下半身を動作させるときの無駄な力が抜けて、効率良く力を発揮させることができ、脚全体が軽くなった感覚を体幹することができる。
本発明のトレーニングツールは、上述した第1及び第2実施形態に限定されるものではない。例えば、図1〜図5に示したバンド部材10、バックル20、止めゴム30、リフレクターライン40、足掛けストラップ50は、本発明のトレーニングツールの一例であり、本発明の作用効果を奏する範囲内で変更、省略が可能である。また、図6に示したウェア形態のトレーニングツールも一例であり、第1〜第3帯状体11〜13の幅やパターンは、本発明の作用効果を奏する範囲内で変更、省略が可能である。
10 バンド部材
11 第1環状部(第1帯状体)
20 バックル
21 雄バックル
22 雌バックル
30 止めゴム
40 リフレクターライン
12 第2環状部(第2帯状体)
13 第3環状部(第3帯状体)
50 足掛けストラップ
51 縫着部
CR1 骨盤交差部
CR2 太腿交差部
CR3 膝裏交差部
Claims (8)
- 人の下半身に装着するトレーニングツールであって、
腰周りに位置する略環状の第1帯状体と、
前記第1帯状体に連続し、骨盤の表側を斜めに通過して、一方の脚における大腿の表側及び膝の裏側でそれぞれ交差し、脛の表側を通って足首の方向に延びる第2帯状体と、
前記第1帯状体に連続し、骨盤の表側を斜めに通過して前記第2帯状体と交差するとともに、他方の脚における大腿の表側及び膝の裏側でそれぞれ交差し、脛の表側を通って足首の方向に延びる第3帯状体と、を備え、
前記第1、第2及び第3帯状体が腰から両脚にわたる収縮力を与える、
ことを特徴とするトレーニングツール。 - 伸縮自在なバンド部材からなり、
前記第1帯状体を形成する中央の第1環状部と、
前記第1環状部の一側に連続し、前記第2帯状体を形成する第2環状部と、
前記第1環状部の他側に連続し、前記第3帯状体を形成する第3環状部と、を備えた請求項1に記載のトレーニングツール。 - 前記バンド部材が1本からなり、長さを調整するためのバックル部を介して、前記バンド部材の両端を互いに連結させた請求項2に記載のトレーニングツール。
- 前記バンド部材を挿通保持することが可能な止めゴムを備え、前記第1環状部と前記第2環状部との境界部分、及び前記第1環状部と前記第3環状部との境界部分を、前記止めゴムによってそれぞれ保持した請求項2又は3に記載のトレーニングツール。
- 前記第2及び第3環状部に、それぞれ足裏に掛かる足掛け用ストラップ部を設けた請求項2〜4のいずれか1項に記載のトレーニングツール。
- 前記足掛け用ストラップが平面の帯状体からなり、前記帯状体の両端部の表面どうし又は裏面どうしを対面させて接合し、前記足掛け用ストラップが脛に面接触するようにした請求項5に記載のトレーニングツール。
- 前記第2及び第3環状部を、脛の表側でそれぞれ交差させて小環を形成し、各小環をそれぞれ足裏に掛ける請求項2〜4のいずれか1項に記載のトレーニングツール。
- 腰から脚にフィットする伸縮性の素材からなるアウターウェア又はアンダーウェアに、前記第1、第2及び第3帯状体を縫着し又は繊維中に編み込んだ請求項1に記載のトレーニングツール。
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