以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施例1)
本発明の実施例1に関する冷蔵庫を、図1から図11を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例1に関する冷蔵庫の正面図である。図2は、図1のA−A断面図である。実施例1の冷蔵庫1は、貯蔵室として上方から冷蔵室2、製氷室3と上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6を備えている。製氷室3と上段冷凍室4は左右に配置されている。なお製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5は合わせて冷凍室60と呼ぶ。冷蔵室2は前面側に左右に分割された観音開きの冷蔵室扉2a、2bを備え、製氷室3と、上段冷凍室4と、下段冷凍室5と、野菜室6は、それぞれ引き出し式の製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a、野菜室扉6aを備えている。
冷蔵庫1は、開閉状態をそれぞれ検知する扉センサ(図示せず)や、冷蔵室2や野菜室6の温度設定や冷凍室60の温度設定をする温度設定器(図示せず)等を備えている。冷蔵室扉2a、2bを回動可能にするために、冷蔵庫1に固定する扉ヒンジ(図示せず)が冷蔵庫1の本体上部に設けてあり、扉ヒンジは扉ヒンジカバー39で覆われている。扉ヒンジカバー39の内部には貯蔵室外の温度及び湿度を検知する外気温度センサ37、外気湿度センサ38を設けている。
冷蔵庫1の貯蔵室内と貯蔵室外は、外箱1aと内箱1bの間に、一例として発泡ウレタンの発泡断熱材を充填することにより形成された断熱箱体10によって隔てられている。なお、貯蔵室に連通する蒸発器収納室8も内部が外部に対して断熱箱体10によって隔てられている。また、冷蔵庫1の断熱箱体10の内部には真空断熱材26を実装している。
冷蔵庫1の各貯蔵室は、冷蔵室−冷凍室仕切り壁28により、冷蔵室2と冷凍室60とが隔てられ、冷凍室−野菜室仕切り壁29により、冷凍室60と野菜室6とが隔てられている。製氷室3、上段冷凍室4、及び下段冷凍室5の各貯蔵室間を隔てる仕切りは設けられていないが、扉3a、4a、5aの隙間から貯蔵室外への冷凍室60内空気の漏れを防止する冷凍室間仕切り壁30が備えられている。これらの仕切り壁28、29、30により形成される冷凍室60の開口縁と、扉3a、4a、5aにより、冷凍室60と貯蔵室外とを隔てている。
冷蔵室2には、扉2a、2bの貯蔵室側に設けられた扉ポケット32と、冷蔵室2内を複数の貯蔵空間に区画する棚40を、それぞれ複数備えている。また冷蔵室2の下部には、内部を減圧することにより食品の保存性を高めている減圧貯蔵室20を備えている。
上段冷凍室4、下段冷凍室5及び野菜室6には、それぞれ各貯蔵室の前方に備えられた扉と一体に引き出される収納容器4b、5b、6bを設けており、各扉の取手部(図示せず)に手を掛けて手前側に引き出すことにより収納容器4b、5b、6bを引き出せるようになっている。製氷室3も同様に、製氷室扉3aと一体に引き出される収納容器3bを設け、製氷室扉3aの取手部(図示せず)に手を掛けて手前側に引き出せるようになっている。
後述する蒸発器7及び各貯蔵室の温度は、蒸発器7の上部に設けた蒸発器温度センサ36、冷蔵室2に設けた冷蔵室温度センサ33、野菜室6に設けた野菜室温度センサ34、下段冷凍室5に設けた冷凍室温度センサ35により検知している。さらに、前述のように、冷蔵庫1は貯蔵室外の温度と湿度を検知する外気温度センサ37と外気湿度センサ38も備えている。
冷蔵庫1の天井壁面にはCPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御装置の一例である制御基板31を配置している。制御基板31は、外気温度センサ37、外気湿度センサ38、蒸発器温度センサ35、冷蔵室温度センサ33、野菜室温度センサ34、冷凍室温度センサ35、各扉の開閉状態をそれぞれ検知する前述した扉センサ(図示せず)等と接続されている。前述のCPUは、これらの出力値と前述のROMに予め記録したプログラムを基に、後述する圧縮機24や貯蔵室内ファン9のON/OFFや回転速度(時間当たりの回転数)等の制御、三方弁110、二方弁100の制御、冷蔵室ダンパ50、野菜室ダンパ(図示せず)、及び冷凍室ダンパ52を個別に開閉させるそれぞれのステッピングモータ(図示せず)の制御等を行っている。
冷蔵庫1内の空気を冷却する蒸発器7は、冷凍室60と断熱箱体10の背面壁との間に形成された蒸発器収納室8に備えられている。蒸発器7と熱交換して冷やされた空気は、蒸発器7の上方に設けられた貯蔵室内ファン9により、冷蔵室ダクト11を介して冷蔵室2に送られ、野菜室ダクト(図示せず)を介して野菜室6に送られる。同様に、蒸発器7で冷やされた空気は、冷凍室ダクト13を介して製氷室3と、上段冷凍室4と、下段冷凍室5の各貯蔵室へ送られる。各貯蔵室への送風は、各貯蔵室に設けた温度センサ33、34、35と連動して、冷蔵室ダンパ50、野菜室ダンパ(図示せず)、冷凍室ダンパ52の開閉により制御されている。冷蔵室2、冷凍室60、野菜室6を冷却した空気は、それぞれ冷蔵室戻りダクト(図示せず)、冷凍室戻りダクト17、野菜室戻りダクト18を介して蒸発器収納室8に戻り、再び蒸発器7で冷却される。
また、除霜運転時に蒸発器7に付着した霜を加熱する除霜ヒータ22は、蒸発器7の下方に設置されている。除霜によって生じた除霜水は、蒸発器収納室8の下部に備えられた樋23に流入した後に、排水管27を介して後述する機械室19に配された蒸発皿21に排出される。
次に本実施例の冷凍サイクル構成を示す。図3は、実施例1に関わる冷蔵庫の冷凍サイクル(冷媒流路)の構成を説明する図である。本実施例の冷蔵庫1では、圧縮機24、冷媒の放熱を行う放熱手段である貯蔵室外放熱器41と壁面放熱配管42、仕切り壁28、29、30の前面部、すなわち開口縁への結露を抑制する結露防止配管43、冷媒を減圧させる減圧手段である第一のキャピラリチューブ44aと第二のキャピラリチューブ44b、冷媒と貯蔵室内の空気を熱交換させて、貯蔵室内の熱を吸熱する蒸発器7とを備え、これらにより貯蔵室内を冷却している。また、冷凍サイクル中の水分を除去するドライヤ45と、液冷媒が圧縮機24に流入するのを防止する気液分離器46を備え、さらに冷媒合流部200と、冷媒流路を制御する二方弁100、三方弁110も備えており、これらを接続配管72,73,74,75,76,77,78,79,80,81,82,83,84によりそれぞれ接続することで冷凍サイクルを構成している。なお、本実施例の冷蔵庫1は、冷媒にイソブタンを用いている。また、本実施例の圧縮機24はインバータを備えて回転速度を変えることができるが、過度に低速で圧縮機24を駆動させると、圧縮機24内の潤滑油が流れ難くなるので、回転速度には下限を設けている。
本実施例の冷蔵庫1では、減圧手段として、断面積の小さい冷媒流路を通過させることで、冷媒と管内壁との間に生じる摩擦によって冷媒を減圧させる、第一のキャピラリチューブ44aと第二のキャピラリチューブ44bの2つのキャピラリチューブを備えている。なお、これら第一のキャピラリチューブ44aと第二のキャピラリチューブ44bを合わせてキャピラリチューブ44と称する。実施例1では、第一のキャピラリチューブ44aと、第二のキャピラリチューブ44b共に負荷が小さい場合に適した絞りの強さにしている。ここで、絞りの強さとは、減圧のし易さを示すもので、キャピラリチューブ44では、管の内径が細いほど絞りが強く、また、長さが長いほど絞りが強くなる。
冷媒合流部200は、3つの接続配管80、81、82と接続し、この冷媒合流部200に接続された3つの接続配管80、81、82を常に連通状態とする部材である。
二方弁100は、流路の開閉を切り換えることができる部材で、前後の接続配管78,79を連通させた状態を開モード、接続配管78と接続配管79の間を閉塞させた状態を閉モードとする。
三方弁110は、110iで示す流入口と、110o_A、110o_Bで示す2つの流出口を備え、流入口110iと、2つの流出口110o_A、110o_Bのうち何れか、又は両方とを連通させる部材である。なお、以下で記号iは流入口、記号oは流出口を表す。流入口110iと流出口110o_Aを連通とした状態をAモード、流入口110iと流出口110o_Bを連通とした状態をBモードとし、流入口110iと流出口110o_A、110o_Bの両方の流出口とを連通させている状態をOモードとする。
ここで、各構成部材と各接続配管は次のように配設している。接続配管72は圧縮機24の流出口と貯蔵室外放熱器41を接続し、接続配管73は貯蔵室外放熱器41と壁面放熱配管42を接続し、接続配管74は壁面放熱配管42とドライヤ45を接続し、接続配管75はドライヤ45と三方弁110の流入口110iを接続している。三方弁110は、その他に、流出口110o_Aを接続配管76と接続し、流出口110o_Bを接続配管77と接続している。
接続配管76における流出口110o_Aと接続された一端と反対側の他端は、結露防止配管43と接続している。そして、接続配管78により結露防止配管43と二方弁100を接続し、接続配管79により二方弁100と第一のキャピラリチューブ44aを接続し、接続配管80により第一のキャピラリチューブ44aと冷媒合流部200を接続している。また、三方弁110の流出口110o_Bと接続された接続配管77は、他端を第二のキャピラリチューブ44bと接続している。そして、接続配管81により第二のキャピラリチューブ44bと冷媒合流部200が接続されている。
冷媒合流部200は、前述の冷媒配管80、81と、冷媒配管82に接続され、冷媒配管82により蒸発器7に接続されている。そして、冷媒配管83により蒸発器7と気液分離器46を接続し、接続配管84により気液分離器46と圧縮機24を接続している。
詳細は後述するが、蒸発器7の入口側に接続したキャピラリチューブ44と、蒸発器7の出口側に接続した冷媒配管84で構成される熱交換部47を設けている。
次に、三方弁110の流入口110iと流出口110o_Aを連通状態(Aモード)にして形成する、第一の冷媒流路Aについて説明する。
圧縮機24により高温高圧となった冷媒は、接続配管72、73を介して、貯蔵室外放熱器41、壁面放熱配管42に流入し、これらにより放熱する。その後、冷媒は接続配管74、ドライヤ75、接続配管75を介して、三方弁110に流入する。三方弁110は、流入口110iと流出口101o_Aを連通状態にしているので、接続配管76を介して結露防止配管43を流れ、結露防止配管43においても放熱する。この結露防止配管43からの放熱によって、仕切り壁28、29、30の前面部である貯蔵室の開口縁(図2参照)が加熱される。その後、冷媒は接続配管79、二方弁100、接続配管80を介して、第一のキャピラリチューブ44aに流入する。
冷媒は、この第一のキャピラリチューブ44aにより減圧されて低圧となり、また低圧となることで、一部の冷媒が蒸発して気化熱が奪われるため低温となる。低温低圧となった冷媒は、冷媒合流部200、接続配管82を介して流入した蒸発器7にて、貯蔵室内の空気から吸熱する。この冷媒の吸熱により、貯蔵室内の空気は冷却され、冷媒はさらに蒸発する。蒸発器7から流出した冷媒は、接続配管83、気液分離器46、接続配管84を介して圧縮機24に戻る。
次に、三方弁110の流入口110iと流出口110o_Bを連通状態(Bモード)にして形成する、第二の冷媒流路Bについて説明する。
第一の冷媒流路Aと同様に、圧縮機24により高温高圧となった冷媒は、各接続配管72,73,74,75を介し貯蔵室外放熱器41、壁面放熱配管42において放熱し、三方弁110に流入する。三方弁110は流入口110iと流出口110o_Bを連通状態にしているので、冷媒は接続配管77を介して第二のキャピラリチューブ44bに流れる。その後は第一の冷媒流路Aと同様に、接続配管81,82,83,84を介して、蒸発器7、気液分離器46に流入しながら、圧縮機24に戻る。
次に、図3で示す冷凍サイクルを構成する各部材の設置箇所について説明する。
図4は、機械室の内部を背面から見た場合の模式図である。冷蔵庫1は、図2に示すように断熱箱体10の外側で、冷蔵庫1の野菜室6背面下部、蒸発器収納室8の下部に機械室19を備えている。機械室19の両側面を構成する冷蔵庫1の壁面に機械室開口部19a、19bを形成しており、機械室19内に設けた貯蔵室外ファン41により、機械室開口部19aから外気が機械室19内に流入し、機械室開口部19bから流出できる構造になっている。機械室19内には、図中の右から順に、機械室開口部19a、貯蔵室外放熱器41、貯蔵室外ファン41a、圧縮機24、三方弁110、二方弁100、機械室開口部19bが配設されている。また、ドライヤ45は二方弁100と三方弁110の上部位置に配設され、蒸発皿21は圧縮機24の上部で排水管27の下部に配設されている。
冷却運転時、高温となる圧縮機24及び貯蔵室外放熱器41は、貯蔵室外ファン41aを駆動して機械室開口部19aから取り入れた外気と熱交換して放熱する。そのため、圧縮機24や貯蔵室外放熱器41の放熱量は、貯蔵室外ファン41aの回転速度や貯蔵室外ファン41aのON/OFFを変更することで調整可能である。圧縮機24や貯蔵室外放熱器41からの放熱により昇温された空気は、貯蔵室外ファン41aにより昇圧されているため、機械室開口部19bから、比較的低圧な機械室19の外部に排出される。また、除霜時に生じるドレン水は、排水管27から蒸発皿21に放出され、圧縮機24や貯蔵室外放熱器41からの熱によって蒸発される。
図5は、壁面放熱配管42と結露防止配管43の配設位置を示す図である。図3で示したように、壁面放熱配管42及び結露防止配管43は、高温高圧の冷媒が流れる部材である。
壁面放熱配管42は、冷蔵庫1の外箱1aと内箱1bとの間(図2参照)で、外箱1aの外表面に接するように配設されている。外箱1aは鋼板製であり、壁面放熱配管42内の高温冷媒は、外箱1aの外表面を介して貯蔵室外の空気に放熱する。また、結露防止配管43は、冷蔵室−冷凍室仕切り壁28、冷凍室−野菜室仕切り壁29、冷凍室間仕切り壁30の前方に配設されている(図5中の一点鎖線の部分)。各仕切り壁28、29、30の前面部は、図1、2で示したように、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5の開口縁を形成している。
次に冷凍室間仕切り壁30を代表に、結露防止配管43近傍の詳細を説明する。
図6は、冷凍室間仕切り壁30の断面拡大図である。冷凍室間仕切り壁30の内部には、圧縮機24で高温高圧となった冷媒が流れる結露防止配管43が設けられている。この結露防止配管43は、冷凍室間仕切り壁30の前面部に設けた仕切りカバー30aの近傍に設けられている。なお、本実施例に関わる冷蔵庫1の仕切りカバー30aは鋼板製であるが、これに限定されず、熱伝導性の高い金属等の材料で構成すればよい。冷凍室間仕切り壁30は、室内を冷凍温度帯(例えば約−18℃)に維持している冷凍室60に隣接しているので、加熱手段を備えていない場合、冷凍室間仕切り壁30は冷凍室60の低温空気により冷やされて、冷蔵庫1周囲の外気よりも低温となる。そのため、冷蔵庫1の周囲の外気が高湿であると、仕切りカバー30aの表面温度が露点温度を下回り易く、仕切りカバー30a近傍の空気中の水分によって仕切りカバー30aの表面に結露が発生することがある。それに対して、図3で示したように、キャピラリチューブ44で減圧される前の高温の冷媒が流れる結露防止配管43を、仕切りカバー30aの近傍に設けることで、図中の熱の流れ91で仕切りカバー30aを冷媒によって加熱して、仕切りカバー30aに発生する結露を抑制している。
なお、冷蔵室―冷凍室仕切り壁28、冷凍室―野菜室仕切り壁29の前面部も、冷凍室間仕切り壁30と同様に冷凍室60の開口縁を形成する部材であるので、図6で示した冷凍室間仕切り壁30同様の構成で、各仕切り壁28、29の前面部に設けた仕切りカバー(図示せず)の近傍に結露防止配管43を設けて、この結露防止配管43により仕切りカバーを加熱している。
図7は、冷蔵庫の熱交換部47の概略を示す断面模式図である。本実施例の冷蔵庫1には、冷媒配管84の近傍に、第一のキャピラリチューブ44aと第二のキャピラリチューブ44bを配設した、熱交換部47を設けている。第一のキャピラリチューブ44aと第二のキャピラリチューブ44bは、冷媒配管84を挟んでそれぞれ反対側に設けられている。なお、熱交換部47は断熱箱体10内部に形成されている。蒸発器7の出口側に接続された冷媒配管84には低温冷媒が流入し、一方、キャピラリチューブ44には放熱側からの高温冷媒が流入する。従って、第一のキャピラリチューブ44aを冷媒が流れる場合、第一のキャピラリチューブ44aから冷媒配管84に向かって熱の流れ93aが発生して熱交換が行なわれる。同様に、第二のキャピラリチューブ44bを冷媒が流れる場合、第二のキャピラリチューブ44bから、冷媒配管84に向かって熱の流れ93bが発生する。
次に、この熱交換部47の作用と、圧縮機24からキャピラリチューブ44に至るまでの、放熱側の冷媒の状態変化について図8、図9を用いて説明する。
図8は、冷凍サイクルの各部における冷媒の状態をモリエル線図上に示した図である。図9は、圧縮機24からキャピラリチューブ44までの配管内部の冷媒の状態を示した図である。なお、図8、図9では、第一の冷媒流路A側を冷媒が循環している場合である。
図8の縦軸は冷媒の圧力、横軸は冷媒の比エンタルピーである。図8と図9に示す冷媒の状態BからE及びH、Iは、図8と図9で同一の状態を表す。
圧縮機24に流入した状態Aの冷媒は、圧縮機24により圧縮されるので、冷媒の比エンタルピーはh1からh2、圧力はP1からP2に増加する(状態AからB)。圧縮されて高温高圧となった冷媒(状態B)は、貯蔵室外放熱器41(状態BからC)、壁面放熱器42(状態CからD)、結露防止配管43(状態DからE)の順に放熱して、冷媒の比エンタルピーはh2からh3に減少する。状態Eに至った冷媒は、第一のキャピラリチューブ44aを通過する際に減圧されながら、熱交換部47において接続配管84内の冷媒と熱交換するので、比エンタルピーはh3からh4に減少し、冷媒の圧力はP2からP1に減少する(状態EからF)。その後、蒸発器7の入口部の冷媒(状態F)は、貯蔵室内の空気と熱交換することによって吸熱し、冷媒の比エンタルピーはh4からh5に増加する(状態FからG)。蒸発器7の出口部の冷媒(状態G)は、熱交換部47において第一のキャピラリチューブ44aから移動する熱によって冷媒の比エンタルピーがh5からh1に増加した後、再び圧縮機24に戻る(状態GからA)。モリエル線図上に示す、状態A−B−C−D−E−F−Gの循環の間に、冷媒は大きく分けて気相域、気液二相域、液相域の3つの状態に変化する。
ここで、図9を用いて、冷凍サイクルの放熱側となる圧縮機24の流出口(B)から、第一のキャピラリチューブ44aの入口(E)までの冷媒の状態を考える。気相域から気液二相域に変化する点をH、気液二相域から液相域に変化する点をIとし、ガス冷媒を符号94、液冷媒を符号95として、ガス冷媒94のみの気相域は区間BH、ガス冷媒94と液冷媒95が混在する気液二相域は区間HI、液冷媒95のみの液相域は区間IEで表す。
図9において、冷媒は記号BからEに向かって流れ、圧縮機24で圧縮されて高温高圧になったガス冷媒94は、貯蔵室外放熱器41、壁面放熱配管42、結露防止配管43の順に貯蔵室外に放熱し、気相域(区間BH)、気液二相域(区間HI)、液相域(区間IE)の順に冷媒の状態が変化する。本実施例の冷蔵庫1では、貯蔵室外放熱器41の途中で気相域から気液二相域に至り、結露防止配管43の途中で液相域に至る。そのため、貯蔵室外放熱器41ではガス冷媒94の割合が多く、結露防止配管43では液冷媒95の割合が多い。液冷媒95はガス冷媒94に比べて密度が高く、例えばイソブタンでは、凝縮温度30℃においてガス冷媒94と液冷媒95の密度の比は約1:50である。そのため、結露防止配管43では液冷媒95の割合が大きいので、配管内容積に対して、結露防止配管43内に含まれる冷媒量は多い。
次に、図3、図7で示した熱交換部47の作用について図8を用いて説明する。蒸発器7の入口部の冷媒(状態F)は、熱交換部47によって比エンタルピーがh3からh4に減少し、蒸発器7での吸熱量(h5-h4)が増加することになる。蒸発器7での吸熱量の増加により、冷却効率(=吸熱量(h5-h4)/消費エネルギー(h2-h1))が向上するので、本実施例の冷蔵庫1では、熱交換部47を設けて省エネルギー性能を向上させている。
以上で、本実施例の冷蔵庫1の主要な構成について説明した。次に本実施例の冷蔵庫1における、三方弁110及び二方弁100の制御方法について説明する。
図10は、実施例1に関する冷蔵庫の第一の冷媒流路Aと第二の冷媒流路Bの時間割合と相対湿度の関係である。本実施例の冷蔵庫1では、前述した外気温度センサ37と外気湿度センサ38で得られた冷蔵庫1周囲の温度及び湿度によって、第一の冷媒流路Aと第二の冷媒流路Bを切り換えている。図10の横軸は相対湿度、縦軸は結露防止配管43の加熱割合、すなわち、冷媒流路を第一の冷媒流路A側に固定する時間の割合である。例えば、相対湿度が高いRH2の場合、三方弁110をAモードにして結露防止配管43に冷媒を流す時間の割合(tA2)を長くし、Bモードにして結露防止配管43をバイパスさせる時間の割合(tB2)を短くする。反対に相対湿度が低いRH1の場合、三方弁110をAモードにして結露防止配管43に冷媒を流す時間の割合(tA1)を短くし、三方弁110をBモードにして結露防止配管43をバイパスさせる時間の割合(tB1)を長くしている。実際の冷却運転では、冷蔵庫1周囲の温度と湿度の状況に合わせて、仕切り壁28、29、30の結露の発生を抑制するように第一の冷媒流路A側、第二の冷媒流路B側の切り換え時間を予め決めておき、圧縮機24がONの時に、その予め決められた切り換え時間に従って、三方弁110のAモードとBモードを切り換えて運転する。冷媒流路を切り換える時間は冷蔵庫1によって異なるが、例えば本実施例の冷蔵庫1では、外気が30℃、相対湿度が50%の場合、Aモードが10分、Bモードが20分で切り換えるようにし、外気が30℃、相対湿度が70%の場合は、結露が発生する可能性が高いため、Aモードで仕切り壁28、29、30を20分加熱して、Bモードは10分としている。
図11aは、熱負荷が小さい場合の実施例1に関する冷蔵庫1の冷却運転の一例を示すタイムチャートである。
熱負荷が小さい場合、冷蔵室2を冷却する冷蔵運転、冷凍室60を冷却する冷凍運転、圧縮機24を停止したOFFからなる運転パターンを基本とし、外気の温度の変動や食品等の投入が行われない限り、これらの運転を繰り返す。具体的には、圧縮機24の停止中に冷凍室温度センサ34より得られる冷凍室温度がTF1まで上昇した時に圧縮機24がONになり、冷蔵運転を実施する。冷蔵室温度が低下して冷蔵室温度センサ33から得られる冷蔵室温度がTR2になると冷蔵運転が終了し、引き続き冷凍室温度がTF2になるまで冷凍運転を実施する。なお、冷凍運転中に冷蔵室温度が上昇し、温度TR1を超えた場合には、冷蔵・冷凍運転にして、冷蔵室2と冷凍室60を同時に冷却する。また、圧縮機24の回転速度は、後述する図11bの時に比べて低速にしている。
この時の二方弁100と三方弁110の制御を説明する。図10に示したように、圧縮機24が運転中の場合、温度及び湿度に応じて三方弁110のAモードとBモードの切り換え時間を予め決めておき、それに従って三方弁110を切り換える。また、三方弁110をAモードにして第一の冷媒流路Aに冷媒が流れるようにした場合には、二方弁100を開モードとし、三方弁110をBモードにして第二の冷媒流路Bに冷媒が流れるようにした場合には、二方弁100を閉モードとする。
また、三方弁110は圧縮機24が停止する前にAモードにして、圧縮機24の停止時まで第一の冷媒流路Aに冷媒を流す。圧縮機24の停止時には、三方弁110はAモードのままであるが、二方弁100は圧縮機24を停止させた後に閉モードにする。また、冷凍室温度がTF1となり、圧縮機24を再び運転させる際には、三方弁110をAモードで固定させたまま、冷媒が循環できるように二方弁100を開モードにして、その後に圧縮機24を駆動させる。
次に、図11bは、熱負荷が大きい場合の実施例1に関する冷蔵庫の冷却運転の一例を示すタイムチャートである。
熱負荷が大きい場合として、冷蔵庫1を設置した際に最初に電源を入れる場合を想定する。貯蔵室内の温度は、外気温度TOと等しい温度から冷却される。冷蔵室2及び冷凍室60を同時に冷却し、圧縮機24の回転速度は図11aに比べて高速にしている。二方弁100は前後の接続配管78,79を連通させる開モードにして、三方弁110は流入口110iと流出口110o_A、110o_Bの両方の流出口とを連通させるOモードにして運転する。冷蔵室温度がTR2に到達した後は、冷凍室60を単独で冷却するようになる。その後、冷凍室温度がTF1に到達すると、冷蔵室温度もTR1以下、冷凍室温度もTF1以下になり、貯蔵室内の熱負荷は小さくなったと判断して、図11aと同様にAモードとBモードを切り換える運転に移行する。
以上、本実施例の冷蔵庫1の主要な構成と制御について説明した。次に、本実施例の冷蔵庫1の奏する効果を説明する。
本実施例の冷蔵庫1では、結露防止配管43に冷媒が流れる第一の冷媒流路Aと、結露防止配管43をバイパスさせる第二の冷媒流路Bとを備え、この2つの流路を三方弁110で切り換えられるようにしている。これにより、結露防止配管43による仕切り壁28、29、30の加熱量を制御し、結露の発生を抑制しながら省エネルギー性能を向上させることができる。図6、図10を用いて、この理由を説明する。
図6で示したように、本実施例の冷蔵庫1では、結露防止配管43を流れる高温の冷媒により、熱の流れ91で冷凍室間仕切り壁30の前面部を加熱して、貯蔵室の開口縁への結露を防止している。しかしながら、冷凍室間仕切り壁30に隣接した冷凍室60に、結露防止配管43から放熱される熱の一部(熱の流れ92)が侵入し、貯蔵室内を加熱してしまう。貯蔵室内を所定の温度に維持するためには、冷蔵庫の貯蔵室外から侵入した熱に加えて、この結露防止配管43から貯蔵室内に侵入した熱も冷凍サイクルによって吸熱する必要が生じる。すなわち、結露防止配管43による冷凍室間仕切り壁30の前面部の加熱は、貯蔵室内の熱負荷を増やすことになり、省エネルギー性能を低下させる要因となる。冷凍室間仕切り壁30を用いて説明したが、仕切り壁28、29を結露防止配管43で加熱する際にも同様の現象が発生する。
そこで、本実施例の冷蔵庫1では、結露防止配管43に冷媒が流れる第一の冷媒流路Aと、結露防止配管43をバイパスさせる第二の冷媒流路Bを備え、冷蔵庫1周囲の温度と湿度に応じて第一の冷媒流路Aと第二の冷媒流路Bとを切り換えている。具体的には、図10に示すように、冷凍室間仕切り壁30の前面部に結露を生じ易い高湿時には、三方弁110をAモードにする時間の割合(tA2)を大きくし、Bモードにする時間の割合(tB2)を小さくすることで、結露防止配管43の加熱量を増加させて結露を防止する。一方、結露を生じ難い低湿時には、Aモードの時間の割合(tA1)を小さくし、Bモードの時間の割合(tA2)を大きくすることで、結露防止配管43による貯蔵室内の加熱量を減少させている。このように、本実施例の冷蔵庫1では、湿度に応じて結露防止配管43による加熱量を調整することができるので、結露を防止しながら、結露防止配管43による貯蔵室内の過度な加熱を抑えることができる。
以上のように、結露防止配管43に冷媒が流れる第一の冷媒流路Aと、結露防止配管43をバイパスさせる第二の冷媒流路Bを適切に切り換えることで、結露防止配管43による加熱量を制御して、結露を防止しながら省エネルギー性能を向上させることができる。
また、本実施例の冷蔵庫1では、壁面放熱配管42と結露防止配管43の間に、三方弁110を設けていることに加え、結露防止配管43と第一のキャピラリチューブ44aの間に、二方弁100を設けている。これにより、蒸発器への高温冷媒の流入を抑制して、省エネルギー性能を向上させることができる。図3、図8、図11aを用いて、この理由を説明する。
熱負荷が小さい場合、本実施例の冷蔵庫1では、圧縮機24を低速で運転させることに加えて、貯蔵室内が冷え過ぎないように、圧縮機24を停止させて貯蔵室内の冷却を止めることで、貯蔵室内を所定の温度(例えば冷蔵室では4℃)に維持している。
一方で、冷媒流路の制御手段を備えていない冷蔵庫では、圧縮機24を停止させると、以下のような課題が生じる。圧縮機24を駆動させている場合、図8で示したように、冷凍サイクルの放熱側、すなわち、貯蔵室外放熱器41、壁面放熱配管42、結露防止配管43内の冷媒の圧力P2は、蒸発器7内の冷媒の圧力P1よりも高くなっている。一方、圧縮機24を停止させた場合には、この放熱側の冷媒配管内の冷媒と蒸発器7内の冷媒との圧力差を解消するように、放熱側の冷媒配管内の冷媒が、蒸発器7内に流入することがある。冷蔵庫1の貯蔵室内に設置してある蒸発器7に、放熱側の高温の冷媒が流入すると、貯蔵室内を加熱するため、貯蔵室内の熱負荷が増えることになり、次の冷却運転でその熱を吸熱する必要が生じる。そのため、圧縮機24を停止させると、放熱側の高温冷媒が蒸発器7に流入して熱負荷が増加し、省エネルギー性能が低下するといった課題があった。
そこで本実施例の冷蔵庫1では、図11aに示すように、圧縮機24を停止中は、三方弁110をAモード、二方弁100を閉モードにすることで、結露防止配管43と蒸発器7との間の冷媒流路を閉塞している(図3参照)。これにより、圧縮機24から結露防止配管43までに存在する高温冷媒が、蒸発器7に流入することがなくなるので、省エネルギー性能を向上させることができる。
また、本実施例の冷蔵庫1に設けた三方弁110は、流入口110iと、流出口110o_A、110o_Bの何れかの流出口を連通させるAモードとBモードに加えて、流入口110iと、流出口110o_A、110o_Bの両方の流出口を連通させるOモードを備えている。三方弁110をOモードにすると、2つのキャピラリチューブ44a、44bの両方に冷媒を流すことができる。これにより、蒸発圧力を制御して、省エネルギー性能を向上させることができる。図11a、図11b、及び図12を参照しながら、この理由を説明する。
まず、蒸発圧力と省エネルギー性能の関係について説明する。
図12に、図8で示した冷凍サイクル(点線)よりも、蒸発圧力が低下した場合の状態をモリエル線図上に実線で示した。蒸発圧力P1がP1’に低下すると、凝縮圧力P2と蒸発圧力P1’の差は、蒸発圧力が低下する前のP2とP1の差に比べて大きくなる。そのため、圧縮機24で消費するエネルギーは(h2−h1)から(h2’−h1)に増加する。そこで、熱負荷が大きい場合(図11b参照)、冷凍サイクルの絞りを弱くすることでP2とP1の差を小さくして、省エネルギー性能の高い運転を行う。
一方、蒸発温度を低くした(蒸発圧力を低くした)冷却運転が必要な場合がある。例えば、図11aで示したように熱負荷が小さく、貯蔵室内が十分に低温となっている場合には、貯蔵室内温度の低下に応じて蒸発温度を下げる必要がある。蒸発温度(蒸発圧力)を下げる手段としては、絞りを強くして冷媒の減圧量を大きくすることと、圧縮機24の回転速度を高速にすることが考えられるが、絞りを強くして蒸発圧力を低くすると、圧縮機24を低速で駆動でき、圧縮機24の消費エネルギーを低減できるので、省エネルギー性能の高い運転が行える。
以上から、熱負荷に応じて冷凍サイクルの絞りの強さを変えることで、蒸発圧力を制御することが、省エネルギー性能の向上につながることがわかる。
本実施例の冷蔵庫1では、第一のキャピラリチューブ44a及び第一のキャピラリチューブ44bの絞りの強さを熱負荷の小さい条件に適する仕様のものを用い、後述する熱負荷の大きい場合に比べて強くている。これにより、熱負荷の小さい時には、何れか一方のキャピラリチューブ44に冷媒を流すことで適切な絞りの強さとすることができ、省エネルギー性能の高い冷却運転を行うことができる。
また、本実施例の冷蔵庫1では、図11bで示したように、熱負荷の大きい場合には三方弁110をOモードにして、第一のキャピラリチューブ44aと第二のキャピラリチューブ44bの両方に冷媒を流すようにしている。第一のキャピラリチューブ44aと第二のキャピラリチューブ44b共に、断面積の小さい冷媒流路を通過させることで冷媒を減圧させているので、両方のキャピラリチューブに冷媒を流せば、冷媒流路断面積が増えて減圧量は少なくなる。そのため、熱負荷の大きい場合には、三方弁110をOモードにして、第一のキャピラリチューブ44aと第二のキャピラリチューブ44bに同時に冷媒を流すことで絞りを弱め、蒸発温度を高くして、省エネルギー性能の高い冷却運転を行う。
以上のように、減圧手段は複数のキャピラリチューブ44により構成され、冷媒流路制御手段により、複数のキャピラリチューブ44のうちの何れか1つのキャピラリチューブ44に冷媒を流す場合と、複数のキャピラリチューブ44に冷媒を流す場合とを切換えることで、絞りの変更を行う。すなわち、三方弁110が、第一の冷媒流路Aと第二の冷媒流路Bの何れかに冷媒を流す、A、Bモードと、両方同時に冷媒を流すOモードを備えることで、熱負荷に応じた蒸発圧力の制御を行ない、省エネルギー性能を向上させることができる。
なお、圧縮機24にインバータを備えた本実施例の冷蔵庫1では、さらに省エネルギー性能の向上に効果的である。図11bのように、熱負荷が大きい場合には、貯蔵室内を素早く冷却できるように、圧縮機24の回転速度を高速にするが、この場合、冷媒の蒸発圧力は低下してしまう。すなわち、省エネルギー性能が低下してしまう。それに対して、本実施例の冷蔵庫1では、絞りを弱くすることで、蒸発圧力の低下を抑えることができる。一方、図11aのように熱負荷が小さい場合は、省エネルギー性能の観点から、圧縮機24の回転速度を低速にしているが、圧縮機24を低速にすると蒸発温度が高くなって、貯蔵室内の熱を吸熱できなくなることがある。そのため、本実施例では、絞りを強くして蒸発圧力を低下させることで、圧縮機24が低速でも庫内の熱を吸熱できるようにしている。
以上、これまでで示したように、本実施例は、前方に開口を形成する開口縁を有する断熱箱体10と、開口を開閉可能な扉(2a,2b,3a,4a,5a,6a)と、扉と断熱箱体10によって形成された貯蔵室(2,3,4,5,6)と、圧縮機24と、放熱手段41,42と、開口縁を加熱する結露防止配管43と、減圧手段44と、蒸発器7とを備えた冷蔵庫1において、圧縮機24の吐出口から吐出される冷媒を、放熱手段41,42、結露防止配管43、減圧手段44、蒸発器7、圧縮機24の吸込口の順に流す第一の冷媒流路Aと、圧縮機24の吐出口から吐出される冷媒を、放熱手段41,42、減圧手段44、蒸発器7、圧縮機24の吸込口の順に流す第二の冷媒流路Bと、を備え、放熱手段41,42と結露防止配管43の間と、結露防止配管43と蒸発器7の間に、冷媒流路制御手段110,100を備え、該冷媒流路制御手段110,100によって、第一の冷媒流路Aと第二の冷媒流路Bの切換え、減圧手段44の絞りの変更、及び結露防止配管43と蒸発器7との間の冷媒流路の連通と閉塞の切換えを行う。
すなわち、結露防止配管43とそのバイパス流路、及び2つのキャピラリチューブを備え、さらに三方弁110と二方弁100により冷媒流路を制御して、結露防止配管43による加熱量の制御と、蒸発器7への高温冷媒流入の抑制と、蒸発圧力の制御を行うことで、省エネルギー性能の高い冷蔵庫を得ることができる。
以上の効果に加え、本実施例の冷蔵庫1には、様々な効果が得られるように工夫がなされており、以下に説明する。
前述したように、冷媒流路の制御手段を備えていない冷蔵庫では、圧縮機24の停止時に、放熱側の高温冷媒が蒸発器7に流入して、省エネルギー性能が低下することがある。同様に、三方弁110をBモードにした場合にも、三方弁110よりも下流(図3参照)にある結露防止配管43内の高温冷媒が蒸発器7に流入して、省エネルギー性能を低下させることがある。図9で示したように、結露防止配管43内の冷媒は密度の高い液冷媒95の割合が多いので、配管内容積に対して、結露防止配管43内の冷媒量は多い。そのため、結露防止配管43に滞留した冷媒のみでも、蒸発器7に流入した際の熱負荷の増加による省エネルギー性能を低下させる影響は大きい。そこで、本実施例の冷蔵庫1では、三方弁110がBモードの時には二方弁100を閉モードにして、結露防止配管43内の高温冷媒が蒸発器7に流入しないようにして、省エネルギー性能を向上させている。
次に、熱交換部47の効果について説明する。図3で示したように、本実施例の冷蔵庫1では、熱交換部47においてキャピラリチューブ44と接続配管84との間で熱交換させている。図8で示したように、キャピラリチューブ44を流れる際に冷媒の比エンタルピーをh3からh4に減少させて、冷媒による吸熱量(h5−h4)を大きくすることで、冷却効率(=吸熱量(h5−h4)/消費エネルギー(h2−h1))を向上させるためである。すなわち、キャピラリチューブ44と接続配管84とで熱交換させることで、省エネルギー性能を向上させている。
図7で示したように、第一のキャピラリチューブ44aと第二のキャピラリチューブ44bとは、冷媒配管84を挟むように離して設けている。例えば、第一のキャピラリチューブ44aと第二のキャピラリチューブ44bを近接させて設け、第一のキャピラリチューブ44aのみに冷媒を流すと、第一のキャピラリチューブ44a内を流れる冷媒は、接続配管84に加えて冷媒が流れていない第二のキャピラリチューブ44bとも熱交換を行う。第二のキャピラリチューブ44bの上流側は三方弁110によって閉塞され、下流側は蒸発器7と連通されているので(図3参照)、第二のキャピラリチューブ44bを加熱すると、その熱によって蒸発器7も加熱されてしまうことになる。また、第一のキャピラリチューブ44a内の冷媒は、第二のキャピラリチューブ44bと熱交換することで、接続配管84と熱交換する熱量が少なくなってしまう。そのため、本実施例の冷蔵庫1では、第一のキャピラリチューブ44aと第二のキャピラリチューブ44bを離して設けることで、キャピラリチューブ44間での熱交換を抑えて、熱交換部47による省エネルギー性能向上の効果を高めている。
次に、図11aで示した、圧縮機24の停止前、停止中、運転再開後に、三方弁110をAモードにしている理由とその効果を説明する。
圧縮機24の停止中は冷媒が循環していないので、結露防止配管43による仕切り壁28、29、30の前面部の加熱ができない。そのため、仕切り壁28、29、30の前面部の温度が低下して、仕切り壁28、29、30の前面部に結露が生じ易くなる。そこで、圧縮機24の停止前に三方弁110をAモードで運転して、仕切り壁28、29、30の前面部の温度が高い状態で圧縮機24を停止させて、停止中に前面部の温度が低下しても比較的高い温度を維持できるようにしている。また、圧縮機24を停止させる際には、三方弁110をAモードにしたまま二方弁100を閉モードにしている。これにより、結露防止配管43の下流の冷媒流路が塞がれるので(図3参照)、圧縮機24停止中にも結露防止配管43内に高温の冷媒が残ったままとなる。さらに、結露防止配管43内の冷媒は、隣接する冷凍室60により冷やされて温度が低下しやすいが、温度が下がると圧力も下がるので、圧力差により三方弁111よりも上流側の高温の冷媒が結露防止配管43内に流れてくる。そのため、結露防止配管43内には比較的高温な冷媒が維持され易くなるので、仕切り壁28、29、30の前面部の温度低下を抑えることができる。さらに圧縮機24の運転再開後には三方弁110をAモードで冷媒を循環させて、結露防止配管43に冷媒を流すことで、仕切り壁28、29、30の前面部を素早く加熱し、それ以上温度が低下しないようにしている。
さらに本実施例の冷蔵庫1では、二方弁100の設置箇所に関しても配慮している。図3で示したように、本実施例の冷蔵庫1では結露防止配管43と第一のキャピラリチューブ44aの間の冷媒流路中に二方弁100を設けているが、例えば、第一のキャピラリチューブ44aよりも下流の接続配管80中に二方弁100を設けても、これまで述べた効果と同様の効果は得られる。
一方、第一のキャピラリチューブ44aを通過した冷媒は低温低圧となっているので、この冷媒が流入する二方弁100も低温になる。高温の機械室19や、冷蔵室2、野菜室6に二方弁100を設けると、低温になった二方弁100に結露が生じる可能性があるので、二方弁100に防露対策が必要となる。さらに、二方弁100を機械室19内に設けると、低温冷媒と機械室19の空気とで熱交換してしまい、冷凍サイクルで貯蔵室外の空気を吸熱してしまうことになるので、省エネルギー性能の低下も招く。
一方で、低温の冷凍室60や蒸発器7の周辺に配設すると、周囲が低温でも正常に動作する二方弁が必要となるので、信頼性に対する要求は高いものとなる。そのため、本実施例の冷蔵庫1では、二方弁100は高温冷媒が流れる結露防止配管43と、第一のキャピラリチューブ44aの間の冷媒流路途中に設けている。
また、本実施例のように二方弁100内を高温の冷媒が流れる場合、二方弁100を各貯蔵室に設けると、二方弁100の容積による貯蔵室内の収納スペースの減少といった課題とともに、低温の貯蔵室内の空気と高温冷媒とで熱交換して貯蔵室内を加熱してしまうといった課題が生じる。貯蔵室内の加熱は省エネルギー性能の低下を招くため、本実施例の冷蔵庫1では、断熱箱体10の外の機械室19に二方弁100を設置している。すなわち、冷媒流路制御手段の一種である二方弁100は、結露防止配管43から減圧手段の一種であるキャピラリチューブ44の間の冷媒流路中であって、貯蔵室の外に配設されている。
(実施例2)
次に、実施例2の冷蔵庫1の冷媒流路構成に関し、図13を参照しながら説明する。実施例2の冷蔵庫1は、実施例1の二方弁100の代わりに、絞りの強さを制御できる膨張弁120により、第一の冷媒流路Aの絞りの強さを変えられる冷蔵庫である。なお、実施例1と同一の部材については、同一符号を付して説明を省略する。
図13は、実施例2に関する冷蔵庫の冷凍サイクル(冷媒流路)構成を説明する図である。実施例1の冷蔵庫に対して実施例2の冷蔵庫では、第一のキャピラリチューブ44aの代わりに第三のキャピラリチューブ44c、二方弁100の代わりに膨張弁120を設けている。また実施例1の冷蔵庫1に設けていたA、B、Oの3つのモードを備えた三方弁110の代わりに、実施例2の冷蔵庫では、流入口111iと流出口111o_Aを連通させるAモード、流入口110iと流出口110o_Bを連通させるBモードの、2つのモードを備えた三方弁111を設けている。
結露防止配管43を備える第一の冷媒流路Aと、結露防止配管43をバイパスさせる第二の冷媒流路Bは、この三方弁111により切り換える。第一の冷媒流路Aでは、三方弁111の流出口111o_Aを通過した後、冷媒配管76、結露防止配管43、冷媒配管78を介して膨張弁120に流れ、膨張弁120から冷媒配管79を介して第三のキャピラリチューブ44cに流れ、第三のキャピラリチューブ44cから冷媒配管80を介して冷媒合流部200に冷媒が流れるように構成している。すなわち、減圧手段は、膨張弁120と、キャピラリチューブ44とを組み合わせて構成する。その他の冷凍サイクルの構成は実施例1と同様である。
第三のキャピラリチューブ44cは、第二のキャピラリチューブ44bよりも絞りが弱く、熱負荷の大きい場合に適した絞りにしている。すなわち、複数のキャピラリチューブ44はそれぞれ絞りが異なる。膨張弁120は、実施例1の二方弁100と同様に冷媒流路の開閉を制御する冷媒流路制御手段であるとともに、冷媒を減圧させる減圧手段でもある。本実施例の膨張弁120には、冷媒配管79と冷媒配管80の間での減圧を極力抑えて連通させる開モードと、膨張弁120内に備えた弁体(図示せず)によって膨張弁120の流出口(図示せず)の一部を閉塞して、冷媒流路の断面積を小さくすることで減圧させる減圧モードを備えている。減圧モードには複数の段階を設けており、絞りの強さを細かく調整することができる。さらに、膨張弁120は冷媒流路を閉塞させる閉モードも備えている。
以上で示した実施例2の冷蔵庫1の構成により得られる効果を以下で説明する。
実施例2の冷蔵庫1では、膨張弁120を開モードにして、第三のキャピラリチューブ44cのみで冷媒を減圧させるモードと、膨張弁120を減圧モードにして、膨張弁120と第三のキャピラリチューブ44cの両方で冷媒を減圧させるモードを切り換えることで、絞りの強さを切り換えている。これにより、熱負荷の小さい場合と、大きい場合のそれぞれで最適な絞りの強さとなるように調整することができる。具体的には、熱負荷の大きい場合に最適な絞りの強さとなるように第三のキャピラリチューブ44cの仕様を決定した後に、膨張弁120内の冷媒流路の断面積が熱負荷の小さい場合に最適な絞りの強さとなるように、減圧モードの時の、膨張弁120内の弁体(図示せず)の位置を決定する。これにより、熱負荷の小さい場合は膨張弁120を減圧モードにすることで、熱負荷の大きい場合は膨張弁120を開モードにすることで、何れの場合も最適な絞りの強さとすることができる。すなわち、実施例2の冷蔵庫1では、熱負荷の大きい場合と小さい場合の両方で、最適な蒸発圧力となるように絞りの強さを調整することができるので、実施例1の冷蔵庫1より省エネルギー性能の高い冷蔵庫とすることができる。
また、実施例2の膨張弁120は、減圧モードに複数の段階を備えており、設定できる絞りの強さを開モードと減圧モードの2段階ではなく、細かく調整できるようにしている。そのため、本実施例の冷蔵庫1は、貯蔵室内の熱負荷に応じてより柔軟に絞りの強さを調整することができ、より多くの条件で最適な蒸発圧力に制御することができる。
次に、実施例2の冷蔵庫1では、第一の冷媒流路Aにおいて、膨張弁120のみでなく、膨張弁120と第三のキャピラリチューブ44cの2つの減圧手段によって冷媒を減圧させている理由を説明する。
キャピラリチューブ44は、減圧手段としての機能と共に、冷媒配管84の冷媒と熱交換する熱交換部47としての機能も備えている。実施例1で図8を用いて説明したように、熱交換部47を設けることによって蒸発器7での吸熱量が増え、省エネルギー性能が向上する。そのため、実施例2の冷蔵庫1は、膨張弁120に加えて第三のキャピラリチューブ44cを設けることで、熱交換部47による省エネルギー性能向上効果を得ることができる。
次に、結露防止配管43に冷媒が流れる第一の冷媒流路A側に、膨張弁120を設けた理由を以下で説明する。
これまでに述べてきたように、熱負荷の大きい場合よりも熱負荷が小さい場合の絞りを強くするようにして、さらに、冷蔵庫1周囲の温度と湿度に応じて第一の冷媒流路Aと第二の冷媒流路Bを交互に切り換えることが省エネルギー性能の向上に有効である。そのため、熱負荷の小さい場合は、第一の冷媒流路Aと第二の冷媒流路Bのどちらも強い絞りにして、第一の冷媒流路Aと第二の冷媒流路Bを交互に切り換える方が良い。ここで、本実施例のように、冷媒流路の一方のみに膨張弁120を設けると、その冷媒流路のみが冷凍サイクルの絞りの強さを変えられる構成となるので、他方の流路における冷凍サイクルの絞りは、熱負荷の小さい場合に合わせた強い絞りの状態で固定される。すなわち、絞りを弱められる冷媒流路は、膨張弁120を通る側の冷媒流路のみとなる。そのため、熱負荷が大きく、絞りを弱めたい時には、膨張弁120を通る側の冷媒流路に冷媒を流す必要がある。仮に膨張弁120を第二の冷媒流路B側のみに設けた場合、絞りを弱めるためには常に第二の冷媒流路B側に冷媒を流すことになる。第二の冷媒流路Bに冷媒を流し続けると結露防止配管43により結露を抑制している仕切り壁28、29、30が加熱されず、これらの壁面に結露が生じる可能性が高まる。
それに対して、本実施例のように、結露防止配管43を設けている第一の冷媒流路A側に膨張弁120を設けると、絞りを弱める場合には第一の冷媒流路A側に固定されるので、冷蔵庫1の貯蔵室内の熱負荷が大きく、冷蔵庫1の周囲の湿度も高い場合であっても結露を抑制することができる。
また、第一の冷媒流路A側に膨張弁120を設け、さらに膨張弁120に閉モードを備えることで、実施例1の二方弁100の役割も兼ねることができる。すなわち、閉モードを備えた膨張弁120を結露防止配管43と第三のキャピラリチューブ44cの間に設けて、圧縮機24停止時等に、膨張弁120を閉モードにすることで、放熱側から蒸発器7への高温冷媒の流入を抑制して、省エネルギー性能を向上させる効果も得られる。
(実施例3)
次に、実施例3の冷蔵庫1の冷媒流路構成に関し、図14、図15a、図15b、図15cを参照して説明する。実施例3の冷蔵庫1は、第一の冷媒流路Aと第二の冷媒流路Bの何れにおいても、絞りの強さを変えられる冷蔵庫である。なお、実施例1と同一の部材については、同一符号を付して説明を省略する。
図14は、実施例3に関する冷蔵庫の冷凍サイクル(冷媒流路)の構成を説明する図である。本実施例の冷蔵庫1は、実施例2と同様の第一の三方弁111により第一の冷媒流路Aと第二の冷媒流路Bを切り換え、後述する第二の三方弁112により第四のキャピラリチューブ44dと第五のキャピラリチューブ44eを切り換える冷蔵庫である。第四のキャピラリチューブ44dは、実施例1の第一のキャピラリチューブ44a及び第二のキャピラリチューブ44bと同様に、熱負荷が小さい状態で適切な絞りの強さとなるように調整されている。第五のキャピラリチューブ44eは熱負荷が大きい状態で適切な絞りの強さとなるように調整されたもので、第四のキャピラリチューブ44dに比べて絞りの強さを弱くしている。
第一の三方弁111は、流入口111iと流出口111o_Aとを連通させるAモードと、流入口111iと流出口111o_Bとを連通させるBモードの2つのモードを切り換える。一方、第二の三方弁112は、流入口112iと流出口112o_Dとを連通させるDモードと、流入口112iと流出口112o_Eとを連通させるEモードと、さらに、三方弁112の流出口112o_D、流出口112o_Eのどちらも閉塞させるXモードの3つのモードを備える。また、実施例3の冷蔵庫1は逆止弁210と冷媒合流部201を備えている。逆止弁210は、一方向のみ冷媒を通過させることができる部材である。冷媒合流部201は冷媒合流部200と同様に、3つの冷媒配管と接続し、それらを常に連通状態とする部材である。
次に、各構成部材と各接続配管の関係について説明する。実施例1と同様の構造は省略する。壁面放熱配管42と接続された接続配管74の他端は、第一の三方弁111の流入口111iと接続されている。第一の三方弁111の流出口111o_Aは接続配管76と、流出口110o_Bは接続配管77と接続されている。
接続配管76は、結露防止配管43と接続されており、結露防止配管43の他端は接続配管78により逆止弁210と接続されている。そして、接続配管85により逆止弁210と冷媒合流部201が接続されている。また、第一の三方弁の流出口111o_Bと接続された接続配管77の他端も冷媒合流部201と接続されている。冷媒合流部201は、前述の冷媒配管85、77とともに冷媒配管86に接続されている。冷媒配管86の他端はドライヤ45と接続され、冷媒配管87によりこのドライヤ45と第二の三方弁112の流入口112iとが接続されている。第二の三方弁112の流出口112o_Dは、接続配管88により第四のキャピラリチューブ44dと接続され、流出口112o_Eは接続配管89により第五のキャピラリチューブ44eと接続されている。その他の構成は実施例1と同様である。
第一の三方弁111の制御については、図10に示した実施例1の三方弁110と同様に、冷蔵庫1の周囲の温度と湿度に応じて第一の三方弁111のAモードとBモードを切り換えて、適切な加熱量にすることで、結露防止配管43内の冷媒によって結露を抑制しつつ、加熱のし過ぎを抑えて省エネルギー性能の高い冷却運転を行う。第二の三方弁112は熱負荷の変化に応じて切り換えるもので、熱負荷の低い場合にはDモードにして、絞りの強い第四のキャピラリチューブ44dに冷媒が流れるようにし、熱負荷の高い場合にはEモードにして、絞りの弱い第五のキャピラリチューブ44eに冷媒が流れるようにしている。また、圧縮機24停止時には、実施例1の二方弁100の代わりに第二の三方弁112をXモードとし、第一の三方弁111はAモードにする。
以上に示した実施例3の冷蔵庫1により得られる効果を以下で説明する。
実施例3の冷蔵庫1では、第一の三方弁111により冷蔵庫1の周囲の温度と湿度に応じて結露防止配管43の加熱量を制御し、また、第二の三方弁112により熱負荷に応じて蒸発圧力を制御するので、加熱量と蒸発圧力を別々に制御することができる。そのため、熱負荷に影響されることなく、結露防止配管43による過度な加熱を抑えて省エネルギー性能を高めることができる。
また、実施例3の冷蔵庫1では、2つのキャピラリチューブ44を熱負荷に応じて切り換えることができるので、第四のキャピラリチューブ44dの仕様は、熱負荷の小さい場合に適した絞りの強さにし、第5のキャピラリチューブ44eの仕様は、熱負荷の大きい場合に適した絞りの強さにしている。そのため、熱負荷の大きい場合や小さい場合でも、どちらも最適な蒸発圧力になるように絞りの強さを調整することができる。
次に、第二の三方弁112の流出口112o_D、流出口112o_Eのどちらも閉塞させるXモードを設けた理由を説明する。第二の三方弁112は、結露防止配管43とキャピラリチューブ44の間に設けられており、圧縮機24停止時には第二の三方弁112をXモードにする。流出口112o_D、流出口112o_Eのどちらも閉塞されるので、第二の三方弁112よりも上流側と下流側の冷媒流路を閉塞することができる。そのため、圧縮機24から結露防止配管43までの高温冷媒が、圧縮機24停止時に蒸発器7に流入できなくなり、高温冷媒による貯蔵室内の熱負荷の増加を抑えることができる。すなわち、Xモードを備えた第二の三方弁112を使用することで、新たな弁を用いることなく、実施例1の二方弁100と同等の効果を得られる。機械室19のサイズは,基本的には冷蔵庫1の幅によって決まり,機械室19には弁の他に圧縮機24や貯蔵室外放熱器41等も設置するため,弁は2個以内が望ましい。また、弁の増加によって生じるコストの増加も抑えることができる。
また、本実施例の冷蔵庫1では、結露防止配管43と冷媒合流部201の間に、逆止弁210を備えている。第一の冷媒流路Aに冷媒を流す場合と、第二の冷媒流路Bに冷媒を流す場合の放熱量を比較すると、結露防止配管43で放熱も行う第一の冷媒流路Aの方が放熱量は多く、凝縮圧力が低くなり易い。そのため、第一の三方弁111をAモードからBモードに切り換えると、第一の冷媒流路Aの時の、比較的低い凝縮圧力になっている結露防止配管43に対し、冷媒が流れる冷媒合流部201内の圧力は、第二の冷媒流路Bの時の比較的高い凝縮圧力となる。また、結露防止配管43に冷媒を流さない場合には、結露防止配管43内に滞留する冷媒の温度は、隣接する冷凍室60によって低温となるので、さらに圧力が低下していく。そのため、逆止弁210を備えていないと、冷媒合流部201から、圧力の低い結露防止配管43側に冷媒が流れ、結露防止配管43に滞留する冷媒量が増えてしまう。その結果、循環できる冷媒が不足して冷却能力が低下するので、逆止弁210を備えて結露防止配管43に冷媒が流れ込まないようにしている。
以上が図14に示した実施例3の冷蔵庫が有する効果である。次に、この効果と同様な効果が得られる冷凍サイクルの構成(冷媒流路)の変形例を図15a、図15b、図15cに示す。
(変形例1)
図15aは、四方弁130と三方弁113を用いた、実施例3の変形例1に関する冷凍サイクルを説明する図である。図15aに示す冷蔵庫1では、実施例3の冷蔵庫の第一の三方弁111と逆止弁120の代わりに四方弁130を設け、第二の三方弁112の代わりに三方弁113を設けている。四方弁130は流入口130_iと、流出口130_A1、流入口130_A2、流出口130_Cを備えている。四方弁130は3つのモードを備え、流入口130_iと流出口130_A1とを連通させ、流入口130_A2と流出口130_Cとを連通させるAモード、流出口130_A1と流入口130_A2とを閉塞させ、流入口130_iと流出口130_Cとを連通させるBモード、流出口130_A1と流入口130_A2の両方、又は何れか一方を流入口110iと連通させ、流出口130_Cを閉塞させたXモードを備えている。流入口130_iは冷媒配管74により壁面放熱管72と接続されている。流出口130_A1は冷媒配管90により結露防止配管43と接続され、流入口130_A2は冷媒配管91により結露防止配管43の他端と接続されている。流出口130_Cは冷媒配管86によりドライヤ45と接続されている。三方弁113は、流入口113iと、流出口113o_Dと、流出口113o_Eを備えており、流入口113iと流出口113o_Dとを連通させるDモードと、流入口113iと流出口113o_Eとを連通させるEモードの2つのモードを備えている。
四方弁130をAモードで運転する場合、流入口130_iから四方弁130に入った冷媒は、流出口130_A1から冷媒配管90を介して結露防止配管43に流れ、結露防止配管43から冷媒配管91を介して流入口130_A2、流出口130_Cの順に流れていく。一方、四方弁130をBモードで運転する場合、流入口130_iから四方弁130に入った冷媒は、流出口130_Cに直接流れ、結露防止配管43側には冷媒が流れない。
以上の構成により、図15aに示す冷蔵庫では、結露防止配管43に冷媒を流す第一の冷媒流路Aと結露防止配管43をバイパスさせる第二の冷媒流路Bの切り換えを、四方弁130のAモードとBモードの切り換えにより実現している。また、Bモード時には流出口130_A1と流入口130_A2とを閉塞させることで、実施例3の逆止弁210と同様に、結露防止配管43に冷媒が滞留することによる冷媒不足を防いでいる。
さらに、四方弁130はXモードを備え、圧縮機24を停止した時には、四方弁130をXモードにしている。これにより、実施例1における二方弁110の閉モードや、実施例3における三方弁112のXモードと同様に、結露防止配管43とキャピラリチューブ44間の冷媒流路を閉塞できるので、放熱側の高温冷媒が、圧縮機24を停止した時に蒸発器7に流れることを抑える効果も得られる。
また、四方弁130は、Xモードの時に、流出口130_A1と流入口130_A2の両方又は何れか一方を流入口130_iと連通するように構成している。これにより、実施例3の冷蔵庫で、圧縮機24停止時に三方弁111をAモードにしているのと同様の効果を得ている。すなわち、結露防止配管43が低温になると、結露防止配管43内に四方弁130よりも上流側の高温の冷媒が流れてくることにより、結露を抑制し易くしている。
なお四方弁130にXモードを備えない場合でも、三方弁113を図14で示した三方弁112と同様のXモードを備える三方弁とすれば、圧縮機24停止時に四方弁130をAモード、三方弁113をXモードとすることで同様の効果が得られる。
(変形例2)
次に図15bの冷凍サイクル構成について説明する。図15bは、五方弁140を用いた、実施例3の変形例2に関する冷凍サイクルの構成を説明する図である。図15bに示す冷蔵庫では、図14に示した実施例3の冷蔵庫における第一の三方弁111、逆止弁120、第二の三方弁112の代わりに、五方弁140を備えている。五方弁140は流入口140_iと、流出口140_A1、流入口140_A2、流出口140_D、流出口140_Eを備えている。
五方弁140は、A−Dモード、A−Eモード、B−Dモード、B−Eモード、さらにXモードの5つのモードを備えている。A−Dモードでは、流入口140_iと流出口140_A1とを連通させ、流入口140_A2と流出口140_Dとを連通させている。A−Eモードでは、流入口140_iと流出口140_A1とを連通させ、流入口140_A2と流出口140_Eとを連通させている。B−Dモードでは流入口140_iと流出口140_Dとを連通させ、B−Eモードでは流入口140_iと流出口140_Eとを連通させ、流出口140_A1と流出口140_A2はB−Dモード、B−Eモードのどちらのモードにおいても閉塞させている。またXモードは流出口140_A1と流入口140_A2の両方又は何れか一方を流入口140_iと連通させ、流出口140_Dと流出口140_Eは閉塞させている。
流入口140_iは、冷媒配管75によりドライヤ45と接続されている。流出口140_A1は、冷媒配管90により結露防止配管43と接続されており、流入口140_A2は冷媒配管91により、同じく結露防止配管43と接続されている。流出口140_Dは冷媒配管88により第四のキャピラリチューブ44dと接続され、流出口140_Eは冷媒配管89により第五のキャピラリチューブ44eと接続されている。その他は、図14と同様である。
五方弁140をA−Dモード及びA−Eモードとした場合、流入口140_iから五方弁140内に流入した冷媒は、流出口140_A1から冷媒配管90を介して結露防止配管43に流れ、結露防止配管43から冷媒配管91を介して流入口140_A2から五方弁140内に再び流入する。そして、A−Dモードでは流出口140_Dから第四のキャピラリチューブ44dに流れ、A−Eモードでは流出口140_Eから第五のキャピラリチューブ44eに流れていく。
一方、五方弁140をB−Dモードとした場合、流入口140_iから五方弁140内に流入した冷媒は、流出口140_Dを介して直接第四のキャピラリチューブ44dに流れ、B−Eモードでは流入口140_iから流入した冷媒が流出口140_Eから直接第五のキャピラリチューブ44eに流れるので、B−Dモード及びB−Eモードでは結露防止配管43側に冷媒が流れない。
以上の構成から、図15bの五方弁140は、一つの冷媒流路制御手段で、[A−Dモード又はA−Eモード]と、[B−Dモード又はB−Eモード]を切り換えることで、第一の冷媒流路Aと第二の冷媒流路Bを切り換える。また、[A−Dモード又はB−Dモード]と、[A−Eモード又はB−Eモード]を切り換えることで、絞りの異なる第四のキャピラリチューブ44dと第五のキャピラリチューブ44eを切り換える。これにより、加熱量と蒸発圧力を制御することができる。また、五方弁140にXモードを設けることで、結露防止配管43から蒸発器7への冷媒流路を閉塞することができるので、圧縮機24を停止した時には五方弁140をXモードにして、圧縮機24から結露防止配管43までの高温の冷媒が蒸発器7に流れないようにしている。したがって、五方弁140により、結露防止配管による加熱量の制御と、蒸発器への高温冷媒の流入抑制と、蒸発圧力の制御を行うことができ、図14に示した冷蔵庫と同様に、省エネルギー性能の高い冷蔵庫を得られる。
(変形例3)
次に、図15cの冷凍サイクル構成について説明する。図15cは、四方弁130と膨張弁121を用いた、実施例3の変形例3に関する冷凍サイクルの構成を説明する図である。図15cに示す冷蔵庫では、図14に示した冷蔵庫における第一の三方弁111と逆止弁120の代わりに、四方弁130を備え、第二の三方弁112と第四のキャピラリチューブ44d、第五のキャピラリチューブ44eの代わりに、膨張弁121と第三のキャピラリチューブ44cを備えている。膨張弁121は冷媒配管87と冷媒配管79によりドライヤ45と第三のキャピラリチューブ44cに接続され、第三のキャピラリチューブ44cの他端は冷媒配管82により蒸発器7と接続されている。その他の配管の接続と、四方弁130は図15aと同様のもので、説明は省略する。
本実施例の膨張弁121は、冷媒配管87と冷媒配管79との間での減圧を極力抑えて連通させる開モードと、冷媒流路を縮小させて冷媒配管79と冷媒配管80の間で減圧させる減圧モードを備えている。また、減圧モードには複数の段階を設けており、膨張弁121の絞りの強さを細かく調整することができる。第三のキャピラリチューブ44cの絞りの強さは熱負荷の大きい場合に適切な減圧量を得られるように調整されている。熱負荷が小さい場合には膨張弁121を減圧モードにして、膨張弁121と第三のキャピラリチューブ44cの二つの減圧手段で、適切な蒸発圧力になるようにしている。
以上の構成から、結露防止配管43による加熱量を四方弁130のAモードとBモードの切り換えにより制御し、膨張弁121により冷媒の蒸発圧力を制御することができる。さらに、図15cに示す冷蔵庫は、四方弁130がXモードを備えており、圧縮機24を停止した時に四方弁130をXモードとすることで、圧縮機24から結露防止配管43までの高温の冷媒が、圧縮機24を停止した時に蒸発器7へと流入することを抑制することができる。すなわち、結露防止配管による加熱量の制御と、蒸発器への高温冷媒の流入抑制と、蒸発圧力の制御を行うことができ、図14に示した冷蔵庫と同様に、省エネルギー性能の高い冷蔵庫を得られる。なお、四方弁130がXモードを備えていない場合においても、膨張弁121に冷媒流路を閉鎖させる閉モードを設けて、圧縮機24停止時に四方弁130をAモード、膨張弁121を閉モードとすることで、同様の効果を得ることができる。
以上が、実施例1から3の冷蔵庫である。
なお、本発明は前述した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前述した各実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、本明細書中で記載した実施例では、冷媒流路制御手段を2個以内と比較的少ない個数で前述の効果を得られる冷媒流路を形成している。同様の冷媒流路を形成できれば、必ずしもこの冷媒流路制御手段の個数、形態に限定するものではないが、冷媒流路制御手段を設置するスペースやコストなどを考えると、本実施例のように、できる限り少ない冷媒流路制御手段にすることが望ましい。また、逆止弁は二方弁等の冷媒流路制御手段で代用してもよい。また各実施例における各冷媒流路制御手段が備えるモードは、最小限のみを記載しており、例えば図13に示した実施例2の三方弁111は、Aモード、Bモード、2つのモードのみを備えているが、図3で示した三方弁110のOモードや、図14で示した三方弁112のXモードを備えていても構わない。