JP2015011873A - コネクタ及びワイヤハーネス - Google Patents

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JP2015011873A
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Jun Umezu
潤 梅津
鈴木 幸雄
Yukio Suzuki
幸雄 鈴木
隆徳 小室
Takanori Komuro
隆徳 小室
敬浩 二ツ森
Keiko Futatsumori
敬浩 二ツ森
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Abstract

【課題】 シール部材の熱膨張に起因するターミナルハウジングの変形を防止し、気密性を維持する。
【解決手段】 複数のケーブルの端部が挿入されるターミナルハウジングと、ターミナルハウジングのケーブル挿入側の端部に形成された収容部内に収容され、収容部の内周とケーブルの外周とにそれぞれ接触することで、収容部とケーブルとの間を気密に封止するシール部材と、収容部の外周に係止する係止片を有し、係止片が収容部の外周に係止することで収容部の開口を塞ぎ、収容部からのシール部材の脱落を防止するテールプレートと、係止片が係止した収容部の外周を囲うように設けられる囲い体と、を備え、収容部の外周とこれに対向する係止片の一面とが接触し、かつ、係止片の他面とこれに対向する囲い体の内周とが接触するように構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばハイブリッド車や電気自動車等のエコカーに用いられ、特に、大容量の電力を伝達する電力ハーネス等に採用される可能性のあるコネクタ及びワイヤハーネスに関する。
自動車用ワイヤハーネスの構成部品であるコネクタにおいては、その内部への水分や油分等の浸入を防止するため、気密性の確保が求められる。特許文献1には、コネクタの構成部品であるターミナルハウジングと、ターミナルハウジング内に挿入されるケーブルの端部との間に、弾性ゴム等からなるシール部材を設けることで、気密性を確保する技術が開示されている。
特開2012−204084号公報
自動車用コネクタの中でも、特にエコカー用のコネクタにおいては、小型化、軽量化が求められる。そのため、例えばターミナルハウジングを樹脂により成形し、さらに、その肉厚を薄肉化する手法が検討されている。しかしながら、ターミナルハウジングを薄肉化させた場合、その内部に収容されるシール部材の材料や、コネクタの使用条件によっては、ターミナルハウジングの一部、特に、シール部材を収容する部位(以下、単に収容部とも呼ぶ)に変形が生じる可能性があることを、発明者等は発見した。
例えば、シール部材の材料として、熱膨張率が大き過ぎる材料、つまり、設計基準を満たさない材料が用いられた場合、通電等によってコネクタやケーブルの温度が上昇することで、シール部材が過剰に熱膨張してしまう可能性がある。また、例えば、コネクタに対して設計を超える過剰な電力が長時間流された場合、コネクタやケーブルの温度が上昇し過ぎ、シール部材が過剰に熱膨張してしまう可能性がある。このようなシール部材の過剰な熱膨張状態が長時間続いたり、繰り返されたりすると、ターミナルハウジングの収容部が、シール部材からの膨張応力を受けて変形してしまう可能性がある。シール部材の収容部に生じた変形は、コネクタの気密性を低下させる一つの要因となり得る。
本発明の目的は、シール部材の熱膨張に起因するターミナルハウジングの変形を防止することができ、気密性を維持することが可能なコネクタ及びワイヤハーネスを提供することにある。
本発明の一態様によれば、
複数のケーブルの端部が挿入されるターミナルハウジングと、
前記ターミナルハウジングのケーブル挿入側の端部に形成された収容部内に収容され、前記収容部の内周と前記ケーブルの外周とにそれぞれ接触することで、前記収容部と前記ケーブルとの間を気密に封止するシール部材と、
前記収容部の外周に係止する係止片を有し、前記係止片が前記収容部の外周に係止することで前記収容部の開口を塞ぎ、前記収容部からの前記シール部材の脱落を防止するテールプレートと、
前記係止片が係止した前記収容部の外周を囲うように設けられる囲い体と、を備え、
前記収容部の外周とこれに対向する前記係止片の一面とが接触し、かつ、前記係止片の他面とこれに対向する前記囲い体の内周とが接触するように構成されているコネクタが提供される。
本発明の他の態様によれば、
複数の第1接合端子が整列されて収納される第1ターミナルハウジングと、
複数のケーブルの端部にそれぞれ設けられた第2接合端子が整列されて収納される第2ターミナルハウジングと、を備え、
前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとを嵌合させると、前記複数の第1接合端子と前記複数の第2接合端子とのそれぞれが電気的に接続されるコネクタにおいて、
前記第2ターミナルハウジングのケーブル挿入側の端部に形成された筒状の収容部内に収容され、前記収容部の内周と前記ケーブルの外周とにそれぞれ接触することで、前記収容部と前記ケーブルとの間を気密に封止するシール部材と、
前記収容部の外周に係止する係止片を有し、前記係止片が前記収容部の外周に係止することで前記収容部の開口を塞ぎ、前記収容部からの前記シール部材の脱落を防止するテールプレートと、
前記係止片が係止した前記収容部の外周を囲うように設けられる囲い体と、を備え、
前記収容部の外周とこれに対向する前記係止片の一面とが接触し、かつ、前記係止片の他面とこれに対向する前記囲い体の内周とが接触することで、前記収容部の変形を抑制するように構成されているコネクタが提供される。
好ましくは、
前記開口は、少なくとも一対の平行線を有する長円形或いは矩形に構成されており、
前記係止片の一面は、前記平行線を構成する一対の前記収容部の外周のそれぞれに接触している。
また好ましくは、
前記係止片の一面は、前記平行線を構成する一対の前記収容部の外周の中央部のそれぞれに接触している。
また好ましくは、
前記係止片は、前記平行線を構成する一対の前記収容部の外周のそれぞれに少なくとも2カ所ずつ接触するよう複数設けられ、
前記テールプレートは、前記平行線上で互いに隣り合う2つの前記係止片を前記収容部の外周に沿って連結する連結片をさらに有し、
前記係止片或いは前記連結片のうち少なくともいずれか一つの一面が、前記平行線を構成する一対の前記収容部の外周の中央部のそれぞれに接触している。
また好ましくは、
前記第2ターミナルハウジングのうち少なくとも前記収容部は樹脂からなり、
前記囲い体は金属からなる。
本発明のさらに他の態様によれば、
複数のケーブルと、
複数の前記ケーブルの端部が挿入されるターミナルハウジングと、
前記ターミナルハウジングのケーブル挿入側の端部に形成された収容部内に収容され、前記収容部の内周と前記ケーブルの外周とにそれぞれ接触することで、前記収容部と前記ケーブルとの間を気密に封止するシール部材と、
前記収容部の外周に係止する係止片を有し、前記係止片が前記収容部の外周に係止することで前記収容部の開口を塞ぎ、前記収容部からの前記シール部材の脱落を防止するテールプレートと、
前記係止片が係止した前記収容部の外周を囲うように設けられる囲い体と、を備え、
前記収容部の外周とこれに対向する前記係止片の一面とが接触し、かつ、前記係止片の他面とこれに対向する前記囲い体の内周とが接触するように構成されている
ことを特徴とするワイヤハーネス。
本発明によれば、シール部材の熱膨張に起因するターミナルハウジングの変形を防止することができ、気密性を維持することが可能なコネクタ及びワイヤハーネスを提供することが可能となる。
(a)は本発明の一実施形態に係るコネクタの平面図、(b)はその断面図である。 図1のコネクタにおける第1コネクタ部の断面図である。 (a),(b)は図1のコネクタにおけるバスバ端子の斜視図である。 図1のコネクタにおける第2コネクタ部を示す図であり、(a)は断面図、(b)は(a)の断面図を斜めから見た図である。 (a)は図4の第2コネクタ部の正面図、(b)は斜視図(一部を破断面で示している)である。 図1のコネクタにおける第2接合端子を示す図であり、(a)は側面図、(b)は上面図である。 図1のコネクタにおける第2接合端子を示す図であり、(a)は側面図、(b)は上面図である。 図4(a)のA−A線断面図である。 図1のコネクタにおいて、嵌合時の誤挿入を防止する様子を説明する図である。 図1のコネクタにおける接続部材の斜視図である。 (a)〜(d)は、図10の接続部材の回動動作を説明する図である。 (a)は図4の第2コネクタ部の気密部近傍の拡大断面図であり、(b)はパッキンの斜視図、(c)はテールプレートの斜視図である。 図4の第2コネクタ部の組み立て手順を説明する図であり、(a)は樹脂成形体を第2ターミナルハウジングに固定し、樹脂成形体の収容部にパッキンを収容したときの斜視図、(b)は(a)の斜視図の一部を断面表示した図である。 図4の第2コネクタ部の組み立て手順を説明する図であり、樹脂成形体にテールプレートを取り付けたときの斜視図である。 図4の第2コネクタ部の組み立て手順を説明する図であり、(a)は第2ターミナルハウジングに囲い体としてのシールド体を取り付けたときの斜視図、(b)は(a)の斜視図の一部を断面表示した図である。 (a),(b)は本発明の他の実施形態に係るテールプレートの斜視図である。
シール部材の熱膨張に起因するターミナルハウジングの変形を防止するには、ターミナルハウジング自体の設計を変更すること、例えば、シール部材を収容する収容部の肉厚を増やしたり、収容部にリブやフランジ等の補強構造を追加したりすることも、一つの手法として考えられる。しかしながら、ターミナルハウジングの肉厚を増やすことは、コネクタの軽量化という本来の目的を損ねてしまう恐れがある。また、収容部への補強構造の追加は、いわゆるヒケやボイド等の樹脂成形上の課題を引き起こし易く、また、樹脂成形に用いる金型の設計変更が必要になる等、コスト的な課題も引き起す恐れがある。
そこで、発明者等は、ターミナルハウジング自体の設計変更を伴わずに上述の課題を解決する手法について、鋭意検討を行った。
特許文献1に記載のコネクタについて検討を行ったところ、係るコネクタは、シール部材の脱落を目的としてテールプレートを備えており、テールプレートに設けられた係止片が収容部の外周に係止するように構成されていた。また、特許文献1に記載のコネクタには、テールプレートが備える係止片の解除防止を兼ねるように設計された筒状のシールド体が設けられていた。
しかしながら、特許文献1において、テールプレートが備える係止片は、あくまで、ターミナルハウジングに対するテールプレートの係止を目的として設計されたものであり、ターミナルハウジングの変形を防止するようには構成されていなかった。また、シールド体も、テールプレートの係止片の解除防止を兼ねるように設計されているものの、ターミナルハウジングの変形を防止するようには構成されていなかった。詳しく調べたところ、特許文献1に記載のコネクタでは、テールプレートの係止片とシールド体との間に、所定の隙間(遊び)が設けられていた。すなわち、シール部材の膨張応力を、テールプレートの係止片が単独で受けるように構成されていた。
発明者等は、鋭意検討の結果、ターミナルハウジングとテールプレートの係止片との間、及びテールプレートの係止片とシールド体との間をそれぞれ接触させることにより、つまり、ターミナルハウジングの膨張応力を、テールプレートの係止片とシールド体との両方の部材で受けることにより、上述の課題を解決可能との知見を得た。また、係る手法によれば、ターミナルハウジング自体の設計変更を伴わずに、また、新規部品を追加することなく、上述の課題を解決可能との知見も得た。以下、発明者等が得たこれらの知見に基づく本発明の実施形態について、具体的に説明する。
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態を、図1を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るコネクタ1は、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とを備えている。コネクタ1は、第1コネクタ部2と第2コネクタ3とを嵌合させることにより、複数の電源ラインを一括して接続させるように構成されている。
第1コネクタ部2は、複数の第1接合端子4a〜4cと、第1接合端子4a〜4cが整列されて収納される第1ターミナルハウジング5と、を備えている。第2コネクタ部3は、複数の第2接合端子6a〜6cと、第2接合端子6a〜6cが整列されて収納される第2ターミナルハウジング7と、第2ターミナルハウジング7内に整列されて収納され、第2接合端子6a〜6c間を絶縁する複数の絶縁部材8a〜8dと、を備えている。第1ターミナルハウジング5と第2ターミナルハウジング7とを嵌合させると、その内部において、複数の第1接合端子4a〜4cの一面のそれぞれと、複数の第2接合端子6a〜6cの一面のそれぞれとが対となるように、つまり、第1接合端子4aと第2接合端子6a、第1接合端子4bと第2接合端子6b、第1接合端子4cと第2接合端子6cがそれぞれ対になるように対面し、複数の接点が構成される。また、このとき、第1接合端子4a〜4cと第2接合端子6a〜6cとが交互に配置され、かつ、絶縁部材8a〜8dにより各接点が挟まれた積層構造が構成される。
以下の説明では、積層構造において第1接合端子4a〜4c、第2接合端子6a〜6c、絶縁部材8a〜8dが積層される方向(図1(b)における上下方向)を「積層方向」とも呼ぶ。また、2つのターミナルハウジング5,7を嵌合させる方向(図1(b)における左右方向)を「嵌合方向」とも呼ぶ。また、積層方向と嵌合方向との両者に垂直な方向(図1(b)における紙面方向)を「幅方向」とも呼ぶ。
コネクタ1では、第1ターミナルハウジング5と第2ターミナルハウジング7とを嵌合させたとき、第1ターミナルハウジング5の先端部(図1(b)における右側の部分)が第2ターミナルハウジング7内に挿入される。つまり、第1コネクタ部2はオスコネクタとして、第2コネクタ部3はメスコネクタとしてそれぞれ構成されている。
コネクタ1は、例えば、車両駆動用のモータと該モータを駆動するインバータとの電気的な接続に用いられる。本実施形態では、具体的な接続例として、第1コネクタ部2をモータに設けると共に、第2コネクタ部3をインバータから引き出されたケーブル66a〜66cに設ける。そして、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とを接続することにより、モータとインバータとを電気的に接続する。主に、第1コネクタ部2、第2コネクタ部3、ケーブル66a〜66cにより、本実施形態にかかるワイヤハーネスが構成される。
以下、第1コネクタ部2、第3コネクタ部の構成について順に説明する。
[第1コネクタ部]
まず、第1コネクタ部2の構成について説明する。
第1コネクタ部2は、図1、図2に示すように、第1ターミナルハウジング5と、接続部材9と、を備えている。第1ターミナルハウジング5は、その内部に、第1接合端子4a〜4cを所定間隔で離間させた状態で整列させて保持するように構成されている。接続部材9は、第1ターミナルハウジング5と第2ターミナルハウジング7とを嵌合させて上述の積層構造を構成した際、接続部材9に隣接することになった絶縁部材8aを、積層方向に沿って押圧することが可能なように構成されている。第1ターミナルハウジング5と第2ターミナルハウジング7とを嵌合させた後、接続部材9によって絶縁部材8aを押圧することで、第1接合端子4a〜4cと第2接合端子6a〜6cとを各接点にて一括して固定し、電気的に接続させることが可能なように構成されている。
第1接合端子4a〜4cは、図1〜図3に示すように、積層方向に対して垂直な面を有する板状の端子形状に形成されている。なお、第1接合端子4a〜4cは、それぞれ、図3に示すバスバ端子65の先端側に設けられている。図3(a)は、先端部に第1接続端子4a,4cを有するバスバ端子65の全体構造を、図3(b)は、先端部に第1接続端子4bを有するバスバ端子65の全体構造を示している。
バスバ端子65の基端側には、それぞれ、機器側接合端子60a〜60cが設けられている。機器側接合端子60a〜60cには、それぞれ、第1ターミナルハウジング5が取り付けられる機器(ここではモータ)から引き出されたケーブルが、電気的に接続される。機器側接合端子60a〜60cは、少なくともその端部が第1ターミナルハウジング5の外部に突出するように設けられる。機器側接合端子60a〜60cの端部の幅方向中央部には、それぞれ、穴69が形成されている。穴69は、機器側接合端子60a〜60cの先端部に、モータから引き出されたケーブルに設けられた端子(以下、機器側端子とも呼ぶ)等を接続するボルトを通すためのものである。
機器側接合端子60a〜60cは、積層方向と嵌合方向との両者に対して平行な面(つまり、幅方向に対して垂直な面)を有する板状の端子形状に形成されている。つまり、第1接合端子4a〜4cにおける板状の端子形状の面と、機器側接合端子60a〜60cにおける板状の端子形状の面とは、嵌合方向正面から見ると90°の角度をなしている。機器側接合端子60a〜60cは、第1ターミナルハウジング5に設けた端子台71上に、積層方向に整列させた状態で保持される。端子台71の詳細な構造については後述する。
第1接合端子4a〜4cと機器側接合端子60a〜60cとの間には、平面変更部62が形成されている。平面変更部62は、第1接合端子4a〜4c及び機器側接合端子60a〜60cの面の向きを変更させるように構成されている。平面変更部62は、少なくともその一部が横断面視で円形状に形成されている。当該円形状に形成された平面変更部62の周囲には、端子用シール部材70が設けられる。端子用シール部材70は、バスバ端子65と端子台71との間の気密を確保するように構成されている。つまり、平面変更部62は、板状の端子形状の面の向きを変更する平面変更機能と、バスバ端子65と端子台71との間で気密を確保するシール機能と、の2つの機能を兼ね備えている。仮に、平面変更部62を横断面視で矩形状(板状)となるように形成した場合、バスバ端子65と端子台71との間の気密を確保するには、端子用シール部材70を特殊な形状としたり、端子用シール部材70を特殊な材料で形成したり、バスバ端子65や端子台71の表面に防水性の樹脂を塗布したりする等の特別な対策が必要になる。これに対し、本実施形態のように、平面変更部62の少なくともその一部を横断面視で円形状に形成することで、端子用シール部材70として、通常一般に使用されている安価なゴムパッキン等を使用することが可能となる。
さらに、第1接合端子4a〜4cと機器側接合端子60a〜60cとの間には、ピッチ変換部63が形成されている。ピッチ変換部63は、積層方向におけるバスバ端子65が配置される位置に応じて、それぞれ所定の形状となるように構成されている。例えば、積層方向の中央に配置されるバスバ端子65では、図3(b)に示すように、ピッチ変換部63aが、第1接合端子4bをそのまま基端側に直線状に延長した板状の形状となるように構成されている。また、例えば、積層方向の両端に配置されるバスバ端子65では、図3(a)に示すように、ピッチ変換部63bが、平面変更部62に至る途中で積層方向の外側に折り曲げられるように構成されている。このように、第1接合端子4a〜4cの配置ピッチを小さくすることで、コネクタ1の小型化、軽量化を実現することが可能となる。また、機器側接合端子60a〜60cの配置ピッチを大きくすることで、機器側接合端子60a〜60cと機器側端子との接続を容易に行うことが可能となる。
バスバ端子65の各構成要素、つまり、機器側接合端子60a〜60c、平面変更部62、ピッチ変換部63、第1接合端子4a〜4cは、同一の部材から一体に形成してもよいし、別体として形成した後に溶接等で接合してもよい。本実施形態では、機器側接合端子60a〜60cと平面変更部62とを一体に形成すると共に、ピッチ変換部63と第1接合端子4a〜4cとを一体に形成し、その後、これらを接合部64にて一体に接合することで、バスバ端子65を形成している。
本実施形態に係るコネクタ1を、モータとインバータと間の三相交流の電源ラインの接続に用いる場合、各バスバ端子65には、120°位相の異なる交流が送電される。バスバ端子65は、コネクタ1での送電ロスを低減するため、導電率の高い金属、例えば銀、銅、アルミニウム等の金属で構成することが好ましい。また、バスバ端子65を構成する第1接合端子4a〜4cのそれぞれは、後述する接続部材9によって押圧されたときに、第2接合端子6a〜6cとそれぞれ密着することが可能なように、適度な可撓性を有することが好ましい。
各バスバ端子65は、第1インナーハウジングとしての樹脂成形体10内に、所定間隔で離間されて整列保持される。樹脂成形体10は、各バスバ端子65を互いに絶縁して短絡を防止することが出来るよう、絶縁性樹脂、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、PPA(ポリフタルアミド)樹脂、PA(ポリアミド)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂、エポキシ系樹脂等によって形成することが好ましい。なお、本実施形態において、第1インナーハウジング、つまり樹脂成形体10は、第1ターミナルハウジング5の一部という位置付けである。
本実施形態では、樹脂成形体10を略直方体形状に形成している。樹脂成形体10は、バスバ端子65における平面変更部62のピッチ変換部63側の端部から第1接合端子4a〜4cの基端部までを覆うように構成されている。各バスバ端子65は、樹脂成形体10内に予め形成しておいた溝内に嵌め込まれることで、樹脂成形体10内に固定される。ただし、バスバ端子65の固定方法はこれに限らず、例えば、樹脂成形体10の内に各バスバ端子65を挿入してから、樹脂成形体10の内部に注入した樹脂を硬化させることで行ってもよい。
また、本実施形態では、各バスバ端子65の接合部64に段差を形成し、この段差を樹脂成形体10に係合させることで、各バスバ端子65の嵌合方向の位置ずれを抑制するようにしている。つまり、接合部64は、樹脂成形体10に対する各バスバ端子65の嵌合方向の位置ずれを抑制する役割も兼ねている。
本実施形態に係る接続部材9は、第1ターミナルハウジング5に固定されるリング状の支持部91と、支持部91の中空部に上部が挿入され、支持部91に回動自在に支持される回動部92と、回動部92を回動させることにより、回動部92に対して上下方向に移動して、隣接する絶縁部材8aを押圧する押圧部93と、を備えている。
回動部92の上面(第1絶縁部材8aと反対側の面)には、レンチ等の工具を嵌合させるための異形穴(例えば星形の穴)92aが形成されている。この異形穴92a内に工具を挿入して回動部92を回動させることにより、押圧部93が回動部92に対して上下方向(積層方向、図1(b)における上下方向)に移動して、隣接する第1絶縁部材8aを押圧するように構成されている。接続部材9の詳細な構造については後述する。
本実施形態のコネクタ1では、第1コネクタ部2側に接続部材9を設け、第2コネクタ部3側に複数の絶縁部材8a〜8dを設けている。また、接続部材9に隣接する絶縁部材8aを分割し、その分割した一方の部分を接続部材9に一体に設けている。具体的には、接続部材9に隣接する絶縁部材8aを積層方向に2分割し、両コネクタ部2,3を嵌合したときに、その分割した分割絶縁部材のうち積層方向外側(図1(b)では上側)に位置する分割絶縁部材を、接続部材9に一体に設けている。
以下、本明細書では、説明の簡略化のため、分割によって接続部材9に一体に設けられる絶縁部材8aの一部を、第3絶縁部材8eと呼ぶ。また、分割後の積層方向内側に位置する分割絶縁部材(つまり第2コネクタ部3側に設けられる分割絶縁部材)のみを絶縁部材8aと呼ぶ。本実施形態に係るコネクタ1では、両コネクタ部2,3を嵌合すると、第3絶縁部材8eと絶縁部材8aとが一体となって1つの絶縁部材を構成し、接続部材9の押圧部93は、第3絶縁部材8eを介して、隣接する絶縁部材8aを押圧するように構成されている。
接続部材9の押圧部93の内側には、弾性部材15が設けられている。弾性部材15は、押圧部93の下面とその直下の第3絶縁部材8eの上面との間に設けられている。弾性部材15の下部は、第3絶縁部材8eの上面に当接している。弾性部材15は、例えばSUS等の金属からなり、第3絶縁部材8eに所定の押圧力を付与するよう構成されている。本実施形態では、押圧部93の下面に凹部93aを形成し、この凹部93a内に弾性部材15の上部を収納している。これにより、弾性部材15の長さがある程度長い場合であっても、押圧部93と第3絶縁部材8eとの間の間隔を短くすることができ、コネクタ1を小型化することが可能となる。なお、本実施形態において、弾性部材15は、接続部材9の一部という位置付けである。
第3絶縁部材8eの上面には、弾性部材15の下部を収納する(覆う)凹部16が形成されている。凹部16の底部、すなわち、弾性部材15の下部が当接する座の部分には、例えばSUS等の金属からなる受け部材17が設けられている。受け部材17を設けることで、樹脂からなる第3絶縁部材8eの損傷を防止することが可能となる。また、受け部材17と第3絶縁部材8eとの接触面積を増やすことで、弾性部材15から第3絶縁部材8eの上面に加わる応力を分散させ、第3絶縁部材8eの損傷をより確実に防止することが可能となる。本実施形態では、受け部材17を、凹部16の底部全面に亘って接触するような形状とし、受け部材17と第3絶縁部材8eとの接触面積を増やすようにしている。
第1ターミナルハウジング5は、第2ターミナルハウジング7と嵌合する側に、横断面が略矩形状の中空の筒状体20を備えている。なお、本実施形態において、筒状体20は、第1ターミナルハウジング5の一部という位置付けである。筒状体20の一端側(図2では右側)の内周部は、第2ターミナルハウジング7との嵌合性を向上させるため、テーパ形状に形成されている。また、筒状体20の一端側の外周部には、第1ターミナルハウジング5と第2ターミナルハウジング7との間の気密を確保するターミナルハウジング防水構造21が設けられている。ターミナルハウジング防水構造21は、筒状体20の一端側の外周部に沿って形成された凹部22と、この凹部22内に設けられたOリング等のパッキン23と、により構成されている。
筒状体20の他端側(図2では左側)、すなわち、第2ターミナルハウジング7と嵌合する側と反対側には、筒状の一方の開口である開口部20aが形成されている。上述したバスバ端子65の第1接合端子4a〜4cは、この開口部20aから筒状体20内に挿入される。各バスバ端子65を保持する樹脂成形体10は、この開口部20aを塞ぐように配置される。
筒状体20の他端側の外周には、フランジ24が形成されている。フランジ24には、図示しない取付孔が設けられている。この取付孔内に図示しないボルトを挿入することにより、第1コネクタ部2(筒状体20)を、機器の筐体(例えばモータのシールドケース)等に取り付けることが可能となる。フランジ24には、機器の筐体等との間で気密を確保するパッキン24bが設けられている。フランジ24を設けることにより、筒状体20、つまり第1ターミナルハウジング5の表面積を大きくすることができ、第1コネクタ部2の内部で発生した熱(例えば、各接点で発生した熱)を、効率よく外部に放出することが可能となる。なお、フランジ24は、筒状体20、つまり第1コネクタ部2側に設ける場合に限らず、第2コネクタ部3側に設けてもよいし、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3との両方に設けてもよい。
筒状体20の上部(図2では上側)には、接続部材挿入孔26が形成されている。接続部材挿入孔26内には、上述の接続部材9が挿入される。接続部材挿入孔26は、筒状(中空円筒状)に形成されている。筒状体20の内周における接続部材挿入孔26と対向する位置(図2では下側)には、挟持用台座43が形成されている。挟持用台座43は、両コネクタ部2,3を嵌合した際に、後述する絶縁部材組立体100における接続部材9に当接する面と反対側の面に当接し、接続部材9からの押圧を受けることで、接続部材9との間で絶縁部材組立体100を挟持するように構成されている。
筒状体20は、コネクタ1のシールド性向上、放熱性向上、軽量化のため、導電率、熱伝導率が高く、軽量なアルミニウム等の金属で形成することが好ましい。但し、筒状体20は、金属で形成する場合に限らず、樹脂等により形成してもよい。本実施形態では、筒状体20をアルミニウムで形成している。
筒状体20の他端側には、端子台71が設けられている。端子台71は、各バスバ端子65の機器側接合端子60a〜60cを、積層方向に整列させて保持するように構成されている。端子台71は、各バスバ端子65を互いに絶縁して短絡を防止することが出来るよう、例えば、PPS樹脂、PPA樹脂、PA樹脂、PBT樹脂、エポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂によって形成することが好ましい。
端子台71は、略直方体状の基部71a(図1(a)を参照)と、台座部71bと、を備えている。基部71aは、上述の樹脂成形体10を内部に収容すると共に、筒状体20に取り付けられるように構成されている。台座部71bは、基部71aにおける筒状体20に取り付けられる側と反対側に一体に設けられている。台座部71bは、各バスバ端子65の機器側接合端子60a〜60cの先端部を、積層方向に整列させて保持するように構成されている。
基部71aの筒状体20側の端部の外周には、パッキン72が設けられている。パッキン72は、端子台71の基部71aと筒状体20との間の気密を確保するように構成されている。
第1コネクタ部2をモータに接続する際には、端子台71の基部71aもモータのシールドケース内に挿入されることになる。このとき、基部71aの挿入を容易とするため、基部71aの積層方向の両側部には、台座部71b側から筒状体20側にかけて、徐々に幅(積層方向の幅)が広くなるテーパ部71cが形成されている。テーパ部71cは、第1コネクタ部2をモータに接続する際に、モータのシールドケースに形成された溝内に挿入されることで、シールドケースへの第1コネクタ部2の取り付けを案内するように構成されている。
基部71aの基端部(台座部71bと反対側の端部)には、一対の壁部71eが形成されている。一対の壁部71eは、筒状体20内に延出されており、第1接合端子4a〜4cを幅方向に挟み込むように、第1接合端子4a〜4cと筒状体20との間に延びている。また、壁部71eは、第1接合端子4a〜4cの側面の大部分を覆うように形成されており、第1接合端子4a〜4cから筒状体20に至る沿面距離を大きくするように構成されている。
台座部71bは、機器側接合端子60a〜60cの先端部の一面に接触し、その一面を保持するように構成されている。台座部71bの各機器側接合端子60a〜60cの下方には、基部71aと反対側が開放された凹溝(図示せず)が形成されている。この凹溝内には、機器側端子を接続する際に用いるボルトを螺合するためのナット74が挿入される。ナット74は、そのネジ穴が機器側接合端子60a〜60cの穴69と一致するように配置される。
[第2コネクタ部]
次に、第2コネクタ部3の構成について説明する。
第2コネクタ部3は、図1,図4,図5に示すように、上述した第2ターミナルハウジング7と、複数の絶縁部材8a〜8dと、を備えている。第2ターミナルハウジング7は、その内部に、複数の第2接合端子6a〜6cを所定間隔で離間された状態で整列させて保持するように構成されている。複数の絶縁部材8a〜8dは、それぞれ略直方体形状に形成されており、第2ターミナルハウジング7内に設けられることで、第2接合端子6a〜6cのそれぞれを絶縁するように構成されている。
第2接合端子6a〜6cの一端側には、インバータ側から延びたケーブル66a〜66cがそれぞれ接続されている。ケーブル66a〜66cには、各バスバ端子65に対応した電圧及び/又は電流の電力がそれぞれ送電される。ケーブル66a〜66cは、導体67と、導体67の外周に形成された絶縁層68と、を備えている。本実施形態においては、導体67として、断面積が例えば20mmの金属線を用いている。
ケーブル66a〜66cは、第2インナーハウジングとしての多連筒状の樹脂成形体30によって、所定間隔で離間されて整列保持されるように構成されている。樹脂成形体30は、複数の絶縁部材8a〜8dよりも嵌合方向後方(図示右側)の、第2ターミナルハウジング7内に設けられる。樹脂成形体30は、ケーブル66a〜66cを保持することで、第2接合端子6a〜6cを、第1接合端子4a〜4cに対応する位置にそれぞ位置決めするように構成されている。すなわち、樹脂成形体30は、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とを嵌合させた際に、第2接合端子6a〜6cを、第1接合端子4a〜4cと対となるようにそれぞれ対面させ、かつ、第1接合端子4a〜4cの上方にそれぞれ配置させるように構成されている。なお、樹脂成形体30は、各第2接合端子6a〜6cを互いに絶縁して短絡を防止することが出来るよう、例えば、PPS樹脂、PPA樹脂、PA樹脂、PBT樹脂、エポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂によって形成することが好ましい。なお、本実施形態において、第2インナーハウジング、つまり樹脂成形体30は、第2ターミナルハウジング7の一部という位置付けである。
本実施形態においては、樹脂成形体30が、第2接合端子6a〜6cを直接保持せずに、ケーブル66a〜66cを保持することで、第2接合端子6a〜6cの位置決めを間接的に行うよう構成している。この場合、ケーブル66a〜66cに所定の可撓性を持たせることにより、第2接合端子6a〜6cの先端側が第2ターミナルハウジング7に対して柔軟に動けるようになり、その結果、例えば接続部材9で押圧した際等に、第2接合端子6a〜6cの変形を抑制することが可能となる。なお、第2接合端子6a〜6cの位置決め方法は、上述の態様に限定されない。例えば、樹脂成形体30が、ケーブル66a〜66cと第2接合端子6a〜6cとを直接保持して、第2接合端子6a〜6cの位置決めを行うように構成してもよい。また、樹脂成形体30を、ケーブル66a〜66cを保持せず、第2接合端子6a〜6cを直接保持する接合端子保持部材として構成してもよい。
また、第2ターミナルハウジング7から引き出されたケーブル66a〜66cのうち、第2ターミナルハウジング7近傍の部位には、シールド性の向上を目的として、図示しない編組シールドが巻き付けられている。この編組シールドは、後述する筒状のシールド体41と電気的に接続されており、シールド体41を介して、第1ターミナルハウジング5に電気的に接続される(同電位(GND)とされる)ように構成されている。
また、第2コネクタ部3には、抜け防止機構27が備えられている。抜け防止機構27は、第2接合端子6a〜6cのそれぞれの基端部(ケーブル66a〜66cの近傍)に形成された突起27aと、樹脂成形体30の多連筒状の各筒内に突出するように設けられ、突起27aにそれぞれ係止する係止突起27bと、を備えている。抜け防止機構27を設けることで、ケーブル66a〜66cが引っ張られたり、押し込まれたりした場合に、突起27aの動きを係止突起27bによって規制することができ、樹脂成形体30からのケーブル66a〜66cの引き抜き等を防止することが可能となる。
なお、第2接合端子6a〜6cのそれぞれは、図6,図7に示すように、かしめ部45と板状接点46とを備えている。かしめ部45は、ケーブル66a〜66cの先端部から露出された導体67に接合され(導体67をかしめ)ており、導体67と第2接合端子6a〜6cとの電気的な接続等を確保するように構成されている。板状接点46は、かしめ部45と一体に形成されている。
第2接合端子6a〜6cの板状接点46には、それぞれ、ピッチ変換部47が形成されている。ピッチ変換部47は、積層方向における第2接合端子6a〜6cが配置される位置に応じて、それぞれ所定の形状に形成されている。例えば、積層方向の中央に配置される第2接合端子6bに形成されるピッチ変換部47は、板状接点46の胴部の一部を折り曲げることで形成されている。これにより、第2接合端子6bの先端部がケーブル66bの中心(積層方向における中心)に位置することとなる。また、例えば、積層方向の両端に配置される第2接合端子6a,6cに形成されるピッチ変換部47は、それぞれ、かしめ部45から第2接合端子6a,6cの先端部に至る途中で、板状接点46の胴部の一部を積層方向の内側に折り曲げることで形成されている。これにより、第2接合端子6a,6cの先端部が、それぞれ、第2接合端子6bに近寄ることとなる。このように、第2接合端子6a〜6cの配置ピッチを小さくすることで、コネクタ1の小型化、軽量化を実現することが可能となる。また、ケーブル66a〜66cの配置ピッチを大きくすることで、樹脂成形体30の端部に、後述するパッキン76を配置するスペースを確保することが可能となり、コネクタ1の気密性を向上させることが可能となる。
第2接合端子6a〜6cのそれぞれは、コネクタ1での送電ロスを低減するため、導電率の高い金属、例えば銀、銅、アルミニウム等の金属で構成することが好ましい。また、第2接合端子6a〜6cのそれぞれは、上述した接続部材9によって押圧されたときに、それぞれに対応する第1接合端子4a〜4cと密着することができるよう、適度な可撓性を有することが好ましい。
次に、複数の絶縁部材8a〜8dについて説明する。
複数の絶縁部材8a〜8dは、第2ターミナルハウジング7内に整列されて収納されている。複数の絶縁部材8a〜8dは、第1絶縁部材8a〜8cと第2絶縁部材8dとに大別される。複数の絶縁部材8a〜8dは、図8にも示すように、積層方向に順に配置される。第1絶縁部材8aは、積層方向の最も上側に配置され、第2絶縁部材8dは、積層方向の最も下側に配置される。第1絶縁部材8aは、第2接合端子6aの一面(第1接合端子4aと接合される面と反対側の面)に隣接する状態で、第2接合端子6aと一体的に設けられている。第1絶縁部材8bは、第2接合端子6bの一面(第1接合端子4bと接合される面と反対側の面)に隣接する状態で、第2接合端子6bと一体的に設けられている。第1絶縁部材8aは、第2接合端子6cの一面(第1接合端子4cと接合される面と反対側の面)に隣接する状態で、第2接合端子6cと一体的に設けられている。第2絶縁部材8dは、第2接合端子6cの他面(第2接合端子6cと接合される面と反対側の面)と対向するように設けられている。
第1絶縁部材8a〜8cは、第2接合端子6a〜6cの先端側に突出するような位置に設けられている。第1絶縁部材8a〜8cにおける第1接合端子4a〜4cが挿抜される側の角部は、それぞれ面取り加工されている。また、第2絶縁部材8dにおける第1接合端子4a〜4cが挿抜される側であって、第1絶縁部材8c側の角部も、同様に面取り加工されている。また、第1絶縁部材8a〜8cにおける第2接合端子6a〜6cが設けられる面の先端部(図示下側の面の左側端部)には、それぞれ、第2接合端子6a〜6cとの段差を補う突起部(肉盛り面)が形成されている。つまり、第2接合端子6a〜6cの先端部(図示左側端部)は、第1絶縁部材8a〜8cに設けられた突起部によってそれぞれ覆われている。また、第1絶縁部材8a〜8cの突起部の下面(図示下側の面)は、第2接合端子6a〜6cの下面(図示下側の面)と同一面となるようにそれぞれ構成されている。これらの構成により、つまり、絶縁部材8a〜8dに設けた面取り加工部と突起部とにより、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とを嵌合する際、第1接合端子4a〜4cの先端部が、それぞれ、絶縁部材8a〜8dに設けられた面取り加工部によって案内されて挿入されると共に、第2接合端子6a〜6cの先端部と接触しなくなり、挿入性を向上させることが可能となる。なお、第2接合端子6a〜6cの先端部が絶縁部材8a〜8dにより覆われているため、第2接合端子6a〜6cに作業員の指等が接触してしまうことも防止できる。つまり、絶縁部材8a〜8dは、第2接合端子6a〜6cに異物が接触してしまうことを防止する接触防止手段としての役割も果たしている。
本実施形態に係るコネクタ1では、各絶縁部材8a〜8dをそれぞれ連結し、各絶縁部材8a〜8d同士の嵌合方向および幅方向の動きを規制して、絶縁部材組立体100を構成している。
絶縁部材組立体100は、図4,図5,図8に示すように、各絶縁部材8a〜8dを積層方向に順次連結することで構成される。つまり、絶縁部材組立体100は、第1絶縁部材8aと第1絶縁部材8b、第1絶縁部材8bと第1絶縁部材8c、第1絶縁部材8cと第2絶縁部材8dをそれぞれ連結することで構成される。
第1絶縁部材8a〜8cには、それぞれ、連結片81が一体に形成されている。連結片81は、第1絶縁部材8a〜8cの幅方向の両端部から積層方向に延びている。第1絶縁部材8aの連結片81は、第2接合端子6aを幅方向に挟み込む(抱き込む)ように形成されている。同様に、第1絶縁部材8bの連結片81は、第2接合端子6bを幅方向に挟み込むように形成されており、第1絶縁部材8cの連結片81は、第2接合端子6cを幅方向に挟み込むように形成されている。また、第1絶縁部材8bの両側面には、第1絶縁部材8aの連結片81を積層方向にスライド自在に収容する連結溝82が形成されている。同様に、第1絶縁部材8cの両側面には、第1絶縁部材8bの連結片81を積層方向にスライド自在に収容する連結溝82が形成されており、第1絶縁部材8dの両側面には、第1絶縁部材8cの連結片81を積層方向にスライド自在に収容する連結溝82が形成されている。
第1絶縁部材8aの連結片81を第1絶縁部材8bの連結溝82内に、第1絶縁部材8bの連結片81を第1絶縁部材8cの連結溝82内に、第1絶縁部材8cの連結片81を第2絶縁部材8dの連結溝82内にそれぞれ収容することで、絶縁部材組立体100が構成される。絶縁部材組立体100を構成する絶縁部材8a〜8dは、それぞれ、積層方向に相対的に移動可能な状態で連結される。
連結溝82の嵌合方向の幅は、収容する連結片81の嵌合方向の幅と略等しくなるように形成されている。これにより、絶縁部材8a〜8d同士の嵌合方向の動きを規制することが可能となる。また、第1絶縁部材8a〜8cの幅方向の両端部に形成された連結片81を、対向する絶縁部材8b〜8dの両側面に形成された連結溝82内に収容することで、対向する絶縁部材8b〜8dを連結片81で幅方向に挟み込む状態となる。これにより、絶縁部材8a〜8d同士の幅方向の動きを規制することが可能となる。
各連結片81の基端部には、嵌合溝83が互いに対向するようにそれぞれ形成されている。この嵌合溝83内に第2接合端子6a〜6cを嵌合することで、第1絶縁部材8a〜8cが第2接合端子6a〜6cに設けられる。これにより、第1絶縁部材8a〜8cは、第2接合端子6a〜6c、ケーブル66a〜66c、樹脂成形体30を介して第2ターミナルハウジング7に保持される。また、第1絶縁部材8a〜8cは、第2ターミナルハウジング7に対して位置決めされる。
なお、第2絶縁部材8dには、突起84が一体に形成されている。突起84は、第2絶縁部材8dの幅方向における両側面からそれぞれ幅方向外方に突出している。突起84は、絶縁部材組立体100が構成されたとき、対向する第1絶縁部材8cの連結片81を受けるように構成されている。
本実施形態では、上述の絶縁部材組立体100を積層方向に挟み込む一対の規制突起85を設けている。規制突起85は、それぞれ、樹脂形成体30の嵌合方向前方(図4(a)では左側)から突出するように、また、断面視が略矩形状になるように、樹脂形成体30と一体に形成されている。一対の規制突起85は、絶縁部材組立体100の幅方向の端部に位置する連結片81と突起84とを、積層方向に挟み込むように構成されている。一対の規制突起85を設けることで、第2接合端子6a〜6cと絶縁部材8b〜8dとの間の隙間に第1接合端子4a〜4cを挿入する際に、絶縁部材組立体100が積層方向に広がろうとする動きを規制することが可能となる。なお、規制突起85は二対以上設けてもよい。
また、本実施形態では、絶縁部材組立体100を構成する絶縁部材8a,8dに係合溝86をそれぞれ形成すると共に、これらの係合溝86にそれぞれ係止する一対の係合爪87を設けている。係合溝86は、絶縁部材組立体100の積層方向の両端に位置する絶縁部材8a,8dの嵌合方向後方(図4(b)では右側)にそれぞれ形成されている。係合爪87は、樹脂形成体30の嵌合方向前方から突出するように、樹脂形成体30と一体に形成されている。係合爪87を係合溝86にそれぞれ係合させることで、絶縁部材組立体100を樹脂成形体30に固定することが可能となる。これにより、絶縁部材組立体100を例えば嵌合方向前方に引っ張ったとしても、第2接合端子6a〜6cからの絶縁部材組立体100の脱落を防止することが可能となる。
さらに、本実施形態では、絶縁部材組立体100に端子保護部材88を設けている。端子保護部材88は、絶縁部材組立体100における第1接合端子4a〜4cが挿入される隙間の幅方向両端からそれぞれ突出するように設けられている。具体的には、端子保護部材88は、連結片81から嵌合方向前方に突出し、連結片81と連続するように形成されている。また、端子保護部材88は、絶縁部材8a〜8dの先端において、少なくとも面取り加工がなされた部分の基端部まで延びるように形成されている。端子保護部材88を設けることで、図9に示すように、例えば、第1ターミナルハウジング5を第2ターミナルハウジング7内に斜めに挿入してしまった場合でも、端子保護部材88が第1ターミナルハウジング5の縁部に干渉し、第1ターミナルハウジング5が第2接合端子6a〜6cと絶縁部材8b〜8dとの間の隙間に誤って挿入されてしまうことを防止できる。また、これにより、第2接合端子6a〜6cの損傷や、作業者の感電等も防止できる。
さらに、本実施形態では、各絶縁部材8a〜8dの先端面の中央部(積層方向の中央部)に、嵌合方向前方に突出する突起89をそれぞれ設けている。突起89は、幅方向に沿って延びると共に、絶縁部材8a〜8cの側面まで回り込んで端子保護部材88の先端部まで延びるように形成されている。第2絶縁部材8dにおいては、両突起84,89が連続して形成されている。突起89を設けることで、隣り合う接点間(あるいは接点と第1ターミナルハウジング5との間)の沿面距離を大きくし、短絡を防止することが可能となる。なお、上述の端子保護部材88についても同様に、各接点の側面を覆うことで、隣り合う接点間(あるいは接点と第1ターミナルハウジング5との間)の沿面距離を大きくし、短絡を防止する役割を果たしている。
第2ターミナルハウジング7は、横断面が略矩形状の中空の筒状体36を備えている。第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とを嵌合させる場合は、第2ターミナルハウジング7の筒状体36内に第1ターミナルハウジング5の筒状体20が嵌合される。このため、筒状体36の一端側(図4(a)では左側)の内周部は、筒状体20との嵌合性を考慮してテーパ形状に形成されている。
筒状体36の他端側(図4(a)では右側)には、ケーブル66a〜66cを整列させて保持する上述の樹脂成形体30が収納されている。樹脂成形体30の嵌合方向前方の外周部には、パッキン38が設けられている。パッキン38は、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とを嵌合させたときに、第1ターミナルハウジング5の内周面に当接するように構成されている。つまり、コネクタ1は、ターミナルハウジング防水構造21のパッキン23と、樹脂成形体30の外周部に設けられたパッキン38と、による二重防水構造を有している。さらに、ケーブル66a〜66cが引き出される筒状体36の他端側の外周には、図示していないが、筒状体36内への水の浸入を防止するゴムブーツが被せられている。
また、筒状体36の上部(図4(a)における上側)には、接続部材操作用孔40が形成されている。接続部材操作用孔40内には、第2コネクタ部3と第1コネクタ部2とを嵌合させたときに、上述した接続部材9を操作するための工具が差し込まれる。この接続部材操作用孔40の孔径は、接続部材9を誤って操作してしまったり、あるいは第2接合端子6a〜6cに指が接触してしまうことを防止するため、作業員の指等が入らない程度の大きさとすることが好ましい。
筒状体36は、コネクタ1のシールド性向上、放熱性向上、軽量化のために、導電率、熱伝導率が高く、軽量なアルミニウム等の軽金属で形成することが好ましい。但し、筒状体20は、軽金属で形成する場合に限らず、樹脂等により形成するようにしてもよい。本実施形態においては、コネクタ2のさらなる軽量化のため、筒状体36を絶縁性樹脂により形成している。そのため、本実施形態では、筒状体36の他端側の内周面、具体的には、樹脂成形体30の外周面、より具体的には、係止片77bが係止した収容部30aの外周面を囲う「囲い体」として、例えばアルミニウムや銅等の金属からなる筒状のシールド体41を設けている。囲い体としてのシールド体41を設けることで、コネクタ1のシールド性、放熱性をそれぞれ向上させることが可能となる。
シールド体41は、嵌合方向前方に接触部42を有している(図12(a)参照)。接触部42は、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とを嵌合させたときに、アルミニウムからなる第1ターミナルハウジング5の外周に接触するように構成されている。これにより、シールド体41は、接触部42を介して第1ターミナルハウジング5と電気的、熱的に接続される。このため、コネクタ1のシールド性と放熱性とを向上させることが可能となる。特に、放熱性については、フランジ24を有することで放熱性に優れる第1ターミナルハウジング5側に積極的に熱を逃がすことで、著しい向上が見込まれる。
なお、上述のシールド体41は、嵌合方向後方に延びており、樹脂成形体30のケーブル挿入側、つまり、後述する気密部75の外周を囲うことで、コネクタ1のシールド性をさらに向上させるように構成されている。また、シールド体41の後端部(図12(a)における右側の端部)は、拡径されてフランジ状に形成されている。これは、図示しない上述の編組シールドをシールド体41にバンドで固定する際、バンドの抜け止めの役割を果たすものである。
樹脂成形体30のケーブル挿入側には、気密部75が設けられている。気密部75は、樹脂成形体30とケーブル66a〜66cとの間の気密を確保するように構成されている。気密部75は、例えばケーブル66a〜66cを伝って第2ターミナルハウジング7内に水分や油分が浸入するのを防止するように構成されている。
気密部75及びシールド体41の詳細については後述する。
[第1コネクタ部と第2コネクタ部との接続]
次に、第1コネクタ2と第2コネクタ3との接続について説明する。
第1コネクタ部2の第1ターミナルハウジング5と、第2コネクタ部3の第2ターミナルハウジング7と、を嵌合させると、第2接合端子6a〜6cと絶縁部材8b〜8dとの間の隙間に、第1接合端子4a〜4cがそれぞれ挿入される。その結果、複数の第1接合端子4a〜4cの一面と、複数の第2接合端子6a〜6cの一面と、がそれぞれ対となるように対面する。また、第1接合端子4a〜4c、第2接合端子6a〜6c、絶縁部材8a〜8dが、積層方向に交互に配置される。すなわち、絶縁部材8a〜8dが、対となる第1接合端子4a〜4cと第2接合端子6a〜6cとをそれぞれ挟むように配置されてなる積層状態が形成される。
このとき、第2コネクタ部3の内部においては、所定間隔で離間させた状態で整列させて保持されている第2接合端子6a〜6cの先端側に、第1絶縁部材8a〜8cが固定されている。このため、第2接合端子6a〜6cと絶縁部材8b〜8dとの間に、第1接合端子4a〜4cを容易に挿入することが可能となる。なお、各絶縁部材8a〜8cの間隔を保持する保持用治具を別途設ける必要がないことから、コネクタ1の小型化を実現することが可能となる。
また、第1接合端子4aと第2接合端子6aとが接合してなる接点は、第1絶縁部材8aと第1絶縁部材8bとにより挟み込まれる。また、第1接合端子4bと第2接合端子6bとが接合してなる接点は、第1絶縁部材8bと第1絶縁部材8cとにより挟み込まれる。同様に、第1接合端子4cと第2接合端子6cとが接合してなる接点は、第1絶縁部材8cと第2絶縁部材8dとにより挟み込まれる。
この状態で、レンチ等の工具で接続部材9の回動部92を回動させ、接続部材9の押圧部93を下方に押し込むと、弾性部材15によって、第1絶縁部材8a、第1絶縁部材8b、第1絶縁部材8c、第2絶縁部材8dがこの順に押圧されていく。このとき、第2絶縁部材8dは挟持用台座43に当接し積層方向の動きが規制されている。このため、それぞれの接点が、絶縁部材8a〜8dのいずれか2つによって挟み込まれるように押圧される。つまり、各接点に対して押圧力が付与され、かつ、各接点が互いに絶縁された状態で接触することとなる。なお、第1接合端子4a〜4cと第2接合端子6a〜6cとは、絶縁部材8a〜8dからの押圧によって多少撓むため、広範囲で接触する。このため、振動を発生させる車両等の環境下においても、接点のそれぞれを強固に接触させた状態で維持することが可能となる。
ところで、本実施形態では、第1コネクタ部2をモータに設けている。このように、第1コネクタ部2をモータに設ける際は、まず、モータのシールドケースからケーブル(電源ケーブル)を引き出す。次に、そのケーブルの端部に設けられた端子を、端子台71の台座71bに整列配置されている機器側接合端子60a〜60cにそれぞれ電気的に接続する。その後は、端子台71をモータのシールドケースに嵌合させ、ボルトを用いてフランジ24をシールドケースに固定する。モータ側のケーブルの端子を機器側接合端子60a〜60cに電気的に接続する際は、図示しないボルトをナット74に螺合させ、ボルトとナット74との間で、ケーブルの端子と機器側接合端子60a〜60cとの接点をそれぞれ固定する。第1コネクタ部2をモータに接続した後は、インバータに電気的に接続されている第2コネクタ部3と第1コネクタ部2とを嵌合させることで、モータとインバータとが電気的に接続されることになる。
本実施形態のコネクタ1では、コネクタ1側に端子台71を設けているので、モータ側に端子台を設ける必要がない。さらに、バスバ端子65の平面変更部62の周囲に端子台71との間で気密を確保する端子用シール部材70を設け、かつ、フランジ24にシールドケースとの間で気密を確保するパッキン24bを設けている。このため、モータ側に油等の漏れ出しや水等の侵入を防止するシール構造を備える必要がない。よって、モータの構造を簡易とし、車両の軽量化に寄与することが可能となる。
[接続部材]
次に、接続部材9の詳細な構成について説明する。図10、図11等に示すように、接続部材9は、上述したリング状の支持部91と、回動部92と、押圧部93と、を備えている。
支持部91は、第1ターミナルハウジング5に固定されるリング状の枠体からなる。
回動部92は、図10、図11に示すように、頭部95と摺動突起94とを有している。頭部95は、上部が塞がれた円筒状に形成されている。頭部95の上部は、リング状の支持部91が形成する中空部91a内に挿入される。この状態で、頭部95は、支持部91に対して回動自在に支持される。摺動突起94は、頭部95から下方(第1絶縁部材8a側)に突出している。本実施形態では、頭部95の対向する位置からそれぞれ下方に突出するように、2つの摺動突起94を形成している。ただし、摺動突起94の個数はこれに限定されるものではなく、1つあるいは3つ以上の摺動突起94を形成してもよい。
摺動突起94は、円筒状の頭部95に沿うように上面視で円弧状に形成されている。また、摺動突起94は、後述する摺動受部97の段差面97aに沿って摺動し易いように、その下端部の角部が面取り加工(丸め加工)されている。摺動突起94を上面視で円弧状に形成することにより、摺動突起94を上面視で一直線状に形成した場合と比較して、上下方向の負荷に対する強度を向上させることができる。その結果、摺動突起94を薄くすることができ、接続部材9の小型化に寄与することが可能となる。
頭部95は、支持部91の内径よりも若干小さい径に形成されており、支持部91の中空部91a内に挿入される小径部95aと、小径部95aの下方に一体に形成され、支持部91の外径よりも若干小さい径に形成された大径部95bと、を備えている。この小径部95aと大径部95bとの間に形成される段差が支持部91の下面に当接することで、回動部92の上方向の動きが規制される。回動部92の頭部95は、押圧部93を介して弾性部材15により常に上方に付勢されている。このため、頭部95の上方向の動きを規制すれば、回動部92の頭部95の上下方向の位置が自ずと決定されることとなる。
頭部95の大径部95bの積層方向における中央部には、周方向に沿って溝95cが形成されている。この溝95cには、パッキン14が設けられている(図10では、パッキン14の図示を省略している)、パッキン14は、第1ターミナルハウジング5内に水が浸入するのを防止するよう構成されている。
押圧部93は、本体部96と摺動受部97とを有している。本体部96は、円柱状に形成されている。本体部96の上部は、回動部92の頭部95の中空部(円筒状の頭部95が形成する中空部)内に挿入される。この状態で、本体部96の下部は、これに隣接する絶縁部材8aを押圧する(つまり接点に向けて押圧する)ように構成されている。摺動受部97は、上方に段差面97aを有している。この段差面97aは、円柱状の本体部96の側面に、周方向に沿って形成されている。
本体部96は、小径部96aと大径部96bとを有している(図10を参照)。小径部96aは、回動部92の頭部95の内径よりも若干小さい径に形成され、頭部95の中空部に挿入されるように構成されている。大径部96bは、小径部96aよりも大きな径に形成されており、小径部96aの下方に小径部96aと一体に形成されている。小径部96aと大径部96bとの間に形成される段差により、摺動受部97が構成されている。
摺動受部97は、その段差面97aに回動部92の摺動突起94の下端を当接させ、部95に対する本体部96の上方向の動きを規制することで、回動部92に対する押圧部93の上下方向の位置決めを行うように構成されている。なお、本体部96は、弾性部材15により常に上方に付勢されている。このため、上述した段差面97aと摺動突起94との当接により本体部96の上方向の動きを規制すれば、本体部96の上下方向の位置が自ずと決定されることとなる。
本体部96の大径部96bには、スライド突起96cが形成されている。スライド突起96cは、正面視で矩形状に形成され、大径部96bから径方向外方に突出するように構成されている。また、支持部91が挿入される第1ターミナルハウジング5の接続部材挿入孔26の内周面には、上下方向に延びるスライド溝(図示せず)が形成されている。このスライド溝内にスライド突起96cを係合させることで、本体部96の回転方向の動作が規制される。つまり、回動部92の回動に伴って押圧部93の本体部96が回転しないように規制される。また、第1ターミナルハウジング5に対して押圧部93を上下方向にスライド自在に保持することが可能となる。
なお、ここでは、押圧部93側にスライド突起96cを形成し、第1ターミナルハウジング5側にスライド溝を形成したが、突起と溝の関係を逆にしてもよい。つまり、第1ターミナルハウジング5側にスライド突起を形成し、押圧部93側にスライド溝を形成するようにしてもよい。
本実施形態に係るコネクタ1では、摺動受部97の段差面97aの上下方向の位置を本体部96の周方向で変化させることで、押圧部93が、回動部92の回動に伴って回動部92に対して上下方向に移動するように構成されている。
具体的には、摺動受部97は、上述した段差面97aの他に、第1水平部97bと、スロープ部97cと、第2水平部97dと、を備えている。第1水平部97bは、上下方向に対して垂直(水平)な平面で形成されている。スロープ部97cは、第1水平部97bの端部(図示右側の端部)から本体部96の側面に沿って斜め下方(図示右斜め下方)に延びる段差面で形成されている。第2水平部97dは、スロープ部97cの端部(図示右側の端部)から水平方向に伸びる平面で形成されている。つまり、摺動受部97は、上下方向の異なる位置に形成された第1水平部97bと第2水平部97dとを、スロープ部97cで緩やかに連結することで構成されている。
本実施形態では、対向する位置に2つの摺動突起94を形成している。そのため、両摺動突起94に対応するように、摺動受部97である第1水平部97b,スロープ部97c,および第2水平部97dも、それぞれ対向位置に2つずつ形成される。このとき、第1水平部97bと第2水平部97dとが隣り合うことになる。ただし、第2水平部97dは第1水平部97bよりも下方に形成されるため、第1水平部97bと第2水平部97dとの間には、上下方向の段差98aが形成されることになる。この段差98aが、第2水平部97dよりも右側への摺動突起94の移動(回動)を規制する役割を果たす。
また、第1水平部97bの第2水平部97d側の端部(図示左側の端部)、すなわち、段差98aの上部には、段差面97aから上方に突出する突起98bが形成されている。突起98bは、第1水平部97bよりも左側への摺動突起94の移動(回動)を規制する役割を果たす。段差98aの下端から突起98bの上端までの上下方向の長さ、つまり、第2水平部97dから突起98bの上面までの上下方向の長さは、摺動突起94の上下方向の長さ、つまり、摺動突起94の下端から頭部95の下面までの上下方向の長さと略等しくなるように形成されている。
第1水平部97bの段差面97a(突起98bよりも左側の段差面97a)には、摺動突起94の下端部を収容する凹形状の突起保持部99が形成されている。突起保持部99は、振動等により回動部92の頭部95が意図せずに回動し、各接点への押圧力の付与が解除されてしまうことを防止する役割を果たす。上述の突起98bは、突起保持部99内に摺動突起94の下端部を収容したときに、摺動突起94の左側の端部に当接するように構成されている。
突起保持部99を形成することにより、レンチ等の工具を操作している作業者の手に、摺動突起94が突起保持部99に嵌り込む際の振動(あるいは操作感の変化)が伝わるようになる。このため、作業者は、突起保持部99に摺動突起94が嵌り込んだということ、すなわち、回動部92がこれ以上回動しない位置まで回動されたということを、感覚的に捉えられるようになる。つまり、突起保持部99は、回動部92の回動が十分に行われたことを作業者に知らせ、作業者が回動部92を回動させ過ぎてしまうことを防止する役割も果たしている。
接続部材9の支持部91、回動部92、押圧部93は、耐久性や機械的強度の観点から、例えばSUS等の鉄系の金属から形成することが望ましい。
次に、接続部材9の具体的な回動動作について、図11を用いて説明する。
まず、図11(a)に示すように、支持部91に対して回動部92を上面視で左回り(反時計回り)に回動させ、摺動突起94を第2水平部97dに位置させる。このとき、段差98aにより、摺動突起94の移動(回動)が規制され、回動部92の回動し過ぎを防止するようになっている。
摺動突起94を第2水平部97dに位置させた状態では、押圧部93の本体部96が最も上方(第1絶縁部材8aと反対側)に移動している。この状態で、第1ターミナルハウジング5と第2ターミナルハウジング7とを嵌合させ、第2接合端子6a〜6cと当該第2接合端子6a〜6cに対向する絶縁部材8b〜8dの間に、第1接合端子4a〜4cを挿入する。
その後、図11(b)に示すように、支持部91に対して回動部92を上面視で右回り(時計回り)に回動させる。すると、摺動突起94が摺動受部97の段差面97aに沿って摺動してスロープ部97cに乗り上げる。また、押圧部93の本体部96が弾性部材15のバネ力に対抗して徐々に下方に押し下げられる。本体部96は、弾性部材15を介して隣接する第1絶縁部材8aを押圧し、これにより、各接点に対して押圧力が徐々に付与される。
さらに回動部92を回動させると、図11(c)に示すように、摺動突起94が第1水平部97bに乗り上げる。この段階で、押圧部93の本体部96が最も下方(第1絶縁部材8a側)に移動し、各接点に対して十分な押圧力が付与された状態となる。
さらに回動部92を回動させると、図11(d)に示すように、摺動突起94が突起保持部99に収容される。摺動突起94が突起保持部99に嵌り込む際には、レンチ等の工具を操作している作業者の手に振動(あるいは操作感の変化)が伝わる。作業者は、この振動(あるいは操作感の変化)を手に感じた時点で、回動部92の回動を終了させる。なお、摺動突起94が突起保持部99に収容されたときには、突起98bにより摺動突起94の移動(回動)が規制されており、回動部92の回動し過ぎが防止される。
ここで、回動部92を回動させる前の状態(図11(a)の状態)と、回動部92を回動させた後の状態(図11(d)の状態)とを比較すると、本実施形態に係るコネクタ1では、回動部92の回動の前後で接続部材9の上面(つまり回動部92の頭部95の上面)の上下方向の位置が変化しないことが分かる。よって、このコネクタ1によれば、レンチ等の工具で操作を行う際に、接続部材9が上下方向に移動して工具が他の部材に干渉してしまうことがなく、工具を回動させ易くなる。また、接続部材9が第1ターミナルハウジング内に沈み込まないので、工具を嵌合させるための異形穴92aを視認し易くなり、作業性の向上に寄与することが可能となる。
[気密部及びシールド体]
次に、上述の気密部75及びシールド体41の構成について、詳しく説明する。
気密部75は、図12に示すように、樹脂成形体30のケーブル挿入側の端部に形成された収容部30a内に収容されるシール部材としてのパッキン76と、収容部30aの開口を塞ぐテールプレート77と、を備えている。パッキン76は、収容部30aの内周とケーブル66a〜66cの外周とに接触することで、収容部30aとケーブル66a〜66cとの間を気密に封止するように構成されている。テールプレート77は、収容部30aの開口を塞ぐことで、収容部30aからのパッキン76の脱落を防止するように構成されている。なお、パッキン76は、耐水性、耐油性、耐熱性を有する弾性ゴム、例えばシリコンゴム等から形成されている。また、収容部30a(樹脂成形体30の一部)及びテールプレート77は、それぞれ、PPS樹脂、PPA樹脂、PA樹脂、PBT樹脂、エポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂から形成されている。
パッキン76には、図12(b)に示すように、3本のケーブル66a〜66cを個別に挿入することができるよう、3つの挿入孔76aが形成されている。つまり、本実施形態では、1つのパッキン76を、3本のケーブル66a〜66cで共通に用いるようにしている。そのため、パッキン76の外形は、3本のケーブル66a〜66cを挟んで対向する一対の平行線を有する長円形(角丸長方形)或いは矩形等に構成されることとなる。なお、本実施形態では、パッキン76の外形を長円形としている。
パッキン76を収容する収容部30aの内周は、パッキン76の外周縁と気密に当接するように構成されている。つまり、収容部30aは、パッキン76の外形と一致する断面形状、つまり、長円形の断面形状を有する筒状体に構成されている。パッキン76は、収容部30aのケーブル挿入側の端部に設けられた開口を介して収容部30a内に挿入される。そのため、収容部30aの開口も、パッキン76の外形と一致する形状、つまり、少なくとも一対の平行線を有する長円形に構成されている。
なお、パッキンについては、3本のケーブル66a〜66cで共通に用いるのではなく、各ケーブル66a〜66c毎に個別に設けることも考えられる。しかしながら、この場合、収容部30aとケーブル66a〜66cとの間の気密を確保するには、収容部30a内部を複数に隔てる隔壁を追加する必要があり、コネクタ1の大型化、複雑化、重量増を招いてしまう。そのため、本実施形態のように、1つのパッキンを複数のケーブルで共通に用い、パッキンの外形(収容部30aの断面形状)を長円形等に構成するのが好ましい。
テールプレート77は、図12(a),(c)に示すように、収容部30aの開口を塞ぐプレート部77aと、プレート部77aの外周縁から嵌合方向前方(樹脂成形体30側)に突出する舌片状の係止片77bと、を備えている。
プレート部77aは、収容部30aの開口と一致する形状、つまり、少なくとも一対の平行線を有する長円形に形成されている。プレート部77aには、3本のケーブル66a〜66cをそれぞれ挿入することができるよう、3つの挿入孔77cが形成されている。また、プレート部77aの後端部には、収容部30aの開口周辺の縁部に当接するフランジ77dが形成されている。収容部30a内には、プレート部77aの一部、すなわち、プレート部77aにおけるフランジ77dよりも嵌合方向前方の部分が収容されるように構成されている。
係止片77bは、プレート部77aの外形を構成する一対の平行線上に、つまり、図12(c)におけるプレート部77aの上下端にそれぞれ対向するように設けられている。本実施形態では、プレート部77aの外形を構成する一対の平行線にそれぞれ2つずつ、合計4つの係止片77bが形成されている。各係止片77bの先端部には、係止孔77eがそれぞれ形成されている。この係止孔77eを、収容部30aの外周に形成された係止突起78に係止することで、テールプレート77が収容部30aに固定され、収容部30aの開口がプレート部77aによって塞がれることとなる。このとき、テールプレート77の係止片77bの一面は、上述の平行線を構成する一対の収容部30aの外周のそれぞれに接触するように構成されている。
また、気密部75の外周、つまり、テールプレート77の係止片77bが係止した収容部30aの外周は、上述した「囲い体」としての筒状のシールド体41により囲われている。このとき、テールプレート77の係止片77bの一面は、シールド体41の内周に接触するように構成されている。
このように、本実施形態に係るコネクタ1では、収容部30aの外周と、これに対向するテールプレート77の係止片77bの一面とが接触し、かつ、テールプレート77の係止片77bの他面と、これに対向するシールド体41の内周とが接触するように構成されている。言い換えると、本実施形態に係るコネクタ1では、金属からなり剛性の高いシールド体41と、パッキン76の熱膨張応力を受けて外側に膨らもうとする収容部30aとの間の隙間の少なくとも一部を、係止片77bとして構成された充填材(装填材)によって隙間なく充填する(装填する)ように構成されている。これにより、本実施形態に係るコネクタ1では、収容部30aの膨張応力(パッキン76の膨張応力)を、テールプレート77の係止片77bだけでなく、係止片77b及びシールド体41の両方の部材で受けることが可能となる。その結果、パッキン76が過剰に熱膨張した場合であっても、収容部30aの変形、つまり、第2ターミナルハウジング7の一部である樹脂成形体10の変形を防止することが可能となる。
なお、収容部30aの外周と、これに対向するテールプレート77の係止片77bの一面とは、隙間なく接触していることが好ましい。また、同様に、テールプレート77の係止片77bの他面と、これに対向するシールド体41の内周とも、隙間なく接触していることが好ましい。つまり、これらの面が、互いの面の一部のみで接触しているのではなく、その略全域で接触していることが好ましい。このように構成することで、パッキン76が過剰に熱膨張した場合であっても、収容部30aの変形をより確実に防止することが可能となる。
また、収容部30aの外周と、これに対向するテールプレート77の係止片77bの一面とは、所定の圧力が加えられた状態で当接(圧接)していることが好ましい。また、同様に、テールプレート77の係止片77bの他面と、これに対向するシールド体41の内周とも、所定の圧力が加えられた状態で当接(圧接)していることが好ましい。つまり、これらの面が、互いに圧力を与え合う形で密着していることがより好ましい。このように構成することで、パッキン76が過剰に熱膨張した場合であっても、収容部30aの変形をより確実に防止することが可能となる。
なお、本実施形態では、樹脂成形体30のケーブル挿入側の端部の外周に、ケーブル挿入側に向かって低くなる段差30bを設けている。そして、収容部30aの外周を、段差30bを設けることで薄くなった樹脂成形体30の外周により構成するようにしている。さらに、本実施形態では、この段差30bの高さを、テールプレート77の係止片77bの厚さに一致させるようにしている。つまり、本実施形態では、樹脂成形体30の外周と、収容部30aに係止したテールプレート77の係止片77bの他面とを、同一面としている。これにより、筒状のシールド体41の内周をフラットな形状とすることが可能となり、シールド体41の成型を容易に行うことが可能となる。
[第2コネクタ部の組み立て]
次に、第2コネクタ部3の組み立て手順について説明する。
まず、第2接合端子6a〜6c、ケーブル66a〜66c、絶縁部材組立体100を、樹脂成形体30に組み付ける。そして、これらの部材が組み付けられた樹脂成形体30を、第2ターミナルハウジング7内に挿入して固定する。そして、パッキン76の挿入孔76a内にケーブル66a〜66cをそれぞれ挿入する。そして、図13に示すように、樹脂成形体30に形成された収容部30a内に、ケーブル挿入側からパッキン76を挿入する。
その後、テールプレート77のプレート部77aに設けられた挿入孔77c内にケーブル66a〜66cをそれぞれ挿入する。そして、図14に示すように、テールプレート77の係止片77bを、収容部30aの外周に形成された係止突起78にそれぞれ係止することで、収容部30aの開口をテールプレート77のプレート部77aによって塞ぐ。
その後、図15に示すように、第2ターミナルハウジング7と樹脂成形体30との間の隙間に、ケーブル挿入側から、筒状のシールド体41を挿入する。シールド体41には、係止爪7aを避ける切り欠き41aが形成されている。また、シールド体41の嵌合方向前方には、ストッパ部(シールド体41の一部を外側に折り曲げた返し部分)が形成されている(図12(a)参照)。そのストッパ部が、第2ターミナルハウジング7の内周に形成された突起に係止することで、シールド体41が、樹脂成形体30を囲うように第2ターミナルハウジング7内に固定される。
[本実施形態の作用]
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
本実施形態に係るコネクタ1では、第2ターミナルハウジング7の一部としての収容部30aの外周と、これに対向するテールプレート77の係止片77bの一面とが接触し、かつ、テールプレート77の係止片77bの他面と、これに対向する「囲い体」としてのシールド体41の内周とが接触するように構成されている。これにより、仮に、パッキン76の材料として設計基準を満たさない材料が用いられたり、コネクタ1に対して設計基準を超える通電が行われたりすることで、パッキン76が過剰に熱膨張した場合であっても、収容部30aの変形を防止することが可能となる。そして、コネクタ1の気密性を維持することが可能となる。
なお、上述の各面を、隙間なく、つまり、互いの面の一部のみで接触させるのではなく、その略全域で接触させることで、収容部30aの変形をより確実に防止することが可能となる。さらに、これらの各面を、所定の圧力が加えられた状態で当接(圧接)、つまり、密着させることで、収容部30aの変形をより確実に防止することが可能となる。
また、本実施形態に係るコネクタ1では、樹脂成形体10、つまり、第2ターミナルハウジング7自体の設計変更を行うことなく、また、新たな部品を追加することなく、収容部30aの変形を防止することが可能となる。すなわち、テールプレート77やシールド41といった既存の部品の少なくともいずれかに対して若干の構成変更を行うだけで、収容部30aの変形を容易に防止することが可能となる。これにより、コネクタ1の構造を簡素化することができ、コネクタ1の製造コストや改良コストを低減させることが可能となる。
<本発明の他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上述の実施形態においては、テールプレート77の係止片77bを、プレート部77aの外形を構成する一対の平行線にそれぞれ2つずつ独立して(離間して)設けたが、本発明は係る態様に限定されない。
すなわち、図16(a)に例示するように、係止片77bを、プレート部77aの外形を構成する一対の平行線の中央部にそれぞれ1つずつ設けるようにしてもよい。そして、この係止片77bの一面を、開口部の平行線を構成する一対の収容部30aの外周の中央部のそれぞれに接触させるようにしてもよい。また、図16(b)に例示するように、係止片77bを、プレート部77aの外形を構成する一対の平行線の中央部にそれぞれ2つずつ設け、さらに、この平行線上で互いに隣り合う2つの係止片77aを、連結片77fによって連結するようにしてもよい。そして、この連結片77fの一面を、開口部の平行線を構成する一対の収容部30aの外周の中央部のそれぞれに接触させるようにしてもよい。
このように、係止片77b或いは連結片77fのうち少なくともいずれか一つの一面を、開口部の平行線を構成する一対の収容部30aの外周の中央部のそれぞれに接触させることで、収容部30aの変形をより効果的に防止できるようになる。つまり、収容部30aの外周のうち、パッキン76の熱膨張応力を受けることで最も広がりやすい箇所のそれぞれを、係止片77b或いは連結片77fのいずれかにより押さえることで、収容部30aの変形をより効果的に防止することが可能となる。
また、上述の実施形態においては、収容部30aの開口の形状を長円形としたが、本発明は係る態様に限定されない。例えば、収容部30aの開口の形状を、長方形等の矩形としてもよく、さらには楕円や円等としてもよい。但し、収容部30aの開口の形状を一対の平行線を有する長円形或いは矩形とした場合、つまり、収容部30aの形状がパッキン76の熱膨張による影響を受けやすい形状とした場合、本発明の作用が特に顕著に得られることとなる。
また、上述の実施形態では、テールプレート77に係止片77bを4つ設ける場合について説明したが、本発明は係る態様に限定されない。例えば、テールプレート77に係止片77bを1〜3つ設けるようにしてもよく、係止片77bを5つ以上設けるようにしてもよい。また、上述の実施形態においては、収容部30aの外周に係止突起78を形成し、テールプレート77の係止片77bに係止孔77eを設ける場合について説明したが、本発明は係る態様に限定されない。例えば、テールプレート77の係止片77bに係止突起を設け、収容部30aの外周に係止用の溝や段差を設けるようにしてもよい。
また、上述の実施形態においては、積層構造型のコネクタ1について説明したが、本発明は、積層構造型以外のコネクタにも適用可能である。
また、上述の実施形態においては、メス側である第2コネクタ部3に気密部75やシールド体41を設けたが、オス側である第1コネクタ部2にケーブルが接続されるコネクタにおいては、第1コネクタ部2に気密部75やシールド体41を設けてもよい。さらには、両コネクタ部2,3のそれぞれに気密部75やシールド体41を設けてもよい。
また、上述の実施形態においては、三相交流の電源ラインの接続に用いられるコネクタについて説明したが、本発明は係る態様に限定されない。例えば、自動車用のコネクタであって、モータ、インバータ間用の三相交流の電源ラインと、エアコン用の直流二相の電源ラインと、を一括して接続するコネクタ、つまり、用途の異なるラインを一括して接続するコネクタについても、本発明は好適に適用可能である。このように、1つのコネクタで複数の用途の電源ラインを一括して接続することにより、用途毎に異なるコネクタを用意する必要がなくなり、省スペース化や低コスト化等に貢献することができる。
また、上述の実施形態においては、第1接合端子4a〜4cの端子表面と、第2接合端子6a〜6cの端子表面とに対して、ローレット加工等をそれぞれ施して表面を荒らすようにしてもよい。これにより、端子間の摩擦力が大きくなり、接点の固定をより強固に行うことが可能となる。
さらに、上述の実施形態においては、嵌合溝83内に第2接合端子6a〜6cを嵌合することで、第1絶縁部材8a〜8cを第2接合端子6a〜6cに設けていたが、本発明は係る態様に限定されない。例えば、インサート成型により第1絶縁部材8a〜8cを第2接合端子6a〜6cに設けてもよく、また、第1絶縁部材8a〜8c内に第2接合端子6a〜6cを圧入するようにしてもよい。
また、上述の実施形態においては、ケーブル66a〜66cとして可撓性に優れたケーブルを用いたが、可撓性の少ないリジッドなケーブルを用いてもよい。
また、上述の実施形態においては、コネクタの使用状態における向きを略水平状態としてもよく、略垂直状態としてもよい。
また、上述の実施形態においては、接続部材9の一部である弾性部材15を介して第1絶縁部材8aを押圧しているが、弾性部材15を介さずに、本体部96によって直接第1絶縁部材8aを押圧してもよい。
また、上述の実施形態においては、第1ターミナルハウジング5の一側のみに接続部材9を設ける場合を説明したが、本発明は係る態様に限定されない。例えば、第1ターミナルハウジング5の積層方向の両側にそれぞれ接続部材9を設け、これら2つの接続部材9により各接点に押圧力を付与するようにしてもよい。
また、上述の実施形態においては、押圧部93の本体部96を略円柱状としたが、例えば、本体部96と一体に軸部を形成し、この軸部に各接点を貫通させることで各接点を固定するようにしてもよい。
1 コネクタ
5 第1ターミナルハウジング
7 第2ターミナルハウジング
30 樹脂成形体
30a 収容部
41 シールド体(囲い体)
75 気密部
76 パッキン(シール部材)
77 テールプレート
77a プレート部
77b 係止片

Claims (7)

  1. 複数のケーブルの端部が挿入されるターミナルハウジングと、
    前記ターミナルハウジングのケーブル挿入側の端部に形成された収容部内に収容され、前記収容部の内周と前記ケーブルの外周とにそれぞれ接触することで、前記収容部と前記ケーブルとの間を気密に封止するシール部材と、
    前記収容部の外周に係止する係止片を有し、前記係止片が前記収容部の外周に係止することで前記収容部の開口を塞ぎ、前記収容部からの前記シール部材の脱落を防止するテールプレートと、
    前記係止片が係止した前記収容部の外周を囲うように設けられる囲い体と、を備え、
    前記収容部の外周とこれに対向する前記係止片の一面とが接触し、かつ、前記係止片の他面とこれに対向する前記囲い体の内周とが接触するように構成されている
    ことを特徴とするコネクタ。
  2. 複数の第1接合端子が整列されて収納される第1ターミナルハウジングと、
    複数のケーブルの端部にそれぞれ設けられた第2接合端子が整列されて収納される第2ターミナルハウジングと、を備え、
    前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとを嵌合させると、前記複数の第1接合端子と前記複数の第2接合端子とのそれぞれが電気的に接続されるコネクタにおいて、
    前記第2ターミナルハウジングのケーブル挿入側の端部に形成された筒状の収容部内に収容され、前記収容部の内周と前記ケーブルの外周とにそれぞれ接触することで、前記収容部と前記ケーブルとの間を気密に封止するシール部材と、
    前記収容部の外周に係止する係止片を有し、前記係止片が前記収容部の外周に係止することで前記収容部の開口を塞ぎ、前記収容部からの前記シール部材の脱落を防止するテールプレートと、
    前記係止片が係止した前記収容部の外周を囲うように設けられる囲い体と、を備え、
    前記収容部の外周とこれに対向する前記係止片の一面とが接触し、かつ、前記係止片の他面とこれに対向する前記囲い体の内周とが接触することで、前記収容部の変形を抑制するように構成されている
    ことを特徴とするコネクタ。
  3. 前記開口は、少なくとも一対の平行線を有する長円形或いは矩形に構成されており、
    前記係止片の一面は、前記平行線を構成する一対の前記収容部の外周のそれぞれに接触している
    ことを特徴とする請求項1または2記載のコネクタ。
  4. 前記係止片の一面は、前記平行線を構成する一対の前記収容部の外周の中央部のそれぞれに接触している
    ことを特徴とする請求項3記載のコネクタ。
  5. 前記係止片は、前記平行線を構成する一対の前記収容部の外周のそれぞれに少なくとも2カ所ずつ接触するよう複数設けられ、
    前記テールプレートは、前記平行線上で互いに隣り合う2つの前記係止片を前記収容部の外周に沿って連結する連結片をさらに有し、
    前記係止片或いは前記連結片のうち少なくともいずれか一つの一面が、前記平行線を構成する一対の前記収容部の外周の中央部のそれぞれに接触している
    ことを特徴とする請求項3記載のコネクタ。
  6. 前記第2ターミナルハウジングのうち少なくとも前記収容部は樹脂からなり、
    前記囲い体は金属からなる
    請求項2〜5のいずれかに記載のコネクタ。
  7. 複数のケーブルと、
    複数の前記ケーブルの端部が挿入されるターミナルハウジングと、
    前記ターミナルハウジングのケーブル挿入側の端部に形成された収容部内に収容され、前記収容部の内周と前記ケーブルの外周とにそれぞれ接触することで、前記収容部と前記ケーブルとの間を気密に封止するシール部材と、
    前記収容部の外周に係止する係止片を有し、前記係止片が前記収容部の外周に係止することで前記収容部の開口を塞ぎ、前記収容部からの前記シール部材の脱落を防止するテールプレートと、
    前記係止片が係止した前記収容部の外周を囲うように設けられる囲い体と、を備え、
    前記収容部の外周とこれに対向する前記係止片の一面とが接触し、かつ、前記係止片の他面とこれに対向する前記囲い体の内周とが接触するように構成されている
    ことを特徴とするワイヤハーネス。
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